JP3771313B2 - 塗料組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、深絞り加工性と硬度とのバランスに優れ、密着性、潤滑性、衛生性及び耐沸騰水性に優れた塗膜を形成できる塗料組成物、特に缶被覆用に適した塗料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及びその課題】
従来、高加工性を必要とする缶内外面、蓋内外面、キャップ内外面用塗料としては、アミノ−アルキド樹脂、アミノ−ポリエステル樹脂、ビニル−アミノ樹脂、ビニルオルガノゾル等の樹脂系の塗料が使用されている。
【0003】
しかしながら、アミノ−アルキド樹脂又はアミノ−ポリエステル樹脂系の塗料から得られる塗膜は、深絞り加工性と硬度とのバランスをとることが難しく、またビニル−アミノ樹脂又はビニルオルガノゾルの樹脂系の塗料から得られる塗膜は、缶内面に使用するには衛生性、耐沸騰水性に問題を有している。
【0004】
そこで本発明者らは、深絞り加工性と硬度とのバランスに優れ、かつ密着性、潤滑性、衛生性及び耐沸騰水性に優れた塗膜を形成でき、缶内面にも使用できる塗料組成物を得るべく鋭意研究の結果、樹脂成分として特定のポリエステル樹脂に、液状エポキシ樹脂、アミノ樹脂及び潤滑剤を所定量配合してなる塗料によって上記目的を達成できることを見出し本発明を完成するに至った。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、1.(a)数平均分子量10,000〜100,000、静的ガラス転移温度40〜100℃、水酸基価1〜15mgKOH/g 、酸価10以下のポリエステル樹脂100重量部に対して、(b)数平均分子量1,000以下のエポキシ樹脂1〜20重量部、(c)アミノ樹脂1〜20重量部及び(d)潤滑剤0.1〜10重量部を含有し、且つ実質的に顔料を含有しないことを特徴とする缶被覆用塗料組成物を提供するものである。
【0006】
また本発明は、2.金属板上又は金属板を加工した缶の外面及び/又は内面に乾燥膜厚で3〜18μmに塗装される上記項1記載の塗料組成物を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明組成物における(a)成分であるポリエステル樹脂は、水酸基を含有するポリエステル樹脂であり、オイルフリーポリエステル樹脂、油変性アルキド樹脂、また、これらの樹脂の変性物、例えばウレタン変性ポリエステル樹脂、ウレタン変性アルキド樹脂、エポキシ変性ポリエステル樹脂、エポキシ変性アルキド樹脂等のいずれであってもよい。
【0008】
上記オイルフリーポリエステル樹脂は、主に多塩基酸と多価アルコールとのエステル化物である。多塩基酸としては、例えばアジピン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、トリメリット酸等を挙げることができる。これらの多塩基酸は単独で、あるいは2種以上を混合して使用することができる。多価アルコールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール等を挙げることができる。これらの多価アルコールは単独で、あるいは2種以上を混合して使用することができる。両成分のエステル化反応は、公知の方法によって行うことができる。
【0009】
上記オイルフリーポリエステル樹脂は、上記エステル化反応において、多塩基酸のかわりに多塩基酸の低級アルキルエステル(例えばメチルエステル、エチルエステル等)を用い、エステル交換反応を行うことによっても得ることができる。両成分のエステル交換反応は、公知の方法によって行うことができる。
【0010】
アルキド樹脂は、上記オイルフリーポリエステル樹脂の酸成分及びアルコール成分に加えて、油脂肪酸を公知の方法で反応せしめたものであって、油脂肪酸としては、例えばヤシ油脂肪酸、大豆油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸、トール油脂肪酸、脱水ヒマシ油脂肪酸、キリ油脂肪酸等を挙げることができる。
【0011】
