JP3773148B2 - 虚血性疾患予防、治療剤及び臓器保存剤 - Google Patents

虚血性疾患予防、治療剤及び臓器保存剤 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、虚血性疾患の予防又は治療剤、および臓器保存剤に関し、さらに詳しくは、特定のアデノシン3’,5’−環状リン酸(以下、cAMPという)誘導体を有効成分とする、虚血性疾患予防、治療剤、及び臓器保存剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、活性酸素が生体に対して種々の影響を及ぼしていることが分かってきた。即ち、薬物、金属、虚血−再潅流、ストレスなどの引き金によって生成した活性酸素が、脂質、蛋白質、糖、DNAなどを攻撃して、様々な病態の形成や増悪を引き起こしている。
最近、虚血性疾患にも活性酸素が関与していることがわかってきており、その病態や疾患として虚血性脳疾患(脳梗塞、脳浮腫など)、虚血性心疾患(心筋梗塞、不整脈、狭心症など)、ショック、あるいは肺酸素中毒、臓器移植障害など多くのものがあげられる。脳梗塞の場合、血栓溶解剤を用いて血液を流れるようにすると、脳出血や脳浮腫などの虚血−再潅流障害が起こることが知られており、これを抑える良い薬は市販されていない。
【0003】
これらの病態に対して、D.J.Hearseらによる、アロプリノールなどのキサンチン酸化酵素阻害剤を用いる試み(Acta Physiol.Scand.,Supply 548巻、65頁、1986年参照)、S.R.Jollyらによる、スパーオキサイドジスムターゼ(SOD)を用いる方法(Circ.Res.,54巻、227頁、1984年参照)、ラジカルスカベンジャーを用いる方法(特開平9−67327号参照)、アデノシンやその関連化合物を用いる試み(特開平4−124143号および特許公報2505085号参照)がなされているが、半減期の短さ又は効果が不十分であったり、副作用の問題がある。また、臓器移植においても免疫抑制剤の登場に伴う拒絶反応の克服とともに、虚血−再潅流障害の克服が移植後の課題となっている。そして臓器を取り出してから移植までの時間が長いほど虚血状態が長く続くことになり、移植後の臓器障害の度合いも大きくなる。近年この観点から、臓器保存剤として、酸化還元能を有するペプチドの使用(特開平5−139992号)、あるいは活性酸素抑制組成物の使用(特開平8−26902号参照)などが提案されている。
【0004】
また、N6,2’−O−ジブチリルcAMPなどのcAMP誘導体が脳機能改善剤として有効との提案(国際公開番号 WO 90/11080参照)があるが、この脳機能改善剤は、脳梗塞などの虚血性疾患の直接(急性期)の予防、治療のためのものではない。つまり、前記のcAMP誘導体は、梗塞による心臓や脳の虚血−再潅流障害からの保護ではなく、パーキンソン病による神経症候障害、中枢神経の変成、アルツハイマー病による痴呆症などの脳機能、神経症候障害の改善を試みるものである。また前記提案には、脳梗塞に代表される脳虚血、又は脳出血による脳障害という記述がなされているが、これは上記と同様に、脳梗塞の結果生じた後遺症である脳神経障害の治療に有効であることを示しており、そして前記のcAMP誘導体が、前記疾患に通常使用されるイデベノンやホパテン酸カルシウム、ドパミンなどの薬剤に代わるものであるとされている。すなわち、cAMPおよびその誘導体が、虚血−再潅流障害などの急性期の虚血性疾患そのものに有効という報告はない。そして、本発明に用いられる多くの化合物は、特開昭60−239496号、特開平3−83995号などに記載の公知の化合物であり、そのうちの幾つかは、強心作用を有すること(特開昭63−208525号参照)が知られているが、急性期の虚血疾患に対する効果を有することは知られていない。また、臓器保存剤については、N6,2’−O−ジブチリルcAMPや8−ブロモcAMPがその成分の一つとして有用であるとの報告(Circulation,88巻,Part2,291頁,1993年参照)があるが、後述する本発明に用いられる化合物がそのような効果を有することは知られていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、虚血−再潅流障害により生ずる急性期の疾患、例えば虚血性脳疾患、虚血性心疾患、臓器移植障害などの予防、治療剤、および肺、肝臓、腎臓、心臓などの臓器移植のために摘出された臓器を保存するのに有効な臓器保存剤を提供することを目的としてなされたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を達成するために鋭意研究を進めた結果、特定のcAMP誘導体が急性期の虚血性疾患の予防、治療剤として、また臓器保護剤として有効であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記の一般式
