JP3768035B2 - 衣類乾燥機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、衣類乾燥機に関する。
【0002】
【従来の技術】
家庭用の衣類乾燥機は、湿った衣類を収容したドラム内に乾燥した熱風を送り込み、衣類から蒸発した水分を含む湿った熱風を冷却することにより除湿し、乾燥させた空気をヒータにて再加熱してドラムへ循環する構成となっている。ドラムは水平軸を中心にゆっくりと回転され、これによりドラム内の衣類は撹拌されてむらのない乾燥が実行される。
【0003】
従来の衣類乾燥機では、ドラム内の空気出口の温度や、空気出口温度と雰囲気温度との差などに基づいてドラム内の衣類がほぼ乾燥したことを検知し、生乾きであることを防止するために、更にその時点から、所定時間だけ加熱を継続するようにしている。なお、ここでは、この加熱を継続する時間を加熱延長時間ということとする。乾燥運転の開始から乾燥終了の検知時点までの所要時間(運転時間)が長いほど負荷量が多いと推測し得るから、その運転時間が長いほど加熱延長時間も長くとるようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
初めにドラムに投入された際の衣類の脱水の程度がばらついている、つまり、十分に脱水がなされたものであったり、脱水が不十分で例えば水が滴下するような状態であったりすることがあるから、このような脱水が不十分である状況を考慮して加熱延長時間は決められている。そのため、脱水が十分になされている洗濯物に対しては加熱延長時間が長過ぎることが多く、完全に乾燥した衣類が熱風に晒され続けて過剰な乾燥になり、衣類の布傷みの一因になっていた。
【0005】
本発明はこのような課題を解決するために成されたもので、その目的とするところは、乾燥具合に応じた適正な加熱延長時間を設定することによって、上述のような衣類の過剰な乾燥を防止することができる衣類乾燥機を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために成された請求項1に記載の衣類乾燥機は、湿った衣類を収容した乾燥室内に加熱空気を送り込んで乾燥運転を行うとともに、乾燥室内から排気される空気の温度を検出するための温度センサによる検出温度を用いて乾燥がほぼ終了したと推定したあとに所定の延長時間だけ乾燥運転を延長する衣類乾燥機において、
a)乾燥運転の初期及び乾燥がほぼ終了したと推定し得る時点にそれぞれ、前記乾燥室内に収容されている衣類の負荷量を検知する負荷量検知手段と、
b)乾燥運転の初期に検知された負荷量と乾燥がほぼ終了したと推定し得る時点に検知された負荷量との差を計算し、この負荷量の差が大きい場合には、初めに衣類に含まれていた水の量が多かったと判断して前記延長時間を相対的に長くし、一方、前記負荷量の差が小さい場合には、初めに衣類に含まれていた水の量が少なかったと判断して前記延長時間を相対的に短くする運転制御手段と、
を備えることを特徴としている。
【0011】
【発明の実施の形態及び発明の効果】
請求項1に記載の衣類乾燥機において、負荷量検知手段は、乾燥運転の初期(乾燥運転の開始直前又は直後)に乾燥室内に収容されている衣類の負荷量(これを「乾燥前負荷量」とする)を検知する。この乾燥前負荷量は、衣類の乾燥重量と該衣類に吸収されている水の重量とを合わせたものである。乾燥運転が進行し乾燥がほぼ終了したと推定し得る時点で、負荷量検知手段は、再び乾燥室内に収容されている衣類の負荷量(これを「乾燥後負荷量」とする)を検知する。衣類に含まれていた水の大部分は乾燥運転によって蒸発して除去されているから、この乾燥後負荷量は衣類の乾燥重量と該衣類に残る水の重量とを合わせたものである。従って、乾燥前負荷量と乾燥後負荷量との差が、乾燥運転によって除去された水の重量に相当する。
【0012】
