JP3775836B2 - 3−ハロゲン化セフェム誘導体の製造法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、3−ハロゲン化セフェム誘導体の製造法に関する。
本発明の3−ハロゲン化セフェム誘導体は、主に経口投与される公知のセフェム系抗生物質の製造中間体として有用であり、例えば後記参考例1に従ってセファクロールに変換される(特開昭61−39313号公報)。
【0002】
【従来の技術】
一般式(2)で表される3−ハロゲン化セフェム誘導体の一般的な製造法としては、例えば、一般式(3)で表される3−ヒドロキシセフェム化合物の水酸基をトリフルオロメシルオキシ基に変換した後ハロゲン化リチウムを反応させる方法〔J.Org.Chem.,54,4962(1989)〕、ジメチルホルムアミド中にて3−ヒドロキシセフェム化合物に反応性クロロ化合物又は反応性ブロモ化合物(三塩化リン、オキシ塩化リン、チオニルブロマイド等)を反応させる方法(特開昭49−116095号公報)等を挙げることができる。しかしながら、これらの方法は、出発原料として用いられる3−ヒドロキシセフェム化合物そのものが製造困難であり、工業的に有利な製造法とは言えない。
【0003】
【化3】
[式中R1、R2及びR3は前記に同じ。]
【0004】
更に、一般式(2)で表されるアレニルβ−ラクタム化合物にアルカリ金属又はアルカリ土類金属のハロゲン塩を反応させることにより、該アレニルβ−ラクタム化合物を閉環させ、3−ハロゲン化セフェム化合物を製造する方法も知られている(特開平4−282387号公報)。この方法は、原料化合物が製造容易なアレニルβ−ラクタム化合物であるという利点を有するが、閉環時に求核性の高いスルフィネートイオンが脱離して再結合するため、3−スルホニルセフェム化合物の副生が避けられず目的の3−ハロゲン化セフェム誘導体の収率は70%程度にとどまっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、製造困難な出発原料を用いることなく、安全且つ簡便な操作で、高収率、高純度で目的とする3−ハロゲン化セフェム誘導体を製造する方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は2価の銅塩の存在下、一般式(1)で表されるアレニルβ−ラクタム化合物に式
M(X)m 又は (R 6 )(R 7 )(R 8 )(R 9 )NX(式中、mは1〜3の整数、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム又はトリアルキルシリル基、R 6 〜R 9 は同一又は異なって水素原子、アルキル基、アリール基又はアラルキル基、Xはハロゲン原子を示す。)を反応させることを特徴とする、一般式(2)で表される3−ハロゲン化セフェム誘導体の製造法に係る。
【0007】
【化4】
[式中R1は水素原子、アミノ基又は保護されたアミノ基を示す。R2は水素原子、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、低級アシル基、低級アルキル基、置換基として水酸基及び保護された水酸基から選ばれる少なくとも1種を有する低級アルキル基、水酸基又は保護された水酸基を示す。R3は水素原子又はカルボン酸保護基を示す。R4は置換基を有してもよい芳香族化合物残基又は含窒素芳香族複素環化合物残基を示す。nは0〜2の整数を示す。]
【0008】
【化5】
[式中R1、R2及びR3は前記に同じ。Xはハロゲン原子を示す。]
【0009】
本発明者は、3−ハロゲン化セフェム誘導体の汎用的な製造法についての研究過程で、前述の特開平4−282387号公報に記載の公知技術に注目し、スルフィネートイオンを求核性の低い基に変換することにより、副生物の生成を抑制し得るであろうとの想定のもとに更に研究を続け、その結果、閉環反応と共に特定の酸化反応を実施することにより、スルフィネートイオンを酸化して求核性の低いスルホン酸基に変換することができ、目的とする3−ハロゲン化セフェム誘導体を高収率で製造できることを見い出した。
即ち種々の酸化反応について鋭意検討を重ねた結果、1価もしくは2価の銅塩による酸化反応を行うと同時にハロゲン化試剤を作用させることにより、目的とする3−ハロゲン化セフェム誘導体が定量的に得られるという、全く新しい事実を見い出した。
【0010】
【発明の実施の形態】
本明細書において示される各基は、より具体的には次の通りである。ハロゲン原子とは、例えば、フッ素、塩素、臭素、沃素等の原子を例示できる。低級アルキル基とは、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等の直鎖又は分岐状の炭素数1〜4のアルキル基を例示できる。アリール基とは、フェニル、ナフチル等を例示できる。
【0011】
R1で示される保護されたアミノ基としては、プロテクティブグループインオーガニックシンセシス(Protective Groups in Organic S ynthesis,Teodora W.Greene著、1981年、以下単に「文献」という)の第7章(第218〜287頁)に記載されている各種の基のほか、フェノキシアセトアミド、p−メチルフェノキシアセトアミド、p−メトキシフェノキシアセトアミド、p−クロロフェノキシアセトアミド、p−ブロモフェノキシアセトアミド、フェニルアセトアミド、p−メチルフェニルアセトアミド、p−メトキシフェニルアセトアミド、p−クロロフェニルアセトアミド、p−ブロモフェニルアセトアミド、フェニルモノクロロアセトアミド、フェニルジクロロアセトアミド、フェニルヒドロキシアセトアミド、チエニルアセトアミド、フェニルアセトキシアセトアミド、α−オキソフェニルアセトアミド、ベンズアミド、p−メチルベンズアミド、p−メトキシベンズアミド、p−クロロベンズアミド、p−ブロモベンズアミド、フェニルグリシルアミド、アミノ基の保護されたフェニルグリシルアミド、p−ヒドロキシフェニルグリシルアミド、アミノ基及び水酸基の一方又は両方が保護されたp−ヒドロキシフェニルグリシルアミド等のアミド類、フタルイミド、ニトロフタルイミド等のイミド類を例示できる。フェニルグリシルアミド及びp−ヒドロキシフェニルグリシルアミドのアミノ基の保護基としては、上記文献の第7章(第218〜287頁)に記載されている各種基を例示できる。また、p−ヒドロキシフェニルグリシルアミドの水酸基の保護基としては、上記文献の第2章(第10〜72頁)に記載されている各種基を例示できる。更に、一般式(5)で表される基も例示できる。
【0012】
【化6】
