JP3773361B2 - 車両の挙動制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の挙動制御装置に関するものであり、特に、走行時における車両のドリフトアウトやスピン等の異常な車両挙動を抑制するための車両の挙動制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車両のドリフトアウトやスピンの発生を検出して該ドリフトアウトやスピンを抑制するように車両の挙動を制御する従来の制御装置は、該挙動制御を行う際の基準となる基準値を、車速、操舵角、路面の摩擦係数(以下、路面μと呼ぶ)又は挙動制御の開始頻度に応じて可変していた。例えば、特開平3−276852号公報では、路面μに応じた目標ヨーレートを算出し、該算出した目標ヨーレートと実ヨーレートとの偏差によりアンダステア傾向の度合いを検出し、偏差が大きいほど制動力が大きくなるようにブレーキ制御を行う旋回制御装置が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特開平3−276852号公報では、路面μが低下すると目標ヨーレートも小さくなって、目標ヨーレートと実ヨーレートとの偏差が負になるため、アンダステア状態を解消するため行われる所定の制動力制御を行うアンダステア制御を終了するか又は制動力を弱めるように制御が行われてしまう。これに反して、車両が走行中に路面μが低下すると、車両はアンダステア状態に陥ってしまうため、アンダステア制御が十分に行われないという問題があった。
【0004】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、路面μの低下の検出を行い、路面μの低下を検出するとアンダステア制御の開始を判断するためのしきい値を小さくして、アンダステア制御の開始を早めるようにすることで、路面μの低下時における車両のアンダステア状態を回避することができる車両の挙動制御装置を得ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る車両の挙動制御装置は、各種センサから得られたデータを基にして算出される目標ヨーレートとヨーレートセンサから得られる車両のヨーレートとの偏差から、車両のアンダステアの判定を行い、アンダステア状態であると判定すると、アンダステア状態を解消するために、所定の制動力制御及び駆動力制御を行って車両の挙動制御を行う挙動制御装置において、上記偏差を算出すると共に該算出した偏差と車両のアンダステア状態を判定するためのしきい値とを比較し、車両のアンダステアを判定する車両状態演算部を備え、該車両状態演算部は、各種センサから得られたデータを基にして路面の摩擦係数の変化を検出し、該路面の摩擦係数が低下したと判断すると共に、ステアリングの操舵角を検出する舵角センサよりステアリングの切り戻しを検出しなかった場合、上記挙動制御が開始されるタイミングを早めるように上記しきい値を変えるものである。
【0007】
また、この発明に係る車両の挙動制御装置は、各種センサから得られたデータを基にして算出される目標ヨーレートとヨーレートセンサから得られる車両のヨーレートとの偏差から、車両のアンダステアの判定を行い、アンダステア状態であると判定すると、アンダステア状態を解消するために、所定の制動力制御及び駆動力制御を行って車両の挙動制御を行う挙動制御装置において、上記偏差を算出すると共に該算出した偏差と車両のアンダステア状態を判定するためのしきい値とを比較し、車両のアンダステアを判定する車両状態演算部を備え、該車両状態演算部は、各種センサから得られたデータを基にして路面の摩擦係数の変化を検出し、該路面の摩擦係数が低下したと判断すると、路面の摩擦係数の低下速度に応じて上記挙動制御が開始されるタイミングが早くなるように上記しきい値を変えるものである
【0008】
また、この発明に係る車両の挙動制御装置は、各種センサから得られたデータを基にして算出される目標ヨーレートとヨーレートセンサから得られる車両のヨーレートとの偏差から、車両のアンダステアの判定を行い、アンダステア状態であると判定すると、アンダステア状態を解消するために、所定の制動力制御及び駆動力制御を行って車両の挙動制御を行う挙動制御装置において、上記偏差を算出すると共に該算出した偏差と車両のアンダステア状態を判定するためのしきい値とを比較し、車両のアンダステアを判定する車両状態演算部を備え、該車両状態演算部は、各種センサから得られたデータを基にして路面の摩擦係数の変化を検出し、該路面の摩擦係数が低下したと判断すると、ステアリングの切り増し速度に応じて上記挙動制御が開始されるタイミングが早くなるように上記しきい値を変えるものである