【0007】
【化2】
Figure 0003773148
【0008】
(式中のR1は、水素原子、炭素数1ないし6のアルキル基、アルキル基の炭素数が1ないし3であるアラルキル基、又はフルフリル基を、R2は、水素原子、炭素数が1ないし6のアルキル基、またはアルキル基の炭素数が1ないし3であるアラルキル基を、R3は、水素原子、炭素数1ないし6のアルキル基、又はアルキル基の炭素数が1ないしは3であるアラルキル基を、R4は、水素原子、アミノ基、低級アルキルアミノ基、低級アルキルチオ基、アラルキルチオ基、又はハロゲン原子を意味し、R1、R2、R3が共に水素原子のとき、R4がハロゲン原子となることはなく、またR1、R2、R3、R4が共に同時に水素原子となることはない。また、Xは、水素原子、アルカリ金属、アンモニア、アミン類を意味する)
で表されるアデノシン−3’,5’−環状リン酸誘導体の少なくとも一種を有効成分として含有することを特徴とする、虚血性疾患予防、治療剤であり、また、前記のアデノシン−3’,5’−環状リン酸誘導体の少なくとも一種を有効成分として含有することを特徴とする、臓器保存剤である。
以下、本発明について詳細に説明する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の虚血性疾患予防、治療剤および臓器保存剤に用いられる化合物は、前記一般式で表させるcAMP誘導体であって、式中のR1は、水素原子、炭素数1ないし6のアルキル基、アルキル基の炭素数が1ないし3であるアラルキル基、又はフルフリル基を示す。R1において、炭素数1ないし6のアルキル基としては直鎖状または分岐鎖状のアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基が挙げられ、炭素数が6を超えるときは、本発明の目的を十分に達成することができない(後述のR2、R3におけるアルキル基も同様)。また、アルキル基の炭素数が1ないし3であるアラルキル基としては、例えばベンジル基、メチルベンジル基、ハイドロキシベンジル基、アミノベンジル基、クロロベンジル基、ブロモベンジル基、フルオロベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基などが挙げられる。アルキル基の炭素数が3を超えるときは、本発明の目的を十分に達成することができない(後述のR2、R3においても同様)。
【0010】
また、前記一般式中のR2は、水素原子、炭素数1ないし6のアルキル基、またはアルキル基の炭素数が1ないし3であるアラルキル基を示す。そして、R2における炭素数1ないし6のアルキル基としては、例えば前記したR1と同様のアルキル基が挙げられ、またアルキル基の炭素数が1ないし3であるアラルキル基としては、例えば前記したR1と同様のアラルキル基が挙げられる。
【0011】
また、前記一般式中のR3は、水素原子、炭素数1ないし6のアルキル基、又はアルキル基の炭素数が1ないしは3であるアラルキル基を示し、炭素数1ないし6のアルキル基としては、具体的には前記したR1、R2と同様のアルキル基が、また、アルキル基の炭素数が1ないし3であるアラルキル基としては、前記したR1、R2と同様のアラルキル基が挙げられる。
【0012】
また、前記一般式中のR4は、水素原子、アミノ基、低級アルキルアミノ基、低級アルキルチオ基、アラルキルチオ基、又はハロゲン原子を示す。アルキル基が低級アルキル基である前記のアルキルアミノ基としては、例えばメチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、ジブチルアミノ基などが挙げられる。また、低級アルキルチオ基としては、例えばメチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基などが、またアラルキルチオ基としては、ベンジルチオ基、ハイドロキシベンジルチオ基などが挙げられる。
そして、R1、R2、R3、R4が共に同時に水素原子となることはない。
【0013】
また、一般式中のXは、水素原子、又はナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、アンモニア、又はトリエチルアミンなどのアミン類を示す。
【0014】
次いで、本発明に用いられる好適なcAMP誘導体の具体例を挙げる。
