JP3767053B2 - 沸騰冷却装置及びそれを用いた筐体冷却装置 - Google Patents

沸騰冷却装置及びそれを用いた筐体冷却装置 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内部が外部から密閉化された筐体内の高温流体を筐体外の低温流体と熱交換させて冷却させる沸騰冷却装置、この沸騰冷却装置を備えた筐体冷却装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、電子部品等の発熱体を密閉化されたハウジングに収容して使用する場合がある。この場合、発熱体を冷却する方法として、ハウジング内部に直接外気を取り入れて換気することができないため、ハウジング内部の空気とハウジング外部の空気との間で熱交換を行なう方法が行われている。そして、構成部品が少なく、熱移動量が大きいものとして、プレートフィンを積層した直交流式の熱交換器を使用する方法が知られている。特に、このようなハウジング型熱交換器としては携帯電話用の中継基地局等が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、プレートフィンを用いたエアーツーエアー方式(高温空気から低温空気へ伝熱する方式)の熱交換器は、ハウジング内の発生熱量が増加した場合、熱交換器の大型化とともに熱交換器への外気送風量が増加し、騒音が大きくなるという問題がある。この騒音は、例えば携帯電話用の中継基地局を住宅地周辺に設置する場合は非常に大きな問題となる。
【0004】
そこで、室外の送風量を減らすことも考えれるが、単に室外の送風量を減らすと、熱交換器の温度効率が低下し、熱交換装置を大型化しなければならない(参考資料「熱交換器設計ハンドブック」尾花英朗 著 工学図書株式会社p.121 図3.88「両流体ともに混合しない直交流熱交換器の温度効率線図」)。この上記資料より、例として熱移動単位数NTU(室外)が1〜5の範囲で、室外の低温流体の流量を減少させ、その分を室内の高温流体の流量にまわす場合、流量比R(室外)が1の時に比べ、R(室外)が0.5の時は温度効率E(室外)約16〜21%上昇するが、低温流体の流量が減るため、全体の熱移動量は−19〜−23%になってしまい、結果、冷却能力が大きく低下してしまうことが解る。
【0005】
本発明は、上記事情に基づいて成されたもので、その第1の目的は、新規な構成にて、外気の送風量を減少させても性能の低下が少ない沸騰冷却器をを得ることである。
また、第2の目的は、熱交換装置の小型化を図ることである。
また、第3の目的は、放熱特性の低下を防止しつつ、外部送風の騒音低下を図ることである。
【0006】
【発明を解決するための手段】
請求項1記載の発明によれば、高温部分に高温流体を所定送風量で流通させる高温側送風機を配置し、低温部分に低温流体を所定送風量で流通させる低温側送風機を配置し、高温部分に配される電気機器の動作する時間帯を判定し、時間帯に応じて騒音低下要求信号が入力され、騒音低下要求信号が入力された時、高温側送風機の送風量が低温側送風機の送風量よりも多くなるように制御する。
【0007】
高温側送風機の送風量を多くすることで、高温流体から高温側熱交換器への熱移動量を増加させることができ、高温側熱交換器自体の温度を上昇させる。高温側熱交換器から冷媒を介して低温側熱交換器への熱抵抗は、伝熱表面積に依存するため、高温側熱交換器から低温側熱交換器への熱抵抗は、高温側熱交換器の温度に依らず略一定となる。従って、高温側熱交換器自体の温度上昇はそのまま低温側熱交換器の温度上昇になる。低温流体の温度が同じ場合、低温流体と低温側熱交換器との温度差が大きい程、低温側熱交換器から低温流体への熱移動量は大きくなる。このため、低温側送風機の送風量を低温側に比べて小さくしても、低温側熱交換器から低温流体へ効率良く放熱できる。従って、放熱特性の悪化を防止しつつ低温側送風機の送風による騒音も防止できる。特に、送風機が作動する際の騒音が気になる時間帯であっても、電気機器を効率良く冷却できるとともに、低温側送風機の送風による騒音を防止できる。
【0008】
請求項2記載の発明によれば、高温側送風機の個数を低温側送風機の個数よりも多く配置することで、略同一送風量を有する送風機を用いて低温側送風機及び高温側送風機を構成することができる。この場合、容易に送風量の差を形成することができる。
請求項3記載の発明によれば、制御回路は温度検知手段で検知した温度が高くなる程高温側送風機の送風量を多くなるように制御するため、高温流体が高温になり過ぎることを防止でき、また消費電力の低下も達成できる。
【0010】
請求項記載の発明によれば、制御回路は、騒音低下要求信号が入力された時、騒音低下要求信号が入力されない時の高温側送風機の送風量に比べて高温側送風機の送風量を増加させ、騒音低下要求信号が入力されない時の低温側送風機の送風量に比べて低温側送風機の送風量を減少させるように制御したため、低温側送風機の送風量を低温側に比べて小さくしても、低温側熱交換器から低温流体へ効率良く放熱できる。従って、放熱特性の悪化を防止しつつ低温側送風機の送風による騒音も防止できる。
【0011】
請求項記載の発明によれば、制御回路は、高温側送風機の送風量及び低温側送風機の送風量を、夫々前記高温側送風機の回転数及び前記低温側送風機の回転数を独立制御することで制御するため、容易に各送風量を制御できる。請求項記載の発明によれば、制御回路は、作動させる低温側送風機の個数を制御することで送風量を制御するため、容易に低温側送風機側の送風量を制御できる。
【0014】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の熱交換装置を備えた沸騰冷却装置を電子機器装置に組み込んだ実施の形態を図面に基づいて説明する。
〔第1実施の形態の構成〕
図1ないし図6は本発明の第1実施の形態を示したもので、図1は電子機器装置の全体構造を示した図である。
【0015】
電子機器装置1は、例えば携帯電話や自動車電話等の移動無線電話の無線基地局装置であって、内部に電子部品11、12を気密的に収容するハウジング13、およびこのハウジング13内に組み込まれ、電子部品11、12を冷却する沸騰冷却装置(冷却器)14等から構成されている。
電子部品11は、電気が流れると所定の作動を行うと共に、発熱する発熱体(例えば送受信器に組み込まれる高周波スイッチング回路を構成する半導体スイッチング素子等)である。電子部品12は、電気が流れると所定の作動を行うと共に、発熱する発熱体(例えばパワーアンプに組み込まれるパワートランジスタ等の半導体増幅素子等)である。
【0016】
ハウジング13は、内部を外部から気密化する筐体であって、内部には密閉空間15が形成されている。この密閉空間15は、電子部品11、12に塵、埃や水分等の異物が付着することにより電子部品11、12の性能が低下することを防止するために、後記する沸騰冷却装置14の流体隔離板等により外部と気密的に区画されている。
【0017】
そして、密閉空間15は、沸騰冷却装置14の流体隔離板および沸騰冷却装置14のケーシングによって、電子部品11、12を収容する電子部品収容空間16と筐体内通路としての高温側伝熱空間17とに区画されている。この高温側伝熱空間17は、風上側が沸騰冷却装置14の奥行き寸法をできるだけ小さくするために流路面積が狭く、風下側が風上側よりも流路面積が広くなっている。さらに、ハウジング13は、流体隔離板によって高温側伝熱空間17と気密的に区画された筐体外通路としての低温側伝熱空間18を形成している。