【0009】
また、具体的には、車両状態演算部は、路面の摩擦係数の大きさに応じて挙動制御が開始されるタイミングが早くなるようにしきい値を変える。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に、図面に示す実施の形態に基づいて、本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態1における車両の挙動制御装置の例を示した概略のブロック図である。
【0011】
図1において、車両の挙動制御装置1は、各車輪の車輪速度を検出する車輪速センサ2、ステアリングの操舵角を検出する舵角センサ3、車両のヨーレートを検出するヨーレートセンサ4、スロットル開度を検出するスロットルセンサ6及び車両の横方向の加減速度を検出する横加速度センサ7の各種センサと、該各センサからの入力信号より車両の状態を判定するための様々なデータを算出すると共に該算出したデータから、アンダステア状態を解消するように行われる制御であるアンダステア制御の実施判定を行う車両状態演算部8とを備えている。
【0012】
更に、車両の挙動制御装置1は、車両状態演算部8からの様々なデータ及び各種判定から各車輪に対する制動力の制御量を算出する制動力演算部9と、車両状態演算部8からの各データ及び各種判定から駆動力の制御量を算出する駆動力演算部10と、制動力演算部9で算出された制動力の制御量から各車輪のブレーキ制御を行うブレーキアクチュエータ11と、駆動力演算部10で算出された駆動力の制御量からスロットルの制御を行うスロットルアクチュエータ12とを備えている。
【0013】
車輪速センサ2、舵角センサ3、ヨーレートセンサ4、スロットルセンサ6及び横加速度センサ7は、それぞれ車両状態演算部8に接続され、該車両状態演算部8は制動力演算部9及び駆動力演算部10にそれぞれ接続され、制動力演算部9はブレーキアクチュエータ11に、駆動力演算部10はスロットルアクチュエータ12に接続されている。
【0014】
このような構成において、車両状態演算部8は、車輪速センサ2からの入力信号より得られた各車輪の車輪速度から車体速度Vを算出すると共に、舵角センサ3からの入力信号よりステアリング舵角δを、ヨーレートセンサ4からの入力信号より車両の実際のヨーレートである実ヨーレートωrを、スロットルセンサ6からの入力信号よりスロットル開度を、横加速度センサ7からの入力信号より横方向加速度Gyをそれぞれ得る。車両状態演算部8は、これら各センサからのそれぞれの入力信号から得られた各値より、車両の状態を判定するための様々なデータの算出を行い、該算出した各データから車両の挙動制御であるアンダステア制御の実施判定を行う。
【0015】
制動力演算部9は、車両状態演算部8で算出された各データ及びアンダステア制御実施判定から各車輪の制動力の制御量を算出してブレーキアクチュエータ11の制御を行う。また、駆動力演算部10は、車両状態演算部8で算出された各データ及びアンダステア制御実施判定から駆動力の制御量を算出してスロットルアクチュエータ12の制御を行う。
【0016】
次に、車両状態演算部8による車両のアンダステア制御の実施判定方法について説明する。
車両状態演算部8は、上記各センサから得られた値の内、車体速度V及びステアリング舵角δを用いて第1目標ヨーレートω0を下記(1)式より算出する。
ω0=V×δ/{(1+A×V2)×L} ……………(1)
なお、上記(1)式において、Aはスタビリティファクタであり車両に起因する定数であり、Lはホイールベースを示す定数である。
【0017】
次に、車両状態演算部8は、各センサから得られた値の内、車体速度V及び横方向の加速度Gyを用いて第2目標ヨーレートω1を下記(2)式より算出する。
ω1=Gy/V ………………………………………(2)
【0018】
更に、車両状態演算部8は、目標ヨーレートωtを下記(3)式より得る。
ωt=fmin(ω0,ω1) ……………………………(3)
なお、上記(3)式において、関数fmin(ω0,ω1)は、第1目標ヨーレートω0と第2目標ヨーレートω1の内、絶対値の小さい方の値を選択することを示している。
このようにして、車両状態演算部8は、第1目標ヨーレートω0と第2目標ヨーレートω1の内、絶対値の小さい方を目標ヨーレートωtとする。
