JP3768308B2 - ガーニッシュクリップ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば自動車部品等の部品を車両のボディーパネル等の部材に取り付ける際に用いられるガーニッシュクリップに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば自動車部品(部品)を車両のボディーパネル(部材)に取り付ける際には、通常何らかの補強部材、例えばガーニッシュクリップを用いる。このガーニッシュクリップは、作業効率を上げるため、簡単に部品を部材に取り付け可能なことが要請されている。この要請に対して、ガーニッシュクリップの一例が実公昭56−22018号公報に開示されている。
【0003】
当該公報に開示されているガーニッシュクリップ100は、図4の斜視図に示すように、大きく分けて弾性部110と保持部120とによって構成されている。弾性部110は頭部102と弾性脚104a,104b,104cとによって構成されており、保持部120はスタビライザー112,基部116,保持片114,118によって構成されている。
弾性部110において、3本の弾性脚104a,104b,104cはスタビライザー112からほぼ垂直方向に伸びており、頭部102において互いに結合している。一方、保持部120において、スタビライザー112や保持片114,118は、いずれも基部116から径方向に伸びている。
【0004】
次に、図5は図4におけるB−B断面図(縦断面図)であって、取付穴50に取り付けた状態のガーニッシュクリップ100を示す。この図5において、スタビライザー112は取付板52に対して弾性力を有するように基部116の軸心方向から斜め方向に伸びており、取付後における先端部が取付板52と接して密着状態を維持する。基部116および保持片114,118によって断面が「コ」字状をなす保持部位には、図示しないが自動車部品等の部品が引っ掛けられて保持される。
【0005】
このガーニッシュクリップ100は、軸心方向(すなわち図示する矢印D12方向)に弾性脚104a,104b,104cを撓ませながら、取付板52に設けられている取付穴50に嵌め込むことになる。すなわち、図6(A)に示すように、弾性脚104a,104b,104cは取付穴50を通り抜ける際に弾性力に抗して矢印D12で示す軸心方向に弾性変形する。こうして取付穴50を通り抜けた後は、図6(B)に示すように、弾性脚104a,104b,104cの有する弾性力によって反軸心方向(すなわち図示する矢印D14方向)に復元する。このため、あまり力を要せずに簡単に取り付けることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のガーニッシュクリップでは、軽い力で取り付けられるように弾性脚104a,104b,104cの肉厚dを薄くし、かつその断面積を小さくしている。そのため、取り付け後にドアトリム等の部品に外力(例えば走行中の振動等)が加わると、弾性脚が容易に撓む。この撓みによって部品のガタつきや異音が生じ、さらには弾性脚の破損によって取付板から部品が脱落する等の不具合が生じる恐れがある。こうして、いずれかの弾性脚に撓みや損傷が生じた場合には、そのガーニッシュクリップ100はクリップとしての機能を失ってしまい、使用不能になる。
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、ガーニッシュクリップを構成する一部分が損傷してもクリップとしての機能を維持し、部品を確実に部材に取り付けることができるようにすることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための第1の手段】
請求項1に記載の発明は、頭部が部材の取付穴よりも小さく形成され、かつその取付穴よりも大きく形成された部位がその取付穴に挿入する際には弾性変形する弾性部と、前記取付穴の位置に取り付けるべき部品を保持する保持部とを備えているガーニッシュクリップであって、その弾性部は、前記保持部から前記頭部に伸びる支柱と、その支柱のほぼ全長から外側方向に伸びておりかつ板状に形成されている複数枚の羽根部とを有し、前記複数枚の羽根部は、前記頭部と前記保持部との間に最大径となる部位を有し、その最大径の部位の肉厚が最も厚くなるように形成したことを特徴とする。
