JP3774951B2 - ウェーハ洗浄装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はウェーハ洗浄装置に関し、詳細には、密閉型のチャンバ内でウェーハを回転させながら洗浄液を供給してスピン洗浄するウェーハ洗浄装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体製造ライン等におけるスピン式のウェーハ洗浄装置では、フッ化水素酸、オゾン添加超純水、超純水等の高純度で活性の高い洗浄液を用いることから、一般に、その内部雰囲気の調整が可能な密閉型に構成されている。そして基本構成部として、その概要図である〔図3〕に示すように、ウェーハ(W) を移載するために上部(31b) と下部(31a) に分割して開放可能とした密閉型のチャンバ(31)と、このチャンバ(31)内に配され、ウェーハ(W) を保持して回転するウェーハチャック(32)と、そのウェーハ(W) 上に洗浄液を供給するノズル(33)とを備え、そのノズル(33)からウェーハチャック(32)で保持・回転させているウェーハ(W) 上に洗浄液を供給し、遠心力によって該ウェーハ(W) 表面に分散させて洗浄を行う構成とされている。また通常、その洗浄時には、図示省略の循環供給系によりチャンバ(31)内を窒素やアルゴンなどの不活性ガスでパージする。
【0003】
一方、この種の洗浄装置では、処理液がチャンバ内に滞留しないように速やかに排出する必要がある。そこで、例えば、特開平6-224173号公報に開示された洗浄装置では、その縦断面図である〔図4〕に示すように、チャンバ(41)内の上部にウェーハ(W) の周囲を覆うカップ(41a) を設ける一方、そのチャンバ(41)底部の、ウェーハチャック(42)の回転軸芯に近い位置に環状の第1排出口(43)を設けると共に、この第1排出口(43)よりも回転軸芯から遠いウェーハ(W) 外周縁に近い位置に第2排出口(44)を設け、回転するウェーハ(W) 外周縁から外方に飛び散った処理液を第2排出口(44)から排出しながら、その外周縁からチャンバ(41)底部に流下した処理液を環状の第1排出口(43)から速やかに排出し、これにより処理液に起因するウェーハへのミストの付着を防止している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来のウェーハ洗浄装置では、密閉型のチャンバを上下部に2分割して開放可能な構成としているため、次のような問題が派生している。
すなわち、この種のウェーハ洗浄装置では、ウェーハをスピン洗浄する際に洗浄液がチャンバ周壁面や上壁面に飛散し、多数の液滴が壁面に付着してしまうので、そのチャンバを開放してウェーハを移載する際に、上部チャンバから液滴がウェーハ上に落下し、洗浄済のウェーハ表面を汚染するという問題がしばしば発生する。
また、上記後者の洗浄装置(特開平6-224173号)では、ウェーハの周囲を覆うカップによって洗浄液の無制御な飛散は防止できるものの、そのカップ内面に液滴が付着することは避け難いため、その液滴が移載時のウェーハ上に落下することを完全には防止できない。
【0005】
本発明は、上記従来技術の問題点を解消するためのもので、移載するウェーハ上への液滴の落下を完全に防止でき、しかもウェーハの移載を容易かつ円滑に行うことのできるウェーハ洗浄装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成とされている。すなわち、請求項1の発明は、一方を開閉可能とした下部および上部チャンバを備えてなるチャンバ内の、下部チャンバ中心部に垂直軸心回りに駆動回転されるウェーハ保持具を配設すると共に、このウェーハ保持具の上方に少なくとも1つの洗浄ノズルを配設し、該洗浄ノズルから前記ウェーハ保持具に保持されたウェーハ上に洗浄液を供給してスピン洗浄するウェーハ洗浄装置において、前記ウェーハ保持具に保持されるウェーハの外径よりも少し大きい内径を有すると共に、外周側が斜め下方にラッパ状に拡径するテーパ管部と、このテーパ管部外縁から下方に向かう円筒部とを有してなるカバーを、前記ウェーハ保持具を同芯に囲繞して、上下動可能に前記下部チャンバ上に配設しており、前記上部チャンバに、該上部チャンバ上壁の前記ウェーハ保持具の回転軸線上に位置する部位を気密に貫通し、その下端部に前記ウェーハ保持具に保持されたウェーハ上面を指向して該ウェーハに対して垂直な気流を発生させる垂直噴射口を中心部に有すると共に、該垂直噴射口の外周側に前記カバーのテーパ管部を指向する斜め下方にラッパ状に拡径されて該カバーの内壁面に沿う気流を発生させるスリット状の斜角噴射口を周設してなるガス噴射ノズルを設けていることを特徴とするウェーハ洗浄装置である。