【0018】
沸騰冷却装置14は、ハウジング13に一体的に設けられたケーシング20、低温空気(外部流体、低温流体)の空気流を発生させる2個の遠心式の上部側送風機21、高温空気(内部流体、高温流体)の空気流を発生させる2個の遠心式の下部側送風機22、密閉空間15内の空気温度を下限温度(例えば0℃)以上にするための電気ヒータ23、これらの沸騰冷却装置14の電気機器を通電制御するコントローラ24、および密閉空間15内の空気温度を上限温度(例えば70℃)以下にするための熱交換装置25等から構成されている。
【0019】
ケーシング20は、電子機器装置1の最も外側に配される外壁板26、および高温側伝熱空間17を囲む背面側区画板27等からなり、これらの外壁板26と背面側区画板27はスポット溶接等の手段による接合、あるいはねじやボルト等の締結具による締結によりハウジング13に固定されている。
2個の上部側送風機21は、本発明の低温側送風機であって、低温側伝熱空間18内に空気流を発生させる遠心式ファン31、この遠心式ファン31を回転させる電動モータ32、および遠心式ファン31を回転自在に収容するスクロールケーシング33をそれぞれ有している。
【0020】
2個の下部側送風機22は、本発明の高温側送風機であって、高温側伝熱空間17内に空気流を発生させる遠心式ファン34、この遠心式ファン34を回転させる電動モータ35、および遠心式ファン34を回転自在に収容するスクロールケーシング36をそれぞれ有している。
電気ヒータ23は、密閉空間15内の温度が下限温度(例えば0℃)よりも低温のときに電子部品(例えば半導体素子)11、12の性能が低下するため、密閉空間15内の温度を下限温度以上となるように、高温側伝熱空間17を流れる空気を加熱する内部流体加熱手段である。この実施の形態の電気ヒータ23は、例えば1.2kWの発熱量を持つものである。
【0021】
コントローラ24は、本願の制御回路であって、例えばサーミスタ等の感温素子よりなる温度センサ9(温度検知手段)により検出した密閉空間15内の検出温度に基づいて、2個の上部側送風機21の電動モータ32、2個の下部側送風機22の電動モータ35および電気ヒータ23等の電気機器を制御する制御手段である。
【0022】
コントローラ24は、密閉空間15内の温度が下限温度(例えば0℃)以上の時に、2個の上部側送風機21および2個の下部側送風機22をHi運転(強風量)またはLo運転(弱風量)し、電気ヒータ23をOFF(オフ)する。なお、本実施の形態では、コントローラ24は密閉空間15内の温度が下限温度以上の通常時(日中)、2個の上部側送風機21および2個の下部側送風機22を各々の送風機が略同じ回転数で同じ送風量となるように作動させる。そして、夜間・深夜においては、2個の上部側送風機21の少なくとも一方の回転数を(通常時に対して)下げて送風量を減らし、2個の下部側送風機22の少なくとも一方の回転数を(通常時に対して)上げて送風量を増やす。
【0023】
なお、この日中時・夜間時・深夜時の判定は、図示しない計時手段としての時計で例えば7時〜18時を日中、18時〜21時を夜間、21時〜7時を深夜として判定することでできる。そして、18時〜21時の間は夜間信号(騒音低下要求信号または第1の騒音低下要求信号)を出力して上記制御を行い、更に21時〜7時の間は深夜信号(騒音低下要求信号または第2の騒音低下要求信号)を出力して上記制御を行うようにしても良い。また、図示しない光量測定手段としての光起電素子(例えば太陽電池、フォトダイオード、フォトトランジスタ)により、明るさを検知することで日中時・夜間時の何れかを判定する時間帯判定回路を用いることもできる。そして、この計時手段および光量測定手段を組み合わせることも可能である。これにより、上部側送風機21の作動する際の騒音が問題となる夜間及び深夜には、その上部側送風機21の騒音を低減させることができる。表1に制御例を示す。
【0024】
【表1】
Figure 0003767053
この表1において、各送風機の数値は定格電圧が印加された場合の回転数を100とした場合の割合を示したものであり、この数値の変化をさせるためには、例えば印加電圧の波高値を制御する、もしくはパルス幅を制御するPWM制御により達成できる。
【0025】
なお、コントローラ24は、密閉空間15内の温度が下限温度(例えば0℃)以下の時に、2個の上部側送風機21の電動モータ32をOFF(オフ)し、2個の下部側送風機22の電動モータ35をHi運転(強風量)またはLo運転(弱風量)し、電気ヒータ23をON(オン)する。
次に、沸騰冷却器を備えた熱交換装置25を図1ないし図5に基づいて詳細に説明する。ここで、図2(a)は沸騰冷却装置の概略構造を示した図で、図2(b)は沸騰冷却器を多段に配設した熱交換装置を示した図で、図3は沸騰冷却器の具体的構造を示した図で、図4および図5は沸騰冷却器を2分割する流体隔離板を示した図である。
【0026】
熱交換装置25は、ハウジング13内を循環する内部空気(筐体内部流体、所謂内気)である高温空気とハウジング13外を循環する外部空気(筐体外部流体、所謂外気)である低温空気とを気密的に隔離する流体隔離板2、およびこの流体隔離板2を貫通した状態で流体隔離板2に組み付けられた多段式(2段式)の沸騰冷却器3等から構成されている。
【0027】
流体隔離板2は、内部が高温となる密閉空間15の一壁面および内部が低温となる低温側伝熱空間18の一壁面を構成する、ハウジング13の一壁面(筐体の一部)を成すものである。例えばアルミニウム等の熱伝導性に優れる金属材料よりなる薄板からなり、高温側伝熱空間17を含む密閉空間15と低温側伝熱空間18を含む外部とを気密的に区画するように、沸騰冷却器3およびケーシング20と一体的に接合(ろう付け)されている。
【0028】
この流体隔離板2には、図4に示したように、後記する沸騰冷却器3の各沸騰冷却管を貫通させるための細長い長方形状または長円形状の貫通孔38(例えば幅が1.7mmで、長さが16.0mm)が一定の間隔をおいて複数開けられている。但し、流体隔離板2は、図5に示したように、分割体(本例では二分割)としても良い。
【0029】
沸騰冷却器3は、ケーシング20内に所定の角度だけ傾斜した状態で多段(2段)に組み付けられ、内部にフロロカーボン系またはフロン系の冷媒が封入された複数本の沸騰冷却管4、各沸騰冷却管4を連通する一対の連結管5、沸騰冷却管4の外部に取り付けられた複数の伝熱フィン6等から構成されたマルチフローパス型の熱交換器である。なお、沸騰冷却器3の両側には、流体隔離板2およびケーシング20に締結具により締結する役目と複数本の沸騰冷却管や複数の伝熱フィン6を補強する役目のサイドプレート37が接合されている。また、沸騰冷却器3は、高温空気および低温空気の流れ方向に多段(例えば2段)となるように配設されている。
【0030】
複数本の沸騰冷却管4は、例えばアルミニウムや銅等の熱伝導性に優れた金属材料を断面形状が細長い長方形状または長円形状を成す偏平管(例えば幅が1.7mmで、長さが16.0mm)に形成したものであり、それぞれ流体隔離板2の貫通孔38を通り抜けるように配されている。これらの沸騰冷却管4よりなる沸騰冷却器3は、流体隔離板2より高温空気側に配される一方側(図3の図示下側)が冷媒槽(沸騰部)7、流体隔離板2より低温空気側に配される他方側(図3の図示上側)が放熱器(凝縮部)8として構成される。なお、この実施の形態では、沸騰部7は幅(幅方向寸法)が360mm、高さが330mm、厚さが16mmであり凝縮部8は幅が360mm、高さが430mm、厚さが16mmとされている。
