JP3767477B2 - 電子機器の筐体構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子機器の筐体構造の改良、より具体的には、付属ユニット収納部から付属ユニットを取り外した際に発生する可能性のある感電事故や電子機器の損傷を未然に防止するための改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報化社会が個人ユースにまで及ぶほど急速に進んでおり、コンピュータ等の電子機器を企業等で使用する場合、顧客サービス業務の観点から24時間連続運転されることが多くなってきている。
従って、電子機器が故障等で制御不能になると顧客に多大な迷惑をかけることになるため、電子機器の信頼性向上に対する要求が一段と高まってきた。
【0003】
係る要求に対し、電子機器を提供するメーカは、主要ユニットに冗長性を持たせることで対応していた。すなわちメーカは係る電子機器に搭載される付属ユニットの1つが故障しても電子機器が制御不能とならずに常時運転が可能である設計を行うことで対応していた。
従って、電子機器に搭載される付属ユニットが故障した場合、通電状態で係るユニットを交換することになるが、電子機器の付属ユニット収納部には付属ユニットの離脱後、空間ができてしまうことになる。係る空間内に活電部があり、もし交換作業者がこの空間に不用意に手指等を入れ、活電部に触ったりすると、感電による人体への悪影響やショートによる機器の誤動作あるいは電源ダウンを招く可能性があった。
【0004】
米国のUL(UNDERWRITERS LABORATORIES INC.)等の安全規格機関では、この危険に対して規制を行っている。
【0005】
図7に電子機器の筐体の一例を後部斜視図で示す。この筐体には、付属ユニットとしての電源ユニット100,制御カードユニット101,通信カードユニット102が収納されており、主要な電源ユニット100,制御カードユニット101は冗長のためそれぞれ2セットずつ用意されている。また係るユニット類は装着時には筐体内部にある主基板にプラグインにて接続されている。
【0006】
前述したように、主要な付属ユニットは冗長化されて複数個並列的に配備されているため、制御カードユニット101の1つが故障しても連続運転に支障はないが、次の故障に備える必要上、図7に示されるように、故障した制御カードユニット101を機器の運転中に離脱させて交換する必要がある。
このとき、電子機器は運転中の状態にあるため、制御カードユニット101が接続される主基板やコネクタ等は通電状態となっており、筐体の付属ユニット収納部内ではコネクタピンや基板回路等の活電部が露出された状態になっている。制御カードユニット101が離脱状態にあるときは、付属ユニット収納部は空洞となっているが、この付属ユニット収納部が人の手指が入るほど大きな空間の場合には、不用意に手指を挿入すると活電部に接触することがあり、感電あるいは電子部品をショートさせてしまうといった問題が発生する可能性もあり得る。
【0007】
これを回避するため、主基板の回路面に絶縁シート等を追加することもあるが、結局、コネクタ部の絶縁シート等は切り抜くことになり、ピンの露出は回避できない。更に、ラベル等で注意を喚起する方法もあるが、このような対策は完全とはいえない。また、制御カードユニット101の縦横比を変えて薄型とし、制御カードユニット101を装填する付属ユニット収納部に手指が入らないように構成することも考えられるが、このような対策を講じるとすると、制御カードユニット101上での回路レイアウト等に著しい制限を加えることになり、実現性が乏しい。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
一方、付属ユニットを取り外した付属ユニット収納部の開口を塞ぐための技術としては、例えば、特開平8−18259号に開示されるように、付属ユニットの挿入を受けてシャッタを内側に転倒させる一方、付属ユニットが取り外された場合には自動的にシャッタを閉鎖して付属ユニット収納部の開口を塞ぐ装置が既に提案されている。
【0009】
このものは、付属ユニットを取り外した状態で永久磁石を用いてシャッタを開口部に固定するようになっているが、単に、筐体内の空気の流れを安定化させることを目的として開口部を塞ぐだけのものに過ぎない。従って、永久磁石によるシャッタの固定力は、人の手指や異物の侵入を防ぐのに十分ではなく、感電防止や電子部品のショートを防止するための対策とはなり得ない。
【0010】
