JP3768887B2 - 記録材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ジアゾ化合物及びカプラー、又は電子供与性染料前駆体及び電子受容性化合物を発色成分として含む記録材料に関し、詳しくは、良好な画像堅牢性を備える記録材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
特に、ジアゾニウム塩は、非常に化学的活性の高い化合物であり、フェノール誘導体や活性メチレン基を有する化合物等のカプラーと呼ばれる化合物と反応して容易にアゾ染料を形成すると共に、感光性をも有し、光照射によって分解しその活性を失う。そのため、ジアゾニウム塩は、ジアゾコピーに代表される光記録材料として古くから利用されている(日本写真学会編「写真工学の基礎−非銀塩写真編−」コロナ社(1982)p.89〜117、p.182〜201参照)。
【0003】
更に、光によって分解し活性を失う性質を利用して、最近では画像の定着が要求される記録材料にも応用され、代表的なものとして、ジアゾニウム塩とカプラーとを画像信号に従って加熱し、反応させて画像を形成させた後、光照射して画像を定着する光定着型感熱記録材料が提案されている(佐藤弘次ら、画像電子学会誌(1982)、第11巻 第4号、p.290〜296等)。
【0004】
ところが、ジアゾニウム塩を発色成分とする記録材料は、ジアゾニウム塩の活性が非常に高く、暗所であってもジアゾニウム塩が徐々に熱分解して反応性を失うので、記録材料としてのシェルフライフが短いという欠点があった。この欠点を改善する手段の一つとして、ジアゾニウム塩をマイクロカプセル中に内包する方法がある。この方法により、ジアゾニウム塩を、水・塩基のような分解を促進させるものから隔離することができ、記録材料としてのシェルフライフを飛躍的に向上させることができる(宇佐美智正ら、電子写真学会誌(1987)第26巻 第2号、p.115〜125)。
【0005】
しかし、画像形成した後の保存時に、記録層内に拡散した酸素分子や、太陽光若しくは蛍光灯等の室内灯に含まれる可視光及び紫外光によって、画像部の発色色素が変褪色を起こす、あるいは未反応の発色成分等が周囲の環境等により様々な分解生成物を生じて可視域に吸収を持つことにより、地肌部(非画像部)の白色度が低下する、といった問題もあった。
【0006】
これを回避するため、支持体上に雲母分散液を塗布し酸素拡散性を低下させる方法が提案され、前記のような画像の変褪色が抑制され、地肌部の白色度の低下もある程度は抑制されたものの、発色後の色素が化学的に酸化され易い化合物である場合には、その改善効果は未だ不十分であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
以上の状況を踏まえ、本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、
本発明は、形成画像における、画像部の褪色や地肌部(非画像部)の白色性の低下が抑えられ、画像堅牢性に優れた記録材料を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、アゾ色素画像の堅牢化に関する検討を重ねた結果、協奏的環化付加反応する官能基を複数持つ低分子成分を、(特に、発色成分を含む油相を水相に分散してマイクロカプセル化する場合には油相内に)用いると、画像形成後に該反応による高分子化が進行して、画像の耐光性を向上させ得るとの知見を得た。即ち、発色反応による色素形成(印画)から定着までの画像形成過程では低分子で存在するため発色反応は阻害されないながら、発色(画像形成)後高分子化合物が形成される結果、(油相の)粘度上昇に伴って酸素分子の拡散が抑制され、画像形成性及び形成画像の堅牢性のバランスの点で有用であり、画像耐光性の向上に大きく寄与し得るものである。
前記知見に基づき、前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
<1> 支持体上に、ジアゾ化合物と該ジアゾ化合物と反応して発色させるカプラーとを含む記録層を有する記録材料において、前記記録層が、ジエン化合物と、該ジエン化合物と環化付加反応により高分子化合物を形成するジエノファイル化合物とを、いずれか一方をマイクロカプセルに内包し又はそれぞれを異なるマイクロカプセルに内包し、あるいはそれぞれを隣接する異なる層に存在させることにより、発色前には互いに隔離した状態で含有することを特徴とする記録材料である。
<2> 記録層において、ジアゾ化合物がマイクロカプセルに内包され、該マイクロカプセル外にカプラーが含有される前記<1>に記載の記録材料である。
【0010】
<3> 支持体上に、電子供与性染料前駆体と該電子供与性染料前駆体と反応して発色させる電子受容性化合物とを含む記録層を有する記録材料において、前記記録層が、ジエン化合物と、該ジエン化合物と環化付加反応により高分子化合物を形成するジエノファイル化合物とを、いずれか一方をマイクロカプセルに内包し又はそれぞれを異なるマイクロカプセルに内包し、あるいはそれぞれを隣接する異なる層に存在させることにより、発色前には互いに隔離した状態で含有することを特徴とする記録材料である。
<4> 記録層において、電子供与性染料前駆体がマイクロカプセルに内包され、該マイクロカプセル外に電子受容性化合物が含有される前記<3>に記載の記録材料である。
【0011】
<5> ジエン化合物及びジエノファイル化合物の少なくとも一方がマイクロカプセルに内包される前記<1>〜<4>のいずれかに記載の記録材料である。
<6> マイクロカプセルが熱応答性マイクロカプセルであって、記録層が熱印加により画像形成し得る感熱記録層である前記<2>、<4>及び<5>のいずれかに記載の記録材料である。
<7> 発色色相の異なる複数の感熱記録層が積層されてなり、多色画像を形成し得る前記<6>に記載の記録材料である。
<8> 熱応答性マイクロカプセルがポリウレタン及び/又はポリウレアである前記<6>又は<7>に記載の記録材料である。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の記録材料においては、ジエン化合物と、該ジエン化合物と環化付加反応により高分子化合物を形成するジエノファイル化合物とを互いに隔離した状態で含有する。
以下、本発明の記録材料について詳細に説明する。
【0013】
本発明の記録材料は、ジアゾ化合物(ジアゾニウム塩を含む。以下、同様とする。)及び該ジアゾ化合物と反応して発色させるカプラー、又は電子供与性染料前駆体及び該電子供与性染料前駆体と反応して発色させる電子受容性化合物(以下、総じて「発色成分」ということがある。)を含む記録層を一層若しくは二層以上有してなり、必要に応じて中間層、保護層等の他の層を有していてもよい。
【0014】
−記録層−
本発明に係る記録層は、発色成分と共に、ジエン化合物と、該ジエン化合物と環化付加反応により高分子化合物を形成するジエノファイル化合物とを互いに隔離した状態で含有して構成され、更に必要に応じて、塩基性物質、増感剤等の他の成分を含んでいてもよい。
【0015】
本発明においては、ジエン化合物とジエノファイル化合物を互いに隔離して記録層中に含有しておき、該ジエン化合物とジエノファイル化合物との間の環化付加反応(例えば、Diels−Alder反応(以下、「DA反応」と称する。))の反応速度が、発色成分の色素形成による画像形成反応過程(好ましくは、サーマルヘッド等による熱印画やUV光による定着を経る過程)よりも遅いことを利用して、画像形成後、経時で進行する環化付加反応で高分子化合物が形成される(以下、高分子化反応ともいう)ことにより、形成画像の堅牢性(耐光性)を向上させることができる。前記環化付加反応、特にDA反応は反応速度が遅く、画像形成時点では殆ど進行しないが、反応にイオンやラジカルを要しないため発色成分への悪影響もない。
【0016】
次に、本発明の記録材料の色素(画像)形成後に進行する高分子化反応について説明する。
ここでの高分子化反応は、前記のように、ジエン部位を複数持つジエン化合物と、ジエノファイル部位を複数持つジエノファイル化合物とによる環化付加反応をいう。中でも、ジエン化合物とジエノファイル化合物とが1対1で反応する環化付加反応をDiels−Alder反応という。
【0017】
ジエン化合物と、オレフィン化合物(ジエン化合物と反応するオレフィン化合物を特に求ジエン化合物、即ちジエノファイル化合物とする。本明細書中、「ジエノファイル化合物」と記す。)とを加熱することにより、環化付加反応が進行することが、1928年にOtto DielsとKurt Alderによって見出され、一般にDiels-Alder反応(DA反応)と呼ばれる(Jerry March, Advanced Organic Chemistry 4th.Ed., p.839(Wiley Interscience);Maitland Jones,Jr,Organic Chemistry, 奈良坂鉱一ら監訳、有機化学 p.478(東京化学同人)など)。DA反応は、有機合成化学では極めて広く知られた反応であり、生体化学や医薬品分野などで応用され、溶液中の単分子のDA反応については、詳細な研究(Wasserman Diels-Alder Reactoins; Elsvier:NewYork, 1965. Roush Adv.Cycloaddit. 1990,2,91-146; Oppolser Angew.Chem.Int.Ed.Engl.. 1977,16,10-23など)も行われている。
【0018】
本発明においては、DA反応を初めとする環化付加反応の反応速度は遅いものの、画像形成と同時(例えば加熱時)にジエン化合物とジエノファイル化合物の隔離を解除、反応を開始でき、その後は画像形成後の保存時(経時)における光や熱で高分子化を進行させ得ることを特徴とし、形成された色素画像の堅牢性の向上に寄与し、画像部及び地肌部の変褪色を抑制することができる。したがって、高分子化反応を進行させるための更なる加熱や光照射工程を必ずしも必要としない。また、画像形成後の高分子化反応の進行に特にイオンやラジカルの存在を要しないため、画像形成時の発色感度等に影響を与えることもない。
【0019】
(ジエン化合物)
本発明において、環化付加反応に寄与するジエン化合物としては、下記一般式(I)で表される化合物が好ましい。
【0020】
【化1】
【0021】
前記一般式(I)中、R101、R102、R103、及びR104は、それぞれ独立に、ハメットの置換基定数σp値が0以下の電子供与性基を表す。該電子供与性基の中でも、水素原子、−R111、水酸基、−OR111、メルカプト基、−SR111、アミノ基、−NHR111、−NR111R112が好適である。また、式中のR101〜R106は、連結基を介して環を形成していてもよい。また、−NR111R112は、窒素原子を含むヘテロ環を形成してもよい。
前記R105及びR106は、それぞれ独立に水素原子、−R111を表す。
また、上記のR101〜R106のうち、少なくとも1つは2価以上の連結基Lと連結していてもよい。
【0022】
前記R111及びR112は、それぞれ独立にアルキル基、アリール基を表し、互いに同一でも異なっていてもよい。
前記アルキル基としては、炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ネオペンチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、イソノニル基、プロペニル基、アリル基、等が挙げられる。これらアルキル基は、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキルスルホニル基、アミド基、エステル基、ヘテロ環残基で置換されていてもよい。更に、例えばマイクロカプセル形成時など、水相に乳化分散する油相への溶解性の観点からは、3級ないし4級炭素原子を含むアルキル基が好ましい。
【0023】
前記アリール基としては、炭素数6〜40の芳香族炭化水素基が好ましく、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、等が挙げられる。該アリール基は、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基、アルキルスルホニル基、アミド基、エステル基、ヘテロ環残基で置換されていてもよい。
【0024】
前記−NR111R112よりなる前記ヘテロ環としては、例えば、ピロリジノ基、ピペリジノ基、4−エチルピペラジノ基、N−エチルピペラジノ基、モルホリノ基、アゼチジノ基、等が挙げられ、ピロリジノ基、ピペリジノ基、N−エチルピペラジノ基、モルホリノ基が特に好ましい。
【0025】
上記の中でも、前記R101〜R104としては、水素原子、メチル基、エチル基、メトキシ基等の立体障害の小さい基が好ましく、R101〜R104のうち2つが酸素原子を介して結合することでフラン環を形成することが特に好ましく、R105〜R106としては、水素原子、メチル基等の立体障害の小さい基が特に好ましい。
【0026】
前記「2価以上の連結基L」は、炭素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子及びリン原子の少なくとも一種を含み、前記R101〜R106の少なくとも1つと炭素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子又はリン原子を介して共有結合を形成する連結基を表す。
前記連結基Lとしては、例えば、以下に示す連結基が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、※は結合部位を示す。
【0027】
【化2】
【0028】
また、前記連結基Lが、ハメットの置換基定数σp値が0.2以上の電子吸引性基を表す場合、ジエン部位から少なくとも1つ以上の炭素原子を介することが好ましい。
【0029】
以下、前記一般式(I)で表されるジエン化合物の具体例を示すが、本発明においては、これらに限定されるものではない。