[式中、Ri及びRjは同一又は異なって、それぞれ水素原子、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基又は複素環式炭化水素基を示し、或いはRiとRjは互いに結合して環状基を形成してもよい。]
【0013】
R2で示される低級アルコキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ等の直鎖又は分枝状の炭素数1〜4のアルコキシ基を例示できる。
R2で示される低級アシル基としては、例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル等の直鎖又は分枝状の炭素数1〜4のアシル基を例示できる。
R2で示される置換基として水酸基及び保護された水酸基から選ばれる少なくとも1種を有する低級アルキル基の保護された水酸基、及びR2で示される保護された水酸基の保護基としては、上記文献の第2章(第10〜72頁)に記載されている基を例示できる。R2で示される上記置換低級アルキル基には、水酸基又は上記で示される保護された水酸基がそれぞれ1又は2個以上同一又は異なる炭素原子上に置換してもよい。
R3で示されるカルボン酸の保護基としては、上記文献の第5章(第152〜192頁)に示されている各種基の他、アリール基、ベンジル基、p−メトキシベンジル基、p−ニトロベンジル基、ジフェニルメチル基、トリクロロメチル基、tert−ブチル基等を例示できる。
【0014】
R4で示される置換基を有することのある芳香族化合物残基又は含窒素芳香族化合物残基としては、フェニル基、ナフチル基、ベンゾチアゾール基、トリアゾール基、チアゾール基、テトラゾール基等を例示できる。これらの基に置換してもよい置換基の種類としては、例えばハロゲン原子(例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等)、C1〜C4の直鎖もしくは分枝鎖状アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基等)、C1〜C4の直鎖もしくは分枝鎖状アルキルチオ基(例えばメチルチオ基、エチルチオ基等)、C1〜C4の直鎖もしくは分岐鎖状アルキルスルホニルオキシ基(例えばメタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基等)、置換基を有してもよい芳香族スルホニルオキシ基(例えばベンゼンスルホニルオキシ基、トルエンスルホニルオキシ基等)、C1〜C4の直鎖もしくは分枝鎖状アルキル基(例えばメチル基、エチル基等)、アミノ基、置換基としてC1〜C4の直鎖もしくは分枝鎖状アルキル基を1個又は2個有するアミノ基(例えばメチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基等)、水酸基、R'COO−(R'はフェニル基、トリル基又はC1〜C4の直鎖もしくは分枝鎖状アルキル基)で表されるアシルオキシ基(例えばフェニルカルボニルオキシ基、アセチルオキシ基等)、R'CO−(R'は前記に同じ)で表されるアシル基(例えばフェニルカルボニル基、アセチル基等)、ニトロ基、シアノ基、フェニル基等を例示できる。これらの置換基は例えばフェニル基である場合は1〜5個、特に1〜3個、ナフチル基である場合は1〜7個、特に1〜3個、同一又は異なる種類で置換されていてもよい。
Xで示されるハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を例示できるが、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が特に好ましい。
本発明において出発原料として使用する一般式(1)で表されるアレニルβ−ラクタム化合物は、例えば、特開平4−282359号公報に記載の方法に従い、一般式(4)で表されるβ−ラクタム化合物を溶媒中にて塩基と反応させることにより製造することができる。
【0015】
[式中R1、R2、R3、R4及びnは前記に同じ。R5は置換基を有しても良い低級アルキル基又は置換基を有しても良いアリール基を示す。]
【0016】
この反応に用いられる溶媒としては、反応に影響を与えないものであれば特に制限はないが、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール類、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等の低級カルボン酸の低級アルキルエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン等のケトン類、ジエチルエーテル、エチルプロピルエーテル、エチルブチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、メチルセロシルブ、ジメトキシエタン等のエーテル類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン等の環状エーテル類、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、バレロニトリル等のニトリル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、アニソール等の置換もしくは非置換の芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、トリクロロエタン、ジブロモエタン、プロピレンジクロライド、四塩化炭素、フロン類等のハロゲン化炭化水素類、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素類、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等のシクロアルカン類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等を挙げることができる。これらの溶媒は1種を単独で又は2種以上混合して使用される。また溶媒は必要に応じて水を含んでいてもよい。溶媒は、一般式(4)のβ−ラクタム化合物1kgに対し、通常10〜200リットル程度、好ましくは20〜100リットル程度使用するのがよい。
【0017】
塩基としては公知のものが使用でき、例えば、トリメチルアミン、ジメチルエチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等のN,N,N−トリ低級アルキルアミン類、N−メチルピペリジン、N−エチルピペリジン等のN−低級アルキルアザシクロアルカン類、N−ベンジル−N,N−ジメチルアミン、N−ベンジル−N,N−ジエチルアミン等のN−フェニル低級アルキル−N,N−ジ低級アルキルアミン類、N,N−ジメチルアニリン等のN,N−ジアルキル芳香族アミン、ピリジン等の含窒素芳香族アミン、ジアザビシクロウンデセン、ジアザビシクロノネン等の二環式アミン、これらの混合物等を挙げることができる。塩基の使用量は、一般式(4)のβ−ラクタム化合物に対して通常1〜10当量程度でよいが、必要ならば更に一般式(4)のβ−ラクタム化合物がなくなるまで塩基を追加してもよい。
