JP3773042B2 - 受信装置、受信装置の制御方法、受信装置の制御プログラム、ならびに、これを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、デジタル放送を視聴するための受信装置、受信装置の制御方法、受信装置の制御プログラム、ならびに、これを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、衛星放送やCATVなどの分野において、デジタル放送の普及が世界的に進んでいる。ここで、BS放送、CS放送、デジタルBS放送などの各種デジタル放送を視聴するための受信機およびフロントエンドユニットは、信号変換のための回路を1系統だけ備えたものが現在主流である。具体的には、上記フロントエンドユニットは、入力されたRF信号をレベル変換・フィルタリングするためのRF回路、RF回路で処理された信号をローカル発振信号と混合し、互いに90度の位相差を有するI信号とQ信号のベースバンド信号に直接変換するためのダイレクトI/Q直交検波回路、およびローカル発振信号を生成するVCO回路、ローカル発振信号の周波数を制御するPLL選局回路を、それぞれ1系統備えている。
【0003】
ところで、欧州では2001年9月に、異なる2つの衛星を一つのデジタル放送受信用セットトップボックス(以後STBという)で受信できるサービスがスタートした。
【0004】
このサービスを実現するためには、STBに、2つの衛星からのRF信号をそれぞれのベースバンド信号に変換し、さらにトランスポートストリーム信号に変換するためのフロントエンド回路が2系統必要である。すなわち、STBには、フロントエンド回路をユニット化したフロントエンドユニット(チューナーユニット)が2個必要となる。そして、このようなSTBを小型化するために、2個のフロントエンドユニットを搭載する代わりに、2系統のフロントエンド回路をひとつのキャビネットにパッケージングしたユニットの開発が進められている。
【0005】
次に、図3および図4を参照しながら、2系統のフロントエンド回路を備えたフロントエンドユニットの回路構成例について説明する。
【0006】
図3のデジタル放送受信用フロントエンドユニット50では、2つの異なる衛星RF信号を受信するために、2系統のフロントエンド回路a,bが完全に分かれている。フロントエンド回路a,bの構成は同一であるため、ここではフロントエンド回路aについてのみ説明する。
【0007】
入力端子51から入力されたRF信号qa1は、RFフィルタ53にて不要信号が除去され(qa2)、RF増幅器55で増幅された後(qa3)、RF−AGC回路57で最適な信号強度に変換されて(qa4)、I/Q直交検波器59に入力される。I/Q直交検波器59において、RF信号qa4は、VCO61が生成するローカル発振信号qa5と混合され、互いに90度の位相差を有するI信号qa6およびQ信号qa7のベースバンド信号にダイレクト変換されて、出力端子67,69からそれぞれ出力される。ここで、VCO61が生成するローカル発振信号qa5は、PLL選局回路63によってRF信号qa4と同一の周波数になるように制御される。
【0008】
なお、ローカル発振信号qa5の周波数、すなわちローカル発振周波数(=選局周波数)は、PLL基準信号発振回路65が生成するステップ周波数と、ホストCPU(図示せず)からデータ送信されるプログラマブルデバイダ分周数Nによって決定される。一般には、希望信号周波数=ローカル周波数=ステップ周波数×Nになるように、ソフトウエアによってNの値が決定される。
【0009】
これにより、フロントエンドユニット50では、フロントエンド回路a,bにおいて、2つの異なる衛星からのRF信号qa1,qb1がそれぞれ互いに独立して選局・処理され、I信号qa6およびQ信号qa7と、I信号qb6およびQ信号qb7との2系統のベースバンド信号が出力される。その結果、フロントエンドユニット50では、2つの衛星からの放送を受信できる。
【0010】
つぎに、図4のデジタル放送受信用フロントエンドユニット50′では、フロントエンド回路aにRF分配回路71が、フロントエンド回路bにRFスイッチ72がそれぞれ設けられている。入力端子51からフロントエンド回路aに入力され、RF分配回路71にて分配出力されたRF信号q8は、フロントエンド回路bのRFスイッチ72に入力され、フロントエンド回路bの出力端子68,70からI信号qb6およびQ信号qb7のベースバンド信号として出力される。
【0011】
これにより、フロントエンドユニット50′では、1つの衛星からのRF信号をRF分配回路71で分配し、フロントエンド回路a,bにおいて互いに独立して選局・処理して、I信号qa6およびQ信号qa7と、I信号qb6およびQ信号qb7の2系統のベースバンド信号を出力できる。よって、フロントエンドユニット50′では、1つの衛星の異なる2つのチャンネルを2つ同時に視聴することや、裏番組を別に用意された機器に記録することなど、フロントエンドユニット50(図3)に比べてさらに多機能なサービスを提供できる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、異なる2つのデジタル放送を受信したり、1つのデジタル放送を受信しながら、同じ番組を録画したり、または裏番組を録画したりする場合には、STBには2系統のデジタル放送受信用フロントエンドが必要である。したがって、そのために、STB内部に2個のフロントエンドユニットを塔載するか、2つのフロントエンド機能を1つのユニットにパッケージしたものを塔載することになる。特に後者は、小型化、低コスト化の点で有利であり、開発が進められている。
【0013】
しかし、1つのキャビネットのなかに2つのVCO回路が密接して配置されるため、2つのVCO回路が同一周波数を選局した場合、一方のローカル発振信号が他方のVCO回路にリークして、ローカル発振信号の純度を表すフェーズノイズ特性が劣化する。ローカル発振信号のフェーズノイズ特性は、RF信号とローカル発振信号より生成されるベースバンド信号のフェーズノイズ特性と1:1で相関するため、ベースバンド信号の品質低下を招く。そして、VCO回路の相互干渉は、互いのローカル周波数が、近づけば近づくほど大きくなり、ローカル周波数が完全に一致したときが最も大きくなる。このため、2つのフロントエンド回路で同一チャンネルを選局したときに受信障害を生じる危険があった。
