JP3768880B2 - フリップチップ実装基板、製造方法及び無線装置 - Google Patents

フリップチップ実装基板、製造方法及び無線装置 Download PDF

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  • Combinations Of Printed Boards (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体素子がフリップチップ実装された第1の回路基板と、その半導体素子が実装された主面に対向して第2の回路基板が配置されているフリップチップ実装基板、当該フリップチップ実装基板の製造方法及び当該フリップチップ実装基板を備えている無線装置に関し、特に放熱特性の改善に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯電話等の無線機器の小型軽量化が強く求められており、このため無線機器を構成する回路基板の小型軽量化が急務となっている。このような要請に応えるべくフリップチップ実装技術の開発が進められている。
例えば、特開平8−255965号公報にはICチップをフリップチップ実装したマイクロチップモジュール組立体が開示されている。図9は従来公報に係るマイクロチップモジュール組立体の一断面を示した図である。図9に示すように、マイクロチップモジュール組立体5は、ICチップ52をフリップチップ実装されたシリコン基板51を、ボール電極53a、53bを介してプリント基板50上に実装したものであって、シリコン基板51はICチップ52を実装した面がプリント基板50に対向するように配置されている。
【0003】
ボール電極53a、53bの高さはICチップ52の高さよりも大きくなっており、ICチップ52とプリント基板50の間に空間が残されている。シリコン基板51とプリント基板50はボール電極53a、53bを介して電気的に接続されると共に、シリコン基板51とプリント基板50との間隙にはポリマ封入剤54a〜54cが流し込み熱処理によって充填、硬化されることにより密着強度を保ち、熱応力に対する信頼性を確保するようになっている。
【0004】
以上のように上記公報に開示の技術によれば、シリコン基板を用いて実装面積を確保しつつ、シリコン基板とプリント基板とを合わせた回路基板全体の厚みを削減して、小型軽量化を図ることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、無線機器においては特に送信側回路でICチップの発熱が著しく、上記の構成を無線機器に適用すると回路の誤動作を招くという問題がある。このため、携帯電話のように、様々な状況での使用を想定した高い耐環境性を要求される機器にあっては、上記公報の技術によっては十分な品質を確保することができない。
【0006】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであって、実装面積を確保しつつ全体として小型軽量化を図ることができる構成をとりながら、更に放熱効率を改善したフリップチップ実装基板、製造方法、および無線装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明に係るフリップチップ実装基板は、半導体素子がフリップチップ実装されている第1の回路基板と、前記第1の回路基板の前記半導体素子がフリップチップ実装されている主面に対向して配置されている第2の回路基板とからなるフリップチップ実装基板であって、前記半導体素子と前記第2の回路基板とが導電性部材を介して接続されていることを特徴とする。
【0008】
このようにすれば、実装面積を確保しつつ全体として小型軽量化を図ると共に、前記半導体素子が発する熱を前記第2の回路基板に伝導させて、放熱効率を改善することができる。なお、前記導電性部材は、半田ペーストまたは銀ペーストが固化されてなるのが望ましい。
また、前記第1の回路基板と前記第2の回路基板とは、離隔部材により、前記半導体素子の厚みよりも大きく離隔されているとすれば良く、更に、前記離隔部材は、前記半導体素子の厚みよりも大きな径を有するボール電極であって、前記第1の回路基板と前記第2の回路基板は当該ボール電極にて電気的に接続されているのが好適である。
【0009】
前記第2の回路基板は、前記半導体素子に対向する部分にグランドパターンが形成されているとすれば、ノイズを防止するのに有効である。また、前記半導体素子は、前記導電性部材と接する部分において金メッキされているとすれば、半田がなじみやすく好適である。更に、前記半導体素子の前記第2の回路基板と対向する面のうち、発熱部分のみが前記導電性部材に接しているとしても良い。
【0010】
