JPH09183589A - クレーンの振れ止め・位置決め制御方法 - Google Patents

クレーンの振れ止め・位置決め制御方法

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JPH09183589A
JPH09183589A JP35364395A JP35364395A JPH09183589A JP H09183589 A JPH09183589 A JP H09183589A JP 35364395 A JP35364395 A JP 35364395A JP 35364395 A JP35364395 A JP 35364395A JP H09183589 A JPH09183589 A JP H09183589A
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正 鈴木
Yasufumi Irie
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の制御方法を既設の天井クレーンに適用
しても、理想的な振れ止め・位置決めは困難である。所
期の振れ止め・位置決めを行うには、速度制御システム
を高精度のものに取替えなくてはならず、コスト高とな
る。 【解決手段】 クレーン台車の自位置検出値、速度検出
値、クレーン台車から巻下がった巻上ワイヤロープの振
れ角、振れ角速度及び巻上ワイヤロープ長に基づき、出
発位置から目標位置に至るまでの各種速度パターンに応
じた複数の速度指令値を速度指令値演算装置により演算
し、これらの速度指令値を駆動制御装置に与えてクレー
ン台車駆動用のモータに対する駆動指令を出力するクレ
ーンの振れ止め・位置決め制御方法に関する。前記駆動
制御装置は、速度指令値演算装置から出力される速度指
令値と速度検出値との偏差に基づいて、モータを正転加
速・減速または逆転加速・減速させる駆動指令を出力す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、港湾、各種工場等
における荷役作業に用いられるクレーンの振れ止め・位
置決め制御方法に関し、詳しくは、自動運転されるクレ
ーンの吊り荷の振れ止め及びクレーン台車の位置決めを
短時間で両立させるようにクレーン台車の運転速度を制
御する制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】図16は制御対象であるクレーンのモデ
ルを示しており、このクレーン1は、水平方向に移動す
るクレーン台車(トロリー)1aと、この台車1aから
巻き下がって上下可能な巻上ワイヤロープ2とにより吊
り荷3を移動させて荷役を行うものである。なお、図に
おいてQは出発位置、Rは目標位置、Xmは出発位置Q
から目標位置Rまでの距離である目標位置値、Xcは出
発位置Qから現在位置までの距離検出値である自位置検
出値、Xは運転残距離、Lは巻上ワイヤロープ長、θは
吊り荷3の振れ角を示す。
【0003】この種のクレーン1の運転制御において
は、(1)台車1aを自位置から短時間で目標位置Rに
移動させ、位置決めすることのほか、(2)台車1aが
目標位置Rに達した際に、吊り荷3の振れが止まるよう
に制御すること、すなわち、目標位置Rにおいて吊り荷
3の振れ角θが零であることが強く望まれている。
【0004】従来のクレーンの振れ止め・位置決め制御
方法として、特開平6−92593号公報(特願平4−
14282号)では、振れ止め・位置決めのための速度
指令値と速度実際値とがほぼ一致するような高精度のシ
ステムにより台車1aの駆動及び速度制御を行うことを
想定している。この場合、上記システムは、一般的に高
価なインバータとかご形モータとから構成される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、既設の天井
クレーンは通常、高精度の速度制御システムを備えてい
ないため、理論的な速度指令や加速度指令を与えること
は難しい。すなわち、既設の天井クレーンでは、一般に
正転方向の加速・減速、逆転方向の加速・減速という指
令の与え方しかできず、後は抵抗器の段階的な操作によ
って台車1aの速度制御を行うものであった。