【0030】
【化3】
【0031】
【化4】
【0032】
前記ジエン化合物の感熱記録層における含有量としては、1.2〜0.04g/cm2が好ましく、0.8〜0.069g/cm2がより好ましい。該含有量を上記範囲とすると、画像部の褪色や地肌部(非画像部)の白色性の低下を効果的に抑制でき、画像堅牢性を十分に向上させることができる。
【0033】
(ジエノファイル化合物)
本発明において、前記ジエン化合物と環化付加反応により高分子化合物を形成するジエノファイル化合物としては、下記一般式(II)で表される化合物が好ましい。
【0034】
【化5】
【0035】
前記一般式(II)中、E11及びE12は、それぞれ独立に、ハメットの置換基定数σp値が0.2以上の電子吸引性基を表す。該電子吸引性基の中でも、−COR111、−COOR111、−CONR111R112、−CONHR111、シアノ基、パーフルオロアルキル基、−SO2R111、−SO3R111、−SO2NR111R112、−P(O)(OR111)(OR112)、−P(O)R111R112、ハロゲン原子、ヘテロ環残基が好適である。ここで、R111及びR112は、既述の一般式(I)におけるR111及びR112と同義であり、その好ましい態様も同様である。
【0036】
また、前記E11とE12とは、互いに結合して二重結合部分を含んで環を形成してもよく、該環としては、例えば、無水マレイン酸、マレイミド、シトラコンイミド等に由来する環が挙げられる。
前記E11及びE12の少なくとも一方は、二価以上の連結基Lと連結していてもよい。該連結基Lとしては、既述の一般式(I)における連結基Lと同義であり、その好ましい態様も同様である。
【0037】
上記の中でも、前記E11、E12としては、−COR111、−COOR111、−CONR111、−R112、−SO2Rが特に好ましい。前記E11及びE12が同一の電子吸引性基であることが好ましく、互いに結合して二重結合を含む環を形成していることが特に好ましい。
【0038】
前記一般式(II)中、R107及びR108は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基を表す。中でも、水素原子が特に好ましい。
【0039】
以下、前記一般式(II)で表されるジエノファイル化合物の具体例を示すが、本発明においては、これらに限定されるものではない。
【0040】
【化6】
【0041】
【化7】
【0042】
また、ジエン化合物又はジエノファイル化合物は、前記「二価以上の連結基」を介して後述の発色成分と結合することで記録層に含まれていてもよい。但し、発色成分の同一分子内にジエン化合物とジエノファイル化合物とが含まれてはならない。
【0043】
前記ジエノファイル化合物の感熱記録層における含有量としては、前記ジエン化合物の含有量に対して、ジエノファイル部分とジエン部分とが等モルとなるように含有されることが好ましい。該含有量を上記範囲とすると、画像部の褪色や地肌部(非画像部)の白色性の低下を効果的に抑制でき、画像堅牢性を十分に向上させることができる。
【0044】
本発明における高分子化反応としては、以下に示すような、前記一般式(I)で表されるジエン化合物と、前記一般式(II)で表されるジエノファイル化合物とを用いたDA反応が好適である。
【0045】
【化8】
【0046】
具体的には、下記反応例により高分子化合物を形成することができる。
【化9】
【0047】
但し、前記反応例は、3級以上の炭素原子を複数含むジアステレオマー混合物である。即ち、2つ以上のジエン部と2つ以上のジエノファイル部とからなる高分子が得られる。
【0048】
本発明に係る記録層において、前記ジエン化合物及びジエノファイル化合物は隔離された状態で含有される。隔離とは、画像形成前の保存時においては両化合物が互いに反応し得ない状態に置かれていることをいい、互いに接触しない状態であればよい。
例えば、ジエン化合物及びジエノファイル化合物の少なくとも一方をマイクロカプセルに内包させる、ジエン化合物とジエノファイル化合物とを各々異なる層に含有させる、等の方法により行うことができる。前者では、いずれか一方をマイクロカプセルに内包し、他方を内包しない形態としてもよく、ジエン化合物及びジエノファイル化合物を各々互いに異なるマイクロカプセルに内包させる形態であってもよい。後者では、隣接する層の一方にジエン化合物を、他方にジエノファイル化合物を含有させる形態であってよく、記録層間に設けた中間層にいずれか一方を含有させる形態であってもよい。
【0049】
前記ジエン化合物及びジエノファイル化合物の少なくとも一方をマイクロカプセルに内包させる場合、後述のように、発色成分のマイクロカプセル化と同様に行うことができる。具体的には後述する。
また、前記マイクロカプセルとしては、熱応答性のマイクロカプセルが好ましく、ジエン化合物及び/又はジエノファイル化合物を含む記録層を、熱印加により画像形成し得る感熱記録層とする態様が好ましい。この場合、サーマルヘッド等により熱印画する時点では、発色成分の色素形成による画像形成され、同時に隔離されていたジエン化合物及び/又はジエノファイル化合物も拡散されて、画像形成後に高分子化合物が形成される。
【0050】
(カプラー)
カプラーは、公知のものの中から適宜選択することができる。カプラーとは、ジアゾ化合物とジアゾカップリング反応するに足るだけの高い電子密度を成す炭素原子を有する化合物であり、色相調整など種々の目的に応じて、例えば、電子吸引性基に隣接するメチレン基を有するカプラー、解離基を有する複素芳香環のメチン基を有するカプラー、フェノール類、ナフトール類のカプラー、これらの化合物の混合物等が挙げられる。
【0051】
(1)電子吸引性基に隣接するメチレン基を有するカプラー
電子吸引性基に隣接するメチレン基を有するカプラーとしては、塩基性雰囲気下でジアゾ化合物とカップリング反応して色素を形成するものであれば、特に制限はなく、本発明の目的に合致する範囲で使用できる。
【0052】
中でも、乳化物の経時安定性と発色性の点からは、下記一般式(1)で表されるカプラーが好ましい。
【化10】
【0053】
前記一般式(1)において、E1及びE2は、それぞれ独立に電子吸引性基を表す。該電子吸引性基としては、Hammettのσp値が正である基が挙げられ、互いに同一であっても異なっていてもよい。具体的には、例えば、R1aCO基、R1aOCO基、R1aR2aNCO基、下記構造式で表されるイミデート基、シアノ基、R3aSO2基、R1aR2aNSO2基、R4aO(R5aO)PO基、複素環残基が挙げられる。
前記R1a、R2a、R3a、R4a及びR5aは、それぞれ独立に炭素数1〜30のアルキル基を表し、これらは更に置換されていてもよい。
【0054】
【化11】
【0055】
前記E1、E2としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、クロロアセチル基、トリフルオロアセチル基、ピバロイル基、1−メチルシクロプロピルカルボニル基、1−エチルシクロプロピルカルボニル基、ベンゾイル基、4−メトキシベンゾイル基、テノイル基等のアシル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、2−メトキシエトキシカルボニル基、4−メトキシフェノキシカルボニル基等のオキシカルボニル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基、N−2,4−ビス(ペンチルオキシ)フェニルカルバモイル基、モルホリノカルボニル基、等のカルバモイル基、シアノ基、メタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、トルエンスルホニル基等のスルホニル基、N−モルホリノスルホニル基、3−(N,N−ジエチルアミノ)プロピルアミノスルホニル基等のスルファモイル基、ジエチルホスホノ基等のホスホノ基、ベンゾオキサゾール−2−イル、ベンゾチアゾール−2−イル基、3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オン−2−イル基、3,4−ジヒドロキナゾリン−4−スルホン−2−イル基等の複素環基、が好ましい。
【0056】
また、前記E1、E2で表される電子吸引性基は、互いに結合して環を形成してもよい。形成される環としては、5員ないし6員の炭素環あるいは複素環が好ましい。
【0057】
前記一般式(1)中、Lは、ジアゾ化合物とカップリングする際に離脱可能な基を表し、例えば、ハロゲン原子、フェニルチオ基などのアリールチオ基、アセトキシ基などのアシルオキシ基、モルホリノカルボニルオキシ基などのウレタン基、ジメチルアミノメチル基などの置換アミノメチル基、又は2−イミダゾリル基などのへテロ環残基が挙げられる。
【0058】
前記一般式(1)で表されるカプラーの例としては、5,5−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジオン、1,3−シクロペンタンジオン、5−(2−n−テトラデシルオキシフェニル)−1,3−シクロヘキサンジオン、5−フェニル−4−メトキシカルボニル−1,3−シクロヘキサンジオン、5−(2,5−ジ−n−オクチルオキシフェニル)−1,3−シクロヘキサンジオン、1,3−ジシクロヘキシルバルビツール酸、1,3−ジ−n−ドデシルバルビツール酸、1−n−オクチル−3−n−オクタデシルバルビツール酸、1−フェニル−3−(2,5−ジ−n−オクチルオキシフェニル)バルビツール酸、1,3−ビス(オクタデシルオキシカルボニルメチル)バルビツール酸、1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン、1−(2,4,6−トリクロロフェニル)−3−アニリノ−5−ピラゾロン、1−(2,4,6−トリクロロフェニル)−3−ベンズアミド−5−ピラゾロン、
【0059】
6−ヒドロキシ−4−メチル−3−シアノ−1−(2−エチルヘキシル)−2−ピリドン、2−〔3−〔α−(2,4−ジ−tert−アルミフェノキシ)ブタンアミド〕ベンズアミド〕フェノール、2,4−ビス−(ベンゾイルアセトアミノ)トルエン、1,3−ビス−(ピバロイルアセトアミノメチル)ベンゼン、ベンゾイルアセトニトリル、テノイルアセトニトリル、アセトアセトアニリド、ベンゾイルアセトアニリド、ピバロイルアセトアニリド、2−クロロ−5−(N−n−ブチルスルファモイル)−1−ピバロイルアセトアミドベンゼン、1−(2−エチルヘキシルオキシプロピル)−3−シアノ−4−メチル−6−ヒドロキシ−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン、1−(ドデシルオキシプロピル)−3−アセチル−4−メチル−6−ヒドロキシ−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン、1−(4−n−オクチルオキシフェニル)−3−tert−ブチル−5−アミノピラゾール、トリフルオロアセトアセトアニリド、4−ヒドロキシクマリン、ピラゾロ〔1,5−a〕ピリミジンジオン、3−エチル−6−エトキシウラシル、等が挙げられる。
【0060】
以下に、前記一般式(1)で表されるカプラーの具体例を示す、但し、本発明においてはこれらに限定されるものではない。
【0061】
【化12】
【0062】
【化13】
【0063】
【化14】
【0064】
【化15】
【0065】
【化16】
【0066】
【化17】
【0067】
【化18】
【0068】
【化19】
【0069】
(2)解離基を有する複素芳香環のメチン基を有するカプラー
解離基を有する複素芳香環のメチン基を有するカプラーの例としては、塩基性雰囲気下でジアゾ化合物とカップリング反応して色素を形成するものであれば、特に制限はなく、本発明の目的に合致する範囲で使用できる。
【0070】
記録材料の発色性と乳化物の経時安定性の点から、下記一般式(2)又は(3)で表されるカプラーが好ましく、これらより選択される少なくとも一種を含む態様が好ましい。
【0071】
【化20】
【0072】
前記一般式(2)〜(3)中、X1、X2、X3、及びX4は、それぞれ独立に、5員芳香族ヘテロ環を形成するのに必要な原子団を表し、該原子団としては、例えば、カルコゲン原子、−SO−基、−SO2−基、−NH−基、−NR1e−基、アゾメチン基、アルキルメチン基、アルコキシメチン基、アルキルチオメチン基、アリールメチン基、アリールオキシメチン基、アリールチオメチン基、アミノメチン基、置換アミノメチン基、ハロメチン基、又は上述のE1が連結したメチン基、等が挙げられ、X1、X2及びX3、及びX1、X3及びX4は、これら原子団と他の2つの炭素原子とから完成される5員環ヘテロ環が芳香族性を有するように組合わせが決定される。R1eは、炭素数1〜30のアルキル基を表し、更に他の置換基で置換されていてもよい。
【0073】
前記X1〜X4で表される原子団の中でも、酸素原子、あるいは硫黄原子などのカルコゲン原子、イミノ基、メチルイミノ基、フェニルイミノ基などの−NR1e−基、アゾメチン基、メチルメチン基、エチルメチン基、シクロプロピルメチン基、t−ブチルメチン基などのアルキルメチン基、メトキシメチン基、2−エチルヘキシロキシメチン基などのアルコキシメチン基、プロピルチオメチン基などのアルキルチオメチン基、フェニルメチン基、3,4−ジクロロフェニルメチン基などのアリールメチン基、トルイルオキシメチン基などのアリールオキシメチン基、フェニルチオメチン基などのアリールチオメチン基、クロロメチン基などのハロメチン基、又はアセチルメチン基、2−エチルヘキサノイルメチン基、エチルスルホニルメチン基、(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチル)シクロヘキシロキシカルボニルメチン基、モルホリノカルバモイルメチン基、2−イミダゾリルメチン基、2−フタルイミド基、ベンゾチアゾール−2−イル基、などの上述のE1が直結したメチン基などが好適な例として挙げられる。
【0074】