【0008】
また、請求項2の発明は、請求項1記載のウェーハ洗浄装置において、前記洗浄ノズルが、外部の回転機構に連結された基端部を前記上部チャンバの外周部上壁を気密に貫通させて該チャンバ内上部に配された水平回動アームに支持されて、その先端の噴射口を前記ウェーハ保持具に保持されたウェーハ中心部上からチャンバ周壁側に回動退避可能に配設されていることを特徴とするものである。
【0009】
上記本発明のウェーハ洗浄装置では、ウェーハ保持具に保持されるウェーハの外径よりも少し大きい内径を有し、かつ外周側が斜め下方にラッパ状に拡径するテーパ管部と、このテーパ管部外縁から下方に向かう円筒部とを有してなるカバーを、ウェーハ保持具を同芯に囲繞して、上下動可能に下部チャンバ上に配設しているので、ウェーハのスピン洗浄時において、このカバーを、該カバーのテーパ管部内縁がウェーハ保持具で保持したウェーハ上面を越える高さ位置まで上昇させることで、回転するウェーハ上に供給され遠心力によって外周縁から外方に飛び散る処理液を、該カバーのテーパ管部内面で受け、その内面と続く円筒部の内面に沿わせて下方に流下させ、これにより処理液が無制御に飛散してその液滴がチャンバ周壁面や上壁面に付着することを防止できる。
また、ウェーハのスピン洗浄後、チャンバを開放して該ウェーハを移載する際には、このカバーを、ウェーハ保持具で保持したウェーハよりも低い高さ位置まで下降させることで、該カバーに付着した液滴がウェーハ上に落下することを完全に防止できる。また、これによりウェーハの移載を円滑かつ容易に行うことができる。
【0010】
ここで、カバーのテーパ管部の内径は、ウェーハからの処理液の飛散を確実に制御するために、該カバーの昇降時に、ウェーハ保持具で保持したウェーハ外周が衝突せずに通過させ得る範囲内でより小さな径に設定されることが好ましい。また、そのテーパ管部の水平面に対する傾斜角度を、90度以上にすると、ウェーハの外周縁から飛び散る処理液が、その内面に衝突して上方に向けて飛散し、上部チャンバ上壁面に液滴が付着してしまい、また90度未満45度以上では、その内面に衝突して続く円筒部に向かうことなく直接的に下方に向けて飛散し、これがチャンバ底面で跳ね返ってウェーハ裏面に付着してしまい、一方、10度未満では、続く円筒部内面に衝突して内方に向けて跳ね返ってウェーハ裏面に付着してしまう。従って、ウェーハから飛び散る処理液を、カバー内面に沿わせて効果的に下方に流下させるには、そのテーパ管部の水平面に対する傾斜角度は、10度以上45度未満の範囲内に設定することが好ましい。
【0011】
また、上部チャンバに、その上壁を貫通し、下端部にウェーハ保持具に保持されたウェーハに対して垂直な気流を発生させる垂直噴射口を中心部に有すると共に、該垂直噴射口の外周側にカバーの内壁面に沿う気流を発生させるスリット状の斜角噴射口を周設してなるガス噴射ノズルを設けることで、ウェーハのスピン洗浄後に、このガス噴射ノズルの垂直噴射口からウェーハ上面の遠心力の働かない中心部にガス気流を吹き付けて残留液滴の除去および乾燥を行う一方、外周側に周設したスリット状の斜角噴射口からカバー内面にガス気流を吹き付けて、該カバー内面に付着した液滴を完全に除去でき、これによって移載時におけるウェーハ上への液滴の落下をより確実に防止することができる。
【0012】
