JP4190463B2

JP4190463B2 - カードコネクタ

Info

Publication number: JP4190463B2
Application number: JP2004159263A
Authority: JP
Inventors: 彰弘田中; 保夫中井
Original assignee: Hosiden Corp
Current assignee: Hosiden Corp
Priority date: 2004-05-28
Filing date: 2004-05-28
Publication date: 2008-12-03
Anticipated expiration: 2024-05-28
Also published as: KR20060047557A; JP2005340077A; US7255604B2; KR100642914B1; ATE464613T1; TW200603497A; EP1600879A3; US20050263597A1; CN100502163C; EP1600879B1; CN1702920A; TWI258251B; EP1600879A2; DE602005020547D1

Description

本発明は、メモリーカードと各種電子機器の基板を電気的に接続するためのカードコネクタの中で、カードの誤挿入防止機能を備えたカードコネクタに関する。

従来のカードコネクタでは、カードが正規挿入姿勢以外の姿勢でスロットのカード装着位置に誤挿入されてしまうことを防ぐ機械的手段として、ハウジングに別部品としての板バネでなるストッパーを片持ち状に取り付けたり、ハウジングを樹脂ボディとで構成している板金製のカバーからストッパープレートを片持ち状に切り起こし形成しておき、これらストッパーやストッパープレートの自由端に、正規挿入姿勢以外の姿勢で誤挿入されてきたカードの挿入端面を当接させてそのカードがカード装着位置に挿入されてしまうことを防ぐようにしたものが知られている（例えば、「特許文献１」、「特許文献２」参照。）。
特開平１０−９１７２９号公報特開平１０−１８７８９６号公報

しかしながら、従来の誤挿入防止手段では、カードに過大な押し込み力が加えられた場合、金属製のストッパーやストッパープレートの自由端によってカードに傷を付けてしまうおそれがあると共に、場合によってはストッパーやストッパープレートの自由端にメモリーカードが突き刺さった状態となりカードが排出できなくなるおそれもある。そして、このような不具合はカードの小型化が進むに連れて顕著になる。

一方、ハウジングの樹脂ボディの一部を肉盛りすることで、正規挿入姿勢以外の姿勢で誤挿入されてきたカードの挿入端面を当接させる当たり面を備えてそのカードがカード装着位置に挿入されてしまうことを防ぐようにすると、上記のような問題は解消されるが、当たり部自体に十分な破壊強度が得難い、また樹脂同士の接触となるために滑りが発生しカードが逃げてしまうために十分なカード誤挿入防止性能を得難い、などの不具合がある。

本発明は以上の事情に鑑みてなされたものであり、金属で形成されたカード誤挿入防止手段の不具合と樹脂で形成されたカード誤挿入防止手段の不具合を悉く解消し、カードに過大な押し込み力が加えられた場合でも、十分な破壊強度を有して容易に破壊されることがなく、カードが傷付いたり排出できなくなることを防止でき、しかも十分なカード誤挿入防止性能を得ることができる新規なカード誤挿入防止手段を構成し、カードの小型化に対処して性能を高めたカード誤挿入防止機能を備えた低背小型のカードコネクタを提供することを目的とする。

本発明は、樹脂ボディと板金製のカバーとで構成され、メモリーカードを挿入するスロット入り口及びスロット入り口から挿入されたメモリーカードを収容するスロットを形成するハウジングと、樹脂ボディに取り付けられ、スロットのカード装着位置に挿入収容されたメモリーカードの電極と接触させて電気的に接続させるコンタクトとを備えるカードコネクタにおいて、樹脂ボディに一体形成され、スロットのカード装着位置に正規挿入姿勢で挿入収容されたメモリーカードの誤挿入防止用の切り欠き領域に位置して正規挿入姿勢以外の姿勢で誤挿入されたメモリーカードの挿入端面に当接し誤挿入されたメモリーカードのカードセット位置への挿入を阻止するカード誤挿入防止用の肉盛り部を備え、ボディを形成している樹脂よりも強度の高い材料からなる芯部材を肉盛り部に埋め込み、み、誤挿入されたメモリーカードの挿入端面に当接させる肉盛り部の端面とその端面から突出させる芯部材の端面に、誤挿入されたメモリーカードを下方に押し付けるためのテーパ面を形成したことを特徴とする。

