JP3773487B2 - 粘着テープ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋼管の端部開口面を覆うための粘着テープに係り、特に、−20℃から80℃の環境温度でも被着体から自然剥離することがなく、剥離させる際には被着体への糊残りが発生しない粘着テープに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、造船所などにおいて溶接作業を行う際に、鋼管の端部開口面へ火花が入ることを防止するために、この端部開口面へ粘着テープを貼り付けて覆うことが行われている。この際の粘着テープとしては、断熱性の観点から、アルミニウム箔にガラス繊維織布を積層させた支持体を有するものが採用されている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特公平6−89308号公報
【0004】
この手段における粘着テープは、断熱材としてのガラス繊維を積層した支持体と、支持体の一方の面に積層された粘着剤層と、粘着剤層の表面に貼着された剥離紙を有するものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この手段の粘着テープにあっては、環境温度が5℃以下の低温になってしまうと、粘着力が無くなって鋼管の端部開口面から自然剥離してしまうという課題があった。ここで、粘着剤の粘度を低くすることで、低温であっても被着体に貼り付けられる粘着テープが考えられるが、単に粘着剤の粘度を低下させただけでは、粘着テープを被着体から剥離させる際に、被着体へ粘着剤が移行するいわゆる糊残りが発生してしまうという新たな課題が発生してしまった。
【0006】
したがって本発明の目的は、環境温度が−20℃から80℃であっても被着体から自然剥離することがなく、剥離させる際には被着体への糊残りが発生しない粘着テープを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決する手段】
本発明者は、上記に鑑み鋭意検討を行った結果、剥離処理剤層と、剥離処理剤層の一方の面に積層されたアルミニウム箔と、アルミニウム箔の剥離処理剤層が積層されていない面にアクリル系接着剤層を介して積層されたガラス繊維織布層を有する支持体と、支持体のガラス繊維織布層に積層された粘着剤層を有する粘着テープにおいて、ガラス繊維織布層が、織布重量85g/m2以上の平織布であり、粘着剤層が、厚さ30μm〜200μmで、ベースポリマー100重量部に対して、液状ゴム成分3重量部〜30重量部を配合したアクリル系粘着剤であることで、上記課題に対応できることを見いだし本発明を完成した。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の粘着テープは、端部開口面へ貼り付けて覆うための粘着テープであり、アルミニウム箔の一方の面に剥離処理剤層を設け、他方の面にアクリル系接着剤層を介してガラス繊維織布層を設けた支持体と、支持体のガラス繊維織布層面に粘着剤層を積層したものである。
【0009】
また、本発明の粘着テープにあっては、支持体中に積層されたガラス繊維織布層によって断熱性を発揮させるとともに、粘着剤層の厚さおよび粘着剤に配合される液状ゴム成分の配合量を特定することによって、環境温度が低くても被着体から剥離せず、さらに粘着テープを剥離させる際には被着体へ糊残りが発生しないことを特徴とするものである。
【0010】
ここで、本発明の粘着テープにおけるガラス繊維織布層の織布重量にあっては、あまりに少ないと断熱性が発揮されないため85g/m2以上が良い。なお、この値は、高すぎることによって本発明の目的を阻害するものではないため、上限値は特に限定するものではない。
【0011】
また、ガラス繊維層を平織布としたのは、ガラス繊維同士の摩擦力を増加させて、織布層自体が層状に剥離することを防止するためである。このため、ガラス繊維層を厚くしても層状に剥離することがなく、被着体から粘着テープ自体が脱落することがない。
【0012】
ガラス繊維織布層を構成するためのガラス繊維としては、従来公知のものを適宜選択して採用でき、例えば、JIS R 3413(ガラス糸)による繊維径13μm、200フィラメント単糸のものがある。