【0014】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、VCO回路の相互干渉による受信障害を抑制することができる受信装置、および、受信装置の制御方法を提供することにある。また、本発明の目的には、上記受信装置の制御方法をコンピュータに実行させる受信装置の制御プログラム、およびこれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することも含まれる。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明の受信装置は、VCO回路をそれぞれ備えた2系統の信号処理回路を有する受信装置であって、一方の系統で生成された位相同期ループ回路の基準信号を、他方の系統の位相同期ループ回路の基準信号として入力する基準信号共用手段と、一方の系統には希望信号周波数と同一の周波数をローカル周波数に設定し、他方の系統にはVCO回路の相互干渉を低減するように、(希望信号周波数)+(PLLステップ周波数×n(nは1以上の自然数))をローカル周波数に設定するローカル周波数設定手段と、を備えることを特徴としている。
【0016】
また、本発明の受信装置の制御方法は、VCO回路をそれぞれ備えた2系統の信号処理回路を有する受信装置であって、一方の系統で生成された位相同期ループ回路の基準信号を、他方の系統の位相同期ループ回路の基準信号として入力する基準信号共用処理と、一方の系統には希望信号周波数と同一の周波数をローカル周波数に設定し、他方の系統にはVCO回路の相互干渉を低減するように、(希望信号周波数)+(PLLステップ周波数×n(nは1以上の自然数))をローカル周波数に設定するローカル周波数設定処理と、を含むことを特徴としている。
【0017】
上記の構成および方法により、上記受信装置では、2系統の位相同期ループ回路が基準信号を共有できるため、ローカル発振信号の周波数(ローカル周波数)を完全に一致させることが可能である。また、上記受信装置では、1つの系統の信号処理回路におけるローカル周波数を、希望信号周波数からnステップ周波数だけずらすことができる。
【0018】
よって、上記受信装置では、2つの信号処理回路で同一の希望信号周波数(チャンネル)を選択しても、両者のローカル周波数をn(nは1以上の自然数)ステップ周波数だけ正確にずらすことができる。
【0019】
したがって、2系統の信号処理回路で同一の希望信号周波数を選択した場合に従来問題となっていた、2つのVCO間の相互干渉を無視できるレベルまで改善できる。その結果、2つのVCOの相互干渉による受信障害を回避して、安定した視聴が可能となる。それゆえ、2系統の信号処理回路を近接させて配置することが可能となるため、1つのキャビネット内に2つの信号処理回路を内蔵した受信装置の小型化を図ることができる。
【0020】
さらに、本発明の受信装置は、上記ローカル周波数設定手段において、nが1であることを特徴としている。
【0021】
また、本発明の受信装置の制御方法は、上記ローカル周波数設定処理において、nが1であることを特徴としている。
【0022】
上記の構成および方法により、さらに、上記受信装置では、1つの系統の信号処理回路におけるローカル周波数を、希望信号周波数から1ステップ周波数だけずらすことができる。
【0023】
よって、上記受信装置では、2つの信号処理回路で同一の希望信号周波数を選択しても、両者のローカル周波数を1ステップ周波数だけ正確にずらすことができる。
【0024】
したがって、2系統の信号処理回路で同一の希望信号周波数を選択した場合に従来問題となっていた、2つのVCO間の相互干渉を改善できる。その結果、2つのVCOの相互干渉による受信障害を回避して、安定した視聴が可能となる。それゆえ、2系統の信号処理回路を近接させて配置することが可能となるため、1つのキャビネット内に2つの信号処理回路を内蔵した受信装置の小型化を図ることができる。
【0025】
さらに、本発明の受信装置は、上記基準信号共用手段および上記ローカル周波数設定手段が、上記2系統の希望信号周波数が一致する時のみ機能するものであることを特徴としている。
【0026】
また、本発明の受信装置の制御方法は、上記基準信号共用処理および上記ローカル周波数設定処理を、上記2系統の希望信号周波数が一致する時のみに行うことを特徴としている。
【0027】
上記の構成および方法により、さらに、上記受信装置では、2つの信号処理回路で同一の希望信号周波数を選択した時のみ、両者のローカル周波数をn(nは1以上の自然数)ステップ周波数だけ正確にずらすことができる。
【0028】
よって、上記受信装置では、2系統の信号処理回路で同一の希望信号周波数を選択した場合に従来問題となっていた、2つのVCO間の相互干渉を改善できる。それゆえ、2系統の信号処理回路を近接させて配置することが可能となるため、1つのキャビネット内に2つの信号処理回路を内蔵した受信装置の小型化を図ることができる。
【0029】
その上、上記受信装置では、2系統の信号処理回路で異なる希望信号周波数を選択した場合の制御が簡素化されるため、ソフトウエアの高速化を図ることが可能となる。
【0030】
さらに、本発明の受信装置は、上記基準信号共用手段および上記ローカル周波数設定手段が、常に機能するものであることを特徴としている。
【0031】
また、本発明の受信装置の制御方法は、上記基準信号共用処理および上記ローカル周波数設定処理を、常に行うことを特徴としている。
【0032】
上記の構成および方法により、さらに、上記受信装置では、2つの信号処理回路で同一の希望信号周波数を選択した場合を含めて常に、両者のローカル周波数をn(nは1以上の自然数)ステップ周波数だけ正確にずらすことができる。
【0033】
よって、上記受信装置では、2系統の信号処理回路で同一の希望信号周波数を選択した場合に従来問題となっていた、2つのVCO間の相互干渉を改善できる。それゆえ、2系統の信号処理回路を近接させて配置することが可能となるため、1つのキャビネット内に2つの信号処理回路を内蔵した受信装置の小型化を図ることができる。
【0034】
その上、上記受信装置では、2系統の信号処理回路で選択される希望信号周波数によらず常に同じ制御を行うため、ソフトウエアを簡素化できる。