乾燥運転によって除去された水の重量が大きい場合、初めに乾燥室内に収容された衣類に含まれる水の量自体が多かった可能性が高い。また、そのような場合には、乾燥後負荷量の検知時点でもまだ衣類に残る水分が多い可能性が高い。逆に、乾燥運転によって除去された水の重量が小さい場合には、初めに乾燥室内に収容された衣類に含まれる水の量が少なかった可能性が高く、その場合、乾燥後負荷量の検知時点で衣類には殆ど水分が残っていないものと推測できる。そこで、運転制御手段は、除去された水の重量が大きい場合には、乾燥運転の延長時間を相対的に長くすることにより、衣類に残っている水分を完全に蒸発させるようにする。一方、除去された水の重量が小さい場合には、乾燥運転の延長時間を相対的に短くすることにより、衣類に残っている水分が完全に蒸発したあとに長時間熱風に晒されないようにする。
【0013】
従って、請求項1に記載の衣類乾燥機によれば、乾燥運転の延長時間が適正に設定されるので、衣類が過剰に乾燥されることを防止でき、布傷みが少なくなる。また、乾燥運転が終了したにも拘わらず、衣類が生乾き状態であるということも防止できる。更には、無駄な乾燥を継続することがなくなるので、省電力も達成できる。
【0018】
【実施例】
以下、本発明による衣類乾燥機の一実施例を図に基づいて説明する。まず、この衣類乾燥機の全体構成を、図1の側面縦断面図を参照して説明する。衣類乾燥機1の機枠2の前面中央には衣類投入口3が設けられ、その開口はドア4により開閉される。機枠2の背面には後面板5が止着され、後面板5の略中央には外部空気の吸気口6が形成されている。一方、機枠2の下面には空気の排気口7が形成されている。機枠2内において、衣類投入口3を取り囲むように環状の板金製のドラム支持板8が取り付けられ、また後部には後面板5と所定間隔を保って横方向に支持板9が架設されている。この支持板9には一部を切り欠いたファンケーシング10が固定されており、これにより機枠2内はファン室11とドラム収容室12とに区画されている。
【0019】
ドラム収容室12内には水平軸型のドラム13が、前面開口を衣類投入口3に対向させた状態でドラム支持板8にフェルト等を介して支持され、後面側は主軸14により回転自在に軸支されている。ドラム13の背面にはリントフィルタ16に被覆された空気出口15が形成される一方、前面のドラム支持板8の下部には空気取入口17が形成されている。支持板9にはドラム収容室12とファン室11とを連通する連通口18が形成され、空気出口15からの空気流が確実に連通口18に至るようにシール部材19がドラム13と支持板9との間に取り付けられている。
【0020】
ファン室11内においては、主軸14に円板状の合成樹脂製の両面ファン20が固着され、ドラム収容室12側に位置する循環ファン20aと後面板5側に位置する冷却ファン20bとがそれぞれ放射状に表裏一体に形成されている。ファンケーシング10内には両面ファン20を囲むように隔壁21が設けられ、この隔壁21の略中央の円形開口に両面ファン20を収容することにより、この両面ファン20と隔壁21とが相まってファン室11内を乾燥風路22と冷却風路23とに区画している。両面ファン20の周縁には乾燥風路22へ向けて開口する同心状の回転溝が一体形成され、一方、隔壁21の内周縁には冷却風路23へ向けて開口する同心状の固定溝が形成されており、両面ファン20の回転溝と隔壁21の固定溝とは相互に非接触状態で遊嵌されている。即ち、両面ファン20の回転溝と隔壁21の固定溝とはラビリンス結合を成している。このため、乾燥風路22と冷却風路23との間は空気の交換ができないようになっている。
【0021】
乾燥風路22の下部とドラム支持板8に形成されている空気取入口17とは乾燥ダクト24により連結されており、その内部の空気取入口17付近にはヒータ25が配置されている。このヒータ25は、例えばハニカム形状の正特性サーミスタで構成されている。乾燥ダクト24の最下部には、乾燥ダクト24内に凝縮した除湿水を機外に排出するための排水口26が設けられている。
【0022】