前記半導体素子と前記第2の回路基板との間に、前記導電性部材よりも熱伝導性が高い金属部材が配設されており、当該金属部材は前記導電性部材にて支持されているとすれば、更に、放熱効果を向上させることができる。また、前記第1の回路基板と前記第2の回路基板とに挟まれた空間のうち、前記導電性部材以外の部分は樹脂が封入されているとすれば、前記第1の回路基板と前記第2の回路基板との密着強度を向上させることができる。
また、本発明に係る製造方法は、前記第1の回路基板に前記半導体素子をフリップチップ実装するフリップチップ実装ステップと、前記第2の回路基板上の前記半導体素子と対向する位置に導電性ペーストが被着される被着ステップと、前記半導体素子が前記導電性ペーストに接するように、前記第1の回路基板が前記第2の回路基板に載置される載置ステップと、前記第1の回路基板が前記第2の回路基板に載置されている状態で、前記導電性ペーストが溶融、再固化される接合ステップとを含むことを特徴とする。
【0011】
このようにすれば、新たな製造設備の開発を必要とせず、既存の製造設備によって本発明のフリップチップ実装基板を製造することができるので、フリップチップ実装基板製造コストを低減することができる。
また、前記第1の回路基板に前記半導体素子をフリップチップ実装するフリップチップ実装ステップと、前記第1の回路基板に前記離隔部材を接合する離隔部材接合ステップと、前記第2の回路基板上の前記離隔部材が接合されるべき位置に第1の導電性ペーストが被着される第1の被着ステップと、前記第2の回路基板上の前記半導体素子と対向すべき位置に、前記第1の導電性ペーストよりも厚く第2の導電性ペーストが被着される第2の被着ステップと、前記離隔部材が前記第1の導電性ペーストに接し、かつ、前記半導体素子が前記第2の導電性ペーストに接するように、前記第1の回路基板が前記第2の回路基板に載置される載置ステップと、前記第1の回路基板が前記第2の回路基板に載置されている状態で、前記第1の導電性ペーストと前記第2の導電性ペーストとが溶融、再固化される接合ステップとを含むとするのが望ましい。
【0012】
このようにすれば、前記第1の回路基板と前記第2の回路基板との密着強度を向上させることができると共に前記第2の導電性ペーストの厚みを調整することができる。
更に、前記第1の回路基板に前記半導体素子をフリップチップ実装するフリップチップ実装ステップと、前記第2の回路基板上の前記半導体素子と対向すべき位置に第1の導電性ペーストが被着される第1の被着ステップと、前記第1の導電性ペースト上に金属板が載置される金属板載置ステップと、前記金属板上に第2の導電性ペーストが被着される第2の被着ステップと、前記半導体素子が前記第2の導電性ペーストに接するように、前記第1の回路基板が前記第2の回路基板に載置される載置ステップと、前記第1の回路基板が前記第2の回路基板に載置されている状態で、前記導電性ペーストが溶融、再固化される接合ステップとを含むとすれば好適である。
【0013】
このようにすれば、前記半導体素子と前記第2の回路基板との間に、前記導電性部材よりも熱伝導性が高い金属部材が配設して、当該金属部材を前記導電性部材にて支持させることができるので、放熱効率を更に向上させることができる。
更に、前記接合ステップの後に、前記第1の回路基板と前記第2の回路基板との間隙に樹脂を封入する樹脂封入ステップを含むとするのが望ましい。このようにすれば、前記第1の回路基板と前記第2の回路基板との密着強度を向上させることができるので、回路基板を全体としてより丈夫なものとすることができる。
【0014】
また、本発明に係る無線装置は、上述のようなフリップチップ実装基板を備えていることを特徴とする。このようにすれば、フリップチップ実装基板の小型軽量化に伴って無線装置自体の小型軽量化も図ることができ、かつ、フリップチップ実装基板の放熱効率が高いので、前記半導体素子の過熱に起因する無線装置の誤動作を回避することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
(第1の実施の形態)
本発明に係る携帯電話装置の実施の形態について説明する。当該携帯電話装置には本発明に係るフリップチップ実装基板が適用されている。
【0016】
(全体構成)
本実施の形態に係る携帯電話装置は、フリップチップを実装された回路基板であるフリップチップ実装基板に主たる特徴を有するので、外形についての説明は省略する。図1は、本実施の形態に係る携帯電話装置が備えているフリップチップ実装基板の外観を模式的に示した平面図である。図1に示されるように、フリップチップ実装基板1は多層のプリント基板10上にICチップ等の回路素子15a〜15qを高密度で実装した構成となっている。
【0017】
