JP3766818B2 - 抗菌抗黴性組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、食品、化粧料、一般工業製品等広く使用することができる抗菌抗黴剤及びこれを含有する抗菌抗黴性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
食品には従来より、食品の腐敗を防止するためソルビン酸及びその塩、安息香酸及びその塩、デヒドロ酢酸等の合成保存料が使用されているが、これらは安全性の見地から食品衛生法により使用基準が定められている。近年消費者の間でも合成保存料の安全性に関する認識が高まり、これによりこれらの合成保存料を使用せずに、酢酸ナトリウム等の有機酸塩やエタノール、グリシン、ポリリジン、プロタミン、リゾチーム、キトサン、ペクチン分解物、孟宗竹抽出物等の保存剤が使用された食品が多く製造されている。しかしながら、これらの天然系の保存剤は抗菌性が弱く、より保存性を向上させるために種々を併用する等の工夫がなされて、細菌類に対しては必要最小限度の抗菌性が付与されているが、細菌類よりも耐性の強いカビ等の真菌類に対する抗菌性は不十分であった。
【0003】
また、化粧料においては、製造時の細菌汚染だけでなく、長期間に渡って少量ずつ使用される場合が多く、手指に付着した細菌や空気中の落下細菌による再汚染等が起こるため、強い防腐効果が必要である。そのため、従来より、安息香酸及びその塩、イソプロピルメチルフェノール、パラオキシ安息香酸エステル類、フェノキシエタノール、ソルビン酸及びその塩、デヒドロ酢酸及びその塩、塩化ベンザルコニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、グルコン酸クロルヘキシジン、トリクロサン等の各種の化学合成系の防腐剤や殺菌剤が用いられている。これら化学合成系の防腐剤、殺菌剤は、皮膚刺激、感作性、光感作性あるいは人体に対する毒性を有していることが知られており、そのため、これらの使用量、使用範囲などにおいて厳しい制限が設けられている。このような化学合成系の防腐剤や殺菌剤を使用せずに化粧料に防腐効果を付与する試みとしては、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール等の多少なりとも抗菌性を有する多価アルコールを多量に配合したり、化粧料中の水分量を少なくする等の工夫がなされているが、このような対処方法を取れない化粧料も多い。また、このような方法では、細菌類に対してはある程度の抗菌性を付与することは可能であるが十分とは言えず、更に細菌類よりも耐性の強いカビ等の真菌類に対する抗菌効果は全く不十分であった。
【0004】
この他、インクジェット用や水性ボールペン用の水性インクでは腐敗による変質やカビの発生による流路のつまりを防止するため、また水性塗料等の水性の一般工業製品の腐敗による変質やカビの発生を防止するため、上述の化学合成系の防腐剤やチアベンダドール、ベンズイミダゾール、サイアベンダゾール等の毒性の強い防黴剤が使用されている。インク等の一般工業製品は人が故意に接種するものではないが、インク、塗料等一般工業製品の皮膚への接触や誤用による人体への接触等を考慮すると安全性の高いものが求められている。
【0005】
また、植物等に含有される精油成分にも抗菌抗黴性を有するものが知られており、これらを抗菌抗黴剤として使用する試みもなされている。このような抗菌抗黴性を有する精油及び精油成分の例としては、ホソバヤマジソ油(黒コウジカビに対する最小発育阻止濃度125ppm)、タイム油(同250ppm)、レモングラス油(同500ppm)、クローブ油(同1000ppm)、ティトゥリー油(同1000ppm以上)、ユーカリ油(同1000ppm以上)、ラベンダー油(同1000ppm以上)、ヒバ油(同1000ppm以上)、チモール(同125ppm)、ヒノキチオール(同30ppm)、オイゲノール(同1000ppm)、シトラール(同250ppm)、シトロネラール(同250ppm)、シンナムアルデヒド(同500ppm)、3−メチル−4−イソプロピルフェノール(同250ppm)、アリルイソチオシアネート(同500ppm)が報告されている(非特許文献1参照)。