【発明の目的】
本発明の目的は、前記従来技術の欠点を解消し、付属ユニットを取り外した付属ユニット収納部からの手指や異物の侵入を禁止し、不用意な感電やショートによる機器の誤動作あるいは電源ダウン等の発生を確実に防止することのできる電子機器の筐体構造を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明による電子機器の筐体構造は、相互に所定の間隔を空けて略平行に併設された第一,第二の仕切板と前記第一,第二の仕切板に略直交して相互に所定の間隔を空けて略平行に併設された第三,第四の仕切板とを主基板の裏面側に設けて付属ユニット収納部を形成し、前記第一,第二,第三,第四の仕切板の内面に沿って主基板に対し接離する方向に付属ユニットを移動させることで付属ユニット収納部に前記付属ユニットを着脱自在に装着するようにした電子機器の筐体構造であり、
前記目的を達成するため、特に、第一,第二,第三,第四の仕切板のうち少なくとも何れか一つに、前記主基板との間に所定の間隔を空けて前記付属ユニット収納部の外側に退避した位置に配備された揺動軸により前記主基板に対して略平行となる姿勢を初期位置として前記主基板に向けて転倒可能な状態で軸支された遮蔽板を設置すると共に、この遮蔽板を前記転倒位置から前記初期位置に向けて付勢する第一の付勢手段を前記揺動軸の近傍に設け、
前記遮蔽板における前記主基板との対向面の外周部と係脱する係合突起を先端に有し中央部に楔状突起を備えた揺動部材を、前記主基板を基準として、該揺動部材の基部が前記遮蔽板の軸支位置よりも遠方となるようにして、前記遮蔽板を軸支していない仕切板のうち少なくとも何れか一つに揺動自在に取り付けると共に、この揺動部材を前記付属ユニット収納部の外側から内側に向けて付勢し前記係合突起および楔状突起を前記付属ユニット収納部内に突入させる第二の付勢手段を設け、
前記揺動部材を枢着した仕切板に摺接する付属ユニットの部分には、該付属ユニットを前記付属ユニット収納部に装填する際に前記揺動部材の楔状突起と摺接して該揺動部材もろとも前記楔状突起および係合突起を前記第二の付勢手段の付勢力に抗して前記付属ユニット収納部の外側に退避させる外部隔壁を形成したことを特徴とする構成を有する。
【0012】
電子機器の付属ユニット収納部は、主基板の裏面側に併設された第一,第二,第三,第四の仕切板によって、主基板の裏面側に略直方体状の空間として形成される。
付属ユニット収納部の内部には、遮蔽板が、主基板との間に所定の間隔を空けて、主基板に対して略平行となる姿勢を初期位置として揺動軸で軸支して取り付けられている。この遮蔽板は、付属ユニット収納部の外側に退避した位置に配備された揺動軸を支点として、主基板に向けて転倒する方向に揺動自在な構造とされ、この遮蔽板を転倒位置から初期位置に向けて付勢する第一の付勢手段によって、主基板に対し略平行となる初期位置に保持される。
また、この付属ユニット収納部には、遮蔽板の外周部と係脱する係合突起を先端に有し中央部に楔状突起を備えた揺動部材の基部が取り付けられており、この揺動部材は、第二の付勢手段により付勢されて前記係合突起および楔状突起を付属ユニット収納部内に突入させている。揺動中心となる揺動部材の基部は、前記主基板を基準として、前記遮蔽板の軸支位置よりも遠方に位置する。つまり、付属ユニット収納部の入口側から見ると、前述した遮蔽板,係合突起,楔状突起,揺動部材の基部(揺動中心)は、揺動部材の基部(揺動中心),楔状突起,遮蔽板,係合突起の順で位置することになる。
まず、付属ユニット収納部から付属ユニットを抜き出した状態では、付属ユニット収納部内に突入した揺動部材の係合突起が、遮蔽板における主基板との対向面の外周部と係合しているので、遮蔽板を主基板に向けて転倒する方向に押したとしても、遮蔽板の揺動は揺動部材の係合突起によって阻止される。
従って、付属ユニット収納部に手指を入れて遮蔽板を揺動させようとしても遮蔽板が主基板に向けて転倒して開くことはなく、付属ユニットを抜き出したときに心配される主基板と手指との接触や異物の侵入による感電事故やショートによる機器の誤動作あるいは電源ダウン等の発生が確実に防止される。
また、強制的に遮蔽板を揺動させて主基板に向けて開こうとした場合、揺動部材に作用する力は、揺動部材の基部(揺動中心)と係合突起とを離間させる方向、つまり、揺動部材にテンションを与える方向に作用するので、並大抵の力で遮蔽板を押しても揺動部材自体が損傷することはなく、遮蔽板が主基板と平行状態となった閉鎖時の姿勢を確実に保持することができる。