プリント基板10上には、回路素子15a〜15qの他にも、ヘッドセットを接続するためのジャック14aや、パーソナルコンピュータ等の機器との間でデータ通信をするためのコネクタ14b、或いは振動により着呼を報知するためのバイブレータ12が実装されている。電極端子13は、フリップチップ実装基板1に電力を供給する二次電池である電池パックを接続するための端子である。なお、当該電池パックは、コネクタ14bに併設された電極端子(不図示)を介して携帯電話装置の外部から電力の供給を受けて蓄電する。
【0018】
プリント基板10のもう一方の面(不図示)にはLCD(Liquid Crystal Display)ユニットが装着されており、当該LCDユニットにより各種の表示を行う。また、この面には銅パターンにてキー電極が形成されており、不図示のキーボタンと組み合わされてキー入力を受け付ける。すなわち、キー電極とキーボタンとが接触するとキー電極とキーボタンとの間に電流が流れるので、この電流が検出されることによってキー入力が検出される。
【0019】
また、プリント基板10上には、本実施の形態に係る携帯電話装置の無線回路を実装したシリコン基板11が接続されている。図2は、シリコン基板11のプリント基板10と対向する面の外観を模式的に示した平面図である。シリコン基板11上には、無線送信用ICチップ111aや無線受信用ICチップ111b等がフリップチップ実装されている。この無線送信用ICチップ111aは携帯電話装置を構成する部材中で最も発熱量が多いことを特徴としている。
【0020】
また、シリコン基板11には、これらICチップ111a〜111cの周辺回路の回路素子である抵抗素子や容量素子が集積されている。シリコン基板11の周縁部にはボール電極112a〜112tが配設されている。ボール電極112a〜112tは半田製のボール電極であり、前記プリント基板10上に形成された銅パターン(配線パターン)と接合されることによって、シリコン基板11とプリント基板10とを電気的に接続する。
【0021】
また、ボール電極112a〜112tはシリコン基板11に対しては公知のボールプレーサ法により実装される。例えば、シリコン基板11のボール電極112a〜112tを実装される面にフラックスを塗布し、半田ボールを搭載した後、窒素雰囲気中で半田を溶融させ(リフロー工程)、シリコン基板11を洗浄してフラックスを取り除いた後、乾燥させるといった方法によって、シリコン基板11上にボール電極112a〜112tが実装される。
【0022】
次にプリント基板10とシリコン基板11の接続状態について説明する。図3は、上記フリップチップ実装基板1について一点鎖線A−Aにおける断面を示した図であって、本発明に係るフリップチップ実装基板の構造を示した図である。図2中の一点鎖線A−Aは、図1の一点鎖線A−Aに対応する位置を示しており、ボール電極112g、無線送信用ICチップ(以下、単に「ICチップ」という。)111aおよびボール電極112tを横切っている。
【0023】
さて、図3において、シリコン基板11はボール電極112g、112tを介してプリント基板10に電気的に接続されており、ボール電極112g、112tはそれぞれ半田18a、18cによりプリント基板に半田付けされている。シリコン基板11にはICチップ111aが微小な突起電極111a1a〜111a1gを介して電気的に接続されており、この接続はポリマ封入剤111a2を用いてICチップ111aをフリップチップ実装することによってなされている。
【0024】
プリント基板10上のボール電極112g、112tが接合される箇所にはそれぞれ半田付け可能な銅ランド17a、17cがパターニングされており、半田18a、18cによりボール電極112g、112tが接合されている。プリント基板10上のICチップ111aと対向する箇所には同じく銅ランド17bがパターニングされており、銅ランド17bは半田18bによりICチップ111aが半田付けされている。
【0025】
プリント基板10の銅ランドがパターニングされていない箇所は絶縁性の被膜16a〜16dによって被覆されており、回路の短絡が防止されるようになっている。当該被膜16a〜16dは絶縁性の塗料がプリント基板10上に塗布されることにより形成される。
参考までに図3に係る各寸法を述べておく。シリコン基板11の厚みは約300μmである。ボール電極112g、112tの径はそれぞれ約500μmである。プリント基板10からICチップ111aまでの距離は約300μmである。また、ICチップ111aからボール電極112g、112tまでの距離は約1mm以上である。
【0026】
さて、従来は、ICチップ111aとプリント基板10の間に熱伝導率の低い樹脂材料が介在していたので、ICチップ111aが発生させた熱はなかなか外部へ放出されず、ICチップ111aが過熱のため誤動作する原因となっていた。これに対して、上述のようにICチップ111aとプリント基板10との間に熱伝導率の高い半田18bを介在させれば、ICチップ111aが発生させた熱が半田18bを経由してプリント基板10に向けて効率良く放熱される。