【0039】
さらに、本発明の受信装置は、上記受信装置が、ダイレクトコンバージョン方式のデジタル衛星放送受信用であることを特徴としている。
【0040】
また、本発明の受信装置の制御方法は、上記受信装置が、ダイレクトコンバージョン方式のデジタル衛星放送受信用であることを特徴としている。
【0041】
上記の構成および方法は、さらに、ダイレクトコンバージョン方式のデジタル衛星放送受信用の受信装置に好適である。すなわち、上記受信装置を、デジタル放送受信の用途で使用される、2系統の信号処理回路を備え、複数チャンネルの視聴が可能な多機能フロントエンドユニットに適用すれば、2系統が同一トランスポンダを選局する時に発生する、VCOの相互干渉による受信データの劣化を抑制することができる。
【0042】
また、本発明の受信装置の制御プログラムは、コンピュータに上記の各処理を実行させるコンピュータ・プログラムである。
【0043】
上記の構成により、上記受信装置をコンピュータで上記の各処理に従って制御することができる。したがって、上記した受信装置の制御方法の効果である、2系統で同一チャンネルを選局してもVCOの相互干渉がほとんど/全く発生しないため、受信データの劣化を防止できるという効果を奏する。
【0044】
また、本発明の受信装置の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、コンピュータに上記の各処理を実行させる受信装置の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【0045】
上記の構成により、上記記録媒体(例えばROM)から読み出された受信装置の制御プログラムによって、上記受信装置をコンピュータで上記の各処理に従って制御することができる。したがって、上記した受信装置の制御方法の効果である、2系統で同一チャンネルを選局してもVCOの相互干渉がほとんど/全く発生しないため、受信データの劣化を防止できるという効果を奏する。
【0046】
【発明の実施の形態】
〔実施の形態1〕
本発明の実施の形態について図1を参照しながら説明すれば、以下のとおりである。
【0047】
図1に示すように、本実施の形態に係るデジタル放送受信用フロントエンド装置(受信装置)1は、フロントエンドユニット10と、外部からフロントエンドユニット10を制御するホストCPU33とを備えて構成されている。
【0048】
上記フロントエンドユニット10は、2つの異なるデジタル放送衛星SA,SBからRF(radio frequency)信号を受信するために、それぞれ特性が設定された2系統のフロントエンド回路(信号処理回路)A,Bを備えている。なお、ホストCPU(central processing unit)33については、後に詳述する。
【0049】
上記フロントエンド回路A,Bは、入力されたRF信号をレベル変換・フィルタリングするためのRF回路、RF回路で処理された信号をローカル発振信号と混合し、互いに90度の位相差を有するI信号とQ信号のベースバンド信号に直接変換するためのダイレクトI/Q直交検波回路、およびローカル発振信号を生成するVCO(voltage controlled oscillator)回路、ローカル発振信号のローカル周波数を制御するPLL(phase-locked loop)選局回路をそれぞれ備えて構成されている。
【0050】
具体的には、フロントエンド回路Aでは、入力端子11から入力されたRF信号pA1は、RFフィルタ13にて不要信号が除去され(pA2)、RF増幅器15で増幅された後(pA3)、RF−AGC(automatic gain control)回路17で最適な信号強度に変換されて(pA4)、I/Q直交検波器19に入力される。I/Q直交検波器19において、RF信号pA4は、VCO21が生成するローカル発振信号pA5と混合され、互いに90度の位相差を有するI信号(出力信号)pA6およびQ信号(出力信号)pA7のベースバンド信号にダイレクト変換されて、出力端子27,29からそれぞれ出力される。ここで、VCO21が生成するローカル発振信号qA5は、PLL選局回路(位相同期ループ回路)23によってRF信号pA4と同一の周波数になるように制御される。
【0051】
また、フロントエンド回路Bは、フロントエンド回路Aと基本構成が同一である。すなわち、フロントエンド回路Bでは、入力端子12から入力されたRF信号pB1は、RFフィルタ14にて不要信号が除去され(pB2)、RF増幅器16で増幅された後(pB3)、RF−AGC回路18で最適な信号強度に変換されて(pB4)、I/Q直交検波器20に入力される。I/Q直交検波器20において、RF信号pB4は、VCO22が生成するローカル発振信号pB5と混合され、互いに90度の位相差を有するI信号(出力信号)pB6およびQ信号(出力信号)pB7のベースバンド信号にダイレクト変換されて、出力端子28,30からそれぞれ出力される。ここで、VCO22が生成するローカル発振信号qB5は、PLL選局回路(位相同期ループ回路)24によってRF信号pB4と同一の周波数になるように制御される。
【0052】
これにより、フロントエンドユニット10では、フロントエンド回路A,Bにおいて、2つの異なる衛星SA,SBからのRF信号pA1,pB1がそれぞれ互いに独立して選局・処理され、I信号pA6およびQ信号pA7と、I信号pB6およびQ信号pB7との2系統のベースバンド信号が出力される。その結果、フロントエンドユニット50では、2つの衛星SA,SBからの放送を受信できる。
【0053】
さらに、図1に示すように、上記フロントエンドユニット10には、フロントエンド回路AのRF増幅器15とRF−AGC回路17との間に、RF分配回路31が設けられている。また、フロントエンド回路BのRF増幅器16とRF−AGC回路18との間に、RFスイッチ32が設けられている。そして、RFスイッチ32は、2つの衛星SA,SBからのRF信号を受信する時にはRF増幅器16と接続するように、また1つの衛星SAの異なる2つのチャンネルを受信する時にはRF分配回路31と接続するように切り換えられる。
【0054】
ここで、フロントエンド回路BのRF−AGC回路18,I/Q直交検波器20,VCO22,PLL選局回路24は、衛星SBから受信してレベル変換・フィルタリングされたRF信号pB3に加えて、衛星SAから受信してレベル変換・フィルタリングされたRF信号p8をベースバンド信号に変換できるように特性が設定されている。
