JP4230793B2 - 電力変換装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、直流入力電圧が脈動するインバータにより電動機を駆動する電力変換装置に係り、特に、電動機の発生するトルクの脈動を抑制する電力変換装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の電力変換装置の従来例として特許文献1に記載されたものがあり、これを、図9を参照して説明する。
【0003】
図9において、PWMコンバータ4は、架線19とレール6と間の単相交流電源をパンタグラフ1及び変圧器3等を介して交流側入力とし、所定の直流電圧となるように交直変換を行う。PWMコンバータ4の直流側には電圧を平滑するためのコンデンサ5を備えている。コンデンサ5には、誘導電動機7を駆動するインバータ6を備える。また、コンデンサ5の電圧は、電圧検出器5Aにより検出され、インバータ6への直流入力電圧が検出される。また、インバータ6の交流出力側には、電流検出器8が設けられている。
【0004】
まず、インバータの出力周波数基準foは、誘導電動機7の回転周波数検出手段21の出力である回転周波数Nとすべり周波数制御手段44の出力であるすべり周波数基準fsとが加算器44にて加算されることにより生成される。
【0005】
インバータ6への直流入力電圧は、電圧検出器5Aにより検出され、電圧脈動分検出手段39にて、その脈動成分ΔVdcだけが抽出される。また、インバータ6への直流入力電圧は、電圧直流分検出手段40に入力され、その直流成分Vdc*だけが抽出される。除算器41において、脈動分ΔVdc/直流分Vdc*として計算される直流入力電圧の脈動率が計算され、乗算器46において、前記インバータ周波数基準foと乗算されることで、インバータ周波数補正量Δfo′が算出される。インバータ周波数fは、加算器47にて前記インバータ周波数基準量foとインバータ周波数補正量Δfo′とを加算することで算出される。このインバータ周波数fは電圧制御手段48に与えられ、PWM制御回路49からインバータ6に対してPWM制御信号を与える。
【0006】
なお、電流検出器8による出力電流検出値は、電流実効値演算手段42により入力して電流実効値が演算され、電流指令値Ipと共に加算器47に与えられ、すべり周波数制御手段44にてすべり周波数基準fsが求まる。
【0007】
以上のように、図9に示した電力変換装置においては、脈動分ΔVdc/直流分Vdc*として計算される直流入力電圧の脈動率が計算され、インバータ周波数基準foと乗算されることで、インバータ周波数補正量Δfo′が算出されることで、直流入力電圧の脈動ΔVdcに応じてインバータ周波数fを調整し、これにより電流のビートやトルクリプルを低減することが可能となる。
【0008】
また、トリプルを理論的に導かれる補償法により抑制し、または制御対象や運転状況が変化してもトルクリプルを抑制する電力変換装置が知られている(特許文献2参照)。
【0009】
さらに、インバータのCVVV動作における電流を安定化し、トルクリプルを抑制する電力変換装置が知られている(特許文献3参照)。
【0010】
【特許文献1】
特公平7−46918号公報
【0011】
【特許文献2】
特開平10−271900号公報
【0012】
【特許文献3】
特開平11−262300号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1のものでは、直流入力電圧に脈動に応じて、インバータ周波数を調整するいわばフィードフォワード的補償であること、また、このビート現象が電動機が低インピーダンスであるために生じていることから、最適な調整を行うことは困難である。電動機の出力や回転速度などの運転条件によって、又は電動機の製造固体差や温度に依る抵抗値の変化によって、トルクリプルを生じる場合もある。また、特許文献2,3のものでは、広い運転条件,設定条件においては未だトルクリプルを抑制し得ない場合がある。
【0014】