先ず、一般式中においてR1が、炭素数1ないし6のアルキル基、アルキル基の炭素数が1ないし3であるアラルキル基、又はフルフリル基であり、R2、R3、R4が共に水素原子であるcAMP誘導体としては、例えばN6−エチルcAMP、N6−プロピルcAMP、N6−ブチルcAMP、N6−イソブチルcAMP、N6−ペンチルcAMP、N6−ヘキシルcAMP、N6−ベンジルcAMP、N6−フルフリルcAMP、N6−クロロベンジルcAMP、N6−ハイドロキシベンジルcAMP、N6−フェネチルcAMP、N6−フェニルプロピルcAMPなどのN6−アルキルcAMPが挙げられる。
【0015】
また、一般式中において、R1、R2が、共に炭素数1ないし6のアルキル基、又はアルキル基の炭素数が1ないし3であるアラルキル基であり、R3、R4が共に水素原子であるcAMP誘導体としては、例えばN6,N6−ジメチルcAMP、N6,N6−ジエチルcAMP、N6,N6−ジプロピルcAMP、N6,N6−ジブチルcAMP、N6,N6−ジペンチルcAMP、N6,N6−ジヘキシルcAMP、N6,N6−ジベンジルcAMP、N6,N6−ジメチルベンジルcAMP、N6,N6−ジクロロベンジルcAMP、N6,N6−ハイドロキシベンジルcAMP、N6,N6−ジフェネチルcAMP、N6,N6−ジフェニルプロピルcAMPなどのN6,N6−ジアルキルcAMPが挙げられる。
【0016】
また、一般式中において、R1、R2、R3が同一で、同時に炭素数1ないし6のアルキル基、又はアルキル基の炭素数が1ないし3であるアラルキル基であり、R4が水素原子であるcAMP誘導体としては、例えばN6,N6,2’−O−トリエチルcAMP、N6,N6,2’−O−トリプロピルcAMP、N6,N6,2’−O−トリブチルcAMP、N6,N6,2’−O−トリペンチルcAMP、N6,N6,2’−O−トリヘキシルcAMP、N6,N6,2’−O−トリベンジルcAMP、N6,N6,2’−O−トリフェネチルcAMP、N6,N6,2’−O−トリフェニルプロピルcAMPなどのN6,N6,2’−O−トリアルキルcAMPが挙げられる。
【0017】
また、一般式中において、R1、R3が同一で、炭素数1ないし6のアルキル基であり、R2、R4が共に水素原子であるcAMP誘導体としては、例えばN6,2’−O−ジメチルcAMP、N6,2’−O−ジエチルcAMP、N6,2’−O−ジプロピルcAMP、N6,2’−O−ジブチルcAMP、N6,2’−O−ジイソブチルcAMP、N6,2’−O−ジペンチルcAMP、N6,2’−O−ジヘキシルcAMPなどのN6,2’−O−ジアルキルcAMPが挙げられる。
【0018】
また、一般式中において、R1、R2、R3が、共に水素原子であり、R4がアミノ基又は低級アルキルアミノ基であるcAMP誘導体としては、例えば8−アミノcAMP、8−メチルアミノcAMP、8−ジメチルアミノcAMP、8−エチルアミノcAMP、8−ジエチルアミノcAMP、8−プロピルアミノcAMP、8−ジプロピルアミノcAMP、8−ブチルアミノcAMPなどの8−アミノcAMP又は8−アルキルアミノcAMPが挙げられる。
【0019】
また、一般式中において、R1が、炭素数1ないし6のアルキル基又はベンジル基であり、R2、R3が共に水素原子であり、R4が低級アルキルアミノ基、低級アルキルチオ基、アラルキルチオ基、又はハロゲン原子であるcAMP誘導体としては、例えばN6−ブチル−8−ベンジルチオcAMP、N6−ペンチル−8−ブロモcAMP、N6−プロピル−8−ベンジルチオcAMP、N6−ヘキシル−8−クロロcAMP、N6−ブチル−8−エチルチオcAMP、N6−エチル−8−プロピルアミノcAMPなどのN6−アルキル−8−置換cAMPが挙げられる。
【0020】
前記したこれらcAMP誘導体は、虚血性浮腫に対して強い抑制作用を有するので、虚血による疾患(虚血性脳疾患、虚血性心疾患、虚血−再潅流障害、臓器移植時の障害)の予防、治療剤として、あるいは臓器移植の際の虚血状態にある臓器の保存剤としても有効に用いられる。
【0021】
本発明に用いられるcAMP誘導体(以下、本cAMP誘導体ということがある)の1種又は2種以上を含有させて脳梗塞、脳浮腫、心筋梗塞、不整脈、狭心症などの虚血性疾患予防、治療剤として投与する場合、内服薬あるいは注射薬として用いるのが好ましい。内服薬として用いる場合は、錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、シロップ剤などとして、経口投与してもよいし、また直腸投与のために座剤の形でも投与できる。経口投与の場合は、本cAMP誘導体に、薬理学的に許容される添加物、すなわち賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、保存剤などを加えることが出来る。また非経口投与の場合には、例えば注射剤の形で使用され、注射剤としては無菌の水性または非水性の溶液剤、懸濁剤、乳濁剤などが含まれる。更に、必要に応じて防腐剤、乳化剤、分散剤、安定化剤、溶解補助剤等を添加しても良い。またこれを通常の無菌化処理した後、凍結乾燥などにより個体組成物として、使用直前に滅菌液体を加えて使用することもできる。
