JP2020140775A - 電池用包装フィルムおよび電池 - Google Patents
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Abstract
Description
具体的には、高密度に部品を実装する機器では、例えばゴム基材を有する両面粘着テープを用いて貼り付けた電池に近接して、他の部材も筐体に取り付けられている。そして、当該他の部材を避けて粘着テープを剥がすためには、当該粘着テープの取手部分を貼付け面に対して高角度(例えば60°以上)の方向に引っ張って剥がすこととなり、このように高い角度で引っ張ると両面粘着テープに負荷がかかり、ちぎれることがあった。
すなわち、本願発明は以下の通りである。
〔2〕前記離型部分は、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ゴム系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アルキル化メラミンホルムアルデヒド樹脂、長鎖アルキル化合物からなる群より選択される1つ以上の樹脂を含む上記〔1〕に記載の電池用包装フィルム。
〔3〕前記電池用包装フィルムが、少なくとも、基材層、接着層、金属層、及びシーラント層が順次積層された積層フィルムであり、前記基材層側の表面上に前記離型部分を有する、上記〔1〕または〔2〕に記載の電池用包装フィルム。
〔4〕角を形成する表面のうち、当該角に隣接する部分に、接触角が80〜180°であり、厚さが10μm以下である離型部分を有することを特徴とする、電池。
〔5〕前記離型部分は、当該離型部分に隣接する前記角から当該角に直交する方向に沿って測った長さが0.5〜30mmである、上記〔4〕に記載の電池。
〔6〕前記離型部分は、当該離型部分に隣接する前記角に沿って測った長さが0.5mm以上である、上記〔4〕または〔5〕に記載の電池。
《電池用包装フィルム》
本実施形態の電池用包装フィルムは、表面上に、接触角が80〜180°であり、厚さが10μm以下である離型部分を有することを特徴とする。電池用包装フィルムの離型部分が、電池の表面の中でも、電池に粘着テープが貼り付けられる表面(以下、粘着テープが貼り付けられる電池の表面を「貼付け面」とも称す)であって、電池の角に隣接する部分に位置するように、電池用包装フィルムを用いることで、粘着テープを貼付け面に対して角度をつけて剥がす場合であっても、粘着テープへの負荷を低減し、粘着テープのちぎれを防止することができる。
一方、離型部分は、任意の形状や大きさをとることができるが、一の方向(図1の例では、TD方向)に沿って測った長さが少なくとも0.5mmであり、当該一の方向に直交する方向(図1の例では、MD方向)に沿って測った長さが少なくとも0.5mmであることが好ましい。また、より好ましくは、離型部分は、一の方向に沿って測った長さが少なくとも1mmであり、当該一の方向に直交する方向に沿って測った長さが少なくとも1mmであり、さらに好ましくは、離型部分は、一の方向に沿って測った長さが少なくとも3mmであり、当該一の方向に直交する方向に沿って測った長さが少なくとも3mmである。
離型部分をこのような大きさにすることにより、本実施形態の電池用包装フィルムで電池を包装する際、電池用包装フィルムの離型部分を、電池の表面の中でも貼付け面であって、電池の角に隣接する部分に位置するようにすることで、貼り付けた粘着テープを剥がす場合に、粘着テープのちぎれを有効に防止することができる。
なお、電池用包装フィルムは、一の方向の長さが0.5mm以上であり、当該方向に直交する方向の長さが0.5mm以上である離型部分に対して、当該一の方向に隣接する、少なくとも30mmの長さの範囲内において、接触角が80〜180°となる部分が実質的に存在しないことが好ましい。これにより、電池の貼付け面に離型部分を設けても、粘着テープが適切に貼り付く領域を確保しやすくすることができ、電池をより適切に固定することができる。なお、ここでの「実質的に存在しない」とは、離型部分に対して一の方向に隣接する、少なくとも30mmの長さの範囲内に、接触角が80〜180°となる部分がわずかに点在していても、全体として本発明の効果を損なわない程度である場合には許容されるものとする。また、より好ましくは、当該範囲内において、接触角が80〜180°となる部分が存在しないことである。