ここで、付属ユニットを付属ユニット収納部に装填する場合には、付属ユニット収納部を形成する略直方体状の空間を形成する第一,第二,第三,第四の仕切板の内面に沿って、主基板に対し接近する方向に付属ユニットを押し込むようにする。
仕切板と摺接する付属ユニットの部分には外部隔壁が形成されている。そして、仕切板の内面に沿って主基板に対し接近する方向に付属ユニットを徐々に押し込んでいくと、まず、最初に、付属ユニットの外部隔壁が揺動部材の楔状突起に摺接する。
そして、付属ユニットを更に押し込んでいくと、揺動部材の楔状突起の斜面が付属ユニットの外部隔壁によって押され、この楔状突起が付属ユニット収納部の内側から外側に向けて移動し、同時に、揺動部材が基部を支点に揺動して付属ユニット収納部から外側に退避する。
揺動部材の退避動作に伴って揺動部材の係合突起も付属ユニット収納部の外側に退避し、この結果、係合突起が遮蔽板における主基板との対向面の外周部から離脱して、遮蔽板は、主基板に向けて転倒することが可能な状態とされる。
そして、付属ユニットを更に押し込むと、付属ユニットの先端が第二の付勢手段の付勢力に抗して遮蔽板を押し、この遮蔽板を主基板に向けて転倒させる。
遮蔽板は、付属ユニット収納部の外側に退避した位置に配備された揺動軸によって軸支されているので、主基板に接近する方向に移動する付属ユニットの移動経路から外側に退避することが可能であり、付属ユニットの装填操作に何らの支障も与えない。
最終的に、付属ユニットの先端が主基板の裏面に到達した段階で、コネクタ等を利用した主基板と付属ユニットとの電気的な接続作業が行われることになる。一方、付属ユニット収納部から付属ユニットを抜き出す場合には、この付属ユニットを持って、主基板の裏面から離間する方向に引き抜く。
この引き抜き操作によって付属ユニットの先端が主基板の裏面から離間すると、遮蔽板は、前述した第一の付勢手段の付勢力によって揺動されて自動的に初期位置、要するに、主基板と略平行な状態となって付属ユニット収納部を塞ぐ位置に復帰する。
そして、付属ユニットを更に抜き出していくと、やがて、揺動部材の楔状突起から付属ユニットの外部隔壁が抜け出して離脱する。この結果、第二の付勢手段で付勢されている揺動部材は基部を支点として付属ユニット収納部の内側に向けて揺動し、揺動部材の楔状突起および係合突起が再び付属ユニット収納部の内側に突入する。
付属ユニット収納部の内側に突出した係合突起は、再び、初期位置にある遮蔽板の外周部に係合し、この遮蔽板が主基板に向けて転倒することを禁止する。
以上に述べた通り、付属ユニット収納部から付属ユニットを抜き出した状態では、主基板と略平行な状態となる初期位置の遮蔽板が付属ユニット収納部を塞ぐので、付属ユニットを抜き出したときに心配される主基板と手指との接触や異物の侵入による感電事故およびショートによる機器の誤動作あるいは電源ダウン等の発生を確実に防止することができ、また、付属ユニットを装填する際には遮蔽板を無理なく容易に開き、さらに、付属ユニットを抜き出した際には遮蔽板を自動的に初期位置に復帰させて付属ユニット収納部を塞ぐことができる。
【0013】
ここで、遮蔽板を転倒位置から初期位置に向けて付勢する第一の付勢手段は、一端を遮蔽板における主基板との対向面に当接させて他端を固定された捩りコイルバネによって構成することが可能である。
【0014】
捩りコイルバネの屈曲部(弦巻部)を遮蔽板の揺動軸に環装するようにして捩りコイルバネを取り付けることにより、無駄なスペースを使うことなく遮蔽板を付勢することが可能となり、また、付属ユニット収納部内に付勢用のパーツを取り付ける必要もなく、付属ユニットを装着する空間を適切に確保できるようになる。
【0015】
また、揺動部材を板バネによって構成することにより、揺動部材自体に第二の付勢手段の機能を持たせることが可能である。
【0016】
この場合、揺動部材の取付対象となる仕切板に揺動部材の基部を固着し、揺動部材自体を弾性変形させることで前述の係合突起および楔状突起を付属ユニット収納部の内外に出没させる。
つまり、付属ユニットの装填に際し、付属ユニットの外部隔壁が揺動部材の楔状突起に摺接すると、板バネからなる揺動部材が弾性変形して付属ユニット収納部の内側から外側に向けて楔状突起と係合突起を退避させ、また、付属ユニットの取り出しに際し、付属ユニットの外部隔壁が揺動部材の楔状突起から離脱すると、板バネからなる揺動部材が原位置に弾性復帰して再び付属ユニット収納部の内側に楔状突起と係合突起を突入させることになる。
【0017】