また、洗浄ノズルを、外部の回転機構に連結された基端部を上部チャンバの外周部上壁を気密に貫通させてチャンバ内上部に配された水平回動アームに支持させ、その先端の噴射口をウェーハ保持具に保持されたウェーハ中心部上からチャンバ周壁側に回動退避可能に配設することで、この洗浄ノズルの噴射口を、スピン洗浄後直ちに、かつチャンバ内の雰囲気を漏らすことなく、ウェーハ上から回動退避させて、該噴射口から処理液が洗浄済のウェーハ上に漏出滴下することを回避することができる。また、これにより洗浄後におけるチャンバ内の雰囲気パージを確実に行えると共に、ウェーハの移載を円滑かつ容易に行うことができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
〔図1〕は、本発明のウェーハ洗浄装置の1実施形態の概要構成を示す図面であって、 (a)図は縦断面図、 (b)図は一部を切欠いて示す上面図である。
【0014】
〔図1〕において、(1) はチャンバであって、このチャンバ(1) は、上下方向で下部チャンバ(2) と上部チャンバ(3) とに2分割され、かつ両者間は上部チャンバ(3) の下端面に介装したOリング(3b)によって外部とシールされると共に、それぞれの内面部は、フッ化水素酸などの薬液に耐えるように、PTFEなどの樹脂によって構成され、これによって活性の高い薬液の使用に耐える密閉容器に形成されている。
【0015】
また、このチャンバ(1) の下部チャンバ(2) は、図示省略のエレベータまたはシリンダ等の昇降機構によって昇降し、固定的に配置された上部チャンバ(3) に対して開閉するものとされている。一方、上部チャンバ(3) の側壁には、図示省略の不活性ガス供給系に接続されたガス導入孔(3a)が設けてあり、このガス導入孔(3a)を介して導入する窒素、アルゴンなどの不活性ガスによって内部をパージできるようになっており、また下部チャンバ(2) の底部には、内部のガスおよび洗浄液を排出するドレイン(2a)が設けてある。
【0016】
(4) は真空チャックであって、この真空チャック(4) は、下部チャンバ(2) の中心部に配設され、該下部チャンバ(2) が内蔵するACサーボモータ、DCモータなどの電動モータ(2b)で駆動されてウェーハ(W) を吸着保持して垂直軸心回りに水平回転するものとされている。
【0017】
(5) は洗浄ノズルであって、この洗浄ノズル(5) は、PFA、PTFEなどの可撓性を有する樹脂からなる洗浄液導入管(5b)の先端に噴射口(5a)を取着してなり、その洗浄液導入管(5b)を上部チャンバ(3) の外周部上壁を気密に貫通させて図示省略の外部の洗浄液供給装置に接続し、その供給装置からのフッ化水素酸、オゾン添加超純水、超純水などの洗浄液をチャンバ(1) 内に導入して、真空チャック(4) に保持されたウェーハ(W) 上に供給するものとされている。
【0018】
また、この洗浄ノズル(5) は、上部チャンバ(3) 上に配置したロータリーアクチュエータ(11) に連結された基端部の回動軸(6a)を、シールカップリング(12)を介して、該上部チャンバ(3) 外周部の上壁を気密に貫通させて、チャンバ(1) 内上部に配された水平回動アーム(6) に支持されており、これにより (b)図中の一点鎖線で示すように、その先端の噴射口(5a)を、真空チャック(4) に保持されたウェーハ(W) の中心部上から該ウェーハ(W) 外側のチャンバ(1) 周壁側に向けて回動退避できるようにされている。
【0019】
(7) はカバーであって、このカバー(7) は、真空チャック(4) に保持されるウェーハ(W) の外径よりも10mm大きい内径を有すると共に、外周側が斜め下方にラッパ状に拡径し、水平面に対する角度が30度となるテーパ管部(7a)と、このテーパ管部(7a)外縁から下方に向かう円筒部(7b)とを有してなり、下部チャンバ(2) 内底の真空チャック(4) の回転軸芯と同芯の円周上に 120度間隔に放射状に配された3個のカバー保持具(8) の内側端部に下端を支持され、真空チャック(4) を同芯に囲繞して上下動自由に配されている。
【0020】
一方、カバー保持具(8) は、下部チャンバ(2) 内底に立設した支持部材(8a)の上部に設けたピン軸(8b)に中間部を支持されており、該ピン軸(8b)を支点として揺動することで内側端部で支持したカバー(7) を昇降させるものとされている。
