JP2016162558A - 電池用包装材料及び電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】
高いラミネート強度及び優れた成形性を有し、さらに電池の連続生産性に優れた電池用包装材料を提供する。
【解決手段】
少なくとも、基材層、金属層、接着層、及びシーラント層が順次積層された積層体からなり、
前記シーラント層が滑剤を含んでおり、
前記接着層に添加される滑剤の量が100ppm以下であり、
下記の計算式(1)で算出される値Yが、250〜750の範囲にある、電池用包装材料。
Y=(A×C+B×D)/(C+D) (1)
A:シーラント層へのアマイド系滑剤の添加量
B:接着層へのアマイド系滑剤の添加量
C:シーラント層の厚み
D:接着層の厚み
【選択図】なし

Description

本発明は、高いラミネート強度と優れた成形性を備え、さらに電池の連続生産性に優れた電池用包装材料、及び当該電池用包装材料を用いた電池に関する。
従来、様々なタイプの電池が開発されているが、あらゆる電池において、電極や電解質等の電池素子を封止するために包装材料が不可欠な部材になっている。従来、電池用包装として金属製の包装材料が多用されている。
一方、近年、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、パソコン、カメラ、携帯電話等の高性能化に伴い、電池には、多様な形状が要求されると共に、薄型化や軽量化が求められている。しかしながら、従来多用されている金属製の電池用包装材料では、形状の多様化に追従することが困難であり、しかも軽量化にも限界があるという欠点がある。
そこで、多様な形状に加工が容易で、薄型化や軽量化を実現し得る電池用包装材料として、基材/金属層/シーラント層が順次積層されたフィルム状の積層体が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。このような電池用包装材料においては、一般的に、冷間成形により凹部が形成され、当該凹部によって形成された空間に電極や電解液などの電池素子を配し、シーラント層同士を熱融着させることにより、電池用包装材料の内部に電池素子が収容された電池が得られる。
近年、電池のエネルギー密度をより高めて、電池をより一層小型化するために、電池用包装材料のより一層の薄型化(例えば、総厚みが120μm以下)が求められている。このような厚みの非常に薄い電池用包装材料は、成形時においてシーラント層表面の滑り性が低いと、電池用包装材料にピンホールやクラックなどが発生しやすいため、成形性を高めるためにシーラント層に滑剤が添加されることがある。
特開2008−287971号公報
ところが、本発明者が検討を行ったところ、金属層とシーラント層との間に接着層を積層する場合には、シーラント層に所定量の滑剤を添加したにもかかわらず、電池用包装材料にピンホールやクラックなどが発生しやすくなる場合があることを見出した。また、当該接着層を設ける場合について、本発明者がさらに検討を重ねたところ、接着層およびシーラント層に所定量の滑剤を配合することにより、優れた成形性は発揮されるものの、金属層と接着層とのラミネート強度が低下して、所謂デラミネーションと称される現象が生じやすくなる場合があることも見出した。
さらに、本発明者が検討したところ、シーラント層の表面に位置する滑剤の量が多くなりすぎ、滑剤が金型に付着し、塊となって金型を汚染する場合があることも見出した。金型が汚染されたまま、他の電池用包装材料を成形すると、金型に付着した滑剤の塊が電池用包装材料の表面に当たり、電池包材に圧痕を生じる。そのまま電池を製造すると、その圧痕が金属異物由来の圧痕との見分けが付かないため、不良品として処理することになり、著しく歩留りを低下させることになる。また、金型に付着した滑剤の塊が電池用包装材料の表面に付着し、そのままシーラント層の熱融着に供されると、シーラント層を熱融着させる際、滑剤が付着した部分の溶け方が不均一となるため、シール不良が発生する。これらを防ぐため、金型に付着した滑剤を除去するための清掃頻度を増加させる必要性が生じ、電池の連続生産性が低下するという問題がある。
このような状況下、本発明の主な目的は、少なくとも、基材層、金属層、接着層、及びシーラント層が順次積層された積層体からなる電池用包装材料において、高いラミネート強度と優れた成形性を備え、さらに電池の連続生産性に優れた電池用包装材料、及び当該電池用包装材料を用いた電池を提供することにある。
本発明者は、前述の課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、少なくとも、基材層、金属層、接着層、及びシーラント層が順次積層された積層体からなる電池用包装材料において、シーラント層が滑剤を含んでおり、接着層への滑剤の添加量が100ppm以下であり、下記の計算式(1)で算出される値Yが、250〜750の範囲にあることにより、高いラミネート強度と優れた成形性とを両立させ、さらには電池の連続生産性も向上できることを見出した。
Y=(A×C+B×D)/(C+D) (1)
A:シーラント層の滑剤量
B:接着層の滑剤量
C:シーラント層の厚み
D:接着層の厚み
本発明は、これらの知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 少なくとも、基材層、金属層、接着層、及びシーラント層が順次積層された積層体からなり、
前記シーラント層が滑剤を含んでおり、
前記接着層に添加される滑剤の量が100ppm以下であり、
下記の計算式(1)で算出される値Yが、250〜750の範囲にある、電池用包装材料。
Y=(A×C+B×D)/(C+D) (1)
A:シーラント層へのアマイド系滑剤の添加量
B:接着層へのアマイド系滑剤の添加量
C:シーラント層の厚み
D:接着層の厚み
項2. 前記シーラント層への前記滑剤の添加量が、500〜2000ppmである、項1に記載の電池用包装材料。
項3. 前記シーラント層の厚みが、10〜30μmである、項1または2に記載の電池用包装材料。
項4. 前記接着層の厚みが、10〜30μmである、項1〜3のいずれかに記載の電池用包装材料。
項5. 前記積層体の厚みが、120μm以下である、項1〜4のいずれかに記載の電池用包装材料。
項6. ラマン分光法を用いて前記シーラント層の結晶部と非晶部のスペクトル強度比から算出される、前記シーラント層の結晶化度が、30〜60%である、項1〜5のいずれかに記載の電池用包装材料。
項7. 前記シーラント層に含まれる前記滑剤がアマイド系滑剤であり、
前記シーラント層の表面に赤外線を照射した際の反射光を分光することにより得られる吸収スペクトルから、アマイド系滑剤のアミド基のC=O伸縮振動に由来する1650cm-1のピーク強度Pと、前記ポリオレフィン樹脂の基−CH2−変角振動に由来する1460cm-1のピーク強度Qとを測定して算出される、前記ピーク強度Qに対する前記ピーク強度Pの強度比X=P/Qが、0.05〜0.80の範囲にある、項1〜6のいずれかに記載の電池用包装材料。
項8. 前記基材層と前記金属層との間に接着剤層が積層されてなる、項1〜7のいずれかに記載の電池用包装材料。
項9. 前記金属層が、アルミニウム箔により形成されている、項1〜8のいずれかに記載の電池用包装材料。
項10. 少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた電池素子が、項1〜9のいずれかに記載の電池用包装材料内に収容されている、電池。
本発明によれば、少なくとも、基材層、金属層、接着層、及びシーラント層が順次積層された積層体からなる電池用包装材料において、シーラント層が滑剤を含んでおり、接着層に添加される滑剤の量が100ppm以下であり、前述の計算式(1)で算出される値Yが、250〜750の範囲にあることにより、高いラミネート強度及び優れた成形性を有し、さらには電池の連続生産性に優れた電池用包装材料を提供することができる。