ここで、「支柱から外側方向に」とは、支柱の軸心を中心として径方向(すなわち放射方向)のみならず、その径方向を基準とする斜め方向や、その径方向に直角な方向(すなわち接線方向)をも含む任意の方向を意味する。
請求項1に記載の発明によれば、複数枚の羽根部は取付穴を通り抜ける際に弾性変形し、取付穴を通り抜けた後はその弾性力によって復元するだけの弾性力を有する。また、板状に形成されている複数枚の羽根部は、保持部から頭部に伸びる支柱のほぼ全長から外側方向に伸びているため、肉厚を厚くし、かつ断面積を大きく確保することができる。そのため、羽根部はクリップとしての機能を果たすとともに、折れたり切れたりする可能性が低くすることができる。また、複数の羽根部のうちの一部の羽根部が損傷してしまった場合でも、剛性のある支柱によって部品に加わる外力を受け止めることが可能になる。したがって、部品を確実に部材に取り付けることができる。また、複数枚の羽根部について最大径の部位の肉厚が最も厚くなるように形成したので、取付穴との接触によって生ずる磨耗に対抗でき、ガーニッシュクリップの耐用期間を長くのばすことができる。
【0008】
【課題を解決するための第2の手段】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のガーニッシュクリップであって、その複数枚の羽根部は、前記支柱の軸心から放射状に伸びる線を基準として斜め方向に伸びていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、複数枚の羽根部は支柱の軸心から放射状に伸びる線を基準として斜め方向に伸びているため、取付穴を通り抜ける際に弾性変形させるための力を小さく抑えることができる。そのため、軽い力で取付穴に取り付けを行うことができる。
【0009】
【課題を解決するための第3の手段】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のガーニッシュクリップであって、その複数枚の羽根部は、先端部側の肉厚を支柱側よりも厚くしたことを特徴とする。
請求項3に記載の発明によれば、支柱側の肉厚が先端部側のよりも薄くなるため、その羽根部は支柱側で撓みやすくなる。そのため、羽根部を取付穴に通す際に必要な力をさらに少なくでき、より軽い力でも取り付け可能になる。この場合、羽根部の先端部側は肉厚が厚いため、取付穴に通す際に生ずる磨耗に対する耐久力を確保することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ここで、図1は、ガーニッシュクリップ10の外観を示す斜視図である。図2(A)にはガーニッシュクリップ10の正面図を示し、図2(B)には図2(A)におけるA−A断面図を示す。図3はガーニッシュクリップ10を取付穴50に通す際の弾性変形過程を示す断面図であって、図3(A)には取付穴50を通し始めの状態を、図3(B)には取付穴50を通す際の状態を、図3(C)には取付穴50を通した後の状態をそれぞれ示す。
まず図1において、ガーニッシュクリップ10は、大きく分けて弾性部18と保持部26とによって構成されている。弾性部18は頭部12と複数枚の羽根部16とによって構成されており、保持部26は,スタビライザー20,基部22,保持片24によって構成されている。頭部12は、後述する取付穴50(図3参照)よりも小さく形成されており、この取付穴50にガーニッシュクリップ10を誘導する役目を果たす。
【0011】
次に図2(A)において、支柱14は外力(例えば走行中の振動等)に対抗するだけの剛性を有している。その支柱14は、保持部26(具体的には基部22の端面)の中央部から頭部12に伸びて形成されている。なお、支柱14は必要に応じて偏心させて保持部26から頭部12に伸びて形成させてもよい。