また、揺動部材を取り付けられた仕切板と略直交する他の仕切板には、前記楔状突起に対する手指の接触を防止するための接触防止プレートを設けることが可能である。この接触防止プレートは、付属ユニット収納部内に突入した楔状突起に対し、その突入方向に所定のクリアランスを置いて設置するようにする。
【0018】
この接触防止プレートにより楔状突起に対する手指の接触が禁止されるため、付属ユニットを取り出して付属ユニット収納部に手指を指し込んだとしても、揺動部材の楔状突起を付属ユニット収納部の外側に退避させることはできなくなる。従って、付属ユニットを取り出した状態で係合突起と遮蔽板との係合関係を解除することは極めて困難となり、故意による遮蔽板の開放操作も確実に防止される。
この接触防止プレートは、付属ユニット収納部内に突入した楔状突起に対し、その突入方向に所定のクリアランスを置いて設置されており、しかも、接触防止プレートの基部は、揺動部材を取り付けられた仕切板と略直交する他の仕切板に固着されているので、付属ユニットの装着に際しては、付属ユニットの外部隔壁を支障なく通過させることができる。
【0019】
更に、接触防止プレートにおける主基板寄りの端部は遮蔽板のストッパとして利用することが可能である。
【0020】
第一の付勢手段によって転倒位置から初期位置に向けて付勢された遮蔽板を接触防止プレートの端部に位置するストッパで支えることにより、遮蔽板の初期位置を適切に保持することができる。
【0021】
また、揺動部材と第二の付勢手段は、遮蔽板を枢着した仕切板と略直交する2つの仕切板の各々に配備することが望ましい。
【0022】
遮蔽板を枢着した仕切板と略直交する2つの仕切板の各々に相互に対向するかたちで配備された2つの揺動部材に設けられた各々の係合突起を遮蔽板の両側に係合させることにより、初期位置にある遮蔽板の固定状態を強力に確保することが可能となる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。図1は本発明を適用した電子機器の筐体構造の一実施形態について示した斜視図であり、ここでは、筐体構造の一例として、図7の従来例と同様に、付属ユニットとしての電源ユニット100,制御カードユニット101,通信カードユニット102を収納する筐体の構造を前提としている。
【0024】
本実施形態における電子機器の筐体1は、図1に示されるように、相互に所定の間隔を空けて主基板2の裏面側に略平行に併設された底板3と天面板4、および、底板3と天面板4に略直交して相互に所定の間隔を空けて主基板2の裏面側に略平行に併設された垂直仕切板5,6を備え、更に、底板3と天面板4との間には、水平仕切板7が底板3と天面板4に対して平行に配設されている。
【0025】
以下、制御カードユニット101を装填する付属ユニット収納部の一つを例に取って、本発明を適用した筐体構造について詳細に説明する。
【0026】
制御カードユニット101を装填する付属ユニット収納部の一つは、前述した水平仕切板7と天面板4および垂直仕切板5,6によって形成される。
【0027】
既に述べた通り、水平仕切板7と天面板4は相互に所定の間隔を空けて主基板2の裏面側に略平行に併設され、また、垂直仕切板5と垂直仕切板6は水平仕切板7および天面板4に略直交して相互に所定の間隔を空けて主基板2の裏面側に略平行に併設されている。
【0028】
従って、これ以降の説明では、特許請求の範囲の記載に合わせ、水平仕切板7を第一の仕切板,天面板4を第二の仕切板,垂直仕切板5を第三の仕切板,垂直仕切板6を第四の仕切板と呼ぶことにする。
【0029】
第一の仕切板7,第二の仕切板4,第三の仕切板5,第四の仕切板6で形成される付属ユニット収納部8には、付属ユニットとしての制御カードユニット101が着脱自在に装着されるようになっている。
【0030】
図4は、仕切板5,6に平行する平面で筐体1を切断した状態を示した断面図である。
【0031】
図4に示されるように、第一の仕切板7のうち主基板2に近接する部分には切欠部7aが形成され、この切欠部7a内に、主基板2との間に所定の間隔を空けて、かつ、第一の仕切板7から下方にずれて付属ユニット収納部8の外側に退避するようなかたちで、遮蔽板9を軸支するためのヒンジ10が装着されている。
【0032】
ヒンジ10の揺動軸11には、一端を遮蔽板9における主基板2との対向面に当接させて他端をヒンジ10上に固定された捩りコイルバネ12の屈曲部(弦巻部)が環装され、第一の付勢手段として機能する捩りコイルバネ12の弾性力によって、遮蔽板9が揺動軸11を中心として図4中で時計方向に揺動付勢されている。