本発明の電池用包装材料の断面構造の一例を示す図である。
本発明の電池用包装材料は、少なくとも、基材層、金属層、接着層、及びシーラント層が順次積層された積層体からなり、前記シーラント層が滑剤を含んでおり、前記接着層に添加される滑剤の量が100ppm以下であり、下記の計算式(1)で算出される値Yが、250〜750の範囲にあることを特徴とする。以下、本発明の電池用包装材料について詳述する。
Y=(A×C+B×D)/(C+D) (1)
A:シーラント層へのアマイド系滑剤の添加量
B:接着層へのアマイド系滑剤の添加量
C:シーラント層の厚み
D:接着層の厚み
1.電池用包装材料の積層構造
電池用包装材料は、図1に示すように、少なくとも、基材層1、金属層2、接着層3、及びシーラント層4が順次積層された積層体からなる。本発明の電池用包装材料において、基材層1が最外層になり、シーラント層4は最内層になる。即ち、電池の組み立て時に、電池素子の周縁に位置するシーラント層4同士が熱溶着して電池素子を密封することにより、電池素子が封止される。
本発明の電池用包装材料は、図1に示すように、基材層1と金属層2との間に、これらの接着性を高める目的で、必要に応じて接着剤層5が設けられていてもよい。また、図示しないが、基材層1の金属層2とは反対側にコーティング層を有していてもよい。
2.電池用包装材料を形成する各層の組成
[基材層1]
本発明の電池用包装材料において、基材層1は、後述のコーティング層が形成されない場合、最外層に位置する層である。基材層1を形成する素材については、絶縁性を備えるものであることを限度として特に制限されるものではない。基材層1を形成する素材としては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタン、珪素樹脂、フェノール樹脂、ポリエーテルイミド、ポリイミド、及びこれらの混合物や共重合物等が挙げられる。
ポリエステルとしては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリカーボネート、エチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステル、ブチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステル等が挙げられる。また、エチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステルとしては、具体的には、エチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体としてエチレンイソフタレートと重合する共重合体ポリエステル(以下、ポリエチレン(テレフタレート/イソフタレート)にならって略す)、ポリエチレン(テレフタレート/イソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリエチレン(テレフタレート/ナトリウムスルホイソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/ナトリウムイソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/フェニル−ジカルボキシレート)、ポリエチレン(テレフタレート/デカンジカルボキシレート)等が挙げられる。また、ブチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステルとしては、具体的には、ブチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体としてブチレンイソフタレートと重合する共重合体ポリエステル(以下、ポリブチレン(テレフタレート/イソフタレート)にならって略す)、ポリブチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリブチレン(テレフタレート/セバケート)、ポリブチレン(テレフタレート/デカンジカルボキシレート)、ポリブチレンナフタレート等が挙げられる。これらのポリエステルは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。ポリエステルは、耐電解液性に優れ、電解液の付着に対して白化等が発生し難いという利点があり、基材層1の形成素材として好適に使用される。
また、ポリアミドとしては、具体的には、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン12、ナイロン46、ナイロン6とナイロン6,6との共重合体等の脂肪族系ポリアミド;テレフタル酸及び/又はイソフタル酸に由来する構成単位を含むナイロン6I、ナイロン6T、ナイロン6IT、ナイロン6I6T(Iはイソフタル酸、Tはテレフタル酸を表す)等のヘキサメチレンジアミン−イソフタル酸−テレフタル酸共重合ポリアミド、ポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)等の芳香族を含むポリアミド;ポリアミノメチルシクロヘキシルアジパミド(PACM6)等の脂環系ポリアミド;さらにラクタム成分や、4,4’−ジフェニルメタン−ジイソシアネート等のイソシアネート成分を共重合させたポリアミド、共重合ポリアミドとポリエステルやポリアルキレンエーテルグリコールとの共重合体であるポリエステルアミド共重合体やポリエーテルエステルアミド共重合体;これらの共重合体等が挙げられる。これらのポリアミドは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。延伸ポリアミドフィルムは延伸性に優れており、成形時の基材層1の樹脂割れによる白化の発生を防ぐことができ、基材層1の形成素材として好適に使用される。
基材層1は、1軸又は2軸延伸された樹脂フィルムで形成されていてもよく、また未延伸の樹脂フィルムで形成してもよい。中でも、1軸又は2軸延伸された樹脂フィルム、とりわけ2軸延伸された樹脂フィルムは、配向結晶化することにより耐熱性が向上しているので、基材層1として好適に使用される。また、基材層1は、上記の素材を金属層2上にコーティングして形成されていてもよい。
これらの中でも、基材層1を形成する樹脂フィルムとして、好ましくはナイロン、ポリエステル、更に好ましくは2軸延伸ナイロン、2軸延伸ポリエステル、特に好ましくは2軸延伸ナイロンが挙げられる。
基材層1は、耐ピンホール性及び電池の包装体とした時の絶縁性を向上させるために、異なる素材の樹脂フィルム及びコーティングの少なくとも一方を積層化することも可能である。具体的には、ポリエステルフィルムとナイロンフィルムとを積層させた多層構造や、2軸延伸ポリエステルと2軸延伸ナイロンとを積層させた多層構造等が挙げられる。基材層1を多層構造にする場合、各樹脂フィルムは接着剤を介して接着してもよく、また接着剤を介さず直接積層させてもよい。接着剤を介さず接着させる場合には、例えば、共押出し法、サンドラミ法、サーマルラミネート法等の熱溶融状態で接着させる方法が挙げられる。また、接着剤を介して接着させる場合、使用する接着剤は、2液硬化型接着剤であってもよく、また1液硬化型接着剤であってもよい。更に、接着剤の接着機構についても、特に制限されず、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型、UVやEBなどの電子線硬化型等のいずれであってもよい。接着剤の成分としてポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール樹脂系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、アミノ樹脂、ゴム、シリコン系樹脂が挙げられる。