前記一般式(2)及び(3)中のYは、アミノ基、置換アミノ基、水酸基、アルコキシ基、又は置換していてもよいアルキル基を表す。X1とYとは、互いに連結して環を形成してもよい。
【0075】
前記一般式(2)及び(3)中のLは、ジアゾ化合物とカップリングする際に離脱可能な置換基を表し、前記一般式(1)におけるLと同義である。
【0076】
以下、前記一般式(2)又は(3)で表されるカプラーの具体例を挙げるが、本発明においてはこれらに限定されるものではない。
【0077】
【化21】
【0078】
【化22】
【0079】
【化23】
【0080】
【化24】
【0081】
【化25】
【0082】
【化26】
【0083】
【化27】
【0084】
【化28】
【0085】
【化29】
【0086】
【化30】
【0087】
【化31】
【0088】
【化32】
【0089】
【化33】
【0090】
【化34】
【0091】
【化35】
【0092】
【化36】
【0093】
【化37】
【0094】
【化38】
【0095】
【化39】
【0096】
【化40】
【0097】
【化41】
【0098】
【化42】
【0099】
また、前記「解離基を有する複素芳香環のメチン基を有するカプラー」の互変異性体も好適である。
前記互変異性体とは、既述に代表されるカプラーが、媒体との相互作用により生ずる、極限構造式の別形態として存在するものであって、その両者間では構造が容易に変化しあう関係にあるものをいう。
【0100】
(3)フェノール類、ナフトール類のカプラー
フェノール類、ナフトール類のカプラーの例としては、塩基性雰囲気下でジアゾ化合物とカップリング反応して色素を形成するものであれば、特に制限はなく、本発明の目的に合致する範囲で使用できる。
【0101】
中でも、乳化物の経時安定性の点から、下記一般式(4)又は(5)で表されるカプラーが好ましく、これらより選択される少なくとも1種を含む態様が好ましい。
【0102】
【化43】
【0103】
前記一般式(4)中、X5は、6員環芳香環を形成するのに必要な原子団を表し、例えば、アゾメチン基、メチン基、ヒドロキシメチン基、アルキルメチン基、アルコキシメチン基、等が挙げられる。中でも、メチン基、ヒドロキシメチン基、アゾメチン基が好ましい。
【0104】
前記一般式(4)中、R6及びR7は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基、置換アミノ基、R1bCO基、R1bOCO基、R1bR2bNCO基、シアノ基、R3bSO2基、R1bR2bNSO2基、R4bO(R5bO)PO基、複素環残基を表し、互いに同一でも異なってもよい。
【0105】
前記R1b、R2b、R3b、R4b、及びR5bは、それぞれ独立に炭素数1〜30のアルキル基を表す。
前記R1bCO基、R1bOCO基、R1bR2bNCO基、R3bSO2基、R1bR2bNSO2基、R4bO(R5bO)PO基、複素環残基の例としては、前記E1、E2における、R1aCO基、R1aOCO基、R1aR2aNCO基、R3aSO2基、R1aR2aNSO2基、R4aO(R5aO)PO基、複素環残基の例として挙げたものを同様に挙げることができる。
【0106】
中でも、水素原子、アルキル基、アシル基、スルホニル基が好ましく、例えば、メチル基、前記E1、E2の例として挙げたアシル基又はスルホニル基、が好適である。
【0107】
前記一般式(4)中のZ1は、水酸基、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基、置換アミノ基を表す。中でも、水素原子、水酸基、置換アミノ基などが好適な例として挙げられる。
前記一般式(4)中のLは、ジアゾ化合物とカップリングする際に離脱可能な置換基を表し、前記一般式(1)におけるLと同義である。
【0108】
前記一般式(5)中、Z2、Z3、及びZ4は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基、置換アミノ基、R1cCO基、R1cOCO基、HOCO基、R1cR2cNCO基、シアノ基、R3cSO2基、HO3S基、R1cR2cNSO2基、R4cO(R5cO)PO基、複素環残基を表し、該Z2、Z3及びZ4の少なくとも一つは水酸基を表す。また、これらは同一でも異なってもよい。
前記R1c、R2c、R3c、R4c及びR5cは、それぞれ独立に、炭素数1〜30のアルキル基を表す。
【0109】
中でも、前記Z2としては、水素原子、水酸基が好ましく、前記Z3としては、水素原子、水酸基、N−プロピルカルバモイル基などのR1cR2cNCO基、N−フェニルスルファモイル基などのR1cR2cNSO2基、又はベンゾチアゾール−2−イル基、N−フタルイミド基、2−イミダゾリル基などのヘテロ環残基が好ましく、前記Z4としては、水素原子、水酸基、N−プロピルカルバモイル基などのR1cR2cNCO基、HO3S基又はN−フェニルスルファモイル基などのR1cR2cNSO2基、などが好ましい。HO3S基は、ナトリウム原子などの金属と塩を形成してもよい。
【0110】
前記一般式(5)中、R8及びR11は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基、置換アミノ基、(R1dCO)(R2dCO)N基、(R1dSO2)(R2dSO2)N基、ヘテロ環残基を表し、これらは同一でも異なってもよい。ここで、前記R1d及びR2dは、それぞれ独立に、炭素数1〜30のアルキル基を表す。
中でも、水素原子、N,N−ジアセチルアミド基などの(R1dCO)(R2dCO)N基、N,N−ジメシルアミノ基などの(R1SO2)(R2SO2)N基、などが好ましい。
【0111】
前記一般式(5)中、R9は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、HOCO基、HO3S基を表す。中でも、水素原子、ハロゲン原子、メトキシ基などのアルコキシ基、HO3S基などが好ましい。HO3S基は、ナトリウム原子などの金属と塩を形成してもよい。
【0112】
前記一般式(5)中、R10は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基を表し、中でも、水素原子、フェニルオキシ基などのアリールオキシ基、などが好ましい。
【0113】
前記一般式(4)及び(5)中のLは、ジアゾ化合物とカップリングする際に離脱可能な置換基を表し、既述の一般式(1)におけるLと同義である。
【0114】
前記カプラーの具体例としては、例えば、レゾルシン、フロログルシン、2,3−ジヒドロキシナフタレン−6−スルホン酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸アニリド、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸−2−エチルヘキシルオキシプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸−2−エチルヘキシルアミド、5−アセトアミド−1−ナフトール、1−ヒドロキシ−8−アセトアミドナフタレン−3,6−ジスルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシ−8−アセトアミドナフタレン−3,6−ジスルホン酸ジアニリド、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸オクチルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸アニリド、等が挙げられる。
【0115】
更に、下記具体例も挙げることができる。但し、本発明においてはこれらに限定されるものではない。
【化44】
【0116】
また、前記「フェノール類、ナフトール類のカプラー」の互変異性体も好適である。前記互変異性体とは、既述に代表されるカプラーが媒体との相互作用して生ずる、極限構造式の別形態として存在するものであって、その両者間では構造が容易に変化しあう関係にあるものをいう。
【0117】
前記一般式(1)〜(5)で表されるカプラーを含有する際、一般式(1)〜(5)で表されるカプラーより選択される少なくとも一種を含有すればよく、二種以上併用してもよい、また、他のカプラーを併用してもよい。
【0118】
前記カプラーの感熱記録層における含有量としては、0.70〜0.15g/cm2が好ましく、0.5〜0.2g/cm2がより好ましい。
【0119】
(ジアゾ化合物)
本発明におけるジアゾ化合物には、ジアゾニウム塩、ベンゾトリアジンオン化合物が含まれる。
−ジアゾニウム塩−
前記ジアゾニウム塩としては、Ar−N2 +・X-〔Arは、芳香族残基を表し、X-は酸アニオンを表す。〕で表される化合物が挙げられる。該化合物は、熱時前記カプラーとカップリング反応を起こして発色させると共に、光によって分解し、カップリング反応性を失活する化合物である。該化合物は、Ar部分の置換基種や置換位置によってその最大吸収波長を制御することが可能である。
【0120】
中でも、下記一般式(A)〜(D)で表される化合物が好ましい。
【化45】
【0121】
前記一般式(A)中、Ar1は、置換若しくは無置換のアリール基を表す。R51及びR52は、それぞれ独立に、置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表し、同一でも異なっていてもよい。
前記置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボアミド基、スルホニル基、スルファモイル基、スルホンアミド基、ウレイド基、ハロゲン基、アミノ基、ヘテロ環基、等が挙げられ、これら置換基は、更に置換されていてもよい。
【0122】
前記一般式(B)中、R53、R54及びR55は、それぞれ独立に、置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表し、同一でも異なっていてもよい。R56は、水素原子又はOR57基を表す。ここで、R57は、置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表す。ここでの置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボアミド基、スルホニル基、スルファモイル基、スルホンアミド基、ウレイド基、ハロゲン原子、アミノ基、ヘテロ環基等が挙げられる。
中でも、色相調節の点で、R56としては、水素原子、アルコキシ基が好ましい。
【0123】
前記一般式(C)中、R58及びR59は、それぞれ独立に、置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表す。R58とR59とは、互いに同一でも異なっていてもよい。
ここでの置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボアミド基、スルホニル基、スルファモイル基、スルホンアミド基、ウレイド基、ハロゲン原子、アミノ基、ヘテロ環基、等が挙げられる。
【0124】
前記一般式(D)中、R60及びR61は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基を表す。
【0125】
前記R60又はR61で表されるアルキル基としては、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、無置換でも置換基を有していてもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、n−デシル基、n−ドデシル基、2−クロロエチル基、2−メタンスルホニルエチル基、2−メトキシエチル基、N,N−ジブチルカルバモイルメチル基、2−エトキシカルボニルエチル基、ブトキシカルボニルメチル基、2−イソプロピルオキシエチル基、2−(2,5−ジ−t−アミルフェノキシ)エチル基、2−フェノキシエチル基、1−(4−メトキシフェノキシ)−2−プロピル基、1−(2,5−ジ−t−アミルフェノキシ)−2−プロピル基、アリル基、ベンジル基、α−メチルベンジル基、4−クロロベンジル基、2−クロロベンジル基、3,4−ジクロロベンジル基、4−フルオロベンジル基、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロメチル基、等が好適に挙げられる。
【0126】
前記R60又はR61で表されるアリール基としては、炭素数6〜30のアリール基が好ましく、無置換でも置換基を有していてもよく、例えば、フェニル基、4−メチルフェニル基、2−クロロフェニル基、等が挙げられる。
中でも、炭素数6〜10のアリール基がより好ましく、フェニル基、4−メチルフェニル基は特に好ましい。
【0127】
前記一般式(D)中、R60及びR61がアルキル基を表す場合、R60及びR61が互いに結合して環構造を形成し、窒素原子を含む環状基を形成していてもよい。該環状基としては、例えば、ピロリジノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、4−オクタノイルピペラジノ基、4−(2−(2,4−ジ−t−アミルフェノキシ))ブタノイルピペラジノ基、4−(2−(n−オクチルオキシ)−5−t−オクチルフェニル)スルホニルピペラジノ基、ヘキサメチレンイミノ基、インドリノ基等が挙げられ、中でも、ピロリジノ基、ヘキサメチレンイミノ基が好ましい。また、前記一般式(D)中のR60及びR61としては、そのいずれか少なくとも一方がメチル基であることがより好ましい。
【0128】
前記一般式(D)中のR62は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基を表し、塩素原子、エチル基、メチル基、メトキシ基、n−ブトキシ基、フェノキシ基、等が好ましい。
【0129】
前記一般式(D)中のR63及びR64は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子を表す。