ウレタン変性ポリエステル樹脂は、上記オイルフリーポリエステル樹脂、又は上記オイルフリーポリエステル樹脂製造の際の酸成分及びアルコール成分を反応させて得られる低分子量のオイルフリーポリエステル樹脂を、ポリイソシアネート化合物と公知の方法で反応せしめたものである。ウレタン変性アルキド樹脂は、上記アルキド樹脂、又は上記アルキド樹脂製造の際の各成分を反応させて得られる低分子量のアルキド樹脂を、ポリイソシアネート化合物と公知の方法で反応せしめたものである。ウレタン変性ポリエステル樹脂、ウレタン変性アルキド樹脂を製造する際に使用するポリイソシアネート化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、2,4,6−トリイソシアナトトルエン等が挙げられる。
【0012】
エポキシ変性ポリエステルは、前記オイルフリーポリエステル樹脂、又は前記オイルフリーポリエステル樹脂製造の際の酸成分及びアルコール成分を反応させて得られるオイルフリーポリエステル樹脂を、エポキシ化合物と公知の方法で反応せしめたものである。エポキシ変性アルキド樹脂は、前記アルキド樹脂、又は前記アルキド樹脂製造の際の各成分を反応させて得られる低分子量のアルキド樹脂を、ポリイソシアネート化合物と公知の方法で反応せしめたものである。
【0013】
エポキシ変性ポリエステル樹脂、エポキシ変性アルキド樹脂を製造する際に使用するエポキシ化合物としては、ブチルグリシジルエーテル、オクチルグリシジルエーテル、ラウリン酸グリシジル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリセリンテトラグリシジルエーテル等の脂肪族エポキシ化合物;ジシクロペンタジエンジオキサイド、エポキシシクロヘキセンカルボン酸エチレングリコールジエステル等の脂環族エポキシ化合物;ポリフェノール化合物とエピクロルヒドリンとの反応によって得られるエポキシ化合物、フタル酸ジグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート等の芳香族又は複素環式エポキシ化合物等が挙げられる。
【0014】
上記ポリフェノール化合物とエピクロルヒドリンとの反応によって得られるエポキシ化合物の製造に用いうるポリフェノール化合物としては、例えばビス(4−ヒドロキシフェニル)−2,2−プロパン、4,4′−ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−エタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−イソブタン、ビス(4−ヒドロキシ−tert−ブチル−フェニル)−2,2−プロパン、ビス(2−ヒドロキシナフチル)メタン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)メタン、テトラ(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,2,2−エタン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等が挙げられる。
【0015】
ポリフェノール化合物とエピクロルヒドリンとの反応によって得られるエポキシ化合物の市販品としては、例えばシェル化学社製の、エピコート1001、同1004、同1007等を挙げることができる。
【0016】
上記ポリエステル樹脂は、得られる塗膜の加工性、塗膜硬度、耐アルコール性等の観点から、数平均分子量10,000〜100,000、ガラス転移温度40〜100℃、水酸基価1〜15mgKOH/g 、酸価10以下であることが必要であり、数平均分子量15,000〜40,000、ガラス転移温度(Tg点)40〜100℃、水酸基価3〜10mgKOH/g 、酸価5以下であることが好ましい。数平均分子量が10,000未満では加工性が劣り、一方、100,000を超えると得られる塗料の粘度が高くなり取扱いが困難となる。Tg点が40℃未満では得られる塗膜の硬度が低くなり、一方、100℃を超えると得られる塗膜の加工性が劣化する。また水酸基価及び酸価が上記範囲を外れると加工性と硬度とのバランスがとれなくなる。
【0017】
本発明において、ガラス転移温度(Tg)は、示差熱分析(DSC)によるものであり、また数平均分子量はゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)によって、標準ポリスチレンの検量線を用いて測定したものである。