基材層1には、成形性を向上させるために低摩擦化させておいてもよい。基材層1を低摩擦化させる場合、その表面の摩擦係数については特に制限されないが、例えば1.0以下が挙げられる。基材層1を低摩擦化するには、例えば、マット処理、滑剤の薄膜層の形成、これらの組み合わせ等が挙げられる。
マット処理としては、予め基材層1にマット化剤を添加し表面に凹凸を形成したり、エンボスロールによる加熱や加圧による転写法や、表面を乾式又は湿式ブラスト法やヤスリで機械的に荒らす方法が挙げられる。マット化剤としては、例えば、粒径が0.5nm〜5μm程度の微粒子が挙げられる。マット化剤の材質については、特に制限されないが、例えば、金属、金属酸化物、無機物、有機物等が挙げられる。また、マット化剤の形状についても、特に制限されないが、例えば、球状、繊維状、板状、不定形、バルーン状等が挙げられる。マット化剤として、具体的には、タルク,シリカ,グラファイト、カオリン、モンモリロイド、モンモリロナイト、合成マイカ、ハイドロタルサイト、シリカゲル、ゼオライト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛,酸化マグネシウム,酸化アルミニウム,酸化ネオジウム,酸化アンチモン、酸化チタン、酸化セリウム、硫酸カルシウム,硫酸バリウム、炭酸カルシウム,ケイ酸カルシウム、炭酸リチウム、安息香酸カルシウム,シュウ酸カルシウム,ステアリン酸マグネシウム、アルミナ、カーボンブラック、カーボンナノチューブ類、高融点ナイロン、架橋アクリル、架橋スチレン、架橋ポリエチレン、ベンゾグアナミン、金、アルミニウム、銅、ニッケル等が挙げられる。これらのマット化剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらのマット化剤の中でも、分散安定性やコスト等の観点から、好ましくはりシリカ、硫酸バリウム、酸化チタンが挙げられる。また、マット化剤には、表面に絶縁処理、高分散性処理等の各種表面処理を施しておいてもよい。
滑剤の薄膜層は、基材層1上に滑剤をブリードアウトにより表面に析出させて薄層を形成させる方法や、基材層1に滑剤を積層することで形成できる。滑剤としては、特に制限されないが、例えば、後述するようなアマイド系滑剤、金属石鹸、親水性シリコーン、シリコーンをグラフトしたアクリル、シリコーンをグラフトしたエポキシ、シリコーンをグラフトしたポリエーテル、シリコーンをグラフトしたポリエステル、ブロック型シリコーンアクリル共重合体、ポリグリセロール変性シリコーン、パラフィン等が挙げられる。これらの滑剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
基材層1の厚さとしては、例えば、10〜50μm、好ましくは15〜30μmが挙げられる。
[コーティング層]
電池用包装材料において、必要に応じて設けられるコーティング層は、電池を組み立てた時に、基材層1の外側(最外層)に位置する層である。本発明において、コーティング層は、主に電池用包装材料に耐電解液性、滑り性、耐摩擦性を付与することなどを目的として、例えば、2液硬化型樹脂により形成される。コーティング層を形成する2液硬化型樹脂としては、耐電解液性を有するものであれば、特に制限されないが、例えば、2液硬化型ウレタン樹脂、2液硬化型ポリエステル樹脂、2液硬化型エポキシ樹脂などが挙げられる。また、コーティング層には、意匠性を付与することなどを目的として、マット化剤を配合してもよい。
マット化剤としては、前述の[基材層1]において例示したものが挙げられる。
コーティング層を形成する方法としては、特に制限されないが、例えば、コーティング層を形成する2液硬化型樹脂を基材層1の一方の表面上に塗布する方法が挙げられる。マット化剤を配合する場合には、2液硬化型樹脂にマット化剤を添加して混合した後、塗布すればよい。
コーティング層は、耐電解液性を奏することが可能な程度に薄く形成されていることが好ましく、その厚みとしては、好ましくは5μm以下、より好ましくは3μm以下が挙げられる。なお、耐電解液性の観点から、コーティング層の厚みの下限値としては、通常2μm程度である。
[接着剤層5]
本発明の電池用包装材料において、接着剤層5は、基材層1と金属層2とを接着させるために、必要に応じて設けられる層である。
接着剤層5は、基材層1と金属層2とを接着可能である接着剤によって形成される。接着剤層5の形成に使用される接着剤は、2液硬化型接着剤であってもよく、また1液硬化型接着剤であってもよい。更に、接着剤層5の形成に使用される接着剤の接着機構についても、特に制限されず、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型等のいずれであってもよい。
接着剤層5の形成に使用できる接着剤の樹脂成分としては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリカーボネート、共重合ポリエステル等のポリエステル系樹脂;ポリエーテル系接着剤;ポリウレタン系接着剤;エポキシ系樹脂;フェノール樹脂系樹脂;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、共重合ポリアミド等のポリアミド系樹脂;ポリオレフィン、酸変性ポリオレフィン、金属変性ポリオレフィン等のポリオレフィン系樹脂;ポリ酢酸ビニル系樹脂;セルロース系接着剤;(メタ)アクリル系樹脂;ポリイミド系樹脂;尿素樹脂、メラミン樹脂等のアミノ樹脂;クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム等のゴム;シリコーン系樹脂;フッ化エチレンプロピレン共重合体等が挙げられる。これらの接着剤成分は1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。2種以上の接着剤成分の組み合わせ態様については、特に制限されないが、例えば、その接着剤成分として、ポリアミドと酸変性ポリオレフィンとの混合樹脂、ポリアミドと金属変性ポリオレフィンとの混合樹脂、ポリアミドとポリエステル、ポリエステルと酸変性ポリオレフィンとの混合樹脂、ポリエステルと金属変性ポリオレフィンとの混合樹脂等が挙げられる。これらの中でも、展延性、高湿度条件下における耐久性や応変抑制作用、ヒートシール時の熱劣化抑制作用等が優れ、基材層1と金属層2との間のラミネーション強度の低下を抑えてデラミネーションの発生を効果的に抑制するという観点から、好ましくはポリウレタン系2液硬化型接着剤;ポリアミド、ポリエステル、又はこれらと変性ポリオレフィンとのブレンド樹脂が挙げられる。
また、接着剤層5は異なる接着剤成分で多層化してもよい。接着剤層5を異なる接着剤成分で多層化する場合、基材層1と金属層2とのラミネーション強度を向上させるという観点から、基材層1側に配される接着剤成分を基材層1との接着性に優れる樹脂を選択し、金属層2側に配される接着剤成分を金属層2との接着性に優れる接着剤成分を選択することが好ましい。接着剤層5は異なる接着剤成分で多層化する場合、具体的には、金属層2側に配置される接着剤成分としては、好ましくは、酸変性ポリオレフィン、金属変性ポリオレフィン、ポリエステルと酸変性ポリオレフィンとの混合樹脂、共重合ポリエステルを含む樹脂等が挙げられる。
接着剤層5の厚さについては、例えば、2〜50μm、好ましくは2〜20μm、さらに好ましくは3〜15μmが挙げられる。
[金属層2]