複数枚の羽根部16は弾性力を有しており、支柱14のほぼ全長から径方向に伸びておりかつ板状に形成されている。この羽根部16は図2(A)から明らかなように、A−A断面線に対応する部位が最大径をなしており、頭部12側またはスタビライザー20側に傾斜している。この場合、頭部12側とスタビライザー20側とでは、その傾斜角を異ならせている。これは、頭部12側ではスムーズにガーニッシュクリップ10を取付穴50に簡単に通せるように比較的急に傾斜させ、スタビライザー20側では取付穴50を通した後に確実に保持されるように緩やかに傾斜させているためである。
また、羽根部16は図2(B)から明らかなように、先端部側の肉厚が支柱14側よりも厚くなっている。さらに、羽根部16は支柱14の軸心から放射状に伸びる線を基準として斜め方向に伸びている。すなわち、支柱14に対して複数枚の羽根部16がスクリュー状に設けられている。
【0012】
一方、保持部26は円柱形状をなす基部22を中心に構成されており、この基部22から径方向にスタビライザー20と保持片24とが伸びている。スタビライザー20は、図示しない取付板(例えば図5に示す取付板52)に向けて「く」字状に伸びて形成されており、その先端部がガーニッシュクリップ10の取付後において取付板と接して密着状態を維持する。これらの基部22,スタビライザー20,保持片24によって断面が「コ」字状をなす保持部位には、図示しないが自動車部品等の部品が引っ掛けられて保持される。こうしてスタビライザー20の機能と相まって、上記部品の取付状態を安定に保つことができる。
【0013】
上記のような構成をなすガーニッシュクリップ10は、取付穴50に取り付ける際において次のように複数の羽根部16が変形する。すなわち、図3(A)に示すように、保持片24側からガーニッシュクリップ10を押すと、複数枚の羽根部16を支柱14の軸心方向(すなわち図示する矢印D2方向)に弾性変形する。そして、羽根部16が取付穴50を通過する際には図3(B)に示すような状態になり、そのとき羽根部16には元の状態に復元しようとする力が図示する矢印D4方向に働く。その後、取付穴50を通過した羽根部16は、その弾性力によって図3(C)のように復元する。こうして、羽根部16を弾性変形させるだけの力を加えれば、簡単にガーニッシュクリップ10を取付穴50(取付板52)に取り付けることができる。
【0014】
上記実施の形態によれば、複数枚の羽根部16は取付穴50(部材)を通り抜ける際に弾性変形し、取付穴50を通り抜けた後はその弾性力によって復元するだけの弾性力を有する。また、板状に形成されている複数枚の羽根部16は、保持部26から頭部12に伸びる支柱14のほぼ全長から外側方向に伸びているため、肉厚を厚くし、かつ断面積を大きく確保することができる。そのため、羽根部16はクリップとしての機能を果たすとともに、折れたり切れたりする可能性を低くすることができる。また、複数の羽根部16のうちの一部の羽根部が損傷してしまった場合でも、剛性のある支柱14によって部品に加わる外力を受け止めることができる。したがって、部品を確実に取付穴50に取り付けることができ、その作業性も良好である。さらに、この支柱14によって羽根部16の横ずれが防止されるため、部品の保持力が向上する。
したがって、ガーニッシュクリップ10を構成する一部分(具体的には、複数の羽根部16)が損傷してもクリップとしての機能を維持することができ、なおかつ保持部位に保持した部品を確実に取付穴50(部材)に取り付けることができる。このガーニッシュクリップ10は、自動車のボデー等の所定箇所にドアトリムやパッケージトレイトリム等の部品を取り付けるのに適している。
【0015】
また、複数枚の羽根部16は支柱14の軸心から放射状に伸びる線を基準として斜め方向に伸びているため、取付穴50を通り抜ける際に弾性変形させるための力を小さく抑えることができる。そのため、ガーニッシュクリップ10を軽い力で取付穴50に取り付けることができる。
さらに、羽根部16について、支柱14側の肉厚がその先端部側のよりも薄く形成されているため、その羽根部16は支柱14側(すなわち根元側)で撓みやすくなる。したがって、羽根部16を取付穴50に通す際に必要な力をさらに少なくでき、より軽い力でも取り付け可能になる。この場合、羽根部16の先端部側は肉厚が厚いため、取付穴50に通す際に生ずる磨耗に対する耐久力を確保することができる。
【0016】