【0018】
本発明組成物における(b)成分であるエポキシ樹脂は、数平均分子量1,000以下であり、分子中に少なくとも1個、好ましくは2個以上のエポキシ基を有するものであって、エポキシ当量が100〜500の範囲であることが好ましい。
【0019】
上記エポキシ樹脂(b)としては、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ノボラック型等種々のエポキシ樹脂を挙げることができ、具体例としては、エピコート828、エピコート834、エピコート1001、エピコート154〔以上、いずれも油化シェルエポキシ(株)製〕、アラルダイト502、アラルダイト6005〔以上、いずれもチバ社製〕、ダウ332、ダウ331〔以上、いずれもダウ ケミカル社製〕等を挙げることができる。
【0020】
本発明組成物における(c)成分であるアミノ樹脂としては、メラミン、尿素、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、ステログアナミン、スピログアナミン、ジシアンジアミド等のアミノ成分とホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンツアルデヒド等のアルデヒド成分との反応によって得られるメチロール化アミノ樹脂が挙げられる。このメチロール化アミノ樹脂のメチロール基を炭素原子数1〜6の低級アルコールによってエーテル化したものも上記アミノ樹脂に包含される。
【0021】
上記アミノ樹脂としては、メチロール化メラミン樹脂もしくはメチロール化ベンゾグアナミン樹脂のメチロール基の一部又は全部を、低級アルコールによってエーテル化した低級アルキルエーテル化メラミン樹脂又は低級アルキルエーテル化ベンゾグアナミン樹脂が好ましい。上記エーテル化に使用する低級アルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソブチルアルコール、n−ブチルアルコールが好ましく、これらのアルコールは単独で又は2種以上を混合してエーテル化に使用できる。
【0022】
上記メラミン樹脂の具体例としては、例えばユーバン20SE、同225〔以上、いずれも三井東圧(株)製〕、スーパーベッカミンJ820−60、同L−117−60、同L−109−65、同47−508−60、同L−118−60、同G821−60〔以上、いずれも大日本インキ化学工業(株)製〕等のブチルエーテル化メラミン樹脂;サイメル300、同303、同325、同327、同350、同730、同736、同738〔いずれも三井サイテック(株)製〕、メラン522、同523〔いずれも日立化成(株)製〕、ニカラックMS001、同MX430、同MX650〔三和ケミカル(株)製〕、スミマールM−55、同M−100、同M−40S〔住友化学(株)製〕、レジミン740、同747〔いずれもモンサント社製〕等のメチルエーテル化メラミン樹脂;サイメル232、同266、同XV−514、同1130〔いずれも三井サイテック(株)製〕、ニカラックMX500、同MX600、同MS95〔いずれも三和ケミカル(株)製〕、レジミン753、同755〔いずれもモンサント社製〕、スミマールM−66B〔住友化学(株)製〕等のメチルエーテルとブチルエーテルとの混合エーテル化メラミン樹脂等を挙げることができる。
【0023】
前記ベンゾグアナミン樹脂の具体例としては、三井サイテック(株)製の、サイメル1123(メチルエーテルとエチルエーテルとの混合エーテル化ベンゾグアナミン樹脂)、サイメル1123−10(メチルエーテルとブチルエーテルとの混合エーテル化ベンゾグアナミン樹脂)、サイメル1128(ブチルエーテル化ベンゾグアナミン樹脂)、マイコート102(メチルエーテル化ベンゾグアナミン樹脂)等を挙げることができる。
【0024】
本発明組成物における(d)成分である潤滑剤は、塗膜に潤滑性を付与するために配合されるものであり、具体的には植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックス、石油系ワックス、脂肪酸エステル系ワックス等を挙げることができ、これらは1種で、又は2種以上混合して使用することができる。
【0025】
