JP3765026B2 - 放電灯調光点灯装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、放電灯調光点灯装置に係わり、さらに詳しくは、放電灯に流れる交流電流を検出して直流電圧に変換する交流電流検出回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図7は本出願人がこの出願前に出願した従来の放電灯点灯装置における交流電流検出回路の構成図、図8は同放電灯点灯装置の交流電流検出回路の各部に発生する電圧の波形図、図9は同放電灯点灯装置の交流電流検出回路の負荷抵抗に発生する交流電圧に対する直流電圧の波形図、図10は従来の放電灯点灯装置の平滑回路の周波数特性を示すグラフである。
図において、5は調光信号と、後述する交流電流検出回路7からの直流電圧とに基づいて制御信号を生成する帰還制御回路、1は制御信号に応じて高周波電力を発生し、放電灯4に供給する高周波電源である。
前述の交流電流検出回路7は、放電灯4に流れる交流電流を検出するカレントトランス2と、検出された交流電流に応じて交流電圧を発生する負荷抵抗9と、倍電圧整流回路6と、直流電源15と、平滑回路3とから構成されている。
【0003】
倍電圧整流回路6は、負荷抵抗9の一端に接続された直流成分カット用のコンデンサ18と、コンデンサ18に直列に接続された第1ダイオード17と、コンデンサ18と第1ダイオード17の接続点にカソードが接続された第2ダイオード16とから構成されている。
また、平滑回路3は、倍電圧整流回路6の出力端に直列に接続された分圧抵抗回路を構成する第1及び第2分圧抵抗21,22、第2分圧抵抗22とアースとの間に挿入された第3ダイオード13及び一端が第1及び第2分圧抵抗21,22の接続点に、他端がアース側にそれぞれ接続された平滑コンデンサ11から構成されている。
また、直流電源15は、第2ダイオード16とアースとの間に挿入され、倍電圧整流回路6の第1及び第2ダイオード17,16及び平滑回路3の第1及び第2分圧抵抗21、22と第3ダイオード13に直流電圧を印加して直流電流を流し、常に第1及び第2ダイオード17,16と第3ダイオード13を導通状態にしている。
【0004】
次に、図7の従来の放電灯点灯装置の動作を図8及び図9に示す波形を参照しながら説明する。
高周波電源1が帰還制御回路5からの制御信号に応じて放電灯4を点灯すると、交流電流検出回路7のカレントトランス2が、放電灯4に流れる交流電流を検出し、負荷抵抗9の両端に交流電圧を発生させる。この交流電圧は、図8の波形1に示すように0Vを基準とする例えば振幅3Vの電圧で、倍電圧整流回路6のコンデンサ18により直流成分がカットされ、直流電源15による例えば7Vの直流電圧(波形2)と加算される。その時の交流電圧は、図8の波形3に示すように波形2の直流電圧に重なった状態になっている。交流電圧(波形3)の波高値(最大値)のうち下方向の波高値が波形2に対して若干下がっているのは、第2ダイオード16の順方向降下電圧のためである。直流電圧に加算された交流電圧は第1ダイオード17を介して平滑回路3に入力し、平滑コンデンサ11により平滑されてリップル電圧波形となり(波形4)、直流電圧として帰還制御回路5に出力される。
【0005】
この直流電圧は図9に示すように波形5となる。これは、直流電源15からの電圧が加算されているためであり、負荷抵抗9に発生する電圧が低下し、コンデンサ18と第1ダイオード17の接続点の電位が最も低くなった時点で、直流電源15からの出力電圧にてクランプされ、それ以下に下がることはない。
以上のように、倍電圧整流回路6の第1及び第2ダイオード17,16を直流電源15で常時導通状態にしているので、放電灯4に流れる電流が少なく直流電圧が低下した場合でも直流電源15からの直流電圧が加算されているため、第1ダイオード17の順方向降下電圧による検出不能領域がなく正確な直流電圧が得られ、放電灯電流の帰還制御を安定して行える。
【0006】
次に、交流電流検出回路7の各部に発生する電圧を数式化して動作を説明する。
放電灯4に流れる交流電流をカレントトランス2が検出すると、負荷抵抗9に下記に示す交流電圧が発生する。
AC=V1 * sin2πft
【0007】
一方、直流電源15には直流電圧VDCが発生しており、各ダイオード16,17の順方向降下電圧をVF 、ダイオード16,17の個数の合計をaとすると、ダイオード17のカソードと平滑回路側の抵抗21の接続点には下記に示す電圧が発生する。
1 * sin2πft+V1 +VDC−a*VF
【0008】
