JP3765563B2 - 電子部品 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内部部品の端子電極及び端子電極に接続した表面電極を有する電子部品に関する。
【0002】
【従来の技術】
内部にコイル、抵抗、コンデンサ等の部品を積層した積層チップ部品等の電子部品の従来例を図8,図9に示す。かかる従来の電子部品1は、スルーホール3の断面を端子電極として使用し、一対の表面電極2,2が各スルーホール3の周囲に矩形状パターンにそれぞれ形成されていた(例えば、特許第3070346号公報参照)。電子部品1は表面電極2の形成ためにパターニングを施し表面パターンを形成してから、基板を切断することにより製造されている(例えば、特開平11−16758号公報参照)。
【0003】
ところが、基板を切断ブレードを用いて切断する際に、表面電極2を形成する切断ライン1aが表面パターンにかかるために、切断ライン1aに沿って表面電極2に切断ばりが発生したり、切断ブレードの摩耗が早まるといった製造上の問題があった。また、電子部品1を電子基板に実装する際に、表面電極2がスルーホール3の周辺部のみに形成されているので、図9の破線で示す電子基板側の電極10に対しずれ易くなり、アライメント性が悪くなり、またはんだ付けの固着強度が低下してしまう実装上の問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述のような従来技術の問題に鑑み、端子電極に接続した表面電極を有する電子部品を製造する際に切断ばりの発生や切断ブレード等の切断工具の磨耗を防止できる電子部品を提供することを目的とする。また、表面電極を有する電子部品を実装する際のアライメント性及びはんだ付けによる固着強度を向上させた電子部品を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明による電子部品は、スルーホール断面に形成された端子電極と、前記スルーホール断面を含む複数の切断端面に対し略直交する平面に前記端子電極と電気的に接続した表面電極と、を備える電子部品であって、前記表面電極が前記平面において前記複数の切断端面の切断ラインから内側にずれており、前記表面電極が前記平面上であって前記スルーホールの周囲で前記切断ラインに達するように形成され、前記表面電極が前記切断端面と交差する方向に延びる切断側面の切断ラインに向けて幅方向に延びて形成され、前記表面電極の幅方向の端部と前記切断側面の切断ラインとの間隔が20μm以上80μm以下であることを特徴とする。
【0006】
この電子部品によれば、平面上に形成された表面電極が切断ラインから内側にずれて後退しており、電子部品を切断して製造する際に切断ラインが表面電極にかからないので、切断ばりの発生及び切断工具の磨耗を未然に防止できる。
【0007】
この場合、前記表面電極が前記平面上であって前記スルーホールの周囲で前記切断ラインに達するように形成されていることにより、平面上におけるスルーホールと切断ラインとの隅部における表面電極のはがれを防止できる。なお、この表面電極が切断ラインに達する部分の切断ラインに沿った幅は、切断ばりの発生を最小限に抑えるようにできるだけ小さく、かつ切断前における表面電極を形成するための表面パターンとスルーホールとの位置ずれの最大値以上となるように決められる。
【0008】
また、前記表面電極が前記切断端面と交差する方向に延びる切断側面の切断ラインに向けて幅方向に延びて形成され、前記表面電極の幅方向の端部と前記切断側面の切断ラインとの間隔g120μm以上80μm以下であることにより、表面電極の幅方向においても切断時に切断ラインにかからずに、切断ばりの発生及び切断工具の磨耗を未然に防止できる。また、表面電極を幅方向に充分な長さにできるので、電子部品の実装時におけるアライメント性及びはんだ付けの固着強度を向上できる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による第1及び第2の実施の形態の電子部品について図面を用いて説明する。
【0010】
〈第1の実施の形態〉
【0011】
図1は第1の実施の形態を示す電子部品の斜視図であり、図2は図1の電子部品の平面図であり、図3は図1の表面電極を拡大して示す平面図であり、図4は図1の表面電極を切断で形成する前の基板上に形成した表面パターンを示す平面図である。
【0012】
図1,図2に示す電子部品11は、基体中にコンデンサ、抵抗またはコイル等の部品を積層したセラミックスからなる小型の積層チップ部品であり、2つの切断端面14,19及び2つの切断側面15,16で切断されることにより矩方体状に形成されている。
【0013】
