JP3776304B2 - ケーブル部を有するフレキシブルプリント基板 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フレキシブルプリント基板およびその製造方法に係り、とくに高密度配線のために電子部品を立体的に実装するフレキシブルプリント基板に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子部品を実装して機器に搭載されるプリント基板は、機器のコンパクト化のために高密度配線が要求され、部品を立体的に実装する必要が生じている。
【0003】
図5は、この立体的に部品を実装したプリント基板の構成例を示したもので、L字型に展開する平面部と、この平面部の内側辺の延長上にあり上方から見た形状がL字型になるように設けられた垂直部とにおける、ハッチングを施した部分が部品実装部10である。
【0004】
そのためには、従来、たとえば図6(a)もしくは(b)に示すように、ハッチングを付して示した厚みのある3つの部品実装部10を、それよりも厚みが少なく可撓性に富むケーブル部20で接続することが行なわれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このうち図6(a)の場合は、平面形状がL字型の親部品搭載部に対してそれよりも小面積の2つの子部品実装部をケーブル部により接続したものである。この場合、図示左側の子部品搭載部は折り曲げ前の状態で部品搭載部の裏側面に部品を搭載する必要があり、部品取り付けの作業性が問題であり、またL字型部品搭載部に接続するケーブル部は、2箇所で折り曲げられ、この折り曲げ部が重なる。
【0006】
一方、図6(b)の場合は、平面形状がL字型の親部品搭載部から子部品搭載部にケーブル部によって接続し、さらに子部品搭載部から孫部品搭載部に対してケーブル部で接続するようにしている。この場合は、子部品搭載部から孫部品搭載部への接続を行なうケーブル部の大きさに制約があり、多数の配線を行なえない。
【0007】
この他に、本願出願人によるものとして、複数の部品実装部間を折り曲げ可能なケーブル部で接続するようにして、ケーブル部を立体的に折り曲げて配置することが提案されている(特願平11-284240号)。
【0008】
この方法は有効な方法であるが、複雑な立体配線を実現するためには多方向へのケーブルの配置が必要となり、そのために基板製造時の製品寸法が大きくなる問題がある。
本発明は上述の点を考慮してなされたもので、ケーブル部を用いて複雑な立体配線を実現するフレキシブルプリント基板を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的達成のため、本発明では、
ケーブル部を構成するように各面にパターンが形成され、かつこのパターン側部を貫通する打ち抜き穴が形成され、前記パターン同士が互いに異なる方向に向かうように立体的に重なり合う部分を有する両面銅張積層板として構成された少なくとも2層の内層材料と、
これら内層材料の各々における両面に積層された少なくとも4枚のカバーフィルムと、
前記内層材料の前記パターンに相当する部分が打ち抜かれており、前記カバーフィルムの各々における前記内層材料と反対側の面に配される少なくとも2層の層間結合剤と、
それぞれ前記層間結合剤を介して前記内層材料および前記カバーフィルムとともに積層された少なくとも2層の外層材料と、
をそなえ、積層された前記内層材料、カバーフィルム、層間結合剤および外層材料の外周部分を打ち抜くことにより構成される、ケーブル部を有するフレキシブルプリント基板、
を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明におけるケーブルを有するフレキシブルプリント基板の平面図と、そのケーブルを引き起こして部品実装部を立体配置した状態を示す斜視図とを含んでいる。
【0011】
図1においては、平面形状がL字型の親部品搭載部およびこの親部品搭載部に接続された2つの部品搭載部をともに符号10で示しており、親部品搭載部10と2つの子部品搭載部10との間を交差して配置された2つのケーブル部20によって接続することとしている。そして、2つのケーブル部20は互いに剥離可能に構成されているから、各ケーブル部20を親部品搭載部10との境界線で90度引き起こすことにより、ケーブル部20およびケーブル部20に接続されている2つの子部品搭載部10は、親部品搭載部10に対して垂直の向きに配され、かつ子部品搭載部10同士も互いに直角関係になる。
【0012】
図2(a)は、部品搭載部10が2対ある場合に、対をなす部品搭載部10同士の接続を互いに直角に交差する1対のケーブル部20によって行なうものである。また、図2(b)は、親部品搭載部10と2つの子部品搭載部10との間を湾曲しており親部品搭載部の近傍で重なり合う各別のケーブル部20によって接続したものである。何れにしても、ケーブル部20同士は、互いに異なる方向に向かうものであり、部品搭載部10相互間のケーブル部20が配置される空間において、楕円で囲んで示すように互いに立体的に重なり合う部分を有する。
【0013】
