JP3766471B2 - 連棟のユニット式建物の連結構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、1棟分のユニット式建物がジョイント部材を介して複数棟連結されている連棟のユニット式建物の連結構造に関する。
【0002】
【背景技術】
従来、工場で建物を構成する居室等を建物ユニットとして作製しておき、これらの建物ユニットを現場に輸送し、複数の建物ユニットを水平及び垂直方向に組み合わせて建築するようにしたユニット式建物が施工されている。
【0003】
一方、近年建物ユニットを利用した集合住宅等を得るため、1棟分のユニット式建物をエキスパンション・ジョイントを介して複数棟、例えば2棟連結した連棟のユニット式建物が提案されている。
このようなエキスパンション・ジョイントは、隣合う屋根の屋根面間に設けられ、また隣合う屋根のパラペット間にも設けられている。隣合う屋根の屋根面間に設けられたエキスパンション・ジョイントは、一応防水性を有しているものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記連棟のユニット式建物において、隣合うユニット式建物間を連通させて、この連結部分を室内空間として利用したいという要望がある。この場合、連結部分において、雨水が浸入しない防水構造としておく必要がある。
【0005】
しかし、隣合うフラット屋根の屋根面間に設けられた一方のエキスパンション・ジョイントと、隣合うフラット屋根のパラペット間に設けられた他方のエキスパンション・ジョイントとの交差部分においては、従来、両エキスパンション・ジョイント同士を連結することができなかった。このため、この交差部分では、充分な防水性能を確保できない虞れもあった。
【0006】
そこで、本発明は、隣合うフラット屋根の屋根面間に設けられた一方のエキスパンション・ジョイントと、隣合うフラット屋根のパラペット間に設けられた他方のエキスパンション・ジョイントとの交差部分において優れた防水性能を確保できる連棟のユニット式建物の連結構造を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
図面を参照して説明すると、図1〜3に示すように、本発明の第1発明は、複数の建物ユニット13が組み合わされて構成された1棟分のユニット式建物14A,14B がエキスパンション・ジョイントを介して複数棟連結された連棟のユニット式建物11の連結構造であって、隣合うフラット屋根17の屋根面間に設けられた一方のエキスパンション・ジョイント15と、隣合うフラット屋根17のパラペット22間に設けられた他方のエキスパンション・ジョイント16との交差部分28にエキスパンション・ジョイントカバー29を設け、前記エキスパンション・ジョイントカバー 29 は、一方のエキスパンション・ジョイント 15 上に配置される第1のカバー部材 31 と、他方のエキスパンション・ジョイント 16 上に配置される第2のカバー部材 32 とを備え、前記第1のカバー部材 31 は、一方と他方のエキスパンション・ジョイント 15,16 の段差に相当する立ち上がり部分 34 を有し、前記第2のカバー部材 32 は、一方のエキスパンション・ジョイント 15 側の端部が前記第1のカバー部材 31 の前記立ち上がり部分 34 の上部に覆い被さるように嵌合して、前記第1のカバー部材と連結されていることを特徴とする。
【0008】
前記エキスパンション・ジョイントは、ユニット式建物同士を変位可能に連結するものであれば、具体的構造は任意である。
前記エキスパンション・ジョイントカバーを設けることによって、前記交差部分における防水性能を確保できることになる。
前記フラット屋根は、複数のフラット屋根ユニットが組み合わされて構成されたものである。
【0009】
また、一方と他方のエキスパンション・ジョイントは、方向と高さが異なることにより、一体物としての作製が困難なこともある。そこで、このように2部材に分けることにより、作製が容易になる。さらに、一方と他方のエキスパンション・ジョイントの高さが異なる場合、前記立ち上がり部分によって両エキスパンション・ジョイント上に設けられたカバー部間の連結が可能になる。
【0012】
図3に示すように、本発明の第発明に係る連棟のユニット式建物の連結構造は、第1発明において、前記第2のカバー部32は、笠木36が設けられる部分に及んで設けられていることを特徴とする。このカバー部が配置される部分においては、笠木を取り付ける必要がなくなるため、パラペットに予め笠木を取り付けておくことができる。
【0013】
図6に示すように、本発明の第発明に係る連棟のユニット式建物の連結構造は、第1発明において、前記第2のカバー部41は、笠木36が設けられる部分の前方に設けられていることを特徴とする。笠木は、隣合うフラット屋根のパラペット間も含めて連続的なものを現場で取り付けることになる。
【0014】
【発明の実施の形態】
〔第1実施形態〕
図1〜3を参照して本発明の第1実施形態に係る連棟のユニット式建物11の連結構造を説明する。