なお、図1に示す例では、1枚の電池用包装フィルムから複数の電池に用いるフィルム片が得られる電池用包装フィルムについて記載しているが、本実施形態の電池用包装フィルムは、例えば1つの電池に用いるためのフィルム片であってもよい。
また、当該厚さは、好ましくは10μm以下であり、より好ましくは7μm以下である。一方、当該厚さは、粘着性の観点から特に限定されないが、その下限値は、離型部分の十分の強度や耐久性の観点から、0.1μmであることが好ましく、より好ましくは0.5μmであり、さらに好ましくは1.0μmである。
また、当該接触角は、90〜160°であることが好ましく、より好ましくは100〜120°である。
このような材料としては、特に限定されないが例えば、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ゴム系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アルキル化メラミンホルムアルデヒド樹脂、長鎖アルキル化合物が挙げられ、当該材料は、これら樹脂からなる群より選択される1つ以上の樹脂を含む。また、その中でも材料としては、粘着テープのちぎれ防止の観点から、シリコーン樹脂やフッ素樹脂や長鎖アルキル化合物が好ましい。
ここで、シリコーン樹脂とは、従来からシリコーン系離型剤として一般的に知られているシリコーン系化合物を指す。シリコーンとは、有機基(例えばアルキル基やフェニル基など)をもつケイ素と酸素が交互に結合してできた主鎖より成るポリマーである。基本骨格としてジメチルポリシロキサンを有するシリコーン系化合物が好ましい。
フッ素系樹脂としては、特に限定されるものではなく、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂や、パーフルオロポリエーテルオイル、パーフルオロアルキル基で変性されたノニオン系界面活性剤、パーフルオロアルキル基、パーフルオロポリエーテル基で変性された(メタ)アクリレートを重合単位として有するポリ(メタ)アクリレートなどが挙げられ、市販されたものを用いてもよい。
ゴム系樹脂としては、例えば、ブタジエン系、スチレンブタジエン系、コロロプレン系、ブチル系、エチレン・プロピレン系、アクリル系のゴムが挙げられる。
上記の離型部分の成分であるポリオレフィン系重合体としては、エチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセン、オクテン等のα−オレフィンの単独重合体および共重合体が挙げられる。また、エチリデンノルボルネン、ノルボルネン等とエチレン等のα−オレフィンとの共重合体も挙げられる。更に、ポリイソプレンに代表されるリビング重合で得られたジエンゴム及びそれらを水素添加して得られたポリマー、環状オレフィンの開環重合によって得られたエラストマー等の炭化水素系エラストマーも使用することが出来る。
アルキル化メラミンホルムアルデヒド樹脂としては、炭素数6〜20のアルキル基を有するアルキル化メラミンホルムアルデヒド樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、例えば、メラミンモノマーにホルムアルデヒドを助剤として添加し、メチロール化メラミンを生成させ、生成したメチロール基に炭素数6〜20のアルキル基を導入することによって得られる。
長鎖アルキル化合物とは、炭素数が8以上の直鎖あるいは分岐のアルキル基(長鎖アルキル基ともいう。)を有する化合物を指し、具体的には、長鎖アルキル基含有ポリビニル樹脂、長鎖アルキル基含有アクリル樹脂、長鎖アルキル基含有ポリエステル樹脂、長鎖アルキル基含有エーテル化合物、長鎖アルキル基含有アミン化合物、長鎖アルキル基含有アルキド樹脂等が挙げられる。
シ油、脱水ヒマシ油、ヤシ油、及びこれらの脂肪酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、エレオステアリン酸、リシノレイン酸、脱水リシノレイン酸などの油脂及び油脂脂肪酸、ロジン、コバール、コハク、セラックなどの天然樹脂、エステルガム、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂などの合成樹脂が挙げられる。また、ステアリン酸変性アルキド樹脂及び/又はステアリン酸変性アクリル樹脂とアミノ樹脂との硬化樹脂も塗布性と剥離性のバランスの観点から好ましい。
