JP3772935B2 - 誘導電動機の制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、速度センサレスベクトル制御により誘導電動機の回転速度を制御する誘導電動機の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
誘導電動機の速度を制御する技術として、誘導電動機に供給される1次電流を、トルクに直接関与するトルク電流(トルクを発生させる電流)と励磁電流(磁束を発生させる電流)とでそれぞれ独立に制御することにより、直流電動機と同様にトルク制御可能なベクトル制御が実用化されている。
【0003】
ベクトル制御には、速度検出器を備え、電動機の速度検出値、一次電流検出値及び一次電圧検出値に基づいてベクトル制御するものと、速度検出器を備えずに、一次電流検出値及び一次電圧検出値から演算によって推定した電動機速度を用いてベクトル制御するものとがあり、後者は速度センサレスベクトル制御と称されている。
【0004】
図5は従来の速度センサレスベクトル制御による誘導電動機の制御装置の構成を示すブロック図である。
図5に示されるように、誘導電動機の制御装置は、電力変換器1、速度制御回路2、電流検出器3、電流座標変換回路4、すべり角周波数演算回路5、1次角周波数演算回路6、励磁電流制御回路7、トルク電流制御回路8、励磁電流方向成分電圧補償回路9A、トルク電流方向成分電圧補償回路9B、出力電圧指令演算回路10、出力電圧位相角指令演算回路11、空間座標変換回路12、PWM発生回路13、速度推定回路14を備えている。
【0005】
電力変換器1は、3相交流電源からの交流を直流化した後、PWM制御方式によるインバータで任意の周波数と電圧の交流に再度変換し、この1次周波数及び1次電圧を誘導電動機IMに供給する。
速度制御回路2は、入力される速度指令値ωrrefに速度推定値ωr^が一致するようにトルク電流指令値iqrefを演算し出力する。
【0006】
電流検出器3は、誘導電動機IMに供給される1次電流(u相電流iu、w相電流iw)を検出する。
電流座標変換回路4は、誘導電動機IMに供給される1次電流を励磁電流帰還値idfbとトルク電流帰還値iqfbに変換して出力する。励磁電流帰還値idfb及びトルク電流帰還値iqfbは次式により得られる。
【0007】
【数1】
Figure 0003772935
【0008】
ここで、θ1は誘導電動機IMに供給する交流の位相角であり、1次角周波数ω1を積分することにより得られる。
すべり角周波数演算回路5は、トルク電流指令値iqref及び励磁電流指令値idrefに基づいてすべり角周波数ωsを演算し出力する。
1次角周波数演算回路6はすべり角周波数ωsと速度推定値ωr^を加算して1次角周波数ω1を求める。
【0009】
励磁電流制御回路7は、励磁電流指令値idrefと電流座標変換回路4からの励磁電流帰還値idfbとが一致するように励磁電流方向電圧を制御する。
トルク電流制御回路8は、トルク電流指令値iqrefと電流座標変換回路4からのトルク電流帰還値iqfbとが一致するようにトルク電流方向電圧を制御する。
励磁電流方向成分電圧補償回路9Aは、誘導電動機IMの漏れインダクタンスと1次抵抗による逆起電力の励磁電流方向成分電圧Vdcとを励磁電流制御回路7からの出力で補正して励磁電流方向電圧指令値Vdrefを生成して出力する。
【0010】
トルク電流方向成分電圧補償回路9Bは、誘導電動機IMの磁束で発生し、誘起電圧係数による誘起電圧と1次抵抗による逆起電力のトルク電流方向成分電圧Vqcとをトルク電流制御回路8からの出力で補正してトルク電流方向電圧指令値Vqrefを生成して出力する。励磁電流方向成分電圧Vdc及びトルク電流方向成分電圧Vqcは次式により得られる。
【0011】
Vdc=R1・idref−ω1・l・iqref …(2)
【0012】
Vqc=R1・iqref+ω1・L1・idref …(3)
【0013】
ここで、R1は誘導電動機IMの1次抵抗値、L1は自己インダクタンス、lは漏れインダクタンスである。
【0014】
