JP3770061B2 - データ線駆動回路、走査線駆動回路、電気光学パネルおよび電子機器 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、データ線駆動回路、走査線駆動回路、および、これらを用いた電気光学パネル、ならびにこの電気光学パネルを表示手段に適用した電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の電気光学パネル、例えば、アクティブマトリクス方式の液晶表示パネルは、主に、マトリクス状に配列した画素電極の各々にスイッチング素子が設けられた素子基板と、カラーフィルタなどが形成された対向基板と、これら両基板との間に充填された液晶とから構成される。このような構成において、走査線を介してスイッチング素子に走査信号(選択電圧)を印加すると、当該スイッチング素子が導通状態となる。この導通状態の際に、データ線を介して画素電極に画像信号を印加すると、当該画素電極および対向電極(共通電極)の間の液晶層に所定の電荷が蓄積される。電荷蓄積後、非選択電圧を印加して、当該スイッチング素子をオフ状態としても、液晶層の抵抗が十分に高ければ、当該液晶層における電荷の蓄積が維持される。このように、各スイッチング素子を駆動して蓄積させる電荷の量を制御すると、画素毎に液晶の配向状態が変化して、所定の情報を表示することが可能となる。
【0003】
この際、各画素の液晶層に電荷を蓄積させるのは、一部の期間で良いため、第1に、走査線側駆動回路によって、各走査線を順次選択するとともに、第2に、走査線の選択期間において、データ線側駆動回路によって、1本または複数本のデータ線を選択し、第3に、選択されたデータ線に画像信号をサンプリングして供給する構成により、走査線およびデータ線を複数の画素について共通化した時分割マルチプレックス駆動が可能となる。
【0004】
さて、走査線側駆動回路やデータ線側駆動回路は、一般に、同様な構成である。例えば、従来のデータ線側駆動回路は、図21に示されるように、単位回路を複数段縦続接続して構成されたシフトレジスタ回路1600からなり、水平走査期間の最初に供給される転送開始パルスDXを、クロック信号XCLKおよびその反転クロック信号XCLKinvによって順次転送して、各段の単位回路からデータ信号のサンプリング信号S1〜Snを順次出力する構成となっている。また、走査線側駆動回路にあっては、転送開始パルスDXの替わりに、垂直走査期間の最初に転送開始パルスDYが供給されるとともに、クロック信号XCLKおよびその反転クロック信号XCLKinvの替わりに、水平走査期間毎に、クロック信号YCLKおよびその反転クロック信号YCLKinvが供給される構成となる。
【0005】
ここで、アクティブマトリクス方式の液晶表示パネルのスイッチング素子として薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:以下、TFTと称する)を用い、画素のTFTと同一基板上にこれらのTFTを駆動する駆動回路を、同じくTFTにより構成するドライバ内蔵型の液晶表示パネルにおいては、15V程度の比較的高い動作電圧が要求されるため、クロック信号に同期して論理動作を実行する走査線側駆動回路やデータ線側駆動回路にも同程度の動作電圧が必要となる。これに対し、液晶表示パネルにクロック信号を供給するタイミングジェネレータ(図21においては図示省略)は、一般にCMOS回路で構成されるため、その出力電圧は5V程度である。このため、従来のデータ線側駆動回路158には、図21に示されるように、その入力段において、0〜5V程度の低論理振幅の信号を0〜15V程度の高論理振幅の信号に変換するレベルシフタ(レベル変換回路)1610、1620がクロックインターフェイスとして設けられていた。すなわち、従来の走査線側駆動回路やデータ線側駆動回路は、タイミングジェネレータで生成された低論理振幅の信号をレベルシフタによって高論理振幅の信号に変換して、シフトレジスタ回路1600の各単位回路に供給する構成となっていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ドライバ内蔵型の液晶表示パネルは、その経年変化によって生じる画質劣化がブラウン管に比較して大きく、また寿命が短いことが知られている。これは、主としてデータ線側駆動回路の誤動作に起因している。具体的には、液晶表示パネルの使用時間が長くなるに従って、データ線側駆動回路で生成されるサンプリング信号のタイミングが本来のタイミングからずれ、最終的には、サンプリング信号のパルス幅が大幅に大きくなったり、あるいは、サンプリング信号の発生自体が停止してしまう。一方、走査線側駆動回路にあっても、使用時間が長くなると、走査線信号にサンプリング信号と同様の現象が現れるが、その発生時期がデータ線駆動回路に比較して遅い。
【0007】
また、近年、液晶表示パネルを用いたモニタやビデオプロジェクタといった表示装置にあっては、大画面化・高精細化の傾向にあるが、データ線の本数が増える程、上述した問題が深刻となる。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、特に、長寿命化を図ることができるデータ線駆動回路、走査線駆動回路、および、これらを用いた電気光学パネル、ならびに、この電気光学パネルを表示手段に適用した電子機器を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明のデータ線駆動回路にあっては、複数の走査線と、複数のデータ線と、前記走査線と前記データ線との交差に対応して配置されたスイッチング素子と画素電極とを有する電気光学パネルのデータ線駆動回路であって、入力信号をクロック信号に従ってシフトして、論理レベルの一方であって前記クロック信号の1周期分であるパルスが前記クロック信号の半周期ずつ順次遅延した関係にある低電圧サンプリング信号C1〜Cn(nは4以上の整数)を生成するシフトレジスタ部と、前記低電圧サンプリング信号C1〜Cnのうち、Cj、Cj+1、Cj+3(jは1以上(n−3)以下の整数)を高電圧サンプリング信号Sjに変換するレベル変換部とを備え、前記レベル変換部は、第1および第2キャパシタと、制御入力端の論理レベルが前記一方である場合に一方および他方の端子間がオン状態となり、前記論理レベルの他方である場合にオフ状態となる第1乃至第5スイッチと、制御入力端の論理レベルが前記一方である場合に一方および他方の端子間がオフ状態となり、前記他方である場合にオン状態となる第6および第7スイッチと、を備え、前記低電圧サンプリング信号Cjが、前記第1乃至第4スイッチ、前記第6および第7スイッチにおける制御入力端にそれぞれ供給され、前記低電圧サンプリング信号Cj+1が、前記第3、第4および第6スイッチにおける一方の端子にそれぞれ供給され、前記低電圧サンプリング信号Cj+3が、前記第5スイッチにおける制御入力端に供給され、前記第4スイッチにおける他方の端子が、前記高電圧サンプリング信号Sjの出力端である前記第1キャパシタにおける一方の端子と、前記第5スイッチにおける一方の端子とにそれぞれ接続され、前記第1キャパシタにおける他方の端子が、前記第2および第7スイッチにおける一方の端子にそれぞれ接続され、前記第7スイッチの他方の端子が、前記第3スイッチにおける他方の端子、および、前記第2キャパシタにおける一方の端子にそれぞれ接続され、前記第2キャパシタにおける他方の端子が、前記第1スイッチにおける一方の端子、および、前記第6スイッチにおける他方の端子にそれぞれ接続され、前記第1、第2および第5スイッチにおける他方の端子が、前記論理レベルの他方を供給する給電線に接続されたことを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、クロック信号に同期して動作するシフトレジスタ部を高電圧サンプリング信号の高論理レベルよりも低い低電源電圧で動作させる一方、レベル変換部によって低電圧サンプリング信号が高電圧サンプリング信号に変換される。したがって、高速で入力信号をシフトさせるシフトレジスタ部を低電源電圧を用いて動作させることができる。
【0012】
また、このデータ線駆動回路は、最大振幅が前記低電源電圧から前記高電圧サンプリング信号の高論理レベルまでの範囲にある画像信号を前記高電圧サンプリング信号に基づいてサンプリングし、サンプリングして得られた信号を前記データ線に供給するサンプリング部を備えるものであってもよい。この場合、高電圧サンプリング信号の高論理レベルは画像信号の最大振幅レベルよりも高いので、画像信号を十分サンプリングすることが可能である。
【0013】
くわえて、前記シフトレジスタ部および前記レベル変換部は、同一基板上に同一プロセスで形成された薄膜トランジスタにより構成されることが好ましい。薄膜トランジスタには、長時間使用するとホットキャリア現象によって閾値電圧が変化し、その変化度合いは印加電圧と印加時間の積と高い相関がある。このため、シフトレジスタ部のように高速で動作する部分は薄膜トランジスタの寿命が短い。本発明によれば、高速で入力信号をシフトさせるシフトレジスタ部を低電源電圧で動作させる一方、そこで得られた低電圧サンプリング信号をレベル変換部によって高電圧サンプリング信号に変換するので、データ線駆動回路の長寿命化を図ることができる。さらに、各部の集積化により、データ線駆動回路全体の低コスト化や省スペース化等が図られることとなる。なお、前記シフトレジスタ部は前記入力信号を双方向に転送可能に構成されることが望ましい。これにより、用途に応じて選択方向を変更可能でき、左右の反転像の表示が容易となる。