この連棟のユニット式建物11は、共通の基礎12上に複数の建物ユニット13よりなる1棟分のユニット式建物14A,14B がそれぞれ建てられ、これらのユニット式建物14A,14B がエキスパンション・ジョイント15,16 を介して2棟連結されて構成されている。各ユニット式建物14A,14B は、フラット屋根17を有している。
【0015】
隣合うユニット式建物14A,14B 間の連結部分には、室内空間が設けられ、隣合うユニット式建物14A,14B の外壁材18間には、この室内空間用の外壁材19が取り付けられている。これらの外壁材18,19 は、軽量気泡コンクリートパネルである。
前記エキスパンション・ジョイント15,16 は、隣合うフラット屋根17のフラット屋根ユニット21間に設けられ、また隣合うパラペット22のパラペットユニット23間にも設けられている。
【0016】
図2に示すように、隣合うフラット屋根17間に設けられた一方のエキスパンション・ジョイント15は、隣合う一方のフラット屋根17上に配置される第1のエキスパンション・ジョイント部材24及び他方のフラット屋根17上に配置される第2のエキスパンション・ジョイント部材25を備えて構成されたものである。
これらの第1と第2のエキスパンション・ジョイント部材24,25 は、一方の凹状端部と他方の凸状端部とが嵌合して、フラット屋根17の変位を吸収できる構造となっている。
【0017】
また、隣合うパラペット22間に設けられた他方のエキスパンション・ジョイント16も、前記一方のエキスパンション・ジョイント15と類似の構造を有し、隣合う一方のパラペット22上に配置される第1のエキスパンション・ジョイント部材26及び他方のパラペット22上に配置される第2のエキスパンション・ジョイント部材27を備えて構成されたものである。
【0018】
これらの一方のエキスパンション・ジョイント15と他方のエキスパンション・ジョイント16の間には、パラペット22の高さに相当する段差がある。
そして、前記一方のエキスパンション・ジョイント15と、他方のエキスパンション・ジョイント16との交差部分28には、エキスパンション・ジョイントカバー29が設けられている。
【0019】
このエキスパンション・ジョイントカバー29は、一方のエキスパンション・ジョイント15上に配置される第1のカバー部材31と、他方のエキスパンション・ジョイント16上に配置される第2のカバー部材32よりなる。
前記第1のカバー部材31は、前記一方のエキスパンション・ジョイント15の外面に沿った形状を有するカバー部分33と、前記段差に相当する立ち上がり部分34とを有し、これらの部分33,34 が一体に成形されたものである。各部分33,34 は、防水シート35と当接する周縁部33A,34A を有している。
【0020】
また、第2のカバー部材32は、前記他方のエキスパンション・ジョイント16の外面に沿った平面四角形状を有する。このカバー部材32も防水シート35と当接する周縁部32A を有している。この第2のカバー部材32は、そのパラペット22の長手方向と直交する方向の幅がパラペット22上面の幅に略相当するものであり、笠木36が設けられる部分に及んで設けられる。図3に示すように、この第2のカバー部材32は、一方のエキスパンション・ジョイント15側の一部が第1のカバー部材31の立ち上がり部分34の上部に覆い被さるようにして第1のカバー部材31と連結されている。
図4に示すように、前記フラット屋根17の隅部における前記パラペット22の側面部22A には、雨樋37と連通する孔部38が形成されている。
【0021】
上記連棟のユニット式建物11の連結構造は、次のようにして設けることができる。
即ち、通常通り、共通の基礎12上に複数の建物ユニット13を設置し、更にフラット屋根ユニット21及びパラペットユニット23を設置する。このパラペットユニット23には、笠木36が予め取り付けられている。
次に、一方のエキスパンション・ジョイント15を隣合うフラット屋根17のフラット屋根ユニット21間に設け、また他方のエキスパンション・ジョイント16を隣合うパラペット22のパラペットユニット23間にも設ける。
【0022】
次に、図2に示すように、前記第1のカバー部材31を前記交差部分28の一方のエキスパンション・ジョイント15上に取り付けた後、第2のカバー部材32をその一部が第1のカバー部材31の立ち上がり部分34の上部に覆い被さるように第1のカバー部材31に連結してエキスパンション・ジョイントカバー29を設ける。
この後、図3に示すように、防水シート35をフラット屋根17の上面を覆うように張設する。
【0023】
上記連結構造によれば、前記交差部分28にエキスパンション・ジョイントカバー29が設けられているため、このエキスパンション・ジョイントカバー29によって、隣合うユニット式建物14A,14B 間の連結部分における防水性能を確保できる。従って、この連結部分に設けられた室内空間の防水性に対する信頼性が高まる。
【0024】
また、エキスパンション・ジョイントカバー29は、第1と第2のカバー部材31,32 の2部材よりなるものであるため、両エキスパンション・ジョイント15,16 間に段差があって形状が複雑な場合であっても、作製が容易である。