本発明の電池用包装材料において、金属層2は、包装材料の強度向上の他、電池内部に水蒸気、酸素、光等が侵入するのを防止するためのバリア層として機能する層である。金属層2を形成する金属としては、具体的には、アルミニウム、ステンレス鋼、チタン等の金属箔が挙げられる。これらの中でも、アルミニウム箔及びステンレス鋼箔が好適に使用される。包装材料の製造時にしわやピンホールを防止するために、本発明において金属層2として、軟質アルミニウム、例えば、焼きなまし処理済みのアルミニウム(JIS A8021P−O)又は(JIS A8079P−O)等を用いることが好ましい。
金属層2の厚さについては、例えば、10〜200μm、好ましくは20〜100μmが挙げられる。
また、金属層2は、接着の安定化、溶解や腐食の防止等のために、少なくとも一方の面、好ましくは少なくともシーラント層4側の面、更に好ましくは両面が化成処理されていることが好ましい。ここで、化成処理とは、金属層2の表面に耐酸性皮膜を形成する処理である。化成処理は、例えば、硝酸クロム、フッ化クロム、硫酸クロム、酢酸クロム、蓚酸クロム、重リン酸クロム、クロム酸アセチルアセテート、塩化クロム、硫酸カリウムクロム等のクロム酸化合物を用いたクロム酸クロメート処理;リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸アンモニウム、ポリリン酸等のリン酸化合物を用いたリン酸クロメート処理;下記一般式(1)〜(4)で表される繰り返し単位からなるアミノ化フェノール重合体を用いたクロメート処理等が挙げられる。なお、当該アミノ化フェノール重合体において、下記一般式(1)〜(4)で表される繰り返し単位は、1種類単独で含まれていてもよいし、2種類以上の任意の組み合わせであってもよい。
一般式(1)〜(4)中、Xは水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アリル基又はベンジル基を示す。また、R1及びR2は、同一又は異なって、ヒドロキシル基、アルキル基、又はヒドロキシアルキル基を示す。一般式(1)〜(4)において、X、R1、R2で示されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4の直鎖又は分枝鎖状アルキル基が挙げられる。また、X、R1、R2で示されるヒドロキシアルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、1−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基等のヒドロキシ基が1個置換された炭素数1〜4の直鎖又は分枝鎖状アルキル基が挙げられる。一般式(1)〜(4)において、Xは、水素原子、ヒドロキシル基、及び、ドロキシアルキル基のいずれかであることが好ましい。一般式(1)〜(4)で表される繰り返し単位からなるアミノ化フェノール重合体の数平均分子量は、例えば、約500〜約100万、好ましくは約1000〜約2万が挙げられる。
また、金属層2に耐食性を付与する化成処理方法として、リン酸中に、酸化アルミ、酸化チタン、酸化セリウム、酸化スズ等の金属酸化物や硫酸バリウムの微粒子を分散させたものをコーティングし、150℃以上で焼付け処理を行うことにより、金属層2の表面に耐食処理層を形成する方法が挙げられる。また、耐食処理層の上には、カチオン性ポリマーを架橋剤で架橋させた樹脂層を形成してもよい。ここで、カチオン性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミンとカルボン酸を有するポリマーからなるイオン高分子錯体、アクリル主骨格に1級アミンをグラフトさせた1級アミングラフトアクリル樹脂、ポリアリルアミンまたはその誘導体、アミノフェノール等が挙げられる。これらのカチオン性ポリマーは1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、架橋剤としては、例えば、イソシアネート基、グリシジル基、カルボキシル基、及びオキサゾリン基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する化合物、シランカップリング剤等が挙げられる。これらの架橋剤は1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの化成処理は、1種の化成処理を単独で行ってもよく、2種以上の化成処理を組み合わせて行ってもよい。更に、これらの化成処理は、1種の化合物を単独で使用して行ってもよく、また2種以上の化合物を組み合わせて使用して行ってもよい。これらの中でも、好ましくはクロム酸クロメート処理、更に好ましくはクロム酸化合物、リン酸化合物、及びアミノ化フェノール重合体を組み合わせたクロメート処理が挙げられる。
化成処理において金属層2の表面に形成させる耐酸性皮膜の量については、特に制限されないが、例えばクロム酸化合物、リン酸化合物、及びアミノ化フェノール重合体を組み合わせてクロメート処理を行う場合であれば、金属層2の表面1m2当たり、クロム酸化合物がクロム換算で約0.5〜約50mg、好ましくは約1.0〜約40mg、リン化合物がリン換算で約0.5〜約50mg、好ましくは約1.0〜約40mg、及びアミノ化フェノール重合体が約1〜約200mg、好ましくは約5.0〜150mgの割合で含有されていることが望ましい。
化成処理は、耐酸性皮膜の形成に使用する化合物を含む溶液を、バーコート法、ロールコート法、グラビアコート法、浸漬法等によって、金属層2の表面に塗布した後に、金属層2の温度が70〜200℃程度になるように加熱することにより行われる。また、金属層2に化成処理を施す前に、予め金属層2を、アルカリ浸漬法、電解洗浄法、酸洗浄法、電解酸洗浄法等による脱脂処理に供してもよい。このように脱脂処理を行うことにより、金属層2の表面の化成処理を一層効率的に行うことが可能になる。
[接着層3]
本発明の電池用包装材料において、接着層3は、金属層2とシーラント層4を強固に接着させるために、これらの間に設けられる層である。
接着層3は、金属層2とシーラント層4とを接着可能である樹脂によって形成される。接着層3の形成に使用される樹脂については、特に制限されないが、金属層2とシーラント層4との密着性を高める観点からは、好ましくはカルボン酸変性ポリオレフィン、カルボン酸変性環状ポリオレフィン等が挙げられる。より好ましいカルボン酸変性ポリオレフィン及びカルボン酸変性環状ポリオレフィンの具体例は、後述の[シーラント層4]で例示するものと同じである。なお、接着層3を構成する樹脂とシーラント層4を構成する樹脂とは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、接着層3には、必要に応じて、オレフィン系、スチレン系などのエラストマー成分、ゴム成分などを配合してもよい。
接着層3の形成にカルボン酸変性ポリプロピレンを用いる場合、好ましくは以下のカルボン酸変性ポリプロピレンが挙げられる。
(1)ビガット軟化点115℃以上、融点150℃以上のホモタイプ
(2)ビガット軟化点105℃以上、融点130℃以上のエチレンープロピレンとの共重合体(ランダム共重合タイプ)
(3)融点110℃以上である不飽和カルボン酸を用い酸変性重合した単体又はブレンド物。
本発明においては、接着層3に添加される滑剤の量が100ppm以下に設定されている。接着層3に添加される滑剤量の上限値が当該値に設定されており、かつ、接着層3の滑剤量及び厚みと、後述のシーラント層4の滑剤量及び厚みとによって算出される後述の計算式(1)の値Yが特定の範囲内に設定されていることにより、電池用包装材料に対して、接着層3と金属層2との間における高いラミネート強度と、優れた成形性とを付与することができ、さらに電池の連続生産性を向上させることができる。