本発明の虚血性疾患予防、治療剤を投与する場合は、症状の程度、年齢、体重により異なるが、経口投与の場合、一般に成人一日当たり本cAMP誘導体を0.01〜400mg/kg、好ましくは0.5〜100mg/kgを1〜数回に分けて、また非経口投与の場合には0.001〜100mg/kg、好ましくは0.01〜50mg/kgを1〜数回に分けて投与するのが好ましい。
【0022】
また、本cAMP誘導体の1種または2種以上を有効成分として含有させて臓器移植時の臓器保存剤として使用する場合は、これを液体に溶解するか、又はその凍結乾燥などにより個体組成物とし、使用直前に滅菌液体を加えて使用する。この保存剤を保存液の形態で用いる場合には、例えば生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、クエン酸緩衝など生理的に許容される緩衝液や等張化液などに、本cAMP誘導体を溶解して調製することが出来る。
また好ましくは、従来より移植用臓器の保存液として用いられているユーロコリンズ(Euro−collins)液やユニバーシティ オブ ウイスコンシン(UW)液などに、本cAMP誘導体の必要量を添加して調製することが出来る。
臓器保存剤として使用する場合は、本cAMP誘導体を0.01〜100mM好ましくは0.1〜30mMとするのがよい。
【0023】
これらcAMP誘導体を得るには、その製造方法は特に限定されず、どの様な方法でもよく、例えばN6−アルキルcAMP誘導体は、特開昭60−239496号に記載の方法に従い、cAMPと対応するアルデヒドと還元剤を用いる還元アルキル化反応により、また、N6,N6−ジアルキルcAMP誘導体は、特開平3−83995号に記載の方法に従い、2’−O−トシルcAMPをNaH存在下、ハロゲン化アルキルで処理した後、アルカリ水溶液中で脱保護することにより得られる。また、N6,N6,2’−O−トリアルキルcAMP誘導体は、特公平7−64868号に記載の方法に従い、cAMPをNaH存在下、ハロゲン化アルキルと反応させることにより、また、N6,2’O−ジアルキルcAMPは特公告7−116213号に記載の方法に従い、cAMPをナトリウムメトキサイド存在下、ハロゲン化アルキルと反応させることにより得られる。また8−置換cAMP誘導体は、Muneyamaらの方法(Biochemistry、10巻、2390頁、1971年参照)により、さらにまた、N6−アルキル−8−置換cAMP誘導体は、Chemical and Pharmaceutical Bulletin,36巻、2212頁、1988年、に記載の方法を用いるか又は応用し、8置換cAMPと対応するアルデヒドと還元剤を用いる還元アルキル化反応により得ることが出来る。
【0024】
【実施例】
以下に、参考例、実験例、実施例を挙げてさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によって限定されるものではない。
参考例1(N6−プロピルcAMPの製造)
cAMPのトリブチルアミン塩5.0gを酢酸100mlに溶解し、プロピオンアルデヒド5.8mlを添加し、50℃に加熱下で撹拌した。次いでシアノ水素化ほう素ナトリウム2.5gを含んだジメチルホルムアミド6mlを加え、5時間撹拌した。反応混合物に少量の水を加え、溶媒を減圧留去したのち、残査を少量の水に溶解し、塩酸でpH2に調整し、活性炭カラムに吸着させ、水洗後、メタノール/水/28%水酸化アンモニウム(容量比10:10:1)で溶出する区分を減圧乾固した。残査をprep.TLC(メタノール/クロロホルム;容量比35:65)で精製した。得られた無色固体に水−メタノール、2N−NaOHを添加して溶解し、2N塩酸でpH2に調整して目的の化合物N6−プロピルcAMP2.4gを得た。
Figure 0003773148
【0025】
参考例2(N6−ブチルcAMPの製造)
cAMPのトリブチルアミン塩5.0gを酢酸100mlに溶解し、ブチルアルデヒド8.7mlを添加し、50℃に加熱下、撹拌した。次いでシアノ水素化ほう素ナトリウム2.5gを含んだジメチルホルムアミド6mlを加え、6時間撹拌した。次いで、参考例1に示したと同様の後処理をして、無色粉状の目的の化合物N6−ブチルcAMP2.8gを得た。
Figure 0003773148
【0026】
参考例3(N6−イソブチルcAMPの製造)
