JP3766133B2 - プリント基板の3次元回路設計支援システム - Google Patents

プリント基板の3次元回路設計支援システム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリント基板の実装設計作業に用いられる3次元設計支援システムに関するものである。
近年では、情報機器に対する小型化要求が大きくなっており、これに応じて、多種多様な部品が1枚のプリント基板に高密度に実装され、更に、多数のプリント基板が限られたスペースに搭載されるようになった。
このため、個々のプリント基板の3次元設計を支援する技術および他のプリント基板や筐体との間の干渉チェック作業を迅速化するための技術の重要性が増大しており、特に、部品や基板の3次元形状モデルを簡易に作成する技術が必要とされている。
【0002】
【従来の技術】
図14に、従来の3次元回路設計システムの構成例を示す。
図14に示した3次元回路設計システムにおいて、図形データライブラリ401は、プリント基板および各部品の3次元形状を表す3次元モデルを蓄積しており、描画処理部402は、入力受付部403を介して受け取った利用者からの指示に応じて、プリント基板そのものおよび配置される個々の部品を表す描画データを作成する構成となっている。
【0003】
また、表示処理部404は、この描画データに基づいて、部品がプリント基板に実装された形状を表す表示データを作成し、ディスプレイ405による表示処理に供する構成となっている。
【0004】
上述した3次元回路設計システムにおいては、利用者からの指示に応じて、図形データライブラリ401に登録されている3次元モデルを配置することにより、該当する部品を実装した状態のプリント基板の形状を表す3次元モデルが作成され、干渉チェック処理などに供される。
上述した従来の3次元回路設計作業は、設計者が、電気設計作業で得られた回路図などを参照しつつ、図形データライブラリ401に登録された3次元モデルを組み合わせたり、図形や配線を指定する指示を入力することにより、各部品をプリント基板に実装した状態を表す3次元モデルを作成する作業である。
【0005】
これに対して、特定の電気系2次元CADシステムと特定の3次元CADシステムとの間について、専用インタフェースを用いて、電気設計の際に用いた2次元の設計データから3次元モデルを作成する技術も提案されている。
この専用インタフェースは、プリント基板回路の実装設計で用いられた各部品およびプリント基板の実形状を表す2次元の図形データと各部品のプリント基板上での配置を示す配置データとを電気系2次元CADシステムから受け取り、これらの図形データと配置情報とに基づいて、出力先の3次元CADシステムにおいて、プリント基板上に部品が配置された状態を表す2次元の図形データを作成し、3次元モデルの作成処理に供する構成となっている。
【0006】
この場合は、3次元CADシステムにおいて、上述した2次元の図形データを編集し、各部品を表す図形それぞれに高さを示す情報を付加することにより、実装済みのプリント基板を表す3次元モデルを作成し、干渉チェック処理に供することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
図14に示した3次元回路設計システムのように、3次元CADを単純に利用した場合には、プリント基板回路の2次元の実装設計作業と3次元設計作業とは全く独立しており、2次元の実装設計作業で用いられた各部品やプリント基板の形状データは設計者によって参照される程度で、有効に活用されているとは言えない。
【0008】
この場合は、2次元の実装設計に利用する2次元CADシステムと3次元CADシステムとの間に、データの互換性などが要求されることはないが、個々の部品やプリント基板の形状を示す3次元モデルを図形データライブラリ401に予め登録しておくか、利用者が必要な部品を表すための図形を描画する操作を行って、新規に3次元モデルを作成する必要があり、3次元設計作業が非常に煩雑である。
【0009】
一方、専用インタフェースを利用する場合は、2次元CADシステムで用いられた図形データをそのまま3次元CADシステムで有効に活用することができ、設計者の作業負担を大幅に軽減することができる。
しかしながら、この専用インタフェースは、特定の2次元CADシステムから特定の3次元CADシステムへ設計データを渡すことのみが可能であるにすぎないので、汎用性は全くない。
【0010】
また、2次元CADシステムで用いた各部品やプリント基板の実形状をそのまま3次元CADシステムに適合する形式に変換するので、多種多様で複雑な形状の部品がプリント基板に高密度で実装される場合には、3次元モデルを作成するために膨大な処理時間が必要となってしまう。
ところで、実装済みプリント基板の3次元モデルは、主に、3次元CADシステムにおいて、プリント基板相互あるいは各プリント基板と筐体とについて、部品などが接触するか否かを判定する干渉チェックを行う際に用いられている。
【0011】
ここで、この干渉チェックの際には、例えば、プリント基板相互あるいは筐体との距離が各部品の高さの最大値よりも大きければ、チェック対象のプリント基板は干渉しないと判断することができるから、実装済みのプリント基板を表す3次元モデルにおいて、全ての部品について詳細な形状を忠実に再現する必要はない。
【0012】
その一方、干渉が検出された場合には、プリント基板回路の実装設計や場合によっては、電気設計まで遡って設計変更を行う必要性が生じるため、干渉チェックのために3次元モデルを作成する作業に要する時間を短縮する技術の重要性は極めて高い。
本発明は、利用する2次元CADシステムや3次元CADシステムにかかわらず、2次元の図形データを利用して、簡易に3次元モデルを作成可能な3次元設計支援システムを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
図1は、本発明にかかわる3次元回路設計支援システムの原理ブロック図である。