この電圧は平滑回路3に入力し、平滑回路3のダイオード13が倍電圧整流回路側のダイオード16,17と類似の温度特性を持つb個からなっていたとすると、平滑回路3から出力される直流電圧は交流成分が平均化され、以下のようになるが、
OUT =(V1 +VDC)*R2/(R1+R2)+{b−(a+b)*R2/(R1+R2)}*VF (1)
(但し、R1:抵抗21の抵抗値、R2:抵抗22の抵抗値)
【0009】
ダイオード16,17の個数の合計a及びダイオード13の個数bと抵抗21,22の各抵抗値R1,R2との間にb*R1=a*R2の関係になるよう設定されているため、直流電圧はVOUT =(V1 +VDC)*R2/(R1+R2)となり、帰還制御回路5に出力される。
【0010】
前記の式b*R1=a*R2は、前記(1)式中の{b−(a+b)*R2/(R1+R2)}*VF を、{b−(a+b)*R2/(R1+R2)}*VF =0とし、これを整理して得られたものである。これは、周囲温度の影響を受けるダイオード16,17,13の順方向降下電圧VF により、直流電圧が変動しないようにしたものである。
【0011】
以上のように、倍電圧整流回路6の第1及び第2ダイオード17,16の個数の合計a及び平滑回路3の第3ダイオード13の個数bと、平滑回路3に設けられた分圧抵抗回路の第1及び第2分圧抵抗21,22の各抵抗値R1,R2との間にb*R1=a*R2の関係になるよう設定して、交流電流検出回路7から出力される直流電圧そのものに温度補償を施すようにしたので、直流電圧の温度による変動を抑えることができ、そのため、帰還制御回路5との距離が長くてもその誤差の増加がないものである。また、直流電圧の変動がないために、検出する交流電流の範囲(ダイナミックレンジ)の変動を抑えることができる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような従来の放電灯調光点灯装置における交流電流検出回路7は以上のように構成されているため、平滑回路3の分圧抵抗21,22、平滑コンデンサ11による低域通過フィルタが交流電流検出回路7の周波数特性を決定する。
すなわち、放電灯4に流れる交流電流の大きさが速く変化し、低域通過フィルタを通過できない場合は交流電流検出回路7の直流出力電圧は交流電流の変化に追従できない。
というのは、低域通過フィルタの周波数特性は、分圧抵抗21,22と平滑コンデンサ11の時定数によって決定され、それ以外の周波数、特に高い周波数即ち、放電灯4に流れる交流電源の周波数が大きいと、低域通過フィルタを通過できにくくなるため、交流電流検出回路7の直流出力電圧は交流電流の変化に対応しないため、追従できにくくなるからである。
これにより、通常であれば放電灯4に流れる電流を一定に制御する帰還制御は、放電灯4に流れる交流電流の変化が速い場合はその効果が得られず、また場合により帰還制御系が発振などの不安定動作を引き起こすことになる等の問題点が生じる。
【0013】
この発明は上記のような問題点を解決するためになされたもので、低域通過フィルタを構成する平滑回路に位相補償回路を内蔵することで、交流電流検出回路の周波数特性を改善し、放電灯に流れる交流電流を一定に保つ帰還制御系が発振することを防止できる上、別に位相補償回路を設けるよりも回路構成が簡単な放電灯調光点灯装置を得ることを目的とする。
また、放電灯に流れる交流電流の周波数が変化する場合、その周波数に合わせて平滑回路の周波数特性を切り替えることで、平滑回路の平滑性能を必要最小限に得ることができ、周波数特性の不必要な悪化を防ぐことができる放電灯調光点灯装置を得ることを目的とする。
さらに、放電灯に流れる交流電流の周波数が連続的に変化する場合、その周波数に合わせて平滑回路の周波数特性を連続的に変化させることで、平滑回路の平滑性能を必要最小限に得ることができ、周波数特性の不必要な悪化を防ぐことができる放電灯調光点灯装置を得ることを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
この発明の請求項1に係る放電灯調光点灯装置は、放電灯に高周波電力を供給する高周波電源と、放電灯に流れる交流電流を検出して交流電圧を生成し、かつ、該交流電圧を所定の電圧に加算して直流電圧に変換する交流電流検出回路と、該交流電流検出回路からの直流電圧と外部から入力された調光信号とに基づいて高周波電源を制御する帰還制御回路とを備え、前記交流電流検出回路は、放電灯に流れる電流を変成するカレントトランスと、変成された交流電流を交流電圧に変換する負荷抵抗と、直流電源と、直流成分をカットするコンデンサ、該コンデンサに直列に接続された第1ダイオード及びその接続点と前記直流電源との間に挿入された第2ダイオードとを有し、前記直流電源の電圧に前記交流電圧を加算して整流する倍電圧整流回路と、該倍電圧整流回路の出力端とアースとの間に挿入された抵抗回路及び該抵抗回路に並列に接続された平滑コンデンサからなる平滑回路とで構成され、前記平滑回路に前記抵抗回路と前記平滑コンデンサとの間に抵抗回路とコンデンサが並列接続されてなる位相補償回路を設けて構成したものである。