【0027】
また、図3に示すように、プリント基板10のシリコン基板11と対向する側の面においては、ICチップ111aと対向する部分すべてに銅ランド18bが形成されている。銅ランド17bは接地されて、いわゆるグランドパターンとなっている。更に、半田18bもグランド電位となっており、ICチップの信号線にノイズが重畳するの防止する効果を有している。
【0028】
また、言うまでもなく、ICチップ111aは、通常のICチップと同様に、信号線をプリント基板10側の面に露出させていないので、半田18bによって回路の短絡が発生する心配はない。
(製造方法)
次に、上述のようにシリコン基板をプリント基板に接続したフリップチップ実装基板1の製造方法について説明する。図4は、当該製造方法の各ステップを示した模式図である。
【0029】
先ず、図4(a)に示すように、プリント基板10上のボール電極112g、112tが接合されるべき箇所に半田付け可能な銅ランド17a、17cをパターニングする。また、ICチップ111aが接合されるべき箇所には同じく銅ランド17bをパターニングする。このとき、併せて、銅ランド17a〜17c上には金メッキを施しておく。
【0030】
次に、図4(b)に示すように、プリント基板10上のボール電極112g、112tが接合されるべき箇所にある銅ランド17a、17c上に半田ペースト18a、18bを被着する。これは、例えば、スクリーン印刷によって行えば良い。すなわち、先ず、半田ペースト18a、18cを塗布すべき箇所の形状に合わせてアルミニウム板を打ち抜く。
【0031】
当該アルミニウム板をプリント基板10上の所定の位置に重ね合わせる。そして、そのアルミニウム板の上から半田ペーストを塗布した後、アルミニウム板を取り除ければ良い。なお、本実施の形態においては、半田ペースト18a、18bの厚みが100μmとなるように当該アルミニウム板の板厚は100μmとする。
【0032】
続いて、図4(c)に示すように、プリント基板10上のICチップ111aが接合されるべき箇所にある銅ランド17b上に、スクリーン印刷により、半田ペースト18bを被着する。この被着についても、例えば、上記と同様にスクリーン印刷によれば良い。本実施の形態においては、半田ペースト18bをICチップ111aに届かせるために、半田ペースト18bの厚みを300μmとする必要がある。このため、前述のようにスクリーン印刷を行う場合には、アルミニウム板の板厚を300μmとするのが望ましい。
【0033】
そして、図4(d)に示すように、シリコン基板11が、例えば、真空ピンセットにて把持され、プリント基板10上の所定の位置に載置される。なお、シリコン基板11には予めICチップ111aがフリップチップ実装されている。また、ボール電極112g、112tも予めシリコン基板11に接合されている。このような状態で、リフロー工法により半田ペースト18a〜18cを溶融、再固化させると、最終的に、図2(e)のようなフリップチップ実装基板が完成する。
【0034】
このような製造方法によれば、既存の製造設備を活用して本発明に係るフリップチップ実装基板を製造し、延いてはフリップチップ実装基板1を製造することができる。従って、製造設備について新たな投資を要しないので、本実施の形態に係る携帯電話装置の製造コストを抑制して、安価な携帯電話装置を提供することができる。
【0035】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態に係る携帯電話装置について説明する。なお、本実施の形態に係る携帯電話装置は上記第1の実施の形態に係る携帯電話装置と概ね同様の構成を備えており、専らフリップチップ実装基板の構造に関してのみ異なっているので、以下においては第1の実施の形態に係る携帯電話装置との相違点、すなわちフリップチップ実装基板の構造について専ら説明する。
【0036】
(全体構成)
本実施の形態に係るフリップチップ実装基板は、シリコン基板に実装されているICチップが発生させた熱を、上記第1の実施の形態におけるよりも、更に効率よくプリント基板に伝導、放熱するために以下に述べるような構成をとっている。
【0037】
図5は、本実施の形態に係るフリップチップ実装基板2の一断面を拡大して示した図である。フリップチップ実装基板2は、第1の実施の形態におけるのと同様に、ボール電極(不図示)を介してプリント基板20にシリコン基板21を接合した構造となっている。また、シリコン基板21には無線送信用ICチップ211aが微小な突起電極211a1a〜211a1dを介してフリップチップ実装されている。
【0038】
プリント基板20上のICチップ211aと対向する箇所には半田付け可能な銅ランド27bがパターニングされている。本実施の形態においては、銅ランド27bとICチップ211aの間には銅板29が配設されている。そして、ICチップ211aと銅板29とは半田27bによって接着されており、銅板29と銅ランド27bとは半田28cによって接着されている。