機枠2内の底部にはモータ27が配置されている。モータ27は、ドラム13の外周面に巻掛けられたVベルト32にプーリ31を介して回転力を与える一方、プーリ28、ファンベルト29を介して冷却ファン20bの中央に形成されたプーリ30に回転力を与えている。また、Vベルト32のスリップを防止するために、ドラム回転時にアイドラプーリ33がVベルト32に適当な張力を加える。プーリ28にはモータ27の回転数を検出するための回転センサ34が取り付けられている。この回転センサ34は、モータ27が一回転する毎に一個のパルス信号を出力する。
【0023】
而して、乾燥運転時には、モータ27の回転駆動力により、ドラム13が低速で、両面ファン20は高速でそれぞれ回転され、同時にヒータ25に通電されて乾燥風が加熱される。これにより、循環ファン20aの回転で生起した風が、乾燥風路22、乾燥ダクト24、ドラム13を通って循環し、熱風がドラム13内を通過する際に衣類から水分を奪う。一方、冷却ファン20bの回転により、外気が吸気口6から冷却風路23内に導入され排気口7から排出される。このとき両面ファン20自体が冷気により冷却される。ドラム13を通過した後の水分を含む熱気は両面ファン20に接触して冷却され、凝縮した水が乾燥風路22の内壁を流下して排水口26から排出される。
【0024】
ドラム13の空気出口15の近傍には、ドラム13から排気される空気の温度を検出するための出口温度センサ35が配置されている。出口温度センサ35は、例えばサーミスタのような感熱素子で構成されている。また、機枠2の前面下方には、種々の入力キーや表示器を備えた操作パネル36が設けられている。この操作パネル36の後方の機枠2内部には、合成樹脂製の基板ケース37がビスにて取付られており、基板ケース37には周囲温度の急激な変化の影響を受けにくい熱容量の大きな部材で構成された制御基板38が内装されている。制御基板38上には、後述するマイクロコンピュータ(以下「マイコン」という)や制御基板38自体の温度を検出するための雰囲気温度センサ39、その他の各種の電気部品が実装されている。
【0025】
図2は、上記衣類乾燥機1の電気系構成図である。制御の中心には、CPU51、ROM52、RAM53、タイマ54、A/D変換器55等から成るマイコン50が備えられており、ROM52に予め記憶されてる運転プログラムに従って後述の各部を制御することにより乾燥運転を実行する。マイコン50には、操作パネル36の入力キー類を含む入力キー回路60、ドア4の開閉を検知するドアスイッチ61、操作パネル36に備えられたLEDを駆動するLED点灯回路62、出口温度センサ35、雰囲気温度センサ39、回転センサ34、電子ブザーを駆動するブザー回路64、商用電源に接続された電源回路65、商用電源のゼロクロス点を検出する商用電源ゼロクロス信号検出回路66、モータ27、ヒータ25及び乾燥運転が終了した後に自動的に電力供給を遮断するためのオートパワーオフ回路(APO)67を駆動するための負荷駆動回路68、マスタークロック信号を生成するクロック発振回路69、リセット回路70、並びに、電流検出回路71が接続されている。
【0026】
続いて、本実施例の衣類乾燥機1の動作を説明する。図3は乾燥運転全体の処理の流れを、マイコン50の制御動作を中心にして示したフローチャート、図4は図3中のパルスカウント処理のサブルーチンのフローチャートである。
【0027】
操作パネル36中の電源キーがONされると(ステップS1)、マイコン50はリセット回路70からのリセット信号を受けて初期設定を実行し(ステップS2)、これにより各種フラグや変数等がリセットされる。使用者により衣類がドラム13内へ収容されスタートキーが押されると(ステップS3)、乾燥運転を開始する。即ち、まずマイコン50はモータ27をONし、目標回転速度を例えば1150rpmに設定してモータ27を始動させる(ステップS4)。これにより、モータ27の回転速度は目標回転速度にまで急速に上昇し、ドラム13及び両面ファン20はそれぞれの減速比により定まった所定の回転速度(例えばドラム13は約37rpm、両面ファン20は約743rpm)で回転する。