【0014】
次に、本発明に係る走査線駆動回路は、複数の走査線と、複数のデータ線と、前記走査線と前記データ線との交差に対応して配置されたスイッチング素子と画素電極とを有する電気光学パネルの走査線駆動回路であって、入力信号をクロック信号に従ってシフトして、論理レベルの一方であって前記クロック信号の1周期分であるパルスが前記クロック信号の半周期ずつ順次遅延した関係にある低電圧走査信号C1〜Cn(nは4以上の整数)を生成するシフトレジスタ部と、前記低電圧走査信号C1〜Cnのうち、Cj、Cj+1、Cj+3(jは1以上(n−3)以下の整数)を高電圧走査信号Sjに変換するレベル変換部とを備え、前記レベル変換部は、第1および第2キャパシタと、制御入力端の論理レベルが前記一方である場合に一方および他方の端子間がオン状態となり、前記論理レベルの他方である場合にオフ状態となる第1乃至第5スイッチと、制御入力端の論理レベルが前記一方である場合に一方および他方の端子間がオフ状態となり、前記他方である場合にオン状態となる第6および第7スイッチと、を備え、前記低電圧走査信号Cjが、前記第1乃至第4スイッチ、前記第6および第7スイッチにおける制御入力端にそれぞれ供給され、前記低電圧走査信号Cj+1が、前記第3、第4および第6スイッチにおける一方の端子にそれぞれ供給され、前記低電圧走査信号Cj+3が、前記第5スイッチにおける制御入力端に供給され、前記第4スイッチにおける他方の端子が、前記高電圧走査信号Sjの出力端である前記第1キャパシタにおける一方の端子と、前記第5スイッチにおける一方の端子とにそれぞれ接続され、前記第1キャパシタにおける他方の端子が、前記第2および第7スイッチにおける一方の端子にそれぞれ接続され、前記第7スイッチの他方の端子が、前記第3スイッチにおける他方の端子、および、前記第2キャパシタにおける一方の端子にそれぞれ接続され、前記第2キャパシタにおける他方の端子が、前記第1スイッチにおける一方の端子、および、前記第6スイッチにおける他方の端子にそれぞれ接続され、前記第1、第2および第5スイッチにおける他方の端子が、前記論理レベルの他方を供給する給電線に接続されたことを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、クロック信号に同期して動作するシフトレジスタ部を高電圧走査線信号の高論理レベルよりも低い低電源電圧で動作させる一方、レベル変換部によって低電圧走査線信号が高電圧走査線信号に変換される。したがって、高速で入力信号をシフトさせるシフトレジスタ部を低電源電圧を用いて動作させることができる。
【0016】
より具体的には、前記レベル変換部は前記低電源電圧より高電圧の高電源電圧の供給を受けて動作することが好ましい。
【0017】
この走査線駆動回路において、前記シフトレジスタ部および前記レベル変換部は、同一基板上に同一プロセスで形成された薄膜トランジスタにより構成されていることが望ましい。シフトレジスタ部のように高速で動作する部分は薄膜トランジスタの寿命が短い。本発明によれば、高速で入力信号をシフトさせるシフトレジスタ部を低い電源電圧で動作させる一方、そこで得られた低電圧走査線をレベル変換部によって高電圧走査線信号に変換するので、走査線駆動回路の長寿命化を図ることができる。さらに、各部の集積化により、走査線駆動回路全体の低コスト化や省スペース化等が図られることとなる。
【0018】
次に、本発明に係る電気光学パネルは、複数の走査線と、複数のデータ線と、前記走査線と前記データ線との交差に対応して配置されたスイッチング素子と画素電極とを有する画像表示部と、入力信号をクロック信号に従ってシフトして、論理レベルの一方であって前記クロック信号の1周期分のパルスが前記クロック信号の半周期ずつ順次シフトした関係にある低電圧サンプリング信号C1〜Cn(nは4以上の整数)を生成するシフトレジスタ部と、前記低電圧サンプリング信号C1〜Cnのうち、Cj、Cj+1、Cj+3(jは1以上(n−3)以下の整数)を高電圧サンプリング信号Sjに変換するレベル変換部と、最大振幅が前記高電圧サンプリング信号の高論理レベルまでの範囲にある画像信号を前記高電圧サンプリング信号に基づいてサンプリングし、サンプリングして得られた信号を前記データ線に供給するサンプリング部と、前記各走査線を駆動するための各走査線信号を生成する走査線駆動回路とを備え、前記レベル変換部は、第1および第2キャパシタと、制御入力端の論理レベルが前記一方である場合に一方および他方の端子間がオン状態となり、前記論理レベルの他方である場合にオフ状態となる第1乃至第5スイッチと、制御入力端の論理レベルが前記一方である場合に一方および他方の端子間がオフ状態となり、前記他方である場合にオン状態となる第6および第7スイッチと、を備え、前記低電圧サンプリング信号Cjが、前記第1乃至第4スイッチ、前記第6および第7スイッチにおける制御入力端にそれぞれ供給され、前記低電圧サンプリング信号Cj+1が、前記第3、第4および第6スイッチにおける一方の端子にそれぞれ供給され、前記低電圧サンプリング信号Cj+3が、前記第5スイッチにおける制御入力端に供給され、前記第4スイッチにおける他方の端子が、前記高電圧サンプリング信号Sjの出力端である前記第1キャパシタにおける一方の端子と、前記第5スイッチにおける一方の端子とにそれぞれ接続され、前記第1キャパシタにおける他方の端子が、前記第2および第7スイッチにおける一方の端子にそれぞれ接続され、前記第7スイッチの他方の端子が、前記第3スイッチにおける他方の端子、および、前記第2キャパシタにおける一方の端子にそれぞれ接続され、前記第2キャパシタにおける他方の端子が、前記第1スイッチにおける一方の端子、および、前記第6スイッチにおける他方の端子にそれぞれ接続され、前記第1、第2および第5スイッチにおける他方の端子が、前記論理レベルの他方を供給する給電線に接続されたことを特徴とする。
【0019】
この発明によれば、最も高速で動作するシフトレジスタ部を前記高電圧サンプリング信号の高論理レベルよりも低い低電源電圧によって動作させることができる。
【0020】
ここで、前記走査線駆動回路は、前記画像信号の最大振幅よりも高電圧の電源電圧の給電をうけて動作するシフトレジスタを備え、当該シフトレジスタの出力信号に基づいて前記走査線信号を生成することが好ましい。この場合には、データ線駆動回路のシフトレジスタ部だけが低電源電圧で動作することになるが、当該シフトレジスタ部の駆動周波数は、走査線駆動回路の駆動周波数として高いので、電気光学パネル全体として見たときの寿命を大幅に延ばすことができるとともに、走査線駆動回路にはレベル変換部を設けなくてもよいから、構成を簡易なものにすることができる。
【0021】
ここで、前記スイッチング素子、前記シフトレジスタ部、前記レベル変換部、前記サンプリング部、および前記走査線駆動回路は、同一基板上に同一プロセスで形成された薄膜トランジスタにより構成されることが好ましい。
【0022】
この場合、電気光学パネルを構成する薄膜トランジスタのうち最も高速で動作するのは、シフトレジスタ部に用いられるものであるが、シフトレジスタ部は低電源電圧で動作するので、そこに用いられる薄膜トランジスタの寿命を延ばすことができる。したがって、従来は、画像表示部や走査線駆動回路が正常に動作するにもかかわらず、シフトレジスタ部の誤動作によって寿命が決まっていた電気光学パネルの寿命を大幅に延ばすことができる。
【0023】
くわえて、本発明における電子機器は、この電気光学パネルを表示手段に用いたことを特徴としている。
【0024】
【発明の実施の形態】
<1.第1実施形態>
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0025】
<1−1:電気光学装置の全体構成>
まず、第1実施形態にかかる駆動回路が適用される電気光学装置の一例として、液晶表示装置を例示して説明する。図1は、その液晶表示装置の電気的構成を示すブロック図である。この図に示されるように、液晶表示装置は、液晶表示パネル100と、タイミングジェネレータ200と、画像信号処理回路300とを備えている。このうち、タイミングジェネレータ200は、各部で使用されるタイミング信号(必要に応じて後述する)を出力するものである。また、画像信号処理回路300内部における相展開回路302は、一系統の画像信号VIDを入力すると、これをN相(図においてはN=6)の画像信号に展開して並列に出力するものであって、画像信号をN個並列の信号に変換する直並列変換回路に相当する。ここで、画像信号をN相に展開する理由は、後述するサンプリング回路によって、スイッチング素子として機能する各TFTのソース電極における画像信号の印加時間を長くして、サンプル&ホールド時間および充放電時間を十分に確保するためである。
