JP3767195B2 - 可塑化ポリ乳酸組成物の製造方法 - Google Patents
可塑化ポリ乳酸組成物の製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、可塑化されたポリ乳酸組成物、製造方法及びその各種用途に関する。本発明で得られた可塑化ポリ乳酸組成物は、従来の可塑化ポリ乳酸に比べて可塑剤添加に伴う溶融粘度の低下が抑えられる。このため、光学純度の高いポリ乳酸においては、成形性が改善された透明で柔軟な各種成型品が得られる。一方、光学純度が低いポリ乳酸においては、接着力が大幅に改善された接着剤、粘着剤、あるいは塗装原料が得られる。
【0002】
【従来の技術】
透明性と柔軟性に優れた熱可塑樹脂としては、軟質塩ビや特殊ポリオレフィン等の樹脂が普及している。しかし、これらの汎用樹脂は自然環境中で分解せず、焼却処理においてもその燃焼熱が大きいこと、あるいは燃焼時にダイオキシン等の有害物質を排出しやすいことなど、使用後の処理問題が大きな社会問題となっている。
【0003】
これに対し、成型加工分野では、近年、自然環境保護の見地から、自然環境中で分解する生分解性ポリマーおよびその成型品が求められ、脂肪族ポリエステルなどの自然分解性樹脂の研究が活発に行われている。特に、ポリ乳酸は生体安全性が高く、しかも分解物である乳酸は生体内で吸収される。このようにポリ乳酸は生体安全性の高い高分子化合物であり、可塑剤を配合して柔軟性が要求される用途への改質検討が活発に行われている。
【0004】
しかし、押出し成型や射出成型等の分野で柔軟性が要求される成型品において、ポリ乳酸はその分子鎖の有する剛直性によって透明性と柔軟性を両立させ、さらに耐寒性も満足させるためには大幅な改善が必要となる。
すなわち、光学純度の高いポリ乳酸はその高い結晶性によって十分量の可塑剤を安定して配合できず、光学純度の低いポリ乳酸を用いた場合には可塑剤配合によって引下げられたガラス転移点以上の温度で形状安定性を失ってしまい、成型品としての価値をなさない。
【0005】
この問題を解決する方法の1つとしては、特願平10−125762号に示されているように、ポリ乳酸の光学純度を調製し、これまでに得られなかった添加量の可塑剤を配合することが可能になった。すなわち、光学純度を調製したポリ乳酸100重量部に対して25重量部以上の可塑剤が配合可能になり、ガラス転移温度、及び低温下での柔軟性(弾性率)が大幅に改善されている。
しかしながら、現状の軟質成型品の全てを代替えできるようになったわけでなく、更なる柔軟性、及び成型加工特性等の改良が必要とされている。
【0006】
本発明によると光学純度の高いポリ乳酸に対して多量の可塑剤が配合可能になった。光学純度を調製したポリ乳酸を用いた場合には特願平10−125762号よりも安定して可塑剤が配合可能になり、成型加工特性も改良された。その結果、ポリ乳酸の透明性を維持したまま、柔軟性が要求される、より広範囲の成型加工分野で適用可能となった。
【0007】
また、非成型加工分野では、近年、ポリ乳酸以外にも、昭和高分子製脂肪族ポリエステルのビオノーレやダイセル社製ポリカプロラクトン系のセルグリーン等、様々な特徴を有する生分解性プラスチックが開発されている。それらの使用においては、例えば生分解性プラスチックフィルムの貼りあわせに接着剤が使用される等、非成型加工分野においても開発への要求が高まっている。
【0008】
非成型加工分野のうち、生分解性を有する接着剤としては、デンプン糊、ニカワ、天然ゴム等の天然高分子を用いたもののほか、化学合成樹脂ではポリビニルアルコール系接着剤が生分解性(水可溶性)接着剤として開発されている。
ポリ乳酸に対して生分解性接着剤など接着力を求めた例としては、特開平05−339557号、特開平08−081897号、あるいは特表平09−505615号等に開示されている。
【0009】
特開平05−339557号には、光学純度の低いポリ乳酸をホットメルト接着剤の主材に用いて、粘着付与物質として末端封鎖した低分子量ポリ乳酸等の乳酸オリゴマーを配合した、ホットメルト接着剤組成に関する技術が開示されている。さらに、特開平05−339557号ではウレタン化、エステル化、エポキシ化等ポリ乳酸の変性によって接着力の強化を図っている。
特開平08−081897号には、生体に密着する生理用品等の表面塗装を目的に、ポリ乳酸と極性粘着付与剤からなる被覆剤を得る方法が開示されている。すなわち、エコケム社製の光学純度が高いポリL乳酸にポリエチレングリコール変性化合物と水素化ロジン等を配合した熱溶融させて紙等に塗布使用することが記載されている。