【0055】
よって、上記フロントエンドユニット10では、1つの衛星SAの異なる2つのチャンネルを受信する時には、入力端子11からフロントエンド回路Aに入力されてRF分配回路31にて分配出力されたRF信号p8が、フロントエンド回路BのRFスイッチ32に入力され、フロントエンド回路Bの出力端子28,30からI信号pB6およびQ信号pB7のベースバンド信号として出力される。
【0056】
これにより、フロントエンドユニット10では、1つの衛星SAからのRF信号pA1をRF分配回路31で分配し、フロントエンド回路A,Bにおいて互いに独立して選局・処理して、I信号pA6およびQ信号pA7と、I信号pB6およびQ信号pB7との2系統のベースバンド信号を出力できる。よって、フロントエンドユニット10では、2つの衛星SA,SBからの放送を受信できることに加えて、1つの衛星SAの異なる2つのチャンネルを同時に受信できる。すなわち、1つの衛星SAの異なる2つのチャンネルを2つ同時に視聴したり、裏番組を別に用意された機器に記録することができる。
【0057】
さらに、図1に示すように、上記フロントエンドユニット10の外部には、PLL選局回路23,24を制御するためのホストCPU(基準信号共用手段,ローカル周波数設定手段)33が設けられている。ホストCPU33は、少なくとも次の2つの機能を備えている。
【0058】
第1に、上記ホストCPU33は、1つの衛星SAの1つのチャンネルをフロントエンド回路A,Bの両方で受信する時、フロントエンド回路BのPLL選局回路24内のPLL基準信号発振回路(図示せず)を停止させるとともに、フロントエンド回路AのPLL選局回路23内のPLL基準信号発振回路25が生成した基準信号p9を、PLL選局回路24に入力する(基準信号共用処理)。すなわち、ホストCPU33は、フロントエンド回路AのPLL選局回路23内のPLL基準信号発振回路25において生成した基準信号を、フロントエンド回路A,B両方のPLL選局回路23,24において共用させる。
【0059】
よって、上記ホストCPU33の制御によれば、PLL選局回路23,24が基準信号を共有するため、2つのフロントエンド回路A,Bで同一のチャンネル(希望信号周波数)を選局した時のローカル発振信号pA5,pB5を完全に一致させることが可能である。
【0060】
第2に、上記ホストCPU33は、1つの衛星SAの1つのチャンネルをフロントエンド回路A,Bの両方で受信する時、PLL選局回路23,24にPLL制御信号を送信して、ローカル発振信号pA5,pB5の周波数、すなわちローカル周波数(=選局周波数)を設定する。ここで、ローカル周波数は、PLL基準信号発振回路25が生成するステップ周波数と、ホストCPU33からデータ送信されるプログラマブルデバイダ分周数Nによって決定される。
【0061】
上記ホストCPU33における具体的な選局アルゴリズムとしては、フロントエンド回路AのPLL選局回路23のプログラマブルデバイダには分周数としてNAを書き込むのに対し、フロントエンド回路BのPLL選局回路24のプログラマブルデバイダには分周数として常にNB+1を書き込む(ローカル周波数設定処理)。ここで、NAは、フロントエンド回路Aの希望信号周波数÷ステップ周波数である。また、NBは、フロントエンド回路Bの希望信号周波数÷ステップ周波数である。
【0062】
よって、上記ホストCPU33の制御によれば、フロントエンド回路BのPLL選局回路24には常に(希望信号周波数+1ステップ周波数)の周波数を選局することとなる。PLL選局回路のステップ周波数は一般的に数100kHzであるので、仮に、フロントエンド回路A,Bで同じ周波数を選局したとしても、常にフロントエンド回路Bのローカル周波数がフロントエンド回路Aのローカル周波数に対して正確に1ステップ周波数(=数100kHz)だけ高くなる。
【0063】
これにより、上記フロントエンドユニット10では、1つの衛星SAの1つのチャンネルをフロントエンド回路A,Bの両方で受信する時、ローカル周波数の差が正確に1ステップ周波数となる。よって、VCO21,22の相互干渉を軽減することができ、安定した視聴が可能となる。すなわち、VCO21,22の相互干渉による受信障害を回避できる。それゆえ、フロントエンド回路A,Bを近接させて配置できるため、1つのキャビネット内に2つのフロントエンド回路A,Bを内蔵したフロントエンドユニット10の小型化が可能となる。
【0064】
なお、PLL基準信号をフロントエンド回路A,Bでそれぞれ独立して生成すると、部品のばらつきなどによって、基準信号の周波数の差が0にはならない。よって、2つのフロントエンド回路A,Bで同一周波数を選局した時のローカル発振信号が完全に一致するかどうかは不明であり、基準信号の周波数の差の分だけ誤差を生じる。そのため、この状態でフロントエンド回路Bのローカル周波数を1ステップ周波数だけ高く設定しても、フロントエンド回路A,Bでローカル周波数の差が何kHz生じるかは不明であり、ローカル周波数が一致することを完全には回避できない。そこで、上記フロントエンドユニット10では、PLL基準信号をフロントエンド回路A,Bで共用する。
【0065】
次に、上記フロントエンドユニット10は、1つの衛星SAの1つのチャンネルをフロントエンド回路A,Bの両方で受信する時、上記ホストCPU33の制御により、フロントエンド回路AのPLL選局回路23のプログラマブルデバイダには分周数としてNAを書き込むのに対し、フロントエンド回路BのPLL選局回路24のプログラマブルデバイダには分周数として常にNB+nを書き込んでもよい。なお、nは2以上の自然数である。
【0066】
よって、上記ホストCPU33の制御によれば、フロントエンド回路BのPLL選局回路24には常に(希望信号周波数+nステップ周波数)の周波数を選局することとなる。
【0067】
これにより、上記フロントエンドユニット10では、1つの衛星SAの1つのチャンネルをフロントエンド回路A,Bの両方で受信する時、ローカル発振信号pA5,pB5の周波数の差が正確に2ステップもしくはそれ以上のステップの周波数となる。よって、VCO21,22の相互干渉を無視できるレベルまで改善することができ、安定した視聴が可能となる。すなわち、VCO21,22の相互干渉による受信障害を回避できる。それゆえ、フロントエンド回路A,Bを近接させて配置できるため、1つのキャビネット内に2つのフロントエンド回路A,Bを内蔵したフロントエンドユニット10の小型化が可能となる。