【0039】
このように銅ランド27bとICチップ211aの間に銅板29を配設すれば、銅は半田よりも熱伝導率が大きいので、ICチップ211aが発生させた熱を、第1の実施の形態におけるよりもさらに効率良く、プリント基板20へ伝導させることができる。従って、フリップチップ実装基板2全体として放熱効率を向上させることができる。
【0040】
(製造方法)
次に、本実施の形態に係るフリップチップ実装基板の製造方法について説明する。図6は、本実施の形態に係るフリップチップ実装基板の製造方法の各ステップを示した模式図である。
先ず、第1の実施の形態におけるのと同様に、プリント基板20上のボール電極212g、212tが接合されるべき箇所に半田付け可能な銅ランド27a、27cをパターニングし、ICチップ211aが接合されるべき箇所に同じく銅ランド27bをパターニングする。そうしてパターニングした銅ランド27a〜27c上に更に金メッキを施す(図6(a))。
【0041】
次に、図6(b)に示すように、銅ランド27b上に半田ペースト28cを被着する。これは、例えば、第1の実施の形態において説明したようなスクリーン印刷によって行なえば良い。そうして被着した半田ペース28c上に銅板29を載置する(図6(c))。この銅板28は、リフロー工法により半田ペースト28cが溶融、再固化されることによって、プリント基板20に半田付けされる。
【0042】
続いて、図6(d)に示すように、銅ランド27a、27c上に半田ペースト28a、28dを被着した後、銅板29上に半田ペースト28bを被着する(図6(e))。これらの処理も、例えばスクリーン印刷によって行なえば良く、半田ペースト28a、28dと半田ペースト28bとで異なる厚さのアルミニウム板を用いるとよい。このアルミニウム板の厚さは半田ペーストの厚さに合わせて決定する。
【0043】
以上のようにしてプリント基板20上に半田ペーストを被着した後、図6(f)に示すように、シリコン基板21が、例えば、真空ピンセットにて把持され、プリント基板20上の所定の位置に合わせて載置される。なお、シリコン基板21には予めICチップ211aがフリップチップ実装されており、ボール電極112g、112tも予め公知の手法にてシリコン基板11に接合されている。
【0044】
最後にリフロー工法により半田ペースト28a、28b、28dが溶融され、再固化されると、プリント基板20とシリコン基板21が結合されて、図6(g)に示すようなフリップチップ実装基板が完成する。
このような製造方法によれば、第1の実施の形態におけるのと同様に、既存の製造設備を活用して本発明に係るフリップチップ実装基板を製造することができるので、製造設備について新たな投資を要することなくフリップチップ実装基板を製造できる。従って、フリップチップ実装基板の製造コストを抑制して、フリップチップ実装基板を採用した携帯電話を安価に提供することができる。
【0045】
(変形例)
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例を実施することができる。
(1) 上記実施の形態においては、本発明を専ら携帯電話に適用する場合について説明したが、これに代えて次のようにしても良い。すなわち、IEEE802.11aやIEEE802.11b等の規格に準拠した無線LAN装置やBluetooth(登録商標)等の仕様に従った無線装置等、無線通信回路を備え、かつ、小型化の要望がある無線装置に対して適用すれば、上記のように放熱効率を向上させるといった効果を奏することができる。
【0046】
また、PCMCIA(Personal Computer Memory Card International Association)らにより制定された規格(PC Card Standard)に準拠した無線装置を提供するにあたっても本発明によれば、フリップチップ実装基板の高さを抑えつつ、放熱効率を向上させることができる。
(2) 上記実施の形態においては、シリコン基板とプリント基板はボール電極とICチップとを介して接合されるとしたが、これに加えて次のようにしても良い。
【0047】
図7は、本変形例に係る携帯電話のフリップチップ実装基板3の断面を示した図である。図7に示すように、本変形例に係るフリップチップ実装基板3は第1の実施の形態に係るフリップチップ実装基板1と同様のフリップチップ実装基板を備えており、更にシリコン基板とプリント基板とがポリマ封入剤39a〜39dによって結合されている。このポリマ封入剤39a〜39dは、上記第1の実施の形態に係るフリップチップ実装基板1に対してシリコン基板11の周辺からポリマ封入剤を流し込み熱処理によって充填、硬化させられたものである。
【0048】
