JP3775230B2 - クッション材の製造方法 - Google Patents
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Description
【技術分野】
本発明は,室内で使用するソファー,車両,航空機,船舶等におけるシートに使用する,クッション材の製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】
従来から,自動車等のシートにおける座部には,その内部に物性が異なる2つの発泡体よりなる二層構造のクッション材を用いることが知られている。そして,2つの発泡体の間に,境界層となる境界部材を配置した上記クッション材として,例えば,特開平10−225943号公報(従来技術1),特開平2−140107号公報(従来技術2)等に記載されたものがある。
【0003】
上記従来技術1においては,上記境界部材には,成形材料を注入するための注入用穴と,上記成形材料を注入した後に上記注入用穴を塞ぐために,ヒンジ部を介して取り付けてある閉塞蓋とが設けてある。クッション材の成形を行うに際して,該クッション材の成形型に境界部材を配置し,上記注入用穴から一方の成形材料を注入し,一方境界部材の上部には他方の成形材料を注入する。そして,上記閉塞蓋は,注入用穴から注入された一方の成形材料が発泡する力により上記ヒンジ部を回転させて上記注入用穴を閉じる。こうして,上記境界部材を挟持した二層構造からなるクッション材を成形する。
【0004】
上記従来技術2においては,クッション材の成形型は,上型と下型との間に中枠を有しており,該中枠に上記境界部材を配置しておく。そして,上記下型に一方の成形材料を注入した後上記中枠を閉じ,次いで中枠の上部に他の成形材料を注入し,その後上記上型を閉じて発泡成形を行う。こうして,上記境界部材を挟持した二層構造からなるクッション材を成形する。
【0005】
【解決しようとする課題】
しかしながら,上記従来のクッション材の製造方法においては,以下のような問題点がある。
即ち,上記従来技術1においては,上記のごとく,境界部材に,上記注入用穴とヒンジ部を有する閉塞蓋とを設ける必要があり,上記従来技術2においては,上記のごとく成形型に上記中枠を設ける必要がある。つまり,上記従来技術においては,注入を行うに際して,上記境界部材又は成形型に特殊な構造が必要である。
【0006】
この問題点を改善するために,上記従来技術1においては,別の成形方法として,上記境界部材に柔軟性仕切材を使用し,該柔軟性仕切材に成形材料の注入口を設けたものがある。しかしながら,この成形方法においては,上記注入口をあまり大きくすることができず,成形材料の注入が容易ではない。
【0007】
本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので,二層構造でその構造が任意の形状を有し,優れた特性を有するクッション材を容易に成形することができ,成形材料の注入を容易に,かつ原料注入の順序に制約を受けずに行うことができるクッション材の製造方法を提供しようとするものである。
【0008】
【課題の解決手段】
請求項1に記載の発明は,下型と上型とを用いて発泡成形を行うクッション材の製造方法において,
上記下型には,上記クッション材の表面側を成形するキャビティの一部を仕切るようにして設けた仕切りが配置してあり,該仕切りは,上記キャビティを前後に仕切る前後仕切りと,上記キャビティを左右両側のサイドキャビティと,その間の中央キャビティとに仕切る一対の側部仕切りとからなり,
上記発泡成形を行うに当って,可撓性を有するフィルムを,上記前後仕切りと上記一対の側部仕切りとに架け渡すことによって,当該フィルム,当該前後仕切り,当該一対の側部仕切り及び上記下型の底壁面によって囲まれた袋状キャビティを形成すると共に,当該フィルムの端部と当該一対の側部仕切りと下型の底壁面とで開口部を形成し,
かつ,上記下型の底壁面を前後方向に傾斜する状態にすることにより,上記開口部を斜め上方位置で開口させておき,
上記開口部から上記袋状キャビティ内へ,発泡性を有する第1原料と発泡性を有し発泡が完了した時点において上記第1原料からなる発泡体よりも軟質の発泡体となる第2原料のうちのいずれか一方を流入させ,一方,上記開口部以外の箇所へ上記第1原料と上記第2原料のうちの他方を注入し,
その後,上記下型と上記上型とを閉じて,上記フィルムを境界層にして上記第1原料と上記第2原料とを共に発泡成形させて,上記第1原料からなる第1発泡体と,上記第2原料からなる第2発泡体との二層構造を有し,かつ両者の間には上記フィルムを挟持させてなるクッション材を成形することを特徴とするクッション材の製造方法にある。
【0009】
本発明においては,上記下型のキャビティに,可撓性を有するフィルムを,上記開口部が形成されるように配置し,該開口部から上記第1原料と第2原料のうちのいずれか一方を流入させ,一方,上記開口部以外の箇所へ上記第1原料と第2原料のうちの他方を注入することにより,上記フィルムを挟持した二層構造のクッション材を成形する。
【0010】
次に,本発明の作用効果につき説明する。
本発明においては,上記下型のキャビティの任意の位置に,可撓性を有するフィルムを上記開口部を形成するように配置する。この開口部は,上記キャビティの一部を,上記キャビティ内が連続的に繋がっている状態に区切って形成される。
【0011】
次いで,上記開口部から上記第1原料と第2原料のうちのいずれか一方を流入させ,一方,上記開口部以外の箇所へ上記第1原料と上記第2原料のうちの他方を注入する。そして,第1原料と第2原料は,上記フィルムによってそれぞれ互いに隔離された状態で発泡しながら,上記開口部から流入された原料は,上記フィルムの下部を流動し,他の箇所へ注入された原料はフィルムの上部を流動する。
【0012】