これらの内で最も抗黴効果が高いヒノキチオールでも黒コウジカビの最小発育阻止濃度は30ppm程度であり、十分に効果が高いとは言えず、ヒノキチオールは金属イオンとキレートを形成して着色し、使用し難いものであった。また、上述のようにその他の精油や精油成分も抗黴作用は決して高いものではない。このように、精油や精油成分のカビに対する最小発育阻止濃度は一般的に数百ppm以上で、効果の強いものでも数十ppmであると考えられていた。更には、多くの精油や精油成分は特有の臭いを有するものが多く、その臭気が化粧料や食品等の風味を害なうために実質的に使用できないことが多い。一方、カワラヨモギ抽出物に抗黴性があること、その抗黴成分が精油成分のカピリンであることが報告されている(非特許文献2参照)。またカワラヨモギ抽出物と他の食品添加物と共に食品に添加することで、その保存性を高める方法(特許文献3参照)が開示されている。しかしながら、カピリンの有効濃度や、カピリンと他の抗菌効果のある成分との相乗効果の量的関係を詳細に検討し、有効な添加割合を示した報告は皆無であった。
【0006】
【特許文献1】
特開平7−16087号公報
【非特許文献1】
松浦洋一, 「日本防菌防黴学会第28年次大会資料」
【非特許文献2】
「既存添加物名簿収載品目リスト注解書」,1999年,p.162
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情を鑑み、食品、化粧料、インク等をはじめ広く一般工業製品に使用することができる抗菌抗黴効果に優れ、特にカビ等の真菌類に対しても極めて優れた抗菌作用を有し、しかも安全性が高い抗菌抗黴剤を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決するために、種々の天然物成分を単離して強い抗菌抗黴性、特に極めて強い抗黴性を有するものを鋭意検索した。その結果、カワラヨモギ等に含まれるカピリンが、黒コウジカビに対する最小発育阻止濃度が1ppmであり、非常に高い抗黴性を有していること、また更にカピリンと中鎖脂肪酸モノグリセライドの併用によりカビ等の真菌類に対する抗菌性が相乗的に向上し、特に特定の併用比率にて極めて高い相乗効果があることを見出し、本発明に到達した。即ち、本発明は、構造式(1)で表されるカピリンを含有することを特徴とする抗菌抗黴剤であり、これを含有する抗菌抗黴性組成物である。また本発明はカピリンと炭素数6〜12の中鎖脂肪酸のモノグリセライドとを重量比で1:200〜10000の割合で併用する抗菌抗黴性組成物である。
【0009】
【化1】
Figure 0003766818
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明のカピリンは、生薬インチンコウとして使用されているキク科のカワラヨモギ(学名:Artemisia capi llaris Thumb.)等に含まれる精油成分である。カピリンは、カワラヨモギの地上部から抽出することができ、抽出溶媒としてはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール、グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等の多価アルコール、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル等の炭化水素類、メチルエーテル等のエーテル類等の有機溶媒、またこれらのうち水と混和する溶剤では水との混合溶剤を使用することができる。使用用途上支障のない抽出溶媒を用いた抽出液であればそのまま使用しても良いが、カピリンの含有量が低く多量に配合する必要がある場合もあるため、溶剤を完全に留去してあるいは適度に濃縮して使用することが望ましい。