JP3769074B2

JP3769074B2 - ガスケット付き成形キャップ

Info

Publication number: JP3769074B2
Application number: JP16398196A
Authority: JP
Inventors: 富士雄小林; 実米川
Original assignee: Kyoritsu Co Ltd
Current assignee: Kyoritsu Co Ltd
Priority date: 1996-06-25
Filing date: 1996-06-25
Publication date: 2006-04-19
Anticipated expiration: 2016-06-25
Also published as: JPH107160A; US5979683A; DE19725161A1; DE19725161C2

Description

【０００１】
【産業上の利用分野】
本発明は、容器のキャップ、特に、内側にガスケットを有する、プラスチック等によって成形されたキャップに関する。
【０００２】
【従来技術】
容器、特に燃料タンク等の液体用容器のキャップには、液漏れ防止のため、容器のキャップの内側にガスケットが設けられている。通常、ガスケットはゴム材料で形成されている。ゴム材料は、容器内の燃料油等の影響で膨張したり収縮したりし、その結果、キャップを開けたとき、ガスケットがキャップの内側の所定位置から脱落することがあり、ガスケットの脱落に気ずかずに再びキャップを取付けると、液漏れが生じてしまう恐れがある。
従来から、ガスケットの脱落防止対策の１つとして、キャップの内側にガスケットの外周部を収容し、ガスケットを係止するためのアンダカット部を形成する方法がある。しかし、通常、キャップはインジェクション一体成形工程によって製造され、前記の如きアンダカット部を内側に形成するには、キャップの成形加工後、別途、機械加工するか、あるいは、成形金型にコラプシブルコアを使用する等、金型の設計及び成形品の離型処理に特別な工夫をして、キャップの内側にアンダカット部を成形することが必要となる。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
このように、アンダーカット部の形成に二次工程が必要であると生産効率が低下し、また製造コストが増し、更に、一体成形時に同時にアンダカット部を形成する場合には、金型の構造が複雑になり、金型自体が高価になるとともに、成形品を離型させるのに手間取り、成形サイクルの効率が低下するという欠点を有する。
そこで、本発明の目的は、高い生産効率で安価に成形することができる容器を密封するガスケット付きキャップを提供することにある。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
従来、二次加工工程や複雑な金型が必要とされたのは、ガスケット係止用のアンダカット部が離型方向と直交する方向に形成されているためであることに着目し、本発明のキャップは、キャップの天井部に金型の移動方向又は成形品の突出し方向に真っ直ぐに延びる垂直孔を形成することによって、前記アンダカット部に相当する部分を成形するように構成したことを特徴とする。キャップをこのように構成することにより、キャップの外面を成形する金型に、離型時の金型の移動方向又は成形品の突出し方向に真っ直ぐに延びる、前記垂直孔と相補する形状の突起を設け、金型を単に直線運動させ又は成形されたキャップを突出すことにより、離型可能にしたものである。
従って、本発明の前記目的は、天井部と、天井部から垂下するスカート部とで形成され、天井部の内側にガスケットが装着され、該ガスケットが容器の口部と係合することにより該口部を密封する成形キャップであって、
前記ガスケットは、前記容器の口部を密封するための本体と、該本体から横方向外方に突出し、周方向に互いに間隔を隔てて設けられた複数の耳部とを有し、
前記キャップの天井部には、前記ガスケットの複数の耳部に対応して、上面から垂直方向に真っ直ぐに延びる複数の垂直孔が形成され、該垂直孔によって、前記天井部との境界近傍のスカート部の内壁面に、前記耳部を支持するための横方向に延びる棚部が形成されていることを特徴とするガスケット付き成形キャップによって達成することができる。
【０００５】
本発明によるキャップは、キャップの外面を成形する金型部分に、前記の垂直孔と相補する形状の突起部を設けた簡易な金型を用いて一体成形することができる。すなわち、この突起部は垂直方向に真っ直ぐ延びているので、金型を単に垂直方向に直線運動させるか、あるいは成形されたキャップを垂直方向に突出すだけで、従来のアンダカット部に相当する部分が成形されたキャップを離型することが可能となる。このようにして成形したキャップにガスケットを装着するとき、該ガスケットの耳部を、キャップの天井部との境界のスカート部内壁面に形成された棚部の上に支持させる。前記耳部は、前記ガスケットの自己形状保持性により、又は、耳部と棚部の面との間の摩擦係合によって棚部の上に保持され、ガスケットの脱落が防止される。また、垂直孔を通してガスケットの耳部が外部から見えるので、キャップが容器の口部に取付けられている状態で垂直孔を覗くことにより、ガスケットの装着状況、すなわち容器の密封状態を容易に確認することができる。
【０００６】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態によれば、前記垂直孔の周方向の長さ寸法が、前記耳部の周方向の長さ寸法と実質的に同一である。従って、例えば、キャップがねじ式である場合に、キャップを容器の口部に螺合させる際、キャップの軸線を中心とする耳部の回転が防止され、ガスケットが捲れてしまうのを防止することができる。
また、本発明の実施の形態によれば、前記天井部の下面と横方向に延びる前記棚部との間の垂直方向の距離は、前記ガスケットの耳部の厚さと実質的に同一である。従って、キャップの内部空間へ連通する開口部が、耳部によって密に閉塞され、キャップを開ける際に垂直孔を通して異物がキャップの内部空間に侵入してしまうのを防止することができる。
更に、本発明の実施の形態によれば、前記天井部とスカート部との間の外縁部には、前記垂直孔から半径方向外方に向けて斜め下方に延びる傾斜面が形成されている。これにより、垂直孔に侵入した異物が外に導かれ、内部に堆積しない効果がある。
【０００７】
【実施例】
以下、本発明にかかるガスケット付き成形キャップの実施例について、添付の図面を参照しつつ説明する。