本発明にかかわる3次元回路設計支援システムの基礎となる構成は、プリント基板に実装される各部品およびプリント基板そのものの2次元形状モデルと、プリント基板上における各部品の配置に関する配置情報とからなる2次元設計情報を入力する設計情報入力手段111と、各部品およびプリント基板について、高さ方向の形状に関する高さ情報を入力する高さ情報入力手段112と、各部品およびプリント基板の2次元形状モデルと対応する高さ情報とを合成して、各部品およびプリント基板の3次元モデルを作成する合成手段113と、合成手段113で得られた3次元モデルと配置情報とを組み合わせて、各部品を実装したプリント基板を表す3次元モデルを作成するモデル作成手段114とを備えている。
【0014】
このように構成された3次元回路設計支援システムでは、設計情報入力手段111および高さ情報入力手段112によって入力された各部品に対応する2次元形状モデルと高さ情報とに基づいて、合成手段113が動作することにより、各部品およびプリント基板それぞれの3次元モデルを作成することができ、モデル作成手段114が、配置情報に従ってこれらの3次元モデルを組み立てることにより、各部品が実装されたプリント基板を表す3次元モデルを自動的に作成することができる。
【0015】
上述した構成の3次元回路設計支援システムに備えられたモデル作成手段114を、作成した3次元モデルを構造系3次元CAD標準データ交換ファイルに格納し、3次元回路設計処理に供する構成とすることにより、作成した3次元モデルを様々な構造系3次元CADシステムで利用可能とすることができる。
【0016】
また、上述した3次元回路設計支援システムに備えられる設計情報入力手段111を、プリント基板の2次元の実装設計に用いられた2次元形状モデルおよび配置情報を電気系CAD標準データ交換ファイルの形式で格納する2次元設計情報ファイル121と、2次元設計情報ファイル121から2次元形状モデルおよび配置情報を読み出して、それぞれ合成手段113およびモデル作成手段114の処理に供する読出手段122とを備えた構成とすることも可能である。
【0017】
上述した構成の3次元回路設計支援システムでは、読出手段122が、2次元設計情報ファイル121から2次元形状モデルと配置情報とを読み出して、合成手段113およびモデル作成手段114の処理に供することにより、プリント基板の2次元の実装設計に用いられた設計情報を3次元モデル作成処理に有効活用することができる。
これらのことを考慮した本発明にかかわる3次元回路設計システムの基本構成を以下に示す。
本発明にかかわる3次元回路設計支援システムは、プリント基板に実装される各部品およびプリント基板そのものの2次元形状モデルと、プリント基板上における各部品の配置に関する配置情報とからなる2次元設計情報を入力する設計情報入力手段111と、各部品およびプリント基板について、高さ方向の形状に関する高さ情報を入力する高さ情報入力手段112と、各部品およびプリント基板の2次元形状モデルと対応する高さ情報とを合成して、各部品およびプリント基板の3次元モデルを作成する合成手段113と、合成手段113で得られた3次元モデルと配置情報とを組み合わせて、各部品を実装したプリント基板を表す3次元モデルを作成するモデル作成手段114とを備え、設計情報入力手段111は、プリント基板の2次元の実装設計に用いられた2次元形状モデルおよび配置情報を電気系CAD標準データ交換ファイルの形式で格納する2次元設計情報ファイル121と、2次元設計情報ファイル121から2次元形状モデルおよび配置情報を読み出して、それぞれ合成手段113およびモデル作成手段114の処理に供する読出手段122とを備え、読出手段122は、範囲指定指示の入力に応じて、該当する範囲内に配置された部品からなる部品群に関する配置情報と、部品群に含まれる各部品に対応する2次元形状モデルとを2次元設計情報ファイル121から抽出する部品群抽出手段123と、部品群に関する配置情報と2次元形状モデルとに基づいて、部品群の分布範囲を含む図形を表す図形データを作成し、部品群に対応する2次元形状モデルとして合成手段113の処理に供する部品合成手段124とを備えた構成であることを特徴とする。
【0018】
上述した構成の3次元回路設計支援システムでは、更に、範囲指定指示に入力に応じて、部品群抽出手段123と部品合成手段124とが動作することにより、指定範囲に分布する部品をまとめて1つの部品として扱うことが可能となる。
本発明にかかわる第2の3次元回路設計支援システムは、上述した3次元回路設計支援システムの基本構成において、読出手段122は、各部品に対応する2次元形状モデルを2次元形状モデルが表す図形の面積に基づいて、3次元モデルを作成すべき部品を判別する判別手段125と、判別手段125による判別結果に応じて、該当する部品に対応する2次元形状モデルおよび対応する配置情報を2次元設計情報ファイル121から抽出し、それぞれ合成手段113およびモデル作成手段114に送出する情報抽出手段126とを備えた構成であることを特徴とする。
【0019】
上述した構成の3次元回路設計支援システムでは、判別手段125による判別結果に応じて、情報抽出手段126が動作することにより、2次元形状モデルの面積に基づいて、3次元モデルを作成すべきであるとされた各部品に関する情報のみを選択的に合成手段113およびモデル作成手段114に送出することができる。
また、上述した3次元回路設計支援システムの基礎となる構成において、高さ情報入力手段112を、全ての部品について一律の高さを与える高さ情報を合成手段113の処理に供する構成とすることもできる。
【0020】
このように構成された3次元回路設計支援システムでは、高さ情報入力手段112の動作により、合成手段113は、全ての部品について同一の高さを与えて3次元モデルを作成するので、個々の部品の高さ方向の寸法のばらつきを無視して、3次元モデルの作成処理を単純化することができる。
また、上述した3次元回路設計支援システムの基礎となる構成において、高さ情報入力手段112を、各部品およびプリント基板のそれぞれについて、対応する2次元図形で示される領域に一様な高さを与える旨の高さ情報を入力する構成とすることもできる。
【0021】
このように構成された3次元回路設計支援システムでは、高さ情報入力手段112の動作により、合成手段113により、各部品に対応する3次元モデルにそれぞれ異なる高さを与えるので、各部品の高さ方向の寸法を3次元モデルに反映することができる。