【0015】
この発明の請求項2に係る放電灯調光点灯装置は、前記平滑回路の抵抗回路が前記倍電圧整流回路の出力端に直列に接続された第1分圧抵抗と、第2分圧抵抗と、該第2分圧抵抗とアースとの間に挿入された複数の第3ダイオードとからなり、第1分圧抵抗と第2分圧抵抗の接続点が前記平滑コンデンサに接続され、前記倍電圧整流回路の前記第1ダイオード及び第2ダイオードの個数をa、第3ダイオードの個数をb、第1分圧抵抗の値をR1及び第2分圧抵抗の値をR2としたとき、b・R1=a・R2の関係になるよう設定されているものである。
【0016】
この発明の請求項3に係る放電灯調光点灯装置は、前記平滑回路が前記平滑コンデンサと並列に接続され、コンデンサ及び検出する交流電流の周波数が高いときオフし、周波数が低いときはオンするスイッチング素子からなる直列回路を有するものである。
【0017】
この発明の請求項4に係る放電灯調光点灯装置は、前記平滑回路が前記平滑コンデンサと並列に接続され、コンデンサ及び検出する交流電流の周波数が高いときは抵抗成分を大きく、周波数が低いときは抵抗成分を小さくする可変抵抗素子からなる直列回路を有するものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1の放電灯調光点灯装置の構成図、図2はこの発明の実施の形態1における平滑回路の周波数特性を示すグラフである。
図において、従来例と同一の構成は同一符号を付して重複した構成の説明を省略する。8は位相補償抵抗10と位相補償コンデンサ12とを並列接続してなる位相補償回路で、平滑回路3の分圧抵抗21、22の接続点と平滑コンデンサ11との間に設けられている。
【0019】
次に、本発明の実施の形態1の動作を図1及び図2を参照しながら説明する。
高周波電源1は帰還制御回路5の制御信号に応じた交流電流を放電灯4に供給する。その放電灯4に流れた交流電流をカレントトランス2と、負荷抵抗9が交流電圧に変換し、負荷抵抗9の両端に発生させる。
負荷抵抗9の両端に発生した交流電圧は倍電圧整流回路6によって整流され、平滑回路3に供給される。
整流された交流電圧はこの平滑回路3により平滑され、直流電圧出力となる。
【0020】
なお、第1及び第2ダイオード17、16の個数を各1個、第3ダイオード13の個数を1個とし、第1及び第2分圧抵抗21、22の抵抗値を2:1に設定した上で、第1、第2及び第3ダイオード17、16、13に順方向温度特性が類似のものを用いることで、ダイオードが持つ温度特性を打ち消し、交流電流検出回路7の直流出力電圧が温度により変動することを防止できる。
この第1及び第2ダイオード17、16の温度特性を打ち消すために用いた第1及び第2分圧抵抗21,22は平滑コンデンサ11と低域通過フィルタを構成し、交流電流検出回路7の周波数特性を悪化させる。図10は位相補償回路8が無い従来例の場合(短絡した場合)の平滑回路3の周波数特性である。この時の1KHzでのゲインは−18dB、位相は−65degである。この周波数特性の悪化は本来放電灯4に流れる交流電流を一定に保つべき帰還制御系が、逆に発振するなどの不具合を引き起こすことになる。
【0021】
この発明の実施の形態1では、平滑コンデンサ11に直列に位相補償回路8を挿入し、位相補償回路8と平滑コンデンサ11との接続点より平滑回路3の出力を取ることにより、周波数特性の改善、即ち位相特性の改善を行っている。図2に位相補償回賂8を挿入後の平滑回路3の周波数特性を示す。ここでは1KHzでのゲインが−18dB、位相は−55degとなり、挿入前に比較しゲインを変化させずに位相が10deg改善されていることが解る。このように、位相が10deg改善されると、制御系が安定することになる。
【0022】
かかる位相補償回路8によって位相特性が改善されるのは、平滑コンデンサ11はその直前の回路の第1及び第2分圧抵抗21、22による出力インピーダンスと共に低域通過フィルタを構成しており、その低域通過フィルタが位相を遅らせているが、位相補償回路8がその位相を進め、位相の遅れを少なくなくするようにしているからである。
この発明の実施の形態1で、平滑コンデンサ11により位相余裕が−65degの系であれば、通常は発振が起こり、安定に動作しないが、位相補償回路8を追加することにより、ゲインが変わらず、位相が−10deg戻るため、合計で位相が−55dBになり、安定した系になるからである。
【0023】
実施の形態2.