【0013】
さらに、本発明の粘着テープにおける粘着剤層の厚さにあっては、あまりに薄いと粘着力が不足して環境温度が低い際に粘着テープを被着体に貼り付けることができなくなり、あまりに厚いと粘着剤層自体のせん断力が低くなって粘着テープを剥離する際に被着体に糊残りが発生してしまうため、30μm〜200μmが良い。
【0014】
また、粘着剤層のベースポリマーに対するゴム状成分は、環境温度が低温であっても、粘着剤の粘着力を維持するために配合したものである。このゴム状成分は、ポリイソプレン、ポリブタジエンなどのホモポリマーやスチレンイソプレンなどのコポリマー及び、これらのポリマーの不飽和結合を水素添加したもの、これらのポリマーの側鎖をカルボン酸基などの官能基に置換したもので、分子量が20000〜50000のものがよい。
【0015】
このゴム状成分の配合量にあっては、あまりに少ないと粘着剤の低温時の粘着力を維持する効果が得られず被着体から剥離してしまい、あまりに多いと粘着剤自体の粘着力が低下して粘着テープを剥離する際に被着体に糊残りが発生してしまうため、ベースポリマー100重量部に対して3重量部〜30重量部が良い。なお、ベースポリマーとしては、従来公知のアクリル系粘着剤を適宜選択して採用できる。
【0016】
本発明にあっては、剥離処理剤層と、剥離処理剤層の一方の面に積層されたアルミニウム箔と、アルミニウム箔の剥離処理剤層が積層されていない面にアクリル系接着剤層を介して積層されたガラス繊維織布層を有する支持体と、支持体のガラス繊維織布層に積層された粘着剤層を有する粘着テープにおいて、ガラス繊維織布層が、織布重量85g/m2以上の平織布であり、粘着剤層が、厚さ30μm〜200μmで、ベースポリマー100重量部に対して、液状ゴム成分3重量部〜30重量部を配合したアクリル系粘着剤であることで、環境温度が−20℃から80℃であっても被着体から自然剥離することがなく、剥離させる際には被着体への糊残りが発生しない粘着テープを提供できた。
【0017】
【実施例】
本発明にかかる実施例1を、表1および図1を参照しつつ説明する。ここで表1は、各実施例および各比較例の構成と評価を示したものであり、図1は、各実施例および各比較例の粘着テープを模式的に示した縦断面図である。
【0018】
【表1】
【0019】
実施例1における粘着テープは、表1および図1に示すように、厚さ0.1μmの剥離処理剤層11と、厚さ20μmのアルミニウム箔12と、厚さ5μmのアクリル系接着剤層13を介して積層された織布重量90g/m2のガラス繊維織布層14を有する支持体1と、支持体1のガラス繊維織布層14に積層された厚さ40μmの粘着剤層を有する粘着テープである。
【0020】
ここで、本実施例の剥離処理剤層11は、離型剤(一方社製;ピーロイル)をアルミニウム箔11にグラビアロールにて塗布し、乾燥させて得たものであり、アクリル系接着剤層13は、アクリル系接着剤(セメダイン社製;Y−650)をアルミニウム箔12にグラビアコーターにて塗布して得たものであり、ガラス繊維織布層14は、JIS R 3413による、繊維直径13μm、200フィラメント単糸を用いた平織布である。また、粘着剤層2は、ベースポリマーとしてのアクリル系粘着剤(東洋インキ社製;BPS4905HS)100重量部に、ゴム状成分(クラレ社製;LIR−390)10重量部を配合したものを支持体に塗布し、乾燥させて得たものである。
【0021】
ここで、表1の評価の欄における断熱性は、被着体からの放熱や吸熱を防止できる性能を表したものである。この断熱性の試験は、本実施例の粘着テープを、内形20cm、肉厚2mmの鋼管の端部開口面に貼り付け、鋼管内部温度100℃、環境温度23℃で20時間放置した後に粘着テープの表面温度を測定したものである。断熱性の試験にあっては、表面温度が30℃以下であったものを○、30℃を超過してしまったものを×とした。
【0022】
また、表1の評価の欄における低温粘着性は、環境温度が低い際の粘着テープの剥がれにくさを表したものである。低温粘着性の試験は、本実施例の粘着テープを環境温度−20℃に調整し、180℃引き剥がし法(JIS Z0237)に準拠して行ったものである。低温粘着性の試験にあっては、6N/10mm以上を示したものを○、この値に満たなかったものを×とした。