出力電圧指令演算回路10は、励磁電流方向電圧指令値Vdref及びトルク電流方向電圧指令値Vqrefに基づいて出力電圧(1次電圧)指令値V1ref を演算し出力する。
出力電圧位相角指令演算回路11は、励磁電流方向成分電圧補償回路9Aからの励磁電流方向電圧指令値Vdrefとトルク電流方向成分電圧補償回路9Bからのトルク電流方向電圧指令値Vqrefとの位相角θL を求め、かつ1次角周波数演算回路6からの1次角周波数ω1 の積分値を加算した位相角指令値θrefを出力する。位相角指令値θrefは次式により得られる。
【0015】
V1ref=√(Vdref2 +Vqref2
θL =tan -1( Vqref/Vdref)
θref =θL +θ1 …(4)
【0016】
空間座標変換回路12は、出力電圧指令演算回路10からの出力電圧指令値V1ref と出力電圧位相角指令演算回路11からの位相角指令値θrefより出力電圧指令を生成して出力する。各相の出力電圧指令は次式より得られる。
【0017】
Vuref=V1ref・Cos (ω1t+θL)
Vvref=V1ref・Cos (ω1t+θL −(2π/3))
Vwref=V1ref・Cos (ω1t+θL +(2π/3)) …(5)
【0018】
PWM発生回路13は、空間座標変換回路12から出力される各相の出力電圧指令よりPWM信号を生成する。
速度推定回路14は、誘導電動機IMの1次電圧及び1次電流より誘導電動機IMの速度を推定する。誘導電動機IMの速度推定値ωr^は次式で得られる。
【0019】
ωr ^=K・((ia^−ia)・φb ^−(ib ^−ib)・φa^)+K´・∫((ia^−ia)・φb^−(ib ^−ib)・φa^)dt…(6)
【0020】
(6)式における2次磁束推定値φa^、φb^及び1次電流推定値ia ^、ib ^は(7)式に示す行列式より得られる。
【0021】
【数2】
Figure 0003772935
【0022】
各定数は電動機定数であり、以下に示される。
α=−(R1/(σL1)−(1−σ)/τr )
σ=1−M2 /(L1・L2)
τr =L2/R2
R1:1次抵抗
R2:2次抵抗
L1:1次自己インダクタンス
L2:2次自己インダクタンス
M:相互インダクタンス
G:オブザーバーゲイン
Va 、Vb :3相2相変換した誘導電動機IMの1次電圧
【0023】
【数3】
Figure 0003772935
【0024】
ia 、ib :3相2相変換した誘導電動機IMの1次電流
【0025】
【数4】
Figure 0003772935
【0026】
上記すべり角周波数演算回路5では、トルク電流指令値iqrefと励磁電流指令値idrefより次式の演算を行い、すべり角周波数ωsを求める。
【0027】
ωs =ωso・(iqref/idref) …(10)
【0028】
このような構成の誘導電動機の制御装置において、3相交流電源からの交流が電力変換器1における図示しない電力変換素子で直流化され、その後PWM制御方式のインバータで任意の周波数と電圧の交流に再度変換されてこの1次周波数及び1次電圧が誘導電動機IMに供給される。
誘導電動機IMの1次電流(u相電流iu、w相電流iw )が電流座標変換回路4で検出され、ここで座標変換された励磁電流帰還値idfbが励磁電流制御回路7に供給され、トルク電流帰還値iqfbがトルク電流制御回路8に供給される。
【0029】
速度制御回路2では、速度推定値ωr^と外部から入力される速度指令値ωrrefとが一致するように励磁電流指令値idref及びトルク電流指令値iqrefが演算され、その励磁電流指令値idrefがすべり角周波数演算回路5、励磁電流制御回路7及び励磁電流方向成分電圧補償回路9Aに供給される。また、トルク電流指令値iqrefがすべり角周波数演算回路5、トルク電流制御回路8、励磁電流方向成分電圧補償回路9A及びトルク電流方向成分電圧補償回路9Bに供給される。
【0030】
励磁電流制御回路7では、励磁電流指令値idrefと電流座標変換回路4からの励磁電流帰還値idfbとが一致するように励磁電流方向電圧の制御が行われ、トルク電流制御回路8では、トルク電流指令値iqrefと電流座標変換回路4からのトルク電流帰還値iqfbとが一致するように制御が行われる。