【0031】
連結管5は、複数本の沸騰冷却管4(沸騰部7)の下端部に接続された高温側タンク41、および複数本の沸騰冷却管4(凝縮部8)の上端部に接続された低温側タンク42からなり、各沸騰冷却管4を連通している。これらの高温側、低温側タンク41、42は、沸騰冷却管4側に設けられたコアプレートとこのコアプレートに接合する略逆U字状のタンクプレートとから構成されている。なお、何れか一方の高温側タンク41または低温側タンク42には、沸騰冷却器3内に冷媒を封入するための冷媒封入口(図示せず)が1箇所だけ設けられている。冷媒は、その液面がほぼ流体隔離板2の位置と一致する高さまで、すなわち、沸騰部7の高さまで沸騰冷却器3の各沸騰冷却管4内に封入されている。但し、冷媒の封入は、沸騰冷却管4に伝熱フィン6をろう付け接合した後に行われる。また、高温側タンク41はなくても良い。
【0032】
伝熱フィン6は、沸騰冷却器3の高温側(沸騰部7)で隣合う沸騰冷却管4間に介在された受熱フィン6aと、沸騰冷却器3の低温側(凝縮部8)で隣合う沸騰冷却管4間に介在された放熱フィン6bとからなる。この伝熱フィン6は、例えばアルミニウム等の熱伝導性に優れる金属材料よりなる薄い板(例えば板厚0.02〜0.50mm程度)を交互に押し返して波形状に形成したコルゲートフィンであり、沸騰冷却管4の平坦な外壁面にろう付けされている。すなわち、沸騰冷却管4の外壁面と伝熱フィン6とが融合した状態で接合されている。
【0033】
受熱フィン6aは、流体隔離板2よりも下方に配され、フィンピッチP1 が例えば2.40mm、フィン幅B1 が例えば16mmである。なお、フィンピッチP1 は例えば1.50mm〜2.90mmの範囲が良く、望ましくは2.00mm〜2.50mmの範囲が良い。放熱フィン6bは、流体隔離板2よりも上方に配され、フィンピッチP2 が例えば3.75mm、フィン幅B2 が例えば16mmである。なお、フィンピッチP2 は、例えば3.00mm〜4.50mmの範囲が良く、望ましくは3.50mm〜4.00mmが良い。すなわち、沸騰冷却器3は、受熱フィン6aのフィンピッチP1 を放熱フィン6bのフィンピッチP2 よりも、例えば50%〜65%程度だけ小さくしている。
【0034】
そして、熱交換装置25は、図1および図2(b)に示したように、密閉空間15の高温側伝熱空間17内を循環する高温空気(ハウジング13内の清浄な空気)と低温側伝熱空間18内を循環する低温空気(ハウジング13外の汚れた空気)とが対向流となるように、高温空気および低温空気の流れ方向に沸騰冷却器3が多段に配設されている。
【0035】
すなわち、多段の沸騰冷却器3等よりなる熱交換装置25は、2段目の沸騰冷却器3の各沸騰冷却管4の下端部(沸騰部7)の図示右側部が高温空気の入口とされ、1段目の沸騰冷却器3の各沸騰冷却管4の下端部(沸騰部7)の図示左側部が高温空気の出口とされている。また、熱交換装置25は、1段目の沸騰冷却器3の各沸騰冷却管4の上端部(凝縮部8)の図示左側部が高温空気の入口とされ、2段目の沸騰冷却器3の各沸騰冷却管4の上端部(凝縮部8)の図示右側部が高温空気の出口とされている。
【0036】
〔第1実施の形態の作用・効果〕
次に、本実施の形態の沸騰冷却器3を高温空気と低温空気とが対向流となるように多段に配設した熱交換装置25を備えた沸騰冷却装置14の作用を図2および図3に基づいて簡単に説明する。
ハウジング13中の密閉空間15内の温度が下限温度(例えば0℃)以上の時に、2個の上部側送風機21の電動モータ32および2個の下部側送風機22の電動モータ35の通電を開始することにより、遠心式ファン31、34が作動を始める。これにより、ハウジング13内の密閉空間15中に高温空気(埃、塵または水分等の異物を含まない清浄な内気、内部流体)の循環流が発生する。また、ハウジング13外の低温側伝熱空間18中に低温空気(埃、塵または水分等の異物を含む外気、外部流体)の循環流が発生する。
【0037】
そして、ハウジング13の流体隔離板2を貫通した状態で取り付けられた沸騰冷却器3は、多段式の沸騰冷却器3の各沸騰冷却管4に封入された冷媒が、図2(a)に示したように、受熱フィン6aを介して高温空気より伝達された熱を受けて沸騰気化する。気化した冷媒蒸気は、低温空気に晒されて低温となっている沸騰冷却器3の上端側に設けられる凝縮部8で内壁面に凝縮液化し、その凝縮潜熱が放熱フィン6bを介して低温空気に伝達される。
【0038】
凝縮部8で凝縮液化した冷媒は、図2(a)に示したように、自重により各沸騰冷却管4の内壁面を伝って沸騰冷却器3の下端側に設けられる沸騰部7へ滴下する。以上のように、沸騰冷却器3の各沸騰冷却管4内に封入された冷媒が沸騰気化・凝縮液化を交互に繰り返すことにより、高温空気の熱を低温空気へ移動することにより、電子部品11、12で発生した熱を多段の沸騰冷却器3で放熱できる。
【0039】
それによって、密閉空間15の高温側伝熱空間17内を循環する高温空気(ハウジング13内のきれいな空気)と低温側伝熱空間18内を循環する低温空気(ハウジング13外の汚れた空気)とが混合することなく、電子部品11、12を冷却することができる。
ここで、本実施の形態の沸騰冷却器3は、受熱フィン6aのフィンピッチP1 が、放熱フィン6bのフィンピッチP2 よりも小さいので、複数本の沸騰冷却管4のうち流体隔離板2より上方に突出する(ハウジング13外に突出する)凝縮部8の熱交換有効面積よりも流体隔離板2より下方に突出する(ハウジング13内に突出する)沸騰部7の熱交換有効面積の方が小さくなっているが、沸騰部7はフィンピッチの小さい分だけ熱交換性能が向上するので、沸騰部7の熱交換有効面積が小さくなっても熱交換性能の低下はない。
【0040】
受熱フィン6aを通過する高温流体の温度は図7のように変化する。図7は、高温流体の流速を変化させた時の、受熱フィン6aの各位置における高温流体の温度を示したものである。説明のため、放熱フィン6a内の温度は各位置を通して均一とする。本実施の形態の沸騰冷却器の受熱フィン6aはルーバ付コルゲートフィンを用いており非常に熱伝達率が高い。ハウジング13内部の冷却では、高温流体入口温度とフィン6a温度の差が数℃〜十数℃のことが多いため、受熱フィン6aを通過する高温流体は十分余裕をもって、受熱フィン6a温度に近い温度まで変化する。
【0041】
高温流体の流量を増加した場合、高温流体の流速が増加し、受熱フィン6aの熱伝達率は流速を増すことによって増加するが、受熱フィン6aを通過する時間が短くなるため、高温流体の温度変化は緩やかになる。しかし、受熱フィン6aの熱伝達率が高く、十分余裕のあるフィンを使っているため、高温流体はフィン出口で十分フィン温度に近くまで温度変化する。また、流量を減らすと温度変化は急になり、十分余裕をもって温度変化する。このように受熱フィン6aとして熱伝達率に余裕のあるコルゲートフィン(特にルーバ付コルゲートフィン)を用いることで、流量の調整を活かすことができる。なお、上記の内容は放熱フィンについても同様である。
【0042】
次に、2個の上部側送風機21および2個の下部側送風機22の送風量を変える効果について説明する。
図1において内部流体(高温流体)の流量を外部流体(低温流体)の流量より、増加させると沸騰冷却器による熱の移動は図8のように変化する。高温流体は沸騰部7を通過する際に沸騰部7の受熱フィンに熱を伝え、高温流体は温度が低下する。このときの高温流体から沸騰部7に移動した熱量q(J/s)は、空気の熱容量と温度低下分の積である。つまり、高温流体の流量Q(m3 /s)×高温流体の密度ρ(kg/m3 )×高温流体の比熱cp (J/kg・℃)×温度低下量ΔT(℃)で表すことができる。