その際、低級アルコールや含水アルコールでの抽出液の場合は単に常圧または減圧下に濃縮するとカピリンが共沸により留出するため、これを防止するために、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等を添加して濃縮することが好ましい。また、カワラヨモギから水蒸気蒸留により得たカピリン等を含有する精油成分をそのまま使用しても良い。更に、溶媒抽出物や水蒸気蒸留で得た精油成分を、カラムクロマトグラフィーや高速液体クロマトグラフィー等によりカピリンを分取あるいは含有量を高めて使用しても良い。この他、化学合成により合成したカピリンを使用しても良い。
【0011】
本発明の抗菌抗黴剤中のカピリンの配合量は、抗菌性を付与する組成物への添加量等に応じて任意に設定することができ、特に限定されるものではないが、食品、化粧料、一般工業製品等の抗菌性を付与する組成物にカピリンを0.1μg/g以上、好ましくは0.2〜100μg/g、更に好ましくは0.5〜50μg/g含有させるに足りる量を配合する。カピリンのカビの培地での最小発育阻止濃度は1ppm(μg/mL)であるが、抗菌抗黴性組成物中の微生物の栄養となる成分量が少ない場合や水分活性が低い場合は、カピリン0.1μg/g以上で抗菌抗黴性が発揮される。また、抗菌抗黴性組成物にカピリンを100μg/g以上配合しても効果は変わらず、経済的でない。
【0012】
カピリンはカビ等の真菌類には極めて強い抗菌性を示すが、細菌類に対する抗菌性はあまり強いものではない。本発明の抗菌抗黴剤または抗菌抗黴性組成物の細菌類に対する抗菌性を強めるために、必要に応じて酢酸ナトリウム等の有機酸塩やエタノール、グリシン、ポリリジン、プロタミン、リゾチーム、キトサン、ペクチン分解物、孟宗竹等の植物抽出物、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール等の抗菌性を有する多価アルコール、カプリル酸モノグリセライド等の中鎖脂肪酸のエステル類等の細菌類に抗菌作用を有する物質を併用しても良い。特に、カプリル酸モノグリセライド等の炭素数6〜12の中鎖脂肪酸のモノグリセライドをカピリンと併用することにより、細菌類に対する抗菌性が向上するだけでなく、カビ等の真菌類に対する抗菌性がその相乗効果により格段に向上する。この場合、重量比でカピリン:中鎖脂肪酸モノグリセライド=1:200〜10000の割合で用いることが好ましく、この範囲の割合で併用することにより特に高い相乗効果が得られる。
【0013】
また、本発明のカピリンを含有する抗菌抗黴剤または抗菌抗黴性組成物にソルビン酸及びその塩、安息香酸及びその塩、デヒドロ酢酸及びその塩、イソプロピルメチルフェノール、パラオキシ安息香酸エステル類、フェノキシエタノール、塩化ベンザルコニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、グルコン酸クロルヘキシジン、トリクロサン、チアベンダドール、ベンズイミダゾール、サイアベンダゾール等の各種の化学合成系の防腐剤、殺菌剤や防黴剤を併用しても良く、これによりこれら安全性に問題のある化学合成系の防腐剤、殺菌剤や抗黴剤の使用量を極力減らし、従来よりも安全性の高い抗菌抗黴性組成物を得ることもできる。
【0014】
また、本発明の抗菌抗黴剤にはカピリンを必須成分とするが、上述の抗菌性を有する物質の他、その使用目的に応じて各種成分を任意に配合することができる。食品に使用する場合に任意に配合しうる成分としては、食品素材、食品添加物であれば特に限定されるものではなく、水、グリセリン等の多価アルコール、ソルビトール等の糖アルコール、中鎖脂肪酸トリグリセライド、各種動植物性油等の油類等を溶剤として、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、レシチン等の食品用乳化剤を可溶化剤として例示することができる。