励磁電流方向成分電圧補償回路9Aでは、誘導電動機IMの漏れインダクタンスと1次抵抗とによる逆起電力の励磁電流方向成分の電圧を、励磁電流制御回路7からの出力で補正した励磁電流方向電圧指令値Vdrefが生成され、出力電圧指令演算回路10及び出力電圧位相角指令演算回路11に供給される。
【0031】
トルク電流方向成分電圧補償回路9Bでは、誘導電動機IMの磁束で発生し、誘導起電力係数による誘起電圧と1次抵抗による逆起電力のトルク電流方向成分の電圧を、トルク電流制御回路8からの出力で補正したトルク電流方向電圧指令値Vqrefが生成され、出力電圧指令演算回路10及び出力電圧位相角指令演算回路11に供給される。
【0032】
出力電圧指令演算回路10では、励磁電流方向電圧指令値Vdrefとトルク電流方向電圧指令値Vqrefとから出力電圧指令値V1ref が演算され、この出力電圧指令値V1ref が空間座標変換回路12に供給される。
出力電圧位相角指令演算回路11では、励磁電流方向電圧指令値Vdrefとトルク電流方向電圧指令値Vqrefとの位相角が演算され、さらに1次角周波数演算回路6から出力される1次角周波数ω1の積分値とを合成した位相角指令値θrefが空間座標変換回路12に供給される。
【0033】
空間座標変換回路12では、出力電圧指令値V1ref と位相角指令値θrefとから出力電圧指令が生成されて電力変換器1に供給される。
【0034】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来の誘導電動機の制御装置にあっては、次のような問題点があった。
速度推定値ωr^は演算の分解能等により真の値との間に誤差が生ずるので、これを基準にベクトル制御を行うと、誤差が原因で誘導電動機に必要なすべり角周波数ωsが与えられず、トルク制御特性及び速度制御特性の低下、場合によっては誘導電動機IMを安定して駆動できないという問題点があった。
【0035】
この問題点を解決するためにトルク電流帰還値iqfbの微分値を演算した結果を利用して1次角周波数ω1を補正していたが、誘導電動機IMを安定して駆動できるものの、トルク制御精度及び速度制御精度の低下は解決することはできない。
【0036】
そこで本発明は、誘導電動機のトルク制御精度及び速度制御精度の向上を図ることができる誘導電動機の制御装置を提供することを目的としている。
【0037】
【課題を解決するための手段】
本発明による誘導電動機の制御装置は、直流を任意の周波数と電圧の交流に変換して誘導電動機に1次周波数と1次電流として供給する電力変換器と、前記誘導電動機で磁束を発生させる励磁電流指令値idref及びトルクを発生させるトルク電流指令値iqrefを出力する速度制御回路と、前記誘導電動機に供給される1次電流を励磁電流帰還値idfbとトルク電流帰還値iqfbに変換して出力する電流座標変換回路と、前記励磁電流指令値idrefと前記励磁電流帰還値idfbとが一致するように励磁電流方向電圧を制御する励磁電流制御回路と、前記トルク電流指令値iqrefと前記トルク電流帰還値iqfbとが一致するようにトルク電流方向電圧を制御するトルク電流制御回路と、前記誘導電動機の漏れインダクタンスと1次抵抗による逆起電力の励磁電流方向成分の電圧とを前記励磁電流制御回路からの出力で補正して励磁電流方向電圧指令値Vdrefを生成し出力する励磁電流方向成分電圧補償回路と、前記誘導電動機の磁束で発生し誘起電圧係数による誘起電圧eと1次抵抗による逆起電力のトルク電流方向成分の電圧とを前記トルク電流制御回路からの出力で補正してトルク電流方向電圧指令値Vqrefを生成し出力するトルク電流方向成分電圧補償回路と、前記励磁電流方向電圧指令値Vdref及び前記トルク電流方向電圧指令値Vqrefに基づいて出力電圧指令値V1ref