【0028】
マイコン50は、モータ27をONするとほぼ同時にタイマ54による計時を開始し(ステップS5)、その計時が52秒を経過したならば(ステップS6で「Y」)、パルスカウント処理を実行する(ステップS7)。ステップS6で52秒間待つのは、モータ27の回転速度が上記目標回転速度に達して安定するのに時間を要するからである。
【0029】
パルスカウント処理時の動作を図4を参照して説明する。マイコン50は回転センサ34からのパルス信号によりモータ27の回転速度が1150rpmであるか否かを判定し(ステップS31)、1150rpmであると判定されると、モータ27への通電を遮断する(ステップS32)。それとほぼ同時に、タイマ54による計時を開始する(ステップS33)とともに、回転センサ34により得られるパルス信号の計数を開始する(ステップS34)。
【0030】
モータ27がOFFされると、モータ27はそれまでの回転の惰性により、徐々に回転速度が低下しながら回り続ける。ドラム13はモータ27の回転負荷になっているから、ドラム13内に収容されている衣類の重量、つまり負荷量が大きいほど回転速度の低下は急である。マイコン50は、タイマ54の計時が8秒に達するまでパルス信号の計数を続け(ステップS34、S35)、8秒に達したならば(ステップS35で「Y」)、その時点での計数値を惰性回転に対応したパルス計数値PnとしてRAM53に記憶する(ステップS36)。ここで、nは乾燥運転開始直後のパルスカウント処理時には「1」であり、後述の乾燥運転後期のパルスカウント処理時には「2」である。従って、上述の場合にはパルス計数値がP1として記憶される。そのあと、モータ27をONさせて回転速度を元の回転速度近傍まで上昇させる(ステップS37)。
【0031】
図5は、負荷量と上記パルス計数値との関係を示す図である。上述のようにドラム13はモータ27の回転負荷となっているため、負荷量が大きいほどパルス計数値は小さくなる。
【0032】
図3のフローチャートに戻って説明を続けると、マイコン50はヒータ25に通電を行い(ステップS8)、温度条件等によりヒータ25のON/OFFを決定するヒータ制御処理を実行する(ステップS9)。更に、マイコン50はモータ27の回転制御処理を行う(ステップS10)。具体的には、マイコン50は、電流検出回路71により検出されたモータ27及びヒータ25を含む電源電流に比例したアナログ値の信号を受け、これをA/D変換器55にてデジタル値に変換し、これが所定の値となるようにモータ27の目標回転速度を修正する。ヒータ25に正特性サーミスタを用いる場合、両面ファン20の回転速度が大きく送風量が多いとヒータ25に流れる電流が増加し、逆に送風量が少ないとヒータ25に流れる電流は減少する。従って、上述のようにしてモータ27の回転速度を調整することにより、電源電流が過大に流れることを防止している。
【0033】
マイコン50は、このようなヒータ25及びモータ27の制御を行ったあとに乾燥終了を検知したか否かを判定し(ステップS11)、乾燥終了を検知していない場合にはステップS9へと戻り、ステップS9〜S11の処理を繰り返し実行する。
【0034】
図6(a)は、本実施例の衣類乾燥機における出口温度センサ35にて検出される出口温度T1、及び、雰囲気温度センサ39にて検出される基板温度T2の、乾燥運転時間に対する変化を示す図である。上記のように乾燥運転が実行されると、出口温度T1は曲線L1のように変化する。即ち、予熱期間〔i〕では、与えられた熱量が乾燥機本体や水分を多く含んだ衣類そのものの温度を高めるために費やされるため、出口温度T1は緩やかに上昇する。続く恒率乾燥期間〔ii〕では、与えられた熱量の殆どが衣類の中の水分を蒸発させるために費やされるため、出口温度T1はほぼ一定に推移する。減率乾燥期間〔iii〕では、与えられた熱量が、水分の蒸発のみならず水分が減った衣類そのもの或いは乾燥機本体の温度上昇にも費やされるため、出口温度T1は再び上昇する。