電子部品11は、切断端面14,19に対しほぼ直交する平面17上に形成された略矩形状の表面電極12と、切断端面14に形成されたスルーホール18の半周面状の断面に形成され表面電極12と電気的に接続した端子電極13とを備える。端子電極13は、積層チップ部品11内に形成されたコンデンサ、抵抗またはコイル等の部品の端子と電気的に接続するように形成されている。表面電極12及び端子電極13はCu,Ag等の薄膜導体から構成される。
【0014】
図1〜図3に示すように、平面17上の表面電極12は、その電極端部12aが切断端面14の切断ライン14aから内側にずれた状態に形成され、電極端部12aと切断ライン14aとの間に間隔g2を有するように構成され、また、切断側面15,16の切断ライン15a、16aに向けて幅方向に長く形成され、その電極側端部12cと切断ライン16aまたは15aとの間に間隔g1を有するように構成されている。
【0015】
表面電極12はスルーホール18の略半円端部18aで端子電極13と連続して形成されており、また、電極端部12aがスルーホール18の略半円端部18aと切断ライン14aとの連続部分において切断ラインに14aに達するように突き出た突出部12bに形成されている。
【0016】
また、端子電極13及び表面電極12は、同様に、図1,図2のように切断端面14の反対側の切断端面19に形成されたスルーホール18の断面及び切断ライン19a側にもそれぞれ形成されている。また、平面17と反対側の平面にも同一の形状を有する裏側の表面電極が形成されている。
【0017】
上述のような表面電極12の形成方法について図4により説明する。図4に示すように、コンデンサ、抵抗またはコイル等の部品を積層し、貫通孔22を規則正しく多数形成したセラミックス基板20の上にCu,Ag等の薄膜を全面に形成してから、図のような複数の表面電極12の形成のための表面パターン21をマスク等によりパターニングしエッチング等により形成する。
【0018】
次に、回転ブレードを有する切断工具を用いて、基板20を図の横方向に横切断線31に沿って切断するとともに、図の縦方向に縦切断線32に沿って切断する。
【0019】
上述の横切断線31に沿った切断により、図4の表面パターン21を貫通孔22が二分割され略半円になるよう切断しスルーホール18が形成されるとともに、図1〜図3に示す切断ライン14a、19aに沿って切断し切断端面14,19が形成される。また、縦切断線32に沿った切断により、切断ライン15a、16aに沿って切断側面15,16が形成される。このような切断により図1〜図3に示す電子部品11が多数製造される。なお、切断工具は半導体製造に用いられるシリコンウエハ等の高精密切断用の回転ブレードを用いたものを使用できる。
【0020】
上述のような切断で表面電極12を形成するための表面パターン21の隣り合うパターンの間隔G1,G2(図4に示す)は、横切断線31及び縦切断線32に沿った切断しろcと、図1〜図3の平面17上の表側の表面電極12と反対側の同一の形状を有する裏側の表面電極との最大位置ずれ量bとを考慮して、次の式(1)、(2)を満足するように決められる。
【0021】
G1>2×b+c (1)
【0022】
G2>2×b+c (2)
【0023】
式(1)を満足することにより、上述の切断後において図3の電極側端部12cと切断ライン15a、16aとの間の間隔g1がゼロを超えて形成される。また、式(2)を満足することにより、上述の切断後において図3の電極端部12aと切断ライン14aとの間の間隔g2がゼロを超えて形成される。
【0024】
以上のようにして、図3に示すように、間隔g1及びg2がともにゼロを超えるので、表面電極12は切断時に切断ライン14a及び15a、16aにかからない。このため、表面電極12に切断ばりが発生せず、また回転ブレード等の切断工具の磨耗を低減できる。このため、電子部品の実装時における切断ばりによる悪影響はなく、また切断ばりの発生を防止する対策や切断ばりを除去する特別な後工程が不要となる。また、高価な高精密切断用回転ブレードの寿命が長くなるので、電子部品の製造コストの低減に寄与できる。
【0025】
また、上述のようにゼロを超えた間隔g1は、g1≦100μmが好ましく、20μm≦g1≦80μmが更に好ましい。これにより、図5に示すように電子部品11の表面電極を電子基板側の電極10a,10bにはんだ付けし電子基板に実装する際に、電子部品11の電極10a,10bに対するアライメント性及びはんだ付けによる固着強度を向上させることができる。
【0026】
また、電極端部12aが切断ラインに14aに達するまで突き出た突出部12bの切断ライン14に沿った幅aは、図4において貫通基準孔22と表面パターン21との位置ずれの最大値(b)を越えかつできるだけ小さくなるように設定する。これにより、切断後の突出部12bの幅aは、a>0となりスルーホール18の略半円端部18aと切断ライン14aとの連続部近傍において表面電極12及び端子電極13のはがれを防止できるとともに、切断ライン14aにかかる長さが小さくなる。。