【0043】
ここで、高温流体の密度ρ、高温流体の比熱cp は略一定(温度により若干変化するが微小である)であるため、高温流体から同じ熱量qを移動させる場合、高温側の流量Qを増せば、高温流体の温度低下量ΔTは減り(図のΔT1’<ΔT1)、沸騰部7の受熱フィン6aはそれだけ高い温度に保たれる。
受熱フィン6aに熱量が伝わった後は、受熱フィン6a〜沸騰部7〜冷媒〜凝縮部8〜放熱フィン6bの相互間の熱流束(単位面積当たりの熱移動量)は同じであるため、受熱フィン6aから放熱フィン6bまでの温度差は高温流体と低温流体の流量が近い場合と略同じ(冷媒の飽和温度により冷媒の気化熱が変化するが、ほぼ無視できる範囲である)と考えることができる(温度により若干変化するが微小である)。そして高温流体の流量増加による受熱フィン6aの温度上昇は、そのまま放熱フィンの温度上昇につながる。
【0044】
また、放熱フィン6bから低温流体に伝わる熱量q(J/s)は、低温流体の流量Q(m3 /s)×低温流体の密度ρ(kg/m3 )×低温流体の比熱cp (J/kg・℃)×温度上昇量ΔT(℃)で表すことができる。ここで放熱フィンと低温流体の温度差が大きくなった(図8のΔT2’>ΔT2)ので、低温流体の流量を減らすことができる。このように、冷媒の飽和温度が高温流体の流量変化によって自由にシフトするため、低温流体の流量を低減することができる。
【0045】
これによって、騒音に最も影響が大きな上部側送風機21の送風量を低減可能である。高温流体の流量増は密閉匡体の中に入っているため、騒音が弱まり、結果として高温側の送風量を増やし、低温側の送風量を減少させるほうが大幅に全体の騒音値を低減できる。
さらに、低温側の流量を減少させることで、放熱器の汚れ付着量が減少し、放熱器の清掃などのメンテナンス周期をのばすことができる。
【0046】
本発明のように冷媒を流体隔離板近傍まで封入する場合、沸騰部7の沸騰冷却管4の中で起こる沸騰(蒸発)現象はプール沸騰(沸騰面から気泡が発生することで沸騰する)状態である。このプール沸騰は、理論的には、壁面からの蒸発(壁面に非常に薄い冷媒の液膜が接する場合に、その表面から気化する)場合に比べて熱抵抗が大きい。これは、熱抵抗の大きさが、沸騰部7壁面全面積に対する沸騰(蒸発)現象の起こる割合に依存するため、プール沸騰による冷媒の蒸発が気泡部に限られるのに対し、薄い液膜状冷媒の蒸発は広い面積で発生するからである。
【0047】
しかし、本実施の形態のように沸騰部7が上下方向に長い構造では、重力に逆らって液面より非常に高くまで液膜を供給しなければならないため、薄い液膜状態を壁面の上下部分の広い面積で保つのは困難である。
一方、凝縮部8の内部では、凝縮した冷媒が凝縮部8壁面をふさぐ割合がプール沸騰時の沸騰部7よりも少ないので、プール沸騰の沸騰部7壁面より熱抵抗が小さくなる(図8でΔTb>ΔTc)。そこで、沸騰部7の殆どに液冷媒が存在し、主としてプール沸騰する沸騰冷却器3においては、沸騰部7の熱抵抗ΔTbを小さくする方が性能向上の効果が大きい。よって、凝縮部8壁面の熱抵抗はほとんど低下しないため(ΔTc’≒ΔTc)、特に高温流体側の流量を増加することにより、ΔTb’<ΔTbとなり、沸騰部7壁面から凝縮部8壁面までの熱抵抗を低下でき(ΔTb’+ΔTc’<ΔTb+ΔTc)、その分ΔT2’を大きくできる効果がある。
【0048】
また、高温流体はハウジング13内での循環であり、高温流体の循環流量を増やしても、その一部はハウジング13内の圧力に変換され、高温流体の吸い込み側に静圧としてかかり、ハウジング13内に吹き出した流体のエネルギーの一部を回収できる。それに対し、低温流体の流量を増やしても、排出された低温流体の速度、圧力エネルギーは大気に放出されてしまい回収不能である。よって、高温流体の流量を増やし、低温流体の流量を低下させるほうが、送風機21,22の消費電力を低減できるという効果もある。また高温側の流速を増やすことは、ハウジング13内部の温度分布を小さくすることにも効果がある。
【0049】
低温側と高温側の流量を変化させるためには、下部側送風機21、上部側送風機22の回転数を変えて行うと、同じ送風機の個数でも対応可能である。また、送風機の設置場所があれば、送風機個数を変えることにより送風量を変えると、同じ送風機仕様(回転数、送風機のファン径、消費電力)で対応可能である。
〔第1実施の形態のその他の作用・効果〕
図1、図9に示すように、本実施の形態では、ハウジング13内部の上方に開口し、上方の高温流体を積極的に導入する高温流体用吸い込みダクト27aを設けている。高温流体の流量を増す場合、高温流体用吸い込みダクト27aにより、ハウジング13内の高温流体が上部に溜まることを防止でき、また上部に上昇する高温の高温流体を吸い込んで、熱交換器の効率を上げる効果もある。
【0050】
ここで、比較例として高温流体用吸い込みダクトが無い場合の構成を図10に示す。この場合、沸騰部7を通過する高温流体の流速には大きな差を持つ分布(大、中、小)ができる。そして図10のように、下部側送風機22に近い沸騰部7の下部に流速が集中する(上部の流速が小になる)ことにより、沸騰部7の効率的な利用ができなくなってしまう。これは、沸騰部7の下部には液冷媒が多くあるため、上述のプール沸騰が起こりやすく、上部に行くほど気泡が多く、液冷媒の存在する確率が小さくなるので、薄い液膜状冷媒の蒸発が起こりやすくなる。このため、沸騰部7の上部の流速が低下することは、高温流体から受熱フィン6aへの熱移動が効率良く行われなくなるからである。
【0051】
それに対し、図1、図9のように高温流体用吸い込みダクト27aを設けることにより、上部からの高温流体の流れをつくり、下部側送風機22からみて、沸騰部7下部も上部も流体の経路は差が無くなり、流速が平均化され、沸騰部7上部に高温流体の流量を積極的に導入することができる。これにより、特に高温流体の流量を増やしたときに、沸騰部7の効率アップを行える。
【0052】
また、高温流体用吸い込みダクト27aは、沸騰部7によって冷却された高温流体が下部側送風機22から吹き出された後に、すぐに沸騰部7に吸い込まれてしまうショートサーキットの問題も解決することができる。ショートサーキットが発生すると、ハウジング13の上部等で局所的にひじょうに高温となってしまう大きな問題が発生する。
【0053】
高温流体用吸い込みダクト27aを設けることにより、図9の効果の他に、高温流体と低温流体の隔壁のシールが何らかの理由で劣化した場合に、侵入する水滴を高温流体用吸い込みダクト27aによって、ハウジング13内の電気回路に達することを防止できる。なお、高温流体用吸い込みダクト27aによってハウジング13への侵入を止められた水滴は、図11における沸騰部7下部に設けられたドレンパイプ61によりハウジング13外に排出される。また、低温流体の流量を少なくしているので、防水が必要な低温通路にかかる上部側送風機22の動圧を低く抑えることができるため、防水性にも効果がある。
【0054】
次に、沸騰冷却器3を高温空気および低温空気の流れ方向に多段に配設した熱交換装置の特徴を図6(a)、(b)に基づいて説明する。
図6(a)、(b)は沸騰冷却器3が単段(1段)および多段(2段)の場合の空気の流路方向温度分布および冷媒の流路方向温度分布を示した模式図である。なお、模式図の縦軸は温度(下方ほど高温)であり、横軸は流体(空気)の流れ方向である。