【0023】
さらに、表1の評価の欄における糊残り性は、粘着テープを被着体から剥離させた際に、被着体への粘着剤の移行度合いを表したものである。糊残り性の試験は、上記断熱性の試験と同様に調整した試験体の粘着テープを剥離速度20mm/秒で剥がした際の被着体への粘着剤の移行を目視にて確認したものである。糊残り性の試験にあっては、被着体への糊残りが確認されなかったものを○、糊残りが確認されたものを×とした。なお、以下に説明する比較例は、特に記載しない限り本実施例と同様のものである。
【0024】
本実施例にあっては、目的とした粘着テープが得られた。
【0025】
本発明の実施例2について説明する。本実施例の粘着テープは、実施例1におけるガラス繊維織布層14の織布重量を120g/m2に変更したものである。本実施例にあっても、目的とした粘着テープが得られた。
【0026】
本発明の比較例1について説明する。本比較例の粘着テープは、実施例1におけるガラス繊維織布層14の織布重量を80g/m2に変更したものである。本比較例にあっては、断熱性が悪く、目的とする粘着テープを得られなかった。
【0027】
本発明の比較例2について説明する。本比較例の粘着テープは、実施例1における粘着剤層2の厚さを20μmに変更したものである。本比較例にあっては、低温粘着性が悪く、目的とする粘着テープを得られなかった。
【0028】
本発明の比較例3について説明する。本比較例の粘着テープは、実施例1における粘着剤層2の厚さを250μmに変更したものである。本比較例にあっては、糊残りが発生してしまい、目的とする粘着テープを得られなかった。
【0029】
本発明の比較例4について説明する。本比較例の粘着テープは、実施例1における粘着剤層2のゴム状成分の配合量を2重量部に変更したものである。本比較例にあっては、低温粘着性が悪く、目的とする粘着テープを得られなかった。
【0030】
本発明の比較例5について説明する。本比較例の粘着テープは、実施例1における粘着剤層2のゴム状成分の配合量を35重量部に変更したものである。本比較例にあっては、糊残りが発生してしまい、目的とする粘着テープを得られなかった。
【0031】
【発明の効果】
本発明にあっては、剥離処理剤層と、剥離処理剤層の一方の面に積層されたアルミニウム箔と、アルミニウム箔の剥離処理剤層が積層されていない面にアクリル系接着剤層を介して積層されたガラス繊維織布層を有する支持体と、支持体のガラス繊維織布層に積層された粘着剤層を有する粘着テープにおいて、ガラス繊維織布層が、織布重量85g/m2以上の平織布であり、粘着剤層が、厚さ30μm〜200μmで、ベースポリマー100重量部に対して、液状ゴム成分3重量部〜30重量部を配合したアクリル系粘着剤であることで、環境温度が−20℃から80℃であっても被着体から自然剥離することがなく、剥離させる際には被着体への糊残りが発生しない粘着テープを提供できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 各実施例および各比較例の粘着テープを模式的に示した縦断面図である。
【符号の説明】
1 支持体
11 剥離処理剤層
12 アルミニウム箔
13 アクリル系接着剤層
14 ガラス繊維織布層
2 粘着剤層
Claims (1)
- 剥離処理剤層(11)と、該剥離処理剤層(11)の一方の面に積層されたアルミニウム箔(12)と、該アルミニウム箔(12)の該剥離処理剤層(11)が積層されていない面にアクリル系接着剤層(13)を介して積層されたガラス繊維織布層(14)を有する支持体(1)と、該支持体(1)の該ガラス繊維織布層(14)に積層された粘着剤層(2)を有する粘着テープにおいて、該ガラス繊維織布層(14)が、織布重量85g/m2以上の平織布であり、該粘着剤層(2)が、厚さ30μm〜200μmで、ベースポリマー100重量部に対して、液状ゴム成分3重量部〜30重量部を配合したアクリル系粘着剤であることを特徴とする粘着テープ。
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