上記特許文献1に記載の技術では、付属装置が装着される本体(電子機器)側に、カード飛び出し防止機構という特別な機構を設けなければならない。したがって、上記技術は、付属装置の抜けを防止するための特別な機構を有していない従来の電子機器に対して適用することができず、汎用性の低いものであった。
それ故、本発明の目的は、特別な抜け防止機構を有していない電子機器に対して、(付属装置の)抜けを防止することができる付属装置を提供することである。
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の構成を採用した。なお、本欄における括弧内の参照符号および補足説明等は、本発明の理解を助けるために後述する実施形態との対応関係を示したものであって、本発明を何ら限定するものではない。
第1の発明は、挿入口(8)を有する電子機器(ゲーム装置5)と、当該挿入口に装着可能な第1の付属装置(ゲームカートリッジ9)および第2の付属装置(アンテナカートリッジ1)とを備える電子機器システムである。電子機器は、移動部材(スライド部材41)と、停止機構(ピン支持部材42、ハートカム49、およびピン45)とを備える。移動部材は、挿入口の内側側面に設けられる移動領域において当該挿入口の手前側と奥側の間を移動可能に設けられ、挿入口に挿入された第1の付属装置に係止する第1の係止部(突起部48c)を有する。停止機構は、移動部材を、挿入口の奥側の所定位置または手前側の所定位置のいずれかで選択的に停止させる。第1の付属装置は、第1の係止部と係合するための第1の被係止部(第1の付属装置の第2凹部92。以降「第2凹部92」と記す)を備える。第2の付属装置は、移動部材が奥側の所定位置で停止している状態において、移動領域に生じる空隙(空間A1)に挿入されて挿入口の内側側面に係止する第2の係止部(フック14)を備える。
第2の発明においては、第1の付属装置は、電子機器に装着された状態において、挿入口にその全体が挿入されるものであってもよい。このとき、第2の付属装置は、電子機器に装着された状態において、挿入口から少なくともその一部が露出するものである。
第3の発明においては、第2の付属装置は、第1の係止部と係合するための第2の被係止部(第2の付属装置の第2凹部16。以降「第2凹部16」と記す)をさらに備えていてもよい。
第4の発明においては、移動部材は、挿入口に挿入された第1の付属装置または第2の付属装置の所定部分(第1の付属装置の第1凹部15または第2の付属装置の第1凹部91。以降それぞれ「第1凹部15」または「第1凹部91」と記す)と当接する被当接部(凸部47)を有していてもよい。このとき、挿入口に挿入された第1の付属装置または第2の付属装置の所定部分が被当接部に当接することにより、当該付属装置の挿入とともに、移動部材が奥側に移動する。停止機構は、手前側から奥側に移動した移動部材を奥側の所定位置で停止させる。
第5の発明においては、電子機器は、移動部材を挿入口の手前側に付勢する付勢部材(バネ44)をさらに備えていてもよい。このとき、停止機構(ハートカム49およびピン45およびピン支持部材42)は、付勢部材の付勢に抗して移動部材を奥側の所定位置で停止させるための第1の停止機能と、付勢部材の付勢に抗して移動部材を手前側の所定位置で停止させるための第2の停止機能を有する。
第6の発明においては、電子機器は、移動部材を挿入口の手前側に付勢する付勢部材(バネ44)をさらに備えていてもよい。このとき、移動部材は、挿入口に挿入された第1の付属装置または第2の付属装置の先端部分(第1凹部15または第1凹部91)と当接する被当接部(凸部47)を有する。また、挿入口に挿入された第1の付属装置または第2の付属装置の先端部分が被当接部に当接することにより、当該付属装置の挿入とともに移動部材が奥側に移動する。停止機構は、手前側から奥側に移動してくる移動部材を奥側の所定位置で停止させるとともに、当該停止が解除された場合、付勢部材の付勢により移動部材が奥側から手前側に移動して手前側の所定位置に来たときに移動部材を当該所定位置で停止させる。
第7の発明においては、停止機構は、プッシュイン・プッシュアウト方式の装着機構であってもよい。
第8の発明においては、奥側の所定位置は、移動部材の係止部が第1の付属装置の被係止部に係止した状態において、当該第1の付属装置の全体が挿入口に挿入された状態となる位置であってもよい。このとき、手前側の所定位置は、移動部材の係止部が第1の付属装置の被係止部に係止した状態において、当該第1の付属装置の少なくとも一部が挿入口から露出する状態となる位置である。
第9の発明においては、第2の付属装置は、第2の係止部を非係止状態にするための操作部を有していてもよい。
第10の発明は、挿入口(8)を有する電子機器(ゲーム装置5)と、当該挿入口に装着可能な付属装置(アンテナカートリッジ1)とを備える電子機器システムである。電子機器は、移動部材(スライド部材41)と、停止機構(ピン支持部材42、ハートカム49、およびピン45)とを備える。移動部材は、挿入口に挿入された付属装置の所定部分(第1凹部15)に当接する被当接部(凸部47)を有する。また、移動部材は、挿入口の内側側面に設けられる移動領域において当該挿入口の手前側と奥側の間を移動可能に設けられる。停止機構は、移動部材を、挿入口の奥側の所定位置または手前側の所定位置のいずれかで選択的に停止させる。付属装置は、ハウジング(ハウジング11(挿入部11a))と、係止部とを備える。ハウジングは、挿入口に挿入された場合に所定部分で被当接部に当接し、当該所定部分が被当接部に当接した状態で挿入口に挿入されることに伴って挿入口の奥側へ移動部材を移動させる。係止部は、移動部材が奥側の所定位置で停止している状態において移動領域に生じる空隙(空間A1)に挿入されて挿入口の内側側面に係止する。
第11の発明は、電子機器(ゲーム装置5)に設けられた挿入口(8)に装着可能な付属装置(アンテナカートリッジ1)である。挿入口の内側側面には、当該挿入口の内側側面に設けられる移動領域において挿入口の手前側から奥側へ移動可能な移動部材(スライド部材41)が設けられている。付属装置は、ハウジング(ハウジング11(挿入部11a))と、係止部(フック14)とを備える。ハウジングは、挿入口に挿入された場合に所定部分(第1凹部15)で移動部材に当接し、当該所定部分が移動部材に当接した状態で挿入口に挿入されることに伴って挿入口の奥側へ移動部材を移動させる。係止部は、移動部材が奥側へ移動したことによって移動領域に生じる空隙(空間A1)に挿入されて挿入口の内側側面に係止する。
第12の発明においては、移動部材には、凸部(47)が設けられていてもよい。このとき、所定部分は、ハウジングが挿入口に挿入された場合に凸部に当接するハウジングの先端部分である。
第13の発明においては、ハウジングは、側面に孔(フック孔17)を有し、係止部の一部(鉤状部23)が当該孔から突出可能な位置で係止部を支持してもよい。このとき、付属装置は、弾性部材(バネ32)と、ボタン(13)とをさらに備えている。弾性部材は、係止部の一部を孔からハウジングの外部に突出させる方向に当該係止部を付勢する。ボタンは、ハウジングの外部から操作可能であり、操作された場合、係止部の一部がハウジングの内部に収納されるように弾性部材を弾性変形させる。