なお、羽根部16について、その頭部12とスタビライザー20との中間部と、頭部12側やスタビライザー20側とで肉厚を変えている。具体的には、図2(A)に示すように羽根部16の最大径をなす部位(すなわちA−A断面線に対応する部位)の肉厚が最も厚くなるように形成している。こうすることによって、羽根部16の最大径をなす部位が取付穴50を何度も通過しても、その取付穴50との接触によって生ずる磨耗に対抗することができる。そのため、ガーニッシュクリップ10の耐用期間を長くのばすことができる。
【0017】
〔他の実施の形態〕
上述したガーニッシュクリップにおけるその他の部分の構造,形状,大きさ,材質および数量等については、上記実施の形態に限定されるものでない。例えば、上記実施の形態を応用した次の各形態を実施することもできる。
(1)複数枚の羽根部16について、それぞれの羽根部16の厚みを変えてもよい。具体的には、一定間隔ごとや交互に厚みを変えてもよく、それぞれ相異なる厚みに形成してもよい。こうすれば、取付穴50の大きさや、保持する部品の重量や大きさ等に合わせて最適なガーニッシュクリップ10を選択することが可能になる。こうして、保持部26に保持する部品を最も安定した状態で取付板52に取り付けることができる。
(2)支柱14から外側方向に伸びる羽根部16はスクリュー状に形成したが、他の形状によって形成してもよい。具体的には、放射状に形成したり、支柱14の外周において接線方向に伸びて形成してもよい。あるいは、取付穴50の径やその形状等に応じて、支柱14の軸心から径方向を基準とする所定の角度を持たせた斜め方向に伸びるように形成してもよい。これらの形状によっても、上記実施の形態と同様の効果を得ることができ、場合によっては取付穴50の径やその形状等に最も安定して部品を取り付けることができる。
【0018】
【発明の効果】
本発明によれば、ガーニッシュクリップを構成する一部分(羽根部)が損傷してもクリップとしての機能を維持しながら、部品を確実に部材に取り付けることができる。また、ガーニッシュクリップの耐用期間を長くのばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガーニッシュクリップの外観を示す斜視図である。
【図2】本発明のガーニッシュクリップを示す図であって、(A)には正面図を、(B)には断面図をそれぞれ示す。
【図3】本発明のガーニッシュクリップを示す断面図であって、(A)には取付穴を通す前の状態を、(B)には取付穴を通す際の状態を、(C)には取付穴を通した後の状態をそれぞれ示す。
【図4】従来のガーニッシュクリップを示す斜視図である。
【図5】従来のガーニッシュクリップを示す断面図である。
【図6】従来のガーニッシュクリップを示す断面図であって、(A)には取付穴を通す前の状態を、(B)には取付穴を通す際の状態をそれぞれ示す。
【符号の説明】
10 ガーニッシュクリップ
12 頭部
14 支柱
16 羽根部
18 弾性部
20 スタビライザー
22 基部
24 保持片
26 保持部

Claims (3)

  1. 頭部が部材の取付穴よりも小さく形成され、かつその取付穴よりも大きく形成された部位がその取付穴に挿入する際には弾性変形する弾性部と、前記取付穴の位置に取り付けるべき部品を保持する保持部とを備えているガーニッシュクリップであって、
    その弾性部は、前記保持部から前記頭部に伸びる支柱と、その支柱のほぼ全長から外側方向に伸びておりかつ板状に形成されている複数枚の羽根部とを有し
    前記複数枚の羽根部は、前記頭部と前記保持部との間に最大径となる部位を有し、その最大径の部位の肉厚が最も厚くなるように形成したことを特徴とするガーニッシュクリップ。
  2. 請求項1に記載のガーニッシュクリップであって、
    その複数枚の羽根部は、前記支柱の軸心から放射状に伸びる線を基準として斜め方向に伸びていることを特徴とするガーニッシュクリップ。
  3. 請求項1に記載のガーニッシュクリップであって、
    その複数枚の羽根部は、先端部側の肉厚を支柱側よりも厚くしたことを特徴とするガーニッシュクリップ。
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