特表平09−505615号には、低分子量のポリ乳酸(Mnが30,000未満の乳酸オリゴマー)とポリ乳酸とから構成されるホットメルト接着剤に関する開示が行われている。そこでは、特開平05−339557号と同様にポリ乳酸の光学純度が低いものに関する検討も開示されている。
【0010】
これら上述のいずれも、ポリ乳酸に接着力が要求される分野では、ポリ乳酸がウレタン化、エステル化、エポキシ化等の変性品であるか、さらには粘着付与剤としてポリ乳酸オリゴマーが必須とされている。このことは、接着剤主材としてポリ乳酸に接着力が不足しており、ポリ乳酸接着剤においては、基材としてのポリ乳酸の変性、あるいは何らかの粘着付与物質が必要なことを示している。そのため、ポリ乳酸の変性工程、あるいは乳酸オリゴマー等の非汎用成分の合成が必要であり、工業的利用時には煩雑な製造工程を伴い、高価格化の原因になってしまう。
【0011】
本発明では配合組成として低い光学純度のポリ乳酸と可塑剤だけで、紫外線を照射することで高い接着力が発揮されることを開示する。すなわち、これまでの発明よりも単純な組成物によるものであり、紫外線の照射は、汎用接着剤の使用現場やフィルム等の表面処理現場で一般的に用いられているものであり、工業的に低価格化を実現することが可能である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明によれば、紫外線を照射したポリ乳酸に可塑剤を配合することで、成型加工分野ではその加工特性が改善され、その成型品にはこれまでに成し得なかった多量の可塑剤が配合可能で、柔軟性に優れ、ブリードアウトを生じないなど経時安定性が改良されることを見出した。さらに、接着剤、粘着剤、あるいは塗装原料等の非成型加工分野においては、高い接着力が発揮され、ホットメルト接着剤など溶融状態で使用する場合の流動特性が改善されることを見出した。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の課題について鋭意検討を行った結果、波長が400nm以下で強度値が120mW/cm2以上の紫外線を照射したポリ乳酸に可塑剤を配合する事により、成型加工分野において、ポリ乳酸の透明性を維持し、柔軟性に優れており、特にフィルム、チューブ等の押出し成形加工適性に優れた、可塑化ポリ乳酸組成物、及びその成型品が得られた。さらに、非成型加工分野においては、接着力が改善され、ホットメルト接着剤・粘着剤、溶剤型接着剤、あるいは塗装原料等の分野で有効なことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
すなわち本発明は、波長が400nm以下で強度値が120mW/cm2以上の紫外線を放射する光源で光を照射したポリ乳酸に可塑剤が配合されてなる可塑化ポリ乳酸組成物に関する。その製造方法に関し、ポリ乳酸に波長が400nm以下で強度値が120mW/cm2以上の紫外線を放射する光源で光を照射した後、可塑剤を配合することを特徴とする、あるいは可塑剤が配合されたポリ乳酸に波長が400nm以下で強度値が120mW/cm2以上の紫外線を放射する光源で光を照射することを特徴とする可塑化ポリ乳酸の製造方法に関する。
【0015】
また、本発明は、ポリ乳酸の光学純度に応じ、可塑剤の配合量を変えることを特徴とする。光学純度が高いポリ乳酸では、1〜300重量部の可塑剤が配合される。その可塑化ポリ乳酸からフィルム、シート、板、チューブ、容器、繊維、編み物、織物、不織布、綱、ロープ、各種部品、その他の成型品を製造する。
【0016】
さらに、本発明は、光学純度が低いポリ乳酸に1〜500重量部の可塑剤が配合されたことを特徴とする可塑化ポリ乳酸組成物、及びその製造方法に関するものであり、そこで得られた可塑化ポリ乳酸からなる接着剤、粘着剤、塗装原料を製造する。
【0017】
【発明実施の形態】
本発明において、ポリ乳酸とは、実質的にL−乳酸及び/又はD−乳酸由来のモノマー単位のみで構成されるポリマーである。ここで「実質的に」とは、本発明の効果を損なわない範囲で、L−乳酸またはD−乳酸に由来しない、他のモノマー単位を含んでいても良いという意味である。
ポリ乳酸が、L−乳酸及び/又はD−乳酸に由来するモノマー単位からだけなる場合には、重合体は結晶性で高融点を有する。しかも、L−乳酸、D−乳酸由来のモノマー単位の比率(L/D比と略称する)を変化させることにより、結晶性・融点を自在に調節する事ができるので、用途に応じ、実用特性を制御する事を可能にする。
【0018】
本発明で、光学純度の高いポリ乳酸とは、一般的に光学純度80%以上の結晶性を有するポリ乳酸を示す。ただし、例えば光学純度75%のポリ乳酸は、DSC測定では結晶化ピークも融解ピークも示さないが、そのものを80〜100℃の高温状態に放置すると結晶化を生じる。このように、結晶性は光学純度が80%を境に完全に失われるものではない。本発明においても、光学純度の高いポリ乳酸とは、光学純度80%を一定の目安とするものである。