【0026】
一方、増幅・反転回路304は、相展開された画像信号のうち、反転が必要となるものを反転させ、この後、適宜、増幅して画像信号VID1〜VID6として液晶表示パネル100に並列的に供給するものである。なお、反転するか否かについては、一般には、データ信号の印加方式が▲1▼走査線単位の極性反転であるか、▲2▼データ信号線単位の極性反転であるか、▲3▼画素単位の極性反転であるかに応じて定められ、その反転周期は、1水平走査期間またはドットクロック周期に設定される。
【0027】
また、相展開された画像信号VID1〜VID6の液晶表示パネル100への供給タイミングは、図1に示される液晶表示装置では同時とするが、ドットクロックに同期して順次ずらしてもよく、この場合は後述するサンプリング回路にてN相の画像信号を順次サンプリングすればよい。
【0028】
<1−2:液晶表示パネルの構成>
次に、液晶表示パネル100の概略構成について図2および図3を参照して説明する。ここで、図2は、液晶表示パネル100の構造を説明するための斜視図であり、図3は、液晶表示パネル100の構造を説明するための一部断面図である。これらの図に示されるように、液晶表示パネル100は、画素電極118等が形成されたガラスや半導体等の素子基板101と、共通電極108等が形成されたガラス等の透明な対向基板102とが、スペーサSが混入されたシール材105によって一定の間隙を保って、互いに電極形成面が対向するように貼り合わせられ、この間隙に液晶106が封入された構造となっている。
【0029】
また、素子基板101の対向面であってシール材105の外側には、後述する走査線側駆動回路130、サンプリング回路140、及びデータ線側駆動回路150等の駆動回路群120が形成されている。また、そこには、外部接続電極(図示省略)が形成されて、タイミングジェネレータ200および画像信号処理回路300からの各種信号を入力するようになっている。なお、対向基板102の共通電極108は、素子基板101との貼合部分における4隅のうち、少なくとも1箇所において設けられた導通材によって、素子基板101の外部接続電極から延在する配線と電気的に導通が図られている。
【0030】
ほかに、対向基板102には、液晶表示パネル100の用途に応じて、例えば、第1に、ストライプ状や、モザイク状、トライアングル状等に配列したカラーフィルタが設けられ、第2に、例えば、クロムやニッケルなどの金属材料や、カーボンやチタンなどをフォトレジストに分散した樹脂ブラックなどのブラックマトリクスが設けられ、第3に、液晶表示パネル100に光を照射するバックライトが設けられる。特に色光変調の用途の場合には、カラーフィルタは形成されずにブラックマトリクスが対向基板102に設けられる。くわえて、素子基板101および対向基板102の対向面には、それぞれ所定の方向にラビング処理された配向膜などが設けられる一方、その各背面側には貼付け又は間隙をもって配向方向に応じた偏光板103、104がそれぞれ設けられる。ただし、液晶108として、高分子中に微小粒として分散させた高分子分散型液晶を用いれば、前述の配向膜、偏光板等が不要となる結果、光利用効率が高まるので、高輝度化や低消費電力化などの点において有利である。
【0031】
さて、説明を再び図1に戻して、液晶表示パネル100の電気的構成について説明する。液晶表示パネル100の素子基板101にあっては、画像表示領域AAが形成されている。そこには、図においてX方向に沿って平行に複数本の走査線112が配列して形成され、また、これと直交するY方向に沿って平行に複数本のデータ線114が形成されている。そして、これらの走査線112とデータ線114との各交点においては、TFT116のゲート電極が走査線112に接続される一方、TFT116のソース電極がデータ線114に接続されるとともに、TFT116のドレイン電極が画素電極118に接続されている。そして、各画素は、画素電極118と、対向基板102に形成された共通電極108と、これら両電極間に挟持された液晶106とによって構成される結果、走査線112とデータ線114との各交点に対応して、マトリクス状に配列することとなる。なお、このほかに、各画素毎に、蓄積容量(図示省略)が設けられて、電気的にみて画素電極118と共通電極108とに挟持された液晶層に対して並列となっている。
【0032】
次に、駆動回路群120は、走査線側駆動回路130、サンプリング回路140、およびデータ線側駆動回路150からなり、上述のように素子基板101上に形成されるものである。これらの回路は、画素のTFTと共通の製造プロセス(例えば、高温ポリシリコンプロセス)を用いてTFTで形成されている。これにより、集積化や製造コストの面などにおいて有利となる。なお、この例では、データ線側駆動回路150とサンプリング回路140を別体として説明するが、両者を一体としてデータ線114を駆動するデータ線駆動回路と捉えてもよいことは勿論である。
【0033】
さて、走査線側駆動回路130は、シフトレジスタを有し、タイミングジェネレータ200からのクロック信号YCLKや、その反転クロック信号YCLKinv、転送開始パルスDY等に基づいて、高電圧走査線信号Y1、Y2、…、Ymを各走査線112に対して順次出力するものであり、シフトレジスタにおいてクロック信号に応じてパルスDYをシフトするタイミングで高電圧走査線信号Y1、Y2、…、Ymを出力する。
【0034】
一方、サンプリング回路140は、6本のデータ線114を1群とし、これらの群に属するデータ線114に対し、高電圧サンプリング信号S1〜Snにしたがって画像信号VID1〜VID6をぞれぞれサンプリングして供給するものである。詳細には、サンプリング回路140には、TFTからなるスイッチ141が各データ線114の一端に設けられるとともに、各スイッチ141のソース電極は、画像信号VID1〜VID6のいずれかが供給される信号線に接続され、また、各スイッチ141のドレイン電極は1本のデータ線114に接続されている。さらに、各群に属するデータ線114に接続された各スイッチ141のゲート電極は、その群に対応して高電圧サンプリング信号S1〜Snが供給される信号線のいずれかに接続されている。前述したように画像信号VID1〜VID6は同時に供給されるので、サンプリング信号S1により同時にサンプリングされることとなる。なお、画像信号VID1〜VID6が順次ずれたタイミングで供給される場合には、高電圧サンプリング信号S1、S2、…、Snにより順次サンプリングされることとなる。
【0035】
ここで、画像信号VID1〜VID6と高電圧サンプリング信号S1、S2…とのレベル関係は以下のように設定してある。すなわち、スイッチ141を構成するTFTにおいて支障なくサンプリングが行えるように高電圧サンプリング信号S1、S2、…、Snの高論理レベルは、画像信号VID1〜VID6の最大振幅レベルよりも高電圧にしてある。また、画像表示領域AAに設けられたTFT116においてもサンプリングされた画像信号を支障なく画素に取り込めるように、高電圧走査線信号Y1、Y2、…、Ymの高論理レベルは、画像信号VID1〜VID6の最大振幅レベルよりも高電圧にしてある。
【0036】
また、データ線側駆動回路150は、タイミングジェネレータ200からのクロック信号XCLKや、その反転クロック信号XCLKinv、転送開始パルスDX等に基づいて、高電圧サンプリング信号S1〜Snを順次出力するものである。なお、データ線側駆動回路150の詳細については後述する。
【0037】
<1−3:TFTの特性>
次に、TFTの特性について説明する。図4は、PチャネルTFTにおける閾値電圧の時間変化を示すグラフである。この図において縦軸は閾値電圧のエンハンスメント側へのシフト量、横軸は電圧印加時間である。この試験にあっては、ドレイン電極とソース電極に同一電圧を印加し、ゲート電圧を変化させて行った。V1〜V5は、ゲート・ソース間の電圧であって、V1<V2<V3<V4<V5の関係にある。
【0038】
この図から明らかなように、印加電圧時間が長くなると、PチャネルTFTの閾値電圧のシフト量が大きくなる。また、その程度はゲート・ソース間の電圧が大きくなる程、大きくなる。閾値電圧がエンハンスメント側にシフトするということは、TFTの動作速度が遅くなることを意味する。
【0039】
閾値電圧がシフトする理由については、ホットキャリア現象によるゲート酸化膜の正電荷の捕獲が考えられる。これは電流の担い手であるキャリアによって、ゲート酸化膜の界面に、キャリア自身を捕らえる場所(界面準位)が徐々に形成されていくと説明することができる。このホットキャリア現象には、チャネルホットキャリア注入現象やドレインアバレンシェホットキャリア注入現象等で説明がされる。
【0040】
まず、チャネルホットキャリア注入現象について図5を参照して説明する。図5に示すようにソース電極に対してゲート電極及びドレイン電極を低電位に設定し、かつ、ゲート電圧Vgがドレイン電圧Vdより大きな場合を考える。チャネル内のホールはソース電極からドレイン電極に移動するが、このときのチャネル方向の電界によりゲート酸化膜との界面のエネルギー障壁より大きなエネルギーを得たホットホールを一部で発生する。このホットホールが高いゲート電位に引っ張られ、ゲート酸化膜に注入される現象である。これにより、ゲート酸化膜が劣化し、しきい値電圧が変化する。