第1の発明によれば、電子機器と第1の付属装置とは、電子機器側の移動部材の第1の係止部が第1の付属装置側の第1の被係止部に係止することにより、装着状態に固定される。一方、電子機器と第2の付属装置とは、電子機器側の移動部材が奥側の所定位置に停止している状態において移動領域に生じる空隙に、第2の付属装置の第2の係止部が挿入されて挿入口の内側側面に係止することにより、装着状態に固定される。以上より、第1の発明によれば、電子機器は、第1の付属装置と第2の付属装置の両方を装着することができる。また、第2の付属装置は、第1の付属装置とは異なる機構によって電子機器に対して固定されるので、電子機器に対して第1の付属装置を装着するための機構(第1の係止部および第1の被係止部による装着機構)が、付属装置の抜けを防止する機能を有していない機構であっても、第2の付属装置が電子機器から抜けることを防止することができる。すなわち、特別な抜け防止機構を有していない電子機器に対して、第2の付属装置の抜けを防止することができる。また、第1の発明によれば、第1および第2の付属装置の両方を装着するための機構を効率的な構成によって実現することができる。例えば、電子機器と第1の付属装置による電子機器システムとが市場にすでに提供されている場合であっても、電子機器に装着される第2の付属装置を後から追加的に提供することができる。
第2の発明によれば、第2の付属装置が、挿入口から少なくともその一部が露出するような形状であっても、当該第2の付属装置を電子機器に安定的に装着することができる。
第3の発明によれば、第2の付属装置は、第2の被係止部と第1の係止部との係合によっても電子機器に対して固定される。。
第4の発明によれば、第1の付属装置と移動部材とを一体的に移動させるための機構と、第2の付属装置を装着するための空隙を作り出すための機構とを効率的な構成で実現することができる。
第5および第6の発明によれば、挿入口の奥側の所定位置と手前側の所定位置とのいずれかで移動部材を選択的に停止させるための機構を容易に実現することができる。
第7の発明によれば、電子機器がプッシュイン・プッシュアウト型の装着機構を有する場合であっても、すなわち、電子機器が従来からある装着機構を有する場合であっても、電子機器に対して第2の付属装置を固定することができる。
第8の発明によれば、第2の付属装置が、挿入口から少なくともその一部が露出するような形状であっても、当該第2の付属装置を電子機器に安定的に装着することができる。
第9の発明によれば、ユーザは、操作部を操作することによって、第2の係止部が挿入口の内側側面に係止された状態を解除することができる。したがって、ユーザは、付属装置を電子機器から容易に離脱することができる。
第10の発明によれば、付属装置は、電子機器の挿入口の内側に係止する第2の係止部を備えることによって、電子機器に対して固定される。これによれば、付属装置の抜けを防止するための特別な機構を電子機器側に設けなくても、付属装置の抜けを防止することができる。すなわち、第10の発明によれば、移動部材を備える電子機器であれば、付属装置の抜けを防止するための特別な機構を有しない電子機器に対しても付属装置の抜けを防止することができる。
第11の発明によれば、付属装置は、電子機器の挿入口の内側に係止する係止部を備えることによって、電子機器に対して固定される。したがって、第11の発明によれば、第10の発明と同様、移動部材を備える電子機器であれば、付属装置の抜けを防止するための特別な機構を有しない電子機器に対しても付属装置の抜けを防止することができる。
第12の発明によれば、付属装置が挿入口に挿入されるにしたがって移動部材を奥側へ移動させるための構成を、移動部材に設けられた凸部とそれに当接する(ハウジングの)先端部分という、簡易な構成で実現することができる。
第13の発明によれば、ボタンを操作することによって、係止部がハウジング内部に収納されるので、係止部が挿入口の内側側面に係止された状態を解除することができる。したがって、ユーザは、ボタンを操作することによって、付属装置を電子機器から容易に離脱することができる。
以下、本発明の一実施形態に係る付属装置について説明する。本実施形態では、付属装置が装着される電子機器が携帯型のゲーム装置であり、第1の付属装置が所定のアプリケーションプログラム(より具体的にはゲームプログラム)を記憶したプログラムカートリッジ(より具体的にはゲームカートリッジ)であり、第2の付属装置が放送受信機能(より具体的にはデジタル放送受信機能)を有するカートリッジ(アンテナカートリッジと呼ぶ)である場合を例として説明するが、本発明は、上記ゲーム装置および上記カートリッジ以外の装置にも適用可能である。例えば、付属装置が装着される電子機器は、携帯電話機やPDA等の携帯端末であってもよい。また、第1の付属装置は、電子機器において生成されたデータを保存するための記憶媒体であってもよいし、第2の付属装置は、デジタル放送受信機能以外の拡張機能を電子機器に与えるためのカートリッジでもよい。
(ゲーム装置およびカートリッジの概要)
まず、図1〜図3を参照して、ゲーム装置およびカートリッジの概要構成について説明する。図1は、ゲーム装置、ゲームカートリッジおよびアンテナカートリッジの外観を示す図である。図1に示すゲーム装置5は、表示装置(図1では2つ)およびボタン等を備え、ゲームカートリッジ9が装着された場合に当該ゲームカートリッジ9に記憶されたゲームプログラムを実行することによってプレイヤ(ユーザ)にゲームを行わせるものである。さらに、ゲーム装置5は、アンテナカートリッジ1が装着された場合には放送信号を受信してユーザに放送の視聴をおこなわせることができる。本実施形態では、ゲーム装置5は、折り畳み型の携帯ゲーム装置であり、上側ハウジング6および下側ハウジング7という2つのハウジングを有する。各ハウジング6および7はともに長方形の板状形状であり、互いの一辺で回動可能に接続されている。図2は、ゲーム装置5において挿入口が設けられる端面を示す平面図である。図2は、2つのハウジング6および7を閉じた状態にしたゲーム装置5であり、各ハウジング6および7が接続される側の端面を示している。図2に示されるように、ゲーム装置5の端面には、ゲームカートリッジ9またはアンテナカートリッジ1を選択的に装着するための挿入口8が設けられる。挿入口8の位置はどの位置であってもよい。