なお、電池用包装フィルム1を上記のように構成する場合、基材層11側が、電池の表面側となり、シーラント層14が電池素子側となり、組み立て時に、電池素子の周縁に位置するシーラント層14同士が熱溶着して電池素子を密封することにより、電池素子が封止される。したがって、本実施形態では、電池用包装フィルム1の1対の表面の中でも、基材層11側の表面上に離型部分2を形成することが好ましい。
本実施形態において、基材層11を形成する材料は、特に限定されないが例えば、絶縁性を備えるものが好ましく、具体的には、例えば、ポリエステル、ポリアミド、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタン、珪素樹脂、フェノール樹脂、ポリエーテルイミド、ポリイミド、及びこれらの混合物や共重合物などが挙げられる。
本実施形態において、接着層12は、基材層11と金属層13とを接着させるために設けられる層である。
接着層12は、基材層11と金属層13とを接着可能である接着剤によって形成される。接着層12の形成に使用される接着剤は、2液硬化型接着剤であってもよく、また1液硬化型接着剤であってもよい。さらに、接着層12の形成に使用される接着剤の接着機構についても、特に制限されず、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型などのいずれであってもよい。
本実施形態において、金属層13は、電池用包装フィルムの強度向上の他、電池内部に水蒸気、酸素、光などが侵入することを防止するためのバリア層として機能する層である。金属層13を構成する金属としては、具体的には、アルミニウム、ステンレス、チタンなどが挙げられ、好ましくはアルミニウムが挙げられる。金属層13は、金属箔や金属蒸着などにより形成することができ、金属箔により形成することが好ましく、アルミニウム箔により形成することがさらに好ましい。電池用包装フィルムの製造時に、金属層13にしわやピンホールが発生することを防止する観点からは、例えば、焼きなまし処理済みのアルミニウム(JIS A8021P−O、JIS A8079P−O)など軟質アルミニウム箔により形成することがより好ましい。
本実施形態において、シーラント層14は、最内層に該当し、電池の組み立て時にシーラント層14同士が熱溶着して電池素子を密封する層である。
本実施形態の電池用包装フィルムは、第2の接着層15を、金属層13とシーラント層14を強固に接着させために、これらの間に必要に応じて設けることができる。
本実施形態の電池用包装フィルムは、意匠性、耐電解液性、耐擦過性、成形性の向上などを目的として、必要に応じて、基材層11の上(基材層11の1対の表面のうち金属層13とは反対側)に、コーティング層16を有することができる。コーティング層16は、電池を組み立てた時に、表面を形成する層とすることができる。
本実施形態の電池用包装フィルムにおいて、離型部分以外の電池用包装フィルムの表面の接触角は、0〜79°であることが好ましく、より好ましくは10〜75°であり、さらに好ましくは30〜70°である。接触角がこのような範囲にあることにより、電池を固定するための粘着テープを良好に接着させることができる。
本実施形態において、電池用包装フィルムの製造方法は、特に制限されないが、例えば、以下の方法が例示される。
まず、基材層11、接着層12、金属層13が順に積層された積層体(以下、「積層体A」と表記することもある)を形成する。積層体Aの形成は、具体的には、基材層11上又は必要に応じて表面が化成処理された金属層13に接着層12の形成に使用される接着剤を、押出し法、グラビアコート法、ロールコート法等の塗布方法で塗布・乾燥した後に、当該金属層13又は基材層11を積層させて接着層12を硬化させるドライラミネーション法によって行うことができる。
本実施形態の電池用包装フィルムは、正極、負極、電解質等の電池素子を密封して収容するための包装材料として使用される。具体的には後述の電池の包装材料として使用することができる。
