JP3766546B2 - 吊懸式間仕切装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、吊懸式間仕切装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
吊懸式間仕切装置における移動式の間仕切パネルは、一般に一対(2個)のランナーで天井レールに吊懸けられており、室の仕切り箇所や搬送路では、間仕切パネルは平面視で天井レールと重なる姿勢になっている。
他方、間仕切パネルの収納部には平面視で平行に延びる2本の収納用天井レールが配置されており、2本の収納用天井レールにランナーを吊懸けて、間仕切パネルを収納用天井レールと平面視で直交した姿勢にすることにより、多数枚の間仕切パネルを並列状に重ねた状態に収納している。
【0003】
この場合、収納部の箇所、或いは天井レールが平面視L字状又は十字状になった方向変換箇所において、間仕切パネルが天井レールと平面視で交差した姿勢になると、二つのランナーと天井レールとの間にこじれが生じることがある。
そこで、収納部への間仕切パネルの出し入れや方向転換時にこじれを無くして移動を容易ならしめるために、一対のランナーの間隔を広狭自在とすることが考えられている(例えば、特開昭58-98579号公報、特公昭59-48275号公報、特公平 6-68229号公報、実公平7-6431号公報等参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
これらの従来技術のうち特公平 6-68229号公報及び実公平7-6431号公報のものは、一対のランナーが間仕切パネルの間口方向に沿って移動自在であるに過ぎないため、ランナーと天井レールとの間にこじれが生じることをなくすことはできず、こじれが生じると、作業者が間仕切パネルを手で掴んで揺すらなければならないという問題があった。
【0005】
他方、特開平58-98579号公報では、ランナーは、互いの間隔が広がった場合に正規の間隔に狭めるようにばねで付勢されており、この構成によると、両ランナーの間隔が広がってもランナーは元の位置にばねで戻り勝手となっているため、こじれを自動的に解消できると考えられる。しかし、ばねを設けるとそれだけ構造が複雑になり、しかも、施工誤差等によって収納用天井レールの間隔が規定の寸法よりも小さくなっている場合のこじれは解消できないという問題があった。
【0006】
更に、特公昭59-48275号公報は、間仕切パネルの内部に、ランナーを手動で移動操作するための伝動機構を設けることが開示されているが、これでは構造が著しく複雑になるばかりか、一々手動操作しなければならないため、間仕切パネルの姿勢を戻す作業が面倒であるという問題があった。
本発明は、これらの実情を改善することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本願発明は、平面視で細長く延びる間仕切パネルと、この間仕切パネルを天井レールに吊り下げた状態で移動させるために間仕切パネルの上端に設けた一対のランナーとを備えており、この間仕切パネルは、1本の搬送用天井レールとこれに交叉した姿勢で接続されると共に平面視で平行に延びている2本の収納用天井レールとに、平面視で搬送用天井レールと平行に延びる姿勢のままで移行自在になっており、かつ、前記一対のランナーは間仕切パネルの両端寄り部位に配置されており、両ランナーの間隔を前記2本の搬送用天井レールの間隔と同じにすることにより、間仕切パネルが搬送用天井レールと収納用天井レールとに移行することを許容している吊懸式間仕切装置において、前記両ランナーと間仕切パネルとは、当該ランナー及び間仕切パネルに対して回動自在なリンクで連結されていて、間仕切パネルはリンクを介して一対のランナーに吊支されており、かつ、前記リンクが間仕切パネル及びランナーに対して回動する回動軸を間仕切パネルの厚さ方向に延びる姿勢とすることにより、前記両ランナーが水平姿勢を保持しつつ互いの間隔を変えることを許容している。
【0008】
【作用・効果】
このように構成すると、リンクが回動することにより、一対のランナーの間隔が広狭変化し得る。そして、例えば収納部で間仕切パネルを移動させるに際して、間仕切パネルが正規の姿勢と異なった姿勢になってランナー間の間隔が広がったり、加工誤差や施工誤差によって収納用天井レールの間隔にバラツキがあってランナー間の間隔が広狭変化したりすると、リンクは、鉛直線に対して傾斜した姿勢に傾く。
【0009】
この場合、リンクが傾くと間仕切パネルも僅かながら上昇することになり、このため、間仕切パネルの自重が、リンクを元の鉛直線に沿って延びる姿勢に戻そうとするように作用する。換言すると、間仕切パネルの自重が、両ランナーを正規の間隔に保持するように常に作用している。