図1に示すゲームカートリッジ9およびアンテナカートリッジ1は、ゲーム装置5に装着するための付属装置である。ゲームカートリッジ9はそのハウジング内部にゲームプログラムを記憶した記憶装置を有している。図3は、ゲームカートリッジ9が装着されたゲーム装置5を示す斜視図である。図3に示されるように、ゲームカートリッジ9は、その全体(または略全体)がゲーム装置5の挿入口8の内部に収納されるように装着可能である。一方、アンテナカートリッジ1は、その先端をゲーム装置5の挿入口8に装着することが可能な本体部2を有している。図4は、アンテナカートリッジ1が装着されたゲーム装置を示す斜視図である。図4に示されるように、アンテナカートリッジ1は、ゲーム装置5に装着された状態において挿入口8から突出する部分を有している。本体部2は、ハウジング(図6に示すハウジング11)を有し、さらに、デジタル放送信号を処理するための所定の回路基板を当該ハウジングの内部に有している。詳細は後述するが、ゲームカートリッジ9およびアンテナカートリッジ1の本体部2は、挿入口8に着脱自在に装着される。ユーザは、ゲーム装置5を用いてゲームをプレイしたい場合、図3に示されるようにゲームカートリッジ9をゲーム装置5に挿入し、ゲーム装置5を用いてデジタル放送を視聴したい場合、図3に示されるようにアンテナカートリッジ1をゲーム装置5に装着する。ゲーム装置5は、挿入口8にゲームカートリッジ9を挿入することによって、ゲームプログラムを実行することが可能となり、アンテナカートリッジ1を装着することによって、デジタル放送を受信することが可能となる。
なお、アンテナカートリッジ1は、アンテナ収納部3およびアンテナ4を備えている。上記本体部2の一端には、アンテナ収納部3の一端が回転可能に接続される。アンテナ収納部3は、筒状の部材であり、その内部にはアンテナ4を収納するための空洞が設けられる。アンテナ収納部3の他端にはアンテナ4が接続される。アンテナ4は、デジタル放送を受信するためのアンテナであり、本実施形態ではアンテナカートリッジ1は2本のアンテナ4を有する。各アンテナ4は、任意の角度となるようにアンテナ収納部3に対する角度を変更することが可能である。また、アンテナ収納部3とアンテナ4との接続部分は、筒状のアンテナ収納部3内の空洞に沿って摺動することが可能である。したがって、アンテナ収納部3は各アンテナ4をその内部に収納することができる。アンテナカートリッジ1は、アンテナ収納部3の内部に各アンテナ4を収納するとともに、アンテナ収納部3を回転させて本体部2とアンテナ収納部3とを折り畳むことにより、使用しない際には小型化することが可能である。
(ゲームカートリッジ9およびアンテナカートリッジ1の本体部2の構成)
次に、図5〜図9を参照して、ゲームカートリッジ9およびアンテナカートリッジ1の本体部2の構成について説明する。図5は、ゲームカートリッジ9の詳細な構成を示す図であり、図6は、アンテナカートリッジ1の本体部2の詳細な構成を示す図である。
図5に示されるように、ゲームカートリッジ9は、上面(図5および図6に示すz軸正側の面)および下面を有する板状の形状であり、ゲーム装置5の挿入口8のサイズよりもやや小さいサイズである。図3に示したようにゲームカートリッジ9がゲーム装置5に挿入される場合、その全体が挿入口8の内部に挿入された状態となる。ゲームカートリッジ9には、ゲームカートリッジ9がゲーム装置5と電気的に接続するための接続端子93が複数設けられる。接続端子93は、ゲームカートリッジ9のハウジングの上面の前端(挿入口8に挿入する側の端)に設けられる。
また、ゲームカートリッジ9の上面の一方側辺(図5ではy軸正側の側辺)には、第1凹部91および第2凹部92が形成される。第1凹部91は上記一方側辺の前端に形成される。第2凹部92は第1凹部91の後側に形成される。第1凹部91は上方および側方に開口しており、第2凹部92も第1凹部91と同様である。
図6に示されるように、アンテナカートリッジ1の本体部2は、ハウジング11、および突起部12を備える。ハウジング11は、その後端(図6に示すx軸負側の端部)で上記アンテナ収納部3と回転可能に接続されることによって、アンテナ収納部3を支持する。また、アンテナカートリッジ1のハウジング11は、挿入口8の内部に収納される挿入部11aと、挿入口8から突出する非挿入部11bとを有する。なお、以下では、本体部2の説明において、アンテナ収納部3に接続される側(図6に示すx軸負側)を後側とし、その反対側(図6に示すx軸正側)を前側として説明を行う。
アンテナカートリッジ1の挿入部11aとゲームカートリッジ9とは、後述するフックを除いて共通の形状である。具体的には、挿入部11aは、上面(図5および図6に示すz軸正側の面)および下面を有する板状の形状であり、ゲーム装置5の挿入口8のサイズよりもやや小さいサイズである。したがって、ゲームカートリッジ9がゲーム装置5に挿入される場合には、その全体が挿入口8の内部に挿入された状態となるのに対してアンテナカートリッジ1がゲーム装置5に装着される場合には、挿入部11aのみが挿入口8の内部に挿入され、他の部分が挿入口8の外部に突出した状態となる。また、アンテナカートリッジ1には、アンテナカートリッジ1がゲーム装置5と電気的に接続するための接続端子18が複数設けられる。アンテナカートリッジ1に設けられる接続端子18は、挿入部11aの上面の前端に設けられる。また、非挿入部11bは、ハウジング11のうちで挿入部11a以外の部分である。
また、アンテナカートリッジ1の挿入部11aの上面の一方側辺(図6ではy軸正側の側辺)には、第1凹部15および第2凹部16が、ゲームカートリッジ9の各凹部91および92が形成された位置と同じ位置に形成される。すなわち、各凹部15および16は、ゲームカートリッジ9において各凹部91および92が形成される側と同じ側の側辺に形成される。第1凹部15は上記一方側辺の前端に形成され、第2凹部16は第1凹部15の後側に形成される。また、ゲームカートリッジ9と同様、アンテナカートリッジ1においても、第1凹部15および第2凹部16は上方および側方に開口している。
詳細は後述するが、以上のように形成された各凹部15,16,91,および92は、ゲームカートリッジ9またはアンテナカートリッジ1をゲーム装置5の挿入口8に装着した際に、当該挿入口8の内側に設けられるスライド部材(図10に示すスライド部材41)と各カートリッジとを一体的に移動(スライド)させるために形成される。
また、アンテナカートリッジ1は、装置掛止用フック(以下、単にフックを呼ぶ。)14を有する。フック14は、ゲーム装置5の挿入口8に挿入された挿入部11aをゲーム装置5に対して掛止するための部材である。フック14は、ハウジング11の内部に収納され、その一端がハウジング11内部の支軸と接続される。詳細は後述するが、フック14は、ハウジング11に対して回動可能に接続される。挿入部11aの一方側面(図6ではy軸正側の側面)にはフック孔17が設けられる。フック孔17が設けられる側面は、各凹部15および16が形成される側面と同じ側の側面である。フック孔17は第2凹部16のさらに後側に形成される。図6では、フック14の先端の鉤状部(図7に示す鉤状部23)がフック孔17から挿入部11aの外側に突出している。また、フック孔17が設けられる側と同じ側のハウジング11の側面には、ボタン13が取り付けられる。ボタン13は、非挿入部11b、すなわち、アンテナカートリッジ1が挿入口8に装着された場合に挿入口8の外側となる位置に取り付けられる。ボタン13は、フック14が係止状態から外れるように(より具体的には、フック14の鉤状部が挿入部11aの内部に収納するように)フック14を回動させるためのものである。以下、図7および図8を参照して、フック14に関する構成について説明する。