また、化粧料に使用する場合に任意に配合しうる成分としては、化粧料に通常使用される成分であれば特に限定されるものではなく、溶剤としては水、グリセリン等の多価アルコール、ソルビトール等の糖アルコール、流動パラフィン、スクワラン等の炭化水素、イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル等のエステル油、中鎖脂肪酸トリグリセライド、各種動植物性油等の油類等を例示することができ、可溶化剤としてポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等の界面活性剤を例示することができる。一般工業製品においても、該製品に悪影響を及ぼす成分以外のものであれば任意に配合することができる。
【0015】
本発明で言う抗菌抗黴性組成物とは、パン類、菓子類、麺類、乳製品類、惣菜類、漬物類等の各種食品、ローション、乳液、クリーム等の基礎化粧料類、ハンドクリーム、ボディローション等の身体用化粧料類、洗顔料、ボディシャンプー等の皮膚洗浄料類、ヘアシャンプー、リンス、トリートメント、ヘアスタイリング剤、ヘアカラー等の頭髪用化粧料類、ファンデーション、アイライナー、マスカラ、口紅等のメイキャップ類、歯磨き等の口腔用化粧料等の各種化粧料、食器洗浄剤、インクジェット用水性インク、水性ボールペン用水性インク、水性塗料等の一般工業製品で、抗菌性を有する物質を添加して製品自体の腐敗を防止することが必要なあらゆる製品である。また、浴室のタイルのメジ等に噴霧または塗布してカビの発生を防止する防黴剤、果物、野菜等の洗浄除菌剤等も本発明の抗菌抗黴性組成物の範疇である。本発明の抗菌抗黴性組成物には、カピリンを0.1μg/g以上、好ましくは0.2〜100μg/g、更に好ましくは0.5〜50μg/g含有させる。また、本発明の抗菌抗黴性組成物には、その製品形態に応じて、各種の原材料を使用することができる。
【0016】
以下、実施例により、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、以下の実施例中の数値の単位は、特に断りのない限り重量%である。
【0017】
【実施例1】
乾燥したカワラヨモギの花穂1kgに水10kgを加えて加熱し、水と共に精油成分を留出させた。留出液をヘキサンにて抽出し、ヘキサンを留去してカワラヨモギの精油成分3.7gを得た。精油成分を下記条件の分取高速液体クロマトグラフィーによりカピリンを分取し、ヘキサン抽出後ヘキサンを留去してカピリン0.56gを得た。尚、このものがカピリンであることはGC−MSにより確認した。
Figure 0003766818
【0018】
【実施例2】
乾燥したカワラヨモギの花穂100gにヘキサン500mLを加えて常温にて24時間浸漬して抽出後、ロ過し、ヘキサンを留去して油状物2.98gを得た。これをエタノールで100gに希釈して抗菌抗黴剤(1)を得た。この抗菌抗黴剤(1)のカピリンの含有量は591μg/gであった。尚、カピリンの含有量は、下記条件の高速液体クロマトグラフィーにて分析し、実施例1で得たカピリンを用いて作成した検量線から含有量を求めた。
Figure 0003766818
【0019】
【実施例3】
乾燥したカワラヨモギの花穂100gにエタノール500mLを加えて常温にて24時間浸漬して抽出後、ロ過し、抽出液を得た。これに、1,3−ブチレングリコール160gを加えた後、エタノールを留去し、水を加えて全量を200gとすることにより、抗菌抗黴剤(2)を得た。この抗菌抗黴剤(2)のカピリンの含有量は425μg/gであった。
【0020】
【実施例4】