従って、間仕切パネルを収納部で移動させたり、L字状や十字状の搬送路を通過させたりするに際して、間仕切パネルが正規の姿勢からずれることによってランナーの間隔が正規の間隔よりも広狭変化しても、ランナーは間仕切パネルの自重によって正規の位置に戻されることになり、このため、間仕切パネルも正規の姿勢に戻ってスムースに走行させることができる。
【0010】
このように本発明によると、リンクを介して間仕切パネルを吊支するだけの簡単な構造により、ランナーと天井レールとの間のこじれを除去してスムースに走行させることができる。また、収納部の施工誤差や収納用天井レールの加工誤差等によって2本の収納用天井レールの間隔にバラツキがあっても、そのバラツキをリンクの回動によって吸収することができ、このため、収納部での間仕切パネルの移動をスムースに行うことができる。
【0011】
【発明の実施形態】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は収納部の近傍の平面図、図2は図1の正面図であり、収納部には2本の収納用天井レール1が平行に配置されている。両収納用天井レール1には1本の搬送用天井レール2が接続されている。間仕切パネル3は一対のランナー4を備えており、両ランナー4が収納用天井レール1と搬送用天井レール2とに移行することにより、収納部への間仕切パネル3の出し入れが行われる。
【0012】
搬送用天井レール2は室の仕切り箇所に配置したメイン天井レール(図示せず)に接続されている。なお、1つの収納部に複数本の搬送用天井レール2を接続してもよい。これらのレールは全て請求項に記載した天井レールに含まれる。
次に、各部位の詳細を図3以下の図面に基づいて説明する。図3は図2の III-III視断面図、図4のうち (A)は図3の A-A視平断面図、 (B)は図3の B-B視平断面図、図5のうち (A)は図2の V-V視断面図、 (B)は (A)の B-B視断面図、図6は作用を示す図である。
【0013】
図3に示すように、各天井レール1,2 は断面下向き開口略C字状に形成されており、各天井レール1,2 は、梁材や天井基盤等から垂下したブラケット5に溶接等によって固着されている(天井面等に直接取付けても良いことは言うまでもない)。また、天井レール1,2 の下面には縁部材6を固着しており、この縁部材6で天井板7を支持している。
【0014】
図2及び図3に示すように、間仕切パネル3は、その上下に配置した水平枠材8と左右に配置した縦枠材9とを備えており、これらの枠材8,9 で構成された四角形のフレームの表裏両面に耐火性のパネル11を固着している。図3に示すように、上水平枠8は間仕切パネル3の上端面よりも下方に位置しており、上水平枠8に固定した補強部材12にランナー4を取付けている。
【0015】
各枠材8,9 と補強部材12はそれぞれ角形鋼管を素材としている(チャンネル材製等でも良い)。
補強部材12もパネル11の上端面よりも下方に位置しており、このため間仕切パネル3の上端面にはその全長にわたって溝13が開口している。溝13には天エッジ14を装着している(なお、図5,6 では天エッジ14は省略している)。図示していないが、間仕切パネル3の左右端面にもエッジを装着している。
【0016】
ランナー4は平面視角形の本体ブロック15を備えており、この本体ブロック15の周囲の各面に2対ずつの走行輪16を取付けている。また、本体ブロック15には下向きに延びる吊りボルト(吊り軸)17が取付いている。吊りボルト17は、本体ブロック15に対し、図示しないスラストベアリングを介して回転自在に取付いている。
【0017】
更に本体ブロック15の上面には、補助ブロック18を介して支持スリーブ19が固着されており、この支持スリーブ19の四隅箇所に、天井レール1,2 の内面に転動自在に当たり得るガイドローラ20を水平回転自在に取付けている。また、支持スリーブ19の下面には、カバー(リテーナー)21を介してボール22が回転自在に装着されている。
【0018】
図示していないが、搬送用天井レール2と収納用天井レール1との交叉箇所にはガイド用ブロックが配置されており、このガイド用ブロックに、搬送用天井レール2と収納用天井レール1との間へのランナー4の移行に際して前記ガイドローラ20が嵌まるガイド溝とボール22が当たるガイド板とを設けている。
図5に示すように、前記吊りボルト17の下端部はハンガーブロック23にねじ込まれており、ナット24でハンガーブロック23にロックされている。ハンガーブロック23は、側断面下向きコ字状の上ブラケット25にねじ26で固着されており、上ブラケット25は補強部材12に形成した穴27に嵌まっている。