【0033】
図4に示されるように、遮蔽板9が主基板2と略平行な姿勢となる状態が遮蔽板9の初期位置、また、図6に示されるように、遮蔽板9が完全に転倒して第一の仕切板7と略平行となる状態が遮蔽板9の転倒位置(揺動限界)である。
従って、遮蔽板9は、捩りコイルバネ12の弾性力によって転倒位置から初期位置に向けて付勢されていることになる。
【0034】
図2は、筐体1の主要部の一つである揺動部材13の取付部の周辺を取り出して第一の仕切板7の法線方向から見た状態を示した平面図である。
【0035】
図2に示されるように、遮蔽板9を軸支していない第三の仕切板5には、係合突起14を先端に有し中央部に楔状突起15を備えた揺動部材13が、主基板2を基準として、該揺動部材13の基部13aが遮蔽板9の軸支位置よりも遠方となるようにしてビスあるいはリベット18により固着されており、揺動部材13と一体に形成された係合突起14および楔状突起15は、第三の仕切板5に穿設された矩形状の孔16,17を通って付属ユニット収納部8の内部に突入している。
【0036】
この実施形態では揺動部材13自体が板バネによって構成され、この板バネの弾性によって揺動部材13が基部13aを支点として揺動自在とされる。同時に、この板バネの弾性復帰力が第二の付勢手段を兼ね、基部13aを支点として揺動部材13を付属ユニット収納部8の外側から内側に向けて、つまり、図2においては時計方向に向けて付勢し、係合突起14および楔状突起15を付属ユニット収納部8の内部に突入させている。
【0037】
更に、揺動部材13を取り付けた第三の仕切板5と略直交する第二の仕切板4には、付属ユニット収納部8の内側から入れられた手指や異物が楔状突起15に接触することを禁止するための接触防止プレート19が、図1および図2に示されるようにして、付属ユニット収納部8内に突入した楔状突起15に対し、その突入方向に所定のクリアランス(手指が入らない程度)を置いて固設されている。
【0038】
また、接触防止プレート19における主基板2寄りの端部には、図2に示されるように、捩りコイルバネ12によって揺動付勢された遮蔽板9の停止位置を規制するためのストッパ19aが接触防止プレート19と一体に形成されている。
【0039】
以上、第三の仕切板5に取り付けられた揺動部材13の周辺構造について主に図2を参照して説明したが、第一の仕切板7と略直交するもう一つの仕切板である第四の仕切板6にも、これと同様の構成を有する揺動部材13およびその周辺構造が設けられている。
【0040】
また、底板3と垂直仕切板5,6および水平仕切板7によって構成される下段側の付属ユニット収納部20も、前述した付属ユニット収納部8と実質的に同様な構造を備える。
【0041】
次に、付属ユニット収納部8を例に取って、付属ユニットとしての制御カードユニット101を脱着する際の全体的な動作について説明する。
【0042】
制御カードユニット101が未装着の状態にある筐体1の各部の状況は図2および図4に示す通りである。
この状況では、第一の付勢手段である捩りコイルバネ12によって揺動付勢された遮蔽板9が接触防止プレート19のストッパ19aに押し当てられて主基板2と略平行な初期位置の姿勢を保持し、同時に、第二の付勢手段となる板バネの付勢力で揺動付勢された揺動部材13の係合突起14と楔状突起15が付属ユニット収納部8の内部空間に突入し、この係合突起14が遮蔽板9における主基板2との対向面の外周部と係合することにより、遮蔽板9が不用意に揺動して主基板2側に転倒することを防止する。
【0043】
従って、遮蔽板9を付属ユニット収納部8の側から主基板2に向けて転倒する方向に押したとしても、遮蔽板9の揺動は係合突起14によって阻止されることとなり、付属ユニット収納部8に手指を入れて遮蔽板9を揺動させようとする試みが成された場合であっても、主基板2と手指との接触や異物の侵入による感電事故やショートによる機器の誤動作あるいは電源ダウン等の発生が確実に防止される。
【0044】
また、強制的に遮蔽板9を押して主基板2に向けて開こうとした場合には、揺動部材13に強力な力が作用することになるが、この揺動部材13は板バネによって形成されているために十分な強度があり、しかも、力の作用する向きは揺動部材13の基部13aと係合突起14とを離間させる方向、つまり、揺動部材13の長手方向に沿って作用するテンション(張力)となるので、並大抵の力で遮蔽板9を押しても揺動部材13自体が損傷することはない。
【0045】