一方、光学純度の低いポリ乳酸とは、一般的には光学純度が80%未満のポリ乳酸を示す。但し、ポリ乳酸に紫外線照射することが本発明の特徴であるが、そのことでポリ乳酸の結晶性が変化することがわかっている。例えば、光学純度が高いポリ乳酸に紫外線照射すると、DSC測定で検出される融解熱量が減少し、結晶性が低下していることが示されている。従って、光学純度が低いポリ乳酸とは、非成型加工分野において、その経時変化によって結晶化を伴わない範囲のものであり、光学純度が80%未満を一定の目安とするものである。
【0019】
本発明に用いられる可塑剤は、特に限定されず、ポリ乳酸との相溶性が良好な可塑剤はいずれも利用できる。可塑剤の例としては、広くは軟質塩ビ、軟質酢ビ用等、樹脂の可塑化に使用される一般的な可塑剤を利用できるが、環境面への配慮とポリ乳酸との相溶性との観点から、エーテルエステル誘導体、グリセリン誘導体、グリコール酸誘導体、クエン酸誘導体、アジピン酸誘導体から選ばれた単一または複数の混合物を用いることが好ましい。
【0020】
エーテルエステル誘導体としては、下式で示される、分子量が200〜30000の可塑剤が利用できる。
R(0R′)n00C−R″−C00(R′0)mR
(Rはアルキル基を示し、R′はアルキレン基を示し、R″は2価の有機酸またはアルキレン基を示し、m及びnは各々独立に1〜500を示す。)
上式のRで表わされるアルキル基としては、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、イソブチル、アミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、イソデシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル等の炭素数1〜20のものが挙げられる。また、R′で表わされるアルキレン基としては、例えばエチレン、1,2−プロピレン、1,2−ブチレン、1,4−ブチレン等の炭素数2〜8のものが挙げられる。また、n,mは各々独立に1〜500であるが、大きすぎると熱安定性が低下する傾向があり、各々1〜100が好ましく、特に1〜20が好ましい。分子量は200より小さいとポリ乳酸とのブレンド時や成型品の成型加工時の熱に対して不安定となり、3万より大きいとポリ乳酸との相溶性が劣ることになり、好ましくは250〜10000で、特に250〜5000のものが好ましい。
具体的には、アデカサイザーRS1000(旭電化工業株式会社製)があげられ、その分子量は1000である。
【0021】
グリセリン誘導体としては、具体的には、グリセリントリアセテート(トリアセチン)、グリセリントリブチレート、グリセリントリプロピオネート、及びその類似の可塑剤が利用できる。
【0022】
グリコール酸誘導体としては、トリエチレングリコールジアセテート(TEGDA)を始め、その類似の可塑剤が利用できる。
【0023】
クエン酸誘導体としては、アセチルクエン酸トリブチルのほか、その類似の可塑剤が利用できる。
【0024】
さらに、アジピン酸誘導体としては、ジメチルアジペート(DMA)、ジエチルアジペート(DEA)、ジブチルアジペート(DBA)、ジオクチルアジペート(DOA)のほか、その類似の可塑剤が利用できる。
【0025】
なお、フタル酸誘導体は環境ホルモンとの関係が指摘されているものが含まれ、汎用利用される目的には好ましくないが、限定された使用目的においては、エチルフタリルエチルグリコレート(EPEG)やエチルフタリルブチルグリコレート(BPBG)を始め、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)などが利用可能な可塑剤として挙げられる。
【0026】
本発明の可塑化ポリ乳酸の製造方法は、一般的には重合されたポリ乳酸に可塑剤を配合し、その工程のいずれか、または可塑化したポリ乳酸を製品加工する段階のいずれかで紫外線を照射することによって得られる。
ポリ乳酸の製造方法には、乳酸を直接脱水縮合して目的物を得る直接法と、乳酸から一旦環状ラクチド(二量体)を合成し、晶析法などにより精製を行い、ついで開環重合を行う方法が公知である。例えば、特公昭56−14688号公報には、2分子の環状ジエステルを中間体とし、これをオクチル酸錫を触媒として重合し、ポリ乳酸を製造することが開示されている。このように、例えば開環重合を行う場合、重合反応は、ラクチド重量に対して0.001〜1重量部、好ましくは0.01〜0.5重量部の触媒を用い、重合方法、触媒量にも異なるが通常10分〜20時間程度加熱重合する。反応は、窒素などの不活性ガス雰囲気下にて行うのが好ましい。
【0027】