cAMPのトリブチルアミン塩5.0gを酢酸100mlに溶解し、イソブチルアルデヒド7.1mlを添加し、50℃に加熱下で撹拌した。次いでシアノ水素化ほう素ナトリウム2.5gを含んだジメチルホルムアミド6mlを加え、5時間撹拌した。参考例1に示したと同様の後処理をして、目的の化合物N6−イソブチルcAMP1.6gを得た。
Figure 0003773148
【0027】
参考例4(N6−ペンチルcAMPの製造)
cAMPのトリブチルアミン塩5.0gを酢酸100mlに溶解し、バレルアルデヒド10.6 mlを添加し、50℃に加熱下で撹拌した。次いでシアノ水素化ほう素ナトリウム3.1gを含んだジメチルホルムアミド6mlを加え、8時間撹拌した。次いで参考例1に示したと同様の後処理をして、目的の化合物N6−ペンチルcAMP1.8gを得た。
Figure 0003773148
【0028】
参考例5(N6−ヘキシルcAMPの製造)
cAMPのトリブチルアミン塩5.0gを酢酸100mlに溶解し、カプロアルデヒド12mlを添加し、50℃に加熱下で撹拌した。次いでシアノ水素化ほう素ナトリウム2.5gを含んだジメチルホルムアミド6mlを加え、6時間撹拌した。次いで参考例1に示したと同様の後処理をして、N6−ヘキシルcAMP2.6gを得た(なお、後述の動物試験には、0.2N NaOHで中和して得たN6−ヘキシルcAMPのNa塩を使用した)。
Figure 0003773148
【0029】
参考例6(N6−ベンジルcAMPの製造)
cAMPのトリブチルアミン塩 5.0gを酢酸100mlに溶解し、ヘプチルアルデヒド10.2mlを添加し、50℃に加熱下で撹拌した。次いでシアノ水素化ほう素ナトリウム3.1gを含んだジメチルホルムアミド6mlを加え、8時間撹拌した。次いで参考例1に示したと同様の後処理をして、無色粉状の目的の化合物N6−ベンジルcAMP2.2gを得た。
Figure 0003773148
【0030】
参考例7(N6−フルフリルcAMPの製造)
cAMPのトリブチルアミン塩5.0gを酢酸100mlに溶解し、フルフラ−ル8.4mlを添加し、50℃に加熱下で撹拌した。次いでシアノ水素化ほう素ナトリウム2.5gを含んだジメチルホルムアミド6mlを加え、8時間撹拌した。次いで参考例1に示したと同様の後処理をして、無色粉状の目的の化合物N6−フルフリルcAMP2.3gを得た。なお、元素分析には、Na塩を調製し、測定した。
Figure 0003773148
【0031】
参考例8(N6,N6−ジブチルcAMPの製造)
(1)2’−O−トシルcAMPの合成
cAMP(32.9g)の水酸化ナトリウム(11g)水溶液(200ml)にトシルクロライド(86g)のジオキサン(600ml)溶液を加え、室温下で一晩撹拌した。生成した沈殿をろ取し、ジオキサン洗浄し、乾燥して2’−O−トシルcAMP39gを得た。
Figure 0003773148
(2)N6,N6−ジブチルcAMPの製造
前記のごとくして得た2’−O−トシルcAMP(2.0g)のジメチルスルホキサイド(20ml)溶液に、水素化ナトリウム(660mg)、ブチルブロマイド(1.8ml)を添加し、室温下、2日間撹拌した。反応液にメタノール/水(60ml:60ml)、2N水酸化ナトリウム(14ml)を加え、室温下で一日撹拌した。その後、濃塩酸で中和、溶媒留去後、残査を水に溶解し、2N塩酸でpH2に調整し、活性炭カラムに吸着させ、水で洗浄し、エタノール/水/28%水酸化アンモニウム(容量比10:10:1)で溶出する区分を減圧乾固した。残査を少量のメタノールに溶解し、2N塩酸でpH2に調整し、prep TLC(メタノール/クロロホルム;容量比3:7)で精製し、目的とするN6,N6−ジブチルcAMP1.26gを得た。
Figure 0003773148
【0032】
参考例9(N6,N6−ジペンチルcAMPの製造)
参考例8に示したと同様の方法でおこなった。すなわち、2’−O−トシルcAMP(2.0g)のジメチルスルホキサイド(20ml)溶液に水素化ナトリウム(660mg)、ペンチルブロマイド(2.3ml)を添加し、室温下で2日間反応させた。この反応液にメタノール/水(30ml:70ml)、2N水酸化ナトリウム(14ml)を加え、室温下で3日撹拌した。次いで参考例8の(2)と同様の後処理をして目的化合物のN6,N6−ジペンチルcAMPを0.934g得た。
Figure 0003773148
【0033】
参考例10(N6,N6−ジベンジルcAMPの製造)
参考例8に示したと同様の方法でおこなった。すなわち、2’−O−トシルcAMP(2.0g)のジメチルスルホキサイド(20ml)溶液に水素化ナトリウム(730mg)、ベンジルブロマイド(2.6ml)を添加し、室温下で7時間反応させた。この反応液にメタノール/水(30ml:70ml)、2N水酸化ナトリウム(13ml)を加え、室温下で2日撹拌した。次いで参考例8−(2)と同様の後処理をして目的化合物のN6,N6−ジベンジルcAMPを0.773g得た。