【0006】このため、特開平6−92593号公報等
に記載された制御方法をそのまま既設の天井クレーンに
適用しても、論理的に必要である加速度を得ることがで
きず、理想的な振れ止め・位置決めを行うことができな
かった。従って、所期の振れ止め・位置決め作用を得る
ためには、モータを含む速度制御システムを高精度のも
のに取替えなくてはならず、大きなコストが必要となっ
ていた。
【0007】更に、他の従来技術として、特開平5−7
96号公報に記載されたクレーンの振れ止め制御方法も
知られているが、この方法でも、既設の天井クレーンへ
の適用は困難である。
【0008】本発明は上記課題を解決するためになされ
たもので、高精度かつ高価な速度制御システムを用いず
に既設の天井クレーンへの適用が可能であり、しかも、
初期振れや突風等の外乱が存在し、また振れ周期に多少
の計算誤差があっても吊り荷の振れ止めが可能であると
共にクレーンを目標位置に正確に位置決めすることがで
きる、アクティブな、クレーンの振れ止め・位置決め制
御方法を提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、請求項1記載の発明は、クレーン台車の自位置検出
値、速度検出値、クレーン台車から巻下がった巻上ワイ
ヤロープの振れ角、振れ角速度及び巻上ワイヤロープ長
に基づき、出発位置から目標位置に至るまでの各種速度
パターンに応じた複数の速度指令値を速度指令値演算装
置により演算し、これらの速度指令値を駆動制御装置に
与えてクレーン台車駆動用のモータに対する駆動指令を
出力するクレーンの振れ止め・位置決め制御方法であっ
て、前記速度指令値演算装置が、巻上ワイヤロープの振
れ角と振れ角速度と巻上ワイヤロープ長とに基づいて高
速振れ止め加減速調整量及び低速振れ止め加減速調整量
を各々演算する演算器と、前記高速振れ止め加減速調整
量と現在の速度指令値または速度検出値と演算周期とに
基づいて高速振れ止めパターンにおける速度指令値を演
算する高速振れ止め速度指令値演算器と、低速振れ止め
・位置決めパターン制御の開始速度及び運転残距離から
算出した減速度と前記低速振れ止め加減速調整量とクレ
ーン台車の運転残距離とに基づいて低速振れ止め・位置
決めパターンにおける速度指令値を演算する低速振れ止
め・位置決め速度指令値演算器とを備えてなるクレーン
の振れ止め・位置決め制御方法において、前記駆動制御
装置は、前記速度指令値演算装置から出力される速度指
令値と速度検出値との偏差に基づいて、前記モータを正
転加速・減速または逆転加速・減速させる駆動指令を出
力するものである。
【0010】請求項2記載の発明は、請求項1記載のク
レーンの振れ止め・位置決め制御方法において、前記駆
動制御装置は、モータの回転数に応じてモータの出力ト
ルクを変化させるような駆動指令を出力するものであ
る。なお、請求項1または2記載の発明において、請求
項3に記載したように、前記モータには例えば巻線形モ
ータが使用される。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、図に沿って本発明の実施形
態を説明する。図1は請求項1及び請求項3記載の発明
の実施形態が適用される制御ブロック図であり、図16
と同一の構成要素には同一の番号を付してある。図1に
おいて、5は振れ止め・位置決め速度指令値演算装置で
あり、この演算装置5には、目標位置値Xm(目標位置
R)、クレーン台車1aの自位置検出値Xc、速度検出値
0、巻上ワイヤロープ長L及び吊り荷3の振れ角θが
入力され、台車1aの速度指令値Vが演算されて出力さ
れる。
【0012】6Aは駆動制御装置であり、速度指令値演
算装置5からの速度指令値Vと台車1aの速度検出値V
0との偏差に基づいて、巻線形のモータ1bに対し、正
転加速・減速または逆転加速・減速の駆動指令を生成し
て出力するオープンループの簡易な速度制御装置により
構成されている。なお、便宜的に台車1aの進行方向を
正転、進行方向に対して逆方向を逆転とする。
【0013】次に、図2は、振れ止め・位置決め速度指
令値演算装置5の構成を示しており、この演算装置5
は、運転残距離演算器10、振れ周期演算器20、速度
パターン発生器30、高速振れ止め加減速調整量演算器
