JP3766447B2 - 絶縁塗料およびそれを用いた絶縁電線 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は絶縁塗料と、それを用いた、たとえばモータのコアに巻き付けられる絶縁電線とに関するものである。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
近年、機器の小型化、軽量化の傾向に伴い、モータについてもより小型、軽量で、しかも高性能のものが要求されるようになってきた。この要求に応えるには、モータのコアにより多くの絶縁電線を巻き付ける必要があるが、コアのスロット内に絶縁電線を強引に詰め込むことになり、捲線工程で絶縁被膜に損傷を生じる危険性がある。そして絶縁被膜に損傷が生じると、レアー不良やアース不良等が発生するという問題がある。
【0003】
かかる問題は、機械的強度にすぐれた絶縁被膜を形成しうる、特殊な絶縁塗料を使用すれば解決するが、このような特殊な絶縁塗料は一般に高価であるため、より安価な汎用の絶縁塗料を用いて、しかも損傷しにくい絶縁被膜を有する、耐加工性にすぐれた絶縁電線を製造することが求められている。
最も一般的には、絶縁塗料中にワックスを添加するか、または絶縁被膜上にワックスを塗布して絶縁被膜の表面に潤滑性を付与し、それによって絶縁被膜同士あるいは絶縁被膜とモータのコア等との擦れによる損傷を防止することが考えられるが、この方法は、最近の、より一層の捲線量の増大と、それに伴う捲線条件の過酷化に対しては十分な効果を発揮することができず、絶縁被膜の損傷を防止できなくなりつつある。
【0004】
そこで、絶縁被膜の金属との密着性を高める成分を、絶縁塗料に添加して、絶縁被膜の機械的強度を向上し、それによって絶縁電線の耐加工性を改善する試みがなさている(たとえば特開昭64−22961号公報、特開平2−4880号公報等)。
絶縁被膜の、金属との密着性を高める成分としては、金属不活性剤として使用される各種化合物が例示される。かかる金属不活性剤は、金属と錯化合物を作ることで、絶縁被膜と金属との密着性を向上するものである。
【0005】
しかし、上記金属不活性剤を用いた絶縁塗料からなる絶縁被膜は、耐熱性が不十分であるため、捲線時の加熱等の熱履歴によって機械的強度が低下してしまい、絶縁電線の耐加工性が悪化して、絶縁被膜の損傷によるレアー不良やアース不良等を生じやすいという問題があった。
この発明の目的は、導体等の金属に対する密着性および耐熱性にすぐれた、高い機械的強度を有する絶縁被膜を形成しうる新規な絶縁塗料と、それを用いた、耐加工性にすぐれた絶縁電線とを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段および作用】
上記課題を解決するための、この発明の絶縁塗料は、塗布、焼付けにより絶縁被膜を形成しうる樹脂を含むとともに、金属と錯化合物を作ることで、金属に対する絶縁被膜の密着性を向上するための、アセチレン類、アルキノール類、アルデヒド類、アミン類、メルカプタン類、およびチオ尿素類からなる群より選ばれた少なくとも1種の、絶縁被膜を形成する樹脂と異なる金属不活性剤と、上記樹脂と相溶し、塗料の焼付け時に硬化して絶縁被膜の耐熱性を向上するための、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、およびシリコーン樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種の、絶縁被膜を形成する樹脂と異なる硬化性樹脂とを含有するとともに、絶縁塗料中の非揮発分100重量部に対する、金属不活性剤の添加量を0.005〜0.1重量部、硬化性樹脂の添加量を0.001〜0.1重量部としたことを特徴としている。
【0007】
また、この発明の絶縁電線は、導体上に、上記絶縁塗料を塗布し、焼き付けして形成された絶縁被膜を有することを特徴としている。
上記構成からなる、この発明の絶縁塗料によれば、金属不活性剤による密着性向上の効果と、硬化性樹脂による耐熱性向上の効果とによって、導体等の金属に対する密着性と、耐熱性とにすぐれた、高い機械的強度を有する絶縁被膜を形成することができる。
【0008】
またこの発明の絶縁電線は、上記絶縁塗料を塗布し、焼付けして形成された絶縁被膜を有するため、耐加工性にすぐれている。
なお、前述した特開平2−4880号公報には、金属不活性剤とともに、硬化性樹脂であるアミノ樹脂も、絶縁被膜の密着性を向上させる成分として開示されている。しかし上記先願公報には、金属不活性剤と硬化性樹脂とを併用することや、硬化性樹脂を、絶縁被膜の耐熱性向上のために使用すること等については一切開示されていない。先願公報の実施例においても、金属不活性剤と硬化性樹脂とを併用したものはない。これに対し本願発明は、金属不活性剤と硬化性樹脂とを必ず併用することで、前述したように、導体等の金属に対する密着性および耐熱性にすぐれた、高い機械的強度を有する絶縁被膜を形成できる絶縁塗料と、それを用いた、耐加工性にすぐれた絶縁電線とを得ているので、本願発明は、上記先願公報記載の発明とは全く違うものである。これらの事実は、後述する実施例、比較例の結果からも明らかである。