本発明によると、カード誤挿入防止用の肉盛り部は外殻が樹脂で形成され、内部に外殻の樹脂よりも強度の高い材料、例えば金属やセラミック、木片などからなる芯部材が埋め込まれた構造であるため、樹脂だけでは得られなかった高い破壊強度を確保でき、十分な破壊強度を有する。この肉盛り部の外殻の樹脂面に誤挿入されたメモリーカードの挿入端面を当接させてメモリーカードのカードセット位置への挿入を阻止するため、メモリーカードに過大な押し込み力が加えられた場合でも、肉盛り部は容易に破壊することがなく、メモリーカードが傷付いたり排出できなくなったりすることなしに、誤挿入されたメモリーカードのカードセット位置への挿入を防止することができる。

また、本発明によると、誤挿入されたメモリーカードの挿入端面に当接させる肉盛り部の端面から芯部材の端面をわずかに突出させることで、芯部材の端面を誤挿入されたメモリーカードの挿入端面に最小限食い込ませ、メモリーカードが肉盛り部の外殻の樹脂面で滑ることを防止する。これにより、樹脂ボディの肉盛り部で誤挿入されたメモリーカードを確実に受け止めることができるようになり、樹脂だけでは得られなかった十分なカード誤挿入防止性能を得ることができる。
さらに、本発明によると、誤挿入されたメモリーカードの挿入端面に当接させる肉盛り部の端面とその端面から突出させる芯部材の端面に、誤挿入されたメモリーカードを下方に押し付けるためのテーパ面を形成したから、誤挿入されたメモリーカードの挿入端面を肉盛り部の端面及び芯部材の端面で受け止めたとき、これら端面に形成されたテーパ面によってメモリーカードが樹脂ボディに押し付けられ、メモリーカードをカバーを押し上げる方向に逃がすのを防止できるため、カード誤挿入防止性能をさらに高めることができる。

本発明では、芯部材はボディを形成している樹脂よりも強度の高い材料、例えば金属やセラミック、木片などの材料により構成できるが、その中でも金属材料により芯部材を構成することが望ましい。これによれば、上記肉盛り部に従来の金属のカード誤挿入防止手段と同程度或いはそれ以上の破壊強度が得られるようになる。

本発明では、誤挿入されたメモリーカードの挿入端面に当接させる肉盛り部の端面から突出させる芯部材の端面に滑り止め加工（粗面処理）、例えばサンドブラスト加工やローレット加工などを施すことが望ましい。これによれば、誤挿入されたメモリーカードの挿入端面に対する接触面の摩擦係数が大きくなり、メモリーカードが肉盛り部の外殻の樹脂面で滑ることをより確実に防止でき、カード誤挿入防止性能をさらに高めることができる。

本発明では、誤挿入されたメモリーカードの挿入端面に当接させる肉盛り部の端面から突出させる芯部材の端面に、誤挿入されたメモリーカードの下面側に突出させる押さえ突起を形成することが望ましい。これによれば、誤挿入されたメモリーカードの挿入端部を肉盛り部の端面及び芯部材の端面で受け止めたとき、芯部材が持ち上げられることをメモリーカードが押さえ突起を介して防止するため、上記テーパ面の作用を確実に発揮させることができる。

本発明では、芯部材の底面を樹脂ボディの底面に露出させ、電子機器の基板に対して芯部材を半田固定することが望ましい。これによれば、上記肉盛り部自体の破壊強度並びにカード誤挿入防止性能をさらに高めることができる。

以上のように、本発明によれば、金属で形成されたカード誤挿入防止手段の不具合と樹脂で形成されたカード誤挿入防止手段の不具合を悉く解消し、メモリーカードに過大な押し込み力が加えられた場合でも、十分な破壊強度を有して容易に破壊されることがなく、メモリーカードが傷付いたり排出できなくなることを防止でき、しかも十分なカード誤挿入防止性能を得ることができる新規なカード誤挿入防止手段を構成でき、カードの小型化に対処して性能を高めたカード誤挿入防止機能を備えた低背小型のカードコネクタを提供することができるという顕著な効果を奏する。