本反応は、通常−78〜+60℃程度、好ましくは−40〜+30℃程度の温度下に行われる。
このようにして得られる一般式(1)のアレニルβ−ラクタム化合物は通常の精製方法によって単離することができる。尚、該アレニルβ−ラクタム化合物を含む反応混合物をそのまま次の反応に用いることもできる。
【0018】
本発明では、1価又は2価の銅塩の存在下、一般式(1)のアレニルβ−ラクタム化合物にハロゲン化試剤を反応させることにより、該アレニルβ−ラクタム化合物のアレニル部分の所定位置にハロゲンが置換すると共に閉環が起こり、その際に脱離したスルフィネートイオンは触媒である銅塩により酸化されてスルホン酸基に変換され、スルフィネートイオンの再結合が防止される。
使用する1価及び2価の銅塩としては特に制限はないが、例えば、塩化銅(I)、塩化銅(II)、臭化銅(I)、臭化銅(II)、ヨウ化銅(I)、ヨウ化銅(II)、フッ化銅(I)、フッ化銅(II)等のハロゲン化銅、硫酸銅(II)、硝酸銅(II)、過塩素酸銅(II)等の銅強酸塩、酸化銅(I)、酸化銅(II)等の銅酸化物、銅アセチルアセトナート等の有機金属銅錯体等を挙げることができる。1価の銅塩としてはハロゲン化銅が好ましく、2価の銅としては、ハロゲン化銅、銅強酸塩等が好ましい。これら銅塩の中でも、塩化銅(I)、塩化銅(II)、硫酸銅(II)及び過塩素酸銅(II)が特に好ましい。銅塩は無水物であっても結晶水を含んでいてもよい。銅塩は1種を単独で用いてもよく又は2種以上を併用してもよい。銅塩の使用量は特に制限されず、その種類、一般式(1)のアレニルβ−ラクタム化合物の使用量、併用するハロゲン化試剤、種々の反応条件等に応じて広い範囲から適宜選択できるが、一般式(1)のアレニルβ−ラクタム化合物に対し通常0.005当量〜10当量程度、好ましくは0.05当量〜2当量程度とすればよい。
【0019】
またハロゲン化試剤としては公知のものが使用でき、例えば、金属ハロゲン化物、第4級アンモニウムハライド等を挙げることができる。金属ハロゲン化合物の具体例としては、例えば、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム等のハロゲン化アルミニウム、トリメチルシリルクロライド等のシリルハライド誘導体、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム等のアルカリ金属のハロゲン塩、塩化カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム、塩化バリウム、臭化バリウム、ヨウ化バリウム、塩化ストロンチウム、臭化ストロンチウム、ヨウ化ストロンチウム等のアルカリ土類金属のハロゲン塩、塩化セリウム等の希土類元素のハロゲン化塩等、その他の種々の金属のハロゲン塩等を挙げることができる。第4級アンモニウムハライドの具体例としては、例えば、塩化アンモニウム、トリエチルアミン塩酸塩、テトラ−n−ブチルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムブロマイド、テトラベンジルアンモニウムクロライド等を挙げることができる。
【0020】
これらハロゲン化試剤の好適なものは下記式 M(X)m 又は (R6)(R7)(R8)(R9)NX(式中、mは1〜3の整数、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム又はトリアルキルシリル基、R6〜R9は同一又は異なって水素原子、アルキル基、アリール基又はアラルキル基を示す。)で表される。m=1のときはMはリチウム、ナトリウム等のアルカリ金属又はトリメチルシリル等のトリアルキルシリル基、m=2のときはマグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属、m=3のときはアルミニウム等を示す。R6〜R9のアルキル基としては前記炭素数1〜4のアルキル基、アリール基としてはフェニル基、ナフチル基等、アラルキル基としてはベンジル基、フェネチル基等を例示できる。ハロゲン化試剤は、1種を単独で使用でき又は2種以上を併用できる。ハロゲン化試剤の使用量は、その種類、一般式(1)のアレニルβ−ラクタム化合物の使用量、併用する銅塩の種類、種々の反応条件等に応じて広い範囲から適宜選択できるが、一般式(1)のアレニルβ−ラクタム化合物に対し通常1〜30当量程度、好ましくは1〜10当量程度とすればよい。必要ならば更に一般式(1)のアレニルβ−ラクタム化合物がなくなるまで追加してもよい。
【0021】
本反応は通常適当な溶媒中で行なわれる。溶媒としては反応に影響を与えないものであれば特に制限されず、例えば、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等の低級カルボン酸の低級アルキルエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン等のケトン類、ジエチルエーテル、エチルプロピルエーテル、エチルブチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、メチルセロシルブ、ジメトキシエタン等のエーテル類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン等の環状エーテル類、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、バレロニトリル等のニトリル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、アニソール等の置換もしくは非置換の芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、トリクロロエタン、ジブロモエタン、プロピレンジクロライド、四塩化炭素、フロン類等のハロゲン化炭化水素類、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素類、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等のシクロアルカン類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等の環状アミドを含むアミド類、ジメチルスルホキシド等を挙げることができる。溶媒は1種を単独で使用でき又は2種以上を併用できる。溶媒の使用量は、その種類、一般式(1)のアレニルβ−ラクタム化合物の使用量、使用する銅塩とハロゲン化試剤の種類と使用量、種々の反応条件等に応じて広い範囲から適宜選択できるが、一般式(1)の化合物1kgに対し通常10〜200リットル程度、好ましくは20〜100リットル程度とすればよい。