【0055】
沸騰冷却器3が単段(1段)の熱交換装置(従来例)の場合には、図6(a)に示したように、高温空気が下段の沸騰冷却器(沸騰部7)の図示右側から流入し、上段の沸騰冷却器(凝縮部8)へ放熱するに従って高温空気の温度が降温した後に、放熱した高温空気(冷却された高温空気)が沸騰冷却器3の図示左側へ流出する。また、沸騰冷却器3が単段(1段)の熱交換装置(従来例)の場合には、図6(a)に示したように、低温空気が上段の沸騰冷却器(凝縮部8)の図示左側から流入し、沸騰冷却器3から受熱するに従って高温空気の温度が昇温し沸騰冷却器3の図示右側へ流出する。
【0056】
ここで、沸騰冷却器3の凝縮部8の入口空気と出口空気との温度差をΔT1 とすると、沸騰冷却器3内に封入された冷媒と熱交換する熱交換媒体は空気であるため、低温空気は、沸騰冷却器3の放熱フィン6bにより急速に加熱され、低温空気は入口で急激に昇温するものの、その後、飽和状態となるため、温度差ΔT1 (冷却性能)はあまり大きくならない。
これに対し、沸騰冷却器3を多段に配設した熱交換装置25の場合には、図6(b)に示したように、空気の流れ方向に少なくとも2段階で沸騰冷却器3内に封入された冷媒と空気との熱交換を行うことができる。このとき、1段目の沸騰冷却器3内に封入された冷媒と2段目の沸騰冷却器3内に封入された冷媒には図示破線のように温度差(放熱フィン温度差、受熱フィン温度差)があるため、図6(b)に示したように、低温空気は1段目の沸騰冷却器3の凝縮部8の途中で飽和温度になった後、更に2段目の沸騰冷却器3の入口付近で温度が昇温すると共に、高温空気は2段目の沸騰冷却器3の沸騰部7の途中で飽和温度になった後、更に1段目の沸騰冷却器3の入口付近で温度が降温する。
【0057】
したがって、図6(a)、(b)に示したように、本実施の形態(沸騰冷却器3を多段に配設した熱交換装置25)の場合の温度差ΔT2 は、従来例(単段の沸騰冷却器3を配設した熱交換装置)の場合の温度差ΔT1 よりも大きくできるので、高温空気の熱を低温空気へ放熱させることにより、高温空気の冷却性能を向上できる。これにより、電子部品11、12の冷却効果を向上できるので、電子部品11、12が安定した作動を行う。また、本実施の形態では、従来例と同等の放熱性能(冷却性能)で比較した場合、沸騰冷却器3の熱交換有効面積(放熱有効面積)を減少できるので、このようなコンパクトな熱交換装置25を備えた沸騰冷却装置14全体を小型化できる。
【0058】
また、沸騰冷却器3を多段に配設した熱交換装置25は、高温空気と低温空気とが対向流となるように配設されている。したがって、1段目の沸騰冷却器3内に封入された冷媒の温度(放熱フィン温度、受熱フィン温度)と2段目の沸騰冷却器3内に封入された冷媒の温度(放熱フィン温度、受熱フィン温度)との間に効果的に温度差を設けることができるので、温度差のある冷媒を用いて低温空気・高温空気を順次効率良く昇温・降温することが可能である。それによって、更に冷却性能が改善され沸騰冷却装置14全体の小型化が可能となる。
【0059】
なお、本実施の形態では、沸騰冷却器3が2段の場合について説明したが、熱交換装置25の沸騰部7および凝縮部8の空気入口と空気出口との温度差を更に大きく取りたい場合には、3段以上の多段としても良く、作用効果については同様なため説明は省略する。
また、本実施の形態の沸騰冷却器3は、ハウジング13(流体隔離板2)により高温側が気密化されているので、目詰まりを起こす心配のない沸騰部7を成す沸騰冷却管4に設けられる受熱フィン6aのフィンピッチP1 を、埃、塵または水分等の異物を含んだ外気に晒される凝縮部8を成す沸騰冷却管4に設けられる放熱フィン6bのフィンピッチP2 よりも小さくしている。
【0060】
これにより、フィンピッチを流体隔離板2の高温側(内気側)と低温側(外気側)とで同じ大きさにした場合と比較して、凝縮部8の目詰まりを防止しながら、沸騰部7のフィンピッチP1 を凝縮部8のフィンピッチP2 よりも小さくすることで高温空気の冷却性能を向上できる。また、フィンピッチP1 を小さくした分だけ、受熱フィン6aの上下方向寸法を放熱フィン6bの上下方向寸法よりも短縮でき、それによって複数本の沸騰冷却管4の沸騰部7の上下方向寸法(放熱有効面積)を小さくできるので、沸騰冷却器3、ひいては沸騰冷却装置14全体の小型化を達成できる。
【0061】
〔第2実施の形態〕
図12は第2実施の形態における沸騰冷却器3を筐体冷却装置に適用した場合の側面図であり、図13は図12を外側、すなわち紙面左側から見た平面図である。また、図14は図12に示した沸騰冷却器の説明図、図15は図14における正面図である。
【0062】
本実施の形態における沸騰冷却器3は、図12に示すように電子部品収容空間16(以下、収容空間16)を形成するハウジング13内に装着されるものである。そして収容空間16内には、例えば通信機器等の送受信器や、その送受信器を駆動するためのパワーアンプからなる発熱体11、12が収容されている。
図12に示すように沸騰冷却器3の上部、下部には夫々収容空間16と連通する高温流体用吸い込みダクト27a、高温流体用吐き出しダクト27bが設けられている。高温流体用吸い込みダクト27aは、収容空間16の気体を高温側の伝熱空間17に取り込むために、収容空間16の上部と連通した開口部に連設されている。具体的には、側壁面と背面側区画板27とで沸騰冷却器3内を上下方向に伸びる高温側伝熱空間17を形成し、この高温側伝熱空間17の上端が高温流体用吸い込みダクト27aとして収容空間16内の上部(流体隔離板2より上方)に開口している。
【0063】
これにより、発熱体11、12の熱で高温になった気体が高温流体用吸い込みダクト27aから高温側伝熱空間17内へ導入されてスムーズに高温側熱交換器3aへ導かれるため、収容空間16内の温度を均一に保つことができる。即ち、発熱体11、12から発生する熱で高温となった気体が対流によって収容空間16内を上昇するため、収容空間16内の上部に高温流体用吸い込みダクト27aを設けた方が収容空間16内の冷却効率が良いと言える。言い換えれば、高温流体用吸い込みダクト27aが流体隔離板2より低い位置にあると、収容空間16内の比較的低温の気体が高温流体用吸い込みダクト27aから高温側伝熱空間17内に導入されて高温側熱交換器3aへ導かれるため、収容空間16内の冷却効率が低下する可能性がある。
【0064】
また、高温側および低温側の各伝熱空間17、18内で、高温側熱交換器3aおよび低温側熱交換器3bを通過する気体が、それぞれ吸入側の高温流体用吸い込みダクト27a、低温側吸込口26aから排出側の高温流体用吐き出しダクト27b、低温側吐出口26bへ向かってスムーズに流れる様に、沸騰冷却器全体が前後方向(図12の左右方向)に傾斜した状態で配置されている。これにより、高温側熱交換器3aおよび低温側熱交換器3bを通過する気体の流れ方向の変化を緩やかにできるため、狭いスペース内での送風経路損失を低減できる。その結果、収容空間16内にある下部側送風機34(ファン部34とモータ部35、以下、下部側送風機34とする)を小型化できる上に、下部側送風機34の発熱量を低減できるため、その分、発熱体11、12の発熱量を増やすことができる(即ち、冷却能力を上げようとして下部側送風機34を大型化すると、下部側送風機34の発熱量が増加するため、結果的に発熱体11、12の発熱量を増やせなくなる)。
【0065】