以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本発明の実施の形態によるカードコネクタの基本構成を図１乃至図８に示す。図１は本実施形態のカードコネクタを前方から見た外観斜視図、図２は本実施形態のカードコネクタを後方から見た外観斜視図、図３は本実施形態のカードコネクタの使用対象であるメモリーカードの外観斜図、図４は本実施形態のカードコネクタのコンタクト及びカバーを除去した状態の樹脂ボディの外観斜視図、図５は本実施形態のカードコネクタのカードイジェクト状態を示す樹脂ボディの全体平面図、図６は本実施形態のカードコネクタのカード最押し込み状態を示す樹脂ボディの部分平面図、図７は本実施形態のカードコネクタのカード最押し込み状態を示す断面図、図８は本実施形態のカードコネクタのカード装着状態を示す樹脂ボディの部分平面図である。

図１乃至図８に示す如く、本実施形態のカードコネクタは、薄い矩形箱状のハウジング１を備えている。このハウジング１は、絶縁性の樹脂ボディ２とこの樹脂ボディ２に嵌合する板金製のカバー３とで構成され、図３に示したメモリーカード１００を挿入するスロット入り口４を前側面に開口形成し、スロット入り口４からハウジング１の内部空間にカード１００が挿入収容される。すなわちハウジング１がカード１００を挿入収容するスロット５を形成している。

また、本実施形態のカードコネクタは、カード１００と電子機器の基板とを電気的に接続するための複数のコンタクト（接触端子）６を備えている。この各コンタクト６は、導電材料（金属材料）よりなる細長い板片で構成され、ボディ２の後部に圧入又はインサート成形により並列に一体に取り付けられ、各コンタクト６の前半部を上下に弾性変位可能にボディ２の後部表面（スロット５の奥部底面）から前上がり傾斜状に突出させて、この各弾性アーム状の先端部にスロット５のカード装着位置に挿入収容されたカード１００の各電極１０１に接触させて電気的に接続するための内部接点７を有し、各コンタクト６の後端部を樹脂ボディ２の後側面からハウジング１の外側に突出させて、その各突出端部に本実施形態のカードコネクタが実装される基板の各電極に半田付けにより電気的に接続するための外部接点８を有している。

さらに、本実施形態のカードコネクタには内部機構として所謂プッシュイン／プッシュアウト型のイジェクト機構９を備えている。このイジェクト機構９は、樹脂ボディ２の内部一側端部（本実施形態では左側部）に前後方向に摺動自在に配備され、樹脂ボディ２の内側に向かって突出するカード受け止め部１０を後端部に有し、板バネ１１を収容保持し、かつこの板バネ１１を背後に設けてなる弾性アーム部１２の先端部に有するハーフロック爪１２ａを、退入可能に樹脂ボディ２の内側に向かって突出する凹部１３を中間部に有し、略ハート形状に形成され、後端頂部の起点部１４と前端窪み部の係止部１５とを往路１６及び復路１７によりつなぐカム溝１８を前部に有する、スライダ１９と、このスライダ１９を後方に常時付勢するコイルバネ２０と、両端部を一方向に直角に折り曲げた細長い金属棒からなり、一端折り曲げ部をこの軸回りに回動自在に樹脂ボディ２の前端部に支持させて、他端折り曲げ部（揺動端部）をカム溝１８に摺動自在に嵌入するカムピン２１とで構成され、カード未挿入時、スライダ１９はこの前端が樹脂ボディ２の前端に突き当たるイジェクト位置にコイルバネ２０により復帰保持され、カムピン２１の他端折り曲げ部がカム溝１８の起点部１４に嵌入されている（図４、図５に示す状態。）。