つまり,下型のキャビティにおいて,上記フィルムが配置してある箇所では,第1原料と第2原料とは,互いに影響を及ぼさずに独立して発泡流動する。そのため,フィルムが配置してある箇所においては,第1原料と第2原料とが互いに混入することを防止することができ,上記第1発泡体及び第2発泡体の厚みが安定したクッション材を成形することができる。
【0013】
また,上記フィルムは可撓性を有しており,下型のキャビティの任意の位置に配置することができる。つまり,上記フィルムは,クッション材の二層構造の形状を変更したい場合,フィルムの配置状態を変更して,容易に変更することができる。それ故,二層構造で任意の形状を有するクッション材を容易に成形することができる。
【0014】
また,上記フィルムは,上記開口部を有した状態で配置されており,二つの層が境界部材によって全面で分離されている従来例とは異なる。そのため,成形時に,第1原料を注入し終わってから第2原料を注入するというような成形材料の注入の順序の制約を受けることがなく,境界部材に注入用穴を形成しておく必要もない。それ故,第1原料及び第2原料の成形材料の注入が容易で,任意の順序で注入を行うことができると共に,容易にクッション材を成形することができる。
【0015】
また,本発明においては,上記下型には,上記キャビティの一部を仕切るようにして設けた仕切りが配置してあり,上記仕切りは,上記キャビティを前後に仕切る前後仕切りと,上記キャビティを左右両側のサイドキャビティと,その間の中央キャビティとに仕切る一対の側部仕切りとからなる。
【0016】
上記フィルムを,上記仕切りに架け渡すことによって,上記フィルム,前後仕切り,一対の側部仕切りに囲まれた袋状キャビティを形成すると共に,フィルムの端部と一対の側部仕切りの各端部との間に開口部を形成している。
これにより,上記開口部から流入した上記第1原料と第2原料のうちのいずれか一方は上記袋状キャビティ内に溜って充填され,形状の整った二層構造を有するクッション材を容易に成形することができる。
【0017】
また,フィルムは,上記仕切りに架け渡すために,フィルムを配置する位置を一層自由 に選択することができる。
また,上記仕切りを配置することにより,上記クッション材を溝状のスリットを有する任意の形状に成形することができる。
【0018】
つまり,上記前後仕切りにより,上記クッション材に,前後方向に溝状のスリットを設けることができる。
また,上記側部仕切りにより,上記クッション材に,左右両側に溝状のスリットを設けて,上記サイドキャビティに対応するサイド部を成形することができる。
【0019】
また,本発明においては,上記開口部は,斜め上方位置で開口している。
これにより,上記開口部から流入した第1原料と第2原料のうちのいずれか一方を,上記開口部の斜め下方に位置する上記袋状キャビティに,容易に充填させることができる。そのため,上記袋状キャビティに充填されて発泡した発泡体に空洞等の充填欠如部分ができてしまうことを防止することができる。
【0020】
成形後のクッション材においては,上記第1発泡体と上記第2発泡体との間に上記可撓性のフィルムを挟持している。このフィルムは,変形性に優れ,上記第1発泡体と第2発泡体との組み合わせによるクッション材の衝撃緩和特性等の特性に影響を及ぼすことがほとんどない。そのため,優れた特性を有するクッション材を成形することができる。
【0021】
また,上記クッション材は,成形後には,上記フィルムを挟持したまま取り出す。そのため,クッション材の取り出しが容易である。
また,上記フィルムには,上記第1発泡体及び第2発泡体と接着性の良好な材料を使用することが好ましい。この場合には,成形後のクッション材における一体的な結合度を向上させることができる。
【0022】
本発明は,室内で使用するソファー,車両,航空機,船舶等におけるシートに使用するクッション材の製造に適用することができる。また,このクッション材としては,シートの座部,シートの背もたれ部(シートバック)などに用いるものとして製造することができる。
【0023】
以上,本発明によれば,二層構造で任意の形状を有し,優れた特性を有するクッション材を容易に成形することができ,成形材料の注入を容易に,かつ任意の順序で行うことができるクッション材の製造方法を提供することができる。
【0024】
次に,請求項2に記載の発明のように,上記フィルムは,その端部が固定具によって上記下型に固定してあることが好ましい。
これにより,上記フィルムは,上記下型内に確実に固定されることができる。
なお,上記固定具は,上記クッション材の成形が終わった後に,フィルムと共にクッション材に挟持されて取り出されてもよいし,上記下型に残ったままにして複数回使用されてもよい。
【0025】
次に,請求項3に記載の発明のように,上記フィルムは複数の貫通孔を有していることが好ましい。
これにより,上記クッション材の成形中に,上記第1原料による第1発泡体と第2原料による第2発泡体とが上記複数の貫通孔を通して接触し結合して,クッション材における一体的な結合度が一層向上する。
また,上記貫通孔により,上記フィルムには,第1原料による第1発泡体又は第2原料による第2発泡体と接着性があまり良くないものでも使用することが可能になる。
【0026】
上記貫通孔の1個当たりの開口部の面積は,1mm2〜7mm2であることが好ましい。上記面積が1mm2未満の場合は,貫通孔の大きさが小さくなり過ぎて,上記第1原料と第2原料とが貫通孔を介して接触できないおそれがある。また,上記面積が7mm2を超える場合は,貫通孔の大きさが大きくなりすぎて,第1原料又は第2原料が発泡流動中に貫通孔から他方の原料中に入り込んで,それらの原料が混流するおそれがある。
【0027】
次に,請求項4に記載の発明のように,上記フィルムは網状体からなることもできる。
これにより,上記クッション材の成形中に,第1原料と第2原料とが上記網状体における貫通孔を通して結合し,クッション材における一体的な結合度が一層向上する。