また、各カバー保持具(8) それぞれの外端部上に位置する上部チャンバ(3) の周壁面には、該上部チャンバ(3) に対して下部チャンバ(2) が上昇して両者間が閉塞されたとき、各カバー保持具(8) の外側端部を同期して押し下げて水平方向に回動させる押下げ突部(3c)が突設してあり、一方、支持部材(8a)には、カバー保持具(8) の内端部の回動下降を規制するストッパ(8c)が設けてある。
そして、この構成のもとで、チャンバ(1) を閉塞してウェーハ(W) をスピン洗浄する際には、前記カバー(7) を、そのテーパ管部(7a)の上縁が、真空チャック(4) で保持したウェーハ(W) を越える高さ位置まで上昇させ、また、洗浄後にチャンバ(1) を開放してウェーハ(W) を移載する際には、真空チャック(4) 上のウェーハ(W) よりも低い高さ位置まで自重によって自動的に下降させるようにしている。
【0021】
なお、本例では、このカバー(7) が下降した時、テーパ管部(7a)上部内縁の高さが、真空チャック(4) で保持したウェーハ(W) 上面よりも10mm程度低くなる高さ位置を基準下限とし、これにより該カバー(7) が、真空吸着ペン等のウェーハ(W) の搬送具と干渉しないようにしている。また、円筒部(7b)は、該カバー(7) が上限にあるとき、真空チャック(4) で保持したウェーハ(W) よりも20mm低い高さ位置から下方に向かうものとしている。
【0022】
翻って、上部チャンバ(3) には、その上部壁の真空チャック(4) の回転軸線上に位置する中心部を気密に貫通して、図示省略の不活性ガス供給系に接続されたガス導入管(9) が設けられると共に、このガス導入管(9) の下端部に、該チャンバ(1) 内に不活性ガスを吹き込むガス噴射ノズル(10)が設けてある。
また、このガス噴射ノズル(10)は、ラッパ状に斜め下方に大きく拡径させた上部ノズル管部材内に、垂直下方に緩やかに拡径させた貫通孔を中心部に有する台形状の下部ノズル管部材を所定小間隙をおいて同芯に挿入すると共に、両者を中間部の円周方向に配した複数の締結具を介して連結することで、その中心部に、真空チャック(4) に保持されたウェーハ(W) の上面を指向して該ウェーハ(w) に対して垂直な気流を発生させる垂直噴射口(5a)を設けると共に、その垂直噴射口(5a)の外周側に、上昇したカバー(8) のテーパ管部(8a)を指向して該カバー(8) の内壁面に沿う気流を発生させるスリット状の斜角噴射口(10b) を周設してなる構成とされている。
【0023】
上記構成の本例のウェーハ洗浄装置による洗浄処理の手順を、その作動説明図である〔図2〕により説明する。
まず (a)図に示すように、下部チャンバ(2) を下降させてチャンバ(1) を開放して、内部の真空チャック(4) 上にウェーハ(W) を載置・吸着させる。
このとき、上部チャンバ(3) の押下げ突部(3c)が、カバー保持具(8) から離れ、カバー(7) が自重によって真空チャック(4) 上面よりも10mm程度低い下限高さまで自動的に下降しているので、真空吸着ペンなどの搬送具と干渉することなく、ウェーハ(W) を真空チャック(4) 上に容易に移載することができる。
一方、洗浄ノズル(5) の噴射口(5a)は、ロータリーアクチュエータ(11)で水平回動アーム(6) の回動させることで、チャンバ(1) 周壁側に回動退避させておき、その噴射口(5a)から処理液がウェーハ(W) 上に滴下することを防ぐ。
【0024】
次いで、 (b)図に示すように、下部チャンバ(2) を上昇させてチャンバ(1) を閉塞すると共に、上部チャンバ(3) のガス導入孔(3a)を介して導入した不活性ガスによって内部をパージする。このとき、各カバー保持具(8) は、上部チャンバ(3) の押下げ突部(3c)によって外端部を押し下げられて水平方向に回動し、その内端部で支持するカバー(7) を、そのテーパ管部(7a)上部内縁が、真空チャック(4) で保持したウェーハ(W) 上面を越える上限高さ位置まで上昇させる。
【0025】
続いて、電動モータ(2b)によって真空チャック(4) を駆動回転させると共に、水平回動アーム(6) の作動により、 (b)図中の一点鎖線で示すように、洗浄ノズル(5) の噴射口(5a)を回転するウェーハ(W) の中心上に位置させて、その噴射口(5a)からウェーハ(W) 上面に処理液を供給してスピン洗浄する。