【0041】
また、ドレインアバレンシュホットキャリア注入現象について図6を参照して説明する。この現象は、ドレイン電圧Vdがゲート電圧Vgよりも高い場合に発生する。この場合には、ドレイン近傍においてホールが高いドレイン電圧により加速され、格子の衝突電離またはアバランシュ倍増によって電子−正孔対を発生し、それらがホットとなりゲート酸化膜中に注入される。これによってゲート酸化膜が劣化する。
【0042】
さらに、本願発明者らは、各種の実験を行って、TFTの閾値電圧のシフト量が、印加電圧と貫通電流との積と高い相関関係があることを見いだした。貫通電流はドレイン・ソース間を流れる電流であるから、TFTを用いて構成した論理回路において、単位時間当たりの論理レベルの反転回数が多い程、その値が大きくなる。これを、データ線側駆動回路150と走査線側駆動回路130に当てはめて考えると、そのクロック周波数が高い程、TFTの寿命が短いことになる。上述した相展開回路302によって、データ線側駆動回路150のクロック周波数を下げることができるが、それでも走査線側駆動回路130のクロック周波数に比較すると遙かに高い。したがって、長時間使用すると、最も高速で動作するデータ線側駆動回路150が最初に誤動作を起こすことになり、解決すべき課題の欄で説明した現実の問題点と一致する。
【0043】
本実施形態は、このような知見に基づいてなされたものであり、高速で動作する部分については、TFTの劣化原因の一つである印加電圧を下げることによって閾値電圧のシフトを抑圧し、液晶表示パネル100の長寿命化を図るものである。
【0044】
<1−4:データ線側駆動回路>
次に、データ線側駆動回路150について説明する。図7はデータ線側駆動回路の全体構成を示すブロック図であり、図8はデータ線側駆動回路の各種の信号波形を示すタイミングチャートである。図7に示すように、データ線側駆動回路150は、Xシフトレジスタ1510、論理演算部1520およびレベルシフト部1530を備えている。このうち、Xシフトレジスタ1510および論理演算部1520には、第1高電位側電圧VGG1(低電源電圧)と低電位側電圧VSSとが給電される一方、レベルシフト部1520には第2高電位側電圧VGG2(高電源電圧)と低電位側電圧VSSとが給電されるようになっている。ここで、低電位側電圧VSSの値は0Vに設定してある。また、第1高電位側電圧VGG1の値は、Xシフトレジスタ1510の寿命が十分長くなるように設定されており、例えば、3V〜5Vである。一方、第2高電位電圧VGG2の値は、サンプリング回路140のスイッチ141たるTFTを駆動できるように設定されており、例えば、15Vである。すなわち、VGG1<VGG2となるように設定してある。
【0045】
Xシフトレジスタ1510は、図8に示す転送開始パルスDXをクロック信号XCLKおよび反転クロック信号XCLKinvに従ってシフトしてn+1個のシフトパルスC1、C2、…、Cn+1を順次生成する。これらのシフトパルスC1、C2、…、Cn+1の1周期はクロック信号XCLKの1周期と一致し、また、隣り合うシフトパルス同士のアクティブ期間は、クロック信号XCLKの1/2周期だけ重複する。ここで、Xシフトレジスタ1510は、第1高電位側電圧VGG1と低電位側電圧VSSとが給電されているから、シフトパルスC1、C2、…、Cn+1の論理レベルは、図8に示すようにLレベルがVSSとなる一方、HレベルがVGG1となる。
【0046】
次に、論理演算部1520は、n個のNAND回路A1〜Anとn個のインバータB1〜Bnを備えている。第j番目のNAND回路Ajは、第j番目のシフトパルスCjと第j+1番目のシフトパルスCj+1との論理積の反転を出力し、第j番目のインバータBjはこれを反転して低電圧サンプリング信号Sj'として出力するようになっている。これにより、アクティブ期間の重複を無くすことができる。また、論理演算部1520も、Xシフトレジスタ1510と同様に第1高電位側電圧VGG1と低電位側電圧VSSとが給電されているから、低電圧サンプリング信号S1'、S2'、…Sn'の論理レベルは、図8に示すようにLレベルがVSSとなる一方、HレベルがVGG1となる。
【0047】
次に、レベルシフト部1530は、n個のレベルシフトユニットU1〜Unを備えている。各レベルシフトユニットU1〜Unの構成については後述するが、これらによって、低電圧サンプリング信号S1'、S2'、…、Sn'が高電圧サンプリング信号S1、S2、…、Snに変換される。高電圧サンプリング信号S1、S2、…、Snの論理レベルは、図8に示すようにLレベルがVSSとなる一方、HレベルがVGG2となる。
【0048】
このように、データ線側駆動回路150にあっては、画像信号VIDをサンプリングするために必要とされる高電圧サンプリング信号S1〜Snを生成するのに、まず、第1高電位側電圧VGG1をXシフトレジスタ1510と論理演算部1520に給電して低電圧サンプリング信号S1'〜Sn'を生成し、この後、第2高電位側電圧VGG2をレベルシフト部1530に給電してLレベルがVSS、HレベルがVGG2となる高電圧サンプリング信号S1〜Snを生成した。換言すれば、レベルシフト部1530によってレベル変換を行うことにより、Xシフトレジスタ1510および論理演算部1520を、高電圧サンプリング信号S1〜Snの高論理レベルVGG2より低電圧の第1高電位側電圧VGG1を用いて動作させ、これによりTFT特性の経年変化を抑圧するようにしてある。
【0049】
<1−4−1:Xシフトレジスタ>
次に、Xシフトレジスタの詳細な構成について説明する。本実施形態の液晶表示装置は、必要に応じて画像の上下あるいは左右を反転して表示させる反転表示モードを有している。Xシフトレジスタ1510は反転表示モードに対応できるようになっている。Xシフトレジスタ1510の構成例については各種のものが考えられるが、ここでは、2つの態様について説明する。
【0050】
図9は第1の態様に係るXシフトレジスタの主要構成を示す回路図である。まず、データ線側駆動回路150において、高電圧サンプリング信号をS1、S2、…、Snという順番で出力する場合、転送開始パルスDX(R)を右(R)方向に転送する一方、高電圧サンプリング信号をSn、Sn−1、…、S1という順番で出力する場合、転送開始パルスDX(L)を左(L)方向に転送する。
図9に示されるように、Xシフトレジスタ1510は、n+2段の単位回路を縦続して接続した構成となっている。このうち、各段の単位回路は、制御信号がHレベルの場合に入力信号を反転するクロックドインバータ1511と、制御信号XRがアクティブの場合に入力信号を反転するインバータ1514と、制御信号がHレベルの場合にインバータ1514による反転信号を反転するクロックドインバータ1512と、制御信号XLがアクティブの場合に入力信号を反転するインバータ1513とからなる。これらのクロックドインバータ1511、1512およびインバータ1513、1514は、PチャネルおよびNチャネル型のTFTを組み合わせて構成される。
【0051】
ここで、制御信号XRは、転送開始パルスDX(R)をR方向に転送する場合にアクティブとなる信号であり、また、制御信号XLは、転送開始パルスDX(L)をL方向に転送する場合にアクティブとなる信号である。すなわち、制御信号XL、XRは互いに排他的にアクティブとなる信号である。
【0052】
また、クロック信号XCLKは、左から右方向にみた場合における奇数段目の単位回路のクロックドインバータ1511および偶数段目の単位回路のクロックドインバータ1512に、各制御信号としてそれぞれ供給される。また、反転クロック信号XCLKinvは、偶数段目の単位回路のクロックドインバータ1511および奇数段目の単位回路のクロックドインバータ1512に、各制御信号としてそれぞれ供給される。すなわち、偶数段目の単位回路におけるクロックドインバータ1511、1512の各制御信号は、奇数段目の単位回路におけるクロックドインバータ1511、1512の各制御信号を入れ替えた関係にある。
【0053】
このような構成において、転送開始パルスDX(R)をR方向に転送する場合には、インバータ1514の出力がクロックドインバータ1512の入力に帰還される一方、クロックドインバータ1512の出力がインバータ1514の入力に帰還される構成となっており、各段のインバータ1514の出力信号がシフトパルスC1、C2、…、Cn+1として出力される。一方、転送開始パルスDX(L)をL方向に転送する場合には、インバータ1513の出力がクロックドインバータ1511の入力に帰還される一方、クロックドインバータ1511の出力がインバータ1513の入力に帰還される構成となっており、各段のインバータ1513の出力信号がシフトパルスCn+1、Cn、…、C1として出力される。
【0054】