本実施形態の電池3は、図3に示すように、角5を形成する表面4のうち、当該角5に隣接する部分に、接触角が80〜150°であり、厚さが10μm以下である離型部分2を有する。
具体的には、本実施形態の電池は、少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた電池素子を、先述の本発明の実施形態に係る電池用包装フィルムなどの電池用包装フィルムで包装されたものである。より具体的には、電池は、電池素子を、電池用包装フィルムを用いて、前記正極及び負極の各々に接続された金属端子が外側に突出させた状態で、電池素子の周縁にフランジ部(シーラント層14同士が接触する領域)が形成できるようにして被覆し、前記フランジ部のシーラント層14同士をヒートシールして密封させることによって、電池が提供される。また、或いは、離型部分を有しない電池用包装フィルムを用いて電池を製造し、次いで、その表面に離型部分を形成させてもよい。
具体的な電池3の形状は、特に限定されないが例えば、図3に示すように、平板状の形状にすることができる。電池3の形状が平板状である場合、1つの角5を形成する2つの表面のうち一方の表面(第1の表面)4が、平板の1対の平面の一方になり、1つの角5を形成する2つの表面のうち他方の表面(第2の表面)が、平板の側面とすることができる。換言すれば、離型部分2に隣接する角5は、電池を構成する複数の表面のうち広い範囲を占める相対的に大きい表面4を画定する角5とすることができる。
また、離型部分2の厚さは比較的薄いので、離型部分2をきっかけに粘着テープによる電池の固定力が低下することを防止することができる。
また、電池の形状は湾曲した形状になっていてもよい。さらに、電池3の角5は、角ばった形状のものだけでなく、例えば面取り等されて丸みを帯びた形状となっていてもよい。
また、粘着テープの取手部分を角度をつけて引っ張る際、粘着テープの引張を開始したときに、粘着テープの中でも電池3の角5付近に貼り付く部分に、その伸び始めにより大きな力が加わることから、剥離部分2の長さは、粘着テープの伸び始めに剥離しやすくするのに足りる長さがあればよい。そして、離型部分2を、角5の延在方向に直交する方向に沿って測った長さは30mm以下とすることにより、粘着テープを剥がす際に粘着テープへの負荷を十分に低減することができる。また、当該長さを30mm以下にすることにより、剥離部分2が大きくなりすぎず、粘着テープによる電池3の固定力への影響を抑えることができる。
当該長さが、5mm以上であることにより、粘着テープを、離型部分2に合わせて貼り付けやすくすることができる。
また、当該長さの上限は、電池3の形状により変化するが、150mm以下であることが好ましく、より好ましくは、剥離部分2に隣接する角5の全て(電池の一辺の端から端までの全て)に設ける。角5の延在方向に沿って測った長さが100mm以下であることにより、高い接着性を実現することができる。
各実施例および比較例で得られた電池用包装フィルムおよび電池の物性の測定及び評価は、次の方法に基づいて行った。
協和界面科学株式会社製全自動接触角計「DM−501HI型」を用い、23℃及び50%RH中にて、離型ライナー表面へ精製水2μLを着滴させた後、1秒後の接触角を測定した。本測定における接触角の算出方法は、JIS R3257に記載の試験方法のうち、静滴法に従う。
当該離型部分の厚さは、NIKON社製DIGI MICRO MFC−101を用いて測定した。具体的には、電池用包装フィルムの離型部分での厚さを測定し、次いで電池用包装フィルムの離型部分でない部分での厚さを測定した。離型部分の厚さはそれぞれの差を計算することで得た。
各実施例および比較例で得られた電池を、後述の方法により得た長さ120mm×幅20mmの粘着テープを用いて固定させた後、当該粘着テープの剥がしやすさについて評価した。具体的には、長さ120mm×幅20mmの粘着テープを準備し、当該粘着テープを、先端側の長さ20mmの部分を取手部分としてはみ出させた状態で、ステンレス板に貼った。ついで、実施例および比較例の電池を、粘着テープ上に、粘着テープの長手方向が電池の長手方向になるような向きで、電池の第1の表面の離型部分に隣接する角が、当該粘着テープの取手部分と粘着部分との境目に位置するように貼り付けた。さらに、5kgの荷重ローラーで1往復圧着した後、23℃に1時間または85℃に500時間放置し、その後、取手部分をつかみ、電池の第1の表面に対して90°の方向(テープ面と垂直の方向)に引き出した。実施例、比較例の電池を、固定して23℃に1時間放置した場合、また固定して85℃500時間放置した場合について、10個の試験片を評価してちぎれがなく剥がすことができるかを評価した。なお、剥離部分が電池の第1の表面に形成されていない場合(比較例1)も実施例1等と同様な方法でステンレス板に固定した。