【0068】
次に、上記フロントエンドユニット10は、上記ホストCPU33の制御により、1つの衛星SAの1つのチャンネルをフロントエンド回路A,Bの両方で受信する時、すなわち、NA=NBの条件を満たす時のみ、フロントエンド回路BのPLL選局回路24のプログラマブルデバイダに分周数としてNB+n(nは1以上の自然数)を書き込んでもよい。それ以外の時、すなわち、NA=NBの条件を満たさない時は、フロントエンド回路A,BのPLL選局回路23,24のプログラマブルデバイダには分周数としてNA,NBをそれぞれ書き込む。
【0069】
よって、上記ホストCPU33の制御によれば、1つの衛星SAの1つのチャンネルをフロントエンド回路A,Bの両方で受信する時のみ、フロントエンド回路BのPLL選局回路24に(希望信号周波数+nステップ周波数(nは1以上の自然数))の周波数を選局することとなる。
【0070】
これにより、上記フロントエンドユニット10では、1つの衛星SAの1つのチャンネルをフロントエンド回路A,Bの両方で受信する時には、VCO21,22の相互干渉による受信障害を回避できるとともに、それ以外の時には制御が簡素化され、ソフトウエアの高速化が図れる。
【0071】
ここで、上記フロントエンドユニット10は、2つのローカル周波数を正確にn(n≧1)ステップずらすことによって、VCOの相互干渉を回避する。2つのローカル周波数を正確にnステップずらすためには、まず、基準信号周波数が完全に一致していることが前提になる。そのため、フロントエンドユニット10では、基準信号を共用することによって、2つのローカル信号を完全に一致させることが可能な回路を実現している。もちろん、2つのローカル信号を一致させて使用するわけではない。
【0072】
この点、基準信号を共用しないと、2つのローカル信号を完全に一致させることは困難である。すなわち、基準信号の周波数誤差のために、一致することもあれば、いくらかずれることもある。そして、どれだけずれているかは、部品のバラツキによるため不定である。それゆえ、2つのローカル信号を1ステップだけずらすように設定しても、実際には一致してしまい、相互干渉がより大きくなってしまうことがある。
【0073】
また、nを大きくする程、2つのVCOの相互干渉を軽減できるため、nの値は大きい方が望ましい。ただし、nが大きくなるにしたがって、QPSK復調ICがキャリア同期するまでに要する時間が長くなる/キャリア同期できない、ビットエラーレートが劣化する、といった弊害が生じるおそれがある。そして、nの値をいくらまで大きくできるかは、QPSK復調ICの仕様・性能によって異なる。よって、nの値は、使用するQPSK復調ICの仕様・性能に応じて適宜設定すればよい。また、少なくともn=1(数百kHz程度のキャリアとローカル周波数のずれ)では、上記のような弊害は発生しない。上記フロントエンドユニット10は、nの値を容易に変更できるため有利である。
【0074】
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態について図2を参照しながら説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記の実施の形態1において示した部材と同一の機能を有する部材には、同一の符号を付し、その説明を省略する。また、実施の形態1において定義した用語については、特に断らない限り本実施の形態においてもその定義に則って用いるものとする。
【0075】
図2に示すように、本実施の形態に係るデジタル放送受信用フロントエンド装置(受信装置)2は、フロントエンドユニット10′と、外部からフロントエンドユニット10′を制御するホストCPU33′とを備えて構成されている。
【0076】
上記フロントエンドユニット10′は、実施の形態1で説明したフロントエンドユニット10とほぼ同一の構成を備えている。よって、相違する点のみを説明する。
【0077】
上記フロントエンドユニット10′は、フロントエンド回路AのI/Q直交検波器19の後段に、I信号pA6およびQ信号pA7のベースバンド信号を2分配するベースバンドスイッチ24を備えている。また、I/Q直交検波器19,20の後段には、AD変換機能、QPSK(quadri-phase shift keying)復調機能、FEC(forward error correction)機能等のデジタル信号処理機能を有するQPSK復調IC(integrated circuit)35、36がそれぞれ設けられている。なお、実施の形態1に係るフロントエンドユニット10(図1)では、出力端子27〜30から出力されたベースバンド信号のI信号pA6およびQ信号pA7ならびにI信号pB6およびQ信号pB7が入力されるようにQPSK復調ICが外部に設けられている。
【0078】
また、図2に示すように、上記フロントエンドユニット10′の外部には、フロントエンドユニット10と同様に、PLL選局回路23,24を制御するためのホストCPU33′(出力信号分配手段)が設けられている。ホストCPU33′は、少なくとも次の2つの機能を備えている。
【0079】
第1に、上記ホストCPU33′は、1つの衛星SAの1つのチャンネルをフロントエンド回路A,Bの両方で受信する時、VCO22電源をオフしてフロントエンド回路Bのローカル発信を停止させる。
【0080】
よって、上記ホストCPU33′の制御によれば、2つのフロントエンド回路A,Bで同一のチャンネル(希望信号周波数)を選局した時、フロントエンド回路BのI信号pB6およびQ信号pB7がQPSK復調IC36に入力されなくなる。
【0081】
第2に、上記ホストCPU33′は、1つの衛星SAの1つのチャンネルをフロントエンド回路A,Bの両方で受信する時、ベースバンドスイッチ24をオンして、フロントエンド回路AのI信号pA6およびQ信号pA7をQPSK復調IC35,36の両方に入力する。
【0082】