このように従来の技術においては、騒音や機械振動などを引き起こし、様々運転条件下において問題を発生させるトルクリプルを、広い運転条件,設定条件において抑制し得ない状況であり、その改善が求められていた。
【0015】
本発明の目的は、広い運転条件,設定条件において、トルクリプルを抑制し得る電力変換装置を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明は、脈動した状態の直流電圧を入力とし交流電圧に変換し該変換出力により電動機を駆動するインバータを備え、前記直流入力電圧の脈動と同一の周波数によって脈動する出力電圧位相角補償量により出力電圧位相角を補正する手段を有する電力変換装置において、前記出力電圧位相角補償量を生成する手段は、前記電動機のトルクに相応する状態量を求める手段と、前記直流入力電圧の脈動と同一の周波数を積分することにより位相を演算する位相演算手段と、前記位相演算手段により演算された位相に基いて、基準位相を生成する基準位相演算手段と、前記電動機のトルクに相応する状態量の脈動成分を、前記基準位相に対する正弦波分と、前記基準位相に対する余弦波分とにそれぞれ演算する手段と、前記余弦波分に応じた量を前記基準位相に加算することにより前記基準位相を調整する基準位相調整手段と、前記正弦波分に応じて出力電圧位相角補償振幅を演算調整する出力電圧位相角補償振幅調整手段と、前記基準位相調整手段により調整された基準位相に基づき基準正弦波を生成する基準正弦波生成手段と、前記基準正弦波と前記出力電圧位相角補償振幅とを乗算し前記出力電圧位相角補償量を生成する手段とを具備することを特徴とする。
【0018】
本発明においては、Q軸電流の脈動を抑制することで、電動機のトルク脈動を抑制することができる事に着目し且つ出力電圧位相角を制御することにより、出力電圧の変動軌跡を調整し、トルクの脈動を抑制することを可能とするものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の電力変換装置の実施形態について図面を参照して説明する。
【0020】
(第1実施形態:請求項1〜4,6〜7に対応)
第1実施形態の電力変換装置を、図1〜図7を参照して説明する。
【0021】
本実施形態は、電動機として誘導電動機を用いる交流電車に適用される電力変換装置である。
【0022】
図1において、PWMコンバータ4は、架線19,レール6間の単相交流電源をパンタグラフ1,変圧器3等を介して交流側入力とし、所定の直流電圧となるように交直変換を行う。PWMコンバータ4の直流側には電圧を平滑するためのコンデンサ5を備えている。コンデンサ5には、誘導電動機7を駆動するインバータ6が接続される。
【0023】
かかる、単相交流を直流変換する電力変換装置では、電源周波数の2倍の電力変動が直流側に生じる。平滑コンデンサ5を備えていても、十分に電力変動を抑制することはできず、コンデンサ5にかかる電圧、すなわち、インバータ6への直流入力電圧は、電源周波数の2倍の周波数で脈動する。
【0024】
誘導電動機7の制御方式としては、DQ軸回転座標系上で、電気量を磁束軸とトルク軸とに分離して制御を行うベクトル制御を適用する。ベクトル制御については、周知の技術であり、詳細な説明を省略する。
【0025】
本実施形態は、制御対象が誘導電動機7であることから、2次磁束に一致するD軸と、それに直交するQ軸とから成るDQ軸回転座標系を用いている。電流検出器8で検出された誘導電動機7の相電流Iu, Iwより、座標変換部9にて、Q軸電流Iqが算出される。
【0026】
Q軸電流Iqには、平均トルクに寄与する直流分とトルクリプルとなる脈動分とがある。脈動分の脈動周波数は、インバータ6への直流入力電圧の脈動周波数と同一である。
【0027】
成分分離演算部25では、Q軸電流Iqと基準位相θを入力とし、Q軸電流Iqの脈動分を、基準位相θに対する正弦波分Iqsと余弦波分Iqcとに分離演算する。
【0028】