40、高速振れ止め速度指令値演算器50、低速振れ止
め加減速調節量演算器60、低速振れ止め・位置決め速
度指令値演算器70、速度パターン切り替え演算器80
から構成されている。
【0014】以下、各構成要素の機能につき詳述する。
運転残距離演算器10は、台車1aの自位置検出値Xc
及び目標位置値Xmから運転残距離Xを算出し、また、
振れ周期演算器20は、巻上ワイヤロープ長L及び重力
加速度g(=9.8〔m/s2〕)から、吊り荷3の振れ
周期TをT=2π√(L/g)なる演算により算出す
る。
【0015】速度パターン発生器30は、クレーン運転
開始時に、自位置検出値Xc、目標位置値Xm及び振れ周
期Tから、図3に想像線で示すような基本の速度パター
ンPを決定すると共に、加速パターンにおける加速パタ
ーン速度指令値Vα(言い換えれば加速度α)及び減速
パターンにおける減速パターン速度指令値Vβ(言い換
えれば減速度β)を前記振れ周期T等を考慮して決定
し、低速振れ止め・位置決めパターンにおける目標位置
Rまでの運転残距離XLを決定する。
【0016】高速振れ止め加減速調整量演算器40は、
振れ角測定器4により検出した吊り荷3の振れ角θ、振
れ角速度θ′及び巻上げワイヤロープ長Lから、図3の
高速振れ止めパターンにおける振れ止め加減速調整量U
を算出する。高速振れ止め速度指令値演算器50は、現
在の速度指令値Vまたは現在の速度検出値V0、振れ止
め加減速調整量U及び演算周期Δtから、高速振れ止め
パターンにおける速度指令値VHを算出する。
【0017】低速振れ止め加減速調整量演算器60は、
振れ角θ、振れ角速度θ′及び巻上ワイヤロープ長Lか
ら、低速振れ止め加減速調整量Ufを算出する。なお、
この加減速調整量Ufを算出する過程については後述す
る。低速振れ止め・位置決め速度指令値演算器70は、
次に述べる速度パターン切り替え演算器80からの低速
振れ止め・位置決めパターンにおける減速度βと、低速
振れ止め加減速調整量Uf及び運転残距離Xから、図3
の低速振れ止め・位置決めパターンにおける速度指令値
rを算出する。
【0018】速度パターン切り替え演算器80は、速度
検出値V0、加速パターン速度指令値Vα、減速パター
ン速度指令値Vβ、低速振れ止め・位置決めパターンの
運転残距離XL、運転残距離X、振れ周期T、高速振れ
止めパターン速度指令値VH、低速振れ止め・位置決め
パターンの運転開始時の速度指令値VL及び低速振れ止
め・位置決めパターンの速度指令値Vrを入力とし、制
御パターンに従って台車1aの速度指令値VをVα,V
H,Vβ,Vrに順次切り替えて出力すると共に、前述し
た減速度βを演算器70に出力する。
【0019】ここで、この種のクレーン1の運転におい
て、吊り荷3の振れが発生する原因としては次のものが
考えられる。 (1)吊り荷3の地切り時において、巻上ワイヤロープ
2が垂直になっていない状態で地切ると初期振れが発生
する。 (2)吊り荷3が突風等の外乱を受けると振れが発生す
る。 (3)吊り荷3を吊る吊り具への巻上ワイヤロープ2の
掛け方は4,6,…掛けと複雑になっており、吊り荷3
の振れ方は理想的な単振り子の振り方と異なっている。 このため、吊り荷3の振れ周期は一般に理論値と一致し
ておらず、補正を加えれば理論値に近付けることは可能
であるが、誤差は残ってしまい、振れ周期で加速した場
合に前記誤差に相当する振れが発生する。
【0020】この実施形態では、上記種々の原因による
振れが発生したとしても、以下に説明する図3の速度パ
ターンに従ってクレーン1を運転することで、吊り荷3
の振れ止め及び位置決めを両立させることができる。ま
た、振れがなく位置決めが完了している状態で突風等を
受け、これによって振れが発生したとしても、振れ止め
・位置決め修正を行なうことができ、最終的に振れ止め
及び位置決めを両立させることができる。
【0021】図3は実施形態における速度パターンの一
例を示しており、この速度パターンを実現するように、
速度パターン切り替え演算器80が各速度指令値Vα
H,Vβ,Vrを所定のタイミングで切り替え、速度指
令値Vとして出力する。なお、上記速度指令値Vα,V
H,Vβ,Vrのうち、前述のごとくVα,Vβは速度パ
ターン発生器30から、VHは高速振れ止め速度指令値