植物系ワックスとしてはカルナウバワックス、綿ワックス、木ロウ等があり、動物系ワックスとしてはラノリンワックス、ゲイロウ、蜜ろう等があり、石油系ワックスとしてはパラフィン系ワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム等があり、鉱物系ワックスとしてはオゾケライト、モンタンワックス等があり、石油系ワックスとしてはポリエチレンワックス等が挙げられる。
【0026】
上記脂肪酸エステル系ワックスとしては、脂肪酸蔗糖エステルポリグリセリンエーテルと脂肪酸とのエステル化物が挙げられる。脂肪酸蔗糖エステルとしては特開平6−293865号公報に開示されたものを挙げることができ、蔗糖に存在する8個の水酸基のうち少なくとも1つが脂肪酸とエステル化された、モノエステル、ジエステルもしくはトリエステル以上のポリエステル又はこれらエステルの2種以上の混合物である。
【0027】
ポリグリセリンエーテルと脂肪酸とのエステル化物としては、特開平7−138501号公報に開示されたものを挙げることができる。このエステル化物におけるポリグリセリンエーテルは、グリセリンの4〜12量体であるグリセリンのエーテル化物である。エステル化の程度は、ポリグリセリンエーテル中の水酸基数の1/3以上がエステル化されたものである。
【0028】
脂肪酸蔗糖エステルおよびポリグリセリンエーテルと脂肪酸とのエステル化物における脂肪酸としては、炭素原子数11〜23の飽和又は不飽和脂肪酸が好ましく、具体例としてラウリン酸、オレイン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸等が挙げられる。
【0029】
これらの潤滑剤のうち、融点が25〜150℃(さらに好ましくは40〜130℃)であるワックス、例えばカルナウバワックス、ラノリンワックス、パラフィン系ワックス、ポリエチレンワックス、脂肪酸エステル系ワックス等を用いることが好ましい。これらのワックスは、エマルション系や分散系、溶解系等いずれの形態であってもよい。
【0030】
本発明塗料組成物中に潤滑剤を配合することによって、この組成物から得られる塗膜表面に滑り性を付与することができ、塗面の摩擦抵抗が小さくなり、成型加工性が向上し加工後における耐食性も向上する。
【0031】
本発明組成物において、ポリエステル樹脂(a)、エポキシ樹脂(b)、アミノ樹脂(c)及び潤滑剤(d)の配合割合は、ポリエステル樹脂(a)100重量部に対して、(b)、(c)及び(d)各成分が固形分比で下記範囲となる割合である。
【0032】
エポキシ樹脂(b):1〜20重量部、好ましくは5〜15重量部、
アミノ樹脂(c) :1〜20重量部、好ましくは3〜10重量部、
潤滑剤(d) :0.1〜10重量部、好ましくは0.3〜5重量部。
【0033】
ポリエステル樹脂(a)100重量部に対して、エポキシ樹脂(b)の配合量が1重量部未満では得られる塗膜の付着性が十分でなくなり、沸騰水浸漬試験後、例えば沸騰水に1時間浸漬後の塗膜の密着性が低下し、一方、配合量が20重量部を超えると得られる塗膜の着色が大きくなり、またレトルト処理における抽出量が多くなり衛生性が悪化する。
【0034】
ポリエステル樹脂(a)100重量部に対して、アミノ樹脂(c)の配合量が1重量部未満では、得られる塗膜の硬化が十分でなくなり塗膜硬度が低下し、一方、配合量が20重量部を超えると、得られる塗膜の加工性が低下し、また沸騰水浸漬後の塗膜の密着性が低下する。
【0035】
ポリエステル樹脂(a)100重量部に対して潤滑剤(d)の配合量が0.1重量部未満では得られる塗膜の滑り性が低下し、例えば絞り率が50%を超える深絞り加工のような厳しい加工を行った時に塗膜に傷が付き平滑な塗面が得られなくなる。一方、潤滑剤(d)の配合量が10重量部を超えると得られる塗膜の柔軟性が低下し、厳しい加工を行った時に塗膜の連続性が損なわれる。
【0036】
本発明組成物の形態は特に限定されるものではないが、通常、上記(a)、(b)、(c)及び(d)各成分が有機溶剤中に溶解ないしは分散されてなるものである。上記有機溶剤としては、上記(a)、(b)、(c)及び(d)各成分を溶解ないしは分散させることができる有機溶剤が使用される。具体例として例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、エタノール、ブタノール等のアルコール系溶剤、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテルアルコール系溶剤等を挙げることができ、これらは単独で、あるいは2種以上を混合して使用することができる。