ここでのアルキル基及びアリール基は、前記R60及びR61における場合と同義であり、前記R63及びR64のいずれか少なくとも一方がメチル基であることがより好ましい。
前記R62〜R64で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、中でも、フッ素原子、塩素原子が好ましい。
【0130】
前記一般式(D)中のR65、R66、R67、R68、及びR69は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アミド基、シアノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基を表す。但し、前記R65〜R69の少なくとも1つはハロゲン原子を表す。
【0131】
前記R65〜R69で表される、アルキル基及びアリール基は、前記R60及びR61における場合と同義であり、ハロゲン原子は、前記R62〜R64における場合と同義である。
【0132】
前記R65〜R69で表されるアルコキシ基としては、炭素数1〜20のアルコキシ基が好ましく、無置換でも置換基を有していてもよく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、トリフルオロメトキシ基、2−エトキシエトキシ基、2−クロロエトキシ基、2−フェノキシエトキシ基、ベンジルオキシ基、2−クロロベンジルオキシ基、4−クロロベンジルオキシ基、3,4−ジクロロベンジルオキシ基、アリルオキシ−2,4−ジ−t−アミルフェノキシエトキシ基、2,4−ジ−t−アミルフェノキシブトキシ基等が挙げられる。
中でも、炭素数1〜10のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−ブトキシ基、ベンジルオキシ基は特に好ましい。
【0133】
前記R65〜R69で表されるアリールオキシ基としては、炭素数6〜20のアリールオキシ基が好ましく、無置換でも置換基を有していてもよく、例えば、フェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−クロロフェノキシ基、2−クロロフェノキシ基、2,4−ジ−t−アミルフェノキシ基等が挙げられる。
中でも、炭素数6〜10のアリールオキシ基がより好ましく、フェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基は特に好ましい。
【0134】
前記R65〜R69で表されるアルコキシカルボニル基としては、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基が好ましく、無置換でも置換基を有していてもよく、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、2−エトキシエトキシカルボニル基、等が挙げられる。
中でも、炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基がより好ましく、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基は特に好ましい。
【0135】
前記R65〜R69で表されるアシルオキシ基としては、炭素数2〜20のアシルオキシ基が好ましく、無置換でも置換基を有していてもよく、例えば、アセチルオキシ基、ブタノイルオキシ基、クロロアセチルオキシ基、フェノキシアセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、等が挙げられる。
中でも、炭素数3〜10のアシルオキシ基がより好ましく、アセチルオキシ基、フェノキシアセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基は特に好ましい。
【0136】
前記R65〜R69で表されるカルバモイル基としては、炭素数1〜20のカルバモイル基が好ましく、無置換でも置換基を有していてもよく、例えば、無置換のカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、ピペリジノカルボニル基、N,N−ジ(2−エチルヘキシル)カルバモイル基、等が挙げられる。
中でも、炭素数1〜10のカルバモイル基がより好ましく、無置換のカルバモイル基、ピペリジノカルボニル基は特に好ましい。
【0137】
前記R65〜R69で表されるアミド基としては、炭素数2〜20のアミド基が好ましく、無置換でも置換基を有していてもよく、例えば、アセチルアミノ基、ブタノイルアミノ基、ピバロイルアミノ基、オクタノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、等が挙げられる。
中でも、炭素数2〜10のアミド基がより好ましく、アセチルアミノ基、ブタノイルアミノ基は特に好ましい。
【0138】
前記R65〜R69で表されるアルキルチオ基としては、炭素数1〜20のアルキルチオ基が好ましく、無置換でも置換基を有していてもよく、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、ブチルチオ基、オクチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、ドデシルチオ基、ベンジルチオ基等が挙げられる。
中でも、炭素数1〜10のアルキルチオ基がより好ましく、メチルチオ基、エチルチオ基、ブチルチオ基、ベンジルチオ基は特に好ましい。
【0139】
前記R65〜R69で表されるアリールチオ基としては、炭素数6〜20のアリールチオ基が好ましく、無置換でも置換基を有していてもよく、例えば、フェニルチオ基、4−クロロフェニルチオ基、2−クロロフェニルチオ基、4−メチルチオ基等が挙げられる。
中でも、炭素数6〜10のアリールチオ基がより好ましく、フェニルチオ基、2−クロロフェニルチオ基は特に好ましい。
【0140】
前記R65〜R69で表されるアルキルスルホニル基としては、炭素数1〜20のアルキルスルホニル基が好ましく、無置換でも置換基を有していてもよく、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、オクチルスルホニル基、ドデシルスルホニル基、ベンジルスルホニル基等が挙げられる。
中でも、炭素数1〜10のアルキルスルホニル基がより好ましく、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、ベンジルスルホニル基は特に好ましい。
【0141】
前記R65〜R69で表されるアリールスルホニル基としては、炭素数1〜20のアリールスルホニル基が好ましく、無置換でも置換基を有していてもよく、例えば、フェニルスルホニル基、4−クロロフェニルスルホニル基、2−クロロフェニルスルホニル基、4−メチルスルホニル基等が挙げられる。
中でも、炭素数6〜10のアリールスルホニル基がより好ましく、フェニルスルホニル基、2−クロロフェニルスルホニル基は特に好ましい。
【0142】
前記一般式(D)において、前記R60〜R69で表される各基が置換基を有する場合の該置換基としては、既述の一般式(A)で表されるジアゾニウム塩における置換基のいずれであってもよい。即ち、ジアゾニウム塩の二量体又はそれ以上の多量体を形成していてもよい。
【0143】
前記一般式(A)〜(D)中のX-は、陰イオンを表す。該陰イオンとしては、無機陰イオン、有機陰イオンのいずれであってもよい。
前記無機陰イオンとしては、例えば、ヘキサフルオロリン酸イオン、ホウフッ化水素酸イオン、塩化物イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオンが好適に挙げられ、中でも、ヘキサフルオロリン酸イオン、ホウフッ化水素酸イオンが好ましい。
前記有機陰イオンとしては、例えば、ポリフルオロアルキルスルホン酸イオン、ポリフルオロアルキルカルボン酸イオン、テトラフェニルホウ酸イオン、芳香族カルボン酸イオン、芳香族スルホン酸イオン等が好適に挙げられ、中でも、ポリフルオロアルキルスルホン酸イオンがより好ましい。
【0144】
以下に、好適な具体例を示す。但し、本発明においてはこれらに限定されるものではない。
【0145】
【化46】
【0146】
【化47】
【0147】
【化48】
【0148】
【化49】
【0149】
【化50】
【0150】
【化51】
【0151】
【化52】
【0152】
−ベンゾトリアジンオン化合物−
ベンゾトリアジンオン化合物としては、以下に示す一般式(E)又は(F)で表される化合物が挙げられる。これら化合物は、熱時カプラーとカップリング反応を起こして発色し得ると共に、光によって分解しカップリング反応性を失活する化合物である。
【0153】
【化53】
【0154】
前記一般式(E)で表される化合物は、R70、R71、R72、R73、及びR74により、その最大吸収波長を制御することが可能である。
【0155】
前記一般式(E)中、R70、R71、R72、及びR73は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、−OR75、−SR75、−COOR75、−CONR75R76、−SO2R75、−SO2NR75R76、−COR75、−NR75R76、ニトロ基、及びシアノ基より選択される基を表す。R75及びR76は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、及びアシル基より選択される基を表す。R74は、水素原子、アルキル基、アリール基、−COOR77、−CONR77R78、−SO2R77、−SO2NR77R78、及び−COR77より選択される基を表し、R77及びR78は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、及びアシル基より選択される基を表す。
【0156】
前記R70〜R73で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、中でも、フッ素原子、塩素原子が好ましい。
【0157】
前記R70〜R73がアルキル基を表す場合、該アルキル基は、無置換でも置換基を有していてもよく、また、直鎖状、分岐状のいずれであってもよく、不飽和結合を有していてもよい。
【0158】
前記R70〜R73で表されるアルキル基としては、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素数1〜10のアルキル基がより好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、ドデシル基、2−クロロエチル基、2−メタンスルホニルエチル基、2−メトキシエチル基、2−ベンゾイルオキシエチル基、N,N−ジブチルカルバモイルメチル基、2−エトキシカルボニルエチル基、ブトキシカルボニルメチル基、2−イソプロピルオキシエチル基、2−(2,5−ジ−t−アミルフェノキシ)エチル基、2−フェノキシエチル基、1−(4−メトキシフェノキシ)−2−プロピル基、1−(2,5−ジ−t−アミルフェノキシ)−2−プロピル、ベンジル基、α−メチルベンジル基、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、等が好ましい。
【0159】
前記R70〜R73がアリール基を表す場合、該アリール基は、無置換でも置換基を有していてもよく、中でも、炭素数6〜30のアリール基が好ましい。具体的には、フェニル基、4−メチルフェニル基、2−クロロフェニル基、等が好ましい。
【0160】
前記R70〜R73が、−OR75、−SR75、−COOR75、−CONR75R76、−SO2R75、−SO2NR75R76、−COR75、又はNR75R76を表す場合、R75及びR76は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、及びアシル基より選択される基を表す。
【0161】
前記R75又はR76がアルキル基を表す場合、該アルキル基は、無置換でも置換基を有していてもよく、中でも、炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、炭素数1〜10のアルキル基がより好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、i−プロピル基、s−ブチル基、t−ブチル基、t−アミル基、2−エチルヘキシル基、イソノニル基等が好適に挙げられる。
【0162】
前記R75及びR76がアリール基を表す場合、該アリール基は、無置換でも置換基を有していてもよく、中でも、炭素数6〜30のアリール基が好ましい。具体的には、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2−クロロフェニル基、2,5−ジ−t−アミノフェニル基、等が好ましい。
【0163】
前記R75及びR76がアシル基を表す場合、該アシル基は、無置換でも置換基を有していてもよく、中でも、炭素数1〜30のアシル基が好ましく、炭素数1〜10のアシル基がより好ましい。具体的には、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、ベンゾノイル基、等が挙げられる。
【0164】
前記R74がアルキル基を表す場合、該アルキル基は、無置換でも置換基を有していてもよく、中でも、炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、炭素数1〜10のアルキル基がより好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、i−プロピル基、s−ブチル基、t−ブチル基、t−アミル基、2−エチルヘキシル基、イソノニル基等が好適である。
【0165】
前記R74がアリール基を表す場合、該アリール基は、無置換でも置換基を有していてもよく、中でも、炭素数6〜30のアリール基が好ましい。具体的には、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2−クロロフェニル基、2,5−ジ−t−アミルフェニル基、イソノニル基等が好ましい。