【0035】
一方、基板温度T2は曲線L2のように変化する。即ち、基板温度T2は、運転開始から暫くの間は緩やかに上昇し、或る程度時間が経過するとほぼ一定に推移する。これは、雰囲気温度センサ39が取り付けられている制御基板38が、周囲温度そのものには影響を受けるがその急激な変化の影響は受けにくい熱容量の大きな部材であるため、基板温度T2の変化は制御基板38に実装されている各電気部品の放熱に殆ど依存しているからである。
【0036】
このため、出口温度T1と基板温度T2との温度差ΔTは、図6(b)に示す曲線L3のように変化する。即ち、当初は緩やかに上昇し、予熱期間〔i〕の終了時点近傍で最高となった後に緩やかに減少し、その後ほぼ一定に推移する。そして、減率乾燥期間〔iii〕において出口温度T1が上昇するに伴い温度差ΔTも徐々に上昇する。
【0037】
上記ステップS11では、この温度差ΔTが予め設定された所定値Tb(例えば10℃程度)に到達したときに乾燥終了であると判断している。但し、乾燥終了の判断はこれに限るものではなく、所定の乾燥運転時間が経過したとき、或いは、出口温度T1が所定温度Ta(例えば80℃)に到達したあとにヒータ25のON/OFF制御により該温度をほぼ一定に維持して所定時間が経過したとき、などにおいて乾燥終了であると判断してもよい。
【0038】
乾燥終了が検知されると、マイコン50はヒータ25をOFFして加熱を停止する(ステップS12)。それとほぼ同時にタイマ54による計時を開始する(ステップS13)。上述のようにヒータ25による加熱を行っている間は電源電流が過大に流れることを回避するためにモータ27の速度調整を行っているが、ヒータ25をOFFすればそのような速度調整の必要がなくなるので、モータ27の回転速度は目標回転速度になるように制御される。タイマ54の計時が52秒を経過するまで待つことによって(ステップS14で「Y」)、モータ27の回転速度を上記目標回転速度に安定させる。そして、52秒が経過したならば、ステップS7と同様のステップS15の処理により、惰性回転時のパルス計数値を求める。このときには8秒間の惰性回転期間中に積算された計数値はP2としてRAM53に記憶される。
【0039】
ステップS15のパルスカウント処理が終了すると、マイコン50はヒータ25に通電を再開し(ステップS16)、ほぼ同時にタイマ54による計時を開始する(ステップS17)。次いで、RAM53に記憶しておいたP1とP2とを読み出し、ΔP=P2−P1を計算して、そのΔPが15より大であるか否かを判定する(ステップS18)。乾燥運転の初期には衣類が水を含んでおり、乾燥運転の実行によりその水が蒸発するから、負荷量は乾燥運転の初期よりも乾燥運転後期に減少している筈である。図5に示したように、計数値は負荷量と関係しているから、乾燥運転の前後での負荷量の差、つまり蒸発した水の量が多いほど上記ΔPは大きな値となる。また、初めに衣類に含まれている水の量が多いほど、乾燥運転によって蒸発した水の量も多くなる傾向にある。
【0040】
そこで、ΔPが15を越えている場合には、初めに衣類に含まれていた水の量が多いと判断でき、例えば脱水等が不十分であるものと推測し得る。このような場合、上述のように乾燥終了を検知したとしても、衣類が完全に乾いていない可能性が高い。一方、ΔPが15以下である場合には、元々衣類に含まれていた水の量が少ないものと判断でき、例えば脱水等が十分になされていたか、或いは半分乾いた状態にあったものと推測し得る。このような場合には、上述のように乾燥終了を検知した時点で衣類はほぼ完全に乾いている可能性が高い。
【0041】