図12、図13に示すように、高温側送風機としての下部側送風機34は軸流ファンからなり、吸引することで、高温流体用吸い込みダクト27aを介して導入された高温風(高温流体としての高温空気)を高温側熱交換器3aの各沸騰冷却管4a間(図14参照)に導入させる。そして、下部側送風機34は高温側熱交換器3aの沸騰冷却管4aと平行となるように傾斜させられている。なお、下部側送風機34は高温側熱交換器3aの沸騰冷却管4aに対して傾斜していても良い。
【0066】
低温側送風機としての上部側送風機31(ファン部31とモータ部32、以下、上部側送風機31とする)は軸流ファンからなり、吸引することで、低温側吸込口26aを介して導入された低温風(低温流体としての低温空気)を低温側熱交換器3bの各沸騰冷却管4b間(図14参照)に導入させる。なお、上部側送風機31は低温側熱交換器3bの沸騰冷却管4bに対して傾斜し、外壁板26に対して平行に配置されている。そして、上部側送風機31の排出側には上部側送風機31を出た風を上方に変向させる外壁板26が配設されている。上部側送風機31を出た風は外壁板26により沸騰冷却器3上面に開口された低温側吐出口26bを通り、外部に排出される。
【0067】
下部側送風機34、上部側送風機31は図示しないコントローラ24によってその回転速度及び作動時期が制御させる。
コントローラ24は、例えばサーミスタ等の感温素子よりなる図示しない温度センサ9により検出した密閉空間15内の検出温度に基づいて、2個の上部側送風機21の電動モータ32、2個の下部側送風機34の電動モータ35および電気ヒータ23等の電気機器を制御する制御手段である。
【0068】
コントローラ24は、密閉空間15内の温度が下限温度(例えば0℃)以上の時に、2個の上部側送風機31および2個の下部側送風機34をHi運転(強風量)またはLo運転(弱風量)し、電気ヒータ23をOFF(オフ)する。なお、本実施の形態では、コントローラ24は密閉空間15内の温度が下限温度以上の通常時(日中)、2個の上部側送風機31および2個の下部側送風機34を各々の送風機が略同じ回転数で同じ送風量となるように作動させる。そして、夜間・深夜においては、2個の上部側送風機31の少なくとも一方の回転数を(通常時に対して)下げて送風量を減らし、2個の下部側送風機34の少なくとも一方の回転数を(通常時に対して)上げて送風量を増やす。なお、この日中時・夜間時・深夜時の判定は、図示しない計時手段としての時計で例えば7時〜18時を日中、18時〜21時を夜間、21時〜7時を深夜として判定することでできる。また、図示しない光量測定手段としての光起電素子(例えば太陽電池、フォトダイオード、フォトトランジスタ)により、明るさを検知することで日中時・夜間時の何れかを判定することもできる。そして、この計時手段および光量測定手段を組み合わせることも可能である。これにより、上部側送風機31の作動する際の騒音が問題となる夜間及び深夜には、その上部側送風機31の騒音を低減させることができる。
【0069】
なお、コントローラ24は、密閉空間15内の温度が下限温度(例えば0℃)以下の時に、2個の上部側送風機31の電動モータ32をOFF(オフ)し、2個の下部側送風機34の電動モータ35をHi運転(強風量)またはLo運転(弱風量)し、電気ヒータ23をON(オン)する。
図12における沸騰冷却器3の低温側熱交換器3bの側方には、低温側熱交換器3bをメンテナンスするメンテナンス蓋(二点鎖線部分)が設けられている。低温側熱交換器3bは外部空気を導入するため、外部空気中に含まれる粉塵やゴミ等が沸騰冷却管4b相互間に詰まってしまう可能性があるが、このメンテナンス蓋を設けることにより、容易にそれらを除去することができる。なお、このメンテナンス蓋は、作動時には沸騰冷却器3に固定されており、清掃時に開放されるものである。
【0070】
本実施の形態の筐体冷却装置は、図14に示す沸騰冷却器25が高温流体及び低温流体の夫々流れる方向に複数積層させている。
沸騰冷却器25は図14、図15に示すように、高温流体(例えば高温の空気)と低温流体(例えば低温の空気)とを隔離する流体隔離板2、流体隔離板2よりも高温流体側に配設された複数本の沸騰冷却管4aからなる高温側熱交換器3a、沸騰冷却管4aの内部に封入され、高温流体から熱を受けて沸騰気化する冷媒、一方が高温側熱交換器3aに気密に連通され、他方が流体隔離板2を通り抜けて低温流体側に延設された一対の低温側連通管9b及び高温側連通管9a、低温側連通管9b及び高温側連通管9aの他方に気密に連通され、流体隔離板2よりも低温流体側に配設され複数本の沸騰冷却管4bからなる低温側熱交換器3b、高温側熱交換器3aの各沸騰冷却管4aの相互間に融合した状態(例えば、ろう付けされた状態)で接合された受熱フィン6a、低温側熱交換器3bの各沸騰冷却管4bの相互間に融合した状態(例えば、ろう付けされた状態)で接合された放熱フィン6b、及び高温側熱交換器3aと低温側連通管9bとの間、低温側熱交換器3bと低温側連通管9aとの間に埋設され、夫々高温側熱交換器3aから低温側連通管9bへの熱移動、低温側熱交換器3bから高温側連通管9aへの熱移動を抑制する熱伝導抑制手段としての図示しない断熱材(例えば、発泡性樹脂であるウレタンフォーム)から構成される。
【0071】
流体隔離板2は、例えば内部が高温となるハウジング13の一壁面を構成するもので、アルミニウム等の金属材料から成り、低温側連通管9b、高温側連通管9aと一体的に接合(例えばろう付け)されている。この流体隔離板2には、低温側連通管9b、高温側連通管9aを通すための複数の挿通穴が開けられている。なお、流体隔離板2と各連通管との間に、熱移動を抑制するゴム等の樹脂を挟持させても良い。また、流体隔離板2をウレタンフォーム等の発泡性樹脂からなる断熱材で周囲(低温流体もしくは高温流体の少なくとも一方)と断熱させても良い。
【0072】
高温側熱交換器3aは、略平行に配列された複数本の管状部材としての沸騰冷却管4aと、沸騰冷却管4aの下部に配設されて、これら沸騰冷却管4aを下方で連通する高温側下部タンク42a、及び沸騰冷却管4aの上部に配設されて、これら沸騰冷却管4aを上方で連通する高温側上部タンク41aとから成る。沸騰冷却管4aは、伝熱性に優れた金属材(例えばアルミニウムや銅)を断面形状が長円形状(または細長い長方形)を成す偏平管に形成したものである。
【0073】
沸騰冷却管4aは断面形状が長円形状からなる扁平管であり、内部には上下方向に渡って複数の内部仕切り板が形成されている(略目の字断面)。この内部仕切り板により、沸騰冷却管4aは内部が複数の小通路に区分けされた多孔管として構成されている。すなわち、沸騰冷却管4aを構成する管状部材は、対向する2つの壁面と、内部に2つの壁面に共に接する複数の板状部材が配置され、この複数の板状部材と前記2つの壁面とで囲まれた複数の通路で小通路が構成されているといえる。これにより、耐圧性能向上、冷媒との接触表面積拡大に伴う吸熱効率の向上等の効果がある。なお、この沸騰冷却管4aは、押し出し形成により容易に形成できる。各小通路の直径(小通路が方形の場合は各辺の径の最大径、小通路が円形もしくは楕円形の場合は最大径)は冷媒が沸騰して吸熱管内壁を離脱する時の気泡径の1〜102 倍程度とすることが好ましく、本実施の形態では0.5〜1mmに設定されている。この吸熱管は小通路が上下方向(高温側下部タンク42aから高温側上部タンク41a)へ向かって開口するように配置され、そして高温流体が流通する方向に小通路が積層されるように配置される。
【0074】