これにより、上記ホストCPU33′の制御によれば、1つの衛星SAの1つのチャンネルをフロントエンド回路A,Bの両方で受信する時、すなはちNA=NBの条件を満たす時、フロントエンド回路BのVCO22の発振を停止させるとともに、フロントエンド回路Aのベースバンド信号(pA6およびpA7)を2個のQPSK復調IC35,36に分配入力して(出力信号分配処理)、2系統のトランスポートストリーム信号を得ることができる。もちろん、NA=NB以外の時は、VCO22の発振を停止させず、かつベースバンドスイッチ24をオフして、2系統のベースバンド信号(pA6およびpA7,pB6およびpB7)から、2種類のトランスポートストリーム信号をそれぞれ得ることができる。
【0083】
よって、上記フロントエンドユニット10′では、1つの衛星SAの1つのチャンネルをフロントエンド回路A,Bの両方で受信する時、VCOがフロントエンド回路AのVCO21しか動作しないため、VCOの相互干渉が全く発生しない。したがって、2つのフロントエンド回路A,Bを1つのキャビネット内に密集させることができるため、フロントエンドユニット10′の小型化が可能である。
【0084】
次に、フロントエンドユニット10′は、QPSK復調IC35,36の両方もしくはどちらか一方に代えて、QAM(quadrature amplitude modulation)復調器、8PSK(phase shift keying)復調器、もしくはOFDM(orthogonal frequency division multiplex)復調器を設けてもよい。もちろん、フロントエンドユニット10の場合、すなわち、これら復調器を外部に設ける場合も同様である。
【0085】
上記フロントエンドユニット10′は、デジタル衛星方法の他、デジタルCATV(cable television)放送やデジタル地上波放送を受信するデジタル放送受信用チューナとして好適である。よって、上記フロントエンドユニット10′が受信するRF信号としては、デジタルCATV放送用のRF信号もしくはデジタル地上波放送用のRF信号であってもよい。その場合、QPSK復調ICの替わりとしてQAM復調器やOFDM復調器を設けてもよく、特に日本のデジタルBS放送であれば8PSK復調部を設けてもよい。
【0086】
以上のように、上記フロントエンドユニット10,10′によれば、通常のデジタル衛星放送のみならず、国内のデジタルBS放送や、CATV放送、デジタル地上波放送の受信用チューナにおいて、2系統のVCO回路の相互干渉による受信障害を抑制して、キャビネットを小型化することが可能となる。
【0087】
また、上記ホストCPU33,33′は、その機能を実現するために、プログラム(受信装置の制御プログラム)の命令を実行するCPU(central processing unit )、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。
【0088】
そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウエアである制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記ホストCPU33,33′に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。この場合、記録媒体から読み出されたプログラムコード自体が上述した機能を実現することになり、そのプログラムコードを記録した記録媒体は本発明を構成することになる。
【0089】
また、上記プログラムコードは、コンピュータが記録媒体から読み出して直接実行できるように記録されていてもよいし、記録媒体から主記憶のプログラム記憶領域へ転送された後コンピュータが主記憶から読み出して実行できるように記録されていてもよい。
【0090】
さらに、上記ホストCPU33,33′を通信ネットワーク(インターネット、イントラネット等を含む)と接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。
【0091】
なお、プログラムコードを記録媒体から読み出して主記憶に格納するためのプログラム、および、通信ネットワークからプログラムコードをダウンロードするためのプログラムは、コンピュータによって実行可能にあらかじめシステムあるいは装置に格納されているものとする。
【0092】
上述した機能は、コンピュータが読み出した上記プログラムコードを実行することによって実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOSなどが実際の処理の一部または全部を行うことによっても実現される。
【0093】
さらに、上述した機能は、上記記録媒体から読み出された上記プログラムコードが、コンピュータに装着された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行うことによっても実現される。
【0094】
なお、本実施の形態は本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の範囲内で種々の変更が可能であり、例えば、以下のように構成することができる。
【0095】
本発明に係るデジタル衛星放送受信用フロントエンドは、内部に2系統の信号処理手段を有するダイレクトコンバージョン方式のデジタル衛星放送受信用受信機において、一方の系統で生成された位相同期ループ回路の基準信号を、もう一方の系統の位相同期ループの基準信号として入力し、2系統の基準信号周波数が全く同一であることを利用して、1系統は希望信号と同一のローカル周波数を選局し、もう一方は(希望信号周波数)+(PLLステップ周波数×1)のローカル周波数を常に選局するように構成されていてもよい。
【0096】
また、本発明に係るデジタル衛星放送受信用フロントエンドは、内部に2系統の信号処理手段を有するダイレクトコンバージョン方式のデジタル衛星放送受信用受信機において、一方の系統で生成された位相同期ループ回路の基準信号を、もう一方の系統の位相同期ループの基準信号として入力し、かつ1系統は希望信号と同一のローカル周波数を選局し、もう一方は(希望信号周波数)+(PLLステップ周波数×n)のローカル周波数を常に選局するように構成されていてもよい。なお、nは1以上の自然数とする。
【0097】