電池用包装材料に対して、接着層3と金属層2との間におけるより一層高いラミネート強度、より優れた成形性、さらには電池の優れた連続生産性を付与する観点からは、接着層3に添加される滑剤の量の上限値としては、好ましくは50ppmが挙げられる。また、接着層3に添加される滑剤の量の下限値としては、0ppmであってもよいが、好ましくは1ppmが挙げられる。滑剤には離型効果があるため、樹脂中に少量含有していることにより、樹脂押出し加工の際、スクリューやダイスへの付着が起こりにくくなり、過加熱による樹脂劣化が防げ、また炭化物などに由来するフィッシュアイも防止できるため、外観良好な接着層3が得られる。
なお、接着層3における滑剤としては、後述のシーラント層4で例示するものと同じものが挙げられる。接着層3における滑剤と、シーラント層4における滑剤とは、同一であってもよいし、異なっていてもよいが、これらの層には、好ましくは同一のものが含まれる。
接着層3の厚さについては、好ましくは5〜50μm程度、より好ましくは10〜30μm程度、さらに好ましくは15〜25μmが挙げられる。
[シーラント層4]
本発明の電池用包装材料において、シーラント層4は、最内層に該当し、電池の組み立て時にシーラント層同士が熱溶着して電池素子を密封する層である。
シーラント層4に使用される樹脂成分については、熱溶着可能であることを限度として特に制限されない。シーラント層4は、ポリオレフィン樹脂により形成されていることが好ましい。ポリオレフィン樹脂としては、熱溶着可能であることを限度として特に制限されないが、例えば、ポリオレフィン、環状ポリオレフィン、カルボン酸変性ポリオレフィン、カルボン酸変性環状ポリオレフィンが挙げられる。
前記ポリオレフィンとしては、具体的には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン等のポリエチレン;ホモポリプロピレン、ポリプロピレンのブロックコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのブロックコポリマー)、ポリプロピレンのランダムコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのランダムコポリマー)等のポリプロピレン;エチレン−ブテン−プロピレンのターポリマー;等が挙げられる。これらのポリオレフィンの中でも、好ましくはポリエチレン及びポリプロピレンが挙げられる。
前記環状ポリオレフィンは、オレフィンと環状モノマーとの共重合体であり、前記環状ポリオレフィンの構成モノマーであるオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、4−メチル−1−ペンテン、スチレン、ブタジエン、イソプレン、等が挙げられる。また、前記環状ポリオレフィンの構成モノマーである環状モノマーとしては、例えば、ノルボルネン等の環状アルケン;具体的には、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ノルボルナジエン等の環状ジエン等が挙げられる。これらのポリオレフィンの中でも、好ましくは環状アルケン、更に好ましくはノルボルネンが挙げられる。
前記カルボン酸変性ポリオレフィンとは、前記ポリオレフィンをカルボン酸でブロック重合又はグラフト重合することにより変性したポリマーである。変性に使用されるカルボン酸としては、例えば、マレイン酸、アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等が挙げられる。
前記カルボン酸変性環状ポリオレフィンとは、環状ポリオレフィンを構成するモノマーの一部を、α,β―不飽和カルボン酸又はその無水物に代えて共重合することにより、或いは環状ポリオレフィンに対してα,β―不飽和カルボン酸又はその無水物をブロック重合又はグラフト重合することにより得られるポリマーである。カルボン酸変性される環状ポリオレフィンについては、前記と同様である。また、変性に使用されるカルボン酸としては、前記酸変性シクロオレフィンコポリマーの変性に使用されるものと同様である。
これらの樹脂成分の中でも、好ましくはポリオレフィン、より好ましくはポリプロピレン、さらに好ましくはポリプロピレンのランダムコポリマーが挙げられる。
シーラント層4は、1種の樹脂成分単独で形成してもよく、また2種以上の樹脂成分を組み合わせたブレンドポリマーにより形成してもよい。また、シーラント層4には、必要に応じて、オレフィン系、スチレン系などのエラストマー成分、ゴム成分などを配合してもよい。さらに、シーラント層4は、1層のみで成されていてもよいが、同一又は異なる樹脂成分によって2層以上で形成されていてもよい。
シーラント層4は、滑剤を含んでいる。さらに、本発明においては、前述の通り、接着層3に添加される滑剤の量が100ppm以下に設定されており、かつ、計算式(1)で算出される値Yが、250〜750の範囲にある。
Y=(A×C+B×D)/(C+D) (1)
A:シーラント層へのアマイド系滑剤の添加量
B:接着層へのアマイド系滑剤の添加量
C:シーラント層の厚み
D:接着層の厚み
前述の通り、本発明者が検討したところ、金属層とシーラント層との間に接着層を積層する電池用包装材料において、シーラント層および接着層に添加する滑剤の量を、従来公知の所定量(例えば、100〜3000ppm程度)に設定したにもかかわらず、電池用包装材料の成形性が低下し、ピンホールやクラックなどが発生しやすくなる場合があることが見出された。また、シーラント層に当該所定量の滑剤を添加することにより、優れた成形性は発揮されるものの、金属層と接着層とのラミネート強度が低下して、所謂デラミネーションと称される現象が生じやすくなる場合があることも見出された。さらに、シーラント層の表面に位置する滑剤の量が多くなりすぎ、成形時に滑剤が金型に付着し、電池の連続生産性が低下する現象も確認された。これらの現象は、接着層及びシーラント層の厚みについても、従来適切と考えられている厚みに設定しているにもかかわらず生じることが確認された。
このような状況下、本発明者が検討を重ねたところ、金属層とシーラント層との間に接着層を積層する電池用包装材料においては、接着層及びシーラント層の厚みとこれらの層の滑剤の添加量(濃度)の関係を上記計算式(1)で表したYが、上記特定の範囲内となるように設定することにより、高いラミネート強度と優れた成形性を備え、さらには電池の連続生産性に優れた電池用包装材料となることを見出した。上記計算式(1)で表したYが上記特定の範囲内にあることにより、このような優れた効果が奏される要因としては、次のように考えることができる。すなわち、シーラント層に滑剤を添加した場合にも、シーラント層と金属層との間に接着層が存在すると、シーラント層と接着層との間で滑剤の移動が生じると考えられる。また、シーラント層及び接着層においては、厚みが大きくなるほど滑剤を多く含有することができる。したがって、例えばシーラント層に添加される滑剤量が同一であった場合にも、接着層の厚みが大きく滑剤濃度が低い場合には、接着層側に滑剤が移行しやすいといえる。逆に、接着層の厚みが小さく滑剤濃度が高い場合には、接着層側に滑剤が移行しにくいといえる。そして、シーラント層の滑剤濃度が低くなると、成形性が低下し、濃度が高くなると、ブリードアウトする滑剤量が増加し、電池の連続生産性が低下する。また、接着層の滑剤濃度が高くなると、金属層と接着層との密着性が低下しやすくなると考えられる。したがって、接着層及びシーラント層の厚みと量の関係式(計算式(1))を設定することによって、接着層とシーラント層に含有される滑剤濃度が適切な範囲となり、高いラミネート強度と優れた成形性を備え、さらには電池の連続生産性に優れた電池用包装材料となっていると考えられる。