図１は、本実施例にかかるキャップに装着されるガスケットの平面図である。図１に示すように、ガスケット２は、容器１の円形口部１ａを密封するための環状の本体４と、該本体４から半径方向外方に突出し、周方向に等間隔に設けられた四つの耳部６とを有する。前記ガスケット２は、前記容器１の口部１ａを良好に密封するために、また、キャップ内部への装着が容易になるように、合成ゴム等の自己形状保持性を有する弾性材で形成されている。
図２は、本発明の第１の実施例にかかるキャップの平面図であり、また、図３は、図２に示す線III −III に沿った断面図である。
図２及び図３に示すように、キャップ１０は天井部１２とスカート部１４とからなり、プラスチック等で一体成形されている。前記スカート部１４の内壁には、前記容器１の口部１ａの雄ねじと螺合するように、雌ねじ１５が形成されている。
【０００８】
また、前記天井部１２には、上面から垂直方向に真っ直ぐに下方へ延びる成形孔である垂直孔１６が形成されており、その数は前記ガスケット２の耳部６と同数、すなわち四つである。前記垂直孔１６は、図３に示すように、前記天井部１２との境界近傍の前記スカート部１４の内壁面で前記キャップ１０の内部空間に連通し、そこに耳部６を収容するための水平方向内向きに開放した凹部１７が形成されている。前記ガスゲット２の耳部６を、前記キャップ１０の内部空間から前記凹部１７に挿入して、該凹部１７の下面である水平な棚部１８で支持させる。前記垂直孔１６の周方向及び半径方向の長さ寸法は、それぞれ前記耳部６の周方向及び半径方向の長さ寸法と実質的に同じであり、その深さ方向にほぼ同一の寸法を有している。また、前記天井部１２の下面と前記棚部１８との間の垂直方向の距離、すなわち、前記凹部１７の内向き開口の垂直方向の寸法は、前記ガスケット２の厚みとほぼ同じである。
前記ガスケット２を、前記キャップ１０の天井部１２の内面側に装着するときには、前記ガスケット２の耳部６を撓ませて、前記キャップ１０の内部空間に挿入し、前記耳部６を前記キャップ１０の内部空間に連通した前記凹部１７に挿入し、前記棚部１８上に支持させる。前記耳部６は、平面視したとき該耳部６と実質的に同じ大きさである前記凹部１７内に嵌まっている。
【０００９】
図４は、図２及び図３に示す前記キャップ１０を成形するためのインジェクション成形用金型の一例を示す図であり、キャップの内面を形成するための第１金型半部は側面図で、キャップの外面を形成するための第２金型半部は断面図で示されている。
図４に示すように、前記キャップ１０の内部を形成するための第１金型半部２０の外面には、前記キャップ１０の側壁１４の内面に前記雌ねじ１５を形成するように、雄ねじ部２２が形成されている。また、前記キャップ１０の外面を形成するための第２金型半部２４には、その上面２６から真っ直ぐに垂下し、かつ、前記垂直孔１６の形状と相補する形状を有する四つの突起２８が形成され、前記キャップ１０の天井部１２に前記垂直孔１６を形成するようになっている。前記キャップ１０を成形し、離型する際には、前記第１金型半部２０を軸線を中心として回転させて、前記キャップ１０の内部空間から外す。また前記第２金型半部２４については、単に、成形されたキャップ１０を、図示しない押出し棒で垂直方向下方に突出して離型すればよい。
図５は、本発明の第２の実施例にかかるキャップの平面図であり、また、図６は、図５に示す線VI−VIに沿ったキャップの断面図である。
【００１０】
図５及び図６では、図２及び図３に示すものと同様な部分については、同じ符号で示している。図５に示すように、本実施例にかかるキャップ３０の天井部１２とスカート部１４との間の外縁部には、垂直孔１６から半径方向外方かつ斜め下方に延びる傾斜面３２が形成されている。本実施例のキャップ３０に、図１に示すガスケット２を第１の実施例と同様に装着すればよい。
本発明は、以上の実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
例えば、本発明の第１の実施例及び第２の実施例においては、前記棚部１８は水平であるが、該棚部１８は必ずしも水平である必要はなく、前記ガスケット２の耳部６が所定位置に保持されるように、横方向に延びているのもであればよい。例えば、前記棚部１８は、前記キャップ１０の半径方向外方に向かって斜め下方に傾斜するように形成されていてもよい。それに伴って前記耳部６を、傾斜した前記棚部１８に合わせて、前記ガスケット２の本体４に対して角度を成して形成すれば、前記棚部１８に引っ掛かけることができ、前記ガスケット２の脱落がより確実に防止される。
【００１１】
また、本発明の第１の実施例及び第２の実施例においては、前記垂直孔１６の側壁は、垂直方向に真っ直ぐ下方に延びているが、該側壁は、金型を単に垂直方向に直線運動させるか、あるいは成形されたキャップを垂直方向に突出すだけでキャップを離型することができる形状であればよく、例えば、前記垂直孔１６の横断面が、下方に向かって小さくなるように若干傾斜せしめると、離型がより容易となる。
更に、本発明の第１の実施例及び第２の実施例においては、前記垂直孔１６の周方向及び半径方向の長さ寸法は、それぞれ前記耳部６の周方向及び半径方向の長さ寸法と実質的に同一になるように構成されているが、これらの寸法は、ガスケットの膨張及び収縮を考慮して、適宜選択すればよい。
なお、本発明の第２の実施例は、図１に示すガスケット２が装着されるものとされているが、例えば、図１に示されているガスケット２の耳部６の外縁部に段部を形成し、前記傾斜面３２の上に引っかけるようにすれば、前記ガスケット２の脱落がより確実に防止される。
【００１２】
【発明の効果】
本発明によれば、高い生産効率で安価に成形することができる、容器を密封するガスケット付きキャップを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】図１は、本実施例にかかるキャップに装着されるガスケットの平面図である。
【図２】図２は、本発明の第１の実施例にかかる成形されたキャップの平面図である。
【図３】図３は、図２に示す線III −III に沿った断面図である。
【図４】図４は、図２及び図３に示すキャップ１０を成形するための金型の一例を示す図である。
【図５】図５は、本発明の第２の実施例にかかるキャップの平面図である。
【図６】図６は、図５に示す線VI−VIに沿ったキャップの断面図である。
【符号の説明】
１容器
１ａ口部
２ガスケット
４本体
６耳部
１０キャップ
１２天井部
１４スカート部
１６垂直孔
１８棚部
３２傾斜面