【0037】
本発明組成物は、上記成分以外に、塗料用として公知の消泡剤、塗面調整剤等の添加剤;硬化触媒等を含有していてもよい。
【0038】
本発明組成物は、金属板上又は金属板を加工した缶の外面及び/又は内面に塗装し、焼き付けることによって缶被覆用として適した塗膜を形成することができる。
【0039】
上記金属板としては、飲料缶、缶詰用缶、蓋、キャップに用いることができる金属板であればいずれも使用することができ、例えばアルミニウム板、ティンフリースチール板、ブリキ板等を挙げることができる。
【0040】
本発明組成物は、ロールコータ塗装、スプレー塗装等の公知の塗装方法によって塗装することができ、塗装膜厚は特に限定されるものではないが、乾燥膜厚で3〜18μm の範囲であることが好ましい。塗膜の焼付条件は、通常、約90〜330℃の温度で約5秒〜約30分間程度である。
【0041】
上記のようにして、金属板上又は金属板を加工した缶、蓋、キャップの内外面に、本発明組成物からの硬化塗膜を形成することができる。
【0042】
【発明の効果】
本発明組成物によって、深絞り加工性と硬度とのバランスに優れ、密着性、潤滑性、衛生性及び耐沸騰水性に優れた塗膜を形成できるので、缶内外面、蓋内外面、キャップ内外面用塗料として適している。
【0043】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、以下、「部」及び「%」はいずれも重量基準によるものとする。
【0044】
ポリエステル樹脂溶液の製造
製造例1
テレフタル酸49.8部、イソフタル酸49.8部、ヘキサヒドロテレフタル酸34.4部、アジピン酸28.5部、ネオペンチルグリコール99.8部、トリメチロールプロパン6.8部及び重縮合触媒を仕込み、加熱、撹拌し、生成する水を除去しながらエステル化反応を行い、数平均分子量25,000、水酸基価10mgKOH/g 、酸価1.0、Tg点60℃の樹脂を得た。得られた樹脂をメチルエチルケトン/シクロヘキサノン=50/50の混合溶剤にて希釈して固形分30%のポリエステル樹脂溶液Aを得た。
【0045】
製造例2
フタル酸37.7部、イソフタル酸66.4部、ヘキサヒドロフタル酸46.2部、トリメリット酸6.7部、エチレングリコール12.4部、ネオペンチルグリコール78.8部、トリメチロールプロパン6.8部及び重縮合触媒を仕込み、加熱、撹拌し、生成する水を除去しながらエステル化反応を行い、数平均分子量15,000、水酸基価5.0mgKOH/g 、酸価2.0、Tg点80℃の樹脂を得た。得られた樹脂をメチルエチルケトン/シクロヘキサノン=50/50の混合溶剤にて希釈し固形分30%のポリエステル樹脂溶液Bを得た。
【0046】
製造例3
日本合成(株)製のポリエステル樹脂「TP−220」(数平均分子量16,000、水酸基価7.0mgKOH/g 、酸価1以下、Tg点70℃)をメチルエチルケトン/シクロヘキサノン=50/50の混合溶剤にて希釈し固形分30%のポリエステル樹脂溶液Cを得た。
【0047】
製造例4
東洋紡績(株)製のポリエステル樹脂「バイロン103」(数平均分子量22,000、水酸基価5mgKOH/g 、酸価2以下、Tg点45℃)をメチルエチルケトン/シクロヘキサノン=50/50の混合溶剤にて希釈し固形分30%のポリエステル樹脂溶液Dを得た。
【0048】
製造例5(比較用)
ユニチカ(株)製のポリエステル樹脂「ユニチカ エリーテルUE−3300」(数平均分子量8,000、水酸基価18mgKOH/g 、酸価1以下、Tg点45℃)をメチルエチルケトン/シクロヘキサノン=50/50の混合溶剤にて希釈し固形分30%のポリエステル樹脂溶液Eを得た。
【0049】
製造例6(比較用)
ユニチカ(株)製のポリエステル樹脂「ユニチカ エリーテルUE−3230」(数平均分子量20,000、水酸基価5.0mgKOH/g 、酸価1以下、Tg点3℃)をメチルエチルケトン/シクロヘキサノン=50/50の混合溶剤にて希釈し固形分30%のポリエステル樹脂溶液Fを得た。