電池用包装材料に対して、接着層3と金属層2との間におけるより一層高いラミネート強度及び優れた成形性、さらには優れた連続生産性を付与する観点からは、計算式(1)で算出される値Yとしては、より好ましくは300〜700程度、さらに好ましくは400〜600程度が挙げられる。
シーラント層4に添加される滑剤の量としては、Yが上記特定の範囲内となれば特に制限されないが、好ましくは500〜2000ppm程度、より好ましくは700〜1500ppm程度が挙げられる。滑剤量が500ppmより少ないと、初期における滑剤のシーラント層表面へのブリードアウト量が不十分になり、成形性を低下させる場合があり、滑剤量が2000ppmより多いと、初期に過剰にブリードアウトした滑剤が製造ラインを汚染し、電池の連続生産性を下げる場合がある。なお、本発明において、シーラント層4に含まれる滑剤の量は、シーラント層4の内部に位置する滑剤と、シーラント層4の表面に位置する滑剤との合計量である。
シーラント層4に添加される滑剤としては、特に制限されないが、好ましくはアマイド系滑剤が挙げられる。アマイド系滑剤としては、アミド基を有するものであれば特に制限されないが、好ましくは脂肪酸アミド及び芳香族ビスアミドが挙げられる。アマイド系滑剤は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
脂肪酸アマイドとしては、例えば、飽和脂肪酸アミド、不飽和脂肪酸アミド、置換アミド、メチロールアミド、飽和脂肪酸ビスアミド、不飽和脂肪酸ビスアミドなどが挙げられる。飽和脂肪酸アミドの具体例としては、ラウリン酸アミド、パルチミン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミドなどが挙げられる。不飽和脂肪酸アミドの具体例としては、オレイン酸アミド、エルカ酸アミドなどが挙げられる。置換アミドの具体例としては、N−オレイルパルチミン酸アミド、N−ステアリルステアリン酸アミド、N−ステアリルオレイン酸アミド、N−オレイルステアリン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミドなどが挙げられる。また、メチロールアミドの具体例としては、メチロールステアリン酸アミドなどが挙げられる。飽和脂肪酸ビスアミドの具体例としては、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンヒドロキシステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルアジピン酸アミド、N,N’−ジステアリルセバシン酸アミドなどが挙げられる。不飽和脂肪酸ビスアミドの具体例としては、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミドなどが挙げられる。脂肪酸エステルアミドの具体例としては、ステアロアミドエチルステアレートなどが挙げられる。また、芳香族系ビスアミドの具体例としては、m−キシリレンビスステアリン酸アミド、m−キシリレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、N,N’−システアリルイソフタル酸アミドなどが挙げられる。これらの中でも、脂肪酸アマイドが好ましく、エルカ酸アミドがより好ましい。
本発明の電池用包装材料においては、シーラント層4の表面に赤外線を照射した際の反射光を分光することにより得られる吸収スペクトルから、アマイド系滑剤のアミド基のC=O伸縮振動に由来する1650cm-1のピーク強度Pと、前記ポリオレフィン樹脂の基−CH2−変角振動に由来する1460cm-1のピーク強度Qとを測定して算出される、前記ピーク強度Qに対する前記ピーク強度Pの強度比X=P/Qが、0.05〜0.80の範囲にあることが好ましい。本発明の電池用包装材料が、このような特定範囲の強度比Xを有することにより、高い成形性を有し、かつ、電池の連続生産性に優れる。より好ましい強度比X=P/Qとしては、0.20〜0.60が挙げられる。
なお、本発明における当該強度比Xは、電池用包装材料を100mm×100mmの正方形に裁断してサンプルを作製し、このサンプルのシーラント層の表面をサーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製:Nicolet iS10 FT−IRのATRモードを用いて、温度25℃相対湿度50%の環境下で赤外分光法による赤外吸収スペクトル測定を実施して算出された値である。
従来の電池用包装材料においても、シーラント層にアマイド系滑剤を配合したり、コーティングすることは行われていた。ところが、シーラント層にコーティングするアマイド系滑剤や、シーラント層に配合するアマイド系滑を所定量に設定しているにも拘わらず、電池用包装材料の成形時において、金型にアマイド系滑剤が付着して連続生産性が低下する場合や、電池用包装材料にクラックやピンホールが発生する場合があることが明らかとなった。そして、これは、シーラント層にアマイド系滑剤を配合する場合、及びコーティングする場合のいずれにおいても、電池用包装材料を製造してから、成形に供されるまでの保管環境、輸送環境等の電池用包装材料の製造から成形に供される間の環境、特に温度変化によって、シーラント層の表面に位置するアマイド系滑剤の量が大きく変化していることに起因することが明らかとなった。よって、例えば、電池用包装材料の製造時には同量のアマイド系滑剤を使用していたにも拘わらず、保管環境等によって、成形時には表面に位置するアマイド系滑剤の量が大きく変化し、金型にアマイド系滑剤が付着して連続生産性が低下する場合や、電池用包装材料にクラックやピンホールが発生する場合がある。なお、電池用包装材料を製造してから、成形に供されるまでの保管環境、輸送環境等の電池用包装材料の製造から成形に供される間の環境、特に温度変化を適切に管理すれば、電池用包装材料の製造時と成形時の間におけるアマイド系滑剤の量の変化を抑制することは可能であるが、実際には保管環境や輸送環境が適切に管理できない場合もあり、電池製造の成形に供して初めて成形性や連続生産性の問題が生じることもあった。
これに対して、本発明の電池用包装材料においては、上記の赤外吸収スペクトル測定によって、シーラント層4の表面に位置するアマイド系滑剤の量が成形性及び連続生産性に適した値に設定することができるため、電池の製造に適している。
また、本発明の電池用包装材料においては、ラマン分光法を用いてシーラント層4の結晶部と非晶部のスペクトル強度比から算出される、シーラント層4の結晶化度が、30〜60%であることが好ましく、40〜50%であることがより好ましい。一般に、樹脂には、結晶部と非晶部とが存在し、シーラント層4の内部に滑剤が含まれる場合、滑剤は、シーラント層の非晶部に存在する。シーラント層4の結晶化度がこのような範囲にあることにより、シーラント層4内部の滑剤量が適切な量に設定され、電池用包装材料がより一層高いラミネート強度及びより優れた成形性、さらには優れた連続生産性を発揮することができる。なお、シーラント層4の結晶化度は、シーラント層を構成する樹脂の種類、添加剤、製造条件等により調整することができる。
本発明において、シーラント層4の結晶化度は、次のようにして測定した値である。電池用包装材料を50mm×50mmの正方形に裁断してサンプルを作製し、このサンプルのシーラント層の表面について、ラマン分光測定機(HORIBA製のJOBIN YVON)を用い、レーザーの波長633nm、測定時間15秒の条件でラマン分光スペクトルを測定する。得られたスペクトルを用い、シーラント層4を構成する樹脂の結晶部に由来する809cm-1のピークと、非晶部に由来する842cm-1のピークとから、結晶化度を算出する。