上記イジェクト機構９は、カード１００が正規挿入姿勢でスロット入り口４からスロット５に挿入されると、挿入カード１００の角落し部１０２の角落し領域に受け止め部１０が嵌合し、これと同時にハーフロック爪１２ａが挿入カード１００のハーフロック用の係止溝１０３に嵌り込む。これにより、挿入カード１００とスライダ１９がカード挿抜方向で係合連結される（図５に示す状態。）。この状態で、さらに挿入カード１００がスロット５に挿入されると、受け止め部１０が後方へ押圧されてスライダ１９が挿入カード１００と一体にイジェクト位置からコイルバネ２０に抗して後方へ摺動し、スライダ１９の後端が樹脂ボディ２の後端に突き当たる最押し込み位置まで摺動する（図６、図７に示す状態。ただし、図６の実線で示すカムピン２１は除く。）。この時点で、カード１００の挿入力を解除すると、スライダ１９はコイルバネ２０により最押し込み位置から前方へ押し戻される。このスライダ１９のイジェクト位置からの一連の動作により、カムピン２１の他端折り曲げ部がカム溝１８の起点部１４から往路１６を経て係止部１５に導入係止され、スライダ１９の前方への摺動を最押し込み位置より少し手前の位置（カード装着位置）で規制し、樹脂ボディ２に対してスライダ１９をカード装着位置で位置保持する（ロックする）。これにより、スライダ１９とカード挿抜方向で係合連結されている挿入カード１００がスロット５のカード装着位置に収容保持され、同時に挿入カード１００の各電極１０１と各コンタクト６の内部接点７とが接触して電気的に接続される（図８に示す状態。）。

また、挿入カード１００がスロット５のカード装着位置に収容保持されている状態（図８に示す状態）で、この挿入カード１００の挿入操作を行うことにより、再び、受け止め部１０が後方へ押圧されてスライダ１９が挿入カード１００と一体にカード装着位置からコイルバネ２０に抗して後方へ摺動し、最押し込み位置に摺動する。このスライダ１９のカード装着位置から最押し込み位置への押し込み動作により、カムピン２１の他端折り曲げ部がカム溝１８の係止部１５から離脱して復路１７に導入されて、スライダ１９の前方への摺動規制が解除される（図６に示す状態。ただし、図６の仮想線で示すカムピン２１は除く。）。この時点で、カード１００の挿入力を解除することにより、スライダ１９はコイルバネ２０により最押し込み位置から前方へ摺動してイジェクト位置へと復帰し、スライダ１９とカード挿抜方向で係合連結されている挿入カード１００はスロット５のイジェクト位置まで排出され、そのイジェクト位置で保持されることとなる（図５に示す状態）。スロット５のイジェクト位置に保持されている挿入カード１００は、スロット入り口４から突出している端部を指で摘んで引き抜くことにより、ハーフロック爪１２ａが挿入カード１００のハーフロック用の係止溝１０３から離脱して、ハーフロックが解除され、スロット５からスロット入り口４を経て抜き去られることとなる。

以上のような基本構成を有する本実施形態のカードコネクタは、基板の電極に各コンタクト６の外部接点８を半田付けして電気的に接続した状態でこの基板上に実装されて、電子機器のハウジングに開口形成されたスロット孔にスロット入り口４を開口するように、電子機器に取り付けられ、スロット入り口４からスロット５に挿入収容されたメモリーカード１００と電子機器の基板を電気的に接続させるという機能を発揮し、電子データの入出力を可能にする。

次に、本実施形態のカードコネクタに備えるカードの誤挿入防止機能について、図３乃至図８及び図９乃至図１３を参照して説明する。図９は本実施形態のカードコネクタに備えるカード誤挿入防止用の肉盛り部を示す樹脂ボディの部分拡大斜視図、図１０は本実施形態のカードコネクタに備えるカード誤挿入防止用の肉盛り部に埋め込む芯部材の外観斜視図、図１１は本実施形態のカードコネクタのスロットにメモリーカードが正規挿入姿勢でスロットに挿入された場合のカード誤挿入防止用の肉盛り部の作用を説明する断面図、図１２は本実施形態のカードコネクタのスロットにメモリーカードが正規挿入姿勢以外の姿勢でスロットに誤挿入された場合のカード誤挿入防止用の肉盛り部の作用を説明する断面図、図１３は本実施形態のカードコネクタのスロットにメモリーカードが正規挿入姿勢以外の姿勢でスロットに誤挿入された場合のカード誤挿入防止用の肉盛り部の作用を説明する拡大断面図である。