低温側熱交換器3bは、略平行に配列された複数本の沸騰冷却管4bと、沸騰冷却管4bの下部に配設されて、これら沸騰冷却管4bを下方で連通する低温側下部タンク42b、及び沸騰冷却管4bの上部に配設されて、これら沸騰冷却管4bを上方で連通する低温側上部タンク41bとから成る。沸騰冷却管4bも、伝熱性に優れた金属材(例えばアルミニウムや銅)を断面形状が長円形状(または細長い長方形)を成す偏平管に形成したものである。沸騰冷却管4bにおいても断面形状が長円形状からなる扁平管で構成され、内部には上下方向に渡って複数の内部仕切り板が形成されている。これにより、耐圧性能向上、冷媒との接触表面積拡大に伴う放熱効率の向上等の効果がある。この沸騰冷却管4bも、押し出し形成により容易に形成できる。この沸騰冷却管4bも沸騰冷却管4aと同様に小通路が上下方向(低温側下部タンク42bから低温側上部タンク41b)へ向かって開口するように配置され、そして低温流体が流通する方向に小通路が積層されるように配置される。
【0075】
高温側連通管9aは、高温側熱交換器3aの高温側上部タンク41aと低温側熱交換器3bの低温側上部タンク41bとに連通され、高温側熱交換器3aで沸騰気化された冷媒を低温側熱交換器3bに送出する。そして高温側連通管9aは、吸熱管31bと略平行で所定間隔(好ましくは各吸熱管31b相互間の距離よりも大きい間隔、より好ましくはその相互間間隔の2倍以上の間隔)を有して配設されている。
【0076】
低温側連通管9bは、低温側熱交換器3bの低温側下部タンク42bと高温側熱交換器3aの高温側下部タンク42aとに連通され、低温側熱交換器3bで冷却液化された冷媒を高温側熱交換器3aに戻す。そして低温側連通管9bは、放熱管31aと略平行で所定間隔(好ましくは各放熱管31a相互間の距離よりも大きい間隔、より好ましくはその相互間間隔の2倍以上の間隔)を有して配設されている。
【0077】
冷媒は、HFC−134a(化学式:CH2 FCF3 )や水などから成り、その容器内部圧力があまり高くない範囲(HFC−134aの場合、例えば数10気圧以下の圧力)内で、高温流体により沸騰し低温流体により凝縮されるように設定されている。具体的には、冷媒は最高でも100℃以下で沸騰されるように選択されている。ここで、冷媒は複数の組成の冷媒を混合させてもよく、また、主として単一組成の冷媒を用いても良い。また、冷媒は液面が、非動作時に流体隔離板2の位置に一致する程度、または冷媒が吸熱上部連通部42内に液面がある程度に高温側熱交換器3a内に封入されている。冷媒量は作動時に液面が沸騰冷却管4bに達しない方が好ましい。但し、冷媒の封入は、沸騰冷却管4a及び沸騰冷却管4bに夫々吸熱フィン6a及び放熱フィン6bをろう付け接合した後に行なわれる。
【0078】
受熱フィン6aは、各沸騰冷却管4a相互間に配設され、放熱フィン6bは、各沸騰冷却管4b相互間に配設されている。受熱フィン6a及び放熱フィン6bは、伝熱性に優れる金属(例えばアルミニウム)の薄い板(板厚0.02〜0.5mm程度)を交互に押し返して波状に形成したコルゲートフィンであり、沸騰冷却管4a、沸騰冷却管4bの平坦な外壁面にろう付けされている(即ち、融合した状態で接合されている)。この受熱フィン6aは、高温流体側の熱を冷媒に伝えやすくするものであり、同時に沸騰冷却管4aの強度を向上させている。また放熱フィン6bは、冷媒の熱を低温流体側に伝えやすくするものであり、同時に沸騰冷却管4bの強度を向上させている。
【0079】
本実施の形態では、高温側熱交換器3aに設けられる受熱フィン6aのフィンピッチP1 (例えば1.50mm〜2.90mm、望ましくは2.00mm〜2.50mmで、本例では2.40mm)を、低温側熱交換器3bの放熱フィン6bのフィンピッチP2 (例えば3.00mm〜4.50mm、望ましくは3.50mm〜4.00mmで、本例では3.75mm)よりも小さくしている。すなわち、沸騰冷却器3は、受熱フィン6aのフィンピッチP1 を放熱フィン6bのフィンピッチP2 よりも、例えば50%〜65%程度だけ小さくしている。
【0080】
〔第2実施の形態の作用・効果〕
次に、本実施の形態の作動を説明する。
作動することにより発熱体11、12が発熱し、収容空間16内が高温になる。下部側送風機34は高温になった空気を循環させ、その高温空気を高温側熱交換器3aに導入させる。高温側熱交換器3aの各沸騰冷却管4aに封入された冷媒は、受熱フィン6aを介して高温空気より伝達された熱を受けて沸騰気化する。気化した冷媒蒸気は、低温流体に晒されて低温となっている低温側熱交換器3bの各沸騰冷却管4bで内壁面に凝縮液化し、その凝縮潜熱が放熱フィン6bを介して低温空気に伝達される。低温側熱交換器3bで凝縮液化した冷媒は、自重により内壁面を伝って高温側熱交換器3aの高温側下部タンク42aへ滴下する。なお、上部側送風機31は外部から低温の空気を吸引し低温側熱交換器3bへ導入し続ける。この冷媒の沸騰・凝縮液化の繰り返しにより、高温空気と低温空気とが混合することなく、発熱体11、12の熱を外部へ効率よく放熱させることができる。
【0081】
沸騰部7の受熱フィン6aのフィンピッチが凝縮部8の放熱フィンより小さい。これにより、高温流体の流量を増やしたときに、沸騰冷却管4a通過流速が増大し、高温空気の熱量を受熱フィン6aに伝達する時間が減ることを補うことができる。
本実施の形態のように、沸騰部7が高温流体の熱を受け、沸騰した蒸気冷媒が高温側連通管9aを上昇して凝縮部8に達し、凝縮部8内で低温流体に熱を放出して冷媒が凝縮液化し、その液冷媒が低温側連通管9bを下降して再び沸騰部7に戻る、という冷媒循環を繰り返して高温流体から低温流体に熱を移動する沸騰冷却器では、沸騰冷却器内で蒸気冷媒と凝縮冷媒の対向流れが発生しない。このため、図2に示す沸騰冷却器のような気相冷媒・液冷媒が同一管内を行き来しあうタイプの沸騰冷却器に比べ、放熱壁面の熱抵抗が小さくなる。すなわち、本実施の形態においては沸騰部7壁面の熱抵抗に比べ凝縮部8壁面の熱抵抗がより小さくなるので、性能を向上させるためには高温側熱交換器3aの熱抵抗を小さくする方が好ましい。よって、特に高温流体側の流量を増加することで、高温側熱交換器3aの熱抵抗を小さくでき、結果性能を向上できるという効果がある。
【0082】
本実施の形態では、フィンピッチを流体隔離板2の高温側(内気側)と低温側(外気側)とで同じ大きさにした場合と比較して、低温側熱交換器3bの目詰まりを防止しながら、高温側熱交換器3aのフィンピッチP1 を低温側熱交換器3bのフィンピッチP2 よりも小さくすることで高温空気の冷却性能を向上でき、沸騰冷却器3、ひいては沸騰冷却装置14全体の小型化を達成できる。
【0083】
本実施の形態は、沸騰部7と凝縮部8とを2本の第1、第2連結管9a、9bによって環状に連結した沸騰冷却器3を空気の流れ方向に多段に配設した沸騰冷却器325を備えた沸騰冷却装置14を備えている。この構成によって、各沸騰冷却器3内において冷媒の循環流が形成され、冷媒蒸気(沸騰蒸気)と冷媒液(凝縮液)との衝突を防止できるので、各沸騰冷却器3単体の放熱性能(冷却性能)を第1実施の形態よりも向上することができる。このような沸騰冷却器3を多段に配設することにより、第1実施の形態よりも更に沸騰冷却器325の放熱性能(冷却性能)の向上を図ることができる。
【0084】
〔第3実施の形態〕
以下、第3実施の形態を説明する。本構成はコントローラ24の制御方法以外は図12から図15に示した沸騰冷却器と同一であるため、構成についての説明は省略し、コントロール24の制御方法を中心に説明する。