図7は、フック14の斜視図である。図7に示されるように、フック14は、環状部21、アーム22、鉤状部23、押当部24、および突起部25を備えている。本実施形態においては、フック14の各部材21〜25は一体成形により一体的に構成される。図7に示されるように、フック14は、その一端に環状部21が形成され、その他端に鉤状部23が形成され、環状部21と鉤状部23とがアーム22によって連結される構成である。また、フック14は、弾性力を有する材質(例えば、剛性のある樹脂)で構成され、たとえば、PAでもよく、その他ABS、PC、POM、PP等が利用可能である。好ましくは、ガラス繊維入りのナイロンとしてもよく、本実施形態では、ガラス繊維入りの6ナイロンとしている。
図7に示されるように、環状部21はフック14の一端に形成される。環状部21は、フック14をハウジング11に回転可能に接続するための部材である。環状部21は、アーム22との連絡部分(アーム22における環状部21側の端部)22aから延びる2本の2本の腕部21aおよび21bを有する。環状部21は、この2本の腕部21aおよび21bによって後述する支軸を抱持することによって、当該支軸に回転可能に接続される。なお、本実施形態では、各腕部21aおよび21bは、腕部21aの先端部分と腕部21bの先端部分との間に、上記支軸の直径よりも小さい間隔(スリット27)を有するように構成される。換言すれば、本実施形態における環状部21の形状は、環状の部材に対して内周部から外周部までを横断する切り込みが形成された形状である。なお、図7では、切り込みは、所定の間隔を有するスリット27であるが、他の実施形態においては、間隔を有しない切り込みであってもよい。スリット27は、環状部21とアーム22との連絡部分22aの反対側に形成される。また、図7に示されるように、環状部21の強度を上げるため、および、後述するバネ32を配置するスペースを内周側に確保するため、スリット27の両側においては、環状部21は、外周側の厚さが内周側よりも厚くなるように構成される。
また、フック14の他端には、鉤状の形状を有する鉤状部23が形成される。鉤状部23は、アンテナカートリッジ1がゲーム装置5に装着された場合にゲーム装置5の挿入口8内の所定部分に係止される部材である。図7に示されるように、環状部21よりも強度を大きくするために、鉤状部23の厚さは環状部21よりも厚く構成される。また、アーム22の一部は鉤状部23と同じ厚さに構成され、他の部分は当該一部よりも薄く構成される。これは、アーム22が移動した場合に他の部材と干渉することを防止することと、他の部材の干渉しない部分についてはアーム22の強度を保つためである。
押当部24および突起部25は、環状部21とアーム22との連絡部分22aに設けられる。押当部24は、フック14がハウジング11に接続された場合に、ボタン13と当接する位置に配置される。突起部25は、後述するバネ(図8に示すバネ32)を掛けるために設けられる。
図8は、フック14が接続される付近のハウジング11の内部構成を示す図である。図8に示されるように、ハウジング11は、支軸31、バネ32、突起部33、隔壁34をその内部に有する。支軸31はハウジング11の内部の所定位置に形成されており(たとえば、ハウジング11と一体的に成型されており)その形状は円柱形状であり、フック14を回転可能に軸支する。すなわち、フック14は、支軸31が環状部21の孔を通るように支軸31に接続される。また、支軸31は、フック14の押当部24がボタン13に当接する位置で、かつ、フック14の鉤状部23がフック孔17から挿入部11aの外側へ突出可能な位置でフック14を軸支する。
バネ32は、捻りコイルバネであり、中央部分に支軸31の径と同程度の径を有する輪状部分を有する。バネ32は、輪状部分が支軸31に通され、かつ、一方の端部がハウジング11内に形成される突起部33に当接し、他方の端部がフック14の突起部25に当接するように取り付けられる(図8参照)。図8に示されるように、バネ32は、支軸31によって軸支されたフック14の鉤状部23がフック孔17から挿入部11aの外側へ突出する向きにフック14を付勢する。したがって、ハウジング11にフック14およびバネ32が取り付けられた状態では、フック14は、アーム22がハウジング11の外壁35に当接し、鉤状部23がフック孔17から挿入部11aの外側へ突出した状態で維持される(図8参照)。
上記のようにフック14の鉤状部23がフック孔17から挿入部11aの外側へ突出した状態において、ボタン13の裏面は押当部24に当接する。したがって、ボタン13を押下することによって、押当部24が押されてフック14は回動することになる。図9は、図8に示す状態からボタン13を押下した状態を示す図である。図9に示すように、ボタン13を押下した場合、フック14は回動し、鉤状部23が挿入部11aの内部に収納された状態となる。このとき、バネ32は弾性変形している。また、ボタン13の押下を解除すると、バネ32の付勢力によって、フック14は、鉤状部23がフック孔17から挿入部11aの外側へ突出した状態に戻る。
図8の説明に戻り、アーム22から見て鉤状部23の先には、隔壁34が設けられる。また、環状部21とアーム22との連絡部分22aのx軸正側には、ハウジング11の外壁36が設けられる。ここで、詳細は後述するが、環状部21を引っ張る力が鉤状部23に加えられた場合、上記スリット27が形成されることによって環状部21は変形することができる(より具体的には、挿抜方向に伸びるように変形する)。そのため、上記の力が加えられた場合、環状部21が変形することによってフック14は本体部2の先端側(図示x軸正方向)に若干移動することになる(後述する図17参照)。隔壁34および外壁36は、上記の場合に、環状部21が支軸31から外れてしまう程度にフック14が移動してしまうことを防止するために形成される。すなわち、環状部21を引っ張る力が非常に大きい場合であっても、フック14の移動は隔壁34により停止するため、環状部21が大きく変形することを防止することができる。また、環状部21を引っ張る力が非常に大きい場合であっても、フック14の移動は外壁36により停止するため、環状部21が大きく変形することを防止することができる。
図6の説明に戻り、アンテナカートリッジ1については、ハウジング11の下面(図6に示すz軸負側の面)には、挿入部11aよりもz軸負方向に間隙をあけて突起部12が固定的に接続される。すなわち、挿入部11aと突起部12との間にはz軸方向について空隙があり、この空隙に挿入口8の外面部が挿入されることになる。突起部12は、アンテナカートリッジ1が挿入口8に装着された場合に挿入口8の外側となる部分、すなわち、挿入部11a以外の部分に接続される。突起部12は、前方向(図6に示すx軸正方向)に突起するように接続される。アンテナカートリッジ1がゲーム装置5に装着された場合、突起部12は、ゲーム装置5の下側ハウジング7の外側面(ゲーム装置5を折り畳んだ場合に外側となる面)に当接する。突起部12は、ゲーム装置5に装着されたアンテナカートリッジ1がぐらつかないように固定するための部材である。なお、ゲームカートリッジ9については、その全体が挿入口8に収納されるため、突起部12は不要である。