また,上記網状体により,上記フィルムには,第1原料による第1発泡体又は第2原料による第2発泡体と接着性があまり良くないものでも使用することが可能になる。
また,網状体における貫通孔の好ましい大きさは上記複数の貫通孔と同様であることが好ましい。
【0028】
次に,請求項5に記載の発明のように,上記フィルムは,上記キャビティの底壁面に対してほぼ平行に配置することができる。
これにより,上記第1発泡体の厚みが均一なクッション材を容易に成形することができる。
【0029】
次に,請求項6に記載の発明のように,上記フィルムは,上記キャビティの底壁面に対して非平行に配置することもできる。
これにより,上記第1発泡体及び第2発泡体の厚みが所望の位置によって異なる種々の形状の二層構造を有するクッション材を成形することができる。
【0030】
次に,請求項7に記載の発明のように,上記フィルムは,上記下型のキャビティに固定する際に,弛んだ状態で配置することが好ましい。
これにより,上記開口部から上記第1原料を流入させたときに,上記フィルムによって形成された上記袋状キャビティを膨張させて,第1原料による上記第1発泡体の厚みを大きくすることができる。そのため,第1発泡体の厚みに任意の変化を持たせることができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
実施形態例1
本発明の実施形態例にかかるクッション材の製造方法につき,図1〜図14を用いて説明する。
本例におけるクッション材1の製造方法においては,下型2と上型3とを用いて発泡成形を行う。該発泡成形を行うに当って,まず,上記下型2のキャビティ20に,可撓性を有するフィルム7を,該フィルム7の端部71と上記キャビティ20との間に発泡性を有する第1原料41が流入する開口部72が形成されるように配置する。
【0032】
次いで,上記開口部72から上記第1原料41を流入させ,一方,上記開口部72以外の箇所へ,発泡性を有し,発泡が完了した時点において上記第1原料41からなる発泡体とは物性が異なる発泡体となる第2原料42を注入する。
そして,上記下型2と上記上型3とを閉じて,上記フィルム7を境界層にして上記第1原料41と上記第2原料42とを共に発泡成形させる。
このようにして,上記第1原料41からなる第1発泡体と,上記第2原料42からなる第2発泡体との二層構造を有し,かつ両者の間には上記フィルム7を挟持させてなるクッション材1を成形する。
【0033】
ここで,本例において,前後方向とは,クッション材1のフロント部11側又はフロントキャビティ21側を前方,クッション材1のリア部13側又はリアキャビティ23側を後方とした方向である。また,左右方向とは,クッション材1の両サイド部12側又はサイドキャビティ22側を左右として前後方向に直交する方向である。また,上下方向とは,クッション材1の製造時における重力方向を下方,その反対方向を上方とした方向である。
【0034】
以下に,これを詳説する。
まず,本例の製造方法により製造するクッション材1について説明する。
図1に示すごとく,本例において製造するクッション材1は,クッション材1における左右両側に配されたサイド部12と,該左右両側のサイド部12の間に配され,上記クッション材1における前方側に位置するフロント部11とその後方側に位置するリア部13とを有する。
クッション材1のフロント部11と左右両側のサイド部12との間には,溝状のスリットである側部スリット14が形成されている。また,クッション材1のフロント部11とリア部13との間は,溝状のスリットである前後スリット15が形成されている。
【0035】
図2(a),(b)に示すごとく,上記第1原料41からなる第1発泡体であるサイド部12及びリア部13と,上記第2原料からなる第2発泡体である上記フロント部11とは,化学結合をして一体的に形成されている。また,上記第1発泡体及び第2発泡体とフィルム7とは接着性が良好であり,一体的に接着されている。
また,上記クッション材1は,その表面を布等のカバーで覆われて,自動車のシートの座部となる。
【0036】
また,上記フロント部11は,その周囲が上記側部スリット14及び上記前後スリット15によって,第1発泡体からなるサイド部12及びリア部13から分離されているため,フロント部11が圧縮変形するときに,サイド部12及びリア部13に引っ張られることがなく,十分に第2発泡体の利点を発揮することができる。
また,クッション材1の前後方向のセンター部分においては,フロント部11から回り込んだ第2発泡体と第1発泡体とが上下に重なり合っており,クッション材1に,第1発泡体と第2発泡体とにより,硬度,乗り心地等の特性のバランスを持たせることができる。
【0037】
次に,上記クッション材1に用いる成形材料である第1原料41及び第2原料42について説明する。
上記第1原料41と上記第2原料42とは,共にポリオール系原料とイソシアネート系原料との混合原料である。また,ポリオール系原料は,ポリプロピレングリコール(PPG)とポリマグラフト重合ポリオール(POP)とを主原料として混合されている。
【0038】
上記二層構造のクッション材1は,それぞれ成分の異なる第1原料41と第2原料42とを用いて,それぞれ物性の異なる第1発泡体及び第2発泡体を成形する。
上記物性の1つとしての発泡体の硬度は,上記ポリオール系原料におけるPPGとPOPとの混合比率を変えることによって,変更することができる。つまり,PPGに対してPOPの混合比率を多くすることによって,POPの混合比率が少ないものよりも硬度の高い発泡体を成形することができる。
【0039】
また,ポリオール系原料とイソシアネート系原料の混合比率を変えることによっても発泡体の硬度を変えることができる。つまり,イソシアネート系原料の混合比率を多くすることによって,イソシアネート系原料の混合比率が少ないものよりも硬度の高い発泡体を得ることができる。これは,後述する製造装置5におけるメタリングポンプ551,552の回転数を変更することによって,容易に実現することができる。