図2に示すように、上述した構成に加えて、更に、各部品およびプリント基板の2次元形状モデルのそれぞれを所定の条件を満たす矩形に変換し、この矩形を表す図形データをそれぞれの2次元形状モデルとして合成手段113に送出する矩形変換手段116を備えて構成することもできる
【0022】
このように構成された3次元回路設計支援システムでは、矩形変換手段116の動作により、各部品およびプリント基板の2次元モデルが、単純な矩形を表す図形データに変換された後に、合成手段113の処理に供されるので、合成手段113による3次元モデル作成処理を大幅に簡易化することができる。
また更に、設計情報入力手段111を、各部品の2次元形状モデルとして、実装する際に占有する範囲を示す実装限界形状を表す図形データを入力する構成とすることもできる。
【0023】
このように構成された3次元回路設計支援システムでは、設計情報入力手段111から受け取った各部品の実装限界形状に応じて、矩形変換手段116が動作することにより、各部品がプリント基板に実装される際の占有範囲に応じた3次元モデル作成することができる。
また一方、設計情報入力手段111を、各部品およびプリント基板の2次元形状モデルとして、実装設計処理の際に用いた実形状を表す図形データを入力する構成としてもよい。
【0024】
このように構成された3次元回路設計支援システムでは、設計情報入力手段111から受け取った各部品およびプリント基板の実形状を表す図形データに基づいて、矩形変換手段116が動作することにより、各部品およびプリント基板の実形状を単純化した矩形に応じた3次元モデルを作成することができる。
【0025】
また、上述した矩形変換手段116に、各部品およびプリント基板の2次元形状モデルから、それぞれの2次元形状が占める範囲の境界を示す境界情報を抽出する境界抽出手段131と、境界情報で示される図形が外接する図形を表す図形データを作成して、2次元形状モデルとして出力する外接図形作成手段132とを備えて構成することもできる。
【0026】
このような矩形変換手段116を備えた3次元回路設計支援システムでは、2次元形状モデルの入力に応じて、境界抽出手段131と外接図形作成手段132とが動作することにより、2次元形状モデルで表される図形の境界に外接する矩形を表す図形データを作成し、合成手段113の処理に供することができる。
本発明にかかわる第3の3次元回路設計支援システムは、図3に示すように、上述した3次元回路設計支援システムの基本構成において、各部品およびプリント基板の2次元形状モデルのそれぞれを所定の条件を満たす矩形に変換し、この矩形を表す図形データをそれぞれの2次元形状モデルとして合成手段113に送出する矩形変換手段116を備え、この矩形変換手段116で作成された2次元形状モデルに実形状を表す図形データを補助情報として付加し、合成手段113の処理に供する付加手段117を備え、合成手段113は、矩形変換手段116で得られた2次元形状モデルで示される矩形を底辺とする直方体の3次元モデルを作成する直方体モデル作成手段133と、補助情報で示される図形データに従って、3次元モデルの底辺に実形状を表す図形を重ねて表す図形データを作成し、3次元モデルに付加する実形状付加手段134とを備えた構成であることを特徴とする。
【0027】
このように構成された第3の3次元回路設計支援システムでは、付加手段117によって実形状を表す情報が付加された2次元形状モデルの入力に応じて、直方体モデル作成手段133と実形状付加手段134とが動作することにより、実形状を単純化した矩形に基づいて作成した直方体の3次元モデルとともに、実形状を表す図形データを3次元設計作業に供することが可能となる。
【0028】
上述した矩形変換手段を備えた3次元回路設計支援システムにおいて、設計情報入力手段111は、プリント基板の2次元の実装設計に用いられた2次元形状モデルおよび配置情報を所定の形式で格納する2次元設計情報ファイル121と、部品指定情報の入力に応じて、指定された部品およびプリント基板の実形状を表す2次元形状モデルを2次元設計情報ファイル121から選択的に読み出して、直接に合成手段113に送出し、他の部品およびプリント基板に対応する2次元形状モデルを矩形変換手段116の処理に供する選択読出手段135とを備えた構成とすることもできる。
【0029】
このように構成された3次元回路設計支援システムでは、部品指定情報の入力に応じて、選択読出手段135が動作することにより、指定された部品に対応して2次元設計情報
ファイル121に格納された実形状を表す2次元形状モデルに基づいて、該当する部品について、選択的に2次元形状を忠実に反映した3次元モデルを作成することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0031】
図4は、本発明が適用される3次元回路設計支援システムの構成例を示す図である。
図4において、形状モデルファイル201と配置情報ファイル202とは、図1に示した2次元設計情報ファイル121に相当するものであり、例えば、JPCA(Japan Print Circuit board Association) による標準データ交換フォーマットに従って、各部品およびプリント基板の2次元形状を表す2次元形状モデルとプリント基板上における各部品の配置を表す配置情報とをそれぞれ格納している。
【0032】
図4に示したモデル作成処理部210は、キーボードやマウスなどの入力装置203を介して入力される利用者からの指示に応じて、上述した形状モデルファイル201と配置情報ファイル202と部品情報ライブラリ204とを参照し、実装済みのプリント基板を表す3次元モデルを作成し、3次元モデルファイル205を介して、3次元CADシステム206の処理に供する構成となっている。
【0033】
ここで、形状モデルファイル201は、各部品およびプリント基板を示す部品名の実形状を表す図形データを格納する実形状格納部207と、各部品をプリント基板に実装する際に占有する矩形の領域を示す実装限界寸法をそれぞれ格納する実装限界格納部208と、各部品およびプリント基板を示す部品名に対応して、それぞれの図形データおよび実装限界寸法の格納場所を示す部品リスト209とから構成されている。
【0034】