(挿入口8の構成)
次に、図10および図11を参照して、ゲーム装置5の挿入口8の内部構成について説明する。図10は、挿入口8付近の構成を示す平面図であり、図11は、挿入口8に設けられるスライド部材付近の構成を示す斜視図である。図10および図11は、下側ハウジング7の下面を切り欠いて下側(z軸負側)から上側を見たときの挿入口8の内部を示した図である。なお、以下の挿入口8内部の説明において、「手前側」とは挿入口8の手前側(図10に示すx軸負側)を意味し、「奥側」とは挿入口8の奥側(図10に示すx軸正側)を意味するものとする。
図10に示されるように、挿入口8の内部には、内壁40、スライド部材41、ピン支持部材42、接続端子43、バネ44、およびピン45が設けられる。接続端子43は、ゲーム装置5がカートリッジ(以下において、単に「カートリッジ」と言う場合、ゲームカートリッジ9とアンテナカートリッジ1の両方を総称したものを意味する。)と電気的に接続するための端子である。挿入口8の上面(z軸正側の面)の奥側端部に設けられる。
挿入口8の上面の一方の側端部(図10ではy軸正側の端部)には、挿入口8の手前側から奥側への方向に沿って溝46が設けられる。スライド部材41は、その一部がこの溝46内に収納されて配置され、溝46に沿って摺動可能に内壁40に対して設置される(図11参照)。したがって、スライド部材41は、挿入口8の奥行方向(図示x軸方向)に移動可能である。また、溝46の手前側にはピン支持部材42が設けられる。ピン支持部材42は、挿入口8の開口部付近(手前側の端部)に挿入口8に対して固定的に配置され、後述するようにスライド部材41の手前側への移動を制限する機能とピン45を支持する機能を有する。一方、スライド部材41の奥側の端部はバネ44の一端と固着されている。バネ44は圧縮コイルバネであり、バネ44の他端は内壁40の奥側の面に固着されている。バネ44は、スライド部材41を挿入口8の奥側から手前側への向きに付勢する。なお、図11では、図面を見やすくする目的でバネ44を省略して示している。以上の構成によって、スライド部材41は挿入口8の奥側から手前側への向きの力をバネ44から受ける。したがって、通常の状態(カートリッジが挿入口8に装着されていない状態)では、スライド部材41は、図10に示されるように、ピン支持部材42に当接する位置に配置される。
また、ピン45は、図11に示されるようにコの字型に折り曲げられた棒状の部材である。ピン45は、ピン支持部材42の下面(z軸負側の面)に形成されるピン接続穴42aにその一端が挿入される。これによって、ピン45は、ピン支持部材42によって上下方向の軸(z軸)回りに回転可能に接続される。一方、スライド部材41の下面(z軸負側の面)には、ハートカム49が設けられる。ピン45は、その他端がハートカム49のカム溝内に配置されるようにピン支持部材42に取り付けられる(図11に示す一点鎖線矢印を参照)。なお、スライド部材41が溝46を移動する場合、ピン45の端部は、ハートカム49のカム溝の第1端部49a、第2端部49b、鋭角部49c、第3端部49d、第1端部49aの順に一方通行に移動する(図11に示す点線矢印参照)。ハートカム49は、ピン45の端部が上記のように移動するようにカム溝の深さが調整されている。
また、スライド部材41は、凸部47および突出部材48を有する。凸部47は、スライド部材41が内壁40と当接する側の反対側に形成される。なお、凸部47は、カートリッジの第1凹部15または第1凹部91と嵌合する形状を有する。突出部材48は、金属等で構成され、板状の部材を折り曲げて形成される。突出部材48は、固定部48a、軸部48b、および突起部48cを有する。固定部48aは、突出部材48の一方端部であり、スライド部材41の内部でスライド部材41に固着される。軸部48bの一端は固定部48aに接続され、他端は突起部48cに接続される。突起部48cは、スライド部材41に設けられた孔41aからスライド部材41の外側へ突起している。突起部48cは、カートリッジの第2凹部16または92に入る程度の大きさである。突出部材48は、凸部47が形成される側と同じ側(すなわち、スライド部材41が内壁40と当接する側の反対側)に突起部48cが突出するようにスライド部材41に固着されている。ここで、突出部材48は、固定部48aでのみスライド部材41と固定されている。したがって、突起部48cをスライド部材41の内部に向かって押す力が加えられた場合、軸部48bが変形する(撓む)ことにより突起部48cがスライド部材41の内側に収納される。
詳細は後述するが、上記のようなハートカム機構(ハートカム49およびピン45)によって、奥側から手前側への向きに付勢されているスライド部材41を、奥側の所定位置で停止させることが可能となる。これによって、最初にカートリッジを挿入口8の奥まで押し込むと、カートリッジを挿入口8に装着でき、挿入口8に装着された状態でカートリッジを挿入口8の奥まで押し込むと、カートリッジを挿入口8から離脱することができる(図12〜図16)。すなわち、本実施形態における挿入口8は、いわゆるプッシュイン・プッシュアウト方式の装着機構を有する構成である。なお、プッシュイン・プッシュアウト方式の装着機構(カートリッジにオルタネイト動作を行わせるための機構)は、ハートカムでなく、回転カムやラチェットカムを用いた機構を利用したものでもよい。なお、カートリッジを離脱させる際、ゲームカートリッジ9については、ゲームカートリッジ9を挿入口8の奥まで押し込むことにより離脱するが、アンテナカートリッジ1については、前述したボタン13を操作しながらアンテナカートリッジ1を挿入口8の奥まで押し込むことが必要である。
(アンテナカートリッジ1を装着する際の動作)
次に、図12〜図16を参照して、カートリッジをゲーム装置5の挿入口8に装着する際におけるカートリッジおよびゲーム装置5の挿入口8内の各構成の動作について説明する。図12〜図16は、挿入口8にアンテナカートリッジの挿入部11aが挿入される様子を示す図である。なお、図12〜図16では、図10と同様、図10下側ハウジング7の下面を切り欠いて下側(z軸負側)から上側を見たときの挿入口8の内部を示している。
図12は、挿入口8にアンテナカートリッジ1の挿入部11aが挿入された直後の様子を示す図である。図12に示されるように、アンテナカートリッジ1は、挿入部11aの上面(z軸正側の面)が挿入口8の上面に対向する向きに挿入される。換言すれば、挿入部11aに各凹部15および16が形成される側と、挿入口8においてスライド部材41が設けられる側とが対向する向きに挿入部11aが挿入される。なお、図12に示すように、挿入部11aが挿入口8に挿入されて挿入部11aの側面が突出部材48に当接すると、突出部材48の突起部48cは当該側面によって押されてスライド部材41の内部に収納される。なお、このとき、バネ44および突出部材48の弾性力は、スライド部材41が移動しないように設計されている。