【0040】
また,分子量の小さいポリオール系原料を使用することによっても,物性の異なる発泡体を得ることができる。この分子量の小さいポリオール系原料を使用すると,分子量の大きいポリオール系原料を使用したものよりも得られる発泡体の反発弾性をより低くすることができる。
【0041】
本例における第1原料41では,第2原料42よりも上記ポリオール系原料におけるPOPの混合比率を多くすることと,イソシアネート系原料の混合比率を多くすることとによって,第1発泡体の硬度を第2原料42による第2発泡体より高くしている。
【0042】
次に,上記フィルム7について説明する。
上記フィルム7は,5〜100μmの厚みを有するポリウレタンフィルムである。上記厚みが5μmよりも薄い場合は,薄すぎてフィルム7の強度が小さいため,該フィルム7が発泡成形時の第1原料41及び第2原料42の発泡流動による圧力に耐えられず,破れてしまうおそれがある。また,上記厚みが100μmを超えると,厚くてフィルム7の剛性が高くなりすぎるので,該フィルム7の下型2への配置が困難になるばかりでなく,成形後のクッション材1の特性に影響を及ぼすおそれがある。
なお,上記の観点を踏まえると,フィルム7の厚みは,20〜50μmにすることが一層好ましい。
【0043】
次に,上記下型2及び上型3からなる成形型6について説明する。
図4,図5(a),(b),(c)に示すごとく,上記下型2には,上記左右両側のサイド部12を成形するためのサイドキャビティ22と,上記フロント部11を成形するためのフロントキャビティ21と,上記リア部13を成形するためのリアキャビティ23が形成されている。
更に,下型2には,フロントキャビティ21とリアキャビティ23との間に,前後仕切り板25が,サイドキャビティ22とフロントキャビティ21及びリアキャビティ23との間に,側部仕切り板24が配置されている。
【0044】
上記下型2においては,クッション材1の表面側が下方を向くようにして上記キャビティ20が形成してある。このキャビティ20は,上記表面側を成形する表面側成形面である底壁面203と,クッション材1の前方側,後方側及び側面側を成形する側壁面204とからなる内壁面200を有している。
上記底壁面203は,前方を下向きに傾斜させ,前後方向で約10度傾斜するようにして形成されている。
また,上記フィルム7により形成された上記開口部72は,上記底壁面203とほぼ平行な方向に開口している。
【0045】
一方,図3に示すごとく,上記上型3は,上記クッション材1の裏面側を成形するための裏面側成形面31を有している。そして,上型3は,下型2に対してヒンジ部32により回動可能に連結されており,開閉自在になっている。
【0046】
上記下型2には,上記キャビティ20の一部を仕切るようにして設けた仕切り板201が配置してある。この仕切り板201には,上記キャビティ20を前後に仕切る前後仕切り板25,及び上記キャビティ20を左右両側のサイドキャビティ22と,その間のフロントキャビティ21及びリアキャビティ23とに仕切る一対の側部仕切り板24がある。
上記前後仕切り板25は,上記前後スリット15を成形し,上記側部仕切り板24は,上記側部スリット14を成形する。
【0047】
図12(a)に示すごとく,上記前後仕切り板25及び側部仕切り板24には,上記フィルム7を下型2に固定するための先端が尖った固定具26が設けられている。
この固定具26は,先端の尖った傾斜部分261よりも根元部分262の方が若干細くなっており,フィルム7をこの固定具26に突き刺して下型2に配置したときには,フィルム7が固定具26から外れないようになっている。
また,上記固定具26は,側部仕切り板24及び前後仕切り板25において,上端241,251又は側面242,252のどちらに設けてあってもよい。
【0048】
次に,上記クッション材1を製造する装置全体について説明する。
図3に示すごとく,上記クッション材1は,製造装置5によって製造される。製造装置5は,上記下型2及び上型3である成形型6,注入ヘッド51,原料タンク52及びメタリングポンプ551,552を有している。また,成形型6は,台車53の上に載置されており,この台車53はコンベア54の上に載置されている。
【0049】
上記第1原料41及び第2原料42を構成する液状のポリオール系原料は,上記原料タンク52のポリオールタンク521に入れられており,メタリングポンプ551によって,上記注入ヘッド51に送られるようになっている。ポリオール系原料は,メタリングポンプ551により,注入ヘッド51とポリオールタンク521との間を循環できるようになっている。また,ポリオール系原料は,ポリオールタンク521から供給管561を通って注入ヘッド51に運ばれ,注入ヘッド51から下型2に注入されないときは,注入ヘッド51から回収管571を通ってポリオールタンク521に回収されるようになっている。
【0050】
一方,上記第1原料41及び第2原料42を構成する液状のイソシアネート系原料は,上記原料タンク52のイソシアネートタンク522に入れられており,メタリングポンプ552によって,上記注入ヘッド51に送られるようになっている。イソシアネート系原料も同様に,メタリングポンプ552により,注入ヘッド51とイソシアネートタンク522との間を循環できるようになっている。また,イソシアネート系原料は,イソシアネートタンク522から供給管562を通って注入ヘッド51に運ばれ,注入ヘッド51から下型2に注入されないときは,注入ヘッド51から回収管572を通ってイソシアネートタンク522に回収されるようになっている。
【0051】
上記注入ヘッド51の内部では,原料タンク52から送られてくるポリオール系原料とイソシアネート系原料とを混合できるようになっている。また,注入ヘッド51には注入ノズル511が設けられており,該注入ノズル511は,図示しない油圧シリンダー等の制御弁によって開閉ができるようになっている。そして,注入ノズル511を所望の時間だけ開けて,第1原料41及び第2原料42を注入することができるようになっている。