実施例1で得たカピリンを用い、黒コウジカビ(Asperugillus niger ATCC 16404)に対する最小発育阻止濃度を測定することにより、抗菌作用を調べた。黒コウジカビをサブローデキストロース斜面培地にて、25℃で7日間培養し、生理食塩水5mLに胞子を分散させた。分散液を1000倍に希釈し0.1mLを、予め準備した所定濃度のカピリンを含有するサブローデキストロース寒天培地に塗布し、25℃で2日間培養してカビの生育を確認した。また、同時にオイゲノール及びヒノキチオールについて比較として調べた。結果を表1に示す。この結果から、黒コウジカビに対する最小発育阻止濃度は、カピリン1ppm、オイゲノール1000ppm、ヒノキチオール50ppmであり、カピリンの抗黴性はオイゲノールやヒノキチオールよりも格段に高いものであった。
【0021】
【表1】
Figure 0003766818
【0022】
【実施例5】
カピリンとカプリル酸モノグリセライドとの併用による抗菌効果を調べた。実施例1で得たカピリン0〜1ppmとカプリル酸モノグリセライド0〜2000ppmをサブローデキストロース寒天培地に混和し、実施例4と同様に行った。図1に示した曲線Aは両者を併用した場合の最小発育阻止濃度である(曲線Aより下の範囲ではカビが生育し、曲線Aより上の範囲ではカビは発生せず)。カピリンとカプリル酸モノグリセライドを併用した効果が単に相加的なものであれば、併用による最小発育阻止濃度の線は直線Bとなるはずであるが、実際には直線Bよりも阻止濃度が低い曲線Aであったことから、カピリンとカプリル酸モノグリセライドとの併用効果は単に相加的なものではなく、相乗効果であることが分かる。
【0023】
【図1】
Figure 0003766818
【0024】
カピリンとカプリル酸モノグリセライドとの相乗効果が高く現れる両者の比率の範囲を明らかにするため、カプリル酸モノグリセライドの直線Bの値と曲線Aの値との差を求め、これを直線Bの値で除した値を縦軸に、横軸にカピリン量を取って、カピリンを併用したことによるカプリル酸モノグリセライドの最小発育阻止濃度の減少率を示す図2を作成した。これにより、カピリン0.08〜0.8ppmを併用することによりカプリル酸モノグリセライドの最小発育阻止濃度が50%以下に減少し、高い相乗効果が得られることが分かる。この時のカプリル酸モノグリセライドの最小発育阻止濃度は800〜175ppmであり、これは重量比でカピリン:カプリル酸モノグリセライド=1:200〜10000の範囲である。また図2には例示していないが、炭素数6のカプロン酸、同10のカプリン酸、同11のウンデシレン酸、同12のラウリン酸の各モノグリセライドについても同様の傾向が観察された。
【0025】
【図2】
Figure 0003766818
【0026】
【実施例6〜8、比較例1〜3】
表2に記載の組成のうどんを調製し、ポリエチレン製の袋に入れて25℃で保存し、カビの発生を調べた。初めてカビの発生が認められた日数を表2に併せて示す。カピリンを配合した実施例6〜8のうどんは、風味上何ら問題なく、比較例1〜3に比べてカビの発生までの期間が長く、保存性に優れるものであった。
【0027】
【表2】
Figure 0003766818
【0028】
【実施例9〜13、比較例4、5】
表3に記載の組成のモイスチャーローションを調製し、抗菌性試験を行なった結果を表3に併せて示す。比較例4、5のモイスチャーローションの抗菌性は全く不十分であり、更に比較例5では異臭があり化粧料としては不適であった。一方、実施例9〜13のモイスチャーローションは、異臭もなく、抗菌性試験の結果も問題ないものであった。
【0029】
【表3】
Figure 0003766818
【0030】
【実施例14〜20、比較例6、7】
表4に記載の組成のエモリエントクリームを調製し、抗菌性試験を行なった結果を表4に併せて示す。比較例6、7のエモリエントクリームの抗菌性は全く不十分であり、更に比較例7では異臭があり化粧料としては不適であった。一方、実施例14〜20のエモリエントクリームは、異臭もなく、抗菌性試験の結果も問題ないものであった。
【0031】
【表4】
Figure 0003766818
【0032】
【実施例9〜20、比較例4〜7の抗菌性評価方法】
下記A〜Eの試験菌株を使用した。
A:黄色ブドウ球菌