なお、図5に、様々な形状の部品について、それぞれの2次元平面図および実装限界寸法を示す。
図5(a) に示すように、ICやLSIなどの部品については、ピンの部分を含めた幅Wと部品の長さDとが実装限界寸法として、実装限界格納部208に格納されており、また、ピンの部分を含まない矩形を表す図形データが実形状格納部207に格納されている。また、図5(b) に示すように、コンデンサなどの円筒形の部品については、その直径Wが実装限界寸法として実装限界格納部208に格納されており、直径Wの円を表す図形データが実形状格納部207に格納されている。一方、図5(c) に示すように、部品が直方体と円筒との組合せなどによって表される場合には、組み合わされる各要素の幅および長さの最大値が実装限界寸法として実装限界格納部208に格納されている。
【0035】
また、プリント基板については、図5(d) に示すように、切り欠きや穴、突起などを含む詳細な図形データを実形状格納部207に格納しておけばよい。
また、部品情報ライブラリ204は、各部品およびプリント基板をそれぞれ示す部品名に対応して、例えば、それぞれの部品の高さの最大値H(図5参照)を高さ情報として格納する構成となっている。
【0036】
図4に示したモデル作成処理部210において、読込処理部211は、図1に示した読出手段122に相当するものであり、作成制御部212からの指示に応じて、上述した実形状格納部207あるいは実装限界格納部208からそれぞれ図形データあるいは実装限界寸法を読み出して、矩形化処理部213に送出する構成となっている。
【0037】
また、図4に示した検索処理部215は、作成制御部212からの指示に応じて、部品情報ライブラリ204から指定された部品名に対応する高さ情報を検索することにより、図1に示した高さ情報入力手段112の機能を実現し、各部品に対応する高さ情報を部品モデル作成部214の処理に供する構成となっている。
【0038】
この部品モデル作成部214は、入力される図形データで表される図形を底面とし、検索処理部215からの高さ情報で示される高さを持つ立体を表す図形データを作成し、登録処理部216を介して、該当する部品の3次元部品モデルとして部品モデルライブラリ217に登録する構成となっている。
また、図4に示した解釈処理部218は、作成制御部212からの指示に応じて、配置情報ファイル202に格納された配置情報を解釈し、この解釈結果をモデル検索部219および組立処理部220の処理に供する構成となっている。
【0039】
図4において、モデル検索部219は、この解釈結果で指定された部品の3次元モデルを部品モデルライブラリ217から検索して、組立処理部220の処理に供する構成となっている。
また、この組立処理部220は、モデル作成手段114に相当するものであり、上述した解釈結果に基づいて、3次元モデルファイル205に格納された3次元モデルに、受け取った3次元部品モデルを順次に組み込んでいくことにより、実装済みのプリント基板を表す3次元モデルを構築する構成となっている。
【0040】
図6に、3次元モデル作成動作を表す流れ図を示す。
まず、作成制御部212は、部品リスト209を参照し、利用者からの指示に応じて、読込処理部211に対する指示を作成し、各部品についての読込動作を制御する。
このとき、利用者により、部品の実形状からの矩形化を行う旨が指示された場合(ステップ301の肯定判定)は、作成制御部212からの指示に応じて、読込処理部211が、実形状格納部207から指定された部品あるいはプリント基板の輪郭を表す図形データを読み出して(ステップ302)、矩形化処理部213に送出すればよい。
【0041】
このように、作成制御部212からの指示に応じて、読込処理部211が動作することにより、実形状格納部207と読込処理部211とにより、設計情報入力手段111の2次元形状モデル入力機能を実現するとともに、図2に示した境界抽出手段131の機能を果たすことができる。
また、上述した図形データの入力に応じて、矩形化処理部213は、図2に示した外接図形作成手段132として動作し、受け取った図形データで表される部品あるいはプリント基板の輪郭に外接する矩形を表す図形データを作成し(ステップ303)、部品モデル作成部214の処理に供すればよい。
【0042】
これにより、例えば、図5(b) に示した円筒形のコンデンサの2次元形状は、対応する2次元形状に外接する矩形(図5(b) において点線で示す)に変換される。
一方、実装限界寸法を利用する旨が指示された場合(ステップ301の否定判定)は、作成制御部212からの指示に応じて、読込処理部211は、実装限界格納部208から指定された実装限界寸法を読み出し(ステップ304)、矩形化処理部213の処理に供すればよい。
【0043】
このように、作成制御部212からの指示に応じて、読込処理部211が実装限界格納部208からの読込処理を行うことにより、図2に示した設計情報入力手段111の機能を実現することができる。
また、この実装限界寸法の入力に応じて、矩形化処理部213は、指定された幅Wおよび長さDに基づいて、矩形を表す図形データをそれぞれ作成し(ステップ305)、部品モデル作成部214の処理に供すればよい。
【0044】
これにより、例えば、図5(a) に示したLSIの2次元形状は、ピンに対応する部分の幅を含めた矩形(図5(a) において点線で示す)に変換される。
上述したようにして得られた矩形を表す図形データと、検索処理部215を介して部品情報ライブラリ204から得られる該当する部品の高さ情報とに基づいて、部品モデル作成部214は、図5(a)〜(c)に各部品形状に対応して示すような直方体を表す3次元モデルを作成し(ステップ306)、対応する部品名とともに登録処理部216の処理に供すればよい。
【0045】
このとき、部品モデル作成部214は、例えば、IGES(Initial Graphics Exchange Specification)による構造系3次元CADシステムの標準交換ファイルのフォーマットに従って、上述した直方体を表す3次元図形データを作成し、登録処理部216は、この3次元図形データを指定された部品名に対応する3次元モデルとして、部品モデルライブラリ217に登録すればよい。
【0046】