Figure 0003773148
【0034】
参考例11(N6,N6,2’−O−トリエチルcAMPの製造)
cAMPトリブチルアミン塩(2.1g)のジメチルスルホキサイド(20ml)溶液に水素化ナトリウム(800mg)、エチルブロマイド(2.1ml)を添加し、室温下で8時間撹拌した。反応液を2N塩酸でpH2に調整した後、溶媒を減圧留去した。残留する油状物質にベンゼン(50ml)を加えて溶解し、水150ml/回で4回洗浄した。ベンゼン層を分取し、無水硫酸ナトリウム乾燥後、減圧乾固した。得られた残査を少量のメタノールに溶解し、prep.TLC(メタノール/クロロホルム;容量比1:4)にて精製し、目的化合物のN6,N6,2’−O−トリエチルcAMPを0.96g得た。
Figure 0003773148
なお、動物試験にはこの化合物を0.2N NaOHで中和してNa塩としたものを使用した。
【0035】
参考例12(N6,N6,2’−O−トリブチルcAMPの製造)
cAMPトリブチルアミン塩(2.1g)のジメチルスルホキサイド(20ml)溶液に水素化ナトリウム(800mg)、ブチルブロマイド(2.1ml)を添加し、室温下で1日間撹拌した。次いで参考例11と同様に後処理し、目的化合物のN6,N6,2’−O−トリブチルcAMP0.94gを得た。
なお、動物試験にはこの化合物を0.2N NaOHで中和してNa塩としたもの使用した。
Figure 0003773148
【0036】
参考例13(N6,2’−O−ジブチルcAMPの製造)
cAMPトリブチルアミン塩(3.1g)のジメチルスルホキサイド(50ml)溶液に、28%ナトリウムメトキサイド(25.6ml)、ブチルブロマイド(10.3ml)を添加し、室温下で1日間撹拌した。この反応液を2N塩酸で中和した後、溶媒を減圧留去した。残査を少量の水に溶解し、2N塩酸でpH2に調整した後、活性炭カラムに吸着させ、水で洗浄後、エタノ−ル/水/28%水酸化アンモニウム(容量比10;10:1)で溶出する区分を減圧乾固した。得られた残査を少量のメタノールに溶解し、2N塩酸でpH2に調整、prep.TLC(メタノール/クロロホルム;容量比3:7)にて精製し、目的化合物であるN6,2’−O−ジブチルcAMPを0.54g得た。
Figure 0003773148
【0037】
参考例14(8−ジメチルアミノcAMPの製造)
Muneyamaらの方法(バイオケミストリー、10巻、2390頁、1971年参照)で合成した。すなわち、8−ブロモcAMP3gのメタノール(20ml)溶液に、ジメチルアミン(18ml)を添加し、一晩加熱還流した。溶媒を留去した後、残査をシリカゲルカラム(30g)に添付し、クロロホルム−メタノール(容量比3:1)で洗浄後、メタノールで溶出し、目的化合物を含む区分を減圧乾固した。得られた残査を水より再結晶して目的の化合物8−ジメチルアミノcAMP2.1gを得た。
Figure 0003773148
【0038】
参考例15(N6−ブチル−8−ベンジルチオcAMPの製造)
前記したMuneyamaらの方法で合成した8−ベンジルチオcAMPのトリブチルアミン塩3.2gを酢酸100 mlに溶解し、ブチルアルデヒド3.4mlを添加し、室温下で撹拌した。次いでシアノ水素化ほう素ナトリウム1.4gを含んだジメチルホルムアミド6mlを加え、4時間撹拌した。次いで参考例1と同様の後処理をして無色粉状の目的化合物のN6−ブチル−8−ベンジルチオcAMP2.1gを得た。
Figure 0003773148
【0039】
参考例16(N6−ペンチル−8−ブロモcAMPの製造)
8−ブロモcAMPのトリブチルアミン塩2.7gを酢酸100mlに溶解し、バレルアルデヒド8.5mlを添加し、室温下で撹拌した。次いでシアノ水素化ほう素ナトリウム1.8gを含んだジメチルホルムアミド6mlを加え、6時間撹拌した。参考例1と同様の後処理をして無色粉状の目的とする化合物のN6−ペンチル−8−ブロモcAMP1.8gを得た。
Figure 0003773148
【0040】
実験例1(急性毒性試験)
表1に示す各cAMP誘導体を生理食塩水に溶解し、5週齢のICR系マウス(雌5匹/群)に腹腔内投与してLD50を求めた。その結果を表1に示す。
【0041】
【表1】
表1
Figure 0003773148
なお、表1に示した各cAMP誘導体は、参考例1、2、6、7、8及び15に記載したと同様にして得たものである。
【0042】
実施例1(虚血性浮腫に対する抑制試験)
7〜8週齢のddy雄性マウスを用い、表2に示す各被検物質を虚血する30分前に投与した。なお、対照には生理食塩水を投与した。