本反応は、通常−78〜+60℃程度、好ましくは−20〜+30℃程度の温度下に行われる。また必要に応じ、密封容器中、窒素ガス等の不活性ガス中等で行なうこともできる。
【0022】
更に本発明では、反応系内に酸素又は空気を導入することにより、目的物の収率がより一層向上する。また、反応系に酸素又は空気を導入することにより、触媒サイクルを組むことも可能となる。即ち、反応系内に原料化合物、ハロゲン化試剤及び酸素又は空気を連続式又はバッチ式で供給し、触媒量の銅塩を反応開始時に供給するだけで、3−ハロゲン化セフェム誘導体を定量的に製造することができる。導入方法としては通常の手段が採用でき、例えば、酸素又は空気雰囲気下に反応を行う方法、反応系に酸素又は空気をバブリングする方法等を挙げることができる。尚、本発明では2価の銅塩によりスルフィン酸の酸化は進行するが、1価の銅塩を使用した場合でも酸素もしくは空気雰囲気下で反応を行うだけで容易に2価の銅塩に変換され目的の反応が進行する。従って反応系内への酸素又は空気の導入は、1価の銅塩を用いた場合に特に有効である。
得られる一般式(2)で表される3−ハロゲン化セフェム誘導体は抽出、蒸留、クロマトグラフィー等の通常の精製操作により単離することができる。
【0023】
【実施例】
以下に実施例を挙げ、本発明を具体的に説明する。
実施例1
化合物(1a)(R1=PhCH2CONH、R2=H、R3=CH2C6H4OCH3−p、R4=Ph)130mg、銅塩としての無水塩化銅(II)8mg(0.2当量)及びハロゲン化試剤としての無水塩化リチウム196mg(20当量)を10mlナス型フラスコに計り取り、反応溶媒としてのN−メチル−2−ピロリドン10mlを加え酸素(酸化用気体)を液中にバブリングしながら室温下6時間撹拌する。反応液は1規定塩酸中にそそぎ、酢酸エチルにより抽出を行ない、水洗2回、飽和食塩水洗1回を行なった後、無水硫酸ナトリウム上で乾燥を行なった。得られた抽出液は減圧下にて溶媒を留去した後、残査をシリカゲルカラムクロマトにより精製分離すると化合物(2a)(99mg、90%)が得られた。
1H−NMR(CDCl3)d;3.42(d,J=17.8Hz,1H)、3.72(d,J=17.8Hz,1H)、3.58(d,J=16.4Hz,1H)、3.64(d,J=16.4Hz,1H)、3.79(s,3H)、4.96(d,J=5.1Hz)、5.21(s,2H)、5.79(dd,J=5.1,9.2Hz,1H)、6.39(d,J=9.2Hz,1H)、6.82〜7.40(m,9H)
【0024】
実施例2
出発物質を化合物(1b)(R1=PhCH2CONH,R2=H,R3=CHPh2,R4=Ph)150mgに変えて実施例1と同様の反応を行なった結果化合物(2b)(114mg,92%)が得られた。
1H−NMR(CDCl3)d;3.43(d,J=18.9Hz,1H)、3.58(d,J=16.2Hz,1H)、3.65(d,J=16.2Hz,1H)、3.73(d,J=18.9Hz,1H)、4.99(d,18.9Hz)、5.83(dd,J=4.8,9.3Hz,1H)、6.24(d,J=9.3Hz、1H)、6.97(s,1H)、7.21〜7.42(m,15H)
【0025】
実施例3〜7
ハロゲン化試剤を下記に記載のものに変更する以外は、実施例1と同様に操作し、化合物(2a)を製造した。その収率を併記する。
【0026】
実施例8〜12
銅塩を下記に記載のものに変更する以外は、実施例1と同様に操作し、化合物(2a)を製造した。その収率を併記する。
【0027】
実施例13〜16
使用する銅塩及びその使用量を下記に記載の通り変更する以外は、実施例1と同様に操作し、化合物(2a)を製造した。その収率を併記する。
実施例 銅塩 使用量(当量) 収率(%)
13 CuCl2・2H2O 0.1 91
14 CuCl2・2H2O 0.4 89
15 CuCl2・2H2O 1.0 85
16 CuCl 1.0 86
【0028】
実施例17〜21
酸化用気体及びその圧力を下記に記載の通り変更する以外は、実施例1と同様に操作し、化合物(2a)を製造した。その収率を併記する。
実施例 酸化用気体 圧力(atm) 収率(%)
17 酸素 1 90
18 酸素 2.5 87
19 酸素 5 85
20 酸素 8 85
21 空気 5 80
【0029】
実施例22〜24
反応溶媒を下記に記載の通り変更する以外は、実施例1と同様に操作し、化合物(2a)を製造した。その収率を併記する。
実施例 反応溶媒 収率(%)
22 ジメチルホルムアミド 80
23 ジメチルアセトアミド 79
24 テトラヒドロフラン 70
【0030】
実施例25
出発物質として化合物(1a)を150mg及び銅塩として塩化銅(II)2水和物を44mg(1.2当量)用い、アルゴン気流下にて実施例1と同様に操作して反応を行い、化合物(2a)109mg(89%)を得た。
【0031】
参考例1
本発明で得られる化合物(2)は文献記載の方法により、経口剤として広く利用されているセファクロールに変換できる。すなわち、化合物(2)を五塩化リン及びピリジンを用いて7位脱保護を行い(特開昭61−3356号)、化合物(3)に変換した後、7位アミド側鎖の導入を行う。この後、4位エステル部位の脱保護を行うとセファクロールを得ることができる(特開昭61−39313号)。以下に反応式を記載する。
【0032】
【化8】
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば製造困難な出発原料を用いることなく、安全且つ簡便な操作で、高収率、高純度で目的とする3−ハロゲン化セフェム誘導体を製造することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、3−ハロゲン化セフェム誘導体の製造法に関する。
本発明の3−ハロゲン化セフェム誘導体は、主に経口投与される公知のセフェム系抗生物質の製造中間体として有用であり、例えば後記参考例1に従ってセファクロールに変換される(特開昭61−39313号公報)。
【0002】
【従来の技術】