その後、作成制御部212は、部品リスト209に登録された全ての部品についての3次元モデル作成処理が終了したか否かを判定し(ステップ307)、否定判定の場合は、ステップ301に戻って、次の部品に対応する3次元部品モデルの作成処理を行えばよい。
このようにして、各部品およびプリント基板に対応する3次元部品モデルを順次に作成していき、全ての部品についての処理が終了したときに、ステップ307の肯定判定となり、これに応じて、作成制御部212は、解釈処理部218に配置情報の解釈動作の開始を指示すればよい。
【0047】
これに応じて、解釈処理部218が動作を開始し、この解釈結果に応じて、まず、部品検索部219により、部品モデルライブラリ217からプリント基板に対応する3次元部品モデルが検索され、組立処理部220を介して3次元モデルファイル205に展開される(ステップ308)。
次に、配置情報ファイル202に格納された配置情報それぞれについて、解釈処理部218によって得られた解釈結果に応じて、部品検索部219は、該当する3次元部品モデルを部品モデルライブラリ217から検索し(ステップ309)、組立処理部220は、部品検索部219から受け取った3次元部品モデルを組み立てて、3次元モデルファイル205に追加すればよい(ステップ310)。
【0048】
このとき、解釈処理部218は、組立対象の部品を示す部品名を部品検索部219に指定して検索処理を指示するとともに、この部品を配置すべき位置を示す情報として、その中心位置を示す座標を組立処理部220に指示すればよい。
この場合に、組立処理部220は、解釈処理部218からの指示で指定された座標に基づいて、部品検索部219から受け取った3次元部品モデルと3次元モデルファイル205内の3次元モデルとを合成し、合成結果によって3次元モデルファイル205を更新すればよい。
【0049】
その後、全ての配置情報を解釈したか否かを判定し(ステップ311)、否定判定の場合は、ステップ309に戻って、解釈処理部218により、つぎの配置情報に基づく組立処理が行われる。
このように、解釈処理部218からの指示に応じて、部品検索部219および組立処理部220が動作することにより、モデル作成手段114の機能を実現し、配置情報に基づいて、各部品に対応する3次元部品モデルを組み合わせて、これらの部品が実装されたプリント基板を表す3次元モデルを作成することができる。
【0050】
また、ステップ310において、組立処理部220が、上述したIGESによる構造系3次元CADシステムの標準交換ファイルのフォーマットに従って、合成結果を表す3次元図形データを作成すれば、これらの各部によって、図1に示したファイル作成手段115の機能を実現することができる。
上述したようにして、プリント基板に実装される全ての部品に関する配置情報で示される全ての部品に対応する3次元部品モデルの組立処理が終了したときに、ステップ316の肯定判定として、3次元モデル作成処理を終了し、3次元モデルファイル205の内容を3次元CADシステムに渡せばよい。
【0051】
このようにして、電気系CADの標準交換ファイルに含まれる2次元形状データおよび配置情報と、部品情報ライブラリ204で示された高さ情報とに基づいて、実装済みのプリント基板を表す3次元モデルを自動的に作成することが可能となり、設計者の作業負担を大幅に軽減し、3次元設計作業に要する時間を飛躍的に短縮することができる。
【0052】
特に、入力情報として、電気系CADの標準交換ファイルを利用し、また、構造系3次元CADの標準ファイルを出力する構成としたことにより、従来の専用インタフェースを用いた技法における課題であった汎用性の問題を解決し、様々なCADシステムで作成された2次元設計の情報を利用し、また、様々な3次元CADシステムにおいて、作成した3次元モデルを利用することができる。
【0053】
なお、電気系CADの標準交換ファイルとして、EDIF (Electric DesignInterchange Format)による標準交換ファイルを利用してもよい。また、構造系3次元CADの標準交換ファイルとして、STEP(STandard for the Exchange of Product model data)による標準交換ファイルを採用してもよい。
また、各部品およびプリント基板の2次元形状を単純な矩形に変換してから、3次元モデル化する構成としたことにより、各部品に対応する3次元モデルを作成する処理に要する時間を大幅に短縮し、全体としての処理の高速化を図ることができる。
【0054】
これにより、2次元電気設計結果を迅速に3次元設計情報に反映し、干渉チェック作業や熱解析作業などの3次元設計処理に供することができ、これらの作業結果からのフィードバックにも迅速に対応することが可能となる。
また、全ての部品に同一の高さを与える構成としてもよい。
【0055】
この場合は、上述した部品情報ライブラリ204および検索処理部215を設ける代わりに、入力装置203を介して、例えば、各部品の高さの最大値を入力し、直接に部品モデル作成部214の処理に供すればよい。
【0056】
すなわち、利用者がキーボード203を操作して、全ての部品に対応する高さを一律とすることにより、各部品に対応する3次元部品モデルの作成処理を更に簡易化し、全体としての処理の高速化を図ることができる。
次に、3次元モデルを作成する処理を更に高速化する方法について説明する。
【0057】
図7に、本発明にかかわる3次元回路設計支援システムの第1の実施形態を示す。
図7に示した形状ファイル変換部230において、範囲指定受付部231は、利用者からの範囲指定指示を受け付け、この範囲指定指示に応じて、部品群抽出部232が、配置情報ファイル202から該当する範囲に配置された部品に関する情報を部品群を示す情報(以下、部品群情報と称する)として抽出する構成となっている。
【0058】
ここで、部品群抽出部232は、図8(a) に点線で囲って示した指定範囲の内部に配置されている部品について、それぞれの部品名および中心座標を配置情報ファイル202から抽出すればよい。
この場合は、上述した範囲指定受付部231と部品群抽出部232とにより、図1に示した部品群抽出手段123の機能が実現されており、指定された範囲に含まれるとして判別された部品からなる部品群に関する部品群情報が、図1に示した部品合成手段124に相当する図形データ変換部233の処理に供されている。