演算器50から、また、Vrは低速振れ止め・位置決め
速度指令値演算器70から各々速度パターン切り替え演
算器80に入力される。
【0022】図3の速度パターンにおいて、具体的に
は、加速パターン速度指令値Vαすなわち加速度αで台
車1aの運転を開始し、所定の加速完了速度に達した時
点t1で高速振れ止めパターン速度指令値VHに切り替え
ると共に、減速パターン速度指令値Vβすなわち減速度
β及び減速距離を算出する。その後、所定の距離だけ移
動した時点t2で減速パターンに切り替え、速度指令値
Vを減速パターン速度指令値Vβとする。
【0023】そして、運転残距離Xが低速振れ止め・位
置決め運転残距離XLになった時点t3で低速振れ止め・
位置決め減速度βを算出し、かつ低速振れ止め加減速調
整量Ufを付加した低速振れ止め・位置決めパターンの
速度指令値Vrに切り替えるものである。このような速
度パターンに従って台車1aの運転を制御することによ
り、目標位置Rに到達するまでに吊り荷3の振れを消滅
させると共に、時点t4において台車1aを目標位置R
に精度よく位置決めすることができる。
【0024】次いで、図3の各パターンにおける速度指
令値Vの与え方につき詳述する。 (1)加速パターン(0〜t1) 予め算定されたパターン制御で得られる加速パターン速
度指令値Vαにより台車1aを運転し、加速完了時点で
吊り荷3の振れが発生しないように加速する。厳密に
は、加速開始時に前述の地切りによる初期振れがある場
合、加速完了時点での振れが初期振れよりも大きくなら
ないように加速する。例えば、加速時間を吊り荷3の振
れ周期Tに一致させる。
【0025】(2)高速振れ止めパターン(t1〜t2) 加速完了時点で前述の原因による残振れがある場合、ま
た、この高速振れ止めパターンによる運転中に突風等の
外乱を受けると振れが発生する。これらの振れを除去す
るために、高速振れ止め速度指令値演算器50が、数式
1または数式2によって現在の速度指令値Vまたは速度
検出値V0に高速振れ止め加減速調整量Uと演算周期Δ
tとの積を付加して高速振れ止め速度指令値VHを算出
し、この速度指令値VHにより台車1aを加減速運転す
る。
【0026】
【数1】VH=V+U・Δt
【0027】
【数2】VH=V0+U・Δt
【0028】図4〜図7は、振れ止め加減速調整量U1
〜U4を加えた場合の振れ止め効果を説明するための位
相平面図及びクレーンの状態説明図である。これらの図
において、位相平面の縦軸はθ′/ω(ω=√(g/
L))、横軸は振れ角θ、〜は振れ象限、Aは加減
速調整量Uがない場合の振れ軌跡、Bは加減速調整量U
を加えた場合の振れ軌跡、Hは各象限において加減速調
整量U1〜U4をそれぞれ加えた場合の最終的な振れ軌跡
である。
【0029】さて、各図の右側に示すように、台車1a
は図の右方向に速度Vで移動しており、吊り荷3は、図
4→図5→図6→図7に示す順序で左右に振れているも
のとする。図4は振れ第1象限において台車1aに振
れ止め用の大きな加速調整量U1(U1=+K,K:定
数)を加えた場合を示しており、矢印Hに示すごとく、
吊り荷3の振れは減少する。同様にして、図5は振れ第
4象限においてほどよい減速調整量U4〔=(−g/
2θ){θ2+(θ′/ω)2}〕を加えた場合、図6は振れ
第3象限において大きな減速調整量U3(=−K)を
加えた場合、図7は振れ第2象限においてほどよい加
速調整量U2〔=(+g/2θ){θ2+(θ′/ω)2}〕を
加えた場合をそれぞれ示している。
【0030】なお、振れ第1及び第3象限,におけ
る加減速調整量U1,U3の定数Kは、必ずしも固定値で
なくてもよく、制御にマッチングする値であればよい。
このようにして、振れ止め加減速調整量Uを付加した高
速振れ止めパターンの速度指令値VHに従って台車1a
を駆動することにより、高速領域での吊り荷3の振れ止
めを行なうことができる。
【0031】(3)減速パターン(t2〜t3) 予め算定されたパターン制御により得られる減速パター
ン速度指令値Vβにより台車1aを運転し、減速完了時
点において吊り荷3の振れが発生しないように減速す
る。例えば、減速時間を吊り荷3の振れ周期Tに合わせ
る。
【0032】(4)低速振れ止め・位置決めパターン