重合に用いる触媒としては、オクチル酸錫などの錫系化合物、テトライソプロピルチタネートなどのチタン系化合物、ジルコニウムイソプロポキシドなどのジルコニウム化合物、三酸化アンチモンなどのアンチモン系化合物等、いずれも乳酸の重合に従来公知の触媒が挙げられる。また、添加する触媒量によって、最終ポリマーの分子量を調整する事もできる。触媒量が少ないほど反応速度は遅くなるが、分子量は高くなる傾向にある。
【0028】
本発明においては、いずれの重合方法で得られたポリ乳酸、あるいはそのブレンド体も利用可能である。このようにして得られたポリ乳酸は、成形加工の工程における取り扱い性を容易にするため、あらかじめ米粒大から豆粒程度の大きさの球状、立方体、円柱状、破砕状等のペレット状に加工される。
この時点で紫外線を照射し、後述の可塑剤を配合する工程に進むことも可能である。この場合、照射時の温度は、ポリ乳酸のガラス転移温度以上においては軟化・変形が進行するため、形状を保持する必要がある場合には注意を要するが、そうでない場合は限定されない。但し、200℃以上の温度では、ポリ乳酸は分解反応をともなうので、150℃以下が好ましい。
なお、後述の可塑剤を配合した後ではガラス転移温度が低下しており、この可塑剤を配合する前での紫外線の照射は、ペレット形状を保つ必要がある場合には、より強い紫外線の照射が行いやすい。
【0029】
又、照射する光線は、波長が400nm以下、好ましくは250〜370nmで、強度値が120mW/cm2以上、好ましくは120〜300mW/cm2の紫外線を放射する光源による光で有れば何でもよい。但し、放射照度が小さい場合は、分解・劣化反応の方が支配的となり効果はなく、本発明では放射照度の大きい光源を用いることが必須となる。
なお、波長が400nm以上の光あるいは強度が120mW/cm2以下では分子量の増大は認められない。また、強度は、測定波長300〜390nmにおけるピーク強度値によって定義される値である。
【0030】
照射すべき光は、200〜1000nmの領域に発光ピーク波長を有する光源からの光である。例えば、光源として、キセノンランプ、蛍光ランプ、水銀ランプ(高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ)、紫外用メタルハライドランプ等が挙げられる。これらのうち、大きな放射照度を得る為には高圧水銀ランプ、紫外用メタルハライドランプが好ましい。
光の照射時間は、光源の種類及び照射光の強度によるが、本明細書の実施例で示す例については、2〜3分の照射で十分である。
【0031】
可塑剤の配合は従来公知の方法を用いて行うことができる。
光学純度の高いポリ乳酸に可塑剤を配合する場合、例えば、軟質塩ビで行われるように、可塑剤とポリ乳酸をロールミキシング装置を用いて溶融ブレンドしたり、2軸混練機を用いて溶融状態のポリ乳酸に液状可塑剤がブレンドされ、その後、再びペレットとして回収して成形加工に用いたり、ブレンド体を直接成形加工することが行われる。さらには、クロロホルムや塩化メチレン等の溶媒にポリマーと可塑剤を溶解した後、面上にキャストし、溶媒を除去する溶媒キャスト法を用いても良い。
【0032】
可塑剤はポリ乳酸100重量部に対して、可塑剤を1〜300重量部配合可能である。光学純度の高いポリ乳酸では、可塑剤が安定して保持されやすいようにポリ乳酸の光学純度を制御した場合でも、300重量部を超えた可塑剤の配合はブリードアウト等の経時変化の原因となる。可塑化ポリ乳酸の用途にもよるが、実用上好ましい可塑剤の配合量は1〜200重量部で、さらに好ましくは、5〜150重量部である。
この時、通常はポリ乳酸に多量の可塑剤を添加すると溶融粘度の低下が大きく、可塑化したポリ乳酸のペレット化や、後に続く成形操作が困難になるなど成形加工特性も低下する。これに対し、本発明で用いる紫外線を照射することで可塑化ポリ乳酸の溶融粘度の低下が抑制される。そのため、可塑化したポリ乳酸のペレット化が容易に行え、成型操作も容易になり、さらに、成型品からの可塑剤のブリードアウトが抑制され、経時安定性も向上する。
但し、特に、可塑剤の配合量が少ない場合などは、可塑化したポリ乳酸の粘度低下も小さく、また、例えば水冷によってペレット化に十分なだけの硬度を得ることもできる。このような場合には、上述の紫外線照射を可塑剤の配合後に行うことも可能である。
【0033】
このようにして製造された可塑化ポリ乳酸は、通常使用される射出成型装置、フィルム・シートや繊維等を成型するための各種押出し装置、あるいはフィルム・シート等の真空・圧空成型など現在使用されている各種成型装置を用いて成型加工可能である
本発明で使用される可塑化ポリ乳酸は、さらに改質の為の副次的添加物が加えてられていても良い。副次的添加剤の例としては、安定剤、酸化防止剤、顔料、着色剤、各種フィラー、静電剤、離型剤、2次可塑剤、香料、抗菌剤、核形成剤等その他の類似のものが挙げられる。