乾燥終了の検知のあとに更に完全に乾燥を行うため、所定時間だけ乾燥運転を延長するが、その延長のための加熱延長時間の標準値は、乾燥運転開始から乾燥終了が検知されるまでの時間、つまり運転時間に応じて予め決められている(図7参照)。上記ステップS18にてΔPが15を越えていると判定されたときには、このように定められている加熱延長時間の標準値をそのまま用い、その加熱延長時間Tが経過するまでヒータ25による加熱を継続してヒータ25をOFFする(ステップS20、S21)。それに対し、ステップS18にてΔPが15以下であると判定されたときには、衣類の乾燥の程度が高いので、上述のように定められている加熱延長時間の標準値から3分を減じたものを加熱延長時間Tとし(ステップS19)、この加熱延長時間Tが経過するまでヒータ25による加熱を継続してヒータ25をOFFする(ステップS20、S21)。このような制御の結果、各条件の下での加熱延長時間は図7に示すようになる。
【0042】
上述のようにして乾燥運転を終了したあと、引き続きモータ27を作動させて加熱していない空気をドラム13内に送り込み、熱くなっている衣類を冷却させてから運転を終了する(ステップS22)。
【0043】
上述のように、本実施例の衣類乾燥機では、乾燥運転の初期と後期とにおける負荷量をそれぞれモータ27の惰性回転中のパルス信号の計数値で把握し、その計数値の差でもって衣類の乾燥の程度を判断し、乾燥の程度が高いと判断した場合には追加の加熱延長時間を短縮している。従って、衣類が乾燥しているにも拘わらず、更に熱風に晒されて過剰に乾燥されることが回避される。
【0044】
本実施例の衣類乾燥機では、乾燥対象物の布質などに合わせて適切な乾燥運転を行うために、例えばヒータ25による加熱の強弱などを使用者が選択できるようになっている。このような乾燥運転の条件によっても乾燥の進行度合は変わるから、図7に示した加熱延長時間は例えば標準的な乾燥運転コースに対応した値であって、他の乾燥運転コース(例えば、毛布等、特に乾き難い洗濯物を乾燥させるための運転コース)では適宜数値を変えることが望ましい。即ち、上記実施例中の数値は一例であって、本発明はこれに限定されるものではない。
【0045】
また、上記実施例は一例であって、本発明の趣旨に沿った範囲で適宜変形や修正を行えることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例である衣類乾燥機の側面縦断面図。
【図2】 上記衣類乾燥機の電気系構成図。
【図3】 この衣類乾燥機における乾燥運転全体の処理のフローチャート。
【図4】 図3中のパルスカウント処理のサブルーチンのフローチャート。
【図5】 負荷量と惰性回転時のパルス計数値との関係を示す図。
【図6】 乾燥運転時のドラム出口温度、基板温度、及び両温度の差、の運転時間に対する変化を示す図。
【図7】 加熱延長時間の選択肢を示す図。
【符号の説明】
13…ドラム
25…ヒータ
27…モータ
34…回転センサ
35…出口温度センサ
39…雰囲気温度センサ
50…マイコン
68…負荷駆動回路

Claims (1)

  1. 湿った衣類を収容した乾燥室内に加熱空気を送り込んで乾燥運転を行うとともに、乾燥室内から排気される空気の温度を検出するための温度センサによる検出温度を用いて乾燥がほぼ終了したと推定したあとに所定の延長時間だけ乾燥運転を延長する衣類乾燥機において、
    a)乾燥運転の初期及び乾燥がほぼ終了したと推定し得る時点にそれぞれ、前記乾燥室内に収容されている衣類の負荷量を検知する負荷量検知手段と、
    b)乾燥運転の初期に検知された負荷量と乾燥がほぼ終了したと推定し得る時点に検知された負荷量との差を計算し、この負荷量の差が大きい場合には、初めに衣類に含まれていた水の量が多かったと判断して前記延長時間を相対的に長くし、一方、前記負荷量の差が小さい場合には、初めに衣類に含まれていた水の量が少なかったと判断して前記延長時間を相対的に短くする運転制御手段と、
    を備えることを特徴とする衣類乾燥機。
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