【0059】
図7に示した図形データ変換部233において、図形検索部234は、部品群情報で示された各部品名に基づいて、形状モデルファイル201から該当する2次元モデルを検索し、配置モデル作成部235は、これらの2次元モデルを部品群情報に従って配置して、部品群に含まれる各部品の配置状態を表す配置モデルを作成し、分布範囲検出部236の処理に供する構成となっている。
【0060】
この分布範囲検出部236は、配置モデルに基づいて、上述した各部品の分布範囲を抽出し、この分布範囲を表す情報として、例えば、分布範囲の寸法を表す寸法情報を形状モデル登録部237を介して形状モデルファイル201に登録する構成となっている。
これに応じて、形状モデル登録部237は、この寸法情報を実装限界寸法として実装限界格納部208に格納するとともに、上述した部品群に新しい部品名を与え、この部品名に対応して上述した実装限界寸法の格納場所に関する情報を部品リスト209に登録すればよい。
【0061】
この場合は、図4に示した3次元モデル作成処理部210の読込処理部211が、作成制御部212からの指示に応じて、上述したステップ302あるいはステップ304と同様に動作することにより、予め形状モデルファイル201に格納されていた各部品およびプリント基板の形状を表す情報とともに、上述した部品群の形状を表す情報が矩形化処理部213の処理に供される。
【0062】
すなわち、上述した範囲指定受付部231と部品群抽出部232と図形データ変換部233および読込処理部211とにより、図1に示した設計情報入力手段111の2次元形状情報入力機能を実現する構成となっている。
また、図7において、配置情報作成部238は、図形データ変換部233から部品群に対応する2次元部品モデルおよび配置モデルを受け取り、これらの情報に基づいて、部品群に対応する配置情報を作成し、置換処理部239の処理に供する構成となっている。
【0063】
この置換処理部239は、上述した部品群情報で示された各部品についての配置情報に代えて、配置情報作成部238で得られた新しい配置情報を配置情報ファイル202に格納すればよい。
このように、配置情報作成部238と置換処理部239とが動作して、配置情報ファイル202の内容を変更し、3次元モデル作成処理部210の解釈処理部218の処理に供することにより、図1に示した設計情報入力手段111の配置情報入力機能を実現することができる。
【0064】
この場合は、解釈処理部218による解釈結果に応じて、組立処理部220が動作することにより、部品群として判別された複数の部品それぞれに対応する3次元部品モデルを配置する処理を行う代わりに、部品群に対応する1つの3次元部品モデルを配置する処理が行われ、図8(b) 斜線を付して示すように、各部品群の分布範囲に基づいて得られた3次元部品モデルが配置される。
【0065】
つまり、部品群として、複数の部品をまとめて扱うことにより、実装済みプリント基板の3次元モデルを作成する処理において、個々に3次元部品モデルを配置すべき部品数を大幅に削減することができるから、全体として処理に要する時間を短縮し、3次元モデル作成処理を高速化することができる。
一方、作成する3次元部品モデルの数を削減することも可能である。
【0066】
図9に、本発明にかかわる3次元回路設計支援システムの第2の実施形態を示す。
図9において、面積算出部241は、形状モデルファイル201を参照し、各部品の2次元形状を表す図形の面積を算出し、比較処理部242は、各部品について得られた面積と所定の閾値とを比較して、この比較結果をフラグ操作部243および削除処理部244の処理に供する構成となっている。
【0067】
また、図9において、形状モデルファイル201の部品リスト245は、上述した部品リスト209に、各部品名に対応して該当する部品の3次元部品モデルを作成するか否かを示すフラグを付加した構成となっており、上述したフラグ操作部243は、比較処理部242による比較結果に応じて、このフラグを操作する構成となっている。
【0068】
ここで、上述したフラグ操作部243は、部品に対応する面積が閾値よりも大きい旨の比較結果に応じて上述したフラグをセットして、該当する部品についての3次元部品モデル作成が必要である旨を示し、閾値以下である旨の比較結果に応じて、フラグをリセットして3次元部品モデル作成処理が不要である旨を示せばよい。
【0069】
この場合に、作成制御部212は、上述した部品リスト245のフラグにより3次元部品モデルの作成が必要である旨が示された部品について、読込処理部211に2次元モデルの読込処理を指示すればよい。
このように、面積算出部241で得られた各部品に対応する面積に応じて、比較処理部242およびフラグ操作部243が動作することにより、図1に示した判別手段125の機能を実現し、部品リスト209に判別結果を反映することができる。
【0070】
また、この部品リスト209に基づいて、作成制御部212と読込処理部211とが動作することにより、全体として、図1に示した設計情報入力手段111の2次元形状入力機能を実現し、所定の閾値以上の面積を有する部品に対応する2次元形状のみを選択的に3次元部品モデル作成処理に供することができる。
これにより、抵抗などの微小な部品についての3次元部品モデル作成処理を省略し、3次元部品モデル作成処理に要する時間を短縮することができるから、全体として、3次元モデルの作成処理を高速化することができる。
【0071】
また、削除処理部244は、部品に対応する面積が閾値以下である旨の比較結果の入力に応じて、配置情報ファイル202から該当する部品に関する配置情報を検出し、検出した配置情報を削除すればよい。
この場合は、削除処理部244によって該当する配置情報が削除された配置情報ファイル202を解釈処理部218の処理に供することにより、図1に示した情報抽出手段126の機能を実現することができ、微小な部品に対応する3次元部品モデルの組立処理を省略し、組立処理に要する時間を大幅に短縮することが可能となる。
【0072】
例えば、図8(a) において、斜線を付して示した微小な部品を排除する場合は、この部品に対応する3次元モデルを作成する処理とともに、この部品を配置情報に従って3次元モデルに組み込む処理も省略される。