次に、第2の態様について説明する。図10は、第2の態様に係るXシフトレジスタの主要構成を示す回路図である。この図に示すようにXシフトレジスタ1510は、制御信号XRが供給されるn+1個のトランスミッションゲート1501と、制御信号XRが供給されるn+1個のトランスミッションゲート1502を備えている。トランスミッションゲート1501は制御信号XRのアクティブ期間にのみオン状態となる一方、トランスミッションゲート1502は制御信号XLのアクティブ期間にのみオン状態となる。したがって、R方向に転送開始パルスDX(R)を転送する場合には、図中実線の矢印で示す経路で転送開始パルスDX(R)が転送される一方、L方向に転送開始パルスDX(L)を転送する場合には、図中点線の矢印で示す経路で転送開始パルスDX(L)が転送されることになる。
【0055】
また、Xシフトレジスタ1510は、n+1個の単位回路を備えており、各単位回路はクロックドインバータ1503,1504と、インバータ1505,1506を備えている。そして奇数段の単位回路にあっては、クロックドインバータ1503に反転クロック信号XCLKinvが供給されるとともにクロックドインバータ1504にクロック信号XCLKが供給されるようになっている。一方、偶数段の単位回路にあっては、クロックドインバータ1503にクロック信号XCLKが供給されるとともにクロックドインバータ1504に反転クロック信号XCLKinvが供給されるようになっている。
【0056】
これにより、シフトパルスC1、C2、…、Cn+1は、隣り合うシフトパルス同士でアクティブ期間がクロック信号XCLKの1/2周期だけ重複することになる。
【0057】
<1−4−2:レベルシフトユニット>
次に、レベルシフト部1530を構成するレベルシフトユニットU1〜Unについて詳細に説明する。各レベルシフトユニットU1〜Unは同一の構成であり、それらの構成例については各種のものが考えられるが、ここでは、2つの態様について説明する。
【0058】
まず、第1の態様に係るレベルシフトユニットは、カレントミラータイプのものである。図11は第1の態様に係るレベルシフトユニットの主要構成を示す回路図である。なお、このレベルシフトユニットUaは、j番目のユニットでありそこにはj番目の低電圧サンプリング信号Sj'が供給されるようになっている。
【0059】
この図に示すようにカレントミラータイプのレベルシフトユニットUaは、第2高電位側電圧VGG2が給電される高電位側電源ラインLaと低電位側電圧VSSが給電される低電位側電源ラインLbを備えている。そして、高電位側電源ラインLaと低電位側電源ラインLbとの間に直列接続されたPチャネルTFTP1とNチャネルTFTN1とによって、電圧Vc(=(VGG2+VSS)/2)を生成し、これをPチャネルTFTP2,P6およびNチャネルTFTN8の各ゲートに供給し、これによりカレントミラー回路が構成されている。また、PチャネルTFTP3,P5およびNチャネルTFTN3,N5は差動増幅回路を構成しており、さらにPチャネルTFTP7およびNチャネルTFTN7はインバータを構成している。
【0060】
以上の構成において、低電圧サンプリング信号Sj’がLレベル(=VSS)になると、NチャネルTFTN2,N5がオフ状態となる一方、PチャネルTFTP5がオン状態となる。したがって、PチャネルTFTP7およびNチャネルTFTN7のゲート電圧がHレベル(=VGG2)となり、Lレベル(=VSS)の高電圧サンプリング信号Sjがサンプリング部140に供給される。一方、低電圧サンプリング信号Sj'がHレベル(=VGG1)になると、NチャネルTFTN2,N5がオン状態となる一方、PチャネルTFTP5がオフ状態となる。したがって、PチャネルTFTP7およびNチャネルTFTN7のゲート電圧がLレベル(=VSS)となり、Hレベル(=VGG2)の高電圧サンプリング信号Sjがサンプリング部140に供給される。
【0061】
これにより、低電位側電圧VSSと第1高電位側電圧VGG1との間で振れる低電圧サンプリング信号Sj'が、低電位側電圧VSSと第2高電位側電圧VGG2との間で振れる高電圧サンプリング信号Sjに変換される。カレントミラータイプのレベルシフトユニットUaは、ゲート数が多く消費電力が大ききものの、高速動作が可能であるといった利点がある。
【0062】
次に、第2の態様に係るレベルシフトユニットは、フリップフロップタイプのものである。図12は第2の態様に係るレベルシフトユニットの主要構成を示す回路図である。なお、このレベルシフトユニットUbは、j番目のユニットでありそこにはj番目の低電圧サンプリング信号Sj'が供給されるようになっている。
【0063】
この図に示すようにフリップフロップタイプのレベルシフトユニットUbは、低電圧サンプリング信号Sj'とこれをインバータINV1によって反転した信号とにしたがって、第2高位側電圧VGG2または低位側電圧VSSのいずれかで安定する構成となっており、このうち、信号線▲2▼の電位がインバータを介して高電圧サンプリング信号Sjとして取り出されるようになっている。
【0064】
具体的には、低電圧サンプリング信号Sj'がHレベル(=VGG1)の場合には、PチャネルTFTP11がオン状態となるので、信号線▲1▼の電位が低位側電圧VSSとなるとともに、これにより、NチャネルTFTN14がオン状態となる。また、低電圧サンプリング信号Sj'がインバータINV1で反転される結果、NチャネルTFTN2のゲートがLレベルとなるため、当該トランジスタN2もオンするので、信号線▲2▼の電位が第2高位側電圧VGG2となる。この結果、NチャネルTFTN13がオフ状態となり、また、低電圧サンプリング信号Sj'がHレベル(=VGG1)であるため、NチャネルTFTN11もオフ状態になるので、信号線▲1▼の電位は、第2高位側電圧VGG2から完全に切り離されて、低位側電圧VSSで安定する。一方、低電圧サンプリング信号Sj'がインバータINV1で反転される結果、PチャネルTFTP12のゲートがLレベルとなるため、当該トランジスタP12がオフ状態となるので、信号線▲2▼の電位は、低位側電圧VSSから完全に切り離されて、第2高位側電圧VGG2で安定することとなる。
【0065】
反対に、低電圧サンプリング信号Sj'がLレベルであれば、各TFTP11、P12、N11〜N14のオン・オフがすべて逆になるので、信号線▲1▼の電位は第2高位側電圧VGG2で安定する一方、信号線▲2▼の電位は低位側電圧VSSで安定することとなる。そして、信号線▲2▼の電位はインバータINV2,INV3を介して高電圧サンプリング信号Sjとして取り出される。
【0066】
これにより、低電位側電圧VSSと第1高電位側電圧VGG1との間で振れる低電圧サンプリング信号Sj'が、低電位側電圧VSSと第2高電位側電圧VGG2との間で振れる高電圧サンプリング信号Sjに変換される。フリップフロップタイプのレベルシフトユニットUbは、前述したレベルシフトタイプのものに比較して動作速度が遅いものの、ゲート数が少なくかつ低消費電力であるといった利点がある。
【0067】
このように、レベルシフトユニットUa,Ubは、低電圧サンプリング信号S1'〜Sn'をレベル変換して高電圧サンプリング信号S1〜Snを生成した。この場合、高電圧サンプリング信号S1〜Snの高論理レベルは、サンプリング回路140において画像信号VID1〜VID6を支障なくサンプリングできるように設定されている。この例のように、サンプリング回路140をTFT141を用いて構成する場合には、画像信号VID1〜VID6の最大振幅レベルよりも高電圧サンプリング信号S1〜Snの高論理レベルが高いことが必要である。仮に、画像信号VID1〜VID6の最大振幅レベルが第1高電位側電圧VGG1より低ければ、レベルシフト部1510を用いる必要がない。換言すれば、画像信号画像信号VID1〜VID6の最大振幅レベルは、第1高電位側電圧VSS1から第2高電位側電圧VGG2(高電圧サンプリング信号の高論理レベル)までの範囲内にある。
【0068】
<1−5:走査線駆動回路>
次に、走査線側駆動回路130について説明する。図13は走査線側駆動回路の全体構成を示すブロック図であり、図14は走査線側駆動回路の各種の信号波形を示すタイミングチャートである。走査線側駆動回路130の基本構成は、上述したデータ線側駆動回路150と同様である。
【0069】
図13に示すように、走査線側駆動回路130は、Yシフトレジスタ1310、論理演算部1320およびレベルシフト部1330を備えている。このうち、Yシフトレジスタ1310はXシフトレジスタ1510に、論理演算部1320は論理演算部1520に、レベルシフト部1530はレベルシフト部1330に各々対応しており、データ線側駆動回路150がn個の高電圧サンプリング信号S1〜Snを生成するのに対し、走査線側駆動回路130はm個の高電圧走査線信号Y1〜Ymを生成する。
【0070】
Yシフトレジスタ1310および論理演算部1320には、第1高電位側電圧VGG1と低電位側電圧VSSとが給電される一方、レベルシフト部1320には第2高電位側電圧VGG2と低電位側電圧VSSとが給電されるようになっている。
【0071】