かかるポリマ封入剤としては、例えば、エポキシ樹脂等を用いるのが好適である。
このようにすれば、シリコン基板31とプリント基板30との密着強度を高めることができるので、フリップチップ実装基板3の機械的強度を向上させることができる。このことは、携帯電話のように高い耐環境性を要求されるような機器に本発明を適用する際に大きな効果を発揮する。
【0049】
また、これと同様に、上記第2の実施の形態に係るフリップチップ実装基板に対しても、シリコン基板21の周辺からポリマ封入剤を充填、硬化させれば、シリコン基板21とプリント基板20との密着強度を高めて、フリップチップ実装基板2の機械的強度を向上させることができる。
また、同様の変形例として、シリコン基板上に複数のICチップが実装されている場合に、特に発熱量が大きいICチップのみを半田にてプリント基板に接続するとしてもよいし、発熱量に関わらずすべてのICチップをプリント基板に半田にて接続しても良い。勿論、シリコン基板上にICチップが1つしか実装されていない場合に、当該ICチップをプリント基板に半田にて接続しても良く、いずれも場合も本発明の効果を得ることができる。
【0050】
(3) 上記の実施の形態においては、ICチップのプリント基板と対向する面の全体に亘って半田ペーストを接触させるとしたが、これに代えて次のようにしても良い。
すなわち、ICチップの、トランジスタが形成されている箇所等、特に発熱量の大きく、従ってより放熱が必要となる箇所にのみ半田ペーストを接触させるとしても良い。図8は、本変形例に係るフリップチップ実装基板の断面を示した図である。図8に示すように、ICチップ411aの特に発熱量の大きい箇所にのみ半田ペースト48bを接触させるとしても、ICチップ411aが発する熱を従来よりも効率よくプリント基板40に伝導させて、放熱を図ることができる。
【0051】
また、このようにすれば、半田ペースト48bがICチップ411aやプリント基板40に接触する面積を低減することができるので、半田ペースト48bが本来接触すべきでない電極や配線パターンに誤って接触してしまい、回路の短絡が発生する可能性を低減することができる。従って、回路の短絡に起因する誤動作を防止してフリップチップ実装基板の品質を向上させることができる。
【0052】
なお、本変形例においては半田ペーストの接触の有無に関わらず、上記の実施の形態と同様に、プリント基板46のシリコン基板40と対向している主面のうち、ICチップ42と対向する部分全体に亘って銅ランド44bが形成されている。このようにすることにより、上記の実施の形態におけるのと同様にICチップ42の動作を安定させることができる。
【0053】
また、上記第2の実施の形態におけるのと同様に、ICチップ411aとプリント基板40との間の半田ペースト48b中に銅板を挿入するとすれば、更に放熱効率を向上させることができる。また、半田ペーストにより接合する面積を減少させた分のシリコン基板40とプリント基板46との密着強度の低下を補うためには、例えば、上記の変形例(1)と同様に、シリコン基板41とプリント基板40との間にポリマ封入剤を充填して2つの基板を固着させても良い。
【0054】
(4) 上記の実施の形態においては、シリコン基板にICチップをフリップチップ実装するとしたが、これに代えて次のようにしても良い。すなわち、ガラスや石英、サファイア、セラミック等を基材とする基板にICチップをフリップチップ実装するとしても良い。このような基材を用いても、シリコンを基材とする場合と同様に、薄膜蒸着技術等を用いた微細な半導体の工法でパターニングができ、精度良く容量素子やインダクタ、抵抗素子等を組み込んだ半導体基板を実現することができるので、本発明の効果を達成しつつ、小型軽量化を実現することができる。
【0055】
(5) 上記実施の形態においては特に言及しなかったが、シリコン基板にICチップをフリップチップ実装するにあたっては、スタッドバンプ工法、異方性導電膜を用いた工法、半田バンプ接続工法等、公知の工法を用いれば良く、ICチップをフリップチップ実装するための工法の如何に関わらず、本発明は効果を奏することができる。
【0056】
(6) 上記実施の形態においては、半田を素材とするボール電極を用いてシリコン基板とプリント基板とを接合するとしたが、これに代えて次のようにしても良い。すなわち、銅ボール、金属被膜された樹脂ボールなどを用いてシリコン基板とプリント基板とを接合するとしても良く、これらを用いた場合においても本発明の効果には変わりがない。また、ボール電極以外の電極にてシリコン基板とプリント基板を接続した場合においても、本発明は効果を奏することができる。
【0057】
(7) 上記第2の実施の形態においては、ICチップ211aからプリント基板20に向けてより効率よく熱を伝導させるために銅板を用いるとしたが、銅以外の金属板を用いるとしても良い。半田等、ICチップ211aとプリント基板とを接続する部材よりも熱伝導性が高い金属であれば、どのような金属から成る金属板であっても更に放熱効率を向上させることができる。