浮腫抑制試験は、マウス右後足に輪ゴム(直径42mm)で縛り、虚血状態とした。20分後に輪ゴムを取り除き血流を再開させたときの浮腫の程度を調べることによって行なった。浮腫の程度は、再潅流20分後に、OZAKI MFG.CO.,LTD社製の「dial thickness gage G MICRO G−1M」を用いて、右足の厚さ(mm)を測定することで数値化した。
被検物質は、生理食塩水に溶解し、これを10mg/kg投与量で静脈内投与した。なお、生理食塩水に溶解しにくい化合物については腹腔内投与した。浮腫抑制率(%)は、A;被検物質投与における虚血前の足の厚さ(mm)、B;被検物質投与における再潅流後20分の足の厚さ(mm)、C;対照の虚血前の足の厚さ(mm)、D;対照の再潅流後20分の足の厚さ(mm)を測定し、測定したA、B、C、Dから、{1−(B−A)÷(D−C)}×100の計算によって求めた。
このようにして求めた各被検物質の浮腫抑制率(%)を表2に示す。
【0043】
Figure 0003773148
表中の−は、活性なしを表す。
なお、表2中のNo.1〜16に示す各cAMP誘導体は、それぞれ前記参考例1〜16に記載したと同様の方法で得たものである。
【0044】
表2に示したように、本発明に用いられるcAMP誘導体は、いずれも虚血性浮腫に対して強い抑制作用を有することが確認された。一方cAMP、8−ブロモcAMP、アシル誘導体であるN6,2’−O−ジブチリルcAMP、さらにはcAMP類似化合物であるアデノシンなどには殆ど活性がないか、あっても非常に弱いものであり、本発明に用いられるcAMP誘導体が、虚血性浮腫に対し優れた抑制作用を有することがわかる。
よって本発明化合物は、虚血による疾患(虚血性脳疾患、虚血性心疾患、虚血−再潅流障害など)の予防、治療として、そして臓器移植用の臓器が保存されている状態においては、その臓器はまさに虚血状態であるので、本cAMP誘導体は、臓器保存効果が知られているN6,2’−ジブチリルcAMP、8−ブロモcAMPよりも優れた効果を示し、臓器保存剤としても有用である。
【0045】
実施例2(アンプル型の虚血性疾患予防、治療剤)
6−ブチルcAMP9gを注射用蒸留水300mlに溶解し、無菌ろ過した後、アンプルに3mlづつ充填し、アンプル型の非経口投与用の虚血性疾患予防、治療剤を調製した。なお、使用したN6−ブチルcAMPは、参考例2に記載したと同様の方法で得たものである。
【0046】
実施例3(アンプル型の虚血性疾患予防、治療剤)
6−ベンジルcAMP3gを、注射用蒸留水300mlに溶解し、無菌ろ過した後、アンプルに2mlづつ充填し、アンプル型の非経口投与用の虚血性疾患予防、治療剤を調製した。なお、使用したN6−ベンジルcAMPは、参考例6に記載したと同様の方法で得たものである。
【0047】
実施例4(カプセルタイプの虚血性疾患予防、治療剤)
組成成分;
6−ペンチルcAMP 250g
バレイショ澱粉 150g
軽質無水ケイ酸 50g
ステアリン酸マグネシウム 10g
乳糖 540g
上記組成成分を均一に混合し、硬質カプセルに500mgづつ充填して経口投与用のカプセルタイプの虚血性疾患予防、治療剤を調製した。
なお、使用したN6−ペンチルcAMPは、参考例4に記載したと同様の方法で得たものである。
【0048】
実施例5(錠剤型の虚血性疾患予防、治療剤)
組成成分;
6−ブチル−8−ベンジルチオcAMPNa 400g
バレイショ澱粉 150g
結晶セルロース 60g
軽質無水ケイ酸 50g
ヒドロキシプロピルセルロース 30g
ステアリン酸マグネシウム 15g
乳糖 295g
上記のN6−ブチル−8−ベンジルチオcAMPNa、乳糖、バレイショ澱粉、結晶セルロースおよび軽質無水ケイ酸を混合し、ヒドロキシプロピルセルロースの10%エタノール溶液を加えて練合、造粒して径0.8mmのスクリーンで押し出して顆粒を調製し、乾燥した後にステアリン酸マグネシウムを加えて圧縮成形し、500mgの錠剤型の虚血性疾患予防、治療剤を調製した。
なお、使用したN6−ブチル−8−ベンジルチオcAMPNaは、参考例15に記載したと同様の方法で得たものである。
【0049】
実施例6(臓器保存剤)
組成成分;
デキストラン 50g/リットル
グルコン酸カリウム 95mmol/リットル
KH2PO4 25mmol/リットル
MgSO4 5mmol/リットル
グルコース 65mmol/リットル
アデノシン 5mmol/リットル
N−アセチルシステイン 0.5mmol/リットル
6−ベンジルcAMP 1mmol/リットル
上記の成分を混合してpH7〜8に調製し、臓器保存用液を調製した。
なお、使用したN6−ベンジルcAMPは、参考例6に記載したと同様の方法で得たものである。
【0050】
実施例7(臓器保存剤)