【0034】
また、光学純度の低いポリ乳酸に可塑剤を配合し、非成型加工分野に利用する場合、上述の溶融混練方法のほかに、加熱機能を備えた攪拌装置でブレンドすることも有効である。さらに、光学純度の低いポリ乳酸は、トルエンや酢酸エチル等の一般的な接着・塗料原料に用いられる汎用溶剤に可溶解性であり、通常の攪拌装置にポリ乳酸と可塑剤を仕込み、ブレンドすることも可能である。
【0035】
可塑剤はポリ乳酸100重量部に対して、可塑剤を1〜500重量部配合可能である。光学純度の低いポリ乳酸では、ポリ乳酸の結晶化が抑制されており、可塑剤が安定して保持されやすい。可塑剤の配合量は、目的とする用途によって異なり、例えば、弾性率の高いものの接着剤・塗装剤に使用する場合は可塑剤の配合量を少なくして、使用状態での弾性率を高く保つようにする。また、低温下で柔軟性を必要とするものの接着・塗装用途に用いる場合には多量の可塑剤を配合することが有効である。ただし、ポリ乳酸100重量部に対して500重量部を超えた可塑剤の配合は粘度低下を抑えるのが困難になる。可塑化ポリ乳酸の用途にもよるが、実用上好ましい可塑剤の配合量は1〜400重量部で、さらに好ましくは、5〜300重量部である。
【0036】
光学純度の低いポリ乳酸において、光学純度が高いポリ乳酸での場合と同じ方法で紫外線の照射が行え、その照射を製造工程のどの段階で行うかの制約はない。さらに、この非成型加工分野ではペレット形状を保つ必要が無い場合も多く、光学純度の高いポリ乳酸に照射する場合よりも紫外線の照射強度を強くすることも可能である。
紫外線の照射工程は、例えば、ポリ乳酸に紫外線を照射してから可塑剤を配合しても良いし、ポリ乳酸に可塑剤を配合した後で紫外線を照射することもできる。さらには、可塑化したポリ乳酸を接着剤・粘着剤や塗装用途などとして塗布、あるいは接着した後で紫外線を照射し、その接着力を高めることもできる。
【0037】
なお、本発明で使用される可塑化されたポリ乳酸には、光学純度が高いポリ乳酸に対して用いたように、さらに改質のための副次的添加物が加えられていても良い。その副次的添加剤の例としては、安定剤、酸化防止剤、老化防止剤、顔料、着色剤、各種フィラー、静電剤、2次可塑剤、香料、抗菌剤、防腐剤、増粘剤、消泡剤、乳化剤等その他の類似のものが挙げられる。
【0038】
本発明及び以下の実施例において、重合体の重量平均分子量(Mw)はGPC分析によるポリスチレン換算値である。ガラス転移温度は、DSC測定によって行った。
射出成形品の引張試験は、島津製作所製オートグラフAG−5000を用いて、JIS K−7113に準拠した。また、180°剥離試験は、JIS K−6854に準拠し、島津製作所製引張試験機EZ testを用いて試験した。
【0039】
【実施例】
まず、実施例で用いるポリ乳酸の合成方法、及び光線照射の方法を説明する。なお、光学純度が高いポリL乳酸には、光学純度99%の島津製作所製ラクティ#5000(重量平均分子量200,000)を用いた。
[合成例1]
光学純度が低いポリ乳酸を合成するため、L−ラクチドとD/L−ラクチドの比率が55/45になるようにして、2軸反応押出し機(栗本製作所製)に連続的に供給し、触媒にオクチル酸スズ0.2重量%をラクチドと同時に連続的に供給して、210℃で重合反応を行った(滞留時間10分)。その後、連続して設置した、減圧装置を備えた2軸押出し機を220℃で滞留時間15分間で、10Torrの減圧下で未反応モノマーを除去した。得られたストランドは水冷、ペレタイズして回収した。この光学純度が低いポリ乳酸ペレットのGPC分析を行った結果、モノマー成分は検出されず(1%未満)、重量平均分子量は151,000であった。また、光学純度は44.8%である。
【0040】
[合成例2]
合成例1で得られた光学純度が低いポリ乳酸と、光学純度が高い島津製作所製ポリL乳酸とを減圧下で予備乾燥して絶乾状態にした後、その混合比が60/40になるようにして、単軸押出し機を用いて溶融混練し、得られたストランドを水冷、ペレタイズしてポリ乳酸ペレットを回収した。このものの重量平均分子量は、163,000であった。
【0041】
[調製例1]
島津製作所製ポリL乳酸を120℃で3Hr真空乾燥し絶乾状態にした後、光線照射処理を行った。そのGPC分析の結果、重量平均分子量は278,000であった。光線照射装置、及び条件は下記に示した。
【0042】
【0043】
[調製例2]
合成例2で得られたポリ乳酸ペレットを用いて、調製例1と同様に、絶乾状態にした後、光線照射処理を行った。その後、GPC分析を行った結果、重量平均分子量は226,000であった。
【0044】
[調製例3]