(t3〜t4) 減速完了時点で前述した原因による残振れがある場合、
または、この低速振れ止め・位置決めパターンによる運
転中に突風等の外乱を受けると、吊り荷3に振れが発生
する。これらの振れを除去し、また、目標位置Rに精度
よく位置決めするために、以下に説明するような速度指
令値Vrに従って台車1aを運転する。
【0033】いま、台車1aの速度をV、減速度をβ、
時間をt、運転残距離をXとすると、V=β・tであ
り、X=α・t2/2となる。この二つの式からtを消
去するとV=(2・β・X)1/2となる。この式は時間
tに関係なく、減速度βが一定のときに距離と共に速度
を小さくすることを表している。すなわち、ある速度V
で移動しているときに、目標位置までの距離に応じて速
度を制御する場合に利用し得るものである。
【0034】上記の減速度βは位置決めのための減速度
であるが、この実施形態では、この部分に振れ止めのた
めの加減速調整量Ufを付加して前記βの部分を(β−
f)に置き換えると共に、振れ止め・位置決めパター
ンの速度指令値Vrに特定の符号を付けた以下の数式に
より振れ止め・位置決め速度指令値Vr(t)を演算す
る。
【0035】
【数3】Vr(t)=Sign・(2・|±β−Uf|・
|XL|)1/2
【0036】なお、数式3において、β=VL 2/2|X
L|〔m/s2〕であり、前述の如く、VLは低速振れ止
め・位置決めパターン制御の開始速度〔m/s〕、XL
はその制御残距離〔m〕、Ufは低速振れ止め加減速調
整量である。ここで、減速度βは逐次演算しても良く、
制御状態に応じて適宜選定した値であっても良い。
【0037】更に、数式3において、速度指令値V
r〔m/s〕は、 Vr(t)>0の時:台車1aが正転(図4の台車1a
の移動)方向に移動 Vr(t)<0の時:台車1aが逆転方向に移動 するものとする。Signは+または−の符号を意味し
ており、Xm−Xc=X>0であって(正転時)、β−U
f>0の時は+(すなわちVr(t)は正)に、β−Uf
<0の時は−(すなわちVr(t)は負)に符号付けさ
れる。また、X<0であって(逆転時)、−β+Uf
0の時は+(すなわちVr(t)は正)に、−β+Uf
0の時は−(すなわちVr(t)は負)に符号付けされ
る。なお、β−Uf=0の時はVr(t)=0となる。
【0038】低速振れ止め・位置決めパターンにおける
低速振れ止め加減速調整量Ufは、図8の位相平面図に
基づいて演算される。すなわち、図においてAは現在の
位相平面上の位置、BはC点の加速度を加えた際の吊り
荷3の動き、Cは振れを止めるために必要な加速度(C
点の座標はθ軸上の線分OC=CAとして求める)であ
る。
【0039】前記Cは、C=Uf/gであるから、低速
振れ止め加減速調整量Ufは、 Uf=−g・{θ2+(θ′/ω)2}/2θ として求められる。ここで、前述のようにθは振れ角、
θ′は振れ角速度、ωは周波数=(g/L)1/2、gは
重力加速度=9.8〔m/s2〕、Lは巻上ワイヤロー
プ長〔m〕である。なお、実際の低速振れ止め・位置決
めパターン制御では、図8の第1象限及び第3象限にお
ける低速振れ止め加減速調整量Ufは位置決めに対して
非常に大きな影響を与えるため、Uf=0(すなわち、
fによる制御を行わないこと)としている。
【0040】表1及び表2はこの実施形態の低速振れ止
め・位置決めパターンにおける正転時(表1)と逆転時
(表2)の制御マトリクスを示すものであり、また、図
9及び図10は減速度β及び低速振れ止め加減速調整量
fの符号付けを示すものである。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】ここで、クレーンの正転時を示す表1から
速度指令値Vrについて考察すると、振れが第1象限
から第4象限へ切り換わる際には加速方向(振れを大
きくする方向)の速度指令値が、第4象限から第3象
限へ切り換わる際には減速方向(振れを小さくする方
向)の速度指令値が、第3象限から第2象限へ切り
換わる際には加速方向の速度指令値がそれぞれ出力され
る特性となっている。
【0044】上述のようにして振れ止め・位置決め速度
指令値演算装置5から駆動制御装置6Aに対し速度指令
値Vが出力され、駆動制御装置6Aはこの速度指令値V