◎:10個中10個が剥がすことができた。
〇:10個中7〜9個が剥がすことができた。
△:10個中1〜6個が剥がすことができた。
×:10個中1個も剥がすことができなかった。
各実施例および比較例で得られた重さ38gの電池を、後述の方法により得た長さ120mm×幅20mmの粘着テープを用いて固定させた後、当該粘着テープの接着性について評価した。具体的には、長さ120mm×幅20mmの粘着テープを準備し、当該粘着テープを、先端側の長さ10mmの部分を取手部分としてはみ出させた状態で、ステンレス板(厚さ1.5mm、長さ150mm、幅50mm、重さ85g)に貼った。
1時間後に23℃で1.5mの高さから試験片をコンクリート板に自由落下させ、電池がステンレス板から剥がれないかを評価した。
尚、落下のさせ方はステンレスの平面がコンクリート板に落ちるように落下させた。
◎:10個中10個とも剥がれなかった。
〇:10個中8〜9個が剥がれなかった。
×:10個中1〜7個が剥がれた。
まず、ポリエチレンテレフタレート樹脂とナイロン6をTダイ法により押出して共押出フィルムを作製し、逐次延伸法でMD、TD方向に二軸延伸した後、200℃で熱処理することにより、樹脂フィルムAを製造した。延伸倍率は、流れ方向(MD)3.4倍、幅方向(TD)3.8倍の条件とした。樹脂フィルムAの積層構造は、ポリエチレンテレフタレート(5μm)/ナイロン6(20μm)である。
次に、ガラス転移点0℃、重量平均分子量20×103、水酸基等量1.2個/molのポリオール化合物とトルエンジイソシアネート(TDI)のトリメチロールプロパン(TMP)アダクト体を主成分とする芳香族イソシアネートを1:3の比率で混合したウレタン樹脂系接着剤を用いて、樹脂フィルムAと、アルミニウム箔20μm(8021材、引張破断強度100MPa、引張破断伸度10%、0.2%耐力70MPa)を積層した。尚、接着剤の厚みは3μmであった。またポリエチレンテレフタレート樹脂層が基材層のシーラント層とは反対側に位置するようにした。
別途、接着層を構成する酸変性ポリプロピレン樹脂(不飽和カルボン酸でグラフト変性した不飽和カルボン酸グラフト変性ランダムポリプロピレン)と、シーラント層を構成するポリプロピレン(ランダムコポリマー)を共押出しすることにより、接着層とシーラント層からなる2層共押出しフィルムを作製した。次いで、前記で作製した基材層(樹脂フィルムA)/接着層(ウレタン樹脂系接着剤)/金属層(アルミニウム箔)からなる積層体の金属層に、前記で作製した2層共押出しフィルムの接着層が接するように重ねあわせ、金属層が120℃となるように加熱してサーマルラミネーションを行うことにより、基材層/接着層/金属層/接着層/シーラント層が順に積層された積層体を得た。得られた積層体を一旦冷却した後に、180℃になるまで加熱し、1分間その温度を保持して熱処理を施すことにより、電池用包装フィルムを得た。
粘着テープは、以下の方法により製造した。
(粘着テープT1)
粘着テープの粘着剤層を下記のようにして作製した。
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、及び滴下漏斗を備えた反応容器に、n−ブチルアクリレート75.94質量部、2−エチルヘキシルアクリレート5質量部、シクロヘキシルアクリレート15質量部、アクリル酸4質量部、4−ヒドロキシブチルアクリレート0.06質量部、及び酢酸エチル200質量部を仕込み、攪拌下、窒素を吹き込みながら65℃まで昇温させて混合物(1)を得た。次に、前記混合物(1)に、予め酢酸エチルに溶解した2,2’−アゾビスイソブチロニトリル溶液4質量部(固形分2.5質量%)を添加し、攪拌下、65℃で10時間ホールドして混合物(2)を得た。