【0166】
前記R74がアシル基を表す場合、該アシル基は、無置換でも置換基を有していてもよく、中でも、炭素数1〜30のアシル基が好ましく、炭素数1〜10のアシル基がより好ましい。具体的には、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、ベンゾノイル基、等が挙げられる。
【0167】
以下、前記一般式(E)で表される化合物の好適な具体例を挙げるが、本発明においてはこれらに限定されるものではない。
【0168】
【化54】
【0169】
【化55】
【0170】
【化56】
【0171】
【化57】
【0172】
【化58】
【0173】
【化59】
【0174】
【化60】
【0175】
次に、下記一般式(F)で表される化合物の具体例を示す。
【化61】
【0176】
【化62】
【0177】
【化63】
【0178】
【化64】
【0179】
【化65】
【0180】
前記ジアゾ化合物の感熱記録層における含有量としては、0.3〜0.06g/cm2が好ましく、0.25〜0.086g/cm2がより好ましい。
【0181】
(塩基性物質)
塩基性物質としては、無機あるいは有機の塩基性化合物のほか、加熱時に分解等を生じアルカリ物質を放出する化合物も含まれる。代表的なものには、有機アンモニウム塩、有機アミン、アミド、尿素及びチオ尿素並びにそれらの誘導体、チアゾール類、ピロール類、ピリミジン類、ピペラジン類、グアニジン類、インドール類、イミダゾール類、イミダゾリン類、トリアゾール類、モルホリン類、ピペリジン類、アミジン類、フォルムアジン類、ピリジン類等の含窒素化合物が挙げられる。
【0182】
これらの具体例としては、トリシクロヘキシルアミン、トリベンジルアミン、オクタデシルベンジルアミン、ステアリルアミン、アリル尿素、チオ尿素、メチルチオ尿素、アリルチオ尿素、エチレンチオ尿素、2−ベンジルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾリン、2,4,5−トリフリル−2−イミダゾリン、1,2−ジフェニル−4,4−ジメチル−2−イミダゾリン、2−フェニル−2−イミダゾリン、1,2,3−トリフェニルグアニジン、1,2−ジシクロヘキシルグアニジン、1,2,3−トリシクロヘキシルグアニジン、グアニジントリクロロ酢酸塩、N,N’−ジベンジルピペラジン、4,4’−ジチオモルホリン、モルホリニウムトリクロロ酢酸塩、2−アミノベンゾチアゾール、2−ベンゾイルヒドラジノベンゾチアゾール、などが挙げられる。
これらは二種以上を併用してもよい。
【0183】
(電子供与性染料前駆体、電子受容性化合物)
前記電子供与性染料前駆体及び電子受容性化合物については、特開平6−328860号公報、特開平7−290826号公報、特開平7−314904号公報、特開平8−324116号公報、特開平3−37727号公報、特開平9−31345号公報、特開平9−111136号公報、特開平9−118073号公報、特開平11−157221号公報、などに詳しく記載されており、適宜選択することができる。
以下、その好適な具体例を示すが、本発明においてはこれらに限定されるものではない。
【0184】
(電子供与性染料前駆体の具体例)
【化66】
【0185】
【化67】
【0186】
【化68】
【0187】
【化69】
【0188】
(電子受容性化合物の具体例)
前記電子受容性化合物としては、フェノール誘導体、サリチル酸誘導体、ヒドロキシ安息香酸エステル、等が挙げられる。中でも、ビスフェノール類、ヒドロキシ安息香酸エステル類が特に好ましい。これらの一例として、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(即ち、ビスフェノールP)、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクロロフェニル)プロパン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸及びその多価金属塩、3,5−ジ(tert−ブチル)サリチル酸及びその多価金属塩、3−α,α−ジメチルベンジルサリチル酸及びその多価金属塩、p−ヒドロキシ安息香酸ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸−2−エチルヘキシル、p−フェニルフェノール、p−クミルフェノール、等が挙げられる。
【0189】
前記電子供与性染料前駆体の感熱記録層における含有量としては、1〜0.1g/cm2が好ましく、0.7〜0.15g/cm2がより好ましい。
また、前記電子受容性化合物の感熱記録層における含有量(質量)としては、電子供与性染料前駆体1質量部に対して0.1〜30質量%が好ましい。
【0190】
既述のジアゾ化合物、該ジアゾ化合物と熱時反応して呈色するカプラー、塩基性物質、及び増感剤の使用形態としては、特に制限はなく適宜選択できる。即ち、(1)固体分散して使用する方法、(2)乳化分散して使用する方法、(3)ポリマー分散して使用する方法、(4)ラテックス分散して使用する方法、(5)マイクロカプセル化して使用する方法、などが挙げられる。
中でも、保存性の観点から、マイクロカプセル化して使用する方法が好ましく、該マイクロカプセルは、熱印加により画像形成し得る熱応答性のマイクロカプセルとすることがより好ましく、ジアゾ化合物をマイクロカプセル(より好ましくは熱応答性)に内包する態様が特に好ましい。したがって、本発明に係る記録層としては、熱時発色し記録可能な感熱記録層とする態様が特に好ましい。
【0191】
〈マイクロカプセル化〉
マイクロカプセル化の方法としては、従来公知のマイクロカプセルの方法を用いることができる。即ち、呈色剤、添加剤及びマイクロカプセル壁前駆体を水に難溶又は不溶の有機溶剤に溶解し、水溶性高分子の水溶液中に添加しホモジナイザーなどを用いて乳化分散し昇温して、マイクロカプセル壁となる高分子物質を油/水界面に壁膜として形成することにより調製することができる。
【0192】
前記有機溶剤としては、酢酸エステル、メチレンクロライド、シクロヘキサノン等の低沸点補助溶剤、及び/又は、リン酸エステル、フタル酸エステル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、その他のカルボン酸エステル、脂肪酸アミド、アルキル化ビフェニル、アルキル化ターフェニル、アルキル化ナフタレン、ジアリールエタン、塩素化パラフィン、エーテル系、モノオレフィン系、エポキシ系などの高沸点オイルが挙げられる。
【0193】
前記高沸点オイルとしては、例えば、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、リン酸オクチルジフェニル、リン酸トリシクロヘキシル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジラウレート、フタル酸ジシクロヘキシル、オレフィン酸ブチル、ジエチレングリコールベンゾエート、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、アジピン酸ジオクチル、トリメリット酸トリオクチル、クエン酸アセチルトリエチル、マレイン酸オクチル、マレイン酸ジブチル、イソアミルビフェニル、塩素化パラフィン、ジイソプロピルナフタレン、1,1’−ジトリルエタン、2,4−ジターシャリアミルフェノール、N,N−ジブチル−2−ブトキシ−5−ターシャリオクチルアニリン、ヒドロキシ安息香酸2−エチルヘキシルエステルなどが挙げられる。
中でも特に、リン酸エステル系、カルボン酸系エステル系、アルキル化ビフェニル、アルキル化ターフェニル、アルキル化ナフタレン、ジアリールエタンが好ましい。
【0194】
更に、前記高沸点オイルに、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン等の炭化防止剤を添加してもよい。また、オイルとしては、特に不飽和脂肪酸を有するものが望ましく、α−メチルスチレンダイマー等を挙げることができる。α−メチルスチレンダイマーには、例えば、三井東圧化学製の商品名「MSD100」等がある。
【0195】
前記水溶性高分子としては、ポリビニルアルコールなどの水溶性高分子が用いられるが、疎水性高分子のエマルジョン又は、ラテックスなどを併用することもできる。該水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アミノ変性ポリビニルアルコール、イタコン酸変性ポリビニルアルコール、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ブタジエン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリアクリルアミド、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルピロリドン、エチレン−アクリル酸共重合体、ゼラチン、などが挙げられ、中でも特に、カルボキシ変性ポリビニルアルコール又はゼラチンが好ましい。
疎水性高分子のエマルジョンあるいはラテックスとしては、スチレン−ブタジエン共重合体、カルボキシ変性スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体などが挙げられる。このとき、必要に応じて従来公知の界面活性剤等を加えてもよい。
【0196】
マイクロカプセルの壁膜となる高分子物質の具体例としては、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アミノアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリレート共重合体樹脂、スチレン−メタクリレート共重合体樹脂、ゼラチン、ポリビニルアルコール、等が挙げられる。中でも、ポリウレタン・ポリウレア樹脂が好ましい。
【0197】
ポリウレタン・ポリウレア樹脂からなる壁膜を有するマイクロカプセルは、多価イソシアネート等のマイクロカプセル壁前駆体をカプセル化すべき芯物質中に混合し、ポリビニルアルコール又はゼラチン等の水溶性高分子の水溶液に乳化分散し、液温を上昇させて油滴界面で高分子形成反応を起こすことによって製造される。
【0198】
前記多価イソシアネート化合物の具体例の一部を以下に示す。即ち、
例えば、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、キシレン−1,4−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、プロピレン−1,2−ジイソシアネート、ブチレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,4−ジイソシアネート等のジイソシアネート類、4,4’,4’’−トリフェニルメタントリイソシアネート、トルエン−2,4,6−トリイソシアネート等のトリイソシアネート類、4,4’−ジメチルフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネート等のテトライソシアネート類、ヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物、2,4−トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物、キシリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物、トリレンジイソシアネートとヘキサントリオールとの付加物等のイソシアネートプレポリマー等が挙げられる。また、必要に応じて二種類以上を併用してもよい。
【0199】
マイクロカプセル化する方法において、呈色剤、添加剤及びマイクロカプセル壁前駆体を溶解させる有機溶剤としては、乳化分散で示したオイルと同様のものを用いることができ、水溶性高分子についても同様である。
【0200】
マイクロカプセルの粒径としては、0.1〜1.0μmが好ましく、更に好ましくは0.2〜0.7μmである。
【0201】
(他の成分)
〈増感剤〉
増感剤としては、分子内に芳香族性の基と極性基を適度に有している低融点有機化合物が好ましく、例えば、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、α−ナフチルベンジルエーテル、β−ナフチルベンジルエーテル、β−ナフトエ酸フェニルエステル、α−ヒドロキシ−β−ナフトエ酸フェニルエステル、β−ナフトール−(p−クロロベンジル)エーテル、1,4−ブタンジオールフェニルエーテル、1,4−ブタンジオール−p−メチルフェニルエーテル、1,4−ブタンジオール−p−エチルフェニルエーテル、1,4−ブタンジオール−m−メチルフェニルエーテル、1−フェノキシ−2−(p−トリルオキシ)エタン、1−フェノキシ−2−(p−エチルフェノキシ)エタン、1−フェノキシ−2−(p−クロロフェノキシ)エタン、p−ベンジルビフェニル、等が挙げられる。
【0202】
〈酸化防止剤〉
本発明においては、耐光性を更に向上させる目的で、以下に示す公知の酸化防止剤を用いることができる。
例えば、ヨーロッパ公開特許第310551号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、ヨーロッパ公開特許第310552号公報、特開平3−121449号公報、ヨーロッパ公開特許第459416号公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71262号公報、特開昭63−163351号公報、アメリカ特許第4814262号、特開昭54−48535号公報、特開平5−61166号公報、特開平5−119449号公報、アメリカ特許第4980275号、特開昭63−113536号公報、特開昭62−262047号公報、ヨーロッパ公開特許第223739号公報、ヨーロッパ公開特許第309402号公報、ヨーロッパ公開特許第309401号公報、等に記載のものが挙げられる。具体的には次のようなものが挙げられる。