ところで、図３に示した本実施形態のカードコネクタの使用対象であるメモリーカード１００は、矩形状に形成され、その矩形の１つの角部が角落し部１０２によって角落としされ、この角落し部１０２を設けたカード１００の端部と反対側のカード１００の端部を指で摘み、角落し部１０２が左前角部に位置する姿勢でカード１００を保持し、角落し部１０２を設けたカード１００の端部をスロット入り口４に臨ませた状態で、カード１００をスロット入り口４からスロット５に挿入する。またこの挿入姿勢において、各コンタクト６を横に並べて設けている樹脂ボディ２の表面と対向するカード１００の一表面（下面）に、溝底にカード１００の各電極１０１を露出して設ける各電極１０１ごとの電極溝１０４と、ハーフロック用の係止溝１０３と、さらにカード１００の誤挿入防止用の切り欠き部１０５とが、それぞれカード１００の厚みを薄くする形態で設けられており、切り欠き部１０５はカードの挿入端部（前端部）における角落し部１０２側（左側）の側端部に設けられ、複数条の各電極溝１０４は切り欠き部１０５の横側（右側）となるカード１００の挿入端部に等間隔で横に並べて設けられ、ハーフロック用の係止溝１０３は切り欠き部１０５の後方となるカード１００の一側縁前部（左側縁前部）に設けられている。そして、カード１００を前記挿入姿勢で挿入することにより、上記のようにイジェクト機構９により、挿入カード１００はスロット５のカード装着位置に収容保持され、同時に挿入カード１００の各電極１０１と各コンタクト６の内部接点７とが接触して電気的に接続される。また挿入カード１００がスロット５のカード装着位置に収容保持されている状態で、この挿入カード１００の挿入操作を行うことにより、イジェクト機構９により、挿入カード１００はスロット５のイジェクト位置まで排出されて、そのイジェクト位置で保持される。スロット５のイジェクト位置に保持されている挿入カード１００を、スロット入り口４から突出している端部を指で摘んで引き抜くことにより、スロット５からスロット入り口４を経て抜き去ることができる。従って、本実施形態のカードコネクタにおいては、上記したように角落し部１０２を設けたカード１００の端部と反対側のカード１００の端部を指で摘み、角落し部１０２が左前角部に位置する姿勢でカード１００を保持し、角落し部１０２が設けられたカード１００の端部をスロット入り口４に臨ませた状態で、カード１００をスロット入り口４からスロット５に挿入するときの挿入姿勢が、当該カード１００の正規挿入姿勢となり、本実施形態のカードコネクタに備えるカードの誤挿入防止機能は、その正規挿入姿勢以外の姿勢、すなわち角落し部１０２を設けたカード１００の端部と反対側の端部からカード１００がスロット５に挿入される前後逆向きの姿勢や各電極溝１０４などを設けたカード１００の表面がカバー３の表面と対向する表裏逆向きの姿勢で、カード１００がスロット５に誤挿入されたときに、その誤挿入されたカード１００がカードセット位置へ挿入されてしまうのを防止するものである。またカード１００の小型化が進むに連れて、カード１００は、正規挿入姿勢或いはそれ以外の挿入姿勢にかかわらずその一端部がスロット入り口４からスロット５に挿し込まれた状態で、スロット入り口４から突出しているカード１００の他端部が、両手の例えば親指の指先を使って押し込まれる傾向にあり、カード１００に加えられる押し込み力は以前に増して大きくなっている。