このとき、ウェーハ(W) 上に供給された処理液は、遠心力によって該ウェーハ(W) の表面に分散して洗浄効果を果たすと共に、その外周縁から外方に飛散するが、本例では、このウェーハ(W) を上昇したカバー(7) が囲繞しているので、外方に飛び散る処理液を、該ウェーハ(W) を囲繞するカバー(7) のテーパ管部(7a)内面で受け、その内面と続く円筒部(8b)の内面に沿わせて下方に流下させ、これにより処理液が無制御に飛散してその液滴がチャンバ(1) 周壁面や上壁面に付着することを防止することができる。また、このカバー(7) の円筒部(7b)は、該カバー(7) が上限にあるとき、真空チャック(4) 上のウェーハ(W) よりも20mm低い高さ位置から下方に向かうものとしているので、つまりテーパ管部(7a)との接続屈曲部をウェーハ(W) よりも低い位置としているので、テーパ管部(7a)内面で受けた処理液が円筒部(7b)に衝突して液滴がウェーハ(W) 裏面に跳ね返ることを防止できる。
一方、下方に流下させた処理液は、下部チャンバ(2) の底部に設けたドレイン(2a)を介して外部に排出させる。
【0026】
次いで、そのスピン洗浄後に、真空チャック(4) の回転を継続しながら処理液の供給を停止し、洗浄ノズル(5) の噴射口(5a)をチャンバ(1) 周壁側に回動退避させると共に、上部チャンバ(3) のガス導入管(9) を介して導入した不活性ガスを、ガス噴射ノズル(10)の垂直噴射口(10a) から回転するウェーハ(W) 上面の遠心力の働かない中心部に流を吹き付けて残留液滴の除去および乾燥を行う一方、その外周側に周設したスリット状の斜角噴射口(10b) からカバー(7) 内面に吹き付けることで、該カバー(7) 内面に付着した液滴を除去する。
【0027】
続いて、ガス噴射ノズル(10)からの不活性ガスの吹き込みおよび真空チャック(4) の回転を停止すると共に、下部チャンバ(2) を下降させてチャンバ(1) を開放して、洗浄済のウェーハ(W) を移載する。
このとき、 (a)図に示したように、カバー(7) が下限高さまで自動的に下降しており、かつ内面の液滴は上記ガス気流によって除去されているので、該カバー(7) から移載するウェーハ(W) 上に液滴が落下することは完全に防止される。
また、洗浄ノズル(5) の噴射口(5a)は、チャンバ(1) 周壁側に退避させているので、その噴射口(5a)から処理液がウェーハ(W) 上にボタ落ちすることも防止することができる。更にまた、カバー(7) は真空チャック(4) 上面よりも10mm程度低い下限高さまで下降しているので、真空吸着ペンなどの搬送具と干渉することなく、ウェーハ(W) を移載を円滑かつ容易に行うことができる。
【0028】
以上のようにしてスピン洗浄する本実施例のウェーハ洗浄装置では、スピン洗浄時にウェーハ外周縁から外方に飛び散る処理液を、チャンバの閉塞時に上昇して該ウェーハを囲繞するカバーで受けて下方に流下させ、無制御に飛散してその液滴がチャンバ周壁面や上壁面に付着することを防止できると共に、スピン洗浄後にカバー内面に付着した液滴を確実に除去し、かつチャンバの開放により自動的に該ウェーハより低い位置に下降させることができ、よって移載するウェーハ上への液滴の落下を完全に防止できると共に、ウェーハの移載を容易かつ円滑に行うことができて、ウェーハの歩留りと処理効率とを向上させることができる。
【0029】
なお、上記例では、カバーのテーパ管部は、処理対象とするウェーハの外径よりも10mm大きい内径を有し、かつ水平面に対する角度が30度のものとしたが、これは1例であって、本発明はこれに限定されるものではない。
すなわち、このカバーのテーパ管部の内径は、ウェーハからの処理液の飛散を確実に制御するために、該カバーの昇降時に、真空チャックで保持したウェーハ外周が衝突せずに通過させ得る範囲内でより小さな径に設定されることが好ましい。 また、そのテーパ管部の水平面に対する傾斜角度は、大きすぎると、ウェーハの外周縁から飛び散る処理液が、その内面に衝突して続く円筒部に向かうことなく直接的に下方に向けて飛散し、これがチャンバ底面で跳ね返ってウェーハ裏面に付着してしまい、一方、小さすぎると、続く円筒部内面に衝突して内方に向けて跳ね返ってウェーハ裏面に付着してしまうので、その傾斜角度は、10度以上45度未満の範囲内に設定することが好ましい。