また、シーラント層4の厚さとしては、適宜選定することができるが、好ましくは10〜100μm程度、より好ましくは10〜30μm程度、さらに好ましくは15〜25μm程度が挙げられる。
電池用包装材料を構成する積層体の厚み(総厚み)としては、特に制限されないが、電池用包装材料を可能な限り薄くしつつ、高いラミネート強度と優れた成形性、さらには優れた連続生産性を発揮させる観点からは、好ましくは150μm以下、より好ましくは120μm以下、さらに好ましくは100μm以下が挙げられる。
3.電池用包装材料の製造方法
本発明の電池用包装材料の製造方法については、所定の組成の各層を積層させた積層体が得られる限り、特に制限されないが、例えば、以下の方法が例示される。
まず、基材層1、接着剤層5、金属層2が順に積層された積層体(以下、「積層体A」と表記することもある)を形成する。積層体Aの形成は、具体的には、基材層1上又は必要に応じて表面が化成処理された金属層2に接着剤層5の形成に使用される接着剤を、押出し法、グラビアコート法、ロールコート法等の塗布方法で塗布・乾燥した後に、当該金属層2又は基材層1を積層させて接着剤層5を硬化させるドライラミネーション法によって行うことができる。
次いで、積層体Aの金属層2上に、接着層3及びシーラント層4を積層させる。金属層2上に接着層3及びシーラント層4を積層する方法としては、例えば、(1)積層体Aの金属層2上に、接着層3及びシーラント層4を共押出しすることにより積層する方法(共押出しラミネーション法)、(2)別途、接着層3とシーラント層4が積層した積層体を形成し、これを積層体Aの金属層2上にサーマルラミネーション法により積層する方法、(3)積層体Aの金属層2上に、接着層3を形成させるための接着剤を押出し法や溶液コーティングした高温で乾燥さらには焼き付ける方法等により積層させ、この接着層3上に予めシート状に製膜したシーラント層4をサーマルラミネーション法により積層する方法、(4)積層体Aの金属層2と、予めシート状に製膜したシーラント層4との間に、溶融させた接着層3を流し込みながら、接着層3を介して積層体Aとシーラント層4を貼り合せる方法(サンドラミネーション法)等が挙げられる。なお、接着剤層5及び必要に応じて設けられる接着層3の接着性を強固にするために、更に、熱ロール接触式、熱風式、近又は遠赤外線式等の加熱処理に供してもよい。このような加熱処理の条件としては、例えば150〜250℃で1〜5分間が挙げられる。
本発明の電池用包装材料において、積層体を構成する各層は、必要に応じて、製膜性、積層化加工、最終製品2次加工(パウチ化、エンボス成形)適性等を向上又は安定化するために、コロナ処理、ブラスト処理、酸化処理、オゾン処理等の表面活性化処理を施していてもよい。
4.電池用包装材料の用途
本発明の電池用包装材料は、正極、負極、電解質等の電池素子を密封して収容するための包装材料として使用される。
具体的には、少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた電池素子を、本発明の電池用包装材料で、前記正極及び負極の各々に接続された金属端子が外側に突出させた状態で、電池素子の周縁にフランジ部(シーラント層同士が接触する領域)が形成できるようにして被覆し、前記フランジ部のシーラント層4同士をヒートシールして密封させることによって、電池用包装材料を使用した電池が提供される。なお、本発明の電池用包装材料10を用いて電池素子を収容する場合、本発明の電池用包装材料のシーラント層4が内側(電池素子と接する面)になるようにして用いられる。
なお、上述の通り、本発明の電池用包装材料を2つ用意し、シーラント層4同士を対向させた状態でシーラント層4を熱融着させることによって、2つの空間を併せた空間に電子素子を収容してもよい。また、本発明の電池用包装材料と、上記のようなシート状の積層体とを用意し、シーラント層4同士を対向させた状態でシーラント層4を熱融着させることによって、1つの空間に電子素子を収容してもよい。
本発明の電池用包装材料は、一次電池、二次電池のいずれに使用してもよいが、好ましくは二次電池である。本発明の電池用包装材料10が適用される二次電池の種類については、特に制限されず、例えば、リチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池、鉛畜電池、ニッケル・水素畜電池、ニッケル・カドミウム畜電池、ニッケル・鉄畜電池、ニッケル・亜鉛畜電池、酸化銀・亜鉛畜電池、金属空気電池、多価カチオン電池、コンデンサー、キャパシター等が挙げられる。これらの二次電池の中でも、本発明の電池用包装材料10の好適な適用対象として、リチウムイオン電池及びリチウムイオンポリマー電池が挙げられる。
以下に実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。但し本発明は実施例に限定されるものではない。
実施例1−10及び比較例1−9
<電池用包装材料の製造>
金属層としてのアルミニウム箔(厚さ35μm)の両面に化成処理を施し、一方の化成処理面に、基材層として二軸延伸ナイロンフィルム(厚さ15μm)を接着剤層の厚さが約3μmとなるようにウレタン樹脂系接着剤を介して、ドライラミネート法により貼り合せた。次に他方の化成処理面に、表1に記載の添加量になるようにアマイド系滑剤(エルカ酸アミド)を配合した接着層(カルボン酸変性ポリプロピレン、厚さは表1の通り)とシーラント層(ポリプロピレンのランダムコポリマー、厚さは表1の通り)を溶融押出しして、基材層/接着剤層/アルミニウム箔/接着層/シーラント層から構成される積層体を得た。各包装材料の製造は温度25℃下で行った。また化成処理は、処理液としてフェノール樹脂、フッ化クロム化合物、リン酸からなる水溶液を用い、ロールコート法により塗布し、皮膜温度が180℃以上となる条件において焼付けた。また、クロムの塗工量は、10mg/m2(乾燥質量)とした。なお、シーラント層の結晶化度は、接着層とシーラント層の共押し積層時の冷却状態を変更することにより調整した。基材層、接着剤層、金属層、接着層、シーラント層を構成する材料の詳細は、以下の通りである。得られた各電池用包装材料の構成を表1に示す。
<基材層>
ナイロン6を主成分とする原料からなる未延伸原反フィルムをチューブラー法により同時二軸延伸した後、200℃で熱処理することにより製造したものである。延伸倍率は流れ方向(MD)3.0倍、幅方向(TD)3.3倍の条件で製造した。
<接着剤層>
ガラス転移点−5〜5℃、重量平均分子量10×103〜40×103、水酸基等量0.7〜1.9個/molのポリオール化合物とトルエンジイソシアネート(TDI)のトリメチロールプロパン(TMP)アダクト体を主成分とする芳香族イソシアネートを1:3の比率で混合したウレタン樹脂系接着剤を使用した。
<金属層>
下記に示す物性のアルミニウム箔、8021材を使用した。
引張破断強度:MD102.2MPa、TD100.9MPa、引張破断伸度:MD9.8%、TD9.5%、0.2%耐力:MD70.8MPa、TD68.5MPa
ただし、引張破断強度及び引張破断伸度は、それぞれ、JIS K7127の規定に準拠した方法で測定した値である。また、0.2%耐力は、JIS Z 2241(全伸び法)に規定する引張試験によって測定される値である。
<接着層>
接着層には、ビガット軟化点105℃、融点146℃のランダムタイプポリプロピレンベース不飽和カルボン酸変性ポリプロピレンを使用した。
<シーラント層>
シーラント層には、融点142℃、メルトインデックス10g/minのエチレンコンテント7%ランダムポリプロピレンを使用した。
以下の方法により、実施例1−10及び比較例1−9で得られた電池用包装材料の成形性評価、ラミネート強度測定、電池の連続生産性評価、結晶化度測定、赤外吸収スペクトル測定を行った。なお、実施例および比較例の電池用包装材料は、温度25℃、相対湿度50%下において7日間放置してから、これらの評価及び測定を行った。これらの結果を表2に示す。