【0009】
以下にこの発明を説明する。
まず、この発明の絶縁塗料について説明する。
この発明の絶縁塗料の構成は、たとえば芳香族ポリアミド系塗料、ポリイミド系塗料、ポリアミドイミド系塗料、ポリエステルイミド系塗料、ポリエステル系塗料、ポリウレタン系塗料等の、従来公知の種々の汎用の絶縁塗料に適用することができる。
【0010】
上記のうち芳香族ポリアミド系塗料としては、たとえばアラミド(全芳香族ポリアミド)系塗料、ナイロンMXD6系塗料等が例示され、とくに耐熱性、機械的強度等の点で、アラミド系塗料が好適に使用される。
またポリイミド系塗料としては、たとえば全芳香族ポリイミド系塗料である、デュポン社製の商品名「パイヤーML」や、あるいは東レ社製の商品名「トレニース3000」等が好適に使用される。
【0011】
ポリアミドイミド系塗料としては、トリカルボン酸無水物とジイソシアネートとを反応させることによって得られた種々の塗料が使用できる。
ポリエステルイミド系塗料としては、トリカルボン酸無水物とジアミンとの反応生成物であるイミドジカルボン酸を、さらに多価アルコールと反応させて得られた種々の塗料が使用できる。
【0012】
ポリエステル系塗料としてはアルキド樹脂系塗料、とくにグリセリン変性されたアルキド樹脂系塗料やトリスヒドロキシエチルイソシアヌレート(THEIC)変性されたアルキド樹脂系塗料等があげられ、とくに前述した、金属不活性剤および硬化性樹脂の添加効果の大きいTHEIC変性されたアルキド樹脂系塗料が好適に使用される。
【0013】
ポリウレタン系塗料としては、ジイソシアネートとポリエステル樹脂とを反応させて得られた種々の塗料が使用できる。
上記のうちとくにポリエステルイミド系塗料が、前述した金属不活性剤および硬化性樹脂の添加効果が顕著に得られるとともに、比較的安価で、かつ取り扱いが容易であるため、とくに好適に使用される。
【0014】
上記絶縁塗料に添加される金属不活性剤としては、前述したように、金属と錯化合物を作ることで、絶縁被膜と金属との密着性を向上する作用を有する、アセチレン類(1−ヘキシン等)、アルキノール類(プロパルギルアルコール、1−ヘキシン−3−オール等)、アルデヒド類(ベンズアルデヒド、桂皮アルデヒド等)、アミン類(ラウリルアミン、N,N′−ジメチルセチルアミン、トリメチルセチルアンモニウムブロミド等)、メルカプタン類(セチルメルカプタン、2−メルカプトイミダゾール、5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール等)、およびチオ尿素類(チオ尿素、フェニルチオ尿素等)からなる群より選ばれた少なくとも1種があげられ、中でもとくに密着性向上の効果が大きい、メルカプタン類のうちの2−メルカプトイミダゾールまたは5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオールが、好適に採用される。
【0015】
上記金属不活性剤の添加量は、絶縁塗料中の非揮発分(つまり溶媒を除いた樹脂分)100重量部に対して0.001〜0.5重量部に限定される。金属不活性剤の添加量が上記範囲未満では、その添加による、絶縁被膜の金属に対する密着性向上の効果が不十分となり、逆に上記範囲を超えた場合には、絶縁塗料を塗布された導体の表面が変質、変色する等、導体に悪影響を及ぼす。
【0016】
なお、上記金属不活性剤の添加量は、密着性向上の効果と、導体への影響の低減を考慮すると、上記範囲内でもとくに0.005〜0.1重量部であるのが好ましい。
上記金属不活性剤とともに塗料中に添加される硬化性樹脂としては、塗料の樹脂と相溶し、かつ塗料の焼付け時に硬化して絶縁被膜の耐熱性を向上する作用を有する、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、およびシリコーン樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種があげられ、中でもとくに塗料中の樹脂との相溶性にすぐれたメラミン樹脂が、好適に採用される。
【0017】
上記硬化性樹脂の添加量は、絶縁塗料中の非揮発分100重量部に対して0.001〜0.1重量部に限定される。硬化性樹脂の添加量が上記範囲未満では、その添加による、絶縁被膜の耐熱性向上の効果が不十分となり、逆に上記範囲を超えた場合には、絶縁塗料のポットライフが短くなって、作業性が悪化する。
【0018】
なお、上記硬化性樹脂の添加量は、耐熱性向上の効果と、作業性とを考慮すると、上記範囲内でもとくに0.005〜0.05重量部であるのが好ましい。
