JP3775870B2 - 反応染料混合物及びこれを用いたセルロース繊維の染色法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本願発明は、反応染料混合物に関するもので、詳しくは洗浄性、湿潤堅牢度が良好で、経済的な反応染料混合物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
反応染料は、色相が鮮明なことや、諸堅牢度に優れていることから広く利用されている。またその混合物も数多く製造、販売されている。
しかし、近年、染色工場の自動化、環境問題、国際競争力の強化等の点から染料開発に対する要望は年々強まっている。
具体的には、染料混合物の均染性、洗浄性、高濃度液状品の調整が可能なこと、また経済的であること等が要望されている。中でも反応染料混合物の黄色成分として洗浄性、ビルドアップ性が良好で安価な染料が要望されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本願発明は、上記要望に答えるべく、洗浄性、ビルドアップ性等が良好で、経済性に優れた反応染料混合物を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本願第1の発明では、遊離酸の形で下記一般式(式A)のモノアゾ染料5〜40重量%と、他の一種以上の反応性染料として遊離酸の形で下記一般式(式B)のジスアゾ染料60〜95重量%からなる反応染料混合物60〜95重量%と、遊離酸の形で下記構造式(式C)のモノアゾ染料及び下記構造式(式E)のモノアゾ染料の一種又は二種の反応性染料5〜40重量%を含有したものである。(式A)中、Xはビニル基、又は−C2H4OSO3H基を表す。(式B)中、R1、R1 ' はそれぞれ独立的に水素又はメトキシ基を表し、R2、R2 ' はそれぞれ独立的に水素又は−SO 2 X基(Xはビニル基、又は−C 2 H 4 OSO 3 H基を表す)を表し、R3、R3 ' はそれぞれ独立的に水素、メチル基、メトキシ基又は−SO 2 X基(Xはビニル基、又は−C 2 H 4 OSO 3 H基を表す)を表す。ただし、R2とR3、R2 ' とR3 ' が同時に−SO 2 X基を表すことはなく、またR2とR3、R2 ' とR3 ' のいずれか一方は必ず−SO 2 X基を表すものである反応染料混合物を提供する。
【0005】
【化4】
【0006】
【化5】
【0007】
【化16】
【0008】
【化17】
【0009】
本願第2の発明では、上記本願第 1 の発明にあって、他の一種以上の反応性染料が遊離酸の形で上記構造式(式E)のモノアゾ染料であることを特徴とする請求項1に記載の反応染料混合物を提供する。
本願第3の発明では、上記本願第 1 又は第 2 の発明にあって、上記一般式(式A)のモノアゾ染料15〜30重量%と、上記一般式(式B)のジスアゾ染料70〜85重量%からなる反応染料混合物を使用することを特徴とする反応染料混合物を提供する。
本願第4の発明では、上記本願第1乃至第3の何れかの発明にあって、上記一般式(式B)が下記構造式(式B−1)である反応染料混合物を提供する。
【0010】
【化6】
【0011】
本願発明の第5のものは、上記第1乃至第4の何れかの発明の反応染料混合物を用いて染色することを特徴とする反応染料混合物を用いたセルロース繊維の染色法である。
【0012】
以下、更に本願発明を詳細に説明する。
上記一般式(式A)で示される反応染料は、黄色であり、洗浄性、ビルドアップ性等良好であり、安価に製造できる。この特性を活用し、反応染料混合物中に2〜40重量%、好ましくは15〜30重量%の割合で、上記一般式(式A)の反応染料を含有させることにより、洗浄性が改善され、経済的にメリットのある反応染料混合物が得られる。
【0013】
また、上記一般式(式B)で示されるジスアゾ染料は黒色系の反応染料として公知であり、この染料を使用した反応染料混合物も数多く製造されているが、この上記一般式(式B)で示される反応染料60〜95重量%、好ましくは70〜85重量%と、上記一般式(式A)で示される反応染料5〜40重量%、好ましくは15〜30重量%からなる反応染料混合物は、洗浄性が良好で、経済的な効果を有する。
尚、この反応染料混合物に色相調整用として更に他の反応染料を含有させうることもできる。
【0014】
また更に上記一般式(式A)及び(式B)からなる前記記載の反応染料混合物を60〜95重量%、好ましくは70〜90重量%用いて他の1種以上の反応染料5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%と配合することにより、洗浄性が良好で、経済的にメリットのある反応染料混合物が得られる。
また上記一般式(式B)中、置換基によって数多くの染料構造が例示されるが、経済性の面から遊離酸の形で下記一般式(式B−1)が好ましい。
【0015】
【化7】
【0016】
尚、本願発明における上記一般式(式A)及び(式B)の反応染料は、公知の方法に従って製造することができる。
具体例としては、上記一般式(式A)は特公昭47−44326号公報の記載に準じて、上記一般式(式B)は、C. I. リアクティブ ブラック5の製造法に準じて製造することができる。
本願発明における上記一般式(式A)及び(式B)の反応性基−SO2 Xは、−SO2 CH=CH2 基または−SO2 C2 H4 OSO3 H基であるが、好ましくは−SO2 C2 H4 OSO3 H基である。
【0017】
本願発明における染料組成物を構成する各反応染料は、いずれも遊離酸又はその塩の形で存在するが、通常その塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩及びカルシウム塩などのアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩が好ましい。