成分分離演算部25の具体例としては、図2のように構成できる。すなわち、Sin波演算器26には、基準位相θが入力され、振幅1の正弦波を演算出力する。乗算器28では、演算された単位正弦波とQ軸電流Iqとを乗算し、積分器30に入力する。積分器30では、入力を時間積分し、ゲイン乗算部32へと出力する。ゲイン乗算部32では、π/ωoを乗算し、出力する。ここにωoは、直流入力電圧の脈動(角)周波数[rad/s]である。同ゲインを乗算することで、Q軸電流Iqの脈動から、基準位相の正弦波分の振幅値が算出できる。
【0029】
ゼロクロス検出部36では、Sin波演算器26の出力である単位正弦波のゼロクロス(マイナスからプラスへの変化を)を検出した場合に1を、それ以外は0を出力する。
【0030】
ラッチ部34では、ゼロクロス検出部36の出力が1の場合に、入力であるゲイン乗算部32の出力を記憶する。ラッチ部34の出力は、Q軸電流Iqの脈動のうち、基準位相θに対する正弦波成分Iqsとなる。積分器30は、ゼロクロス検出部36の出力が1の場合に積分値を0にクリアする。
【0031】
以上が正弦波成分の抽出演算であり、余弦波成分もまた、同様に演算できる。なお、ここに演算されるIqs, Iqcとも直流量となる。
【0032】
抽出されたQ軸電流Iqの脈動のうち、基準位相に対する正弦波成分Iqsと余弦波成分Iqcとは、座標変換部10に入力される。座標変換部10では、次式のように座標変換を行う。ここにαは、誘導電動機7のロータ周波数又はインバータ周波数に応じて変化する座標変換角度であり、回転角演算部20において設定される。
【0033】
【数1】
【0034】
座標変換部10の出力のうち、Iqs_cmpはゲインKaと乗算され、積分器13に入力される。
【0035】
座標変換部10の出力のうち、Iqc_cmpはゲインKθと乗算され、積分器14に入力される。
【0036】
積分器15では、あらかじめ設定される脈動(角)周波数ωoを積分し、位相θoを出力する。加算器16において、積分器15と積分器14の出力を加算して、基準位相θを生成出力する。
【0037】
基準正弦波演算部17では、基準位相θに基づき、振幅1の単位正弦波を出力する。乗算器18において、単位正弦波と積分器13の出力とが乗算され、出力電圧位相角への補償量θVcmpを算出する。
【0038】
すなわち、出力電圧位相角への補償量θVcmpは、次式で表される。
【0039】
θVcmp=A,sin(θo+θcmp)
=A,sin(θ)
出力電圧位相角への補償量θVcmpは、加算器22において、D軸から出力電圧までの位相角を表す出力電圧位相角基準θV*に加算されることにより、出力電圧位相角が補正させる。
【0040】
次に上記のように構成された本実施形態の電力変換装置の作用について説明する。
【0041】
図3は、主磁束に依る誘起電圧の影響と1次抵抗とを無視した場合の、DQ軸出力電圧の変動分ΔVd,ΔVqからQ軸電流の変動分ΔIqまでのブロック図である。
【0042】
誘導電動機7において、トルクは2次磁束とQ軸電流すなわちトルク電流との積に比例する。また、2次磁束は、D軸電流すなわち励磁電流を入力とする1次遅れ系の出力で表すことができる。この時定数は、2次時定数L2/R2(L2:2次自己インダクタンス、R2:2次抵抗)であり、鉄道車両用の主誘導電動機では、200ms〜500ms程度である。インバータ直流入力電圧の脈動によって、D軸電流も同周波数で脈動するが、脈動周波数が上記時定数を有する1次遅れ系において十分に高いため、2次磁束の変動は小さく、無視できる。
【0043】
よって、Q軸電流Iqの脈動を抑制することで、トルク脈動を抑制することができる。このトルク脈動の抑制法は、特許登録第3249380号や電気学会D部門論文「交流車両用駆動システムにおけるビート現象を抑制するトルク電流フィードバック型ビートレス制御方式の提案」,電学論D,121巻,11号,平成13年に記載されている。
【0044】
図4は、DQ軸座標系上での出力電圧の変化を表したものである。インバータ6が180度通電モードすなわち1パルスモードで動作する場合は、出力電圧の大きさVは、直流入力電圧Vdcによって、次式のように一意に決まり、任意に制御ができない。よって、直流入力電圧が脈動する場合には、出力電圧の大きさが同脈動と同一周波数で脈動する。
【0045】
【数2】