合成例1で重合した光学純度が低いポリ乳酸ペレットを用いて、調製例1と同様に、絶乾状態にした後、光線照射処理を行った。その後、GPC分析を行った結果、重量平均分子量は249,000であった。
【0045】
[実施例1]
調製例1で得られた光線照射処理後のポリL乳酸2kgを用いて、送液ポンプを備えた2軸押出し機(栗本製作所製)で可塑剤と溶融混練し、混練後のストランドを水冷・ペレタイズした。可塑剤は、ポリL乳酸100重量部に対して、旭電化工業製アデカサイザーRS1000を50重量部の割合で添加・配合した。押出し機は混練部分を180〜220℃に、ダイス温度を180℃に設定して、ポリL乳酸は4kg/1時間の速度で供給した。
得られた可塑化ポリL乳酸を減圧下、70℃にて10時間処理し、絶乾状態にして、射出成形に用いた。東芝機械製の射出成形機を用いて、ノズル温度200℃で厚さ1〜3mmの見本板、及び引張試験片を成形した。得られた見本板は柔軟、かつ透明で、5日間放置後も可塑剤RS1000のブリードはほとんど観察されなかった。
見本板の一部を用いてDSC測定を行った結果、ガラス転移点は−1.7℃であった。また、引張試験の結果、引張弾性率は0.012GPaで、破断伸びは412%であった。
【0046】
[実施例2]
調製例2で得られた光線照射処理後のポリ乳酸2kgを用いて、実施例1と同様にして、ポリ乳酸100重量部に対して、旭電化工業製アデカサイザーRS1000が100重量部の割合になるように溶融混練して可塑化ペレットを回収した。この時、押出し機は混練部分を180〜220℃に、ダイス温度を170℃に設定して、ポリ乳酸を3kg/1時間の速度で供給した。
得られた可塑化ポリ乳酸を減圧下、60℃にて12時間処理し、絶乾状態にして、射出成形に用いた。東芝機械製の射出成形機を用いて、ノズル温度180℃で厚さ1〜3mmの見本板を成形した。得られた見本板は実施例1のものより柔軟性に富み、透明性も良好であった。このものは、5日間放置後も可塑剤RS1000のブリードがほとんど観察されなかった。なお、見本板の一部を用いてDSC測定を行った結果、ガラス転移点は−47.8℃であった。
【0047】
[実施例3]
合成例2で得られた光線照射していないポリ乳酸ペレット2kgを用いて、実施例1と同様にして、ポリ乳酸100重量部に対して、旭電化工業製アデカサイザーRS1000が100重量部の割合になるように溶融混練して可塑化ペレットを回収した。押出し機は混練部分を180〜220℃に、ダイス温度を160℃に設定して、ポリL乳酸は4kg/1時間の速度で供給した。
得られた可塑化ポリL乳酸を減圧下、70℃にて10時間処理し、絶乾状態にして、調製例1と同様にして、光線照射処理を行った。光線照射処理後にGPC分析を行った結果、ポリ乳酸成分の重量平均分子量は、271,000であった。得られた光線照射処理後の可塑化ポリ乳酸を用いて、減圧下、60℃にて12時間処理し、絶乾状態にした後、T−ダイを設置したサーモ・プラスティックス工業株式会社製フィルム製造装置で、フィルムを試作した。ダイス温度を185℃に設置して、巻き取り速度3m/minで厚さ0.1mmフィルムを試作した。その結果、柔軟性に富み、全く透明なフィルムが得られた。このフィルムは、5日間放置後も、ブリードはまったく観察されなかった。
【0048】
[実施例4]
調製例2で得られた光線照射処理後のポリ乳酸2kgを用いて、実施例1と同様にして、ポリ乳酸100重量部に対して、トリアセチンが50重量部の割合になるように溶融混練して可塑化ペレットを回収した。この時、ダイス温度を190℃に設定して、ポリ乳酸を4kg/1時間の速度で供給した。得られた可塑化ポリ乳酸ペレットのDSC測定の結果、ガラス転移点は−18.2℃であった。可塑化ポリ乳酸を用いて、減圧下、60℃にて12時間処理し、絶乾状態にした後、T−ダイを設置したサーモ・プラスティックス工業株式会社製フィルム製造装置で、フィルムを試作した。ダイス温度を190℃に設置して、巻き取り速度3m/minで厚さ0.1mmフィルムを試作した。その結果、柔軟性に富み、透明なフィルムが得られた。このフィルムは、5日間放置後も、ブリードはまったく観察されなかった。
フィルムから引張試験用のダンベル型を打ち抜き、JIS K−7127に準拠して引張試験を行った。その結果、破断伸びは380%、引張弾性率が0.035GPaであった。
【0049】
[実施例5]
調製例2で得られた光線照射処理後のポリ乳酸2kgを用いて、実施例1と同様にして、ポリ乳酸100重量部に対して、トリアセチンが70重量部の割合になるように溶融混練して可塑化ペレットを回収した。この時、ダイス温度を185℃に設定して、ポリ乳酸を4kg/1時間の速度で供給した。得られた可塑化ポリ乳酸ペレットのDSC測定の結果、ガラス転移点は−27.3℃であった。可塑化ポリ乳酸を用いて、実施例4と同様にして、絶乾状態にした後、 フィルムを試作した。ダイス温度を187℃に設置して、巻き取り速度3m/minで厚さ0.1mmフィルムを試作した。その結果、柔軟性に富み、透明なフィルムが得られた。このフィルムは、5日間放置後も、ブリードはまったく観察されなかった。
