JP3774083B2 - 濾過装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は濾過装置に係り、例えば各種の産業機械において使用された後に、液体と固体の混在した汚濁液を濾過して分離して、液体または固体を再使用するために回転駆動される濾過ドラムに巻き付けられる濾過フィルターを簡単に交換可能にした濾過装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、金属切削加工の使用後に切粉を含んだ状態になった切削油を、切粉と切削油に分離して再使用可能にする切削油(以下、浄化切削油と言う)を得るための濾過装置が多く提案されている。
【0003】
このような濾過装置には、回転駆動される濾過ドラムの外周面に形成された開口部に対して濾過フィルターが着脱自在に巻き付けられており、所定運転時間の経過後または破損が発生した場合に交換するように構成されている。
【0004】
図6は、従来の濾過ドラムの外観斜視図であり、濾過ドラムを円筒状に構成した場合を示している。本図において主軸204回りに回転するように支持される濾過ドラム201の外周面には複数の開口部202が設けられており、これらの開口部に対して濾過フィルター220を巻き付けるように固定するスタッドボルト205がラジアル方向に一定間隔で溶接されている。濾過フィルター220は濾過ドラム201側のスタッドボルト205に挿通する位置に取付け孔部220cが穿設されるとともに、所定番手のフィルター部220bが設けられている。このように構成される濾過フィルター220を濾過ドラム201に巻き付けるようにして固定するために、取付け孔部220cの夫々をスタッドボルト205に対して挿入し、濾過フィルター220の全体を巻き付けた後に、濾過ドラムの外周の円弧に沿うように予め曲げ加工された固定金具221であって、上記のスタッドボルト205のピッチに適合するピッチで穿設された貫通孔部221bを図示のようにセットしてから、ナット31をスタッドボルト205に対して螺合して固定するようにしている。
【0005】
以上のようにして濾過ドラムの外周面の縁部近傍に濾過フィルターを固定するようにして、巻き付け後の濾過フィルターが濾過ドラム220の回転軸のスラスト方向の中央側に移動することを防止し、かつ濾過フィルター220を液密状態に保持するようにしている。
【0006】
上述のように濾過フィルターを固定する作業は、(a)全てのスタッドボルト205に対して取付け孔部220cを挿入して、(b)濾過フィルター220の全体を巻き付けた状態にした後に、(c)多数の固定金具221をセットしてから、(d)ナット31を各スタッドボルト205に対して螺合して固定する少なくとも4つの異なる作業が必要となる。このように濾過フィルター220全体を完全に取り外すので、濾過ドラムが液槽中に設置される状態で交換すると、汚濁液が濾過ドラム中に進入してしまうので、交換作業は液槽から汚濁液を完全に抜き出してから行なわれる。
【0007】
また、本願出願人は、特開平10−113512号公報に開示される濾過装置において、上記の濾過フィルター交換作業時間を大幅に短縮する提案をしているように、鋭意努力を行なっている。
【0008】
しかし、液槽から汚濁液を完全に抜き出すためには余計な時間が掛かることから、濾過ドラムを多角柱形状とし、開口部を6個所以上に分割して、液槽の液面より上に開口部が位置することを可能にした濾過装置も提案されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように濾過フィルター交換作業に時間を要することは、濾過装置を配管したいる他の機械設備全体のダウン時間に直接影響を与えることになるし、また、濾過フィルターの一部が損傷しても全てを交換するのでは不経済であることから、改善が望まれている。
【0010】
一方、上記のように濾過ドラムを多角柱形状とすることは、回転する際に液面に波打ちが発生するので、濾過効率が大幅に低下する問題がある。
【0011】