この際、付属ユニット収納部8に手指を入れて揺動部材13の楔状突起15を外側に押し戻すことによって遮蔽板9から係合突起14を離脱させようとする試みが成されるかも知れないが、接触防止プレート19が楔状突起15と所定のクリアランスを置いて第二の仕切板4に固設されているため楔状突起15に対する手指の接触は禁止され、楔状突起15を付属ユニット収納部8の外側に退避させることは全く困難である。従って、制御カードユニット101を取り出した状態で係合突起14と遮蔽板9との係合を解除することは不可能に近く、故意による遮蔽板9の開放操作も確実に防止することができる。
【0046】
前述した通り、係合突起14を備えた揺動部材13は第三,第四の仕切板5,6の双方に設けられ、これらの係合突起14の各々が遮蔽板9の左右両側に係合するため、初期位置にある遮蔽板9の固定状態を強力に確保することができる。
【0047】
ここで、制御カードユニット101を付属ユニット収納部8に装填する場合には、付属ユニット収納部8を形成する第一の仕切板7,第二の仕切板4,第三の仕切板5,第四の仕切板6の内面に沿って、主基板2に対し接近する方向に制御カードユニット101を押し込むようにする。
【0048】
揺動部材13を装備した第三,第四の仕切板5,6と摺接する制御カードユニット101の部分には外部隔壁101aが形成されており、主基板2に対して接近する方向に制御カードユニット101を徐々に押し込んでいくと、まず、最初に、制御カードユニット101の外部隔壁101aの先端が揺動部材13の楔状突起15に摺接する。
接触防止プレート19は楔状突起15と所定のクリアランスを置いて第二の仕切板4の側に固設されているので、接触防止プレート19が制御カードユニット101の外部隔壁101aと干渉する心配はない。制御カードユニット101の外部隔壁101aは、接触防止プレート19と楔状突起15の間を縫うようにして移動することになるが、制御カードユニット101は、図7の従来例からも明らかなように上に凹となる略“コ”の字型の断面形状を有しており、その内部に装着される各種の基板および電子部品等も、これらのパーツが外部隔壁101aの内面に密接するほど実装されることはないので、制御カードユニット101内のパーツが接触防止プレート19と干渉する心配はない。
【0049】
そして、制御カードユニット101を更に押し込んでいくと、揺動部材13の楔状突起15の斜面が制御カードユニット101の外部隔壁101aによって押され、板バネからなる揺動部材13が弾性変形することにより付属ユニット収納部8の内側から外側に向けて揺動する。
【0050】
揺動部材13の揺動に伴って、揺動部材13の係合突起14も付属ユニット収納部8の外側に退避し、図3に示されるように、係合突起14が遮蔽板9における主基板2との対向面の外周部から離脱し、遮蔽板9は、主基板2に向けて転倒することが可能な状態とされる。
【0051】
但し、この段階では未だ遮蔽板9は捩りコイルバネ12の付勢力でストッパ19aに押し付けられており、初期位置に保持される。
【0052】
そして、制御カードユニット101を更に押し込むと、制御カードユニット101の先端に設けられたコネクタ103が図5のようにして遮蔽板9を押し、捩りコイルバネ12の付勢力に抗して遮蔽板9を揺動させ、この遮蔽板9を図6のようにして主基板2に向け転倒させる。
遮蔽板9を軸支するヒンジ10および揺動軸11は、図6に示される通り、付属ユニット収納部8の外側に退避した位置、つまり、制御カードユニット101の移動経路から外れた位置に配備されているので、制御カードユニット101の装填操作に何らの支障も与えない。
【0053】
最終的に、制御カードユニット101の先端が主基板2の裏面に到達した段階で、制御カードユニット101のコネクタ103と主基板3のコネクタ21とが嵌合し、主基板2と制御カードユニット101との電気的な接続作業が行われることになる。
【0054】
一方、付属ユニット収納部8から制御カードユニット101を抜き出す場合には、この制御カードユニット101を持って、主基板2の裏面から離間する方向に引き抜く。
【0055】
この引き抜き操作によって制御カードユニット101の先端が主基板2の裏面から離間する方向に移動すると、図5に示されるように、捩りコイルバネ12で揺動付勢された遮蔽板9の原位置復帰動作が開始され、更に、制御カードユニット101の先端が遮蔽板9の軸支位置を越えて後退すると、コイルバネ12で揺動付勢された遮蔽板9がストッパ19aに押し当てられ、遮蔽板9は、図3に示されるような完全な初期位置、つまり、付属ユニット収納部8を塞ぐ位置に復帰する。