したがって、図8(c) に示すように、上述した微小な部品を含まない簡略化された3次元モデルが作成され、3次元モデルファイル205を介して、3次元CADシステム206の処理に供される。
【0073】
このようにして、3次元モデル化する部品の数を削減したり、複数の部品をまとめてモデル化したりした場合は、当然ながら、作成される3次元モデルの正確度は低くなる。
しかしながら、実際の3次元設計作業においては、例えば、干渉チェックなどのように、簡略化された3次元モデルによって十分に検証可能な作業も多くあり、必ずしも精密な3次元モデルは必要ではない。
【0074】
むしろ、詳細な実装設計を詰める前に、他のプリント基板や筐体との干渉によって、配置の変更が必要となるか否かを迅速にチェックする必要性の方が重大である。上述した3次元モデル作成処理の高速化技術は、このような要望に応えるものであり、設計の初期段階において、迅速に干渉チェック作業を行うことを可能とするので、プリント基板の設計技術に貢献するところが大きい。
【0075】
その一方、3次元設計の最終段階では、例えば、機構解析や衝撃解析などの作業に際して、精密な3次元モデルが必要とされる場合もある。
次に、実装済みのプリント基板について、精密な3次元モデルを作成する処理を支援する方法について説明する。
図10に、本発明にかかわる3次元回路設計支援システムの第3の実施形態を示す。
【0076】
図10に示した3次元モデル作成処理部210において、読込処理部251は、作成制御部212からの指示に応じて、形状モデルファイル201から指定された部品の2次元形状に関する情報を読み出して、矩形化処理部213の処理に供するとともに、図3に示した付加手段117として動作し、該当する部品の実形状を表す2次元モデルを図形データ変換部252を介して付加処理部253に送出する構成となっている。
【0077】
この図形データ変換部252は、受け取った図形データを構造系3次元CADシステムの標準交換ファイルに従ったフォーマットに変換し、付加処理部253は、この変換結果と部品モデル作成部214によって各部品について得られた直方体を表す3次元部品モデルとを受け取って、この3次元部品モデルの一方の底面に上述した変換結果として得られた図形データを重ね合わせ、最終的な3次元部品モデルとして出力し、登録処理部216の処理に供する構成となっている。
【0078】
このように、図形データ変換部252からの変換結果の入力に応じて、付加処理部253が動作することにより、図3に示した直方体モデル作成手段133に相当する部品モデル作成部214で得られた3次元部品モデルに、実形状に関する情報を付加することができ、図3に示した実形状付加手段134の機能を果たすことができる。
【0079】
この場合に得られる各部品およびプリント基板の3次元部品モデルは、図11に示すように、直方体の底面に実形状を表す2次元図形を重ね合わせた形状となり、これらの3次元部品モデルを組み合わせて得られた実装済みのプリント基板を表す3次元モデルが、3次元CADシステム206の処理に供される。
したがって、この場合は、3次元CADシステム206において、設計者は、各部品およびプリント基板の2次元の実形状を参照しながら3次元モデルの編集作業を進めることが可能であり、3次元CADシステム206における編集作業を支援することができる。
【0080】
ここで、上述した付加処理部253の処理は単純な処理であるから、この処理を付加したことによる処理時間の増大はわずかである。
一方、部品の形状が複雑である場合には、複雑な実形状をそのまま用いて3次元部品モデルを作成する場合に比べて、3次元CADシステム206において、直方体の底面に重ね合わされた2次元図形を参照しながら、該当する3次元部品モデルを編集する方がむしろ簡単であるから、この技法を利用することにより、精密な3次元モデルを迅速に作成することができる。
【0081】
もちろん、読込処理部211によって読み込んだ2次元モデルを直接に部品モデル作成部214に入力し、3次元部品モデルの作成処理に供する構成とすれば、全ての部品について、詳細な2次元モデルに基づいた3次元部品モデルを作成することができ、これらの3次元部品モデルを組み合わせることにより、実装済みのプリント基板についての精密な3次元モデルを作成することができる。
【0082】
また、例えば、干渉チェック作業の際に、干渉している可能性が高い部分が検出された場合に、該当する範囲に配置された一部の部品について、選択的に精密な3次元部品モデルを作成することもできる。
図12に、本発明にかかわる3次元回路設計支援システムの別実施形態を示す。
図12において、部品群抽出部232は、範囲指定受付部231を介して入力された範囲指定情報に基づいて、配置情報ファイル202から該当する範囲に含まれる各部品を抽出し、これらの各部品を示す部品名をフラグ操作部254の処理に供する構成となっている。
【0083】
また、図12において、形状モデルファイル201の部品リスト255は、部品名に対応して、2次元形状情報の格納場所と実形状によるモデル化を行うか否かを示すフラグとを格納する構成であり、作成制御部256は、この部品リスト255のフラグに応じて、読込処理部211によって読み込まれる2次元形状情報の出力先を制御する構成となっている。
【0084】
この場合は、上述したフラグ操作部254が、抽出された各部品を示す部品名の入力に応じて、この部品リスト255の該当するフラグをセットし、これに応じて、作成制御部256が、読込処理部211に対して、該当する部品に対応する2次元モデルを部品モデル作成部214に送出する旨を指示すればよい。
このようにして、範囲指定受付部231からの指示に応じて、部品群抽出部232とフラグ操作部254とが動作することにより、部品リスト255のフラグによって、請求項13で述べた部品指定情報を入力することができ、これに応じて、作成制御部256および読込処理部211が動作することにより、図3に示した選択読出手段135の機能を実現することができる。
【0085】