【0019】
次に、車両状態演算部8は、このようにして得られた目標ヨーレートωtとヨーレートセンサ4から得られた実ヨーレートωrとの比較を行い、偏差であるヨーレート偏差Δωを算出する。ヨーレート偏差Δωは下記(4)式より算出される。
Δω=ωr−ωt ……………………………………(4)
【0020】
例えば、ヨーレートセンサ4の極性が左回りのときに正、右回りのときに負とすると、車両状態演算部8は、車両が左旋回を行っている場合、算出したヨーレート偏差Δωが、負の値であるアンダステアしきい値Thus未満であるとアンダステア制御開始判定を行う。また、車両が右旋回を行っている場合、車両状態演算部8は、算出したヨーレート偏差Δωが、正の値であるアンダステアしきい値Thusを超えるとアンダステア制御開始判定を行う。
【0021】
制動力演算部9及び駆動力演算部10は、ブレーキアクチュエータ11及びスロットルアクチュエータ12に対して、車両状態演算部8がアンダステア制御開始判定を行うと所定のアンダステア制御を行わせる。なお、本実施の形態では、車両の旋回方向に応じて正又は負となる値については、左回りを正、右回りを負となる場合を例にして説明する
【0022】
アンダステア制御として、制動力演算部9は、アンダステア状態を解消するために内後輪に付加する制動力制動量を算出する。該制動力制御量は、ヨーレート偏差Δωが大きい、すなわちアンダステアの度合いが大きいときほど大きい値が、ヨーレート偏差Δωが小さい、すなわちアンダステアの度合いが小さいときほど小さい値が算出される。同時に、駆動力演算部10は、所定の方法で駆動力制御量を算出し、例えば駆動力を減少させるようにする。
【0023】
一方、車両状態演算部8は、車両が走行している際における路面μの状態に応じてアンダステアしきい値Thusを可変する。低μ路では走行している車両は安定限界領域の近くにあることから、例えば、車両が旋回走行中に路面μが急に低下すると、ドライバがステアリングの切り戻しをしない限り車両はアンダステア状態となってドリフトアウトしやすくなっている。
【0024】
そこで、車両状態演算部8は、第2目標ヨーレートω1を微分して得られるω1の変化速度ω1’を算出し、該算出した変化速度ω1’から路面μの変化を判定する。例えば、車両状態演算部8は、変化速度ω1’が所定値α(α<0)未満になると、路面μが低下していると判断する。次に、舵角センサ3より得られるステアリング舵角δを微分してステアリング角速度δ’を算出する。該算出したステアリング角速度δ’から、ドライバによってステアリングの操作を判定する。路面μが低下したと判定すると共に、ドライバによるステアリングの切り戻しがなかった場合、下記(5)式のように補正前のアンダステアしきい値Thusの絶対値から補正値を減算した値を、新たにアンダステアしきい値Thusの絶対値とする。
【0025】
|Thus|←|Thus|−(K1×ω0’−K2×ω1’)×K3×Gy………(5)
なお、K1(>0)、K2(>0)、K3(>0)は定数であり、ω0’は第1目標ヨーレートω0を微分して得られるω0の変化速度である。
【0026】
上記(5)式において、第1目標ヨーレートの変化速度ω0’は、ステアリングの切り増し速度が大きくなるとアンダステアしきい値Thusの絶対値を小さくし、第2目標ヨーレートω1’は、路面μの低下速度が大きくなるとアンダステアしきい値Thusの絶対値を小さくする。また、横方向の加速度Gyは、路面μが低いときにはアンダステアしきい値Thusを小さくしないようにする。
【0027】
次に、図2は、図1で示した車両の挙動制御装置1の動作例を示したフローチャートであり、図3は、図2におけるしきい値設定のルーチンを示したフローチャートである。図2及び図3を用いて車両の挙動制御装置1の動作の流れについてもう少し詳細に説明する。
【0028】
図2において、ステップS1で、車両状態演算部8は、車輪速センサ2からの入力信号より得られる各車輪の車輪速度から車体速度Vを算出すると共に、舵角センサ3からの入力信号よりステアリング舵角δを、ヨーレートセンサ4からの入力信号より実ヨーレートωrを、スロットルセンサ6からの入力信号よりスロットル開度を、横加速度センサ7からの入力信号より横方向の加速度Gyをそれぞれ得る。次に、車両状態演算部8は、ステップS2で、上記(1)式から(3)式を用いて目標ヨーレートωtを算出し、ステップS3において、ステップS1で得た実ヨーレートωr及びステップS2で算出した目標ヨーレートωtから上記(4)式を用いてヨーレート偏差Δωを算出する。次に、ステップS4で、車両状態演算部8は、アンダステアしきい値Thusを算出して設定する。