一般式(2)で表される3−ハロゲン化セフェム誘導体の一般的な製造法としては、例えば、一般式(3)で表される3−ヒドロキシセフェム化合物の水酸基をトリフルオロメシルオキシ基に変換した後ハロゲン化リチウムを反応させる方法〔J.Org.Chem.,54,4962(1989)〕、ジメチルホルムアミド中にて3−ヒドロキシセフェム化合物に反応性クロロ化合物又は反応性ブロモ化合物(三塩化リン、オキシ塩化リン、チオニルブロマイド等)を反応させる方法(特開昭49−116095号公報)等を挙げることができる。しかしながら、これらの方法は、出発原料として用いられる3−ヒドロキシセフェム化合物そのものが製造困難であり、工業的に有利な製造法とは言えない。
【0003】
【化3】
[式中R1、R2及びR3は前記に同じ。]
【0004】
更に、一般式(2)で表されるアレニルβ−ラクタム化合物にアルカリ金属又はアルカリ土類金属のハロゲン塩を反応させることにより、該アレニルβ−ラクタム化合物を閉環させ、3−ハロゲン化セフェム化合物を製造する方法も知られている(特開平4−282387号公報)。この方法は、原料化合物が製造容易なアレニルβ−ラクタム化合物であるという利点を有するが、閉環時に求核性の高いスルフィネートイオンが脱離して再結合するため、3−スルホニルセフェム化合物の副生が避けられず目的の3−ハロゲン化セフェム誘導体の収率は70%程度にとどまっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、製造困難な出発原料を用いることなく、安全且つ簡便な操作で、高収率、高純度で目的とする3−ハロゲン化セフェム誘導体を製造する方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は2価の銅塩の存在下、一般式(1)で表されるアレニルβ−ラクタム化合物に式
M(X)m 又は (R 6 )(R 7 )(R 8 )(R 9 )NX(式中、mは1〜3の整数、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム又はトリアルキルシリル基、R 6 〜R 9 は同一又は異なって水素原子、アルキル基、アリール基又はアラルキル基、Xはハロゲン原子を示す。)を反応させることを特徴とする、一般式(2)で表される3−ハロゲン化セフェム誘導体の製造法に係る。
【0007】
【化4】
[式中R1は水素原子、アミノ基又は保護されたアミノ基を示す。R2は水素原子、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、低級アシル基、低級アルキル基、置換基として水酸基及び保護された水酸基から選ばれる少なくとも1種を有する低級アルキル基、水酸基又は保護された水酸基を示す。R3は水素原子又はカルボン酸保護基を示す。R4は置換基を有してもよい芳香族化合物残基又は含窒素芳香族複素環化合物残基を示す。nは0〜2の整数を示す。]
【0008】
【化5】
[式中R1、R2及びR3は前記に同じ。Xはハロゲン原子を示す。]
【0009】
本発明者は、3−ハロゲン化セフェム誘導体の汎用的な製造法についての研究過程で、前述の特開平4−282387号公報に記載の公知技術に注目し、スルフィネートイオンを求核性の低い基に変換することにより、副生物の生成を抑制し得るであろうとの想定のもとに更に研究を続け、その結果、閉環反応と共に特定の酸化反応を実施することにより、スルフィネートイオンを酸化して求核性の低いスルホン酸基に変換することができ、目的とする3−ハロゲン化セフェム誘導体を高収率で製造できることを見い出した。
即ち種々の酸化反応について鋭意検討を重ねた結果、1価もしくは2価の銅塩による酸化反応を行うと同時にハロゲン化試剤を作用させることにより、目的とする3−ハロゲン化セフェム誘導体が定量的に得られるという、全く新しい事実を見い出した。
【0010】
【発明の実施の形態】
本明細書において示される各基は、より具体的には次の通りである。ハロゲン原子とは、例えば、フッ素、塩素、臭素、沃素等の原子を例示できる。低級アルキル基とは、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等の直鎖又は分岐状の炭素数1〜4のアルキル基を例示できる。アリール基とは、フェニル、ナフチル等を例示できる。
【0011】
R1で示される保護されたアミノ基としては、プロテクティブグループインオーガニックシンセシス(Protective Groups in Organic S ynthesis,Teodora W.Greene著、1981年、以下単に「文献」という)の第7章(第218〜287頁)に記載されている各種の基のほか、フェノキシアセトアミド、p−メチルフェノキシアセトアミド、p−メトキシフェノキシアセトアミド、p−クロロフェノキシアセトアミド、p−ブロモフェノキシアセトアミド、フェニルアセトアミド、p−メチルフェニルアセトアミド、p−メトキシフェニルアセトアミド、p−クロロフェニルアセトアミド、p−ブロモフェニルアセトアミド、フェニルモノクロロアセトアミド、フェニルジクロロアセトアミド、フェニルヒドロキシアセトアミド、チエニルアセトアミド、フェニルアセトキシアセトアミド、α−オキソフェニルアセトアミド、ベンズアミド、p−メチルベンズアミド、p−メトキシベンズアミド、p−クロロベンズアミド、p−ブロモベンズアミド、フェニルグリシルアミド、アミノ基の保護されたフェニルグリシルアミド、p−ヒドロキシフェニルグリシルアミド、アミノ基及び水酸基の一方又は両方が保護されたp−ヒドロキシフェニルグリシルアミド等のアミド類、フタルイミド、ニトロフタルイミド等のイミド類を例示できる。フェニルグリシルアミド及びp−ヒドロキシフェニルグリシルアミドのアミノ基の保護基としては、上記文献の第7章(第218〜287頁)に記載されている各種基を例示できる。また、p−ヒドロキシフェニルグリシルアミドの水酸基の保護基としては、上記文献の第2章(第10〜72頁)に記載されている各種基を例示できる。更に、一般式(5)で表される基も例示できる。
【0012】
【化6】
[式中、Ri及びRjは同一又は異なって、それぞれ水素原子、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基又は複素環式炭化水素基を示し、或いはRiとRjは互いに結合して環状基を形成してもよい。]
【0013】
R2で示される低級アルコキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ等の直鎖又は分枝状の炭素数1〜4のアルコキシ基を例示できる。
R2で示される低級アシル基としては、例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル等の直鎖又は分枝状の炭素数1〜4のアシル基を例示できる。