【0046】
このような1パルスモードにおいても、出力電圧のD軸からの位相角θVを制御することは可能であり、出力電圧位相角θVを制御することで出力電圧の変動の軌跡を調整することができる。
【0047】
本実施形態では、上述したように出力電圧位相角を制御することにより、出力電圧の変動軌跡を調整し、トルクの脈動を抑制するものである。当然ながら、1パルスモードではなく、出力電圧の大きさを任意に制御できる領域においても、同様の作用効果を得ることができる。
【0048】
本実施形態において、ビート現象が問題となるのは、インバータ周波数が、直流入力電圧の脈動周波数近傍である場合、すなわち、単相電源であるために100Hz又は120Hz近傍である場合だが、このとき、出力電圧位相角θVは、70度から110度の範囲程度である。
【0049】
よって、出力電圧位相角θVを概ね90度と考えると、出力電圧の変動のうち、Q軸方向への変動ΔVqは直流入力電圧の脈動ΔVdcによる作用であり、D軸方向への変動ΔVdは出力電圧位相角の変動ΔθVによる作用となる。
【0050】
【数3】
【0051】
ここに係数の√6/πは、(1)式にあるように、1パルスモードにおいて、直流電圧Vdcから出力電圧Vへの変換係数である。
【0052】
Q軸電流の脈動を抑制するためには、図3中のAが零になるように、D軸電圧変動ΔVdとQ軸電圧変動ΔVqの関係を維持すればよい。Q軸電流の脈動ΔIqが残っている場合は、出力電圧位相角補償量ΔθVが適切でないことになる。誘起電圧の影響を無視した場合の、DQ軸電圧変動ΔVd,ΔVqからQ軸電流の変動ΔIqまでの伝達関数は次式である。
【0053】
【数4】
【0054】
ここで、(3)式に(2)式を代入すると、次式を得る。
【0055】
【数5】
【0056】
図5には、(4)式に示す出力電圧位相角補償量ΔθVからQ軸電流の変動ΔIqまでの位相差を、各インバータ周波数ω1に対して示す。同図から、インバータ周波数ω1、すなわち、速度が増加するとともに、同位相差が0度から-180度(遅れ)に移行していくことが分かる。
【0057】
特に、インバータ周波数が100Hz又は120Hzの近傍、すなわち、インバータ周波数が直流入力電圧の脈動周波数の近傍である領域を除くと、その位相特性は、概ね0度、又は180度に近い。これは、トルク電流の脈動ΔIqと出力電圧位相角補償量ΔθVの誤差が、符号の差異があるとしても、位相差がないことを表している。すなわち、トルク電流の脈動ΔIqのうち、出力電圧位相角補償量ΔθVと同相分があれば、出力電圧位相角補償量ΔθVの振幅を補正することで、更なる抑制効果が期待できる。
【0058】
一方、トルク電流の脈動ΔIqのうち、同相でない成分がある場合、出力電圧位相角補償量ΔθVの振幅が適正でないのではなく、基準位相θが適正ではないことを表す。よって、依ってトルク電流の脈動ΔIqから、基準位相θの余弦波分を抽出し、これが零となるように、基準位相θを補正することによって、トルク電流の脈動ΔIqを抑制することが可能となる。
【0059】
次に、インバータ周波数が脈動周波数近傍である場合における脈動の抑制について説明する。すなわち、回転角演算部20では、出力電圧位相角の変動分ΔθVからQ軸電流の変動分ΔIqまでの位相特性を、電動機の回転速度N又はインバータ周波数に応じた座標変換角αとして出力する。図5は、出力電圧位相角を概ね90度とした場合の出力電圧位相角ΔθVからQ軸電流の変動分ΔIqまでの位相特性である。
【0060】
インバータ周波数が直流入力電圧の脈動周波数に一致する場合、すなわち、100Hz又は120Hzの近傍では、同位相特性は急峻に変化する。この特性を厳密に模擬するのがよいが、複雑であるため、同図にあるように、1次近似した特性を設定することも可能である。
【0061】
このように位相特性に合わせ、座標変換10を行うことで、2つの制御器間の干渉を抑制し、安定したトルク脈動の抑制制御を実現できる。近似特性を設定することにより、安定性を維持しつつソフト負荷量を軽減することができる。
【0062】