この段階では未だ制御カードユニット101の外部隔壁101aが楔状突起15と摺接しているため、係合突起14は遮蔽板9の両側に退避しており、この係合突起14が遮蔽板9の復帰動作を妨げることはない。
【0056】
そして、制御カードユニット101を更に抜き出していくと、やがて、揺動部材13の楔状突起15から制御カードユニット101の外部隔壁101aが抜け出して離脱する。この結果、板バネからなる揺動部材13は、その弾性復帰力により基部13aを支点として付属ユニット収納部8の内側に向けて揺動し、揺動部材13の楔状突起15および係合突起14を再び付属ユニット収納部8の内側に突出させる。
【0057】
付属ユニット収納部8の内側に突出した係合突起14は、再び、図2に示されるようにして、初期位置にある遮蔽板9における主基板2との対向面の外周部に係合し、この遮蔽板9が主基板2に向けて転倒することを禁止する。
【0058】
以上、付属ユニット収納部8に制御カードユニット101を出し入れする場合の動作について述べたが、付属ユニット収納部20に他の制御カードユニット101を出し入れする場合も前記と同様である。
【0059】
以上の実施形態では、揺動部材13を板バネによって構成して揺動および付勢機能を持たせる例について述べたが、剛体からなる揺動部材13の基部13aをピン等によって揺動自在に軸支した上で、第二の付勢手段となる別のスプリング等で前記と同様の方向に揺動部材13を付勢することも技術的に可能である。
【0060】
これと同様、遮蔽板9を揺動付勢する第一の勢手段として、捩りコイルバネ12に代わる別の付勢手段を利用することも可能であり、これらの点に関しては設計上の問題に過ぎない。
【0061】
【発明の効果】
本発明による電子機器の筐体構造は、付属ユニット収納部から付属ユニットを抜き出すことによって付属ユニット収納部が遮蔽板によって自動的に塞がれ、しかも、付属ユニットを抜き出した状態では、付属ユニット収納部内に突入した揺動部材の係合突起が遮蔽板における主基板との対向面の外周部と係合することにより遮蔽板の不用意な揺動動作を防止して遮蔽板を確実に閉鎖位置に保持するので、付属ユニット収納部に手指を入れて遮蔽板を揺動させようとしても遮蔽板が主基板に向けて転倒して開くことはなく、付属ユニットを抜き出したときに心配される主基板と手指との接触や異物の侵入による感電事故やショートによる機器の誤動作あるいは電源ダウン等の発生を確実に防ぐことができる。
また、付属ユニット収納部に付属ユニットを収納する際には、付属ユニット収納部の内壁に沿って付属ユニットを押し込むだけの簡単な操作で、自動的に遮蔽板を開放して付属ユニットと筐体側の主基板とを電気的に接続することが可能である。
【0062】
遮蔽板を揺動付勢する第一の付勢手段は遮蔽板の揺動軸に屈曲部(弦巻部)を環装した捩りコイルバネによって構成されているため、無駄なスペースを使うことなく遮蔽板を閉鎖位置に付勢することが可能であり、また、付属ユニット収納部内に付勢用のパーツを取り付ける必要もなく、付属ユニットを装着する空間を適切に確保することができる。
【0063】
また、遮蔽板を係止する係合突起を備えた揺動部材を板バネによって構成することにより格別の枢着手段や付勢手段を併用せずに揺動部材の揺動機能と付勢機能を満足するようにしたので、部品点数の削減と製造コストの低減化が可能であり、同時に、耐久性も向上される。
【0064】
更に、揺動部材を揺動させて係合突起と遮蔽板との係合を解除する操作手段として機能する楔状突起へのアクセスを防止するための接触防止プレートを設けて揺動部材に対する不正な操作を禁止するようにしているため、悪戯あるいは故意等による遮蔽板の開放操作にも十分に対処することが可能である。
【0065】
また、接触防止プレートにおける主基板寄りの端部を遮蔽板のストッパとして利用するようにしたので、格別な位置決め手段を設けることなく遮蔽板の初期位置を確保することが可能である。
【0066】
しかも、遮蔽板を係止する係合突起を備えた揺動部材を相互に対向させるかたちで併設して遮蔽板の両側を係止するようにしているので、初期位置(閉鎖位置)にある遮蔽板の固定状態を強力に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した電子機器の筐体構造の一実施形態について示した斜視図である。
【図2】同実施形態の筐体構造の主要部を取り出して第一の仕切板の法線方向から見た状態を示した平面図である。