また,注入ヘッド51は,下型2のフロントキャビティ21及びリアキャビティ23に注入ができるように移動可能になっている。
【0052】
上記メタリングポンプ551,552は,計量ポンプであり,その回転数の増減により,それぞれポリオール系原料,イソシアネート系原料の循環量を変化させて,注入ヘッド51への供給量を増減をさせることができるようになっている。
つまり,それぞれのメタリングポンプ551,552の回転数を変えることにより,ポリオール系原料とイソシアネート系原料との重量混合比率を変化させることができるようになっている。そして,決められた重量混合比率にそれらの原料を混合することにより,第1原料41及び第2原料42を作り出すことができる。
【0053】
なお,上記製造装置5における注入ヘッド51,原料タンク52及びメタリングポンプ551,552等の装置は,使用する成形材料の違いに応じて複数個用意することもある。
【0054】
上記成形型6は,上記台車53の上に載置してあり,上記コンベア54により搬送させるときには,台車53の上に乗ったまま搬送される。
上記コンベア54には,台車53の上に載置した成形型6を複数載置させることができ,上記注入ヘッド51により第1原料41及び第2原料42が注入された上記成形型6を順次送り出すことができるようになっている。このように,コンベア54の上に上記成形型6を複数配置しておくことにより,複数のクッション材1を効率的に成形することができる。
なお,上記上型3は,注入ヘッド51から第1原料41及び第2原料42が下型2に供給されるときには開放されている。
【0055】
次に,上記クッション材1の製造方法について説明する。
図5(a)に示すごとく,上記発泡成形を行うに当って,まず,上記下型2のキャビティ20におけるリアキャビティ23に,可撓性を有するフィルム7を配置する。このとき,フィルム7は,上記前後仕切り板25及び一対の側部仕切り板24に架け渡すことによって,上記開口部72を有する袋状キャビティ202を形成する。
【0056】
ここで,この袋状キャビティ202は,上記フィルム7,側部仕切り板24及び前後仕切り板25等の仕切り板201,及び下型2の内壁面200によって囲まれ,上記開口部72を有するキャビティをいう。
【0057】
図12(b)に示すごとく,上記フィルム7の配置は,該フィルム7を上記前後仕切り板25及び側部仕切り板24に設けた固定具26に突き刺すことによって行う。フィルム7は変形容易な材料で作られているため,フィルム7の端部を折り曲げて上記固定具26に突き刺すことができる。また,フィルム7は,弛みがないようにピンと張った状態で取り付けられる。
【0058】
本例においては,上記下型2の底壁面203が,下型2の底面205に対して傾斜した状態に形成してある。そして,上記側部仕切り板24の高さが一定であるので,フィルム7を下型2に配置しただけで,容易に上記開口部72を斜め上方位置に開口させることができる。
また,別の方法として,下型2の底壁面203を,下型2の底面205に対して平行に形成し,下型2の全体を傾斜させることによって上記開口部72を斜め上方位置に開口させてもよい。
【0059】
次に,図4,図5(a),(b),(c)に示すごとく,上記フィルム7の配置が終わった後,上記フロントキャビティ21の後方側に,上記第2原料42を上記注入ヘッド51の注入ノズル511から注入する。このとき,注入ヘッド51を左右方向に移動させて注入すると,容易にフロントキャビティ21に均等に第2原料42を注入することができる。
【0060】
また,上記第2原料42は,注入された後,上記底壁面203の傾斜により,上記フロントキャビティ21の前方側に容易に到達することができる。つまり,第2原料42は,フロントキャビティ21に容易に広がることができるので,局所的に原料が充填されないことによって生じるエアー溜り等の発生を防止することができる。
【0061】
次に,図6,図7(a),(b),(c)に示すごとく,上記サイドキャビティ22の前方側の位置と,上記リアキャビティ23とに,上記第1原料41を注入する。そして,リアキャビティ23に注入した第1原料41は,上記開口部72から袋状キャビティ202の前方側に向かって流入する。また,サイドキャビティ22に注入した第1原料41は,サイドキャビティ22の前方側から後方側に向けて発泡流動して,サイドキャビティ22内に充填されていく。
【0062】
ここで,上記袋状キャビティ202の開口部72から流入した第1原料41は,該袋状キャビティ202の奥に流動した後,この奥から開口部72に向けて発泡するため,上記エアー溜り等の発生を防止することができる。
【0063】
次に,図8,図9(a),(b),(c)に示すごとく,上記第1原料41及び第2原料42の注入が終わった後,上記下型2に対して上型3を閉じる。
下型2と上型3とは,第1原料41及び第2原料42の注入後即座に閉じることが好ましいが,実際の生産工程においては,第1原料41及び第2原料42の発泡が始まり多少の体積膨張をし始めたときに,下型2と上型3とを閉じてもよい。
【0064】
上記開口部72から流入した第1原料41は,上記袋状キャビティ202内で発泡流動し,該袋状キャビティ202を充填する。そして,第1原料41は,袋状キャビティ202を充填した後は,上記開口部72から後方側に流れ出す。
一方,上記フロントキャビティ21に注入した第2原料42は,上記フィルム7の上方を後方側に向けて発泡流動する。このとき,上記袋状キャビティ202は,第1原料41によって満たされているので,フィルム7の強度だけでなく,袋状キャビティ202内の第1原料41によっても,上記第2原料42の重量を効果的に支えることができる。
【0065】