組成成分;
ヒドロキシエチル澱粉 60g/リットル
KH2PO4 6.5mmol/リットル
2HPO4 18mmol/リットル
グルコン酸カリウム 86mmol/リットル
グルコン酸ナトリウム 10mmol/リットル
マンニトール 90mmol/リットル
NaHCO3 10mmol/リットル
6−ペンチルcAMP 2mmol/リットル
上記の成分を混合してpH7〜8に調製し、臓器保存用液を調製した。
なお、使用したN6−ペンチルcAMPは、参考例4に記載したと同様の方法で得たものである。
【0051】
【発明の効果】
本cAMP誘導体は、虚血−再潅流障害による浮腫を強く抑制する作用を有するので、これを有効成分として含有させた本発明の虚血性疾患予防、治療剤は、急性期の虚血性脳疾患、虚血性心疾患、臓器移植障害などの予防、治療剤として有効に用いられる。また、本発明の臓器保存剤は、虚血状態にある肺、肝臓、腎臓、心臓などの移植用摘出臓器を保存する際の臓器保存剤として有効に用いることができる。

Claims (8)

  1. 下記の一般式
    Figure 0003773148
    (式中のR1は、水素原子、炭素数1ないし6のアルキル基、アルキル基の炭素数が1ないし3であるアラルキル基、又はフルフリル基を、R2は、水素原子、炭素数が1ないし6のアルキル基、またはアルキル基の炭素数が1ないし3であるアラルキル基を、R3は、水素原子、炭素数1ないし6のアルキル基、又はアルキル基の炭素数が1ないしは3であるアラルキル基を、R4は、水素原子、アミノ基、低級アルキルアミノ基、低級アルキルチオ基、アラルキルチオ基、又はハロゲン原子を意味し、R1、R2、R3が共に水素原子のとき、R4がハロゲン原子となることはなく、またR1、R2、R3、R4が共に同時に水素原子となることはなく、また、Xは、水素原子、アルカリ金属、アンモニア、アミン類を意味する)で表されるアデノシン−3’,5’−環状リン酸誘導体の少なくとも一種を有効成分として含有することを特徴とする、虚血−再潅流障害の予防剤或いは治療剤
  2. アデノシン−3’,5’−環状リン酸誘導体がN6−アルキル誘導体であり、式中においてR1が、炭素数1ないし6のアルキル基、アルキル基の炭素数が1ないし3であるアラルキル基(フェニル基は、低級アルキル基、水酸基、ハロゲン原子、若しくはアミノ基を有したフェニル基であってもよい)、又はフルフリル基であり、R2、R3、R4が共に水素原子である、請求項1記載の虚血−再潅流障害の予防剤或いは治療剤
  3. アデノシン−3’,5’−環状リン酸誘導体がN6,N6−ジアルキル誘導体であり、式中においてR1、R2が、共に炭素数1ないし6のアルキル基、又はアルキル基の炭素数が1ないし3であるアラルキル基(フェニル基は、低級アルキル基、水酸基、ハロゲン原子、若しくはアミノ基を有したフェニル基であってもよい)であり、R1とR2は同じであってもよく、また互いに異なっていてもよく、R3、R4が共に水素原子である、請求項1記載の虚血−再潅流障害の予防剤或いは治療剤
  4. アデノシン−3’,5’−環状リン酸誘導体がN6,N6,2’−O−トリアルキル誘導体であり、式中においてR1、R2、R3が同一で、同時に炭素数1ないし6のアルキル基、又はアルキル基の炭素数が1ないし3であるアラルキル基(フェニル基は、低級アルキル基、水酸基、ハロゲン原子、若しくはアミノ基を有したフェニル基であってもよい)であり、R4が水素原子である、請求項1記載の虚血−再潅流障害の予防剤或いは治療剤
  5. アデノシン−3’,5’−環状リン酸誘導体がN6,2’−O−ジアルキル誘導体であり、式中においてR1、R3が同一で、炭素数1ないし6のアルキル基であり、R2、R4が共に水素原子である、請求項1記載の虚血−再潅流障害の予防剤或いは治療剤
  6. アデノシン−3’,5’−環状リン酸誘導体が8−アミノ又は8−アルキルアミノ誘導体であり、式中においてR1、R2、R3が、共に水素原子であり、R4がアミノ基又は低級アルキルアミノ基である、請求項1記載の虚血−再潅流障害の予防剤或いは 治療剤
  7. アデノシン−3’,5’−環状リン酸誘導体がN6−アルキル−8−置換誘導体であり、式中においてR1が、炭素数1ないし6のアルキル基又はベンジル基であり、R2、R3が共に水素原子であり、R4が低級アルキルアミノ基、低級アルキルチオ基、アラルキルチオ基、又はハロゲン原子である、請求項1記載の虚血−再潅流障害の予防剤或いは治療剤
  8. 請求項1〜7記載のいずれかのアデノシン−3’,5’−環状リン酸誘導体の少なくとも一種を有効成分として含有することを特徴とする、臓器保存剤。
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