本願発明における反応染料混合物は、無機塩、分散剤、PH緩衝剤、粉塵飛散防止剤その他染色助剤を配合して製品化してもよい。また必要に応じて濾過、脱塩処理、可溶化剤の添加等を行うことにより高濃度液状品とすることもできる。
【0018】
本願発明の染色法の対象となる繊維材料としてのセルロース繊維は、通常、木綿、レーヨン、麻等である。これらの繊維は、ポリエステル、トリアセテート、ジアセテートや、更に羊毛、絹等との混合繊維の形をとってもよい。
本願発明の反応染料混合物を用いてセルロース繊維を吸尽染色をするには、例えば炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ、及び例えば芒硝、食塩等の無機塩の存在下で染色する。この際、アルカリ使用量は、通常染浴1リットル当たり10〜30gである。また無機塩の使用量は、染浴1リットル当たり30〜100g程度が適当である。また染色温度は、40〜80°C、好ましくは50から60°Cである。染色後、染色物はソーピング及び水洗後乾燥する。
【0019】
以下、本願発明を実施例により更に詳説するが、本願発明の主旨を越えない限り、これらの実施例に限定されるものではない。
【0020】
【実施例】
〔実施例1〕下記構造式(式A−1)で示されるモノアゾ染料40重量部と下記構造式(式C−1)で示されるモノアゾ染料60重量部からなる反応染料混合物0.2gを水150mlに溶解し、これに芒硝10gと水を添加し、全量を200mlとする。
【0021】
【化8】
【0022】
【化9】
【0023】
次いで、未シルケット綿布10gを投入し、30°Cで30分間攪拌後、炭酸ナトリウム4gを添加し、60°Cに昇温する。昇温後、この温度で60分間吸尽染色を行った。次いで、被染物を常法により洗浄し、乾燥する。得られた染色布は、洗浄性が良好で、オレンジ色の色相を有していた。
【0024】
〔比較例1〕
実施例1のモノアゾ染料(式A−1)を下記構造式(式D)に変更し、実施例1の方法で吸尽染色を行った。得られた染色布は実施例1と比較して、やや洗浄性が悪く、また使用染料(式D)は、製造上モノアゾ染料と比較して高価であった。
【0025】
【化10】
【0026】
〔実施例2〜4〕
実施例1の方法において、染料混合物の配合割合を表1に記載のように変更して、吸尽染色を行った。得られた各染色布は、実施例1と同様、洗浄性が良好で、オレンジ色の色相を有していた。
【0027】
【表1】
【0028】
〔実施例5〕
上記構造式(式A−1)で示されるモノアゾ染料25重量部と下記構造式(式B−2)で示されるジスアゾ染料75重量部からなる反応性染料混合物0.6gを水150mlに溶解する。これに芒硝16gと水を添加し、全量を200mlとする。次いで、未シルケット綿布10gを投入し、30°Cで30分間攪拌後、炭酸ナトリウム4gを添加し、60°Cに昇温する。昇温後、この温度で60分間吸尽染色を行った。次いで、被染物を常法により洗浄し、乾燥する。得られた染色布は洗浄性が良好で、緑味黒色の色相を有していた。
【0029】
【化11】
【0030】
〔実施例6〕実施例5で使用した染料混合物80重量部と、下記構造式(式E−1)で示されるモノアゾ染料20重量部からなる反応染料混合物0.6gを水150mlに溶解する。これに芒硝16gと水を添加し、全量200mlとする。次いで、未シルケット綿布10gを投入し、30分間攪拌後、炭酸ナトリウム4gを添加し、60°Cに昇温する。昇温後、この温度で60分間吸尽染色を行った。次いで被染物を常法により洗浄し、乾燥する。得られた染色布は、洗浄性が良好で、黒色の色相を有していた。
【0031】
【化12】
【0032】
【発明の効果】
本願発明によれば、洗浄性が良好で、安価な黄色反応染料を含有させることにより、経済的な反応染料混合物が得られるのである。
以上、本願発明においては、洗浄性、ビルトアップ性等が良好で、経済性に優れた反応染料混合物を提供でき、またこれを用いたセルロース繊維の染色法を提供することができた。
Claims (5)
- 遊離酸の形で下記一般式(式A)のモノアゾ染料5〜40重量%と、遊離酸の形で下記一般式(式B)のジスアゾ染料60〜95重量%からなる反応染料混合物60〜95重量%と、他の一種以上の反応性染料として遊離酸の形で下記構造式(式C)のモノアゾ染料及び下記構造式(式E)のモノアゾ染料の一種又は二種の反応性染料5〜40重量%を含有し、(式A)中、Xはビニル基、又は−C2H4OSO3H基を表し、(式B)中、R1、R1 ' はそれぞれ独立的に水素又はメトキシ基を表し、R2、R2 ' はそれぞれ独立的に水素又は−SO 2 X基(Xはビニル基、又は−C 2 H 4 OSO 3 H基を表す)を表し、R3、R3 ' はそれぞれ独立的に水素、メチル基、メトキシ基又は−SO 2 X基(Xはビニル基、又は−C 2 H 4 OSO 3 H基を表す)を表し、ただし、R2とR3、R2 ' とR3 ' が同時に−SO 2 X基を表すことはなく、またR2とR3、R2 ' とR3 ' のいずれか一方は必ず−SO 2 X基を表すことを特徴とする反応染料混合物。
- 他の一種以上の反応性染料が遊離酸の形で上記構造式(式E)のモノアゾ染料であることを特徴とする請求項1に記載の反応染料混合物。
- 上記一般式(式A)のモノアゾ染料15〜30重量%と、上記一般式(式B)のジスアゾ染料70〜85重量%からなる反応染料混合物を使用することを特徴とする請求項1又は2に記載の反応染料混合物。
- 請求項1乃至4の何れかに記載の反応染料混合物を用いて染色することを特徴とする反応染料混合物を用いたセルロース繊維の染色法。
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