一方、ゲームカートリッジ9が挿入される場合においても、挿入された直後における各部の動作はアンテナカートリッジ1の挿入部11aが挿入される場合と同様である。すなわち、ゲームカートリッジ9は、その上面(z軸正側の面)が挿入口8の上面に対向する向きに挿入される。また、ゲームカートリッジ9が挿入口8に挿入されてゲームカートリッジ9の側面が突出部材48に当接すると、突出部材48の突起部48cは当該側面によって押されてスライド部材41の内部に収納される。
図13は、図12に示す状態からさらにアンテナカートリッジ1の挿入部11aが挿入された状態を示す図である。図13に示すように、アンテナカートリッジ1の挿入部11aを挿入口8の奥に挿入していくと、挿入部11aに形成された第1凹部15とスライド部材41に形成された凸部47とが嵌合する状態となる。すなわち、第1凹部15の後側(図示x軸負側)の面と、凸部47の手前側(図示x軸負側)の面とが当接する状態となる。したがって、この状態からさらにアンテナカートリッジ1の挿入部11aを挿入口8の奥に挿入していくと、アンテナカートリッジ1とともにスライド部材41が移動することになる。ここで、第1凹部15と第2凹部16との間隔は、凸部47と突起部48cとの間隔に等しくなるように設計されている。したがって、第1凹部15と凸部47とが嵌合する状態においては、突起部48cが第2凹部16の内側に挿入される(図13参照)。
一方、ゲームカートリッジ9が挿入される場合においても、ゲームカートリッジ9の各凹部91および92とスライド部材41の凸部47および突起部48cとによって、ゲームカートリッジ9とスライド部材41とが一体的に移動するようになる点は、アンテナカートリッジ1と同様である。すなわち、ゲームカートリッジ9を挿入口8の奥に挿入していくと、図13と同様、ゲームカートリッジ9に形成された第1凹部91とスライド部材41に形成された凸部47とが嵌合する状態となる。したがって、この状態からさらにゲームカートリッジ9を挿入口8の奥に挿入していくと、ゲームカートリッジ9とともにスライド部材41が移動することになる。また、第1凹部91と凸部47とが嵌合する状態においては、突起部48cが第2凹部92の内側に挿入される。
図14は、図13に示す状態からさらにアンテナカートリッジ1の挿入部11aが挿入された状態を示す図である。図14においては、アンテナカートリッジ1の挿入部11aの先端が挿入口8の奥側の内壁に当接した状態となっている。上述したように、第1凹部15と凸部47とが嵌合する状態となってからさらにアンテナカートリッジ1が挿入口8の奥に移動する場合、アンテナカートリッジ1とともにスライド部材41が移動する。したがって、スライド部材41が奥にスライドすることによって、スライド部材41とピン支持部材42との間に空間A1が生じる。したがって、スライド部材41およびピン支持部材42を挿入口8の内側側面の一部とみれば、挿入口8の内側側面に凹部が形成されたことになる。アンテナカートリッジ1が装着される場合、図14に示すように、フック14の鉤状部23はこの凹部に挿入される。なお、図13に示す状態から図14に示す状態となるまでの間に、鉤状部23がピン支持部材42に当接する状態となるが、この状態においては、鉤状部23がピン支持部材42に押されてフック14が回動し、鉤状部23は挿入部11aの内部に収納される。また、図14に示すようにアンテナカートリッジ1とともにスライド部材41が移動する場合、ピン45の端部の位置は、ハートカム49の第1端部49aから第2端部49bへと変化する(図14に示す矢印参照)。なお、アンテナカートリッジ1の挿入部11aの先端が挿入口8の奥側の内壁に当接する時点でピン45の端部がハートカム49の第2端部49bに位置するように、ピン45の長さとハートカム49の形状および大きさとが設計される。
一方、ゲームカートリッジ9が挿入されてその先端が挿入口8の奥側の内壁に当接する場合においても、アンテナカートリッジ1の場合と同様、ゲームカートリッジ9とともにスライド部材41が移動する。このとき、ピン45の端部の位置は、ハートカム49の第1端部49aから第2端部49bへと変化する。なお、スライド部材41が移動することによって空間A1が生じるが、ゲームカートリッジ9はフックを有しないので、空間A1にフックが挿入されることはない。
図15は、図14に示す状態からユーザがアンテナカートリッジ1の挿入部11aを挿入する手を離した後の状態を示す図である。アンテナカートリッジ1の挿入部11aの先端が挿入口8の奥側の内壁に当接した状態(図14)では、バネ44は、スライド部材41を挿入口8の奥側から手前側への向きに付勢している。したがって、上記の状態でユーザがアンテナカートリッジ1の挿入部11aを挿入する手を離すと、スライド部材41およびアンテナカートリッジ1は挿入口8の手前側に移動する。このスライド部材41の移動に応じて、ピン45の端部の位置は、ハートカム49の第2端部49bから鋭角部49cへと移動する。ここで、スライド部材41はバネ44により手前側に付勢されているが、ピン45の一端が鋭角部49cに位置することにより、スライド部材41はそれ以上手前側に移動しない。また、アンテナカートリッジ1については、ピン45の端部がハートカム49の鋭角部49cに位置した時点で、フック14の鉤状部23が挿入口8の内側側面(具体的にはピン支持部材42)に係止する(係止するようにフック14およびピン支持部材42の大きさが設計されている)。
一方、ゲームカートリッジ9が挿入される場合においても、スライド部材41の動作は、アンテナカートリッジ1の挿入部11aが挿入される場合と同様である。すなわち、ゲームカートリッジ9の先端が挿入口8の奥側の内壁に当接する状態からユーザがゲームカートリッジ9を挿入する手を離すと、スライド部材41およびゲームカートリッジ9は挿入口8の手前側に移動する。そして、このスライド部材41の移動に応じて、ピン45の端部の位置が、ハートカム49の第2端部49bから鋭角部49cへと移動するので、スライド部材41はそれ以上手前側に移動せず、停止する。なお、ゲームカートリッジ9が挿入される場合においては、ゲームカートリッジ9はフックを有しないので、挿入口8の内側側面にフックが係止されることはない。