R2で示される置換基として水酸基及び保護された水酸基から選ばれる少なくとも1種を有する低級アルキル基の保護された水酸基、及びR2で示される保護された水酸基の保護基としては、上記文献の第2章(第10〜72頁)に記載されている基を例示できる。R2で示される上記置換低級アルキル基には、水酸基又は上記で示される保護された水酸基がそれぞれ1又は2個以上同一又は異なる炭素原子上に置換してもよい。
R3で示されるカルボン酸の保護基としては、上記文献の第5章(第152〜192頁)に示されている各種基の他、アリール基、ベンジル基、p−メトキシベンジル基、p−ニトロベンジル基、ジフェニルメチル基、トリクロロメチル基、tert−ブチル基等を例示できる。
【0014】
R4で示される置換基を有することのある芳香族化合物残基又は含窒素芳香族化合物残基としては、フェニル基、ナフチル基、ベンゾチアゾール基、トリアゾール基、チアゾール基、テトラゾール基等を例示できる。これらの基に置換してもよい置換基の種類としては、例えばハロゲン原子(例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等)、C1〜C4の直鎖もしくは分枝鎖状アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基等)、C1〜C4の直鎖もしくは分枝鎖状アルキルチオ基(例えばメチルチオ基、エチルチオ基等)、C1〜C4の直鎖もしくは分岐鎖状アルキルスルホニルオキシ基(例えばメタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基等)、置換基を有してもよい芳香族スルホニルオキシ基(例えばベンゼンスルホニルオキシ基、トルエンスルホニルオキシ基等)、C1〜C4の直鎖もしくは分枝鎖状アルキル基(例えばメチル基、エチル基等)、アミノ基、置換基としてC1〜C4の直鎖もしくは分枝鎖状アルキル基を1個又は2個有するアミノ基(例えばメチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基等)、水酸基、R'COO−(R'はフェニル基、トリル基又はC1〜C4の直鎖もしくは分枝鎖状アルキル基)で表されるアシルオキシ基(例えばフェニルカルボニルオキシ基、アセチルオキシ基等)、R'CO−(R'は前記に同じ)で表されるアシル基(例えばフェニルカルボニル基、アセチル基等)、ニトロ基、シアノ基、フェニル基等を例示できる。これらの置換基は例えばフェニル基である場合は1〜5個、特に1〜3個、ナフチル基である場合は1〜7個、特に1〜3個、同一又は異なる種類で置換されていてもよい。
Xで示されるハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を例示できるが、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が特に好ましい。
本発明において出発原料として使用する一般式(1)で表されるアレニルβ−ラクタム化合物は、例えば、特開平4−282359号公報に記載の方法に従い、一般式(4)で表されるβ−ラクタム化合物を溶媒中にて塩基と反応させることにより製造することができる。
【0015】
[式中R1、R2、R3、R4及びnは前記に同じ。R5は置換基を有しても良い低級アルキル基又は置換基を有しても良いアリール基を示す。]
【0016】
この反応に用いられる溶媒としては、反応に影響を与えないものであれば特に制限はないが、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール類、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等の低級カルボン酸の低級アルキルエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン等のケトン類、ジエチルエーテル、エチルプロピルエーテル、エチルブチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、メチルセロシルブ、ジメトキシエタン等のエーテル類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン等の環状エーテル類、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、バレロニトリル等のニトリル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、アニソール等の置換もしくは非置換の芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、トリクロロエタン、ジブロモエタン、プロピレンジクロライド、四塩化炭素、フロン類等のハロゲン化炭化水素類、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素類、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等のシクロアルカン類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等を挙げることができる。これらの溶媒は1種を単独で又は2種以上混合して使用される。また溶媒は必要に応じて水を含んでいてもよい。溶媒は、一般式(4)のβ−ラクタム化合物1kgに対し、通常10〜200リットル程度、好ましくは20〜100リットル程度使用するのがよい。
【0017】
塩基としては公知のものが使用でき、例えば、トリメチルアミン、ジメチルエチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等のN,N,N−トリ低級アルキルアミン類、N−メチルピペリジン、N−エチルピペリジン等のN−低級アルキルアザシクロアルカン類、N−ベンジル−N,N−ジメチルアミン、N−ベンジル−N,N−ジエチルアミン等のN−フェニル低級アルキル−N,N−ジ低級アルキルアミン類、N,N−ジメチルアニリン等のN,N−ジアルキル芳香族アミン、ピリジン等の含窒素芳香族アミン、ジアザビシクロウンデセン、ジアザビシクロノネン等の二環式アミン、これらの混合物等を挙げることができる。塩基の使用量は、一般式(4)のβ−ラクタム化合物に対して通常1〜10当量程度でよいが、必要ならば更に一般式(4)のβ−ラクタム化合物がなくなるまで塩基を追加してもよい。
本反応は、通常−78〜+60℃程度、好ましくは−40〜+30℃程度の温度下に行われる。
このようにして得られる一般式(1)のアレニルβ−ラクタム化合物は通常の精製方法によって単離することができる。尚、該アレニルβ−ラクタム化合物を含む反応混合物をそのまま次の反応に用いることもできる。
【0018】