図3は、プリント基板の断面構成を示したもので、図2(a)に示したような両側に部品搭載部10があり、これら両者間がケーブル部20により接続されており、かつこのケーブル部20と交錯するように配されたもう一つのケーブル部20が配された構成における、断面構成を示したものである。
【0014】
この構成は、概略としては2つの外層材料の間に2つの内層材料が配され、これら各層材料は層間結合剤、たとえば層間接着剤あるいはプリプレグにより結合され、かつ図示上側の内層材料によって形成されたケーブル部により部品搭載部同士が接続されているものである。そして、このケーブル部の図示下方にやや離れて、紙面に直角方向に延びるもう一つのケーブル部が形成されている。
【0015】
外層材料は、図示最上部のもの11aと最下部のもの11bとがある。そして、これら外層材料11a,11b間に、層間結合剤12a,12b,12cを介挿して2つの内層材料が配されている。図示上側の内層材料は、内層パターン13a,絶縁層14a、内層パターン13bにより構成され、図示下側の内層材料は、内層パターン13c、絶縁層14b、内層パターン13dにより構成されている。
【0016】
そして、ケーブル部20は、内層パターン13a、絶縁層14a、内層パターン13bによって構成され、もう一つの直交方向のケーブル部は、同様の構成を有するもので、内層パターン23、絶縁層24、内層パターン23により構成されている。
【0017】
図4は、図3に示したプリント基板の構成を分解して示したものである。ここでは6層構成の例を示しており、最上層に外層材料11aがあり、図示下方に向かって、層間結合剤12a、内層材料13a,14a,13b、層間結合剤12b、内層材料13c,14b,13d、層間結合剤12c、外層材料11bの順に積層されている。
【0018】
そして、外層材料11aおよび11bは片面銅張積層板であり、また内層材料13a,14a,13bおよび13c,14b,13は両面銅張積層板で、しかも両面にポリイミド製のカバーフィルムがケーブル部側面を打ち抜き加工されてラミネートされている。これら各層材料が、層間結合剤により結合されて積層構造をなしている。
【0019】
各内層材料は、ケーブル部の側面が打ち抜き加工されており、また外層材料11a,11bおよび層間結合剤12a,12b,12cは、ケーブル部全面が打ち抜き加工されている。したがって、ケーブル部の上下には何も存在せず、ケーブル部のみがある。
【0020】
工程としては、これら各層材料を製作し、次いで層間結合剤を介挿して積層し、その後に不要部分を打ち抜き加工することにより、部品搭載部とケーブル部とからなるプリント基板が構成される。
【0021】
つまり、図4には示していないが、打ち抜きによりケーブル部の両端に繋がる部品搭載部の周囲を取り除けば、図1とか図2に示すような部品搭載部およびケーブル部だけが残る状態となる。
【0022】
この後、通常のプリント基板と同様に、穴加工、スルーホールメッキ、外層パターン形成を施し、外形加工することによって交差個所を持ったケーブル部のあるプリント基板が得られる。
【0023】
各内層材料は、ラミネートされたカバーフィルムにより必要な範囲が他の積層材料と分離可能な状態にあり、後にケーブル部として利用されるときは、それぞれ独立したケーブルとなる。
【0024】
【発明の効果】
本発明は上述のように、ケーブル部を構成するように各面にパターンが形成され、かつパターン側部に打ち抜き穴が形成された内層材料を、カバーフィルムを介して立体的に重ね合わせて積層したため、立体的に重なり合ったケーブル部を有するフレキシブルプリント基板を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の構成を示す説明図。
【図2】本発明の他の実施例を示す説明図。
【図3】本発明の一実施例の断面構造を示す図。
【図4】図3に示した断面構造の分解説明図。
【図5】従来の立体的に部品を配置するプリント基板の説明図。
【図6】従来のケーブルで接続する形式のプリント基板の説明図。
【符号の説明】
10 部品搭載部
11 外層材料
12 層間結合剤
13 内層パターン
14 絶縁層
20 ケーブル部

Claims (1)

  1. ケーブル部を構成するように各面にパターンが形成され、かつこのパターン側部を貫通する打ち抜き穴が形成され、前記パターン同士が互いに異なる方向に向かうように立体的に重なり合う部分を有する両面銅張積層板として構成された少なくとも2層の内層材料と、
    これら内層材料の各々における両面に積層された少なくとも4枚のカバーフィルムと、
    前記内層材料の前記パターンに相当する部分が打ち抜かれており、前記カバーフィルムの各々における前記内層材料と反対側の面に配される少なくとも2層の層間結合剤と、
    それぞれ前記層間結合剤を介して前記内層材料および前記カバーフィルムとともに積層された少なくとも2層の外層材料と、
    をそなえ、積層された前記内層材料、カバーフィルム、層間結合剤および外層材料の外周部分を打ち抜くことにより構成される、ケーブル部を有するフレキシブルプリント基板。
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