【0019】
なお、ハンガーブロック23と上ブラケット25とは一体構造でも良い。
他方、前記補強部材12の底面のうちランナー4の下方の部位には、前記上ブラケット25に対応した上向き開口コ字状の下ブラケット28がねじ29で固着されており(溶接等で固着しても良い)、上下ブラケット25,28 に、左右一対のリンク30をピン31で回動自在に取付けている。
【0020】
ピン31は間仕切パネル3の厚さ方向に延びており、従って、リンク30の回動によって左右のランナー4の間隔が広狭変化し得る。なお、リンク30は一つのランナー4の箇所で1本だけ又は3本以上でも良い。
【0021】
ハンガーブロック23やリンク30は間仕切パネル3の溝13収納された状態になっており、このように構成すると美感を向上できる利点がある。
以上の構成において、左右ランナー4の間隔が広狭変化し得るため、施工誤差等によって両収納天井レール1の間隔寸法にバラツキがあっても、そのバラ付きを吸収してスムースに走行させることができる。
【0022】
また、間仕切パネル3を収納部に出し入れするに際して、図1に一点鎖線で示すように、間仕切パネル3と両収納用天井レール1とが平面視で直交しない状態になってしまうことがある。すると、両ランナー4の間隔寸法L1が正規の姿勢での間隔寸法L0よりも広がって、図6に誇張して示すように、両リンク30が鉛直線Aに対して傾いた状態になる。
【0023】
この状態で間仕切パネル3は正規の姿勢の場合よりも僅かながら上昇し、間仕切パネル3の自重がリンク30を鉛直状の姿勢に戻すように作用するため、両ランナー4は正規の間隔寸法となるように戻り移動し、その結果、間仕切パネル3は平面視で収納用天井レール1と直交した姿勢に戻って、スムースに移動させることができる。天井レールが平面視L字状や十字状になっている箇所で方向変換する場合も、同様の作用でスムースに走行させることができる。
【0024】
実施形態のように上下ブラケット28の溝にリンク30を嵌め込んだ構造にすると、間仕切パネル3を移動させるに際して横揺れ(厚さ方向の揺れ)を抑制できる利点がある。
この実施形態では左右両吊りボルト23をリンク30で間仕切パネル3に連結しているが、一方の吊りボルト23は間仕切パネル3に固着し、片方の吊りボルト23のみにリンク30を取付けても良い。
【0025】
また、リンク30の位置や形態は図示のものには限らず、図7に示すように、ランナー4に直接にリンク30を取付けても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】間仕切設備における収納部の周辺の平面図である。
【図2】図1の正面図である。
【図3】図2の III-III視断面図である。
【図4】 (A)は図3の A-A視断面図、 (B)は図3の B-B視断面図である。
【図5】 (A)は図2の V-V視断面図、 (B)は (A)の B-B視断面図である。
【図6】作用を示す図である。
【図7】他の例を示す図である。
【符号の説明】
1 収納用天井レール
2 搬送用天井レール
3 間仕切パネル
4 ランナー
8 上水平枠材
12 補強部材
15 本体ブロック
16 走行輪
17 吊りボルト
23 ハンガーブロック
25,28 ブラケット
30 リンク
31 リンクの回動軸を成すピン
Claims (1)
- 平面視で細長く延びる間仕切パネルと、この間仕切パネルを天井レールに吊り下げた状態で移動させる一対のランナーとを備えており、前記間仕切パネルは、1本の搬送用天井レールとこれに交叉した姿勢で接続されると共に平面視で平行に延びている2本の収納用天井レールとに、平面視で搬送用天井レールと平行に延びる姿勢のままで移行自在になっており、かつ、前記一対のランナーは間仕切パネルの両端寄り部位に配置されており、両ランナーの間隔を前記2本の搬送用天井レールの間隔と同じにすることにより、間仕切パネルを搬送用天井レールと平行に延びる姿勢にした状態でランナーが搬送用天井レールと収納用天井レールとに移行することを許容している吊懸式間仕切装置であって、
前記両ランナーと間仕切パネルとは、当該ランナー及び間仕切パネルに対して回動自在なリンクで連結されていて、間仕切パネルはリンクを介して一対のランナーに吊支されており、かつ、前記リンクが間仕切パネル及びランナーに対して回動する回動軸を間仕切パネルの厚さ方向に延びる姿勢とすることにより、前記両ランナーが水平姿勢を保持しつつ互いの間隔を変えることを許容している、
吊懸式間仕切装置。
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