また、本発明に係るデジタル衛星放送受信用フロントエンドは、内部に2系統の信号処理手段を有するダイレクトコンバージョン方式のデジタル衛星放送受信用受信機において、一方の系統で生成された位相同期ループ回路の基準信号を、もう一方の系統の位相同期ループの基準信号として入力し、かつ2系統が同一周波数を選局する場合にのみ、2系統のうちの1系統の選局周波数を1ステップだけシフトさせるように構成されていてもよい。
【0098】
また、本発明に係るデジタル衛星放送受信用フロントエンドは、内部に2系統の信号処理手段を有するダイレクトコンバージョン方式のデジタル衛星放送受信用受信機において、一方の系統で生成された位相同期ループ回路の基準信号を、もう一方の系統の位相同期ループの基準信号として入力し、かつ2系統が同一周波数を選局する場合にのみ、2系統のうちの1系統の選局周波数をnステップだけシフトさせるように構成されていてもよい。
【0099】
また、本発明に係るデジタル衛星放送受信用フロントエンドは、内部に2系統の信号処理手段と2個のQPSK復調ICを有するダイレクトコンバージョン方式のデジタル衛星放送受信用受信機において、2系統が同一周波数を選局する場合にのみ、2系統のうちの1系統のVCOの発振を停止させ、残りの1系統のベースバンド信号(IおよびQ信号)を上記の2個のQPSK復調ICに分配入力し、2系統のトランスポートストリーム信号を得るように構成されていてもよい。
【0100】
また、本発明に係るデジタル衛星放送受信用フロントエンドは、前述のQPSK復調ICに替えて、デジタル衛星放送用の8PSK復調ICもしくはデジタルCATV放送用のQAM復調ICもしくはデジタル地上波放送用のOFDM復調ICを搭載してもよい。
【0101】
また、本発明に係るデジタル衛星放送受信用フロントエンドの制御用ソフトウェアは、デジタル放送受信用フトントエンドを上記のように動作させる制御用ソフトウェアである。
【0102】
なお、実施の形態では、一方の系統に(希望信号周波数)+(PLLステップ周波数×n(nは1以上の自然数))をローカル周波数に設定するローカル周波数設定手段を備える構成を説明してきたが、本発明は、(希望信号周波数)−(PLLステップ周波数×n(nは1以上の自然数))をローカル周波数に設定するローカル周波数設定手段を備えていてもよい。
【0103】
【発明の効果】
以上のように、本発明の受信装置は、VCO回路をそれぞれ備えた2系統の信号処理回路を有する受信装置であって、一方の系統で生成された位相同期ループ回路の基準信号を、他方の系統の位相同期ループ回路の基準信号として入力する基準信号共用手段と、一方の系統には希望信号周波数と同一の周波数をローカル周波数に設定し、他方の系統にはVCO回路の相互干渉を低減するように、(希望信号周波数)+(PLLステップ周波数×n(nは1以上の自然数))をローカル周波数に設定するローカル周波数設定手段と、を備える構成である。
【0104】
また、本発明の受信装置の制御方法は、VCO回路をそれぞれ備えた2系統の信号処理回路を有する受信装置であって、一方の系統で生成された位相同期ループ回路の基準信号を、他方の系統の位相同期ループ回路の基準信号として入力する基準信号共用手段と、一方の系統には希望信号周波数と同一の周波数をローカル周波数に設定し、他方の系統にはVCO回路の相互干渉を低減するように、(希望信号周波数)+(PLLステップ周波数×n(nは1以上の自然数))をローカル周波数に設定するローカル周波数設定手段と、を含む方法である。
【0105】
それゆえ、上記受信装置では、2つの信号処理回路で同一の希望信号周波数(チャンネル)を選択しても、両者のローカル周波数をn(nは1以上の自然数)ステップ周波数だけ正確にずらすことができる。
【0106】
したがって、2系統の信号処理回路で同一の希望信号周波数を選択した場合に従来問題となっていた、2つのVCO間の相互干渉を無視できるレベルまで改善できる。その結果、2つのVCOの相互干渉による受信障害を回避して、安定した視聴が可能となるという効果を奏する。それゆえ、2系統の信号処理回路を近接させて配置することが可能となるため、1つのキャビネット内に2つの信号処理回路を内蔵した受信装置の小型化を図ることができるという効果を奏する。
【0107】
さらに、本発明の受信装置は、上記ローカル周波数設定手段において、nが1である構成である。
【0108】
また、本発明の受信装置の制御方法は、上記ローカル周波数設定処理において、nが1である構成である。
【0109】
それゆえ、さらに、上記受信装置では、2つの信号処理回路で同一の希望信号周波数を選択しても、両者のローカル周波数を1ステップ周波数だけ正確にずらすことができる。
【0110】
したがって、2系統の信号処理回路で同一の希望信号周波数を選択した場合に従来問題となっていた、2つのVCO間の相互干渉を改善できる。その結果、2つのVCOの相互干渉による受信障害を回避して、安定した視聴が可能となるという効果を奏する。それゆえ、2系統の信号処理回路を近接させて配置することが可能となるため、1つのキャビネット内に2つの信号処理回路を内蔵した受信装置の小型化を図ることができるという効果を奏する。
【0111】
さらに、本発明の受信装置は、上記基準信号共用手段および上記ローカル周波数設定手段が、上記2系統の希望信号周波数が一致する時のみ機能するものである。
【0112】
また、本発明の受信装置の制御方法は、上記基準信号共用処理および上記ローカル周波数設定処理を、上記2系統の希望信号周波数が一致する時のみに行う方法である。
【0113】
それゆえ、さらに、上記受信装置では、2系統の信号処理回路で同一の希望信号周波数を選択した場合に従来問題となっていた、2つのVCO間の相互干渉を改善できる。したがって、2系統の信号処理回路を近接させて配置することが可能となるため、1つのキャビネット内に2つの信号処理回路を内蔵した受信装置の小型化を図ることができるという効果を奏する。
【0114】
その上、上記受信装置では、2系統の信号処理回路で異なる希望信号周波数を選択した場合の制御が簡素化されるため、ソフトウエアの高速化を図ることが可能となるという効果を奏する。
【0115】
さらに、本発明の受信装置は、上記基準信号共用手段および上記ローカル周波数設定手段が、常に機能するものである。
【0116】
また、本発明の受信装置の制御方法は、上記基準信号共用処理および上記ローカル周波数設定処理を、常に行う方法である。
【0117】