を演算する出力電圧指令演算回路と、誘導電動機の1次電圧及び1次電流より誘導電動機の2次磁束と1次電流を推定し、2次磁束推定値と1次電流の推定値及び1次電流より誘導電動機の速度を推定する速度推定回路と、トルク電流指令値iqrefと励磁電流指令値idrefよりすべり角周波数ωsを演算するすべり角周波数演算回路と、前記すべり角周波数ωsと前記速度推定値ωr^を加算して1次角周波数ω1を演算する1次角周波数演算回路と、前記励磁電流方向成分電圧補償回路からの励磁電流方向電圧指令値Vdrefと前記トルク電流方向成分電圧補償回路からのトルク電流方向電圧指令値Vqrefとの位相角θLを求め、かつ、前記1次角周波数演算回路からの1次角周波数ω1の積分値を加算した位相角指令値θrefを出力する出力電圧位相角指令演算回路と、前記出力電圧指令演算回路からの出力電圧指令値V1ref と前記出力電圧位相角指令演算回路からの位相角指令値θrefより出力電圧指令を生成して出力する空間座標変換回路と、前記空間座標変換回路から出力される各相の出力電圧指令よりPWM信号を生成して前記電力変換器に供給するPWM発生回路とを備えた誘導電動機の制御装置において、前記励磁電流制御回路の出力値を1次遅れ要素を介して速度推定誤差を演算し、この演算結果を前記1次角周波数演算回路からの1次角周波数ω1に加算する速度推定誤差補正回路を備えるものである。
【0038】
前記速度推定誤差補正回路は、前記励磁電流制御回路の出力値及び前記誘導電動機の1次電流値i1より速度推定誤差を演算し、この演算結果を前記1次角周波数演算回路からの1次角周波数ω1に加算するものであっても良い。
【0039】
または、前記トルク電流制御回路の出力値を1次遅れ要素を介して速度推定誤差を演算し、この演算結果を前記1次角周波数演算回路からの1次角周波数ω1に加算するものであっても良い。
【0040】
または、前記速度推定誤差補正回路に代えて、前記励磁電流制御回路の出力値と前記誘導電動機の1次電流値i1より2次磁束位相角推定誤差を演算し、この演算結果を前記電流座標変換回路に供給される1次角周波数ω1の積分値に加算する磁束軸補正回路を備えても良い。
【0041】
または、前記速度推定誤差補正回路の代わりに、前記速度推定回路からの出力である前記速度推定値を、前記2次磁束推定値と1次電流の内積値を2次磁束推定の振幅の平方で除算し、この値に2次抵抗値を乗算して実すべり角周波数を演算して、前記1次角周波数から実すべり周波数を減算して、速度推定値を求めるようにしても良い。すなわち、誘導電動機の方程式より実すべり角周波数ωsは、式(11)によって求められるため、誘導電動機IMの推定速度ωr ^は式(12)により得ることができる。
【0042】
ωs=R2 (φa^・ib ^+φb^・ia ^)/√(φa^2+φb^2)…(11)
【0043】
ωr ^=ω1−R2・((φa^・ib ^+φb^・ia ^)/√(φa^2+φb^2))…(12)
【0044】
この場合、速度推定値は1次周波数から2次磁束推定値及び1次電流より演算した実すべり周波数を除算することにより得られる。これにより、積分器を介さずに誘導電動機の速度を演算することができるため、2次磁束推定値に位相差が生じても速度演算値には誤差が現れ難くなり、高いトルク制御精度及び速度制御精度が確保できる。
【0045】
上記構成によれば、1次周波数指令を補正することや、電流座標変換回路に入力される位相角を補正することにより、高いトルク制御精度及び速度制御精度が確保できる。
【0046】
または、前記速度推定誤差補正回路に代えて、前記速度推定回路の推定方式を式(12)を用いるように変更することによっても、高いトルク制御精度及び速度制御精度を確保できる。
【0047】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明の誘導電動機の制御装置の実施の形態1の構成を示すブロック図である。なお、先に説明した図5と同一部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0048】
実施の形態1の誘導電動機の制御装置は、1次遅れ要素と倍率器を有し、入力される励磁電流制御回路7の出力から速度推定誤差ωeを演算し、演算結果を1次角周波数演算回路6から出力される1次角周波数ω1に加算して1次角周波数ω1を補正する速度推定誤差補正回路20を備えたものである。
推定誤差補正回路20を備えることにより、演算により得られる速度推定値ωr^と速度の真値との間の誤差が無くなり、これによりトルク制御精度及び速度制御精度が向上する。