と速度検出値V0との偏差に応じてモータ1bに対する
正転加速・減速または逆転加速・減速の駆動指令を出力
する。
【0045】なお、図11は巻線形モータ等の速度制御
用の抵抗器のトルク特性を示している。トルクの傾き
は、抵抗器の調整によりa1%を80%程度にするのが
一般的であり、このトルク曲線のa1%を高くし、振れ
止め及び位置決めに必要なトルク(加速度)を出力させ
るようにする。図11では、モータの回転数がNaのと
きにトルク出力がa1m%になることを示している。減速
トルクについても同様のトルク曲線を用い、回転数0の
軸との交点位置の大きさを十分にとってトルクを発生さ
せる。
【0046】次に、請求項2及び請求項3記載の発明の
実施形態を説明する。この実施形態では、図12に示す
ようにモータ1bの回転数Ncを駆動制御装置6A内に
取り込み、予め用意された複数のトルク曲線を前記回転
数Ncに応じて切り替えることにより、一つのトルク曲
線では所望のトルクが得られない場合や振れ止め・位置
決めを行う際の収束時間の短縮が必要な場合の制御を行
う。なお、図12における振れ止め・位置決め速度指令
値演算装置5の構成及び動作は、図1の実施形態と同一
である。
【0047】図13は回転数Ncに応じて選択される二
つのトルク曲線を示しており、回転数の上昇に伴って
(a)→(b)→(c)というようにトルクが切り換わ
り、振れ止め・位置決めに必要な高トルクa2%,a3
を発生させる。
【0048】次いで、請求項1及び請求項2の発明の実
施形態を巻線形モータに適用して行ったシミュレーショ
ンについて、図14及び図15を参照しつつ説明する。
まず、シミュレーションテストの条件として、目標位置
Rの手前0.1mから吊り荷3の振れが振れ角θ=0.
0349ラジアン(2度)、振れ角速度θ′=0、ワイ
ヤロープ長L=6mの状態から、振れ止め・位置決め制
御を行った。なお、シミュレーション上、以下の制約を
付加した。 加減速切り替えの遅れを、一次遅れ0.05秒とし
た。 正転逆転時の切り替えを、無駄時間0.05秒とし
た。
【0049】これにより、図14、図15のような結果
が得られた。図14は図11の回転数0の際のトルクa
1%を120%として制御した場合のもので、制御開始
から約17.3秒で収束している。また、図15は図1
3の回転数0の際のトルクa2%を120%、a3%を1
40%として制御した場合のもので、制御開始から約
7.1秒で収束している。
【0050】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、インバー
タ及びかご形モータの組合せのように高精度かつ高価な
速度制御装置を用いなくても、既設の天井クレーンに使
用されている巻線形モータと簡易な速度制御装置とによ
り所望の振れ止め・位置決め制御を行うことができる。
【0051】特に請求項1記載の発明によれば、既存シ
ステムを構成する機器の大幅な変更を行うことなく駆動
力を発生するモータの出力特性を変更するだけで振れ止
め・位置決め制御を行うことができ、高精度な駆動能力
を持つ機器に変更する必要がない。また、請求項2記載
の発明によれば、モータのトルク曲線を複数に分けるこ
とによりトルク出力の最大値を抑え、振れ止め・位置決
め制御の収束時間の短縮、及び機器の付加低減を図るこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1,3記載の発明の実施形態を示すブロ
ック図である。
【図2】振れ止め・位置決め速度指令値演算装置の構成
を示すブロック図である。
【図3】振れ止め・位置決め速度制御パターンを示す図
である。
【図4】振れ止め加減速調整量を加えた場合の振れ止め
効果を説明するための位相平面図及びクレーンの状態説
明図である。
【図5】振れ止め加減速調整量を加えた場合の振れ止め
効果を説明するための位相平面図及びクレーンの状態説
明図である。
【図6】振れ止め加減速調整量を加えた場合の振れ止め
効果を説明するための位相平面図及びクレーンの状態説
明図である。
【図7】振れ止め加減速調整量を加えた場合の振れ止め
効果を説明するための位相平面図及びクレーンの状態説
明図である。
【図8】低速振れ止め加減速調整量を演算するための位