(成形性の評価)
上記で得られた各電池用包装材料を80mm×120mmの長方形に断裁してサンプルを作製した。得られたサンプルを30×50mmの口径(長方形)を有する成形金型(雌型)と、これに対応した成形金型(雄型)を用いて、押さえ圧0.4MPaで0.5mmの成形深さから0.5mm単位で成形深さを変えて、それぞれ10個のサンプルについて冷間成形を行った。冷間成形後のサンプルについて、シワやアルミニウム箔にピンホール、クラックが10個のサンプル全てにおいて発生しない最も深い成形深さを、そのサンプルの限界成形深さとした。この限界成形深さから、以下の基準により電池包装材料の成形性を評価した。
A:限界成形深さ6.0mm以上
B:限界成形深さ4.0〜5.5mm
C:限界成形深さ3.5mm以下
(金属層−接着層間のラミネート強度の測定)
上記で得られた各電池用包装材料から15mm幅の短冊状にサンプルを切り出し、金属層−接着層間を剥離して測定用サンプルを作成した。得られた測定用サンプルを用い、引張試験機にて引張速度50mm/minの条件で金属層−接着層間のラミネート強度(剥離強度)を測定した。
(連続生産性の評価)
上記の(成形性の評価)を行った後のサンプルについて、金型のコーナー部に対応する部分を目視で観察し、滑剤が金型に転写されて白化している場合を連続生産性が低い(C)、白化していない場合を連続生産性が高い(A)と評価した。
(結晶化度)
上記で得られた電池用包装材料を50mm×50mmの正方形に裁断してサンプルを作製し、このサンプルのシーラント層の表面について、顕微レーザーラマン分光分析装置LabRAM HR-800(堀場製作所/Jobin Yvon製)を用い、レーザーの波長633nm、測定時間15秒の条件でラマン分光スペクトルを測定した。得られたスペクトルを用い、シーラント層を構成する樹脂の結晶部に由来する809cm-1のピークと、非晶部に由来する842cm-1のピークとから、結晶化度を算出した。
(赤外分光法による赤外吸収スペクトル測定)
上記で得られた電池用包装材料を100mm×100mmの正方形に裁断してサンプルを作製した。得られたサンプルの熱接着性樹脂層の表面をサーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製:Nicolet iS10 FT−IRのATR測定モードを用いて、温度25℃、相対湿度50%の環境下で赤外吸収スペクトル測定を実施した。得られた吸収スペクトルから、アミド基のC=O伸縮振動に由来する1650cm-1のピーク強度Pとポリオレフィン樹脂の基−CH2−変角振動に由来する1460cm-1のピーク強度Qを測定し、ピーク強度Qに対するピーク強度Pの強度比X=P/Qを算出した。
表1及び表2に示されるように、接着層に添加される滑剤の量が100ppm以下であり、かつ、上記計算式(1)で算出される値Yが250〜750の範囲にある実施例1−10の電池用包装材料においては、優れた成形性と金属層−接着層間の高いラミネート強度を備えており、電池の連続生産性にも優れていることが分かる。
例えば、シーラント層に添加されている滑剤量が共に1000ppmである実施例5と比較例1とを比較すると、実施例5及び比較例1では、接着層及びシーラント層の滑剤量、厚みについて、それぞれ単独の値としては、所望の値に設定されているといえる。しかしながら、Yが250〜750の範囲外である比較例1では、成形性に優れるものの、電池の連続生産性には劣り、金属層−接着層のラミネート強度は低い値となった。この要因としては、次のように考えられる。すなわち、比較例1の電池用包装材料においては、接着層の厚みが5μmと薄いため、シーラント層に含まれる滑剤が接着層に移行した際に、接着層中の滑剤濃度が高まったものと考えられる。このため、金属層−接着層間のラミネート強度が低下したものと考えられる。一方、シーラント層の滑剤量は多いため、成形性については優れているものの、表面にブリードアウトする滑剤量が多すぎて、電池の連続生産性が低下したものと考えられる。
また、例えば、シーラント層に配合されている滑剤量が共に500ppmである実施例2と比較例6とを比較すると、実施例2及び比較例6においても、接着層及びシーラント層の滑剤量、厚みについて、それぞれ単独の値としては、所望の値に設定されている。ところが、比較例6では、金属層−接着層のラミネート強度は高いものの、成形性に劣る結果となった。この要因としては、次のように考えられる。すなわち、比較例6の電池用包装材料においては、接着層の厚みが30μmと厚い。また、シーラント層に添加された滑剤量は500ppm、接着層に添加された滑剤量は50ppmであり、いずれも高い値ではない。このため、シーラント層に含まれる滑剤が接着層に移行する量が多く、シーラント層の滑剤量が少なくなり、接着層については望ましい滑剤量になったと考えられる。よって、成形性については劣化し、金属層−接着層間のラミネート強度については低下しなかったものと考えられる。
1 基材層
2 金属層
3 接着層
4 シーラント層
5 接着剤層

Claims (10)

  1. 少なくとも、基材層、金属層、接着層、及びシーラント層が順次積層された積層体からなり、
    前記シーラント層が滑剤を含んでおり、
    前記接着層に添加される滑剤の量が100ppm以下であり、
    下記の計算式(1)で算出される値Yが、250〜750の範囲にある、電池用包装材料。
    Y=(A×C+B×D)/(C+D) (1)
    A:シーラント層へのアマイド系滑剤の添加量
    B:接着層へのアマイド系滑剤の添加量
    C:シーラント層の厚み
    D:接着層の厚み
  2. 前記シーラント層への前記滑剤の添加量が、500〜2000ppmである、請求項1に記載の電池用包装材料。
  3. 前記シーラント層の厚みが、10〜30μmである、請求項1または2に記載の電池用包装材料。
  4. 前記接着層の厚みが、10〜30μmである、請求項1〜3のいずれかに記載の電池用包装材料。
  5. 前記積層体の厚みが、120μm以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の電池用包装材料。
  6. ラマン分光法を用いて前記シーラント層の結晶部と非晶部のスペクトル強度比から算出される、前記シーラント層の結晶化度が、30〜60%である、請求項1〜5のいずれかに記載の電池用包装材料。
  7. 前記シーラント層に含まれる前記滑剤がアマイド系滑剤であり、
    前記シーラント層の表面に赤外線を照射した際の反射光を分光することにより得られる吸収スペクトルから、アマイド系滑剤のアミド基のC=O伸縮振動に由来する1650cm-1のピーク強度Pと、前記ポリオレフィン樹脂の基−CH2−変角振動に由来する1460cm-1のピーク強度Qとを測定して算出される、前記ピーク強度Qに対する前記ピーク強度Pの強度比X=P/Qが、0.05〜0.80の範囲にある、請求項1〜6のいずれかに記載の電池用包装材料。
  8. 前記基材層と前記金属層との間に接着剤層が積層されてなる、請求項1〜7のいずれかに記載の電池用包装材料。
  9. 前記金属層が、アルミニウム箔により形成されている、請求項1〜8のいずれかに記載の電池用包装材料。
  10. 少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた電池素子が、請求項1〜9のいずれかに記載の電池用包装材料内に収容されている、電池。
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