それゆえ、さらに、上記受信装置では、2系統の信号処理回路で同一の希望信号周波数を選択した場合に従来問題となっていた、2つのVCO間の相互干渉を改善できる。したがって、2系統の信号処理回路を近接させて配置することが可能となるため、1つのキャビネット内に2つの信号処理回路を内蔵した受信装置の小型化を図ることができるという効果を奏する。
【0118】
その上、上記受信装置では、2系統の信号処理回路で選択される希望信号周波数によらず常に同じ制御を行うため、ソフトウエアを簡素化できるという効果を奏する。
【0122】
さらに、本発明の受信装置は、上記受信装置が、ダイレクトコンバージョン方式のデジタル衛星放送受信用である。
【0123】
また、本発明の受信装置の制御方法は、上記受信装置が、ダイレクトコンバージョン方式のデジタル衛星放送受信用である。
【0124】
それゆえ、さらに、ダイレクトコンバージョン方式のデジタル衛星放送受信用の受信装置に好適である。すなわち、上記受信装置を、デジタル放送受信の用途で使用される、2系統の信号処理回路を備え、複数チャンネルの視聴が可能な多機能フロントエンドユニットに適用すれば、2系統が同一トランスポンダを選局する時に発生する、VCOの相互干渉による受信データの劣化を抑制することができるという効果を奏する。
【0125】
また、本発明の受信装置の制御プログラムは、コンピュータに上記の各処理を実行させるコンピュータ・プログラムである。
【0126】
それゆえ、上記受信装置をコンピュータで上記の各処理に従って制御することができる。したがって、上記した受信装置の制御方法の効果である、2系統で同一チャンネルを選局してもVCOの相互干渉がほとんど/全く発生しないため、受信データの劣化を防止できるという効果を奏する。
【0127】
また、本発明の受信装置の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、コンピュータに上記の各処理を実行させる受信装置の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【0128】
それゆえ、上記記録媒体(例えばROM)から読み出された受信装置の制御プログラムによって、上記受信装置をコンピュータで上記の各処理に従って制御することができる。したがって、上記した受信装置の制御方法の効果である、2系統で同一チャンネルを選局してもVCOの相互干渉がほとんど/全く発生しないため、受信データの劣化を防止できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係るデジタル放送受信用フロントエンド装置の概略を示すブロック図である。
【図2】本発明の他の実施の形態に係るデジタル放送受信用フロントエンド装置の概略を示すブロック図である。
【図3】従来の技術に係るデジタル放送受信用フロントエンド装置の概略を示すブロック図である。
【図4】従来の技術に係るデジタル放送受信用フロントエンド装置の概略を示すブロック図である。
【符号の説明】
1,2 デジタル放送受信用フロントエンド装置(受信装置)
23,24 PLL選局回路(位相同期ループ回路)
33 ホストCPU(基準信号共用手段,ローカル周波数設定手段)
33′ ホストCPU(出力信号分配手段)
A,B フロントエンド回路(信号処理回路)
pA6,pB6 I信号(出力信号)
pA7,pB7 Q信号(出力信号)
p9 基準信号
Claims (12)
- VCO回路をそれぞれ備えた2系統の信号処理回路を有する受信装置であって、
一方の系統で生成された位相同期ループ回路の基準信号を、他方の系統の位相同期ループ回路の基準信号として入力する基準信号共用手段と、
一方の系統には希望信号周波数と同一の周波数をローカル周波数に設定し、他方の系統にはVCO回路の相互干渉を低減するように、(希望信号周波数)+(PLLステップ周波数×n(nは1以上の自然数))をローカル周波数に設定するローカル周波数設定手段と、を備えることを特徴とする受信装置。 - 上記ローカル周波数設定手段において、nが1であることを特徴とする請求項1に記載の受信装置。
- 上記基準信号共用手段および上記ローカル周波数設定手段が、上記2系統の希望信号周波数が一致する時のみ機能するものであることを特徴とする請求項1または2に記載の受信装置。
- 上記基準信号共用手段および上記ローカル周波数設定手段が、常に機能するものであることを特徴とする請求項1または2に記載の受信装置。
- 上記受信装置が、ダイレクトコンバージョン方式のデジタル衛星放送受信用であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の受信装置。
- VCO回路をそれぞれ備えた2系統の信号処理回路を有する受信装置の制御方法において、
一方の系統で生成された位相同期ループ回路の基準信号を、他方の系統の位相同期ループ回路の基準信号として入力する基準信号共用処理と、
一方の系統には希望信号周波数と同一の周波数をローカル周波数に設定し、他方の系統にはVCO回路の相互干渉を低減するように、(希望信号周波数)+(PLLステップ周波数×n(nは1以上の自然数))をローカル周波数に設定するローカル周波数設定処理と、を含むことを特徴とする受信装置の制御方法。 - 上記ローカル周波数設定処理において、nが1であることを特徴とする請求項6に記載の受信装置の制御方法。
- 上記基準信号共用処理および上記ローカル周波数設定処理を、上記2系統の希望信号周波数が一致する時のみに行うことを特徴とする請求項6または7に記載の受信装置の制御方法。
- 上記基準信号共用処理および上記ローカル周波数設定処理を、常に行うことを特徴とする請求項6または7に記載の受信装置の制御方法。
- 上記受信装置が、ダイレクトコンバージョン方式のデジタル衛星放送受信用であることを特徴とする請求項6から9のいずれか1項に記載の受信装置の制御方法。
- 請求項6から10のいずれか1項に記載の受信装置の制御方法を実行するための受信装置の制御プログラムであって、コンピュータに上記の各処理を実行させるための受信装置の制御プログラム。
- 請求項11に記載の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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