相平面図である。
【図9】減速度の符号付けを説明するための図である。
【図10】低速振れ止め加減速調整量の符号付けを説明
するための図である。
【図11】請求項1記載の発明の実施形態において、正
転方向加速時のトルクの調整操作を示す図である。
【図12】請求項2,3記載の発明の実施形態を示すブ
ロック図である。
【図13】図12の実施形態において、複数のトルク曲
線の切り替え操作を示す図である。
【図14】請求項1,3記載の発明のシミュレーション
テストの結果を示す図である。
【図15】請求項2,3記載の発明のシミュレーション
テストの結果を示す図である。
【図16】クレーンのモデルを示す図である。
【符号の説明】
1 クレーン 1a 台車 1b モータ 2 巻上ワイヤロープ 3 吊り荷 4 振れ角測定器 5 振れ止め・位置決め速度指令値演算装置 6A,6B 駆動制御装置 10 運転残距離演算器 20 振れ周期演算器 30 速度パターン発生器 40 高速振れ止め加減速調整量演算器 50 高速振れ止め速度指令値演算器 60 低速振れ止め加減速調整量演算器 70 低速振れ止め・位置決め速度指令値演算器 80 速度パターン切り替え演算器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 新村 和隆 東京都日野市富士町1番地 富士ファコム システム株式会社内 (72)発明者 鈴木 正 東京都港区港南4丁目1番8号 富士電機 テクノエンジニアリング株式会社内 (72)発明者 入江 康文 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目 川鉄マシ ナリー株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クレーン台車の自位置検出値、速度検出
    値、クレーン台車から巻下がった巻上ワイヤロープの振
    れ角、振れ角速度及び巻上ワイヤロープ長に基づき、出
    発位置から目標位置に至るまでの各種速度パターンに応
    じた複数の速度指令値を速度指令値演算装置により演算
    し、これらの速度指令値を駆動制御装置に与えてクレー
    ン台車駆動用のモータに対する駆動指令を出力するクレ
    ーンの振れ止め・位置決め制御方法であって、 前記速度指令値演算装置が、 巻上ワイヤロープの振れ角と振れ角速度と巻上ワイヤロ
    ープ長とに基づいて高速振れ止め加減速調整量及び低速
    振れ止め加減速調整量を各々演算する演算器と、 前記高速振れ止め加減速調整量と現在の速度指令値また
    は速度検出値と演算周期とに基づいて高速振れ止めパタ
    ーンにおける速度指令値を演算する高速振れ止め速度指
    令値演算器と、 低速振れ止め・位置決めパターン制御の開始速度及び運
    転残距離から算出した減速度と前記低速振れ止め加減速
    調整量とクレーン台車の運転残距離とに基づいて低速振
    れ止め・位置決めパターンにおける速度指令値を演算す
    る低速振れ止め・位置決め速度指令値演算器と、 を備えてなるクレーンの振れ止め・位置決め制御方法に
    おいて、 前記駆動制御装置は、前記速度指令値演算装置から出力
    される速度指令値と速度検出値との偏差に基づいて、前
    記モータを正転加速・減速または逆転加速・減速させる
    駆動指令を出力することを特徴とするクレーンの振れ止
    め・位置決め制御方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のクレーンの振れ止め・位
    置決め制御方法において、 前記駆動制御装置は、モータの回転数に応じてモータの
    出力トルクを変化させるような駆動指令を出力すること
    を特徴とするクレーンの振れ止め・位置決め制御方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載のクレーンの振れ
    止め・位置決め制御方法において、 前記モータが巻線形モータであることを特徴とするクレ
    ーンの振れ止め・位置決め制御方法。
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