Yシフトレジスタ1310の単位回路は、図9または図10に示すものと同じである。Yシフトレジスタ1310は、図14に示す転送開始パルスDYをクロック信号YCLKおよび反転クロック信号YCLKinvに従ってシフトしてm+1個のシフトパルスC1、C2、…、Cm+1を順次生成する。シフトパルスC1、C2、…、Cm+1の論理レベルは、図14に示すようにLレベルがVSSとなる一方、HレベルがVGG1となる。
【0072】
また、論理演算部1320は上述した論理演算部1520と同様に構成されており、単位回路の段数のみが相違する。この論理演算部1320には第1高電位側電圧VGG1と低電位側電圧VSSとが給電されるので、その出力信号たる低電圧走査線信号Y1'〜Ym'は、図14に示すようにLレベルがVSSとなる一方、HレベルがVGG1となる。
【0073】
次に、レベルシフト部1330はm個のレベルシフトユニットU1〜Umを備えており、各レベルユニットは図11または図12に示すものと同様に構成されている。したがって、レベルシフト部1330によって、低電圧走査線信号Y1'、Y2'、…、Yn'が高電圧走査線信号Y1、Y2、…、Ymに変換される。高電圧走査線信号Y1、Y2、…、Ymの論理レベルは、図14に示すようにLレベルがVSSとなる一方、HレベルがVGG2となる。
【0074】
このように、走査線側駆動回路130にあっては、画素を構成するTFT116において画像信号VIDを支障なく取り込めるように高電圧走査線信号Y1〜Ymを生成するのに、まず、第1高電位側電圧VGG1をYシフトレジスタ1310と論理演算部1320に給電して低電圧走査線信号Y1'〜Ym'を生成し、この後、第2高電位側電圧VGG2をレベルシフト部1330に給電してLレベルがVSS、HレベルがVGG2となる高電圧走査線信号Y1〜Ymを生成した。換言すれば、レベルシフト部1330によってレベル変換を行うことにより、Yシフトレジスタ1310および論理演算部1320を、高電圧走査線信号Y1〜Ymの高論理レベルVGG2より低電圧の第1高電位側電圧VGG1を用いて動作させている。これにより、走査線側駆動回路130を構成するTFT素子の劣化を抑えることができ、長時間使用しても誤動作しない駆動回路を提供することができる。
【0075】
<1−6:液晶表示パネルの全体動作>
次に、上述した構成にかかる液晶表示パネルの動作について説明する。まず、走査線側駆動回路130において、垂直走査期間の最初に転送開始パルスDYが供給される。この転送開始パルスDYは、走査線側駆動回路130において、クロック信号YCLKおよびその反転クロック信号YCLKinvによって順次シフトされて、各走査線112に出力される。これにより、複数の走査線112が1本ずつ線順次に選択されることとなる。
【0076】
一方、データ線線側駆動回路150において、転送開始パルスDXが供給されると、上述のように、転送開始パルスDXは、データ線側駆動回路150において、クロック信号XCLKおよびその反転クロック信号XCLKinvの半周期毎に順次シフトされて、サンプリング信号S1〜Snとして出力される。
【0077】
ここで、サンプリング信号S1が出力されると、この群に属する6本のデータ線114に、それぞれ画像信号VID1〜VID6がサンプリングされて、これらの画像信号VID1〜VID6が現時点で選択された走査線と交差する6個の画素に、当該TFT116によってそれぞれ書き込まれることとなる。この後、サンプリング信号S2が出力されると、今度は、次の6本のデータ線114にそれぞれ画像信号VID1〜VID6がサンプリングされ、これらの画像信号VID1〜VID6がその時点で選択された走査線と交差する6個の画素に、当該TFT116によってそれぞれ書き込まれることとなる。
【0078】
以下同様にして、サンプリング信号S3、S4、……、Snが順次出力されると、各サンプリング信号に属する6本のデータ線114にそれぞれ画像信号VID1〜VID6がサンプリングされ、これらの画像信号VID1〜VID6がその時点で選択された走査線と交差する6個の画素にそれぞれ書き込まれることとなる。そして、この後、次の走査線が選択され、再び、データ線114がプリチャージされ、サンプリング信号S1〜Snが順次出力されて、同様な書き込みが繰り返し実行されることとなる。
【0079】
このような駆動方式では、サンプリング回路140におけるスイッチ141を駆動制御するデータ線側駆動回路150の段数が、各データ線114を点順次で駆動する方式と比較して1/6に低減される。さらに、データ線側駆動回路150に供給すべきクロック信号YXCLKおよびその反転クロック信号YXCLKinvの周波数も各データ線114を点順次で駆動する方式と比較すると1/6で済むので、段数の低減化と併せて低消費電力化も図られることとなる。
さらに、液晶表示パネル100において最も高い周波数のクロック信号XCLKおよびその反転クロック信号XCLKinvが供給されるデータ線側駆動回路150にあっては、Xシフトレジスタ1510を比較的低い電圧で動作させる一方、レベルシフト部1530において低電圧サンプリング信号S1'〜Sn'のレベルを変換して高電圧サンプリング信号S1〜Snを生成したので、大振幅の画像信号をサンプリング部140おいて支障無くサンプリングしつつ、データ線側駆動回路150を構成するTFT素子の劣化を防止することができる。また、走査線側駆動回路130にあってもYシフトレジスタ1310の後段にレベルシフト部1320を設けたので、走査線側駆動回路130を構成するTFT素子の劣化を防止することができる。この結果、長時間使用しても誤動作しないデータ線側駆動回路150と走査線駆動回路130を実現でき、液晶表示パネル100の寿命を大幅に長くすることができる。
【0080】
<1−7:第1実施形態の変形例>
上述した液晶表示装置にあっては、データ側駆動回路150のみならず、走査線側駆動回路130においても、論理演算部1320の後段にシフトレジスタ部1330を設けて低電圧走査線信号Y1'〜Ym'を高電圧走査線信号Y1〜Ymに変換した。しかしながら、レベルシフト部1330は、各低電圧走査線信号Y1'〜Ym'に対応してm個のレベルシフトユニットU1〜Umを設ける必要があるので、走査線側駆動回路130の占有面積が大きくなる。一方、データ線側駆動回路150のXクロック信号XCLKの周波数は、走査線駆動回路130のYクロック信号YCLKに比較して遙かに高い。したがって、同一の電源電圧で動作させるとすれば、データ側駆動回路150の方が走査線側駆動回路130よりも速く誤動作を起こす。このため、データ側駆動回路150のみにレベルシフト部1530を設け、走査線側駆動回路130ではレベルシフト部1330を削除して、Yシフトレジスタ1310、論理演算部1320を第2高電位側電圧VGG2で動作させるようにしてもよい。この場合には、走査線側駆動回路130の回路規模が大きくなく、しかもデータ線側駆動回路150の長寿命化を図ることができるので、液晶表示パネル100のコスト上昇を抑制しつつ、その寿命を大幅に延ばすことができる。
【0081】
<2.第2実施形態>
第2実施形態に係る液晶表示装置の全体構成は図1に示す第1実施形態の液晶表示装置と同様であり、データ線側駆動回路の詳細な構成が第1実施形態と相違する。
【0082】
図15は第2実施形態に用いるデータ線側駆動回路のブロック図である。この図に示すようにデータ線側駆動回路150'は、Xシフトレジスタ1540とレベルシフト部1550とを備えている。
【0083】
Xシフトレジスタ1550の基本構成は、図9または10に示す第1実施形態のものと同様であり、第1高電位側電圧VGG1と低電位側電圧VSSとが給電されている。一方、第1実施形態のXシフトレジスタ1510がn+1個のシフトパルスC1〜Cn+1を生成するのに対し、第2実施形態のXシフトレジスタ1540はn+3個のシフトパルスを生成する。このため、Xシフトレジスタ1540は単位回路の段数がXシフトレジスタ1510と比較して2段だけ多い。
【0084】
また、レベルシフト部1550はn個のレベルシフトユニットU1'〜Un'を備えている。これらのレベルシフトユニットU1'〜Un'は、後述するようにチャージポンプ回路を用いて構成されており、第2高電位側電圧VSS2や第1高電位側電圧VSS1が給電されない点で、第1実施形態のレベルシフト部1530と相違している。
【0085】
図16はレベルシフトユニットの回路図であり、図17はそのタイミングチャートである。なお、各レベルシフトユニットは同様に構成されているので、ここでは、j番目のレベルシフトユニットUj'について説明する。
【0086】
図に示すようにレベルシフトユニットUj'は、NチャネルTFTN20〜N24、PチャネルTFTP20,P21、およびキャパシタンスCP1,CP2を備えている。そして、キャパシタンスCP2の端子X4の電圧がサンプリング信号Sjとして取り出されるようになっている。なお、この例では、第1高電位側電圧VGG1を5V、第2高電位側電圧VGG2を15Vとし、また、端子X1の電圧をv1、端子X2の電圧をv2で表すことにする。
【0087】