図４乃至図１３に示す如く、本実施形態のカードコネクタは、樹脂ボディ２に一体形成され、スロット５のカード装着位置に正規挿入姿勢で挿入収容されたカード１００の切り欠き部１０５の切り欠き領域に位置するカード誤挿入防止用の肉盛り部２２を備えている。この肉盛り部２２は、樹脂ボディ２におけるコンタクト６群とスライダ１９の摺動領域との間となる後左底面に、カード挿抜方向に沿って延びる断面四角のリブ形状で形成されており、後端が樹脂ボディ２の後側壁につながれている。また肉盛り部２２の横幅はカード１００の切り欠き部１０５の横幅より幅狭に形成され、肉盛り部２２の高さはカード１００の切り欠き部１０５の切り欠き高さ（切り欠き深さ）より低く形成され、肉盛り部２２の長さは前端が各コンタクト６前端の内部接点７より前方で、イジェクト位置のスライダ１９における受け止め部１０の下方に位置するように形成され、正規挿入姿勢以外の姿勢でスロット入り口４からスロット５に誤挿入されたカード１００の挿入端面（前後逆向きの姿勢の場合、角落し部１０２を設けたカード１００の端部と反対側のカード１００の端部の端面。表裏逆向きの姿勢の場合、角落し部１０２を設けたカード１００の端部の切り欠き部１０５で薄くなった端面。）に当接係止させるカード係止面２３が肉盛り部２２の前端面により形成されている。

上記のように形成された肉盛り部２２は、図５乃至図８及び図１１に示す如く、カード１００が正規挿入姿勢でスロット入り口４からスロット５に挿入された場合、そのカード１００の挿入端面（角落し部１０２を設けたカード１００の端部の端面。）が各コンタクト６を通過する少し前からカード１００の切り欠き部１０５の切り欠き領域に嵌り込んで行き、カード装着位置を超えてカード１００の最押し込み位置までの挿入を許容し、イジェクト機構９によるカード１００のカード装着位置での収容保持並びにイジェクト位置への排出が行えるようになっている。一方、図１２及び図１３に示す如く、カード１００が正規挿入姿勢以外の姿勢（図１２、図１３はカード１００の表裏逆向きの姿勢での誤挿入を示している。）でスロット入り口４からスロット５に誤挿入された場合には、その誤挿入されたカード１００の挿入端面が各コンタクト６を通過する少し前にその挿入端面を係止面２３で受け止めて、それ以上のカード１００の挿入を阻止し、カード１００の誤挿入により各コンタクト６やイジェクト機構９などのカードコネクタの内部機構が破損したり、カード１００が抜去りできなくなることを防止するためのカード誤挿入防止機能を発揮するように構成されている。

また本実施形態では、肉盛り部２２の樹脂内部に、図１０に示した芯部材２４が埋め込まれている。この芯部材２４はボディ２を形成している樹脂、すなわち肉盛り部２２を形成している樹脂よりも強度の高い材料からなり、本実施形態では、従来の金属のカード誤挿入防止手段と同程度或いはそれ以上の破壊強度が得られるように、金属で構成した一枚のブレード状のものを示している。このように、カード誤挿入防止用の肉盛り部２２は外殻が樹脂で形成され、内部に外殻の樹脂よりも強度の高い金属からなる芯部材２４が埋め込まれた構造であるため、樹脂だけでは得られなかった高い破壊強度を確保でき、十分な破壊強度を有する。この肉盛り部２２の外殻の樹脂面で形成されている係止面２３に誤挿入されたカード１００の挿入端面を当接係止させてカード１００のカードセット位置への挿入を阻止するため、カード１００に過大な押し込み力が加えられた場合でも、肉盛り部２２は容易に破壊することがなく、カード１００が傷付いたり排出できなくなったりすることなしに、誤挿入されたカード１００のカードセット位置への挿入を防止することができる。

また本実施形態では、芯部材２４は、底端面が平らに形成される一方で、上端面は凹凸状に形成され、一端か凸部２４ａで破断され、他端が凹部２４ｂで破断されたような一枚のブレード状に形成されている。そして、図９及び図１１乃至図１３に示す如く、この芯部材２４の平らな底端面が樹脂ボディ２の底面に面一に露出し、かつ芯部材２４の各凸部２４ａの端面が肉盛り部２２の上面に略面一に露出し、かつ凸部２４ａで破断された背の高い金属の破断面２５を、肉盛り部２２の係止面２３の中央部からわずかに突出するように、芯部材２４が、肉盛り部２２の内部でこの前端から後端にわたって埋め込まれている。このように、誤挿入されたカード１００の挿入端面を当接係止させる肉盛り部２２の係止面２３の中央部から芯部材２４の金属の破断面２５をわずかに突出させることで、図１２及び図１３に示す如く、芯部材２４の金属の破断面２５を誤挿入されたカード１００の挿入端面に最小限食い込ませ、カード１００が肉盛り部２２の係止面２３で滑ることを防止する。これにより、樹脂ボディ２の肉盛り部２２で誤挿入されたカード１００を確実に受け止めることができるようになり、樹脂だけでは得られなかった十分なカード誤挿入防止性能を得ることができる。