次に、前記混合物(2)を酢酸エチル98質量部で希釈し、200メッシュ金網でろ過することによって、質量平均分子量160万(ポリスチレン換算)のアクリル共重合体溶液(1)溶液を得た。次に、前記アクリル共重合体溶液(1)100質量部に対して、重合ロジンエステル系粘着付与樹脂(D−125、荒川化学工業株式会社)5質量部と石油系粘着付与樹脂(FTR(登録商標)6125、三井化学株式会社製)15質量部とを混合攪拌したのち、酢酸エチルを加えることによって固形分31質量%の粘着剤樹脂溶液(1)を得た。次に、前記粘着剤樹脂溶液(1)100質量部に対し、架橋剤(バーノックD−40、DIC株式会社製;トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、イソシアネート基含有率7質量%、不揮発分40質量%)1.3質量部を添加し、均一になるよう攪拌混合した後、100メッシュ金網で濾過することによって固形分31.1質量%の粘着剤樹脂(1)を得た。
次に、得られた粘着剤樹脂(1)の固形分100質量部に対して、フィラー1(水酸化アルミニウム、BW153、日本軽金属株式会社製、体積平均粒径:18μm、粒度分布(D90/D10):12.3)を30質量部添加し、粘着剤組成物(1)を得た。
なお、前記フィラー粒子の粒度分布(D90/D10)は、レーザー回折散乱法を用いた測定機(マイクロトラック)を使用することにより前記フィラー粒子の粒子径を測定して、粒度分布に換算することで得られた値である。
前記粘着剤組成物(1)をアプリケーターにより乾燥後の厚みが30μmになるように離型ライナー(フィルムバイナ75E‐0010GT、藤森工業株式会社製、以下同様)上に塗布し、80℃にて3分間乾燥させることによって粘着剤層(I)を作製した。
樹脂組成物(2)(スチレン−イソプレン共重合体及びスチレン−イソプレン−スチレン共重合体の混合物、前記化学式(1)で示されるスチレン由来の構造単位15質量%、前記樹脂組成物(2)の全量に対するスチレン−イソプレン共重合体の割合が12質量%)をヒートプレス(圧力0.5MPa、プレス板温度が130℃、プレス時間2分)により厚さが50μmの基材層を作製した。
続いて、基材層の両面に前記で作成した粘着剤層(1)を貼り合わせ0.2MPaで加圧しラミネートすることによって、粘着テープT1を作製した。
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、及び滴下漏斗を備えた反応容器に、n−ブチルアクリレート97.97質量部、アクリル酸2.0質量部、4−ヒドロキシブチルアクリレート0.03質量部、及び重合開始剤としての2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.1質量部を、酢酸エチル100質量部からなる溶剤に溶解し、70℃で12時間重合して、質量平均分子量が200万(ポリスチレン換算)のアクリル共重合体溶液(2)を得た。次に、前記アクリル共重合体溶液(2)100質量部に対して、不均化ロジンのグリセリンエステル(スーパーエステルA100、荒川化学工業株式会社)25質量部と、重合ロジンのペンタエリスリトールエステル(ペンセルD135、荒川化学工業株式会社製、)5質量部と、スチレン系石油樹脂(FTR(登録商標)6100、三井化学株式会社製)20質量部とを添加し、酢酸エチルを加えて均一に混合し、固形分31質量%の粘着剤溶液(2)を得た。次に、前記粘着剤溶液(2)100質量部に対し、イソシアネート系架橋剤(コロネートL−45、日本ポリウレタン工業株式会社製、不揮発分45質量%)1.3質量部を添加し、均一になるよう攪拌混合することで固形分31.1質量%の粘着剤樹脂(2)を得た。
次に、得られた粘着剤樹脂(2)の固形分100質量部に対して、フィラー1(水酸化アルミニウム、BW153、日本軽金属株式会社製、体積平均粒径:18μm、粒度分布(D90/D10):12.3)を30質量部添加し、粘着剤組成物(2)を得た。
前記粘着剤組成物(1)をアプリケーターにより乾燥後の厚みが30μmになるように離型ライナー(フィルムバイナ75E‐0010GT、藤森工業株式会社製、以下同様)上に塗布し、80℃にて3分間乾燥させることによって粘着剤層(II)を作製した。