図17に示すように期間T1および期間T2にあっては、シフトパルスCjがHレベルであるから、PチャネルTFTP21はオフ状態となる。このため、キャパシタンスCP1およびCP2は分離されており、独立して充電動作が行われることになる。
【0088】
まず、期間T1および期間T2にあっては、NチャネルTFTN20およびN22がオン状態となるので、キャパシタンスCP2の端子X1は接地される一方、端子X2にはシフトパルスCj+1が給電される。また、当該期間において、NチャネルTFTN21およびN23はオン状態となるから、キャパシタンスCP1の端子X3には「0V」が印加される一方、端子X4にはシフトパルスCj+1が給電される。
【0089】
ここで、期間T1において、シフトパルスCj+1はLレベルであるから、その間、キャパシタンスCP1およびCP2には電荷が充電されないことになる。したがって、期間T1における電圧v1、電圧v2およびサンプリング信号Sjは「0V」となる。一方、期間T2にあってはシフトパルスCj+1が「5V」となるので、電圧v2およびサンプリング信号Sjは「5V」となる。なお、端子X1は期間T2においてNチャネルTFTN20を介して「0V」が印加されているから、当該期間の電圧v1は「0V」となる。
【0090】
次に、期間T3にあっては、シフトパルスCjがLレベルとなり、PチャネルTFTP20がオン状態となる一方、NチャネルTFTN20がオフ状態となるから、キャパシタンスCP2の端子X1にはシフトパルスCj+1が給電される。したがって、当該期間の電圧v1は「5V」となる。さらに、NチャネルTFTN21およびN22はオフ状態となるから、端子X2の電圧v2は、シフトパルスCj+1の電圧に期間T2においてキャパシタンスCP2に充電された電圧を加算したものとなる。この結果、期間T3の電圧v2は「10V」となる。くわえて、当該期間において、PチャネルTFT21がオン状態となるので、キャパシタンスCP1およびCP2は接続される一方、NチャネルTFTはオフ状態となる。したがって、期間T3におけるサンプリング信号Sjの電圧は、電圧v2に期間T2においてキャパシタンスCP1に充電された電圧を加算したものとなる。この結果、期間T3のサンプリング信号Sjの電圧は「15V」となる。
【0091】
次に、期間T4にあっては、Cj+3がHレベルとなるのでNチャネルTFTN24がオン状態となる。このため、キャパシタンスCP1およびCP2に充電された電荷がNチャネルTFTN24を介して放電され、これにより、サンプリング信号Sjの電圧が「0V」になる一方、キャパシタンスCP1およびCP2の状態がリセットされる。
【0092】
ここで、サンプリング信号Sj−1は、サンプリング信号Sjと同様に生成されるから、期間T2においてSj−1とSjは重複することになる。サンプリング信号のアクティブ期間が重複すると、表示画面においてゴーストが現れることがあるが、液晶表示パネル100の用途によっては、若干のゴーストがあっても事足りるものもある。第2実施形態に係る液晶表示装置はそのような用途に適している。
【0093】
以上、説明したように第2実施形態に係る液晶表示装置によれば、Xシフトレジスタ1540に第1高電位側電圧VGG1と低電位側電圧VSSとを給電して動作させるので、TFT素子の劣化を抑圧することができ、データ線側駆動回路150'の長寿命化を図ることができる。また、レベルシフト部1550にチャージポンプタイプのものを使用したので、第2高電位側電圧VGG2を給電する必要がないといった利点がある。
【0094】
<3.応用例>
次に、上述した各実施形態及び変形例で説明した液晶表示装置の応用例について説明する。
【0095】
<3−1:プロジェクタ>
まず、この液晶表示装置をライトバルブとして用いたプロジェクタについて説明する。図19は、プロジェクタの構成例を示す平面図である。
【0096】
この図に示されるように、プロジェクタ1100内部には、ハロゲンランプ等の白色光源からなるランプユニット1102が設けられている。このランプユニット1102から射出された投射光は、ライトガイド1104内に配置された4枚のミラー1106および2枚のダイクロイックミラー1108によってRGBの3原色に分離され、各原色に対応するライトバルブとしての液晶パネル1110R、1110Bおよび1110Gに入射される。
【0097】
液晶パネル1110R、1110Bおよび1110Gの構成は、上述した液晶パネル100と同等であり、画像信号処理回路(図示省略)から供給されるR、G、Bの原色信号でそれぞれ駆動されるものである。そして、これらの液晶パネルによって変調された光は、ダイクロイックプリズム1112に3方向から入射される。このダイクロイックプリズム1112においては、RおよびBの光が90度に屈折する一方、Gの光が直進する。したがって、各色の画像が合成される結果、投射レンズ1114を介して、スクリーン等にカラー画像が投写されることとなる。
【0098】
ここで、各液晶パネル1110R、1110Bおよび1110Gによる表示像について着目すると、液晶パネル1110Gによる表示像は、液晶パネル1110R、1110Bによる表示像に対して左右反転することが必要となる。
【0099】
なお、液晶パネル1110R、1110Bおよび1110Gには、ダイクロイックミラー1108によって、R、G、Bの各原色に対応する光が入射するので、カラーフィルタを設ける必要はない。
【0100】
<3−2:モバイル型コンピュータ>
次に、この液晶パネル100を、モバイル型のパーソナルコンピュータに適用した例について説明する。図20は、このパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。図において、コンピュータ1200は、キーボード1202を備えた本体部1204と、液晶表示ユニット1206とから構成されている。この液晶表示ユニット1206は、先に述べた液晶パネル1005の背面にバックライトを付加することにより構成されている。
【0101】
<3−3:携帯電話>
さらに、この液晶パネル100を、携帯電話に適用した例について説明する。図21は、この携帯電話の構成を示す斜視図である。図において、携帯電話1300は、複数の操作ボタン1302とともに、反射型の液晶パネル1005を備えるものである。この反射型の液晶パネル100にあっては、必要に応じてその前面にフロントライトが設けられる。
【0102】
なお、図19〜図21を参照して説明した電子機器の他にも、液晶テレビや、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた装置等などが挙げられる。そして、これらの各種電子機器に適用可能なのは言うまでもない。
【0103】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、高速で動作するシフトレジスタ部を低電圧で動作させる一方、その出力信号をレベル変換したので、シフトレジスタ部を長寿命化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態に係る液晶表示装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図2】 同装置における液晶表示パネルの構造を説明するための斜視図である。
【図3】 同液晶表示パネルの構造を説明するための一部断面図である。
【図4】 同液晶表示パネルにおけるPチャネルTFTにおける閾値電圧の時間変化を示すグラフである。
【図5】 同液晶表示パネルにおけるTFTのチャネルホットキャリア注入現象を示す説明図である。
【図6】 同液晶表示パネルにおけるTFTのドレインアバレンシェホットキャリア注入現象を示す説明図である。
【図7】 同液晶表示パネルにおけるデータ線側駆動回路の全体構成を示すブロック図である。
【図8】 同データ線側駆動回路の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図9】 第1の態様に係るXシフトレジスタの主要構成を示す回路図である。
【図10】 第2の態様に係るXシフトレジスタの主要構成を示す回路図である。
【図11】 第1の態様に係るレベルシフトユニットの主要構成を示す回路図である。
【図12】 第2の態様に係るレベルシフトユニットの主要構成を示す回路図である。
【図13】 同液晶表示パネルにおける走査線側駆動回路の全体構成を示すブロック図である。
【図14】 同走査線側駆動回路の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図15】 本発明の第2実施形態に用いられるデータ線側駆動回路の全体構成を示すブロック図である。
【図16】 同データ線側駆動回路に用いられるレベルシフトユニットの回路図である。
【図17】 同レベルシフトユニットの動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図18】 同液晶表示装置を適用した電子機器の一例たる液晶プロジェクタの構成を示す断面図である。
【図19】 同液晶表示装置を適用した電子機器の一例たるパーソナルコンピュータの構成を示す正面図である。