上記各成分からなるこの発明の絶縁塗料には、さらに必要に応じて、顔料、染料等の着色剤、無機または有機のフィラー、潤滑剤等の各種添加剤を、適宜の割合で添加してもよい。
【0019】
つぎに、この発明の絶縁電線について説明する。
この発明の絶縁電線は、上記絶縁塗料を電線の表面に塗布し、焼き付けて絶電被膜を形成することで製造される。
絶縁被膜の膜厚についてはとくに限定されず、電線のサイズ等に応じて、従来と同程度の膜厚とすることができる。
【0020】
また、この発明の絶縁電線においては、上記絶縁被膜上にさらに、上塗層を形成してもよい。上塗層としては、たとえばポリウレタン系、ポリエステル系、ポリエステルイミド系、ポリアミドイミド系、ポリイミド系等の、従来公知の種々の絶縁塗料の塗布、焼付けにより形成される絶縁膜があげられる。
また絶縁被膜の表面、あるいは絶縁被膜上に形成された上塗層の表面には、潤滑性を付与すべく、表面潤滑層を設けてもよい。
【0021】
表面潤滑層としては、流動パラフィン、固形パラフィンといったパラフィン類の塗膜も使用できるが、耐久性等を考慮すると、各種ワックス、ポリエチレン、ふっ素樹脂、シリコーン樹脂等の潤滑剤を適当なバインダー樹脂で結着した表面潤滑層が好ましい。
その他、この発明の要旨を変更しない範囲で、種々の変更を施すことができる。
【0022】
【実施例】
以下にこの発明を、実施例、比較例に基づいて説明する。
実施例1
《絶縁塗料の製造》
溜出管付きのフラスコに、温度計、攪拌機および窒素吹き込み管をセットし、窒素吹き込み管から毎分150mlの窒素ガスを流しながら、フラスコ内に168.9gのジメチルテレフタレートと、54.0gのエチレングリコールと、8.9gのグリセリンと、126.3gのTHEICとを仕込み、さらに168.9gのキシレンと0.84gの酢酸鉛とを加えた。
【0023】
つぎに、上記内容物を攪拌機で攪拌しつつ140℃に加熱して2時間、反応させた後、攪拌を続けながら加熱を止めて自然冷却させ、反応液の液温が100℃になった時点で、フラスコ中に57.5gの4,4′−ジアミノジフェニルメタンと、111.4gのトリメリット酸無水物を加えた。
そして、さらに攪拌を続けながら再度加熱して、反応液の液温を230℃まで昇温させて1時間、反応させた後、加熱を止め、フラスコ中に、まず520.7gのクレゾールを加え、ついで、反応液の液温が140℃以下に低下したところで130.2gのキシレンを加えた後、放冷して、非揮発分の濃度が35重量%のポリエステルイミド系塗料を得た。
【0024】
つぎに、上記ポリエステルイミド系塗料に、金属不活性剤である5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオールと、硬化性樹脂であるメラミン樹脂〔住友化学工業(株)製の商品名スミマールM−100C〕とを添加し、十分に攪拌、混合させて絶縁塗料を製造した。
なお、5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオールの添加量は、ポリエステルイミド系塗料の非揮発分100重量部に対して0.05重量部、メラミン樹脂の添加量は、上記非揮発分100重量部に対して0.05重量部とした。
《絶縁電線の製造》
上記絶縁塗料を、直径1.0mmの導線表面に、常法により塗布し、460℃にて約1分間焼付けして、厚み32μmの絶縁被膜を有する絶縁電線を製造した。
実施例2
金属不活性剤である5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオールの、ポリエステルイミド系塗料の非揮発分100重量部に対する添加量を、0.075重量部とし、かつ硬化性樹脂であるメラミン樹脂の、上記非揮発分100重量部に対する添加量を、0.025重量部としたこと以外は実施例1と同様にして絶縁塗料を製造し、この絶縁塗料を用いたこと以外は実施例1と同様にして、厚み32μmの絶縁被膜を有する絶縁電線を製造した。
比較例1
実施例1の、絶縁塗料の製造で得たポリエステルイミド系塗料に、金属不活性剤である5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオールと、フェノール系酸化防止剤であるステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〔チバガイギー社製の商品名Irganox−1076〕とを添加したこと以外は実施例1と同様にして絶縁塗料を製造し、この絶縁塗料を用いたこと以外は実施例1と同様にして、厚み32μmの絶縁被膜を有する絶縁電線を製造した。
【0025】
なお、5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオールの添加量は、ポリエステルイミド系塗料の非揮発分100重量部に対して0.04重量部、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートの添加量は、上記非揮発分100重量部に対して1.0重量部とした。