【0058】
(8) 上記の実施の形態においては、ICチップとプリント基板とを接続するに際して半田ペーストを用いるとしたが、これに代えて銀ペーストを用いるとしても良い。また、金ペースト、銅ペースト、アルミニウムペーストを用いても良いし、例えば、特開平5−347320号公報に開示の技術のように、適当なフィラーを添加することによって熱伝導性を向上させた導電性ペーストを用いればなお好適である。
【0059】
また、銀ペーストを用いて本発明に係るフリップチップ実装基板を製造するにあたっては、プリント基板に対して銀ペーストをディスペンサのノズルから噴射させることによって供給するとしても良い。この場合、ノズルの噴射量を調節することによってプリント基板上の銀ペーストの厚みを変えることができる。
(9) 上記の実施の形態においては、ICチップとプリント基板とを接続するに際してICチップに直に半田を接触させるとしたが、これに代えて次のようにしても良い。すなわち、ICチップのプリント基板と対向する面全体に金メッキを施し、或いは、少なくともICチップの半田が被着されるべき部分に金メッキを施して、当該金メッキを介してICチップに半田を被着させるとしても良い。
【0060】
このようにすれば、半田は金と能く密着するため、半田とICチップの密着性を向上させることができるので、シリコン基板とプリント基板の密着強度を向上させることができる。
(10) 上記第2の実施の形態においては、フリップチップ実装基板2を製造するにあたって、半田ペース28c上に銅板29を載置した後に、半田ペースト28a、28dを銅ランド27a、27c上に被着するとしたが、これに代えて次のようにしても良い。
【0061】
すなわち、先ず、半田ペースト、28a、28c、28dを同時に銅ランド27a、27b、27c上に被着させる。次に、半田ペース28c上に銅板29を載置し、更に、銅板29上に半田ペースト28bを被着させる。その後、シリコン基板21を所定位置に載置して、リフロー工法により半田ペースト28a〜28dを溶融、再固化させる。
【0062】
以上のような手順でフリップチップ実装基板2を製造するとしても良く、このようにすれば、上記第2の実施の形態にて説明した製造方法と比較して、スクリーン印刷のために必要となるアルミニウム板の数を低減できるので、フリップチップ実装基板2の製造コストを削減することができる。
【0063】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、半導体素子がフリップチップ実装されている第1の回路基板と、前記第1の回路基板の前記半導体素子がフリップチップ実装されている主面に対向して配置されている第2の回路基板とからなるフリップチップ実装基板であって、前記半導体素子と前記第2の回路基板とが導電性部材を介して接続されているので、第1の基板にフリップチップ実装された半導体素子が発生させる熱を第2の基板に伝導させて効率よく放熱を図ることができる。また、前記導電性部材をグランド電位とすることにより半導体素子に対するノイズを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に係る携帯電話装置が備えているフリップチップ実装基板の外観を模式的に示した平面図である。
【図2】フリップチップ実装基板1を構成するシリコン基板11について、プリント基板10と対向する面の外観を模式的に示した平面図である。
【図3】フリップチップ実装基板1について、図1に示した一点鎖線A−Aにおける断面を示した図である。
【図4】第1の実施の形態に係るフリップチップ実装基板1の製造方法の各ステップを示した模式図である。
【図5】第2の実施の形態に係るフリップチップ実装基板2の一断面を拡大して示した図である。
【図6】第2の実施の形態に係るフリップチップ実装基板2の製造方法の各ステップを示した模式図である。
【図7】変形例(2)に係るフリップチップ実装基板3の一断面を示して、その構造を表した図である。
【図8】変形例(3)に係るフリップチップ実装基板4の一断面を示して、その構造を表した図である。
【図9】特開平8−255965号公報に係るマイクロチップモジュール組立体の一断面を示した図である。
【符号の説明】
10、20、30等 プリント基板
11、21、31等 シリコン基板
111a、211a等 ICチップ
112a〜112t等 ボール電極
16a〜16d等 絶縁性の被膜
17a〜17c等 金メッキされた銅ランド
18a〜18c等 半田
29 銅板

Claims (13)

  1. 半導体素子がフリップチップ実装されている第1の回路基板と、前記第1の回路基板の前記半導体素子がフリップチップ実装されている主面に対向して配置されている第2の回路基板とからなるフリップチップ実装基板であって、