また本実施形態では、誤挿入されたカード１００の挿入端面に当接係止させる肉盛り部２２の係止面２３から突出させる芯部材２４の金属の破断面２５に滑り止め加工（粗面処理）、例えばサンドブラスト加工やローレット加工などを施し、誤挿入されたカード１００の挿入端面に対する接触面の摩擦係数を大きくすることにより、カード１００が肉盛り部２２の係止面２３で滑ることをより確実に防止でき、カード誤挿入防止性能をさらに高めることができる。

さらに本実施形態では、図９乃至図１３に示す如く、誤挿入されたカード１００の挿入端面に当接係止させる肉盛り部２２の係止面２３とその係止面２３から突出させる芯部材２４の金属の破断面２５には、誤挿入されたカード１００を下方に押し付けるために、係止面２３及び破断面２５が上部から下部に向かうにつれてカード挿入方向に後退傾斜するテーパ面２３ａと２５ａが形成されている。これにより、誤挿入されたカード１００の挿入端面を肉盛り部２２の係止面２３とその係止面２３から突出させる芯部材２４の金属の破断面２５で受け止めたとき、これら係止面２３と破断面２５に形成されたテーパ面２３ａと２５ａによってカード１００が樹脂ボディ２に押し付けられ、カード１００をカバー３を押し上げる方向に逃がすのを防止できるため、カード誤挿入防止性能をさらに高めることができる。

また本実施形態では、図９乃至図１３に示す如く、芯部材２４における金属の破断面２５の下端には、樹脂ボディ２の底面樹脂内で前方に向けて突出させる、すなわち挿入カード１００の下面側で突出させる押さえ突起２６を形成している。この押さえ突起２６の底面は樹脂ボディ２の底面に面一に露出させる一方、押さえ突起２６の上面は、カード１００が押さえ突起２６に引っ掛かるのを防止するために、先端に向かって下り傾斜のテーパを付けて樹脂ボディ２の内底面に露出させている。このように、誤挿入されたカード１００の挿入端面に当接係止させる肉盛り部２２の係止面２３から突出させる芯部材２４の金属の破断面２５に、誤挿入されたカード１００の下面側に突出させる押さえ突起２６を形成することにより、誤挿入されたカード１００の挿入端部を肉盛り部２２の係止面２３及び芯部材２４の金属の破断面２５で受け止めたとき、芯部材２４が持ち上げられることをカード１００が押さえ突起２６を介して防止するため、上記テーパ面２３ａ，２５ａの作用を確実に発揮させることができる。

また本実施形態では、芯部材２４の底面を樹脂ボディ２の底面に露出させ、カードコネクタを電子機器の基板に対して実装するときに、各コネクタ６の外部接点８と同様に、芯部材２４の底面も基板に半田固定している。これによれば、上記肉盛り部２２自体の破壊強度並びにカード誤挿入防止性能をさらに高めることができる。

以上から明らかなように、本実施形態のカードコネクタに備えるカードの誤挿入防止機能（手段）は、カード１００に過大な押し込み力が加えられた場合でも、十分な破壊強度を有して容易に破壊されることがなく、カード１００が傷付いたり排出できなくなることを防止でき、しかも十分なカード誤挿入防止性能を得ることができ、カード１００の小型化に対処して性能を高めたカード誤挿入防止機能を備えた低背小型のカードコネクタを提供する。