更に、第2のカバー部32は、笠木36が設けられる部分に及んで設けられているため、パラペット22上面のカバー部32が配置される部分においては、笠木36を取り付ける必要がなく、パラペットユニット23に予め笠木36を取り付けておくことができる。
【0025】
〔第2実施形態〕
図5,6を参照して本発明の第2実施形態に係る連棟のユニット式建物11の連結構造を説明する。
この実施形態に係るエキスパンション・ジョイントカバー29は、第1実施形態のエキスパンション・ジョイントカバー29と比べて、第2のカバー部41が、笠木36が設けられる部分の前方に、この笠木36と当接するようにして設けられていることに特徴がある。
【0026】
即ち、この第2のカバー部41は、そのパラペット22の長手方向と直交する方向の幅が、パラペット22上面の幅から笠木36の幅を引いたものに略相当する。
このエキスパンション・ジョイントカバー29を使用した場合、図6に示すように、笠木36は、隣合うパラペット22間も含めて連続的なものを現場で取り付けてることになる。外観上の好みに応じて、このような実施形態とすることができる。
【0027】
〔第3実施形態〕
図7を参照して本発明の第3実施形態に係る連棟のユニット式建物11の連結構造を説明する。
この実施形態に係るエキスパンション・ジョイントカバー29は、第1実施形態のエキスパンション・ジョイントカバー29と比べて、第1と第2のカバー部42, 43が一体に構成されていることに特徴を有する。この連結構造において、エキスパンション・ジョイントカバー29が設けられる一方と他方のエキスパンション・ジョイント15,16 の間に、段差は殆どない。
【0028】
この第1のカバー部42は、一方のエキスパンション・ジョイント15の外面形状に沿った延長部分42A を有し、この延長部分42A が第2のカバー部43内に延設されている。
一方と他方のエキスパンション・ジョイント15,16 の間に、段差が殆どない場合、このような一体型のエキスパンション・ジョイントカバー29を設けることができる。
【0029】
【発明の効果】
本発明に係る連棟のユニット式建物の連結構造によれば、エキスパンション・ジョイントカバーが設けられているため、隣合うフラット屋根の屋根面間に設けられた一方のエキスパンション・ジョイントと、隣合うフラット屋根のパラペット間に設けられた他方のエキスパンション・ジョイントとの交差部分において優れた防水性能を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る連棟のユニット式建物の斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る連棟のユニット式建物の連結構造の分解斜視図である。
【図3】第1実施形態に係る連棟のユニット式建物の連結構造の斜視図である。
【図4】第1実施形態に係るユニット式建物のフラット屋根の斜視図である。
【図5】第2実施形態に係る連棟のユニット式建物の連結構造の分解斜視図である。
【図6】第2実施形態に係る連棟のユニット式建物の連結構造の斜視図である。
【図7】第3実施形態に係る連棟のユニット式建物の連結構造の斜視図である。
【符号の説明】
11 連棟のユニット式建物
13 建物ユニット
14A,14B ユニット式建物
15 一方のエキスパンション・ジョイント
16 他方のエキスパンション・ジョイント
17 フラット屋根
22 パラペット
28 交差部分
29 エキスパンション・ジョイントカバー
31,41,42 第1のカバー部材
32,43 第2のカバー部材

Claims (3)

  1. 複数の建物ユニットが組み合わされて構成された1棟分のユニット式建物がエキスパンション・ジョイントを介して複数棟連結された連棟のユニット式建物の連結構造であって、
    隣合うフラット屋根の屋根面間に設けられた一方のエキスパンション・ジョイントと、隣合うフラット屋根のパラペット間に設けられた他方のエキスパンション・ジョイントとの交差部分にエキスパンション・ジョイントカバーを設け
    前記エキスパンション・ジョイントカバーは、一方のエキスパンション・ジョイント上に配置される第1のカバー部材と、他方のエキスパンション・ジョイント上に配置される第2のカバー部材とを備え、
    前記第1のカバー部材は、一方と他方のエキスパンション・ジョイントの段差に相当する立ち上がり部分を有し、
    前記第2のカバー部材は、一方のエキスパンション・ジョイント側の端部が前記第1のカバー部材の前記立ち上がり部分の上部に覆い被さるように嵌合して、前記第1のカバー部材と連結されていることを特徴とする連棟のユニット式建物の連結構造。
  2. 請求項1に記載の連棟のユニット式建物の連結構造において、
    前記第2のカバー部は、笠木が設けられる部分に及んで設けられていることを特徴とする連棟のユニット式建物の連結構造。
  3. 請求項1に記載の連棟のユニット式建物の連結構造において、
    前記第2のカバー部は、笠木が設けられる部分の前方に設けられていることを特徴とする連棟のユニット式建物の連結構造。
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