【0029】
ここで、上記ステップS4で示した車両状態演算部8によるしきい値Thusの算出設定例を、図3のフローチャートを用いて説明する。なお、特に明記しない限り、図3で行われる処理はすべて車両状態演算部8で行われるものである。
【0030】
図3において、最初にステップS11で、車体速度V、横方向の加速度Gy及びステアリング舵角δに応じてあらかじめ設定されたアンダステアしきい値テーブルから、アンダステアしきい値Thusの絶対値C1を読み込む。次に、ステップS12で、算出した第2目標ヨーレートω1の変化速度ω1’を算出して、路面μの変化を監視する。ステップS13で、算出した変化速度ω1’が所定値α(<0)未満であるか否かを調べ、所定値α未満である場合(YES)、ステップS14に進む。また、ステップS13で、所定値α以上である場合(NO)は、本フローは終了して図2のステップS5に進む。
【0031】
ステップS14で、ステアリング舵角δを微分してステアリング角速度δ’を算出し、該ステアリング角速度δ’からステアリングの切り増し及び切り戻しの判定を行う。この場合、ステアリング角速度δ’がδ’>0のときはステアリングの切り増しを、δ’<0のときはステアリングの切り戻しを、δ’=0のときはステアリングの保舵を示している。
【0032】
ステップS15で、ステアリング角速度δ’がδ’≧0であるか否かを調べ、δ’≧0である場合(YES)、ステップS16で、アンダステアしきい値Thusの絶対値を上記(5)式を用いて小さくした値、すなわち所定の絶対値C1から補正値g(ω0’,ω1’,Gy)={(K1×ω0’−K2×ω1’)×K3×Gy}を減算した値に設定して本フローは終了し、図2のステップS5に進む。また、ステップS15で、δ’<0である場合(NO)、本フローは終了し、図2のステップS5に進む。
【0033】
次に、図2に戻り、ステップS5で、車両状態演算部8は、ステップS3で算出したヨーレート偏差ΔωとステップS4で設定されたアンダステアしきい値Thusとの比較を行い、アンダステア制御を開始するか否かの判定を行う。例えば、ヨーレートセンサ4の極性が左回りのとき正、右回りのときに負であるとすると、左旋回時においては、アンダステアしきい値Thusは負の値となり、ヨーレート偏差Δωがアンダステアしきい値Thus未満であるか否かを調べ、ヨーレート偏差Δωがアンダステアしきい値Thus未満であり、アンダステア制御を開始する判定を行うと(YES)、ステップS6に進む。
【0034】
ステップS6で、車両状態演算部8のアンダステア制御開始判定により、制動力演算部9は内後輪制動力の制動量の算出を行い、駆動力演算部10は駆動力の制御量を算出した後、ステップS7に進む。ステップS7で、制動力演算部9は該算出した制動量の内後輪制動力制御の実施をブレーキアクチュエータ11に実行させ、駆動力演算部10は駆動量の駆動制御の実施をスロットルアクチュエータに実行させてステップS1に戻る。
【0035】
なお、制動力及び駆動力の制御量は、例えばヨーレート偏差Δωに比例した値として設定され、該制御量に上限値を設けてもよい。また、ステップS5で、例えばヨーレート偏差Δωがアンダステアしきい値Thus以上であって、アンダステア制御開始の判定が行われなかった場合(NO)、ステップS1に戻る。
【0036】
このように、本実施の形態1における車両の挙動制御装置は、車両状態演算部8が路面μの変化を検出し、路面μが低下したと判定すると共に、ドライバによってステアリングの切り増し又は保舵されていると、アンダステアしきい値Thusの絶対値から、第1目標ヨーレートω0の変化速度ω0’、第2目標ヨーレートω1’及び横方向の加速度Gyから算出した補正値を減算して小さくするようにした。このことから、路面μの低下に対してアンダステア制御の開始を早めることができ、路面μの低下時における車両のアンダステア状態を回避することができる。
【0037】
なお、本実施の形態1では、第2目標ヨーレートω1の変化速度ω1’から路面μの変化を検出したが、横方向の加速度Gyの微分値を用いて路面μの変化を検出するようにしてもよい。また、路面μを算出し、該算出した路面μから路面μの変化を検出するようにしてもよい。
【0038】
【発明の効果】