なお、上記肉盛り部２２への芯部材２４の埋め込みは、樹脂ボディ２の成形時に芯部材２４の外形と同じ形状の嵌合凹部を有する中空の肉盛り部２２を形成しておき、樹脂ボディ２の成形後に肉盛り部２２の嵌合凹部に芯部材２４をボディ底面から嵌め込むことで行える他、インサート成形によっても行うことができる。

本実施形態のカードコネクタを前方から見た外観斜視図である。本実施形態のカードコネクタを後方から見た外観斜視図である。本実施形態のカードコネクタの使用対象であるメモリーカードの外観斜図である。本実施形態のカードコネクタのコンタクト及びカバーを除去した状態の樹脂ボディの外観斜視図である。本実施形態のカードコネクタのカードイジェクト状態を示す樹脂ボディの全体平面図である。本実施形態のカードコネクタのカード最押し込み状態を示す樹脂ボディの部分平面図である。本実施形態のカードコネクタのカード最押し込み状態を示す断面図である。本実施形態のカードコネクタのカード装着状態を示す樹脂ボディの部分平面図である。本実施形態のカードコネクタに備えるカード誤挿入防止用の肉盛り部を示す樹脂ボディの部分拡大斜視図である。本実施形態のカードコネクタに備えるカード誤挿入防止用の肉盛り部に埋め込む芯部材の外観斜視図である。本実施形態のカードコネクタのスロットにメモリーカードが正規挿入姿勢でスロットに挿入された場合のカード誤挿入防止用の肉盛り部の作用を説明する断面図である。本実施形態のカードコネクタのスロットにメモリーカードが正規挿入姿勢以外の姿勢でスロットに誤挿入された場合のカード誤挿入防止用の肉盛り部の作用を説明する断面図である。本実施形態のカードコネクタのスロットにメモリーカードが正規挿入姿勢以外の姿勢でスロットに誤挿入された場合のカード誤挿入防止用の肉盛り部の作用を説明する拡大断面図である。

符号の説明

１ハウジング
２樹脂ボディ
３カバー
４スロット入り口
５スロット
６コンタクト
９イジェクト機構
２２肉盛り部
２３係止面
２３ａテーパ面
２４芯部材
２５破断面
２５ａテーパ面
２６押さえ突起
１００メモリーカード
１０１電極
１０５切り欠き部

Claims

樹脂ボディと板金製のカバーとで構成され、メモリーカードを挿入するスロット入り口及びスロット入り口から挿入されたメモリーカードを収容するスロットを形成するハウジングと、樹脂ボディに取り付けられ、スロットのカード装着位置に挿入収容されたメモリーカードの電極と接触させて電気的に接続させるコンタクトとを備えるカードコネクタにおいて、樹脂ボディに一体形成され、スロットのカード装着位置に正規挿入姿勢で挿入収容されたメモリーカードの誤挿入防止用の切り欠き領域に位置して正規挿入姿勢以外の姿勢で誤挿入されたメモリーカードの挿入端面に当接し誤挿入されたメモリーカードのカードセット位置への挿入を阻止するカード誤挿入防止用の肉盛り部を備え、ボディを形成している樹脂よりも強度の高い材料からなる芯部材を肉盛り部に埋め込み、誤挿入されたメモリーカードの挿入端面に当接させる肉盛り部の端面とその端面から突出させる芯部材の端面に、誤挿入されたメモリーカードを下方に押し付けるためのテーパ面を形成したことを特徴とするカードコネクタ。
芯部材を金属材料により構成した請求項１に記載のカードコネクタ。
誤挿入されたメモリーカードの挿入端面に当接させる肉盛り部の端面から突出させる芯部材の端面に滑り止め加工を施す請求項１又は請求項２に記載のカードコネクタ。
誤挿入されたメモリーカードの挿入端面に当接させる肉盛り部の端面から突出させる芯部材の端面に、誤挿入されたメモリーカードの下面側に突出させる押さえ突起を形成する請求項１乃至請求項３の何れか１つに記載のカードコネクタ。
芯部材の底面を樹脂ボディの底面に露出させ、電子機器の基板に対して芯部材を半田固定する請求項１乃至請求項４の何れか１つに記載のカードコネクタ。