以上より、ゲームカートリッジ9については、突起部48cが第2凹部92の内側に挿入されることにより、スライド部材41とゲームカートリッジ9が固定され、さらに、ピン45の端部がハートカム49の鋭角部49cに係止することにより、ゲーム装置5とゲームカートリッジ9が固定される。一方、アンテナカートリッジ1については、突起部48cが第2凹部16の内側に挿入されることにより、スライド部材41とアンテナカートリッジが固定され、さらに、ピン45の端部がハートカム49の鋭角部49cに係止することによって、アンテナカートリッジとゲーム装置5は固定される。さらに、アンテナカートリッジ1とゲーム装置5は、フック14の鉤状部23がピン支持部材42に係止することによっても固定される。なお、カートリッジ(アンテナカートリッジ1またはゲームカートリッジ9)が装着された状態においては、カートリッジに設けられた接続端子18または93と挿入口8の奥側端部に設けられた接続端子43とが当接する。したがって、カートリッジとゲーム装置5とが電気的に接続された状態となる。これによって、ゲーム装置5はカートリッジを介してゲームプログラムを読み出して実行すること、または、デジタル放送を受信することができるようになる。
なお、アンテナカートリッジ1について、上記のようにアンテナカートリッジ1が固定された状態において、仮にフック14がないとすれば、アンテナカートリッジ1とゲーム装置5は、ゲーム装置5側のスライド部材41の突出部材48がアンテナカートリッジ1の第2凹部16に係止することによってのみ固定されていることになる。上述したように突出部材48は、力を加えることによってスライド部材41の内側に収納されるので、突出部材48のみによってアンテナカートリッジ1を固定する場合には、少しの力でアンテナカートリッジ1がスライド部材41から外れて(突出部材48が第2凹部16から外れて)挿入口8から抜けてしまうことになる。前述のとおり、アンテナカートリッジ1は、挿入口8から突出した部分を有するため、ユーザがこの突出した部分を引っ張ったり、アンテナカートリッジ1が装着されたゲーム装置5を落下させたときに、当該突出部分に負荷がかかることにより、アンテナカートリッジ1が挿入口8から離脱されてしまう可能性がある。これに対して、本実施形態によれば、アンテナカートリッジ1はスライド部材41の突出部材48のみでなく、フック14によって挿入口8に掛止されている。そのため、突出部材48のみでアンテナカートリッジ1を掛止する場合に比べて、より強固にアンテナカートリッジ1を挿入口8に固定することができる。
図16は、図15に示す状態からアンテナカートリッジ1を挿入口8から離脱する際の様子を示す図である。アンテナカートリッジ1を挿入口8から離脱する際、ユーザは、挿入口8に装着された状態(図15)のアンテナカートリッジ1を再度奥に押し込む。これによって、アンテナカートリッジ1とともにスライド部材41が移動し、ピン45の端部の位置は鋭角部49cから第3端部49dへ移動する。これにより、ピン45の鋭角部49cへの係止が解除され、バネ44の付勢によりスライド部材41は手前側に移動する。アンテナカートリッジ1については、さらに、ユーザは、アンテナカートリッジ1の挿入部11aを奥に挿入した状態でアンテナカートリッジ1のボタン13を押下する必要がある。これによって、フック14の鉤状部23はハウジング11の内部に収納される(図9,図16参照)。これによって、フック14の鉤状部23がピン支持部材42に係止した状態が解除される。したがって、ボタン13を押下した状態でアンテナカートリッジ1を挿入口8の手前側に移動させることによって、アンテナカートリッジ1を挿入口8から離脱することができる。すなわち、この状態では、ピン45は第3端部49dから第1端部49aに移動する(図16に示す矢印参照)ので、ピン45の端部がハートカム49の鋭角部49cに係止しない。また、フック14はピン支持部材42に係止しない。そのため、アンテナカートリッジ1は挿入口8から離脱される。
一方、ゲームカートリッジ9を挿入口8から離脱するためには、アンテナカートリッジ1の場合と同様、挿入口8に装着された状態のゲームカートリッジ9を再度奥に押し込めばよい。これによって、ゲームカートリッジ9とともにスライド部材41が移動し、ピン45の端部の位置は鋭角部49cから第3端部49dへ移動する。これにより、ピン45の鋭角部49cへの係止が解除され、バネ44の付勢によりスライド部材41は手前側に移動する。したがって、スライド部材41とともにゲームカートリッジ9は手前側に押し出される結果、挿入口8から突出した状態となるので、ユーザはゲームカートリッジ9を挿入口8から離脱することができる。なお、ゲームカートリッジ9はフックによって挿入口8に係止されていないので、ユーザは、アンテナカートリッジ1のようにボタンを操作する必要はなく、挿入口8に装着された状態のゲームカートリッジ9を再度奥に押し込むだけでよい。
以上のように、本実施形態によれば、アンテナカートリッジ1がフック14を備える構成とし、アンテナカートリッジ1を挿入口8に装着した場合には、フック14を挿入口8内部の所定部分(上記実施形態ではピン支持部材42)に係止させるようにする。これによって、アンテナカートリッジ1をゲーム装置5に対して強固に固定することができる。また、本実施形態における挿入口8の構成は、従来のプッシュイン・プッシュアウト方式の装着機構である。つまり、本実施形態によれば、例えば、挿入口から突出した部分を有したり重量が大きいなどの理由で離脱する可能性の高い付属装置の抜け防止機構を電子機器(ゲーム装置5)側に特別に設けることなく、当該付属装置を電子機器に対して固定することができる。
ここで、本実施形態では、フック14によってアンテナカートリッジ1をゲーム装置5に対して強固に固定することができるが、ゲーム装置5に装着されたアンテナカートリッジ1に大きな力を加えた場合には、フック14にその力が加わることになる。例えば、アンテナカートリッジ1が装着されたゲーム装置5をユーザが誤って落としたり何かにぶつけたりしてアンテナカートリッジ1に衝撃が加えられると、アンテナカートリッジ1を挿入口8から離脱する向きにアンテナカートリッジ1に対して大きな力が加えられる。このとき、フック14の鉤状部23に大きな力が加えられてしまい、フック14が破壊されてしまうおそれがある。典型的には、アーム22と鉤状部23との連絡部分でフック14が折れてしまうおそれがある。特に、本実施形態のように、挿入口8からアンテナカートリッジ1が外部に突出しているような場合には、アンテナカートリッジ1が装着されたゲーム装置5をユーザが誤って落としたり何かにぶつけたりすることによって、アンテナカートリッジ1に大きな力が加えられしまう可能性が高く、フック14が破壊されてしまう可能性が高い。
そこで、本実施形態では、フック14の環状部21にスリットを設けることによって、フック14の鉤状部23に加わる力を軽減するようにしている。図17は、アンテナカートリッジ1がゲーム装置5に装着されている状態において、アンテナカートリッジ1がゲーム装置5から抜ける方向に力が加わった場合のフック14を示す図である。アンテナカートリッジ1が抜ける方向に力が加わる場合、フック14の鉤状部23にはピン支持部材42から図示x軸正方向の力が加わる。この場合、環状部21は、アーム22から当該アーム22の方向に引っ張る力(張力)を受ける。本実施形態では、フック14の環状部21にスリットが設けられているので、環状部21に上記張力が働いた場合には、図17に示すように環状部21が変形する。すなわち、環状部21の2つの腕部21aおよび21bが開くように変形する。また、環状部21が変形することによってフック14はx軸正方向に移動する(図17)。鉤状部23に加えられた力が環状部21の変形およびフック14の移動によって緩和されるので、フック14の破壊を防止することができる。また、鉤状部23に加わった力が解除された場合には、変形した環状部21の復元力によりフック14は元の位置に戻る。