【0203】
【化70】
【0204】
【化71】
【0205】
【化72】
【0206】
更に、既に感熱記録材料、感圧記録材料として公知の各種添加剤を用いることも有効である。これらのうち、酸化防止剤の一部として、特開昭60−125470号公報、特開昭60−125471号公報、特開昭60−125472号公報、特開昭60−287485号公報、特開昭60−287486号公報、特開昭60−287487号公報、特開昭62−146680号公報、特開昭60−287488号公報、特開昭62−282885号公報、特開昭63−89877号公報、特開昭63ー88380号公報、特開昭63−088381号公報、特開平01−239282号公報、特開平04−291685号公報、特開平04−291684号公報、特開平05−188687号公報、特開平05−188686号公報、特開平05−110490号公報、特開平05−1108437号公報、特開平05−170361号公報、特開昭63−203372号公報、特開昭63−224989号公報、特開昭63−267594号公報、特開昭63−182484号公報、特開昭60−107384号公報、特開昭60−107383号公報、特開昭61−160287号公報、特開昭61−185483号公報、特開昭61−211079号公報、特開昭63−251282号公報、特開昭63−051174号公報、特公昭48−043294号公報、特公昭48−033212号公報、等に記載の化合物が挙げられる。
【0207】
具体的には、例えば、6−エトキシ−1−フェニル−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、6−エトキシ−1−オクチル−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、6−エトキシ−1−フェニル−2,2,4−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、6−エトキシ−1−オクチル−2,2,4−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、シクロヘキサン酸ニッケル、2,2−ビス−4−ヒドロキシフェニルプロパン、1,1−ビス−4−ヒドロキシフェニル−2−エチルヘキサン、2−メチル−4−メトキシ−ジフェニルアミン、1−メチル−2−フェニルインドール、及び下記化合物が挙げられる。
【0208】
【化73】
【0209】
【化74】
【0210】
【化75】
【0211】
【化76】
【0212】
前記酸化防止剤は、感熱記録層又は中間層、光透過率調整層、保護層に添加することができる。前記酸化防止剤などを組合せて使用する場合、例えば、具体例(Q−7)、(Q−45)、(Q−46)又は(Q−10)と、具体例(Q−13)との組合せ、等が挙げられる。
【0213】
−支持体−
本発明における支持体としては、プラスチックフィルム、紙、プラスチック樹脂ラミネート紙、合成紙、等を用いることができる。
【0214】
−他の層−
本発明の記録材料においては、支持体上に記録層のほか、光透過率調整層、中間層、保護層などの他の層を積層してもよい。
〈光透過率調整層〉
光透過率調整層は、紫外線吸収剤の前駆体として機能する成分を含有してなり、定着に必要な領域の波長の光照射前は紫外線吸収剤として機能しないので、光透過率が高く、光定着型感熱記録層を定着する際、定着に必要な領域の波長を十分に透過させ、また、可視光線の透過率も高く、感熱記録層の定着に支障は生じない。光透過率調整層の特性は、光定着型感熱記録層の特性に応じて任意に選定することができる。
【0215】
この紫外線吸収剤の前駆体は、光定着型感熱記録層の光照射による定着に必要な領域の波長の光照射が終了した後、光又は熱などで反応することにより紫外線吸収剤として機能するようになり、紫外線領域の定着に必要な領域の波長の光は紫外線吸収剤によりその大部分が吸収され、透過率が低くなり、感熱記録材料の耐光性が向上するが、可視光線の吸収効果がないから、可視光線の透過率は実質的に変わらない。
【0216】
本発明において、光透過率調整層に含有される化合物として、例えば、特開平9−1928号公報に記載の化合物を用いることができる。
【0217】
光透過率調整層は、(光定着型)記録材料に少なくとも1層設けることが好ましく、(光定着型)マゼンタ感熱記録層と最外層である保護層との間に形成することが最も好ましい。
【0218】
〈中間層〉
各記録層相互間の混色を防ぐ目的で、各記録層間に中間層を設けることもできる。該中間層は、ゼラチン、フタル化ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子化合物からなるのが好ましく、適宜各種添加剤を含んでいてもよい。
また、支持体としてラミネート紙など酸素透過率の高いものを用いる場合、酸素カット層として下塗り層を設けると、耐光性を改良することができる。
【0219】
中間層、下塗り層にはより薄層にて混色防止、耐光性を向上させるために特願平7−113825号に記載の膨潤性無機層状化合物を含有させることが有効である。
【0220】
〈保護層〉
また、必要に応じて(感熱)記録層上に保護層を設けてもよく、二層以上積層してもよい。
前記保護層に用いる材料としては、例えば、ポリビニルアルコール、カルボキシ変成ポリビニルアルコール、酢酸ビニル−アクリルアミド共重合体、珪素変性ポリビニルアルコール、澱粉、変性澱粉、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ゼラチン類、アラビアゴム、カゼイン、スチレン−マレイン酸共重合体加水分解物、スチレン−マレイン酸共重合物ハーフエステル加水分解物、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体加水分解物、ポリアクリルアミド誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリスチレンスルホン酸ソーダ、アルギン酸ソーダ等の水溶性高分子化合物、及びスチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラテックス、酢酸ビニルエマルジョン等のラテックス類、等が挙げられる。
【0221】
前記水溶性高分子化合物は、架橋させることで、より一層保存安定性を向上させることもできる。該架橋剤としては、公知の架橋剤の中から適宜選択することができ、例えば、N−メチロール尿素、N−メチロールメラミン、尿素−ホルマリン等の水溶性初期縮合物;グリオキザール、グルタルアルデヒド等のジアルデヒド化合物類;硼酸、硼砂等の無機系架橋剤;ポリアミドエピクロルヒドリン等が挙げられる。
【0222】
前記保護層には、さらに公知の顔料、金属石鹸、ワックス、界面活性剤等を使用することもできる。また、公知の紫外線吸収剤やその前駆体を含有させてもよい。
【0223】
保護層は、支持体上に記録層を形成する場合と同様、上述の公知の塗布方法を用いて塗布形成することができる。
塗布形成する場合、該層形成用の塗布液の塗布量としては、乾燥塗布量で0.2〜5g/m2が好ましく、0.5〜2g/m2がより好ましい。その層厚としては、0.2〜5μmが好ましく、0.5〜2μmがより好ましい。
【0224】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下、実施例中の「部」及び「%」は、それぞれ「質量部」及び「質量%」を表す。
【0225】
(実施例1)
<下塗り層付き支持体の作製>
酵素分解ゼラチン(平均分子量:10000、PAGI法粘度:1.5mPa・s(15mP)、PAGI法ゼリー強度:20g)40部をイオン交換水60部に加えて40℃で攪拌溶解して下塗り層用ゼラチン水溶液を調製した。
別途、水膨潤性の合成雲母(アスペクト比:1000、商品名:ソマシフME100,コープケミカル社製)8部と水92部とを混合した後、ビスコミルで湿式分散し、体積平均粒径が2.0μmの雲母分散液を得た。この雲母分散液に雲母濃度が5%となるように水を加え、均一に混合し、所望の雲母分散液を調製した。
【0226】
次いで、40℃とした40%の前記下塗り層用ゼラチン水溶液100部に、水120部及びメタノール556部を加え、十分攪拌混合した後、5%前記雲母分散液208部を加えて十分攪拌混合し、1.66%ポリエチレンオキサイド系界面活性剤9.8部を加えた。そして液温を35℃〜40℃に保ち、ゼラチン硬膜剤としてエチレンジグリシジルエーテル7.3部を加えて、下塗り層用塗布液(5.7%)を調製した。
【0227】
この下塗り用塗布液を、雲母の塗布量が0.2g/m2となるように、上質紙の両面にポリエチレンフィルムをラミネートしてなる支持体の片面側に塗布し、下塗り層を形成し、下塗り層付き支持体とした。
【0228】
<乳化物作製用ゼラチン溶液の調製>
アルカリ処理低イオンゼラチン(商品名;#750ゼラチン、新田ゼラチン(株)製)25.5部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液、大東化学工業所(株)製)0.73部、水酸化カルシウム0.15部、及びイオン交換水144部を混合して50℃下で溶解し、乳化物作製用ゼラチン水溶液を得た。
【0229】
<ジアゾニウム塩内包マイクロカプセル液(a)の調製>
酢酸エチル15.0部に、下記ジアゾニウム塩(A)(最大吸収波長420nm)3.2部、及び下記ジエン化合物(en−1)10.7部を添加し加熱して均一に溶解した。得られた混合液に、カプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物とキシリレンジイソシアネート/ビスフェノールA付加物との混合物(商品名:タケネートD119N(50%酢酸エチル溶液),武田薬品工業(株)製)9.7部を添加し、均一に攪拌し混合液(I)を得た。
【0230】
別途、8%フタル化ゼラチン水溶液65部にイオン交換水18.1質量部、Scraph AG−8(50%、日本精化(株)製)0.38部添加し、更に前記より得た混合液(I)(溶液)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られた乳化液に水10部を加え均一化した後、40℃下で攪拌しながら3時間カプセル化反応を行った。その後、イオン交換樹脂アンバーライトIRA68(オルガノ(株)製)4.6部、アンバーライトIRC50(オルガノ(株)製)9.2部を加え、更に1時間攪拌した。そして、イオン交換樹脂を濾過して取り除き、5%のハイドロキノン水溶液0.7部を添加し攪拌した後、マイクロカプセル液の固形分濃度が24.5%になるようにイオン交換水を加えて濃度調節し、ジアゾニウム塩内包マイクロカプセル液(a)を得た。得られたマイクロカプセルの粒径は、粒径測定(LA−700、堀場製作所(株)製)の結果、メジアン径で0.40μmであった。
【0231】
【化77】
【0232】
<カプラー分散乳化液(a)の調製>
酢酸エチル31.9部に、下記カプラー(B)5.2部、トリフェニルグアニジン(保土ヶ谷化学(株)製)3.3部、ジエノファイル化合物(phile−1)22部、4−(2−エチル−1−ヘキシルオキシ)ベンゼンスルホン酸アミド(マナック(株)製)13.3部、4−n−ペンチルオキシベンゼンスルホン酸アミド(マナック(株)製)6.8部、1−ドデシル−2−ピロリジノン6.8部、及びドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名:パイオニンA−41−C(70%メタノール溶液),竹本油脂(株)製)4.2部を溶解し、混合液(II)を得た。
【0233】
別途、前記より得た乳化物作製用ゼラチン水溶液158.1部にイオン交換水137.5部を混合し、更に前記より得た混合液(II)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて、40℃、10000rpmで10分間乳化分散した。得られたカプラー分散液を減圧、加熱し、酢酸エチルを除去した後、固形分濃度が20%になるように濃度調節して、カプラー分散乳化液(a)を得た。
得られたカプラー分散乳化液(a)の粒径は、粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製)の結果、メジアン径で0.23±0.05μmであった。
【0234】
【化78】
【0235】
<感熱記録層用塗布液の調製>
前記より得られた、ジアゾニウム塩内包マイクロカプセル液(a)及びカプラー分散乳化液(a)を、カプラー(B)/ジアゾニウム塩(A)のモル比が2/1になるように混合した。更に、ポリスチレンスルホン酸(一部水酸化カリウム中和型)水溶液(5%)を前記ジアゾニウム塩内包マイクロカプセル液(a)10部に対して0.2部になるように混合し、感熱記録層用塗布液(1)を得た。
【0236】
<中間層用塗布液の調製>
15%アルカリ処理低イオンゼラチン(商品名;#750ゼラチン,新田ゼラチン(株)製)水溶液10.0部、4−[(4−ノニルフェノキシ)−トリ(オキシエチレン)]ブチルスルホン酸ナトリウム(三協化学(株)製、2.0%水溶液)0.05部、硼酸(4.0%水溶液)1.5部、ポリスチレンスルホン酸(一部水酸化カリウム中和型)水溶液(5%)0.19部、N,N’−エチレン−ビス(ビニルスルホニルアセトアミド)、N,N’−トリメチレン−ビス(ビニルスルホニルアセトアミド)、クエン酸ナトリウムの混合水溶液(4%)(和光純薬(株)製)4.53部、及びイオン交換水0.67部を混合し、中間層用塗布液を得た。
【0237】
<光透過率調整層用塗布液の調製>
(紫外線吸収剤前駆体内包マイクロカプセル液の調製)