また,上記開口部72以外の場所へ注入された上記第2原料42は,フィルム7の上部を流動するため,フィルム7がない状態の第1原料41の上部を流動する場合に比べて,両原料が混じり合うことがないので流動抵抗が低下し,第2原料42の流動が円滑に行われる。
【0066】
次に,図10,図11(a),(b),(c)に示すごとく,上記第1原料41及び第2原料42の発泡流動が更に進行すると,第1原料41と第2原料42とは,上記側部仕切り板24の上方で互いに接触し,その接触境界において化学的に結合する。
【0067】
そして,最終的には,上記第2原料42は,上記第2発泡体として,上記フロントキャビティ21に上記フロント部11を成形し,上記第1原料41は,上記第1発泡体として,上記サイドキャビティ22に上記サイド部12を,上記リアキャビティ23に上記リア部13を成形する。
このようにして,クッション材1が成形され,成形後のクッション材1は,第1発泡体と第2発泡体との間に上記フィルム7を挟持したまま,下型2から取り出される。
【0068】
上記成形型6は,第1原料41及び第2原料42の注入前に,予め50〜60℃に加温しておく。これにより,注入された第1原料41及び第2原料42を効果的に反応させて発泡流動させることができる。そして,第1原料41及び第2原料42のほとんどが発泡した後に,90〜100℃程度の加熱炉の中を5〜6分ほど通過させて,発泡した第1原料41及び第2原料42を硬化させる。
【0069】
本例においては,上記フィルム7は,上記下型2の底壁面203とほぼ平行に配置している。これに対し,図13(a),(b)に示すごとく,上記側部仕切り板24の形状を変えることによって,上記フィルム7を,上記下型2の底壁面203に対して非平行に配置することもできる。この場合には,上記第1発泡体及び第2発泡体の厚みが所望の位置によって異なる,種々の形状の二層構造を有するクッション材1を成形することができる。
【0070】
また,上記フィルム7を配置した際に,上記開口部72を2箇所に形成して,クッション材1を成形してもよい。
また,本例における製造方法では,シートの座部を成形しているが,シートの背もたれ部についても同様の製造方法で成形することができる。
【0071】
次に,本例の作用効果につき説明する。
本例においては,上記下型2のキャビティ20の任意の位置に,可撓性を有するフィルム7を上記開口部72を形成するように配置する。このフィルム7によってキャビティ20の一部に袋状キャビティ202が区切られて形成され,袋状キャビティ202は開口部72でキャビティ20と連続して繋がっている。
【0072】
次いで,上記開口部72から上記第1原料41を流入させ,一方,上記開口部72以外の箇所へ上記第2原料42を注入する。そして,上記第1原料41と上記第2原料42は,フィルム7によってそれぞれ互いに隔離された状態で発泡しながら,上記第1原料41は,上記フィルム7の下部を,上記第2原料42はフィルム7の上部を流動する。
【0073】
つまり,下型2のキャビティ20において,上記フィルム7が配置してある箇所では,第1原料41と第2原料42とは,互いに影響を及ぼさずに独立して発泡流動する。そのため,フィルム7が配置してある箇所においては,第1原料41と第2原料42とが互いに混流することを防止することができ,第1発泡体及び第2発泡体の厚みが安定したクッション材1を成形することができる。
【0074】
また,上記フィルム7は可撓性を有しており,下型2のキャビティ20の任意の位置に配置することができる。つまり,上記フィルム7は,クッション材1の二層構造の形状を変更したい場合,フィルム7の配置状態を変更して,容易に変更することができる。それ故,二層構造で任意の形状を有するクッション材1を容易に成形することができる。
【0075】
また,上記フィルム7は,上記開口部72を有した状態で配置されており,二つの層が境界部材によって全面で分離されている従来例とは異なる。そのため,成形時に,第1原料41を注入し終わってから第2原料42を注入するというような成形材料の注入の順序を限定する必要がなく,それを避けるために境界部材に注入用穴を形成しておく等の必要もない。それ故,第1原料41及び第2原料42の成形材料の注入が容易で,任意の順序で注入を行うことができると共に,容易にクッション材1を成形することができる。
【0076】
成形後のクッション材1においては,上記第1発泡体と上記第2発泡体との間に上記可撓性のフィルム7を挟持している。このフィルム7は,弾性変形に優れ,上記第1発泡体と第2発泡体との組み合わせによるクッション材1の衝撃緩和特性等の特性に影響を及ぼすことがほとんどない。そのため,優れた特性を有するクッション材1を成形することができる。
上記クッション材1は,成形後には,上記フィルム7を挟持したまま取り出す。そのため,クッション材1の取り出しが容易である。
【0077】
また,本例においては,上記側部仕切り板24,前後仕切り板25又はフィルム7の配置を変えることによって,種々の二層構造の形状を有するクッション材1を成形することができる。
例えば,図14(a)に示すごとく,上記サイドキャビティ22とリアキャビティ23とが上記側部仕切り板24によって完全に仕切られていない下型2を用いて,サイド部12とリア部13とが側部スリット14によって完全に仕切られていないクッション材1を成形することができる。
また,図14(b)に示すごとく,上記側部仕切り板24を前方側と後方側とに直線的に配置してサイドキャビティ22を設け,サイド部12が前方側から後方側まで続いたクッション材1を成形することもできる。
【0078】
実施形態例2
本例は,上記実施形態例1における上記フィルム7が複数の貫通孔を有している例である。この貫通孔の1個当たりの開口部の面積は,1mm2としている。
また,上記フィルム7には,網状体からなるものを用いてもよい。
その他は上記実施形態例1と同様である。
【0079】
本例においては,上記クッション材1の成形中に,第1原料41と第2原料42とが上記複数の貫通孔を介して接し,化学的に結合することができる。そのため,クッション材1の一体的な結合度が向上する。