これにより、例えば、図13(a) に示すように、上述した範囲指定受付部231を介して、プリント基板相互の干渉が検出された範囲を指定し、再度、実装済みのプリント基板の3次元モデル化処理を行うことにより、該当する範囲に配置される各部品についてのみ、詳細な2次元形状に基づいて、精密な3次元モデルを作成することができる(図13(b) 参照)。
【0086】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、プリント基板回路の2次元設計で得られた設計情報を有効に利用し、各部品を実装した状態のプリント基板を表す3次元モデルを自動的に作成することができるから、3次元回路設計作業の際に必要とされる設計者の労力を大幅に削減し、3次元設計作業に要する時間を飛躍的に短縮することができる。
【0087】
特に、電気系CAD標準データ交換ファイルに格納された2次元設計結果を受け取って、作成した3次元モデルを構造系3次元CAD標準データ交換ファイルに出力することにより、2次元CADシステムや3次元CADシステムの機種を問わず、様々なシステムに柔軟に対応することが可能となり、汎用性の高い3次元回路設計支援システムを提供することができる。
【0088】
更に、2次元設計情報から簡易化した3次元モデルを作成することにより、2次元設計結果を迅速に干渉チェック作業に供することが可能となり、干渉チェックからのフィードバックにも柔軟に対応することができる。
また、3次元モデルの簡易化を適用するとともに、3次元モデルの少なくとも一部をより精密に表すことにより、処理の高速化のメリットを享受しつつ、3次元CADシステムにおけるより高度な作業に供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかわる3次元回路設計支援システムの原理ブロック図である。
【図2】 本発明が適用される3次元回路設計支援システムの原理ブロック図である。
【図3】 本発明にかかわる3次元回路設計支援システムの原理ブロック図である。
【図4】 本発明が適用される3次元回路設計支援システムの構成例を示す図である。
【図5】 3次元部品モデル作成処理を説明する図である。
【図6】 3次元モデル作成動作を表す流れ図である。
【図7】 本発明にかかわる3次元回路設計支援システムの第1の実施形態を示す図である。
【図8】 3次元モデル作成処理の高速化手法を説明する図である。
【図9】 本発明にかかわる3次元回路設計支援システムの第2の実施形態を示す図である。
【図10】 本発明にかかわる3次元回路設計支援システムの第3の実施形態を示す図である。
【図11】 3次元部品モデルの例を示す図である。
【図12】 本発明にかかわる3次元回路設計支援システムの別実施形態を示す図である。
【図13】 3次元モデル作成処理を説明する図である。
【図14】 従来の3次元回路設計システムの構成例を示す図である。

Claims (3)

  1. プリント基板に実装される各部品および前記プリント基板そのものの2次元形状モデルと、前記プリント基板上における前記各部品の配置に関する配置情報とからなる2次元設計情報を入力する設計情報入力手段と、
    前記各部品および前記プリント基板について、高さ方向の形状に関する高さ情報を入力する高さ情報入力手段と、
    前記各部品および前記プリント基板の2次元形状モデルと対応する高さ情報とを合成して、前記各部品および前記プリント基板の3次元モデルを作成する合成手段と、
    前記合成手段で得られた3次元モデルと前記配置情報とを組み合わせて、前記各部品を実装したプリント基板を表す3次元モデルを作成するモデル作成手段とを備え、
    設計情報入力手段は、
    プリント基板の2次元の実装設計に用いられた2次元形状モデルおよび配置情報を電気系CAD標準データ交換ファイルの形式で格納する2次元設計情報ファイルと、
    前記2次元設計情報ファイルから2次元形状モデルおよび配置情報を読み出して、それぞれ合成手段およびモデル作成手段の処理に供する読出手段とを備えた構成であり、
    前記読出手段は、
    範囲指定指示の入力に応じて、該当する範囲内に配置された部品からなる部品群に関する配置情報と、前記部品群に含まれる各部品に対応する2次元形状モデルとを2次元設計情報ファイルから抽出する部品群抽出手段と、
    前記部品群に関する配置情報と2次元形状モデルとに基づいて、前記部品群の分布範囲を含む図形を表す図形データを作成し、前記部品群に対応する2次元形状モデルとして合成手段の処理に供する部品合成手段とを備えた構成である
    ことを特徴とする3次元回路設計支援システム。
  2. 請求項1に記載の3次元回路設計支援システムにおいて、
    前記読出手段は、
    各部品に対応する2次元形状モデルを前記2次元形状モデルが表す図形の面積に基づいて、3次元モデルを作成すべき部品を判別する判別手段と、
    前記判別手段による判別結果に応じて、該当する部品に対応する2次元形状モデルおよび対応する配置情報を2次元設計情報ファイルから抽出し、それぞれ合成手段およびモデル作成手段に送出する情報抽出手段とを備えた構成である
    ことを特徴とする3次元回路設計支援システム。
  3. 請求項1に記載の3次元回路設計支援システムにおいて、
    各部品およびプリント基板の2次元形状モデルのそれぞれを所定の条件を満たす矩形に変換し、この矩形を表す図形データをそれぞれの2次元形状モデルとして合成手段に送出する矩形変換手段と、
    前記矩形変換手段で作成された2次元形状モデルに前記実形状を表す図形データを補助情報として付加し、合成手段の処理に供する付加手段を備え、
    前記設計情報入力手段は、各部品およびプリント基板の2次元形状モデルとして、実装設計処理の際に用いた実形状を表す図形データを入力する構成であり、
    合成手段は、
    前記矩形変換手段で得られた2次元形状モデルで示される矩形を底辺とする直方体の3次元モデルを作成する直方体モデル作成手段と、
    前記補助情報で示される図形データに従って、前記3次元モデルの底辺に前記実形状を表す図形を重ねて表す図形データを作成し、前記3次元モデルに付加する実形状付加手段とを備えた構成である
    ことを特徴とする3次元回路設計支援システム。
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