したがって、本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、濾過効率をダウンさせない円筒状の濾過ドラムの濾過フィルターの交換作業時間を大幅に短縮することができ、かつ消耗品である濾過フィルターを部分的に交換可能にできる濾過装置の提供にある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明によれば、産業機械において使用後の汚濁液中から固体と液体とに濾過する濾過フィルターを、回転駆動される円筒状の濾過ドラムの外周面に形成された開口部に対して着脱自在にした濾過ドラムを備えた濾過装置であって、前記濾過ドラムは、ドラム回転方向に沿う一対の第1の取付け面と、ドラム回転中心軸に沿う一対の第2の取付け面とを夫々縁部に形成するとともに、複数に分割された前記開口部と、前記第2の取付け面に設けられるとともに、固定位置と解除位置との間で操作される締結手段と、前記締結手段に対して着脱される取付け孔と、前記第1の取付け面に相当する部位とを有するとともに、前記開口部を塞ぐための複数枚の前記濾過フィルターと、前記解除位置に位置された前記締結手段に対して入り込む形状部を有する部材と、全長が可変かつ可変後の状態を維持する機能を有する機能部材の端部を前記部材に対してそれぞれ固定した枠手段とを具備することを特徴としている。
【0013】
また、前記締結手段は、前記第2の取付け面の複数のネジ孔に対して螺合されるボルトであり、また前記枠手段の前記形状部は、前記ボルトに対して前記開口部側から入り込むU溝であることを特徴としている。
【0014】
また、前記機能部材は、ホースバンド用固定具であることを特徴としている。
また、前記濾過ドラムが液槽中に設置される状態で、前記開口部を少なくとも2個所以上に分割して前記液槽の液面より上に前記開口部が位置することを可能にしたことを特徴としている。
【0015】
そして、前記産業機械は切削加工または研削加工用の工作機械であり、また前記固体は切粉または研削粉であり、また前記液体は切削液剤または研削液剤の液剤であることを特徴としている。
【0016】
尚、本発明は後述する実施形態に限定されず、特許請求の範囲に規定される範囲において種々の構成が可能であることは勿論である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の好適な実勢形態につき添付の図面を参照して説明する。先ず、図1は濾過装置の使用状態を示した一部破断図である。
【0018】
本図において、濾過装置は工作機械100において、切削加工後に発生した粒度の異なる切粉と切削油の混在した被濾過切削油から切粉を濾過して浄化切削油を分別して得るための概略構成が示されている。この概略構成は工作機械に限定されず、油脂類を固形物から分離する食品機械や、土木機械であって土石の混在した汚濁液から粒度に応じた土砂を濾過して得る場合にも適用可能である。
【0019】
さて、図1において、濾過装置には浄化切削油を貯留する複数のクリーン槽101が設けられており、装置全体の基部を兼ねている。
【0020】
また、切粉と切削油(液剤)の混在した汚濁状態になっている被濾過切削油を一時的に貯蔵する貯蔵槽107は図示のように上流側の不図示の投入口から下流側の斜め上の切粉排出口108にかけて連続形成されている。その槽107内には、被濾過切削油の液面Lを、上流と下流側に2分割する濾過ドラム1が設けられており、濾過ドラム1の後述する開口部から流出される濾過された後の浄化切削油をクリーン槽101内に流出するように構成されている。
【0021】
一方、図示のように濾過ドラム1は予め完成した状態のものを複数のボルトを使用して貯蔵槽107内部に固定するものであり、この濾過ドラム1の外周面において所望の濾過能力の番手の濾過過フィルター20が後述するように交換できるように固定る。
【0022】
また、この濾過ドラム1の内部には回転の主軸4を兼ねる不図示の噴出管が設けられており、濾過フィルター20を内面側(浄化切削油の流出側)から逆洗浄するようにして目詰まりを防止するようにしている。この逆洗浄のために、クリーン槽101内に貯蔵される浄化切削油をポンプを介して濾過ドラム1の内側から勢い良く噴射するようにして、濾過フィルター20面に付着して残留した切粉等を吹き飛ばすようにして、濾過フィルターの目づまり防止を効果的に行えるように構成されている。
【0023】
また、上流側の投入口から下流側の切粉排出口108にかけて切粉を連続的に搬送するために、図中の一点鎖線で図示されたエンドレスの左右チェーン110、111が設けられており、こらのチェーンには固定金具を用いて所定間隔で多数の掬上板112がさらに設けられている。これらの左右チェーン110、111はギアードモータの駆動力を得て、図中の矢印D方向に移動するとともに、左右チェーン110、111の途中部位において、濾過ドラム1の外周面の右側の一部に固定されたドラムスプロケット41に対して歯合するように構成されている。
【0024】
このために各チェーンは不図示のドラムチェーンガイドにより夫々図示のように案内されるように構成されている。そして各チェーンは、装置の上流側に配設されたスプロケット118により180度方向転換されて、図中の破線矢印方向に向かうように構成されている。