本制御方法は、ハウジング13内外に設けられた内部温度センサ及び外部温度センサによってハウジング13内部・外部の温度を検出し、この検出した温度に応じて表2のように内部循環としての下部側送風機34、外部循環としての上部側送風機31とを制御する。
【0085】
【表2】
Figure 0003767053
この表2において、各送風機の数値は定格電圧が印加された場合の回転数を100とした場合の割合を示したものであり、この数値の変化をさせるためには、例えば印加電圧の波高値を制御する、もしくはパルス幅を制御するPWM制御により達成できる。
【0086】
ここで、注目すべきことは上部側送風機の送風量(回転数)を下部側送風機の送風量(回転数)よりも小さく設定してあることである。これにより、上部側送風機31の作動する際の騒音を低減させることができる。
なお、上記第1〜第3の実施の形態では、時間・明るさ・内外温度により各送風機の回転数(送風量)を変化させたが、各回転数は一定として上部側送風機の送風量(回転数)が下部側送風機の送風量(回転数)よりも小さくなるように設定されていても良い。
【0087】
また、上記第1〜第3の実施の形態では、沸騰冷却器3、高温側熱交換器3a、低温側熱交換器3bとしてコルゲートフィン・チューブ式のマルチフローパス型の熱交換器を用いたが、沸騰冷却器3、高温側熱交換器3a、低温側熱交換器3bとしてプレートフィン・チューブ式の熱交換器、微細ピンフィン・チューブ式の熱交換器、偏平管(チューブ)を蛇行状に屈曲形成したサーペンタイン型の熱交換器、2枚の成形プレートを貼り合わせた沸騰冷却管を多数積層したドロンカップ型の熱交換器を用いても良い。受熱フィン6aまたは放熱フィン6bとしてスリットフィンやルーバーフィンを利用しても良い。
【0088】
更に、ハウジング13内部空気、筐体内部流体である高温空気(内気)として電子部品11、12等の発熱体により高温化される高温空気等の高温気体を用いたが、高温流体として電子部品11、12等の発熱体を冷却する冷却水やオイル(作動油や潤滑油を含む)等の高温液体を用いても良い。これと同様に、ハウジング13外部空気、筐体外部流体である外部流体(外気)として低温空気等の低温気体だけでなく水やオイル等の低温液体を用いても良い。これらの場合には、筐体内流体循環手段や筐体外流体循環手段はポンプを使用することになる。なお、ポンプや遠心式ファン31、34を駆動する駆動手段としては本例のような電動モータ32、35だけでなく内燃機関、水車、風車等を用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施の形態における電子機器装置の全体構造を示した概略図である。
【図2】(a)は沸騰冷却装置の熱交換装置の概略構造を示した断面図で、(b)は沸騰冷却装置の熱交換装置の概略構造を示した模式図である。
【図3】図1の沸騰冷却器の具体的構造を示した正面図である。
【図4】図1の沸騰冷却器を2分割する流体隔離板を示した斜視図である。
【図5】図1の沸騰冷却器を2分割する流体隔離板を示した斜視図である。
【図6】(a)は従来例の場合の空気および冷媒の流路方向温度分布を表した模式図で、(b)は第1実施の形態の場合の空気および冷媒の流路方向温度分布を表した模式図である。
【図7】フィン位置に対する高温流体の温度の関係を示す図である。
【図8】高温流体から低温流体までの熱移動を説明する説明図である。
【図9】図1の沸騰冷却装置を説明する説明図である。
【図10】図9の沸騰冷却装置の比較例を示す説明図である。
【図11】図1の沸騰冷却装置を説明する説明図である。
【図12】第2実施の形態における電子機器装置の全体構造を示した概略図である。
【図13】図12の電子機器装置の側面図である。
【図14】図12の沸騰冷却装置を説明する説明図である。
【図15】図14の沸騰冷却器の具体的構造を示した正面図である。
【符号の説明】
1 電子機器装置
2 流体隔離板
3 沸騰冷却器
4 沸騰冷却管
5 連結管
6 伝熱フィン
7 沸騰部
8 凝縮部
9 温度センサ
11,12 電子部品(発熱体)
13 ハウジング(筐体)
14 沸騰冷却装置
15 密閉空間
17 高温側伝熱空間
18 低温側伝熱空間
21,31 上部側送風機(低温側送風機)
22,34 下部側送風機(高温側送風機)
25 熱交換装置
41 高温側タンク
42 低温側タンク
3a 高温側熱交換器
3b 低温側熱交換器
4a 沸騰冷却管
4b 沸騰冷却管
6a 受熱フィン
6b 放熱フィン
41a 高温側上端タンク
41b 低温側上端タンク
42a 高温側下端タンク
42b 低温側下端タンク

Claims (7)

  1. 作動することにより発熱する電気機器が内部に収容されるケーシングである高温部分に配置され、高温部分において高温流体を所定送風量で流通させる高温側送風機と、
    前記高温部分と隔離され、前記ケーシングの外部の空間である低温部分に配置され、低温部分において低温流体を所定送風量で流通させる低温側送風機と、
    前記高温部分に配置され、前記高温流体から受熱して沸騰気化する冷媒が内部に封入される高温側熱交換器と、
    前記低温部分に配置され、前記高温側熱交換器に連通されて前記沸騰気化した冷媒の熱を前記低温流体に放熱することで前記冷媒を凝縮液化させる低温側熱交換器と、
    前記電気機器の動作する時間帯を判定し、前記時間帯に応じて騒音低下要求信号が入力され、騒音低下要求信号が入力された時、前記高温側送風機の送風量が前記低温側送風機の送風量よりも多くなるように制御する制御回路とを備えることを特徴とする沸騰冷却装置。
  2. 前記低温側送風機及び前記高温側送風機は略同一送風量を有するものであり、前記高温側送風機の個数が前記低温側送風機の個数よりも多く配置されることを特徴とする請求項1記載の沸騰冷却装置。
  3. 前記高温流体の温度を検知する温度検知手段を有し、前記制御回路は、前記温度検知手段で検知した温度が高くなる程前記高温側送風機の送風量を多くなるように制御することを特徴とする請求項1または2に記載の沸騰冷却装置。
  4. 前記制御回路は、前記騒音低下要求信号が入力された時、前記騒音低下要求信号が入力されない時の前記高温側送風機の送風量に比べて前記高温側送風機の送風量を増加させ、前記騒音低下要求信号が入力されない時の前記低温側送風機の送風量に比べて前記低温側送風機の送風量を減少させるように制御する制御回路とを備えることを特徴とする請求項1ないし3のうちいずれか1つに記載の沸騰冷却装置。
  5. 前記制御回路は、前記高温側送風機の前記送風量及び前記低温側送風機の前記送風量を、夫々前記高温側送風機の回転数及び前記低温側送風機の回転数を独立制御することで制御することを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れかに記載の沸騰冷却装置。
  6. 前記低温側送風機及び前記高温側送風機のうちの少なくとも低温側送風機は複数で構成されるものであり、
    前記制御回路は、作動させる前記低温側送風機の個数を制御することで前記送風量を制御することを特徴とする請求項1乃至請求項4のうちいずれか1つに記載の沸騰冷却装置。
  7. 前記制御回路によって前記電気機器の動作する時間帯が夜間であると判定されると、前記高温側送風機の送風量を前記低温側送風機の送風量よりも多くなるように制御することを特徴とする請求項1ないし6のうちいずれか1つに記載の沸騰冷却装置。
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