【図3】同実施形態の筐体構造の主要部を取り出して第一の仕切板の法線方向から見た状態を示した平面図である。
【図4】同実施形態の筐体構造の主要部を示した断面図である。
【図5】同実施形態の筐体構造の主要部を示した断面図である。
【図6】同実施形態の筐体構造の主要部を示した断面図である。
【図7】電子機器の筐体の一例を示した後部斜視図である。
【符号の説明】
1 電子機器の筐体
2 主基板
3 底板
4 天面板(第二の仕切板)
5 垂直仕切板(第三の仕切板)
6 垂直仕切板(第四の仕切板)
7 水平仕切板(第一の仕切板)
7a 切欠部
8 付属ユニット収納部
9 遮蔽板
10 ヒンジ
11 揺動軸
12 捩りコイルバネ(第一の付勢手段)
13 揺動部材(板バネ,第二の付勢手段)
13a 基部
14 係合突起
15 楔状突起
16,17 孔
18 ビスあるいはリベット等
19 接触防止プレート
19a ストッパ
20 付属ユニット収納部
21 コネクタ
100 電源ユニット
101 制御カードユニット(付属ユニット)
101a 外部隔壁
102 通信カードユニット
103 コネクタ

Claims (6)

  1. 相互に所定の間隔を空けて略平行に併設された第一,第二の仕切板と前記第一,第二の仕切板に略直交して相互に所定の間隔を空けて略平行に併設された第三,第四の仕切板とを主基板の裏面側に設けて付属ユニット収納部を形成し、前記第一,第二,第三,第四の仕切板の内面に沿って前記主基板に対し接離する方向に付属ユニットを移動させることで前記付属ユニット収納部に前記付属ユニットを着脱自在に装着するようにした電子機器の筐体構造において、
    前記第一,第二,第三,第四の仕切板のうち少なくとも何れか一つに、前記主基板との間に所定の間隔を空けて前記付属ユニット収納部の外側に退避した位置に配備された揺動軸により前記主基板に対して略平行となる姿勢を初期位置として前記主基板に向けて転倒可能な状態で軸支された遮蔽板を設置すると共に、この遮蔽板を前記転倒位置から前記初期位置に向けて付勢する第一の付勢手段を前記揺動軸の近傍に設け、
    前記遮蔽板における前記主基板との対向面の外周部と係脱する係合突起を先端に有し中央部に楔状突起を備えた揺動部材を、前記主基板を基準として、該揺動部材の基部が前記遮蔽板の軸支位置よりも遠方となるようにして、前記遮蔽板を軸支していない仕切板のうち少なくとも何れか一つに揺動自在に取り付けると共に、この揺動部材を前記付属ユニット収納部の外側から内側に向けて付勢し前記係合突起および楔状突起を前記付属ユニット収納部内に突入させる第二の付勢手段を設け、
    前記揺動部材を枢着した仕切板に摺接する付属ユニットの部分には、該付属ユニットを前記付属ユニット収納部に装填する際に前記揺動部材の楔状突起と摺接して該揺動部材もろとも前記楔状突起および係合突起を前記第二の付勢手段の付勢力に抗して前記付属ユニット収納部の外側に退避させる外部隔壁を形成したことを特徴とする電子機器の筐体構造。
  2. 前記第一の付勢手段が、一端を前記遮蔽板における前記主基板との対向面に当接させて他端を固定された捩りコイルバネによって構成されていることを特徴とする請求項1記載の電子機器の筐体構造。
  3. 前記揺動部材が、この揺動部材を取り付けられる仕切板に基部を固着された板バネによって構成されると共に、この板バネ自体の弾性によって該揺動部材の揺動機能と前記第二の付勢手段の付勢機能が満足されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の電子機器の筐体構造。
  4. 前記揺動部材を取り付けられた仕切板と略直交する他の仕切板には、前記楔状突起に対する手指の接触を防止するための接触防止プレートが、付属ユニット収納部内に突入した楔状突起に対し、その突入方向に所定のクリアランスを置いて固設されていることを特徴とする請求項1,請求項2または請求項3記載の電子機器の筐体構造。
  5. 前記接触防止プレートにおける前記主基板寄りの端部が、前記第一の付勢手段の付勢力に抗して前記遮蔽板を前記初期位置に保持するストッパとして機能することを特徴とする請求項4記載の電子機器の筐体構造。
  6. 前記揺動部材および第二の付勢手段が、前記遮蔽板を枢着した仕切板と略直交する2つの仕切板の各々に配備されていることを特徴とする請求項1,請求項2,請求項3,請求項4または請求項5記載の電子機器の筐体構造。
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