【0025】
以上の構成により、被濾過切削油中で沈降した切粉が下流側に向けて搬送されて、やがて図示の傾斜部を、図中の矢印D方向に上昇して切粉排出口108において外部に排出できるように構成されている。
【0026】
以上の一連の動作により、クリーン槽101内には、濾過フィルター20の濾過能力に応じて浄化された浄化切削油が貯蔵される。そこで、このようにして得られた浄化切削油を、精密切削加工用などに繰り返し使用するとともに、濾過フィルターの洗浄用としてもその一部を用いる。
【0027】
次に、図2は濾過ドラム1の外観斜視図である。また、図3は図2のX−X線矢視断面図である。
【0028】
図2、3において、濾過ドラムは図示のような円筒状になるように構成されており、上記の回転軸4に設けた不図示の軸受周りに回動自在に保持されている。また、回転軸4は中空管から構成されており、噴射ノズル4aからクリーン槽のクリーン液を濾過フィルターに向けて噴射する「逆洗浄」を可能にしている。
【0029】
円筒状の濾過ドラム1には、矢印方向のドラム回転方向に沿う一対の第1の取付け面3a、3bと、ドラム回転中心軸に沿う一対の第2の取付け面5a、5bを夫々縁部に形成することで合計で3個所の開口部2が等間隔で形成される。また、この各開口部2の中央にはフィルターの弛みを防止するとともに、補強部材を兼用した架橋部40が適宜設けられる。
【0030】
一方、上記の第2の取付け面5a、5bには図示のように複数のネジ孔5cが設けられており、これらのネジ孔5cに図示の解除位置と、後述する固定位置の間になるようにドライバーなどの工具で操作される締結手段としての六角穴付きボルト6が設けられる。これらのボルト6は、図示のような皿形状の頭部を設けでおり、それぞれ螺合して結合されている。また、これらのボルト6の両側には位置決め用の案内ピン7が固定されている。
【0031】
一方、濾過フィルター20は、各ボルト6の頭部に対して、衣類のボタンとボタン孔の関係となるように自在に着脱される取付け孔10と、上記の案内ピン7に挿通される案内孔11を設けた縁部8a、8bと、さらに上記の第1の取付け面3a,3bに相当する縁部12a、12bを、図示のように縁部に縫い付けた所定番手の濾過フィルター9とから構成されている。このように構成された濾過フィルター20を3枚使用し、例えば破損した場合に一枚毎に交換可能にしている。
【0032】
また、図2に図示のように解除位置に位置するように回転されたボルト6に対して枠体30がセットされる。このために枠体30は、横方向から入り込むU溝の形状部32と、案内孔11とを有する一対の部材31a、31bと、全長が可変かつ可変後の状態を維持する機能を有する機能部材であるホースバンド34が図示のように一体的に固定される。この枠体30は、上記の濾過フィルター20の外形寸法に略合致するようにして3個分が準備される。
【0033】
図3は、以上のように準備された濾過フィルターを固定し、液面L中に保持した様子を図示しており、図示のように、3個所形成された開口部の内の一つを液槽の液面Lより上にできるようにしている。このために、交換作業のときに、液中に手を入れずに交換できることになる。また、液中の残りの2枚の濾過フィルターは、取り外さないので、濾過ドラムが液槽中に設置される状態で交換しても、汚濁液が濾過ドラム中に進入しないことになるので、液槽から汚濁液を完全に抜き出す必要がなくなる。この分の時間短縮は、全体のマシンダウン時間の短縮となるので非常に重要となる。
【0034】
一方、ボルト6は、完全に取り外すことなく、枠体30を開口部2側から入り込むようにすればU溝の形状部32が全てボルトの胴部に入るようにしているので、ボルトの紛失を解消できることになる。
【0035】
図4(a)は、機能部材の断面図であって、ホースバンド用固定具35の説明のための図である。本図において、ホースバンドは俗称の「パーカークランプ」と呼ばれるものであって、一対のステンレス製ハンド34の一方に溝部36を設け、この溝部36に螺合するネジ山を形成したウオーム37をバンドの継ぎ目に設けることで、ウオーム37のネジ山の回転により、バンド34の締め付け状態を全長の変化により任意に調整可能にしたものである。このように構成されるクランプは、バンド34の有する剛性により枠体の形状を変形後に維持することが可能となる。ここで、このパーカークランプに代えて、図4(b)に図示のように、バンド34の継ぎ目にネジ38を設けたものであって、枠体の形状が変形後に元の形状を維持することが可能であれば如何なる構成でも良い。
【0036】