また,上記フィルム7には,第1原料41による第1発泡体又は第2原料42による第2発泡体と接着性があまり良くないものでも使用することが可能になる。
その他,上記実施形態例1と同様の作用効果を得ることができる。
【0080】
実施形態例3
本例は,図15(a)に示すごとく,上記前後仕切り板25がクッション材1の後方側に寄って配置されており,上記フィルム7を,フロントキャビティ21において,クッション材1の前方側に開口部72を形成するように配置する例である。また,上記下型2は,クッション材1の前方側が後方側に対して水平方向で上方に位置するようにして形成されている。
また,図15(b)に示すごとく,本例におけるクッション材1は,上記フロント部11における前縁部111も第1原料41と第2原料42とによる二層構造を有するように成形される。
その他は上記実施形態例1と同様である。
【0081】
本例に示すように,上記二層構造を有するクッション材1は,キャビティ20を形成する角度,前後仕切り板25及びフィルム7の配置を変更することによって,様々な形状の二層構造を有するクッション材1を成形することができる。
その他,上記実施形態例1と同様の作用効果を得ることができる。
【0082】
実施形態例4
本例は,図17(a),(b)に示すごとく,上記フィルム7を,上記下型2における側部仕切り板24及び前後仕切り板25に固定する際に,弛んだ状態で配置する例である。
また,図16,図17(a),(b)に示すごとく,上記下型2においては,一対の上記側部仕切り板24の間に,上記フィルム7を支持する棒状の支持具27が設けてあり,該支持具27にも上記固定具26を設けて,フィルム7を固定している。
その他は上記実施形態例1と同様である。
【0083】
図17(b)に示すごとく,本例においては,上記開口部72から上記第1原料41を流入させたときに,上記フィルム7によって形成された上記袋状キャビティ202を膨張させて,第1原料41による上記第1発泡体の厚みを部分的に大きくすることができる。そのため,第1発泡体の厚みに任意の変化を持たせることができる。
その他,上記実施形態例1と同様の作用効果を得ることができる。
【0084】
実施形態例5
本例は,自動車用座席の背もたれ部であるシートバックに用いる,クッション材8を示す。
まず,上記クッション材8は,図18〜図20に示すごとく,自動車の乗員の背に面する表面部83とその両側に側部スリット14を介して設けられたサイド部82と,上記表面部83の裏面側に位置する裏面部81とからなる。また,上記表面部83の上部には裏面部81に連なる上部811との間に上記スリットを有する。
【0085】
そして,上記表面部83は袋状キャビティ202に注入される第2原料42により成形され,一方上記裏面部81及びサイド部82は袋状キャビティ202以外の部分に注入される第1原料41により成形される(図22)。
また,表面部83と裏面部81及びサイド部82との間には,図19,図20に示すごとく,可撓性を有するフィルム7が配設されている。
表面部83は,下部831と中央部832とからなる。下部831と裏面部81との間には,フィルム7は介在しておらず,両者の間は接合されている(図19)。
そして,上記表面部83は,着座時に主に背中が当る部分の感触を柔かくするために,軟質の材料により形成する。それ故,第2原料42は,第1原料41よりも軟質となる材料を用いる。
【0086】
また,裏面部81は,上方に,表面部83とは反対側へ屈曲形成した突出長部812を,下方向に突出短部814を有する。そして,突出長部812と裏面部81との間には凹部813,突出短部814と裏面部81との間には凹部815を有している。
また,図20に示すごとく,サイド部82の裏側の左右には,内側方向へ屈曲形成した突出部823,823を有し,該突出部823と裏面部81との間には凹部824を形成している。これら凹部813,815,824は,クッション材8をシート骨格に取り付けるための凹部である。
【0087】
上記のクッション材8を成形するに当っては,図21に示すごとく,下型2のキャビティ20に,上記フィルム7を配置し,開口部72を有する袋状キャビティ202を形成する。
次いで,クッション材8の裏面部81,サイド部82を形成するためのキャビティ201に第1原料41を,また上記開口部72からは表面部83を形成するための袋状キャビティ202内へ第2原料42を流入させる。
【0088】
そして,図22に示すごとく,袋状キャビティ202に流入した第2原料42は,上記開口部72に向って発泡し,表面部83を形成する。一方,上記第1原料41も発泡し,裏面部81及びサイド部82を形成する。これにより,上記のクッション材8が得られる。
その他は,実施形態例1と同様であり,実施形態例1と同様の作用効果を得ることができる。
【0089】
【発明の効果】
上述のごとく,本発明によれば,任意の二層構造の形状を有し,優れた特性を有するクッション材を容易に成形することができ,成形材料の注入を容易に,かつ原料注入の順序に制約を受けずに行うことができるクッション材の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態例1における,クッション材を示す斜視図。
【図2】 実施形態例1における,(a)図1におけるA−A矢視断面図,(b)図1におけるB−B矢視断面図。
【図3】 実施形態例1における,製造装置を示す説明図。
【図4】 実施形態例1における,第2原料を注入した状態の成形型を示す平面図。
【図5】 実施形態例1における,第2原料を注入した状態の成形型を示す図で,(a)図4におけるA−A矢視断面図,(b)図4におけるB−B矢視断面図,(c)図4におけるC−C矢視断面図。
【図6】 実施形態例1における,第1原料を注入した状態の成形型を示す平面図。