本発明では、1価又は2価の銅塩の存在下、一般式(1)のアレニルβ−ラクタム化合物にハロゲン化試剤を反応させることにより、該アレニルβ−ラクタム化合物のアレニル部分の所定位置にハロゲンが置換すると共に閉環が起こり、その際に脱離したスルフィネートイオンは触媒である銅塩により酸化されてスルホン酸基に変換され、スルフィネートイオンの再結合が防止される。
使用する1価及び2価の銅塩としては特に制限はないが、例えば、塩化銅(I)、塩化銅(II)、臭化銅(I)、臭化銅(II)、ヨウ化銅(I)、ヨウ化銅(II)、フッ化銅(I)、フッ化銅(II)等のハロゲン化銅、硫酸銅(II)、硝酸銅(II)、過塩素酸銅(II)等の銅強酸塩、酸化銅(I)、酸化銅(II)等の銅酸化物、銅アセチルアセトナート等の有機金属銅錯体等を挙げることができる。1価の銅塩としてはハロゲン化銅が好ましく、2価の銅としては、ハロゲン化銅、銅強酸塩等が好ましい。これら銅塩の中でも、塩化銅(I)、塩化銅(II)、硫酸銅(II)及び過塩素酸銅(II)が特に好ましい。銅塩は無水物であっても結晶水を含んでいてもよい。銅塩は1種を単独で用いてもよく又は2種以上を併用してもよい。銅塩の使用量は特に制限されず、その種類、一般式(1)のアレニルβ−ラクタム化合物の使用量、併用するハロゲン化試剤、種々の反応条件等に応じて広い範囲から適宜選択できるが、一般式(1)のアレニルβ−ラクタム化合物に対し通常0.005当量〜10当量程度、好ましくは0.05当量〜2当量程度とすればよい。
【0019】
またハロゲン化試剤としては公知のものが使用でき、例えば、金属ハロゲン化物、第4級アンモニウムハライド等を挙げることができる。金属ハロゲン化合物の具体例としては、例えば、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム等のハロゲン化アルミニウム、トリメチルシリルクロライド等のシリルハライド誘導体、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム等のアルカリ金属のハロゲン塩、塩化カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム、塩化バリウム、臭化バリウム、ヨウ化バリウム、塩化ストロンチウム、臭化ストロンチウム、ヨウ化ストロンチウム等のアルカリ土類金属のハロゲン塩、塩化セリウム等の希土類元素のハロゲン化塩等、その他の種々の金属のハロゲン塩等を挙げることができる。第4級アンモニウムハライドの具体例としては、例えば、塩化アンモニウム、トリエチルアミン塩酸塩、テトラ−n−ブチルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムブロマイド、テトラベンジルアンモニウムクロライド等を挙げることができる。
【0020】
これらハロゲン化試剤の好適なものは下記式 M(X)m 又は (R6)(R7)(R8)(R9)NX(式中、mは1〜3の整数、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム又はトリアルキルシリル基、R6〜R9は同一又は異なって水素原子、アルキル基、アリール基又はアラルキル基を示す。)で表される。m=1のときはMはリチウム、ナトリウム等のアルカリ金属又はトリメチルシリル等のトリアルキルシリル基、m=2のときはマグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属、m=3のときはアルミニウム等を示す。R6〜R9のアルキル基としては前記炭素数1〜4のアルキル基、アリール基としてはフェニル基、ナフチル基等、アラルキル基としてはベンジル基、フェネチル基等を例示できる。ハロゲン化試剤は、1種を単独で使用でき又は2種以上を併用できる。ハロゲン化試剤の使用量は、その種類、一般式(1)のアレニルβ−ラクタム化合物の使用量、併用する銅塩の種類、種々の反応条件等に応じて広い範囲から適宜選択できるが、一般式(1)のアレニルβ−ラクタム化合物に対し通常1〜30当量程度、好ましくは1〜10当量程度とすればよい。必要ならば更に一般式(1)のアレニルβ−ラクタム化合物がなくなるまで追加してもよい。
【0021】
本反応は通常適当な溶媒中で行なわれる。溶媒としては反応に影響を与えないものであれば特に制限されず、例えば、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等の低級カルボン酸の低級アルキルエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン等のケトン類、ジエチルエーテル、エチルプロピルエーテル、エチルブチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、メチルセロシルブ、ジメトキシエタン等のエーテル類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン等の環状エーテル類、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、バレロニトリル等のニトリル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、アニソール等の置換もしくは非置換の芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、トリクロロエタン、ジブロモエタン、プロピレンジクロライド、四塩化炭素、フロン類等のハロゲン化炭化水素類、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素類、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等のシクロアルカン類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等の環状アミドを含むアミド類、ジメチルスルホキシド等を挙げることができる。溶媒は1種を単独で使用でき又は2種以上を併用できる。溶媒の使用量は、その種類、一般式(1)のアレニルβ−ラクタム化合物の使用量、使用する銅塩とハロゲン化試剤の種類と使用量、種々の反応条件等に応じて広い範囲から適宜選択できるが、一般式(1)の化合物1kgに対し通常10〜200リットル程度、好ましくは20〜100リットル程度とすればよい。
本反応は、通常−78〜+60℃程度、好ましくは−20〜+30℃程度の温度下に行われる。また必要に応じ、密封容器中、窒素ガス等の不活性ガス中等で行なうこともできる。
【0022】