【0027】
なお、上述の切断しろcは例えば約60μm、最大位置ずれ量bは例えば約50μmに設定できるが、切断条件やパターニング条件等により変わり、これらに限定されるものではない。
【0028】
〈第2の実施の形態〉
【0029】
図6は第2の実施の形態を示す電子部品の斜視図であり、図7は図6の電子部品の平面図である第2の実施の形態による電子部品は図1〜図4の電子部品と比較して表面電極の幅を切断ライン15a、16aから充分に離れるようにした以外は同様の構成であるので、同一部分には同じ符号を付しその説明は省略する。
【0030】
図6,図7に示すように、電子部品51は上述と同様にして形成した表面電極52を有し、表面電極52は電極側端部52cが切断ライン15a、16aから充分に離れるように構成され、その幅が図1〜図4の表面電極12よりも短くなっている。このため、電極側端部52cは切断ライン15a、16aでは切断ばりの発生等の問題が生じない位置に形成されている。
【0031】
図6,図7の電子部品51によれば、表面電極52は電極端部12aと切断ライン14a,19aとの間の間隔g2がゼロを超えて形成され、切断時に切断ライン14a,19aにかからないため、表面電極52に切断ばりが発生せず、また回転ブレード等の切断工具の磨耗を低減できる。このため、電子部品の実装時における切断ばりによる悪影響はなく、また切断ばりの発生を防止する対策や切断ばりを除去する特別な後工程が不要となる。また、高価な高精密切断用回転ブレードの寿命が長くなるので、電子部品の製造コストの低減に寄与できる。
【0032】
以上のように本発明を実施の形態により説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で各種の変形が可能である。例えば、図3において表面電極12の電極端部12a及び電極側端部12cは、切断ライン14a及び切断ライン15a、16aに対しそれぞれほぼ平行に直線状に形成されているが、本発明はこれに限定されず、切断ラインにかからなければ他の形状であってもよいことは勿論であり、また切断ラインに対し傾斜していてもよい。
【0033】
【発明の効果】
本発明の電子部品によれば、端子電極に接続した表面電極を有する電子部品を製造する際に切断ばりの発生や切断ブレード等の切断工具の磨耗を未然に防止できる。また、電子部品を電子基板等に実装する際に表面電極の相手側電極に対するアライメント性及び半田付けの固着強度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による電子部品の斜視図である。
【図2】図1の電子部品の平面図である。
【図3】図1の表面電極を拡大して示す平面図である。
【図4】図1の表面電極を切断で形成する前の基板上に形成した表面パターンを示す平面図である。
【図5】図1の電子部品を電子基板に実装する際の表面電極12と相手側電極10とを示す平面図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態による電子部品の斜視図である。
【図7】図6の電子部品の平面図である。
【図8】従来の電子部品の斜視図である。
【図9】従来の電子部品の平面図である。
【符号の説明】
11,51 電子部品
12,52 表面電極
12a 電極端部
12b 突出部
12c,52c 電極側端部
13 端子電極
14,19 切断端面
14a,19a 切断ライン
15,16 切断側面
15a,16a 切断ライン
17 平面
18 スルーホール
20 基板
21 表面パターン
22 貫通孔
10a,10b 電子部品を実装する電子基板の電極
G1 表面パターンの縦切断線に沿った隣り合うパターン間の間隔
G2 表面パターンの縦切断線に沿った隣り合うパターン間の間隔
g1 電極側端部12cと切断ラインとの間の間隔
g2 電極端部12aと切断ラインとの間の間隔

Claims (1)

  1. スルーホール断面に形成された端子電極と、前記スルーホール断面を含む複数の切断端面に対し略直交する平面に前記端子電極と電気的に接続した表面電極と、を備える電子部品であって、
    前記表面電極が前記平面において前記複数の切断端面の切断ラインから内側にずれており、
    前記表面電極が前記平面上であって前記スルーホールの周囲で前記切断ラインに達するように形成され、
    前記表面電極が前記切断端面と交差する方向に延びる切断側面の切断ラインに向けて幅方向に延びて形成され、前記表面電極の幅方向の端部と前記切断側面の切断ラインとの間隔が20μm以上80μm以下であることを特徴とする電子部品。
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