Claims

天井部（１２）と、該天井部（１２）から垂下するスカート部（１４）とで形成され、前記天井部（１２）の内側にガスケット（２）が装着され、該ガスケット（２）が容器（１）の口部（１ａ）と係合することにより該口（１ａ）を密封する成形キャップ（１０）であって、
前記ガスケット（２）は、前記容器（１）の口部（１ａ）を密封するための本体（４）と、該本体（４）から横方向外方に突出し、周方向に互いに間隔を隔てて設けられた複数の耳部（６）とを有し、
前記キャップ（１０）の天井部（１２）には、前記ガスケット（２）の複数の耳部（６）に対応して、上面から垂直方向に真っ直ぐに延びる複数の垂直孔（１６）が形成され、該垂直孔（１６）によって、前記天井部（１２）との境界近傍の前記スカート部（１４）の内壁面に、前記耳部（６）を支持するための横方向に延びる棚部（１８）が形成されており、
前記垂直孔（１６）には、前記天井部（１２）との境界近傍の前記スカート部（１４）の内壁面で前記キャップ（１０）の内部空間に連通する、前記ガスケット（２）の耳部（６）を収容するための水平方向内向きに開放した凹部（１７）が形成されており、該凹部（１７）の下面が棚部（１８）であり、前記垂直孔（１６）の周方向及び半径方向の長さ寸法は、それぞれ前記耳部（６）の周方向及び半径方向の長さ寸法と実質的に同じであり、前記耳部（６）は平面視したとき該耳部（６）と実質的に同じ大きさである前記凹部（１７）に嵌っており、
また、前記スカート部（１４）の内壁には、前記容器（１）の前記口部（１ａ）の雄ねじと螺合するように雌ねじ（１５）が形成されていること、を特徴とするガスケット付き成形キャップ。
前記天井部（１２）の下面と横方向に延びる前記棚部（１８）との間の垂直方向の距離は、前記ガスケット（２）の耳部（６）の厚さと実質的に同一であること、を特徴とする請求項１に記載のガスケット付き成形キャップ。
更に、前記天井部（１２）とスカート部（１４）との間の外縁部には、前記垂直孔（１６）から半径方向外方に向けて斜め下方に延びる傾斜面（３２）が形成されていること、を特徴とする請求項１又は２に記載のガスケット付き成形キャップ。