【0050】
[比較例1]
島津製作所製ポリL乳酸ラクティ#5000を2kg用いて、実施例1と同様にして、可塑剤は、ポリL乳酸100重量部に対して、旭電化工業製アデカサイザーRS1000を50重量部の割合で添加・配合した。押出し機は混練部分を180〜220℃に、ダイス温度を170℃に設定して、ポリL乳酸は4kg/1時間の速度で供給した。
得られた可塑化ポリL乳酸を絶乾状態にして、射出成形に用いた。ノズル温度180℃で厚さ1〜3mmの見本板を成形した。得られた見本板は柔軟、かつ透明であったが、5日間放置後には可塑剤RS1000がブリードし、実用に用いることはできない状態であった。
【0051】
[比較例2]
合成例2で得られた光線照射処理していないポリ乳酸2kgを用いて、実施例1と同様にして、ポリ乳酸100重量部に対して、旭電化工業製アデカサイザーRS1000が50重量部の割合になるように溶融混練して可塑化ペレットを回収した。この時、押出し機は混練部分を180〜220℃に、ダイス温度を170℃に設定して、ポリ乳酸を4kg/1時間の速度で供給した。
その後、実施例3と同様にして、絶乾状態にした後、T−ダイを設置したサーモ・プラスティックス工業株式会社製フィルム製造装置で、フィルム試作を試みた。しかし、ダイス温度を160℃にまで下げて検討したが、フィルム原料の溶融粘度が低く、ダイスからたれ落ちてしまい、フィルムとして巻き取ることは困難であった。なお、ダイス温度を150℃まで下げると、未溶融物がフィルム中に残存してしまった。
【0052】
[比較例3]
ポリ乳酸100重量部に対して、トリアセチンが50重量部の割合になるように用いた他は、比較例2と同様にして、溶融混練して可塑化ペレットを回収し、そのペレットを用いてフィルム試作を試みた。
しかし、比較例2と同様に、フィルムとして巻き取ることは困難で、ダイス温度を下げすぎると未溶融物がフィルム中に残存してしまった。
【0053】
[実施例6]
調製例3で得られた光線照射処理後の光学純度が低いポリ乳酸70gを、減圧下、室温で72時間処理して絶乾状態にした後、2軸ニーダー(栗本製作所製)を用いて、可塑剤と溶融混練し、接着剤原料としてガラス瓶に回収した。可塑剤は、ポリL乳酸100重量部に対して、旭電化工業製アデカサイザーRS1000を100重量部の割合(70g)で添加・配合した。ニーダーは160℃に温度設定し、10分間溶融混練した。
得られた可塑化ポリ乳酸を120〜130℃で溶融し、ステンレス製のヘラを用いて、長さ150mm、幅15mmに切断したコピー用紙、及びラクティ#5000製2軸延伸フィルム(厚さ40μm)に、3cmに渡って塗布した。十分に冷却した後、同じサイズに切断したコピー用紙をJIS K−6854に準拠して圧着した。
張合わされたコピー用紙、又はコピー用紙/ラクティフィルムを引剥がすと、コピー用紙表面の一部が接着剤層に残り、接着力が高いことが示された。
【0054】
[実施例7]
調製例3で得られた光線照射処理後の光学純度が低いポリ乳酸40gを、実施例6と同様に、絶乾状態にした後、2軸ニーダー(栗本製作所製)を用いて、溶融混練し、接着剤原料としてガラス瓶に回収した。可塑剤は、ポリL乳酸100重量部に対して、トリアセチンを300重量部の割合(120g)で添加・配合した。
得られた可塑化ポリ乳酸を90〜100℃で溶融し、実施例6と同様にして、コピー用紙、及びラクティ#5000製2軸延伸フィルムに、3cmに渡って塗布し、同じサイズに切断したコピー用紙を圧着した。
張合わされたコピー用紙、又はコピー用紙/ラクティフィルムを引剥がすと、コピー用紙表面の一部が接着剤層に残り、接着力が高いことが示された。
【0055】
[実施例8]
調製例3で得られた光線照射処理後の光学純度が低いポリ乳酸100gを、実施例6と同様に、絶乾状態にした後、2軸ニーダー(栗本製作所製)を用いて、溶融混練し、接着剤原料としてガラス瓶に回収した。可塑剤は、ポリL乳酸100重量部に対して、トリアセチンを50重量部の割合(50g)で添加・配合した。
得られた可塑化ポリ乳酸を120〜130℃で溶融し、実施例6と同様にして、ラクティ#5000製2軸延伸フィルムに3cmに渡って塗布し、同じサイズに切断したラクティ製2軸延伸フィルムに圧着し、180°剥離試験を行った。剥離速度300mm/minで剥離試験を行った結果、剥離時のピーク点荷重は2.47kgfで、平均荷重は1.69kgfであった(n=5)。なお、準備した7本の試験片のうち、2本はラクティフィルムが破断した。