比較例2
実施例1の、絶縁塗料の製造で得たポリエステルイミド系塗料に、金属不活性剤である5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオールのみを添加したこと以外は実施例1と同様にして絶縁塗料を製造し、この絶縁塗料を用いたこと以外は実施例1と同様にして、厚み32μmの絶縁被膜を有する絶縁電線を製造した。
【0026】
なお、5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオールの添加量は、ポリエステルイミド系塗料の非揮発分100重量部に対して0.1重量部とした。
比較例3
実施例1の、絶縁塗料の製造で得たポリエステルイミド系塗料に、硬化性樹脂であるメラミン樹脂のみを添加したこと以外は実施例1と同様にして絶縁塗料を製造し、この絶縁塗料を用いたこと以外は実施例1と同様にして、厚み32μmの絶縁被膜を有する絶縁電線を製造した。
【0027】
なお、メラミン樹脂の添加量は、ポリエステルイミド系塗料の非揮発分100重量部に対して0.1重量部とした。
上記各実施例、比較例の絶縁電線について、以下の各試験を行い、その特性を評価した。
密着力測定
実施例、比較例の絶縁電線の絶縁被膜に、その長手方向に沿って、0.5mm間隔で長さ2cmに亘る平行な2本の切込みを入れ、2本の切込みの間の絶縁被膜の一端をピンセットでめくった。そして、熱機械試験機〔TMA:サーマルメカニカルアナリシス、セイコー電子(株)製〕を用いて、上記絶縁被膜と電線との180°剥離試験を行い、被膜の密着力(g/mm)を測定した。
損傷荷重測定
実施例、比較例の絶縁電線に直交させてピアノ線を重ね合わせ、種々の重さの荷重をかけた状態で絶縁電線を引き抜いた際に、絶縁被膜に損傷が生じた荷重〔(損傷荷重(g)〕を記録した。
耐熱性試験
実施例、比較例の絶縁電線を220℃で6時間、加熱劣化させた後、直径1mmのものから1mm刻みに直径が大きい複数の丸棒に順次あてがって、その外形に対応させて曲げた際の、絶縁被膜の割れや剥離を観察し、絶縁被膜に異状がみられなかった最小の丸棒の直径〔曲げ良好径(mm)〕を記録した。
【0028】
以上の結果を表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
上記表1の結果より、硬化性樹脂であるメラミン樹脂を添加しない絶縁塗料を使用した比較例1,2の絶縁電線は、絶縁被膜の密着力は高いが、耐熱性が不十分であることがわかった。また、金属不活性剤である5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオールを添加しない絶縁塗料を使用した比較例3の絶縁電線は、密着力が不十分であることがわかった。これに対し、上記両添加剤をともに添加した絶縁塗料を使用した実施例1,2の絶縁電線は、絶縁被膜の密着力および耐熱性にすぐれることが確認された。
【0031】
【発明の効果】
以上、詳述したようにこの発明の絶縁塗料によれば、金属不活性剤による密着性向上の効果と、硬化性樹脂による耐熱性向上の効果とによって、導体等の金属に対する密着性と、耐熱性とにすぐれた、高い機械的強度を有する絶縁被膜を形成することが可能となる。また、この発明の絶縁電線は、上記絶縁塗料を塗布し、焼付けして形成された絶縁被膜を有するため、耐加工性にすぐれており、たとえばモータの捲線に使用した場合には、コアへの捲線量を増大させても、捲線工程で絶縁被膜に損傷を生じるおそれがない。したがってこの発明の絶縁電線は、より小型、軽量で性能のよいモータの要求に対応できるという特有の作用効果を奏する。
Claims (2)
- 塗布、焼付けにより絶縁被膜を形成しうる樹脂を含む絶縁塗料において、金属と錯化合物を作ることで、金属に対する絶縁被膜の密着性を向上するための、アセチレン類、アルキノール類、アルデヒド類、アミン類、メルカプタン類、およびチオ尿素類からなる群より選ばれた少なくとも1種の、絶縁被膜を形成する樹脂と異なる金属不活性剤と、上記樹脂と相溶し、塗料の焼付け時に硬化して絶縁被膜の耐熱性を向上するための、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、およびシリコーン樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種の、絶縁被膜を形成する樹脂と異なる硬化性樹脂とを含有するとともに、絶縁塗料中の非揮発分100重量部に対する、金属不活性剤の添加量を0.005〜0.1重量部、硬化性樹脂の添加量を0.001〜0.1重量部としたことを特徴とする絶縁塗料。
- 導体上に、上記請求項1記載の絶縁塗料を塗布し、焼き付けして形成された絶縁被膜を有することを特徴とする絶縁電線。
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