【0049】
図2は本発明の誘導電動機の制御装置の実施の形態2の構成を示すブロック図である。なお、先に説明した図5と同一部分には同一符号を付してその説明を省略する。
実施の形態2の誘導電動機の制御装置は、入力される励磁電流制御回路7の出力値及び誘導電動機IMの1次電流値i1から速度推定誤差ωeを演算し、演算結果を1次角周波数演算回路6から出力される1次角周波数ω1に加算して1次角周波数ω1を補正する速度推定誤差補正回路30を備えたものである。
【0050】
推定誤差補正回路30を備えることにおり、図1に示した誘導電動機の制御装置と同様に、トルク制御精度及び速度制御精度の向上が図れる。
【0051】
図3は本発明の誘導電動機の制御装置の実施の形態3の構成を示すブロック図である。なお、先に説明した図5と同一部分には同一符号を付してその説明を省略する。
実施の形態3の誘導電動機の制御装置は、入力されるトルク電流制御回路8の出力値及び速度推定回路14の速度推定値ωr^から速度推定誤差ωeを演算し、演算結果を1次角周波数演算回路6においてすべり角周波数演算回路5のすべり角周波数ωsに加算して1次角周波数ω1を得る速度推定誤差補正回路40を備えたものである。
【0052】
推定誤差補正回路40を備えることにより、図1乃び図2に示した誘導電動機の制御装置と同様に、トルク制御精度及び速度制御精度の向上が図れる。
【0053】
図4は本発明の誘導電動機の制御装置の実施の形態4の構成を示すブロック図である。なお、先に説明した図5と同一部分には同一符号を付してその説明を省略する。
実施の形態4の誘導電動機の制御装置は、入力される励磁電流制御回路7の出力値及び誘導電動機IMの1次電流値i1から2次磁束推定位相角誤差θeを演算し、演算結果を電流座標変換回路4に供給される1次角周波数ω1の積分値θ1に加算して1次角周波数ω1の積分値θ1を補正して補正値θ1’を得る磁束軸補正回路50を備えたものである。
【0054】
磁束軸補正回路50を備えることにより、図1乃至図3に示した誘導電動機の制御装置と同様に、トルク制御精度及び速度制御精度の向上が図れる。
【0055】
さらに、本発明の誘導電動機の制御装置の実施の形態5は、先の図5に示した誘導電動機の制御装置と同一構成のブロック図において、速度推定回路14での速度推定方式を式(6)より式(12)に変更したものである。このように速度推定方式を変更することにより、図1乃至図4に示した誘導電動機の制御装置と同様にトルク制御精度及び速度制御精度の向上が図れる。
【0056】
【発明の効果】
本発明によれば、励磁電流制御回路の出力値又はトルク電流制御回路の出力値により1次周波数指令を補正する、あるいは電流座標変換回路に入力する位相角を補正する、或いは速度推定方式を変更することにより、速度推定値により生ずる演算分解能等と速度の真値との間の誤差を無くすことができ、これにより高いトルク制御精度及び速度制御精度を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る誘導電動機の制御装置の実施の形態1の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る誘導電動機の制御装置の実施の形態2の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明に係る誘導電動機の制御装置の実施の形態3の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明に係る誘導電動機の制御装置の実施の形態4の構成を示すブロック図である。
【図5】従来の誘導電動機の制御装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 電力変換器
2 速度制御回路
3 電流検出器
4 電流座標変換回路
5 すべり角周波数演算回路
6 1次角周波数演算回路
7 励磁電流制御回路
8 トルク電流制御回路
9A 励磁電流方向成分電圧補償回路
9B トルク電流方向成分電圧補償回路
10 出力電圧指令演算回路
11 出力電圧位相角指令演算回路
12 空間座標変換回路