本実施形態では、回転角演算部20では、回転速度Nを入力としているが、厳密には(3)式のようにインバータ周波数ω1に応じて算出する方がよい。回転速度Nすなわちロータ回転周波数ωRとインバータ周波数ω1とは、次式の関係にある。ここに、ωsはすべり周波数であり、通常数Hzとなる。よって、概ねインバータ周波数=ロータ周波数と考えても、同様の作用効果が得られる。
【0063】
【数6】
【0064】
図6、図7には、本実施形態の効果を示すシミュレーション結果を示す。ロータ周波数100Hz程度から加速する状況であり、インバータへの直流入力電圧に120Hzに脈動を与えている。図6は、トルク脈動抑制制御を施さない場合であり、ロータ周波数が120Hz近傍、すなわち、インバータ周波数が120Hz近傍となった場合、相電流Iuに大きなビートがあり、トルクやトルク電流に120Hzの脈動がある。一方、図はトルク脈動抑制制御を途中より施した場合であり、制御を効かせることにより、トルクやトルク電流の脈動が抑制されており、その効果が確認できる。
【0065】
(第2実施形態:請求項5に対応)
次に、図8を参照して本実施形態の電力変換装置について説明する。
【0066】
本実施形態は、第1実施形態における出力電圧位相角補償量演算部23の中の一部が異なり、他の構成は第1実施形態と同様であり、ここでは異なる部分のみ説明する。
【0067】
図8において、速度検出器21で検出された電動機の回転速度Nは、速度域判定部24に入力される。速度域判定部24では、次のように出力を決定する。
【0068】
【数7】
【0069】
ここに、Nは電動機の回転速度であるが、電気角に換算した値[Hz]とする。Fはインバータへの直流入力電圧の脈動周波数[Hz]である。αは正の値である。
【0070】
出力電圧位相角補償量演算部23の積分器13,14への入力は、切替器37,38からの出力である。切替器37,38の出力は、速度域判定部24の出力が1である場合、ゲイン乗算部11,12の出力であり、速度域判定部24の出力が0である場合、0となる。
【0071】
次に上記のように構成された本実施形態の電力変換装置の作用について説明する。すなわち、誘導電動機7の回転速度、すなわち、インバータ出力周波数が脈動周波数に近くなった場合、積分器13,14による積分動作を停止させる。前述のように、インバータ出力周波数がインバータ直流入力電圧の脈動周波数に近い領域では、出力電圧位相角補償量ΔθvからQ軸電流の変動分ΔIqまでの位相特性が急激に変化する。位相関係が適切でない状態で補償を継続すると、制御不安定な状態になる虞があるが、積分動作を停止させることで、この不安定現象を回避することができる。もちろん、第1実施形態と同様の効果も奏する。
【0072】
上述した各実施形態において、インバータ6の負荷は誘導電動機7であるが、上記の作用効果は誘導電動機のみならず永久磁石同期電動機や永久磁石リラクタンス同期電動機等の電動機を駆動しても同様に得ることができる。また、上述した実施形態では、電動機の回転速度に基づく構成を示しているが、速度域判定部24への入力を電動機の回転速度でなく、インバータ出力周波数に置き換えても、同様な作用効果を得ることができる。
【0073】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、電動機の速度や出力、電動機の定数のばらつきなど、広い運転条件において、トルクリプルを抑制することが可能となり、また従来に比べ調整が容易であるため、調整に要する時間を短縮することが可能な電力変換装置を提供できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態に係る電力変換装置の構成図。
【図2】 同実施形態における成分分離演算部の構成図。
【図3】 同実施形態におけるDQ軸電圧の変動分ΔVd,ΔVqからQ軸電流の変動分Δiqまでの伝達特性を示す図。
【図4】 同実施形態におけるDQ軸座標系と出力電圧との関係を示す図。
【図5】 同実施形態におけるインバータ周波数と出力電圧位相角補償量ΔθVからQ軸電流ΔIqまでの位相差との関係を示す図。
【図6】 同実施形態におけるトルクリプル抑制制御なしでのシミュレーション結果を示す図。