酢酸エチル71部に、紫外線吸収剤前駆体として[2−アリル−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−t−オクチルフェニル]ベンゼンスルホナート14.5部、2,5−ビス(t−オクチル)ハイドロキノン5.0部、燐酸トリクレジル1.9部、α−メチルスチレンダイマー(商品名:MSD−100,三井化学(株)製)5.7部、及びドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名:パイオニンA−41−C(70%メタノール溶液),竹本油脂(株)製)0.45部を溶解し均一に溶解した。この混合液に、カプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(商品名;タケネートD110N(75%酢酸エチル溶液),武田薬品工業(株)製)54.0部を添加して均一に攪拌し、紫外線吸収剤前駆体混合液(III)を得た。
【0238】
別途、イタコン酸変性ポリビニルアルコール(商品名:KL−318、(株)クラレ製)52部に30%燐酸水溶液8.9部、イオン交換水532.6部を混合し、紫外線吸収剤前駆体内包マイクロカプセル液用PVA水溶液を調製した。
【0239】
前記より得た紫外線吸収剤前駆体内包マイクロカプセル液用PVA水溶液516.06部に前記紫外線吸収剤前駆体混合液(III)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて20℃下で乳化分散した。得られた乳化液にイオン交換水254.1部を加え均一化した後、40℃下で攪拌しながら3時間カプセル化反応を行った。その後、イオン交換樹脂アンバーライトMB−3(オルガノ(株)製)94.3部を加え、更に1時間攪拌した。そして、イオン交換樹脂を濾過して取り除き、マイクロカプセル液の固形分濃度が13.5%になるように濃度調節した。
得られたマイクロカプセルの粒径は0.30μmであった。このカプセル液859.1部にカルボキシ変性スチレンブタジエンラテックス(商品名:SN−307(48%水溶液)、住友ノーガタック(株)製)2.416部、イオン交換水39.5部を混合し、紫外線吸収剤前駆体内包マイクロカプセル液を得た。
【0240】
(光透過率調整層用塗布液の調製)
前記より得た紫外線吸収剤前駆体内包マイクロカプセル液1000部、N−(パーフルオロ−1−オクタンスルホニル)−N−プロピルアミノ酢酸カリウム塩(商品名:メガファックF−120,大日本インキ化学工業(株)製)(5%水溶液)5.2部、4%水酸化ナトリウム水溶液7.75部、及び(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム(三協化学(株)製、2.0%水溶液)73.39部を混合し、光透過率調整層用塗布液を得た。
【0241】
<保護層用塗布液の調製>
(保護層用ポリビニルアルコール溶液の調製)
ビニルアルコール/アルキルビニルエーテル共重合物(商品名:EP−130,電気化学工業(株)製)160部、アルキルスルホン酸ナトリウムとポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エステルとの混合液(商品名:ネオスコアCM−57(54%水溶液)、東邦化学工業(株)製)8.74部、イオン交換水3832部を混合し、90℃下で1時間溶解し、均一な保護層用ポリビニルアルコール溶液を得た。
【0242】
(保護層用顔料分散液の調製)
硫酸バリウム(商品名:BF−21F,硫酸バリウム含有量93%以上,堺化学工業(株)製)8部に、陰イオン性特殊ポリカルボン酸型高分子活性剤(商品名:ポイズ532A(40%水溶液),花王(株)製)0.2部、イオン交換水11.8部を混合し、ダイノミルにて分散して保護層用顔料分散液を調製した。この分散液は、粒径測定(LA−910,堀場製作所(株)製)の結果、メジアン径で0.30μm以下であった。
【0243】
(保護層用マット剤分散液の調製)
小麦澱粉(商品名:小麦澱粉S,新進食料工業(株)製)220部に1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンの水分散物(商品名:PROXEL B.D,I.C.I(株)製)3.81部、イオン交換水1976.19部を混合して均一に分散し、保護層用マット剤分散液を得た。
【0244】
(保護層用塗布液の調製)
前記より得た保護層用ポリビニルアルコール溶液1000部に、N−(パーフルオロ−1−オクタンスルホニル)−N−プロピルアミノ酢酸カリウム塩(商品名:メガファックF−120,大日本インキ化学工業(株)製)(5%水溶液)40部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム(三協化学(株)製、2.0%水溶液)50部、前記保護層用顔料分散液49.87部、前記保護層用マット剤分散液16.7部、ステアリン酸亜鉛分散液(商品名:ハイドリンF115,20.5%水溶液,中京油脂(株)製)を均一に混合し保護層用塗布液を得た。
【0245】
<感熱記録材料の作製>
前記より得た支持体の下塗り層表面に、支持体側から順に、前記中間層用塗布液、前記感熱記録層用塗布液(1)、前記光透過率調整層用塗布液、前記保護層用塗布液を4層同時に連続塗布し、30℃,相対湿度30%、及び40℃,相対湿度30%の各環境条件下で連続的に乾燥し、本発明の感熱記録材料T−1を得た。
【0246】
この際、前記感熱記録層用塗布液(1)の塗布量は、ジアゾニウム塩の固形分塗布量が0.3mmol/m2となるように塗布した。
また、上記の中間層用塗布液、光透過率調整層用塗布液、保護層用塗布液の塗布は、それぞれ固形分塗布量が3.25g/m2、2.35g/m2、1.39g/m2となるように行った。
【0247】
(実施例2)
実施例1のジアゾニウム塩内包マイクロカプセル液(a)の調製に用いたジエン化合物に代え、下記ジエン化合物(en−2)を用いたこと以外、実施例1と同様にして、本発明の感熱記録材料T−2を得た。
【0248】
【化79】
【0249】
(実施例3)
実施例1のカプラー分散乳化液(a)の調製に用いたジエノファイル化合物に代え、下記ジエノファイル化合物(phile−2)を用いたこと以外、実施例1と同様にして、本発明の感熱記録材料T−3を得た。
【0250】
【化80】
【0251】
(比較例1)
実施例1において、ジアゾニウム塩内包マイクロカプセル液(a)の調製に用いたジエン化合物(en−1)をフタル酸ジフェニルに代え、かつカプラー分散乳化液(a)の調製に用いたジエノファイル化合物(phile−1)を4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(商品名:ビスフェノールM、三井石油化学(株)製)に代えたこと以外、実施例1と同様にして、比較の感熱記録材料TH−1を得た。
【0252】
(評価1)
前記より得た感熱記録材料T−1〜T−3、及び比較の感熱記録材料TH−1について、下記評価を行った。評価結果は下記表1に示す。
(1) 熱記録方法
サーマルヘッド(KST型、京セラ(株)製)を用い、記録エネルギーが23mJ/mm2になるようにサーマルヘッドに対する印加電力、パルス幅を決定し、各感熱記録材料に熱印加して、マゼンタ画像を形成した。
その後、印画後の各感熱記録材料を、発光中心波長420nm、出力40Wの紫外線ランプ下に10秒間照射し、定着処理した。
【0253】
(2) 評価
▲1▼ 画像耐光性
前記のように印画、定着した各感熱記録材料の印画部の発色濃度D1を、マクベス濃度計(反射濃度計RD−918,マクベス社製)を用いて測定し、これを蛍光灯の光(32000Lux)で24時間照射した後、該印画部の発色濃度D2を前記と同様に再測定し、発色濃度に対する濃度残存率(D2/D1;%)を算出した。
▲2▼ 地肌白色度
前記のように印画、定着した各感熱記録材料の未印画部(非画像部)の反射光学濃度O.D.(Y)を分光光度計(X−rite310TR、日本平版機材(株)製)を用いて測定した。地肌濃度O.D.(Y)が0.15未満の場合には○、0.15以上の場合は×として評価した。
【0254】
(実施例4)
<フタル化ゼラチン溶液の調製>
フタル化ゼラチン(商品名:MGPゼラチン、ニッビコレーゲン(株)製)32部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液、大東化学工業所(株)製)0.91部、及びイオン交換水370部を混合し、40℃下で溶解し、フタル化ゼラチン水溶液を得た。
【0255】
<ジアゾニウム塩内包マイクロカプセル液(b)の調製>
酢酸エチル15.7部に、下記ジアゾニウム塩(C)(最大吸収波長365nm)3.4部、下記ジエノファイル化合物(phile−3)11.5部、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(商品名:イルガキュア651、チバ・スペシャリティケミカルズ(株)製)0.2部、及びジフェニル−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキサイド(商品名:ルシリンTPO、BASFジャパン(株)製)0.5部を添加し、加熱して均一に溶解した。得られた混合液に、更にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物とキシリレンジイソシアネート/ビスフェノールA付加物の混合物(商品名:タケネートD119N(50%酢酸エチル溶液)、武田薬品工業(株)製)11.0部、1,1,3−トリス(2−メチル−4ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン/m−キシリレンジイソシアネート=1/4反応物(商品名:タケネートD117N(50%酢酸エチル溶液)、武田薬品工業(株)製)3.1部、及びポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(商品名:ミリオネートMR−200、日本ポリウレタン工業(株)製)0.4部を添加して均一に攪拌し、混合液(IV)を得た。
【0256】
別途、前記より得たフタル化ゼラチン水溶液66.1部に、イオン交換水25.2部、Scraph AG−8(50%;日本精化(株)製)0.4部を添加し、これに更に前記より得た混合液(IV)(溶液)を添加して、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃下で乳化分散した。得られた乳化液に水10部を加えて均一化した後、40℃下で攪拌しながら0.5時間カプセル化反応を行った後、50℃に温度を上げ更に2.5時間カプセル化反応を行った。その後、イオン交換樹脂アンバーライトIRA68(オルガノ(株)製)15部、アンバーライトIRC50(オルガノ(株)製)30部を加え、更に1時間攪拌した。そして、イオン交換樹脂を濾過して取り除き、マイクロカプセル液の固形分濃度が23%になるように濃度調節し、ジアゾニウム塩内包マイクロカプセル液(b)を得た。
得られたマイクロカプセルの粒径は、粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製)の結果、メジアン径で0.45±0.05μmであった。
【0257】
【化81】
【0258】
<カプラー分散乳化液(b)の調製>
酢酸エチル37.3部に、下記カプラー(D)4.47部、トリフェニルグアニジン(保土ヶ谷化学(株)製)1.87部、下記ジエン化合物(en−3)10.2部、及びドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名:パイオニンA−41−C(70%メタノール溶液)、竹本油脂(株)製)1.63部を溶解し、混合液(V)を得た。
【0259】
別途、実施例1で得た乳化物作製用ゼラチン水溶液49.3部にイオン交換水45.5部を混合し、これに更に前記より得た混合液(V)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃下で乳化分散した。得られたカプラー分散乳化液を減圧、加熱し、酢酸エチルを除去した後、固形分濃度が20%になるように濃度調節して、カプラー分散乳化液(b)を得た。
得られたカプラー分散乳化液(b)の粒径は、粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製)の結果、メジアン径で0.26±0.05μmであった。
【0260】
【化82】
【0261】
<感熱記録層用塗布液の調製>
前記より得られた、ジアゾニウム塩内包マイクロカプセル液(b)及びカプラー分散乳化液(b)を、カプラー(D)/ジアゾニウム塩(B)のモル比が3/1になるように混合した。更に、ポリスチレンスルホン酸(一部水酸化カリウム中和型)水溶液(5%)を前記ジアゾニウム塩内包マイクロカプセル液(b)10部に対して0.2部になるように混合し、感熱記録層用塗布液(2)を得た。
【0262】
その他、実施例1と同様にして、下塗り層付き支持体、中間層用塗布液、感熱記録層用塗布液(1)、光透過率調整層用塗布液、保護層用塗布液を調製した。
【0263】
<感熱記録材料の作製>
前記より得た支持体の下塗り層表面に、支持体側から順に、中間層用塗布液、感熱記録層用塗布液(2)、中間層用塗布液、感熱記録層用塗布液(1)、光透過率調整層用塗布液、前記保護層用塗布液を6層同時に連続塗布し、30℃,相対湿度30%、及び40℃,相対湿度30%の各環境条件下で連続的に乾燥し、本発明の感熱記録材料T−4を得た。
【0264】
この際、前記感熱記録層用塗布液(2)の塗布量は、ジアゾニウム塩(C)の固形分塗布量が0.4mmol/m2となるように、前記感熱記録層用塗布液(1)の塗布量は、ジアゾニウム塩(A)の固形分塗布量が0.3mmol/m2となるように、各々塗布した。
また、上記の中間層用塗布液、光透過率調整層用塗布液、保護層用塗布液の塗布は、それぞれ固形分塗布量が3.25g/m2、2.35g/m2、1.39g/m2となるように行った。
【0265】
(比較例2)
実施例4において、ジアゾニウム塩内包マイクロカプセル液(b)の調製に用いたジエノファイル化合物(phile−3)11.5部を、燐酸トリクレジル5.7部及びイソプロピルビフェニル5.7部の混合物に代え、かつカプラー分散乳化液(b)の調製に用いたジエン化合物(en−3)10.2部を、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(商品名:ビスフェノールM、三井石油化学(株)製)4.39部及び燐酸トリクレジル5.84部の混合物に代えたこと以外、実施例4と同様にして、比較の感熱記録材料TH−2を得た。