    前記半導体素子と前記第2の回路基板とが導電性部材を介して接続されており、
    前記半導体素子の前記第2の回路基板と対向する面のうち、発熱部分のみが前記導電性部材に接している
    ことを特徴とするフリップチップ実装基板。
  2. 前記導電性部材は半田ペーストまたは銀ペーストが固化されてなる
    ことを特徴とする請求項1に記載のフリップチップ実装基板。
  3. 前記第1の回路基板と前記第2の回路基板とは、離隔部材により、前記半導体素子の厚みよりも大きく離隔されている
    ことを特徴とする請求項1に記載のフリップチップ実装基板。
  4. 前記離隔部材は、前記半導体素子の厚みよりも大きな径を有するボール電極であって、
    前記第1の回路基板と前記第2の回路基板は当該ボール電極にて電気的に接続されている
    ことを特徴とする請求項3に記載のフリップチップ実装基板。
  5. 前記第2の回路基板は、前記半導体素子に対向する部分にグランドパターンが形成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載のフリップチップ実装基板。
  6. 前記半導体素子は、前記導電性部材と接する部分において金メッキされている
    ことを特徴とする請求項1に記載のフリップチップ実装基板
  7. 前記半導体素子と前記第2の回路基板との間に、前記導電性部材よりも熱伝導性が高い金属部材が配設されており、
    当該金属部材は前記導電性部材にて支持されている
    ことを特徴とする請求項1に記載のフリップチップ実装基板。
  8. 前記第1の回路基板と前記第2の回路基板とに挟まれた空間のうち、前記導電性部材以外の部分は樹脂が封入されている
    ことを特徴とする請求項1に記載のフリップチップ実装基板。
  9. 請求項1に記載のフリップチップ実装基板の製造方法であって、
    前記第1の回路基板に前記半導体素子をフリップチップ実装するフリップチップ実装ステップと、
    前記第2の回路基板上の前記半導体素子と対向する位置に導電性ペーストが被着される被着ステップと、
    前記半導体素子が前記導電性ペーストに接するように、前記第1の回路基板が前記第2の回路基板に載置される載置ステップと、
    前記第1の回路基板が前記第2の回路基板に載置されている状態で、前記導電性ペーストが溶融、再固化される接合ステップとを含む
    ことを特徴とする製造方法。
  10. 請求項3に記載のフリップチップ実装基板の製造方法であって、
    前記第1の回路基板に前記半導体素子をフリップチップ実装するフリップチップ実装ステップと、
    前記第1の回路基板に前記離隔部材を接合する離隔部材接合ステップと、
    前記第2の回路基板上の前記離隔部材が接合されるべき位置に第1の導電性ペーストが被着される第1の被着ステップと、
    前記第2の回路基板上の前記半導体素子と対向すべき位置に、前記第1の導電性ペーストよりも厚く第2の導電性ペーストが被着される第2の被着ステップと、
    前記離隔部材が前記第1の導電性ペーストに接し、かつ、前記半導体素子が前記第2の導電性ペーストに接するように、前記第1の回路基板が前記第2の回路基板に載置される載置ステップと、
    前記第1の回路基板が前記第2の回路基板に載置されている状態で、前記第1の導電性ペーストと前記第2の導電性ペーストとが溶融、再固化される接合ステップとを含む
    ことを特徴とする製造方法。
  11. 請求項に記載のフリップチップ実装基板の製造方法であって、
    前記第1の回路基板に前記半導体素子をフリップチップ実装するフリップチップ実装ステップと、
    前記第2の回路基板上の前記半導体素子と対向すべき位置に第1の導電性ペーストが被着される第1の被着ステップと、
    前記第1の導電性ペースト上に金属板が載置される金属板載置ステップと、
    前記金属板上に第2の導電性ペーストが被着される第2の被着ステップと、
    前記半導体素子が前記第2の導電性ペーストに接するように、前記第1の回路基板が前記第2の回路基板に載置される載置ステップと、
    前記第1の回路基板が前記第2の回路基板に載置されている状態で、前記導電性ペーストが溶融、再固化される接合ステップとを含む
    ことを特徴とする製造方法。
  12. 前記接合ステップの後に、前記第1の回路基板と前記第2の回路基板との間隙に樹脂を封入する樹脂封入ステップを含む
    ことを特徴とする請求項から請求項11のいずれかに記載の製造方法。
  13. 請求項1から請求項のいずれかに記載のフリップチップ実装基板を備えている
    ことを特徴とする無線装置。
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