【図7】 同実施形態におけるトルクリプル抑制制御ありでのシミュレーション結果を示す図。
【図8】 本発明の第2実施形態に係る電力変換装置の構成図。
【図9】 従来の電力変換装置の一例を示す図。
【符号の説明】
1…パンタグラフ、2…車輪、3…変圧器、4…コンバータ、5…コンデンサ、5A…電圧検出器、コンデンサ、6…レール、7…誘導電動機、8…電流検出器、9…座標変換部、10…座標変換部、11…ゲイン乗算部、12…ゲイン乗算部、13…積分器、14…積分器、15…積分器、16…加算器、17…基準正弦波演算部、18…乗算部、19…架線、20…回転角演算部、21…速度検出器、22…加算器、23…出力電圧位相角補償量演算部、24…速度域判定部、25…成分分離部、26…Sin波演算部、27…Cos波演算部、28…乗算器、29…乗算器、30…積分器、31…積分器、32…ゲイン乗算器、33…ゲイン乗算器、34…ラッチ部、35…ラッチ部、36…ゼロクロス検出部、37…切替器、38…切替器、39…電圧脈動分検出手段、40…電圧直流分検出手段、41…除算器、42…電流実効値演算手段、43…減算器、44…すべり周波数制御手段、45…加算器、46…乗算器、47…加算器、48…電圧制御手段、49…PWM制御回路。
Claims (5)
- 脈動した状態の直流電圧を入力とし交流電圧に変換し該変換出力により電動機を駆動するインバータを備え、前記直流入力電圧の脈動と同一の周波数によって脈動する出力電圧位相角補償量により出力電圧位相角を補正する手段を有する電力変換装置において、
前記出力電圧位相角補償量を生成する手段は、
前記電動機のトルクに相応する状態量を求める手段と、
前記直流入力電圧の脈動と同一の周波数を積分することにより位相を演算する位相演算手段と、
前記電動機のトルクに相応する状態量の脈動成分を、基準位相に対する正弦波分と、前記基準位相に対する余弦波分とにそれぞれ演算する手段と、
前記基準位相に対する余弦波分に応じた量を前記位相演算手段により演算された位相に加算して、基準位相を生成する基準位相演算手段と、
前記基準位相に対する正弦波分に応じて出力電圧位相角補償振幅を演算する出力電圧位相角補償振幅調整手段と、
前記基準位相演算手段により生成された基準位相に基づき基準正弦波を生成する基準正弦波生成手段と、
前記基準正弦波と前記出力電圧位相角補償振幅とを乗算し前記出力電圧位相角補償量を生成する手段と
を具備することを特徴とする電力変換装置。 - 前記演算する手段は、さらに、前記基準位相に対する正弦波分及び前記基準位相に対する余弦波分を、所定の回転角αによる回転座標変換により回転させ、
前記基準位相演算手段は、前記回転させた基準位相に対する余弦波分に応じた量を前記位相演算手段により演算された位相に加算して、基準位相を生成し、
前記所定の回転角αを、前記電動機の回転周波数又は前記インバータの出力周波数に応じて可変とする手段を具備することを特徴とする請求項1記載の電力変換装置。 - 前記電動機の電気角相当の回転周波数又は前記インバータの出力周波数が前記直流入力電圧の脈動周波数の近傍である場合には、前記基準位相演算手段での前記基準位相に対する余弦波分に応じた量を加算しない又は前記出力電圧位相角補償振幅調整手段での出力電圧位相角補償振幅を調整しないように制御する手段を具備することを特徴とする請求項1記載の電力変換装置。
- 前記電動機は、誘導電動機であり、且つ前記電動機のトルクに相応する状態量は2次磁束に直交する電流であることを特徴とする請求項1記載の電力変換装置。
- 前記電動機は、永久磁石同期電動機であり、且つ前記電動機のトルクに相応する状態量は磁石磁束に直交する電流であることを特徴とする請求項1記載の電力変換装置。
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JP2003037178A JP4230793B2 (ja) | 2003-02-14 | 2003-02-14 | 電力変換装置 |
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