【0056】
[実施例9]
合成例1で得られた光線照射処理していない光学純度が低いポリ乳酸100gを、実施例6と同様に、絶乾状態にした後、2軸ニーダー(栗本製作所製)を用いて、溶融混練し、接着剤原料としてガラス瓶に回収した。可塑剤は、ポリL乳酸100重量部に対して、トリアセチンを50重量部の割合(50g)で添加・配合した。
得られた可塑化ポリ乳酸を110〜120℃で溶融し、実施例6と同様にして、ラクティ#5000製2軸延伸フィルムに、3cmに渡って塗布した。
塗布後、調製例1で行ったのと同様にして光線照射処理を行った。なお、照射時間は110秒に変更した。その後、同じサイズに切断したラクティ製2軸延伸フィルムに圧着し、180°剥離試験を行った。
剥離速度300mm/minで剥離試験を行った結果、剥離時のピーク点荷重は2.68で、平均荷重は1.83kgfであった(n=5)。なお、準備した7本の試験片のうち、2本はラクティフィルムが破断した。
【0057】
[実施例10]
調製例2で得られた光線照射処理後のポリ乳酸100gを、実施例6と同様に、絶乾状態にした後、2軸ニーダー(栗本製作所製)を用いて、溶融混練し、接着剤原料としてガラス瓶に回収した。可塑剤は、ポリL乳酸100重量部に対して、トリアセチンを50重量部の割合(50g)で添加・配合した。
得られた可塑化ポリ乳酸を120〜130℃で溶融し、実施例6と同様にしてラクティ#5000製2軸延伸フィルムに、3cmに渡って塗布した。塗布後、溶融状態のまま、同じサイズに切断したラクティ製2軸延伸フィルムを圧着し、180°剥離試験を行った。
剥離速度300mm/minで剥離試験を行った。その結果、準備した5本の試験片はすべて剥離強度に耐えず、ラクティフィルムが破断した。
【0058】
[比較例4]
調製例3で得られた光線照射処理後の光学純度が低いポリ乳酸100gを、実施例6と同様に、溶融混練し、接着剤原料としてガラス瓶に回収した。可塑剤は、ポリ乳酸100重量部に対して、旭電化工業製アデカサイザーRS1000を100重量部の割合(100g)で用いた。
得られた可塑化ポリ乳酸を90〜100℃で溶融し、実施例6と同様にして、ラクティ#5000製2軸延伸フィルムに、3cmに渡って塗布し、同じサイズに切断したラクティ製2軸延伸フィルムに圧着し、180°剥離試験を行った。剥離試験を行った結果、剥離時のピーク点荷重は231gfしかなく、平均荷重は128gfと低い値であった(n=5)。
【0059】
[比較例5]
旭電化工業製アデカサイザーRS1000の配合量を光線照射処理していないポリ乳酸100重量部(100g)に対して、50重量部(50g)にしたほかは、比較例4と同様にして、ラクティ#5000 2軸延伸フィルムを用いて、180°剥離試験を行った。
剥離試験を行った結果、剥離時のピーク点荷重は830gfしかなく、平均荷重は775gfと光線照射処理したポリ乳酸サンプルに比べて低い値であった(n=5)。
【0060】
[比較例6]
可塑剤にトリアセチンを用いたほかは、比較例5と同様にして、光線照射処理していないポリ乳酸100重量部(100g)に対して、50重量部(50g)を配合し、ラクティ#5000製2軸延伸フィルムを用いて、180°剥離試験を行った。
剥離試験を行った結果、剥離時のピーク点荷重は840gfしかなく、平均荷重は810gfと光線照射処理したポリ乳酸サンプルに比べて低い値であった(n=5)。
【0061】
【発明の効果】
本発明によって、乳酸ポリマーに対し、これまでには成し得なかった十分量の可塑剤を安定して配合した可塑化ポリ乳酸組成物が得られ、また、可塑化ポリ乳酸の溶融粘度の改善も図られる。そのポリ乳酸組成物は、光学純度の高いポリ乳酸をベースにした場合には、柔軟性、透明性を有しており、通常の軟質塩ビ等の各種成形方法を利用でき、包装材料、医療用材料、産業資材、工業用品、日用品、容器等の各種用途に幅広く使用できる。一方、光学純度の低いポリ乳酸をベースにした場合には、透明で高い接着力を有する生分解性接着剤・塗料等に使用できる。これによって、接着剤層も生分解性になり、完全に生分解される張り合せフィルム・シート等が作製できるようになる。
Claims (2)
- ポリ乳酸に波長が400nm以下で強度値が120mW/cm2以上の紫外線を放射する光源で光を照射した後、可塑剤を配合することを特徴とする可塑化ポリ乳酸組成物の製造方法。
- 可塑剤が配合されたポリ乳酸組成物に波長が400nm以下で強度値が120mW/cm2以上の紫外線を放射する光源で光を照射することを特徴とする可塑化ポリ乳酸組成物の製造方法。
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