13 PWM発生回路
14 速度推定回路
20、30、40 速度推定誤差補正回路
50 磁束軸補正回路

Claims (5)

  1. 直流を任意の周波数と電圧の交流に変換して誘導電動機に1次周波数と1次電流として供給する電力変換器と、
    前記誘導電動機で磁束を発生させる励磁電流指令値及びトルクを発生させるトルク電流指令値を出力する速度制御回路と、
    前記誘導電動機に供給される1次電流を励磁電流帰還値とトルク電流帰還値に変換して出力する電流座標変換回路と、
    前記励磁電流指令値と前記励磁電流帰還値とが一致するように励磁電流方向電圧を制御する励磁電流制御回路と、
    前記トルク電流指令値と前記トルク電流帰還値とが一致するようにトルク電流方向電圧を制御するトルク電流制御回路と、
    前記誘導電動機の漏れインダクタンスと1次抵抗による逆起電力の励磁電流方向成分の電圧とを前記励磁電流制御回路からの出力で補正して励磁電流方向電圧指令値を生成し出力する励磁電流方向成分電圧補償回路と、
    前記誘導電動機の磁束で発生し誘起電圧係数による誘起電圧と1次抵抗による逆起電力のトルク電流方向成分の電圧とを前記トルク電流制御回路からの出力で補正してトルク電流方向電圧指令値を生成し出力するトルク電流方向成分電圧補償回路と、
    前記励磁電流方向電圧指令値及び前記トルク電流方向電圧指令値に基づいて出力電圧指令値を演算する出力電圧指令演算回路と、
    誘導電動機の1次電圧及び1次電流より誘導電動機の2次磁束と1次電流を推定し、2次磁束推定値と1次電流の推定値及び1次電流より誘導電動機の速度を推定する速度推定回路と、
    トルク電流指令値と励磁電流指令値よりすべり角周波数を演算するすべり角周波数演算回路と、
    前記すべり角周波数と前記速度推定値を加算して1次角周波数を演算する1次角周波数演算回路と、
    前記励磁電流方向成分電圧補償回路からの励磁電流方向電圧指令値と前記トルク電流方向成分電圧補償回路からのトルク電流方向電圧指令値との位相角を求め、かつ、前記1次角周波数演算回路からの1次角周波数の積分値を加算した位相角指令値を出力する出力電圧位相角指令演算回路と、
    前記出力電圧指令演算回路からの出力電圧指令値と前記出力電圧位相角指令演算回路からの位相角指令値より出力電圧指令を生成して出力する空間座標変換回路と、
    前記空間座標変換回路から出力される各相の出力電圧指令よりPWM信号を生成して前記電力変換器に供給するPWM発生回路とを備えた誘導電動機の制御装置において、
    前記励磁電流制御回路の出力値を1次遅れ要素を介して速度推定誤差を演算し、この演算結果を前記1次角周波数演算回路からの1次角周波数に加算する速度推定誤差補正回路を具備したことを特徴とする誘導電動機の制御装置。
  2. 前記速度推定誤差補正回路は、前記励磁電流制御回路の出力値及び前記誘導電動機の1次電流値より速度推定誤差を演算し、この演算結果を前記1次角周波数演算回路からの1次角周波数に加算することを特徴とする請求項1記載の誘導電動機の制御装置。
  3. 前記速度推定誤差補正回路は、前記トルク電流制御回路の出力値を1次遅れ要素を介して速度推定誤差を演算し、この演算結果を前記1次角周波数演算回路からの1次角周波数に加算することを特徴とする請求項1記載の誘導電動機の制御装置。
  4. 前記速度推定誤差補正回路に代えて、前記励磁電流制御回路の出力値と前記誘導電動機の1次電流値より2次磁束位相角推定誤差を演算し、この演算結果を前記電流座標変換回路に供給される1次角周波数の積分値に加算する磁束軸補正回路を具備したことを特徴とする請求項1記載の誘導電動機の制御装置。
  5. 前記速度推定誤差補正回路の代わりに、前記速度推定回路からの出力である前記速度推定値を、前記2次磁束推定値と1次電流の内積値を2次磁束推定の振幅の平方で除算し、この値に2次抵抗値を乗算して実すべり角周波数を演算して、前記1次角周波数から実すべり角周波数を減算して、速度推定値を求めることを特徴とする請求項1記載の誘導電動機の制御装置。
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