【0266】
(評価2)
前記より得た本発明の感熱記録材料T−4、及び比較の感熱記録材料TH−2について、下記評価を行った。評価結果は下記表1に示す。
(1) 画像耐光性
(a)マゼンタ記録層の評価
サーマルヘッド(KST型、京セラ(株)製)を用い、記録エネルギーが23mJ/mm2になるようにサーマルヘッドに対する印加電力、パルス幅を決定し、感熱記録材料T−4及びTH−2に熱印加して、マゼンタ画像を形成した。
その後、印画後の各感熱記録材料を、発光中心波長420nm、出力40Wの紫外線ランプ下に10秒間照射し、定着処理した。
前記のように印画、定着した両感熱記録材料の印画部の発色濃度D1を、マクベス濃度計(反射濃度計RD−918,マクベス社製)を用いて測定し、これを蛍光灯の光(32000Lux)で24時間照射した後、該印画部の発色濃度D2を前記と同様に再測定し、発色濃度に対する濃度残存率(D2/D1;%)を算出した。
【0267】
(b)シアン記録層の評価
得られた感熱記録材料T−4及びTH−2に対して、まず、発光中心波長420nm、出力40Wの紫外線ランプのもとで10秒間照射した。その後、サーマルヘッド(KST型、京セラ(株)製)を用いて、記録エネルギーが50mJ/mm2になるようにサーマルヘッドに対する印加電力、パルス幅を決定し、熱印加してシアン画像を形成した。
更にその後、シアン画像が形成された両感熱記録材料を、発光中心波長365nm、出力40Wの紫外線ランプのもとで15秒間照射した。
前記のように印画、定着した両感熱記録材料の印画部の発色濃度D1を、マクベス濃度計(反射濃度計RD−918,マクベス社製)を用いて測定し、これを蛍光灯の光(32000Lux)で24時間照射した後、該印画部の発色濃度D2を前記と同様に再測定し、発色濃度に対する濃度残存率(D2/D1;%)を算出した。
【0268】
(2) 地肌白色度の評価
前記評価1と同様にして、未印画部(非画像部)の反射光学濃度O.D.(Y)を測定した。
【0269】
(実施例5)
<下塗り層付き支持体の作製>
LBKP100部からなる木材パルプをダブルディスクリファイナーによりカナディアンフリーネス300mlまで叩解し、エポキシ化ベヘン酸アミド0.5部、アニオンポリアクリルアミド1.0部、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン0.1部、カチオンポリアクリルアミド0.5部を、いずれもパルプに対する絶乾重量比で添加し、長網抄紙機により秤量し100g/m2の原紙を抄造した。この原紙の表面サイズを調整するため、ポリビニルアルコール4%水溶液を絶乾重量換算で1.0g/m2となるように前記原紙に含浸させ、乾燥した後、更にキャレンダー処理を施して密度1.0に調整された基紙を得た。
【0270】
得られた基紙のワイヤー面(裏面)側にコロナ放電処理を行った後、溶融押出機を用いて高密度ポリエチレンを厚さ30μmとなるようにコーティングし、マット面からなる樹脂層を形成した(以下、樹脂層面を「裏面」と称する。)。この裏面側の樹脂層にさらにコロナ放電処理を施し、その後、帯電防止剤として、酸化アルミニウム(アルミナゾル100、日産化学工業(株)製)と二酸化ケイ素(スノーテックスO、日産化学工業(株)製)とを1:2の比(質量比)で水に分散した分散液を、乾燥重量が0.2g/m2となるように塗布した。
【0271】
更に、樹脂層の設けられていない側のフェルト面(表面)側にコロナ放電処理を施した後、アナターゼ型二酸化チタン10%、及び微量の群青を含有する低密度ポリエチレンを、溶融押出機を用いて厚み40μmとなるように溶融押し出しコーティングし、高光沢な熱可塑性樹脂層を基紙の表面側に形成した(以下、この高光沢面を「オモテ面」と称する。)。その後、該オモテ面にコロナ放電処理を施し、実施例1で調製したゼラチン下塗り層用塗布液をその乾燥質量が0.2g/m2となるように塗布して、下塗り層付き支持体を得た。
【0272】
<電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液(c)の調製>
酢酸エチル20部に、3−(o−メチル−p−ジミルアミノフェニル)−3−(1’−エチル−2’−メチルインドール−3−イル)フタリド(電子供与性染料前駆体)5部を溶解した後、これに更に前記ジエン化合物(en−1)20部を添加して均一に攪拌し、加熱して均一に混合した。得られた混合液に、キシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパンの1/3付加物20部を添加して均一に攪拌し、電子供与性染料前駆体溶液を得た。
【0273】
別途、フタル化ゼラチン6%水溶液54部にドデシルスルホン酸ナトリウム2%水溶液2部を添加した溶液を用意し、これに前記より得た電子供与性染料前駆体溶液を加え、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて乳化分散して乳化分散液を得た。
【0274】
得られた乳化分散液に水68部を加えて混合し均一にした後、得られた混合液を攪拌しながら50℃に加熱し、3時間マイクロカプセル化反応を行わせて、電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液(c)を得た。マイクロカプセルの粒径は、粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製)の結果、1.72μmであった。
【0275】
<電子受容性化合物分散液(c)の調製>
ゼラチン4%水溶液150部に、電子受容性化合物として4,4’−(p−フェニレンイソプロピリデン)ジフェノール(商品名:ビスフェノールP、三井石油化学(株)製)30部と、前記ジエノファイル化合物(phile−1)15部とを加えてボールミルにより24時間分散し、電子受容性化合物分散液(c)を得た。電子受容性化合物分散液(c)中の分散粒径は、粒径測定(LA−910,堀場製作所(株)製)の結果、1.2μmであった。
【0276】
<シアン感熱記録層用塗布液の調製>
前記より得られた、電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液(c)及び電子受容性化合物分散液(c)を、電子供与性染料前駆体/電子受容性化合物のモル比が1/10になるように混合した。更に、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを、該シアン感熱記録層用塗布液を塗布してなるシアン感熱記録層における塗布量が0.1g/m2となるように添加し、シアン感熱記録層用塗布液とした。
【0277】
<光透過率調整層用塗布液の調製>
(紫外線吸収剤前駆体内包マイクロカプセル液の調製)
酢酸エチル30部に、紫外線吸収剤前駆体として[2−アリル−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−t−オクチルフェニル]ベンゼンスルホナート10部、2,5−ビス(t−オクチル)ハイドロキノン3部、トリクレジルフォスフェート2部、及びα−メチルスチレンダイマー(商品名:MSD−100,三井化学(株)製)4部を溶解した。この混合液に、カプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(商品名:タケネートD110N(75%酢酸エチル溶液)、武田薬品工業(株)製)20部を添加して均一に攪拌し、紫外線吸収剤前駆体混合液(VI)を得た。
【0278】
別途、イタコン酸変性ポリビニルアルコール(商品名:KL−318、(株)クラレ製)8%水溶液200部を用意し、前記より得た紫外線吸収剤前駆体混合液(VI)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて乳化分散した。得られた乳化液に水120部を加えて均一に混合した後、攪拌しながら40℃に昇温して、3時間マイクロカプセル化を行った。その後、イオン交換樹脂アンバーライトMB−3(オルガノ(株)製)7.0部を加え、更に1時間攪拌し、紫外線吸収剤前駆体内包マイクロカプセル液を得た。得られたマイクロカプセルの粒径は0.3μmであった。
【0279】
(光透過率調整層用塗布液の調製)
前記より得た紫外線吸収剤前駆体内包マイクロカプセル液100部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム(三協化学(株)製)2.0%水溶液10部を混合し、光透過率調整層用塗布液を得た。
【0280】
<保護層用塗布液の調製>
ビニルアルコール/アルキルビニルエーテル共重合物(商品名:EP−130,電気化学工業(株)製)7%水溶液100部、水50部、硫酸バリウム(商品名:BF−21F、堺化学工業(株)製)20%分散液10部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム(三協化学(株)製)2.0%水溶液5部、及びN−(パーフルオロ−1−オクタンスルホニル)−N−プロピルアミノ酢酸カリウム塩5.0%水溶液5部を混合し、保護層用塗布液を得た。
【0281】
<感熱記録材料の作製>
その他、実施例1と同様にして、中間層用塗布液、光透過率調整層用塗布液、保護層用塗布液を調製した。
そして、前記より得た支持体の下塗り層表面に、支持体側から順に、前シアン感熱記録層用塗布液、中間層用塗布液、光透過率調整層用塗布液、保護層用塗布液を多層に塗布、乾燥して、本発明の感熱記録材料T−5を得た。尚、前記のシアン感熱記録層用塗布液、中間層用塗布液、光透過率調整層用塗布液、保護層用塗布液の塗布は、それぞれ固形分塗布量が7.12g/m2、3.28g/m2、2.50g/m2、1.23g/m2となるように行った。
【0282】
(比較例3)
実施例5の電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液(c)の調製に用いたジエン化合物(en−1)に代え、イソプロピルビフェニルを用い、かつ電子受容性化合物分散液(c)の調製において、ジエノファイル化合物(phile−1)を含有しなかったこと以外、実施例5と同様にして、比較の感熱記録材料TH−3を得た。
【0283】
(評価3)
前記より得た感熱記録材料T−5、及び比較の感熱記録材料TH−3について、下記評価を行った。評価結果は下記表1に示す。
(1) 熱記録方法
サーマルヘッド(KST型、京セラ(株)製)を用い、記録エネルギーが90mJ/mm2になるようにサーマルヘッドに対する印加電力、パルス幅を決定し、両感熱記録材料に熱印加して、シアン画像を形成した。
(2) 評価
▲1▼ 画像耐光性
前記のように印画、定着した各感熱記録材料の印画部の発色濃度D1を、マクベス濃度計(反射濃度計RD−918,マクベス社製)を用いて測定し、これを光照射装置(Weatherometer C165、アトラス エレクトリック デバイス社製)を用いて、照射波長420nm、照射パワー0.9W/m2で192時間照射した後、該印画部の発色濃度D2を前記と同様に再測定し、印画部の濃度残存率(D2/D1;%)を算出した。
▲2▼ 地肌白色度
前記評価1と同様にして、未印画部(非画像部)の反射光学濃度O.D.(Y)を測定した。
【0284】
【表1】
【0285】
前記表1の結果から、記録層にジエン化合物とジエノファイル化合物とを含有した感熱記録材料T−1〜T−5では、画像部の褪色が小さく、しかも地肌着色も抑えられ、良好な画像堅牢性を示した。
一方、記録層にジエン化合物及びジエノファイル化合物を含有しない感熱記録材料TH−1〜TH−3では、褪色による画像濃度の低下が大きく、地肌部の白色性も保持できなかった。
【0286】
【発明の効果】
本発明によれば、形成画像における、画像部の褪色や地肌部(非画像部)の白色性の低下が抑えられ、画像堅牢性に優れた記録材料を提供することができる。
Claims (8)
- 支持体上に、ジアゾ化合物と該ジアゾ化合物と反応して発色させるカプラーとを含む記録層を有する記録材料において、
前記記録層が、ジエン化合物と、該ジエン化合物と環化付加反応により高分子化合物を形成するジエノファイル化合物とを、いずれか一方をマイクロカプセルに内包し又はそれぞれを異なるマイクロカプセルに内包し、あるいはそれぞれを隣接する異なる層に存在させることにより、発色前には互いに隔離した状態で含有することを特徴とする記録材料。 - 記録層において、ジアゾ化合物がマイクロカプセルに内包され、該マイクロカプセル外にカプラーが含有される請求項1に記載の記録材料。
- 支持体上に、電子供与性染料前駆体と該電子供与性染料前駆体と反応して発色させる電子受容性化合物とを含む記録層を有する記録材料において、
前記記録層が、ジエン化合物と、該ジエン化合物と環化付加反応により高分子化合物を形成するジエノファイル化合物とを、いずれか一方をマイクロカプセルに内包し又はそれぞれを異なるマイクロカプセルに内包し、あるいはそれぞれを隣接する異なる層に存在させることにより、発色前には互いに隔離した状態で含有することを特徴とする記録材料。 - 記録層において、電子供与性染料前駆体がマイクロカプセルに内包され、該マイクロカプセル外に電子受容性化合物が含有される請求項3に記載の記録材料。
- ジエン化合物及びジエノファイル化合物の少なくとも一方がマイクロカプセルに内包される請求項1から4のいずれかに記載の記録材料。
- マイクロカプセルが熱応答性マイクロカプセルであって、記録層が熱印加により画像形成し得る感熱記録層である請求項2、4及び5のいずれかに記載の記録材料。
- 発色色相の異なる複数の感熱記録層が積層されてなり、多色画像を形成し得る請求項6に記載の記録材料。
- 熱応答性マイクロカプセルがポリウレタン及び/又はポリウレアである請求項6又は7に記載の記録材料。
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