Staphylococcus aureus ATCC 6538)
B:大腸菌(Escherichia coli ATCC 8739)
C:緑膿菌
Pseudomonas aeruginosa ATCC 9027)D:カンジダ酵母
Candida albicans ATCC 10231)
E:黒コウジカビ
Asperugillus niger ATCC 16404)
各化粧料の試料1gあたり、細菌(A〜C)は10の6乗個、真菌(D〜E)は10の5乗個を植菌し、細菌は37℃、真菌は25℃にてそれぞれ培養して、接種直後、7日目、14日目、21日目及び28日目の生菌数を測定し、下記の基準により評価した。
細菌(A〜C)の評価基準:
◎:接種した細菌が、7日以内に全て死滅する。
○:接種した細菌が、7日以内に初発菌数の0.1%以下に減少し、以後それ以
前のレベルを維持、あるいはそれ以下に減少する。
△:接種した細菌が、14日以内に初発菌数の0.1%以下に減少し、以後それ
以前のレベルを維持、あるいはそれ以下に減少する。
×:上記の△の基準を満たさない。
真菌(D〜E)の評価基準
◎:接種した真菌が、14日間で初発菌数の10%以下に減少し、以後それ以前
のレベルを維持、あるいはそれ以下に減少する。
○:接種した真菌が、14日間で初発菌数の50%以下に減少し、以後それ以前
のレベルを維持、あるいはそれ以下に減少する。
△:接種した真菌が、14日間で初発菌数を維持、あるいはそれ以下に減少し、
以後それ以前のレベルを維持、あるいはそれ以下に減少する。
×:上記の△の基準を満たさないか、発芽する。
【0033】
【実施例21】
黒色染料3.9%、トリエチレングリコールモノブチルエーテル4.8%、エタノール3.0%、エチレンジアミンテトラ酢酸ナトリウム0.3%、ポリエーテル変性シリコーン0.7%、実施例2の抗菌抗黴剤(1)0.5%及び精製水86.8%を45℃で1時間撹拌し、室温まで冷却した後濾過して、インクジェット用インク(インク中のカピリンの含有量3.0μg/g)を得た。前述の抗菌性評価と同様にして黒コウジカビを接種し、25℃で1ヵ月間保存し、カビの発生状況を確認したところ、カビの発生及び変質は認められなかった。
【0034】
【比較例8】
実施例2の抗菌抗黴剤(1)の代わりにエタノールを使用する以外は実施例21と同様にしてインクジェット用インクを得た。実施例21と同様の抗カビ試験を行なったところ、カビが発生し、変質しており、使用できるものではなかった。
【0035】
【実施例22】
実施例3で得た抗菌抗黴剤(2)をエタノールで10倍に希釈し、浴室用防黴剤を調製した。黒カビが発生している浴室内のタイルのメジを浴槽用の洗浄剤で洗浄後、この浴室用防黴剤を適量噴霧した。2ヵ月間に渡り、この浴室用防黴剤を1週間毎に噴霧した。この間浴室は通常通り使用を継続した。この間、メジの黒ずみはなく、黒カビの発生は見られなかった。
【0036】
【比較例9】
実施例22と同時に、実施例22の浴室用防黴剤の代わりに、エタノールをほぼ同量噴霧する以外は実施例22と同様にした。1ヵ月後程度からメジがやや黒ずみ、2ヵ月後には黒カビの発生による黒ずみが明らかに見られた。
【0037】
【発明の効果】
以上、詳述したように、カピリンは抗菌抗黴性に優れ、特に、ごく微量で優れた抗黴性を示すものであり、更に炭素数6〜12の脂肪酸のモノグリセライドを特定の割合で併用することにより、その効果が相乗的に発揮し、食品の風味や化粧料の臭気を損なうことなく、また、水性インク等広く一般工業製品の抗菌抗黴剤として使用できるものである。

Claims (1)

  1. 下記の構造式(1)で表されるカピリンを0.1μg/g以上含有する抗菌坑黴性組成物であって、かつ、前記カピリンと炭素数6〜12の中鎖脂肪酸のモノグリセライドとを重量比で1:200〜10000の割合で併用する抗菌抗黴性組成物。
    Figure 0003766818
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