上述の方法で製造した離型部分を有しない電池用包装フィルムの表面に、シリコーン離型剤をグラビア印刷の方法で塗布し離型部分を形成した。尚、シリコーン系離型剤は、シリコーン系剥離剤(信越化学工業社製、製品名「KS−847H」)100質量部と、白金触媒(信越化学工業社製、製品名「CAT−PL−50T」)2質量部とからなるものを用いた。
離型剤の厚さ及び接触角は表1の通りであった。
次いで、得られた電池用包装フィルムを所定の形状に切り出し、正極、負極、電解質等の電池素子を包装した。包装後の電池の形状は、平板状であり、厚さ2.8mm、長さ110mm、幅49mmであった。また、離型部分を、平板の1対の平面のうち一方の平面(第1の表面)であって、幅方向に延びる角(49mmの幅)に沿うように位置させた。また、この際、角から、角の延在方向(幅方向)に直交する方向(長さ方向)に沿って測った長さが表1に示す所定の長さになるように位置させた。また、離型部分の角の延在方向(幅方向)に沿って測った長さは49mmであった。
離型部分を、当該角から角の延在方向(幅方向)に直交する方向(長さ方向)に沿って測った長さを表1に示すように変更した以外、実施例1と同様に製造した。
シリコーン離型剤をポリエチレン離型剤に変更した以外、実施例2と同様に製造した。
離型剤の厚さ及び接触角は表1の通りであった。尚、ポリエチレン系離型剤はエチレンプロピレン共重合体(JSR株式会社製「EP02P」、エチレン/プロピレン=81/19(モル比)、重量平均分子量96700(ポリスチレン換算)、分子量分布2.24、MFR=3.2g/10分)2gを、トルエン、メチルエチルケトンの混合溶媒100g(トルエン/メチルエチルケトン=85/15(重量比))に溶解したものを用いた。
シリコーン離型剤をフッ素樹脂離型剤に変更した以外、実施例2と同様に製造した。
離型剤の厚さ及び接触角は表1の通りであった。尚、フッ素樹脂離型剤としては、MS175(ダイキン工業社製)を用いた。
実施例2の電池用包装フィルムを用い、粘着テープ1の代わりに粘着テープ2を用いた以外、実施例2と同様に製造した。
離型部分を形成していない電池用包装フィルムを用いて電池を作製した以外、実施例1と同様に製造した。
シリコーン離型剤を塗布する代わりにナイロン6(5μm)を接着剤(1μm)で貼り合せた以外、実施例2と同様に製造した。離型部分の厚さ及び接触角は表1の通りであった。
シリコーン離型剤の厚みを1μmから20μmに変更した以外、実施例2と同様に製造した。離型部分の厚さ及び接触角は表1の通りであった。
市販のスマートフォンの電池(Apple社製iPhone(登録商標)8)を用いて評価した。離型部分はなく、表層の接触角は表1の通りであった。
2:離型部分
3:電池
4:第1の表面
5:角
11:基材層
12:接着層
13:金属層
14:シーラント層
15:第2の接着層
16:コーティング層
20:電池
21:筐体
22:粘着テープ
23:角
Claims (6)
- 表面上に、接触角が80〜180°であり、厚さが10μm以下である離型部分を有することを特徴とする、電池用包装フィルム。
- 前記離型部分は、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ゴム系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アルキル化メラミンホルムアルデヒド樹脂、長鎖アルキル化合物からなる群より選択される1つ以上の樹脂を含む、請求項1に記載の電池用包装フィルム。
- 前記電池用包装フィルムが、少なくとも、基材層、接着層、金属層、及びシーラント層が順次積層された積層フィルムであり、前記基材層側の表面上に前記離型部分を有する、請求項1または2に記載の電池用包装フィルム。
- 角を形成する表面のうち、当該角に隣接する部分に、接触角が80〜180°であり、厚さが10μm以下である離型部分を有することを特徴とする、電池。
- 前記離型部分は、当該離型部分に隣接する前記角から当該角に直交する方向に沿って測った長さが0.5〜30mmである、請求項4に記載の電池。
- 前記離型部分は、当該離型部分に隣接する前記角に沿って測った長さが0.5mm以上である、請求項4または5に記載の電池。
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