【0030】
また、上記例では、フッ化水素酸、オゾン添加超純水、超純水などの洗浄液を1つの洗浄ノズルからウェーハ上に供給するものとしたが、これは1例であって、例えば、同様構成の洗浄ノズルを真空チャックの回転軸と同芯の円周上に互いに干渉しない間隔をおいて複数設け、それぞれから異なる洗浄液を導入してウェーハ上に供給するものとされても良い。
【0031】
【発明の効果】
以上に述べたように、本発明に係るウェーハ洗浄装置では、スピン洗浄時にウェーハ外周縁から外方に飛び散る処理液を、チャンバの閉塞時に上昇して該ウェーハを囲繞するカバーで受けて下方に流下させ、無制御に飛散してその液滴がチャンバ周壁面や上壁面に付着することを防止できると共に、スピン洗浄後にカバー内面に付着した液滴を確実に除去し、かつチャンバの開放により自動的に該ウェーハより低い位置に下降させることができ、よって移載するウェーハ上への液滴の落下を完全に防止できると共に、ウェーハの移載を容易かつ円滑に行うことができて、ウェーハの歩留りと処理効率とを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のウェーハ洗浄装置の1実施形態の概要構成を示す図面であって、 (a)図は縦断面図、 (b)図は一部を切欠いて示す上面図である。
【図2】本発明の1実施形態のウェーハ洗浄装置の作動説明図である。
【図3】従来のスピン式ウェーハ洗浄装置の基本構成を示す概要図である。
【図4】従来の洗浄装置の実施形態例の構成を示す縦断面図である。
【符号の説明】
(1) --チャンバ、(2) --下部チャンバ、(2a)--ドレイン、(2b)--電動モータ、(3) --上部チャンバ、(3a)--ガス導入孔、(3b)--Oリング、(3c)--押下げ突部、(4) --真空チャック、(5) --洗浄ノズル、(5a)--噴射口、(5b)--洗浄液導入管、(6) --水平回動アーム、(6a)--回動軸、(7) --カバー、(7a)--テーパ管部、(7b)--円筒部、(8) --カバー保持具、(8a)--支持部材、(8b)--ピン軸、(8c)--ストッパ、(9) --ガス導入管、(10)--ガス噴射ノズル、(10a) --垂直噴射口、(10b) --斜角噴射口、(10c) --締結具、(11)--ロータリーアクチュエータ、(12)--シールカップリング、(W) --ウェーハ。

Claims (2)

  1. 一方を開閉可能とした下部および上部チャンバを備えてなるチャンバ内の、下部チャンバ中心部に垂直軸心回りに駆動回転されるウェーハ保持具を配設すると共に、このウェーハ保持具の上方に少なくとも1つの洗浄ノズルを配設し、該洗浄ノズルから前記ウェーハ保持具に保持されたウェーハ上に洗浄液を供給してスピン洗浄するウェーハ洗浄装置において、前記ウェーハ保持具に保持されるウェーハの外径よりも少し大きい内径を有すると共に、外周側が斜め下方にラッパ状に拡径するテーパ管部と、このテーパ管部外縁から下方に向かう円筒部とを有してなるカバーを、前記ウェーハ保持具を同芯に囲繞して、上下動可能に前記下部チャンバ上に配設しており、前記上部チャンバに、該上部チャンバ上壁の前記ウェーハ保持具の回転軸線上に位置する部位を気密に貫通し、その下端部に前記ウェーハ保持具に保持されたウェーハ上面を指向して該ウェーハに対して垂直な気流を発生させる垂直噴射口を中心部に有すると共に、該垂直噴射口の外周側に前記カバーのテーパ管部を指向する斜め下方にラッパ状に拡径されて該カバーの内壁面に沿う気流を発生させるスリット状の斜角噴射口を周設してなるガス噴射ノズルを設けていることを特徴とするウェーハ洗浄装置。
  2. 前記洗浄ノズルが、外部の回転機構に連結された基端部を前記上部チャンバの外周部上壁を気密に貫通させて該チャンバ内上部に配された水平回動アームに支持されて、その先端の噴射口を前記ウェーハ保持具に保持されたウェーハ中心部上からチャンバ周壁側に回動退避可能に配設されていることを特徴とする請求項1記載のウェーハ洗浄装置。
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