図5(a)〜(c)は、濾過フィルター交換手順を示した外観斜視図である。本図において、例えば損傷した濾過フィルターを交換するために、図3に図示のようにして濾過ドラム1を停止させ、ボルト6を緩めて、クランプ35を弛めて枠体30の案内孔11を案内ピン7から外し、U溝の形状部32をボルト6から引き出すことで、枠体30を取り外す。この状態で、新品の濾過フィルター20をボルト6及び案内ピン7にセットする。
【0037】
これに続き、図5(a)に図示のように、枠体30のU溝の形状部32をボルト6にセットし、案内ピン7に合致させて、図5(b)の状態にする。この後に、ボルト6を締め付けることで、仮に固定する。この後に、クランプを締め付けることでバンド34の全長を短くするようにして、濾過フィルターが濾過ドラム1の取付け面3a、3bに対して密着するようにして、液漏れを防止するように固定する。
【0038】
尚、図2において、枠体30はL金具としてあるが、これは濾過ドラム1の外周面において被濾過切削油中で浮力を得て油面で浮遊した状態になっている浮上切粉を、被濾過切削油中に沈降させるための浮上切粉掬上板としての機能を果たすためのものである。
【0039】
以上説明したように構成することで、濾過ドラムを濾過装置から取り外すことなく、濾過フィルター交換作業が誰でもできるようになった。また、濾過フィルター20は、従来のように全周を交換する必要がないので、単価が安い利点に加えて、部分的交換が可能となるので、損傷した一部の交換作業で対応可能となる利点もある。
【0040】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、濾過効率をダウンさせない円筒状の濾過ドラムの濾過フィルターの交換作業時間を大幅に短縮することができ、かつ消耗品である濾過フィルターを部分的に交換可能にすることができる濾過装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 濾過装置の使用状態を示した一部破断図である。
【図2】図1の濾過ドラムの外観斜視図であって、濾過フィルターとともに示した分解図である。
【図3】図2の濾過ドラムのX−X線矢視断面図である。
【図4】(a)枠体30のクランプの断面図、(b)クランプの断面図である。
【図5】(a)〜(c)濾過フィルターの交換順序を示した外観斜視図である。
【図6】従来の濾過ドラムの外観斜視図である。
【符号の説明】
1 濾過ドラム
2 開口部
3a、3b 第1の取付け面
5a、5b 第2の取付け面
6 六角穴付きボルト
7 案内ピン
20 濾過フィルター
30 枠体
34 ホースバンド
35 固定金具

Claims (5)

  1. 産業機械において使用後の汚濁液中から固体と液体とに濾過する濾過フィルターを、回転駆動される円筒状の濾過ドラムの外周面に形成された開口部に対して着脱自在にした濾過ドラムを備えた濾過装置であって、
    前記濾過ドラムは、
    ドラム回転方向に沿う一対の第1の取付け面と、ドラム回転中心軸に沿う一対の第2の取付け面とを夫々縁部に形成するとともに、複数に分割された前記開口部と、
    前記第2の取付け面に設けられるとともに、固定位置と解除位置との間で操作される締結手段と、
    前記締結手段に対して着脱される取付け孔と、前記第1の取付け面に相当する部位とを有するとともに、前記開口部を塞ぐための複数枚の前記濾過フィルターと、
    前記解除位置に位置された前記締結手段に対して入り込む形状部を有する部材と、全長が可変かつ可変後の状態を維持する機能を有する機能部材の端部を前記部材に対してそれぞれ固定した枠手段と
    を具備することを特徴とする濾過装置。
  2. 前記締結手段は、前記第2の取付け面の複数のネジ孔に対して螺合されるボルトであり、また前記枠手段の前記形状部は、前記ボルトに対して前記開口部側から入り込むU溝であることを特徴とする請求項1に記載の濾過装置。
  3. 前記機能部材は、ホースバンド用固定具であることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の濾過装置。
  4. 前記濾過ドラムが液槽中に設置される状態で、前記開口部を少なくとも2個所以上に分割して前記液槽の液面より上に前記開口部が位置することを可能にしたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の濾過装置。
  5. 前記産業機械は切削加工または研削加工用の工作機械であり、また前記固体は切粉または研削粉であり、また前記液体は切削液剤または研削液剤の液剤であることを特徴とする請求項1に記載の濾過装置。
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