【図20】 液晶表示装置を適用した電子機器の一例たる携帯電話の構成を示す斜視図である。
【図21】 従来のデータ線側駆動回路の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
100……液晶表示パネル
101……素子基板
102……対向基板
112……走査線
114……データ線
116……TFT
130……走査線側駆動回路
140……サンプリング回路
150……データ線側駆動回路
1310……Yシフトレジスタ
1510、1540……Xシフトレジスタ
1520……論理演算部
1330,1530……レベルシフト部
S1'〜Sn'……低電圧サンプリング信号
S1〜Sn……高電圧サンプリング信号
Y1'〜Ym' ……低電圧走査線信号
Y1〜Ym……高電圧走査線信号
Claims (9)
- 複数の走査線と、複数のデータ線と、前記走査線と前記データ線との交差に対応して配置されたスイッチング素子と画素電極とを有する電気光学パネルのデータ線駆動回路であって、
入力信号をクロック信号に従ってシフトして、論理レベルの一方であって前記クロック信号の1周期分であるパルスが前記クロック信号の半周期ずつ順次遅延した関係にある低電圧サンプリング信号C1〜Cn(nは4以上の整数)を生成するシフトレジスタ部と、
前記低電圧サンプリング信号C1〜Cnのうち、Cj、Cj+1、Cj+3(jは1以上(n−3)以下の整数)を高電圧サンプリング信号Sjに変換するレベル変換部とを備え、
前記レベル変換部は、
第1および第2キャパシタと、
制御入力端の論理レベルが前記一方である場合に一方および他方の端子間がオン状態となり、前記論理レベルの他方である場合にオフ状態となる第1乃至第5スイッチと、
制御入力端の論理レベルが前記一方である場合に一方および他方の端子間がオフ状態となり、前記他方である場合にオン状態となる第6および第7スイッチと、を備え、
前記低電圧サンプリング信号Cjが、前記第1乃至第4スイッチ、前記第6および第7スイッチにおける制御入力端にそれぞれ供給され、
前記低電圧サンプリング信号Cj+1が、前記第3、第4および第6スイッチにおける一方の端子にそれぞれ供給され、
前記低電圧サンプリング信号Cj+3が、前記第5スイッチにおける制御入力端に供給され、
前記第4スイッチにおける他方の端子が、前記高電圧サンプリング信号Sjの出力端である前記第1キャパシタにおける一方の端子と、前記第5スイッチにおける一方の端子とにそれぞれ接続され、
前記第1キャパシタにおける他方の端子が、前記第2および第7スイッチにおける一方の端子にそれぞれ接続され、
前記第7スイッチの他方の端子が、前記第3スイッチにおける他方の端子、および、前記第2キャパシタにおける一方の端子にそれぞれ接続され、
前記第2キャパシタにおける他方の端子が、前記第1スイッチにおける一方の端子、および、前記第6スイッチにおける他方の端子にそれぞれ接続され、
前記第1、第2および第5スイッチにおける他方の端子が、前記論理レベルの他方を供給する給電線に接続された
ことを特徴とするデータ線駆動回路。 - 最大振幅が前記高電圧サンプリング信号の高論理レベルまでの範囲にある画像信号を前記高電圧サンプリング信号に基づいてサンプリングし、サンプリングして得られた信号を前記データ線に供給するサンプリング部を備えたことを特徴とする請求項1に記載のデータ線駆動回路。
- 前記シフトレジスタ部および前記レベル変換部は、同一基板上に同一プロセスで形成された薄膜トランジスタにより構成されてなることを特徴とする請求項1に記載のデータ線駆動回路。
- 複数の走査線と、複数のデータ線と、前記走査線と前記データ線との交差に対応して配置されたスイッチング素子と画素電極とを有する電気光学パネルの走査線駆動回路であって、
入力信号をクロック信号に従ってシフトして、論理レベルの一方であって前記クロック信号の1周期分であるパルスが前記クロック信号の半周期ずつ順次遅延した関係にある低電圧走査信号C1〜Cn(nは4以上の整数)を生成するシフトレジスタ部と、
前記低電圧走査信号C1〜Cnのうち、Cj、Cj+1、Cj+3(jは1以上(n−3)以下の整数)を高電圧走査信号Sjに変換するレベル変換部とを備え、
前記レベル変換部は、
第1および第2キャパシタと、
制御入力端の論理レベルが前記一方である場合に一方および他方の端子間がオン状態となり、前記論理レベルの他方である場合にオフ状態となる第1乃至第5スイッチと、
制御入力端の論理レベルが前記一方である場合に一方および他方の端子間がオフ状態となり、前記他方である場合にオン状態となる第6および第7スイッチと、を備え、
前記低電圧走査信号Cjが、前記第1乃至第4スイッチ、前記第6および第7スイッチにおける制御入力端にそれぞれ供給され、
前記低電圧走査信号Cj+1が、前記第3、第4および第6スイッチにおける一方の端子にそれぞれ供給され、
前記低電圧走査信号Cj+3が、前記第5スイッチにおける制御入力端に供給され、
前記第4スイッチにおける他方の端子が、前記高電圧走査信号Sjの出力端である前記第1キャパシタにおける一方の端子と、前記第5スイッチにおける一方の端子とにそれぞれ接続され、
前記第1キャパシタにおける他方の端子が、前記第2および第7スイッチにおける一方の端子にそれぞれ接続され、
前記第7スイッチの他方の端子が、前記第3スイッチにおける他方の端子、および、前記第2キャパシタにおける一方の端子にそれぞれ接続され、
前記第2キャパシタにおける他方の端子が、前記第1スイッチにおける一方の端子、および、前記第6スイッチにおける他方の端子にそれぞれ接続され、
前記第1、第2および第5スイッチにおける他方の端子が、前記論理レベルの他方を供給する給電線に接続された
ことを特徴とする走査線駆動回路。 - 前記シフトレジスタ部および前記レベル変換部は、同一基板上に同一プロセスで形成された薄膜トランジスタにより構成されてなることを特徴とする請求項4に記載の走査線駆動回路。
- 複数の走査線と、複数のデータ線と、前記走査線と前記データ線との交差に対応して配置されたスイッチング素子と画素電極とを有する画像表示部と、
入力信号をクロック信号に従ってシフトして、論理レベルの一方であって前記クロック信号の1周期分のパルスが前記クロック信号の半周期ずつ順次シフトした関係にある低電圧サンプリング信号C1〜Cn(nは4以上の整数)を生成するシフトレジスタ部と、
前記低電圧サンプリング信号C1〜Cnのうち、Cj、Cj+1、Cj+3(jは1以上(n−3)以下の整数)を高電圧サンプリング信号Sjに変換するレベル変換部と、
最大振幅が前記高電圧サンプリング信号の高論理レベルまでの範囲にある画像信号を前記高電圧サンプリング信号に基づいてサンプリングし、サンプリングして得られた信号を前記データ線に供給するサンプリング部と、
前記各走査線を駆動するための各走査線信号を生成する走査線駆動回路とを備え、
前記レベル変換部は、
第1および第2キャパシタと、
制御入力端の論理レベルが前記一方である場合に一方および他方の端子間がオン状態となり、前記論理レベルの他方である場合にオフ状態となる第1乃至第5スイッチと、
制御入力端の論理レベルが前記一方である場合に一方および他方の端子間がオフ状態となり、前記他方である場合にオン状態となる第6および第7スイッチと、を備え、
前記低電圧サンプリング信号Cjが、前記第1乃至第4スイッチ、前記第6および第7スイッチにおける制御入力端にそれぞれ供給され、
前記低電圧サンプリング信号Cj+1が、前記第3、第4および第6スイッチにおける一方の端子にそれぞれ供給され、
前記低電圧サンプリング信号Cj+3が、前記第5スイッチにおける制御入力端に供給され、
前記第4スイッチにおける他方の端子が、前記高電圧サンプリング信号Sjの出力端である前記第1キャパシタにおける一方の端子と、前記第5スイッチにおける一方の端子と にそれぞれ接続され、
前記第1キャパシタにおける他方の端子が、前記第2および第7スイッチにおける一方の端子にそれぞれ接続され、
前記第7スイッチの他方の端子が、前記第3スイッチにおける他方の端子、および、前記第2キャパシタにおける一方の端子にそれぞれ接続され、
前記第2キャパシタにおける他方の端子が、前記第1スイッチにおける一方の端子、および、前記第6スイッチにおける他方の端子にそれぞれ接続され、
前記第1、第2および第5スイッチにおける他方の端子が、前記論理レベルの他方を供給する給電線に接続された
ことを特徴とする電気光学パネル。 - 前記走査線駆動回路は、前記画像信号の最大振幅よりも高電圧の電源電圧の給電をうけて動作するシフトレジスタを備え、当該シフトレジスタの出力信号に基づいて前記走査線信号を生成することを特徴とする請求項6に記載の電気光学パネル。
- 前記スイッチング素子、前記シフトレジスタ部、前記レベル変換部、前記サンプリング部、および前記走査線駆動回路は、同一基板上に同一プロセスで形成された薄膜トランジスタにより構成されてなることを特徴とする請求項6に記載の電気光学パネル。
- 請求項6に記載の電気光学パネルを表示手段に用いたことを特徴とする電子機器。
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