【図7】 実施形態例1における,第1原料を注入した状態の成形型を示す図で,(a)図6におけるA−A矢視断面図,(b)図6におけるB−B矢視断面図,(c)図6におけるC−C矢視断面図。
【図8】 実施形態例1における,下型と上型とを閉じた状態の成形型を示す平面図。
【図9】 実施形態例1における,上型と下型とを閉じた状態の成形型を示す図で,(a)図8におけるA−A矢視断面図,(b)図8におけるB−B矢視断面図,(c)図8におけるC−C矢視断面図。
【図10】 実施形態例1における,上型と下型とを閉じてから,ほとんど発泡が行われた状態の成形型を示す平面図。
【図11】 実施形態例1における,上型と下型とを閉じてから,ほとんど発泡が行われた状態の成形型を示す図で,(a)図10におけるA−A矢視断面図,(b)図10におけるB−B矢視断面図,(c)図10におけるC−C矢視断面図。
【図12】 実施形態例1における,(a)仕切り板に固定具を設けた状態を示す斜視図,(b)フィルムの端部を折り曲げて固定具に突き刺した状態を示す説明図。
【図13】 実施形態例1における,フィルムを下型の底面に対して非平行に配置した場合を示す図で,(a)図8におけるA−A矢視相当の断面図,(b)仕切り板を示す斜視図。
【図14】 実施形態例1における,他の下型を示す図で,(a)サイドキャビティとリアキャビティとが側部仕切り板によって完全に仕切られていない場合,(b)側部仕切り板を前方側と後方側とに直線的に配置してサイドキャビティを設けた場合の下型を示す平面図。
【図15】 実施形態例3における,(a)前後仕切り板を後方側に寄せて配置し,フィルムを前方側に開口部を形成するようにして配置した成形型を示す断面図,(b)フロント部における前縁部が第1原料と第2原料とによる二層構造を有するクッション材を示す図1におけるA−A矢視相当の断面図。
【図16】 実施形態例4における,成形型を示す平面図。
【図17】 実施形態例4における,成形型を示す図で,(a)フィルムを下型のキャビティに弛んだ状態で固定した状態,(b)開口部より第1原料を流入させたときに,フィルムによって形成された袋状キャビティが膨張した状態の成形型を示す断面図。
【図18】 実施形態例5における,シートバック用のクッション材を示す斜視図。
【図19】 実施形態例5における,図18のF−F矢視断面図。
【図20】 実施形態例5における,図18のG−G矢視断面図。
【図21】 実施形態例5における,フィルムを装着した下型の断面説明図。
【図22】 実施形態例5における,上型と下型とを閉じた状態の第1原料,第2原料の発泡状態の説明図。
【符号の説明】
1...クッション材,
11...フロント部,
12...サイド部,
13...リア部,
2...下型,
20...キャビティ,
202...袋状キャビティ,
21...フロントキャビティ,
22...サイドキャビティ,
23...リアキャビティ,
24...側部仕切り板,
25...前後仕切り板,
3...上型,
41...第1原料,
42...第2原料,
6...成形型,
7...フィルム,
72...開口部,
8...クッション材,
81...裏面部,
82...サイド部,
83...表面部,
Claims (7)
- 下型と上型とを用いて発泡成形を行うクッション材の製造方法において,
上記下型には,上記クッション材の表面側を成形するキャビティの一部を仕切るようにして設けた仕切りが配置してあり,該仕切りは,上記キャビティを前後に仕切る前後仕切りと,上記キャビティを左右両側のサイドキャビティと,その間の中央キャビティとに仕切る一対の側部仕切りとからなり,
上記発泡成形を行うに当って,可撓性を有するフィルムを,上記前後仕切りと上記一対の側部仕切りとに架け渡すことによって,当該フィルム,当該前後仕切り,当該一対の側部仕切り及び上記下型の底壁面によって囲まれた袋状キャビティを形成すると共に,当該フィルムの端部と当該一対の側部仕切りと下型の底壁面とで開口部を形成し,
かつ,上記下型の底壁面を前後方向に傾斜する状態にすることにより,上記開口部を斜め上方位置で開口させておき,
上記開口部から上記袋状キャビティ内へ,発泡性を有する第1原料と発泡性を有し発泡が完了した時点において上記第1原料からなる発泡体よりも軟質の発泡体となる第2原料のうちのいずれか一方を流入させ,一方,上記開口部以外の箇所へ上記第1原料と上記第2原料のうちの他方を注入し,
その後,上記下型と上記上型とを閉じて,上記フィルムを境界層にして上記第1原料と上記第2原料とを共に発泡成形させて,上記第1原料からなる第1発泡体と,上記第2原料からなる第2発泡体との二層構造を有し,かつ両者の間には上記フィルムを挟持させてなるクッション材を成形することを特徴とするクッション材の製造方法。 - 請求項1において,上記フィルムの端部を固定具によって上記下型に固定することを特徴とするクッション材の製造方法。
- 請求項1又は2において,上記フィルムは複数の貫通孔を有していることを特徴とするクッション材の製造方法。
- 請求項1又は2において,上記フィルムは網状体からなることを特徴とするクッション材の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか一項において,上記フィルムを,上記キャビティの底壁面にほぼ平行に配置することを特徴とするクッション材の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか一項において,上記フィルムを,上記キャビティの底壁面に非平行に配置することを特徴とするクッション材の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれか一項において,上記フィルムを,上記下型のキャビティに固定する際に,弛んだ状態で配置することを特徴とするクッション材の製造方法。
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