【0050】
製造例7(比較用)
荒川化学(株)製のポリマー樹脂「アラキードKA−1027U」(数平均分子量10,000、水酸基価20mgKOH/g 、酸価3、Tg点15℃)をメチルエチルケトン/シクロヘキサノン=50/50の混合溶剤にて希釈し固形分30%のポリエステル樹脂溶液Gを得た。
【0051】
上記製造例1〜7で得た固形分30%の各ポリエステル樹脂溶液を用いて各実施例及び比較例の塗料を得た。
【0052】
実施例1
容器中で、下記の組成配合にて均一に撹拌して固形分30%の塗料を得た。
【0053】
(*1)サイメル303:三井サイテック(株)製、メチルエーテル化メラミン樹脂、固形分約100%。
【0054】
(*2)エピコート828:油化シェルエポキシ(株)製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、分子量約350、エポキシ当量約190。
【0055】
(*3)ソルベッソ100:エッソ石油社製、高沸点芳香族炭化水素系溶剤。
(*4)Nacure5225:(ネイキュア5225)米国キング インダストリイズ社製、ドデシルベンゼンスルホン酸系硬化触媒。
【0056】
実施例2
容器中で、下記の組成配合にて均一に撹拌して固形分30%の塗料を得た。
【0057】
(*5)エピコート154:油化シェルエポキシ(株)製、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、分子量約500、エポキシ当量約174。
【0058】
(*6)ポリエチレンワックス分散液:融点100℃、固形分16%のポリエチレンワックスの溶剤分散液。
【0059】
実施例3
容器中で、下記の組成配合にて均一に撹拌して固形分30%の塗料を得た。
【0060】
(*7)サイメル325:三井サイテック(株)製、メチルエーテル化メラミン樹脂、固形分約80%。
【0061】
(*8)カルナウバワックス分散液:固形分10%のカルナウバワックスのエチンレングリコールモノブチルエーテル分散液、カルナウバワックスの融点は約70℃。
【0062】
実施例4
実施例3において、組成配合に、さらに硬化触媒として、Nacure5225を0.5部加える以外は実施例3と同様に行い固形分30%の塗料を得た。
【0063】
実施例5
容器中で、下記の組成配合にて均一に撹拌して固形分30%の塗料を得た。
【0064】
(*9)50%エピコート1001:油化シェルエポキシ(株)製、「エピコート1001」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、分子量約900、エポキシ当量約490)をメチルエチルケトンに溶解させた固形分50%の溶液。
【0065】
(*10)パラフィン系ワックス分散液:固形分10%のパラフィン系ワックスのエチレングリコールモノブチルエーテル分散液、パラフィン系ワックスの融点は約70℃。
【0066】
実施例6
容器中で、下記の組成配合にて均一に撹拌して固形分30%の塗料を得た。
【0067】
(*11)脂肪酸エステル系ワックス分散液:グリセリンの重合度が6で1分子中に水酸基を8個有するヘキサグリセリンエーテルとラウリン酸とが、前者:後者のモル比が1:6となる割合でエステル化されたエステル化物10部をエチレングリコールモノブチルエーテル90部中に添加して分散させてなるラウリン酸エステル系ワックス分散液。
【0068】
容器中で、上記組成配合にて均一に撹拌して固形分30%の塗料を得た。
【0069】
容器中で、上記組成配合にて均一に撹拌して固形分30%の塗料を得た。
【0070】
容器中で、上記組成配合にて均一に撹拌して固形分30%の塗料を得た。
【0071】
比較例4
実施例2において、7.5部のエピコート154のかわりに、エピコート1004(*12)7.5部をシクロヘキサノン7.5部に溶解してなる50%エピコート1004溶液15部を使用し、ソルベッソ100の量を24.5部から17部に変更する以外は実施例2と同様に行い固形分30%の塗料を得た。
【0072】
(*12)エピコート1004:油化シェルエポキシ(株)製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、分子量約1,400、エポキシ当量約950。