上記の説明から明らかなように、本発明の車両の挙動制御装置によれば、各種センサから得られたデータを基にして路面の摩擦係数の変化を検出することができ、該路面の摩擦係数の低下時に、挙動制御が開始されるタイミングを早めるようにしきい値を変えた。具体的には、路面の摩擦係数の低下を検出すると共にステアリングの切り戻しを検出しなかった場合、挙動制御が開始されるタイミングを早めるようにしきい値を変えた。例えば、路面の摩擦係数の低下速度、ステアリングの切り増し速度路面の摩擦係数の大きさに応じて挙動制御が開始されるタイミングが早くなるようにしきい値を変えるようにした。このことから、路面μの低下に対してアンダステア制御の開始を早めることができ、路面μの低下時における車両のアンダステア状態を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1における車両の挙動制御装置の例を示した概略のブロック図である。
【図2】 図1で示した車両の挙動制御装置1の動作例を示したフローチャートである。
【図3】 図2におけるしきい値設定のルーチンを示したフローチャートである。
【符号の説明】
1 車両の挙動制御装置
2 車輪速センサ
3 舵角センサ
4 ヨーレートセンサ
6 スロットルセンサ
7 横加速度センサ
8 車両状態演算部
9 制動力演算部
10 駆動力演算部
11 ブレーキアクチュエータ
12 スロットルアクチュエータ

Claims (4)

  1. 各種センサから得られたデータを基にして算出される目標ヨーレートとヨーレートセンサから得られる車両のヨーレートとの偏差から、車両のアンダステアの判定を行い、アンダステア状態であると判定すると、アンダステア状態を解消するために、所定の制動力制御及び駆動力制御を行って車両の挙動制御を行う挙動制御装置において、
    上記偏差を算出すると共に該算出した偏差と車両のアンダステア状態を判定するためのしきい値とを比較し、車両のアンダステアを判定する車両状態演算部を備え、
    該車両状態演算部は、各種センサから得られたデータを基にして路面の摩擦係数の変化を検出し、該路面の摩擦係数が低下したと判断すると共に、ステアリングの操舵角を検出する舵角センサよりステアリングの切り戻しを検出しなかった場合、上記挙動制御が開始されるタイミングを早めるように上記しきい値を変えることを特徴とする車両の挙動制御装置。
  2. 各種センサから得られたデータを基にして算出される目標ヨーレートとヨーレートセンサから得られる車両のヨーレートとの偏差から、車両のアンダステアの判定を行い、アンダステア状態であると判定すると、アンダステア状態を解消するために、所定の制動力制御及び駆動力制御を行って車両の挙動制御を行う挙動制御装置において、
    上記偏差を算出すると共に該算出した偏差と車両のアンダステア状態を判定するためのしきい値とを比較し、車両のアンダステアを判定する車両状態演算部を備え、
    車両状態演算部は、各種センサから得られたデータを基にして路面の摩擦係数の変化を検出し、該路面の摩擦係数が低下したと判断すると、路面の摩擦係数の低下速度に応じて上記挙動制御が開始されるタイミングが早くなるように上記しきい値を変えることを特徴とする車両の挙動制御装置。
  3. 各種センサから得られたデータを基にして算出される目標ヨーレートとヨーレートセンサから得られる車両のヨーレートとの偏差から、車両のアンダステアの判定を行い、アンダステア状態であると判定すると、アンダステア状態を解消するために、所定の制動力制御及び駆動力制御を行って車両の挙動制御を行う挙動制御装置において、
    上記偏差を算出すると共に該算出した偏差と車両のアンダステア状態を判定するためのしきい値とを比較し、車両のアンダステアを判定する車両状態演算部を備え、
    車両状態演算部は、各種センサから得られたデータを基にして路面の摩擦係数の変化を検出し、該路面の摩擦係数が低下したと判断すると、ステアリングの切り増し速度に応じて上記挙動制御が開始されるタイミングが早くなるように上記しきい値を変えることを特徴とする車両の挙動制御装置。
  4. 上記車両状態演算部は、路面の摩擦係数の大きさに応じて上記挙動制御が開始されるタイミングが早くなるように上記しきい値を変えることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の車両の挙動制御装置。
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