更に本発明では、反応系内に酸素又は空気を導入することにより、目的物の収率がより一層向上する。また、反応系に酸素又は空気を導入することにより、触媒サイクルを組むことも可能となる。即ち、反応系内に原料化合物、ハロゲン化試剤及び酸素又は空気を連続式又はバッチ式で供給し、触媒量の銅塩を反応開始時に供給するだけで、3−ハロゲン化セフェム誘導体を定量的に製造することができる。導入方法としては通常の手段が採用でき、例えば、酸素又は空気雰囲気下に反応を行う方法、反応系に酸素又は空気をバブリングする方法等を挙げることができる。尚、本発明では2価の銅塩によりスルフィン酸の酸化は進行するが、1価の銅塩を使用した場合でも酸素もしくは空気雰囲気下で反応を行うだけで容易に2価の銅塩に変換され目的の反応が進行する。従って反応系内への酸素又は空気の導入は、1価の銅塩を用いた場合に特に有効である。
得られる一般式(2)で表される3−ハロゲン化セフェム誘導体は抽出、蒸留、クロマトグラフィー等の通常の精製操作により単離することができる。
【0023】
【実施例】
以下に実施例を挙げ、本発明を具体的に説明する。
実施例1
化合物(1a)(R1=PhCH2CONH、R2=H、R3=CH2C6H4OCH3−p、R4=Ph)130mg、銅塩としての無水塩化銅(II)8mg(0.2当量)及びハロゲン化試剤としての無水塩化リチウム196mg(20当量)を10mlナス型フラスコに計り取り、反応溶媒としてのN−メチル−2−ピロリドン10mlを加え酸素(酸化用気体)を液中にバブリングしながら室温下6時間撹拌する。反応液は1規定塩酸中にそそぎ、酢酸エチルにより抽出を行ない、水洗2回、飽和食塩水洗1回を行なった後、無水硫酸ナトリウム上で乾燥を行なった。得られた抽出液は減圧下にて溶媒を留去した後、残査をシリカゲルカラムクロマトにより精製分離すると化合物(2a)(99mg、90%)が得られた。
1H−NMR(CDCl3)d;3.42(d,J=17.8Hz,1H)、3.72(d,J=17.8Hz,1H)、3.58(d,J=16.4Hz,1H)、3.64(d,J=16.4Hz,1H)、3.79(s,3H)、4.96(d,J=5.1Hz)、5.21(s,2H)、5.79(dd,J=5.1,9.2Hz,1H)、6.39(d,J=9.2Hz,1H)、6.82〜7.40(m,9H)
【0024】
実施例2
出発物質を化合物(1b)(R1=PhCH2CONH,R2=H,R3=CHPh2,R4=Ph)150mgに変えて実施例1と同様の反応を行なった結果化合物(2b)(114mg,92%)が得られた。
1H−NMR(CDCl3)d;3.43(d,J=18.9Hz,1H)、3.58(d,J=16.2Hz,1H)、3.65(d,J=16.2Hz,1H)、3.73(d,J=18.9Hz,1H)、4.99(d,18.9Hz)、5.83(dd,J=4.8,9.3Hz,1H)、6.24(d,J=9.3Hz、1H)、6.97(s,1H)、7.21〜7.42(m,15H)
【0025】
実施例3〜7
ハロゲン化試剤を下記に記載のものに変更する以外は、実施例1と同様に操作し、化合物(2a)を製造した。その収率を併記する。
【0026】
実施例8〜12
銅塩を下記に記載のものに変更する以外は、実施例1と同様に操作し、化合物(2a)を製造した。その収率を併記する。
【0027】
実施例13〜16
使用する銅塩及びその使用量を下記に記載の通り変更する以外は、実施例1と同様に操作し、化合物(2a)を製造した。その収率を併記する。
実施例 銅塩 使用量(当量) 収率(%)
13 CuCl2・2H2O 0.1 91
14 CuCl2・2H2O 0.4 89
15 CuCl2・2H2O 1.0 85
16 CuCl 1.0 86
【0028】
実施例17〜21
酸化用気体及びその圧力を下記に記載の通り変更する以外は、実施例1と同様に操作し、化合物(2a)を製造した。その収率を併記する。
実施例 酸化用気体 圧力(atm) 収率(%)
17 酸素 1 90
18 酸素 2.5 87
19 酸素 5 85
20 酸素 8 85
21 空気 5 80
【0029】
実施例22〜24
反応溶媒を下記に記載の通り変更する以外は、実施例1と同様に操作し、化合物(2a)を製造した。その収率を併記する。
実施例 反応溶媒 収率(%)
22 ジメチルホルムアミド 80
23 ジメチルアセトアミド 79
24 テトラヒドロフラン 70
【0030】
実施例25
出発物質として化合物(1a)を150mg及び銅塩として塩化銅(II)2水和物を44mg(1.2当量)用い、アルゴン気流下にて実施例1と同様に操作して反応を行い、化合物(2a)109mg(89%)を得た。
【0031】
参考例1
本発明で得られる化合物(2)は文献記載の方法により、経口剤として広く利用されているセファクロールに変換できる。すなわち、化合物(2)を五塩化リン及びピリジンを用いて7位脱保護を行い(特開昭61−3356号)、化合物(3)に変換した後、7位アミド側鎖の導入を行う。この後、4位エステル部位の脱保護を行うとセファクロールを得ることができる(特開昭61−39313号)。以下に反応式を記載する。
【0032】
【化8】
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば製造困難な出発原料を用いることなく、安全且つ簡便な操作で、高収率、高純度で目的とする3−ハロゲン化セフェム誘導体を製造することができる。
Claims (3)
- 2価の銅塩の存在下、一般式(1)で表されるアレニルβ−ラクタム化合物に式
M(X)m 又は (R 6 )(R 7 )(R 8 )(R 9 )NX(式中、mは1〜3の整数、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム又はトリアルキルシリル基、R 6 〜R 9 は同一又は異なって水素原子、アルキル基、アリール基又はアラルキル基、Xはハロゲン原子を示す。)を反応させることを特徴とする、一般式(2)で表される3−ハロゲン化セフェム誘導体の製造法。
【化2】
[式中R1、R2及びR3は前記に同じ。Xはハロゲン原子を示す。] - 1価の銅塩の存在下、反応系内に酸素又は空気を導入して、一般式(1)で表されるアレニルβ−ラクタム化合物に式 M(X)m 又は (R 6 )(R 7 )(R 8 )(R 9 )NX(式中、mは1〜3の整数、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム又はトリアルキルシリル基、R 6 〜R 9 は同一又は異なって水素原子、アルキル基、アリール基又はアラルキル基、Xはハロゲン原子を示す。)を反応させることを特徴とする、一般式(2)で表される3−ハロゲン化セフェム誘導体の製造法。
【化4】
[式中R1、R2及びR3は前記に同じ。Xはハロゲン原子を示す。] - 反応系内に酸素又は空気を導入する請求項1の製造法。
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