【0073】
比較例5
実施例2において、ポリエステル樹脂溶液Bのかわりにポリエステル樹脂溶液Gを使用する以外は実施例2と同様に行い固形分30%の塗料を得た。
【0074】
比較例6
実施例1において、ラノリンワックスを配合せず、ソルベッソ100の量を23.4部とする以外は実施例1と同様に行い固形分30%の塗料を得た。
【0075】
比較例7
実施例1においてラノリンワックスの配合量を11部とし、ソルベッソ100の量を49.1部とする以外は実施例1と同様に行い固形分30%の塗料を得た。
【0076】
試験塗板の作成
上記実施例及び比較例で得た塗料を厚さ0.25mmの#5052アルミニウム板に乾燥膜厚が12μm となるように塗装し、風速18m/秒の熱風で、素材到達最高温度(PMT)が270℃となる条件で、30秒間焼き付けて試験塗板を得た。得られた試験塗板について下記の試験を行った。試験結果を後記表1に示す。
【0077】
(1)塗膜外観:試験塗板の塗膜外観を目視観察した。異常の認められないものを○と表示した。
【0078】
(2)密着性:JIS K−5400 8.5.2(1990)碁盤目−テープ法に準じて、試験塗板の塗膜面に1.5mm×1.5mmのマス目を100個作成し、その表面の粘着セロハンテープを貼着し、急激に剥した後のマス目部の塗膜の状態を評価した。
【0079】
○:剥離が認められない。
【0080】
△:わずかに剥離が認められる。
【0081】
×:著しい剥離が認められる。
【0082】
(3)深絞り加工性:絞り率50%の深絞り加工機を使用し、試験塗板の加工側面部にクロスカットを入れ、深絞り加工を行い加工側面部の塗膜の剥離状態を目視観察した。評価は下記基準に従って行った。
【0083】
○:剥離が認められない。
【0084】
△:わずかに剥離が認められる。
【0085】
×:著しい剥離が認められる。
【0086】
(4)耐沸騰水浸漬性:前記(3)深絞り加工性の試験を行った後、加工物品を100℃の沸騰水中に1時間浸漬を行った後、加工側面部に前記(2)と同様の密着性試験を行った。評価基準は下記のとおりである。
【0087】
○:剥離が認められない。
【0088】
△:わずかに剥離が認められる。
【0089】
×:著しい剥離が認められる。
【0090】
(5)塗膜硬度:試験塗板の塗膜に、JIS K−5400 8.4.2(1990)に規定する鉛筆引っかき試験を行った。評価はやぶれ法で行った。
【0091】
(6)衛生性:塗装面積100cm2 の試験塗板を、100ccの水中にて100℃で60分間浸漬処理を行った際の、抽出水の過マンガン酸カリウム消費量(ppm)を測定した。
【0092】
(7)潤滑性:試験塗板の塗膜面について、イーガン スリップ テスター モデル No.225−3(スウイング アルバート インスツルメント カンパニー製)〔Egan Slip Tester Model No.225-3 (Thwing Albert Instrument Co. 製)〕を用いて、引張り速度10cm/1分の条件にて動摩擦係数を測定した。
【0093】
【表1】
Claims (3)
- (a)数平均分子量10,000〜100,000、静的ガラス転移温度40〜100℃、水酸基価1〜15mgKOH/g 、酸価10以下のポリエステル樹脂100重量部に対して、(b)数平均分子量1,000以下のエポキシ樹脂1〜20重量部、(c)アミノ樹脂1〜20重量部及び(d)潤滑剤0.1〜10重量部を含有し、且つ実質的に顔料を含有しないことを特徴とする缶被覆用塗料組成物。
- アミノ樹脂(c)が、メチルエーテル化メラミン樹脂、メチルエーテル化ベンゾグアナミン樹脂、ブチルエーテル化メラミン樹脂、ブチルエーテル化ベンゾグアナミン樹脂、メチルエーテルとブチルエーテルとの混合エーテル化メラミン樹脂及びメチルエーテルとブチルエーテルとの混合エーテル化ベンゾグアナミン樹脂から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の塗料組成物。
- 金属板上又は金属板を加工した缶の外面及び/又は内面に乾燥膜厚で3〜18μmの範囲に塗装される請求項1又は2に記載の塗料組成物。
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