また、本実施形態では、アンテナカートリッジ1のフック収納部(ハウジング11)において、フック14のx軸正側には隔壁34が設けられる。したがって、フック14がx軸正側に移動した場合、フック14のx軸正側の端部が隔壁34当接するので、フック14の移動が制限される。これによって、環状部21の環が支軸31から完全に外れてしまうことを防止することができる。なお、本実施形態では、環状部21とアーム22との連絡部分22aのx軸正側には、ハウジング11の外壁36が設けられる。したがって、本実施形態では、この外壁36によってもフック14の移動を制限することができる。
以上のように、本実施形態によれば、フック14によってアンテナカートリッジ1をゲーム装置5の挿入口8に掛止させることができ、アンテナカートリッジ1をゲーム装置5に強固に装着することができる。さらに、フック14の環状部21にスリットを設けることによって、フック14に大きな力が加わった場合にはフック14が変形することを可能とする。これによって、フック14が破壊されることを防止することができる。
(フックの変形例)
上記実施形態では、フック14が破壊されることを防止するために、環状部21に切り込み(スリット)を形成するようにした。ここで、スリットは環状部21のどの位置に形成されてもよいが、環状部21とアーム22との連絡部分22aの反対側に形成されることが好ましい。これにより、フック14が移動する場合における環状部21のスリットを挟む両腕部21aおよび21bにかかる力が均等になり、変形の度合いが小さくなるので、フック14がより破壊されなくなるからである。
また、上記実施形態においては、フック14が破壊されることを防止するための構成として、環状部21に切り込み(スリット)を設けるようにした。ここで、環状部は、支軸によって軸支された状態においてアームから張力を受けた場合(換言すれば、フックが支軸から遠ざかる方向へ移動するような力を受けた場合)に変形可能な形状に構成されればよい。以下、図20および図21図21を参照して、フックの変形例について説明する。
図18は、第1の変形例に係るフック14の環状部21を示す図である。図18に示されるように、第1の変形例においては、アーム22と接続される位置の反対側において、2本の腕部21aおよび21bがそれぞれの一部で互いに重複するように構成される。換言すれば、環状部21は、アーム22と接続される位置の反対側において、互いに接続されずに上下に重複する部分を有する形状である。図18に示すような形状であっても、アームから張力を受けた場合に環状部21は変形可能である。また、当該張力を受けなくなった場合には、復元力によって元の状態で軸支される。したがって、図18に示すフック14を用いることによっても、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。なお、図18に示す形状とする場合には、上記実施形態の場合と比べて、フック14が移動可能な距離(フック14が移動しても環状部21が支軸31から外れない距離)を長くすることができる。
図19は、第2の変形例に係るフック14の環状部21を示す図である。図19に示されるように、第2の変形例においては、2本の腕部21aおよび21bは、環状部21とアーム22とが接続される位置の反対側において空間A2を支軸31との間に形成するように支軸31を抱持する。なお、空間A2の幅(支軸31の法線方向に垂直な方向の長さ)は、支軸31の直径よりも小さくなるように設計される。また、図19では、2本の腕部21aおよび21bの先端が互いに接続されているが、2本の腕部21aおよび21bの先端は接続されていなくてもよい。図19に示すような形状であっても、アームから張力を受けた場合に環状部21は変形可能である。また、当該張力を受けなくなった場合には、復元力によって元の状態で軸支される。したがって、図19に示すフック14を用いることによっても、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。なお、図19に示す形状によれば、環状部21が支軸31から外れることがない。
(隔壁の変形例)
なお、上記実施形態においては、図8に示す隔壁34は、フック14の移動方向(x軸正側)に対して略垂直に設けられた。ここで、他の実施形態においては、隔壁34は、フック14が衝突した場合に鉤状部23が挿入部11aの内部に収納される向きに当該鉤状部23を移動させるように設けられてもよい。図20は、他の実施形態における隔壁34の構成を示す図である。図20においては、隔壁34は、フック14の移動方向に対して角度を付して設けられる。具体的には、フック孔17の開口部から挿入部11aの内部に向かうにつれてフック孔17が拡がるように隔壁34が形成される。図21図21は、図20に示す構成においてフック14が隔壁34に当接した場合の様子を示す図である。フック14に大きな力が加えられた結果、環状部21が変形することによってフック14が移動した場合、図21に示されるように、フック14の鉤状部23は隔壁34に衝突する。このとき、隔壁34はフック14の移動方向(x軸正方向)に垂直な方向に対して角度を付して形成されているので、隔壁34に衝突したフック14の鉤状部23は、挿入部11aの内部に収納される向きに移動する。したがって、鉤状部23が挿入口8の内側の所定部分(ピン支持部材42)に係止していた状態が解除され、フック14は当該所定部分から外れることになる。フック14が当該所定部分から外れることによって、フック14に加わっていた大きな力はなくなるので、フック14が破壊されることをより確実に防止することができる。なお、上記実施形態では、フック14の移動を制限するための部材として、面状(板状)の隔壁を用いたが、棒状(柱状)の部材を用いてもよい。
(係止部の変形例)
なお、上記実施形態においては、スライド部材41がスライドすることによって生じた凹部に挿入されて挿入口8の内側側面に係止する係止部の一例として、図7に示すフック14を用いるものとした。ここで、上記係止部は、上記凹部に挿入されて挿入口8の内側側面に係止することが可能なものであればどのような構造であってもよい。例えば、フックは、ハウジング11に対して回転可能に接続されるものに限らず、鉤状部23がフック孔17から出入自在となるようにハウジングに対して摺動可能に接続されてもよい。なお、この場合でも、ボタン13を操作することによって鉤状部23がハウジング11の内側に収納される構造とすることが好ましい。また、例えば、フックの環状部には、スリットが設けられていなくてもよく、環状部は、支軸31の直径とほぼ同じ内径を有する(つまり、環状部21に力が加わっても変形しない)ものであってもよい。