図3は本発明の実施の形態2の放電灯調光点灯装置の構成図、図4はこの発明の実施の形態2におけるスイッチング素子がオンしたときの平滑回路の周波数特性を示すグラフである。
図において、本発明の実施の形態1と同一の構成は同一符号を付して重複した構成の説明を省略する。19は位相補償コンデンサ、20は検出する交流電流の周波数が高いときを示す帰還制御回路5の周波数信号がオフのときはオフし、検出する交流電流の周波数が低いときを示す帰還制御回路5の周波数信号がオンのときはオンするスイッチング素子である。このコンデンサ19とスイッチング素子20からなる直列回路23が平滑コンデンサ11と並列に接続されている。
【0024】
次に、本発明の実施の形態2の放電灯調光点灯装置の動作を図3及び図4を参照しながら説明する。
この実施の形態2の基本的な動作は実施の形態1と同じとなる。平滑回略3におけるスイッチング素子20がオフの時は平滑動作に平滑コンデンサ11のみが用いられ平滑回路3の周波数特性は図2となる。また、スイッチング素子20がオンの時は平滑コンデンサ11と19の並列となるため容量が増加し、平滑回路3の周波数特性は図4となる。即ち、スイッチング素子20がオンの時は平滑コンデンサ11と19の並列となるため容量が増加し、ゲインが下がるが、ゲインが下がるのは次の理由によるものである。
【0025】
図3の平滑回路において、コンデンサ11をC1、コンデンサ13をC2とし、それ以外の要素をZとし、入力をVin、出力をVout とした簡略化した回路を考えた場合、
スイッチ20をオフしたときのゲインVout /Vinは次式で示される。
Vout /Vin=(1/jωC2)/(Z+1/jωC2)より、
ゲイン=|Vout /Vin|=1/(1+ω2 C22 2 (1/2)
スイッチ20をオンしたときのゲインVout /Vinは次式で示される。
ゲイン=|Vout /Vin|=1/(1+ω2 { C2+C3} 2 2 (1/2)
ここで、ω=2πf、またZには誘導性インピーダンスは無いため、C2がC2+C3と容量が大きくなれば、上記式の分母が大きくなるためにゲインは小さくなる。
【0026】
このスイッチング素子20の動作を、放電灯4に流れる交流電流の周波数によって行う。例えば放電灯4に流れる交流電流の周波数が高い100KHzの時は帰還制御回路5の出力である周波数信号はオフとしてスイッチング素子20をオフとし、周波数が低い10KHzの時は周波数信号はオンとしてスイッチング素子20をオンとする。
このスイッチング素子20の動作により交流電流の周波数が100KHzの時、平滑回路3の周波数特性は図2となり100KHzで−47dBの平滑効果を得る。また、交流電流の周波数が10KHzの時は平滑回路3の周波数特性が図4となり、10KHzで同じ−47dBの平滑効果が得られ、放電灯4に流れる交流電流は同様に平滑される。これにより不必要に平滑効果を大きくすることなく、周波数特性を最大限に改善することができる。
【0027】
このように、10KHzで同じ−47dBの平滑効果が得られ、不必要に平滑効果を大きくすることなく、周波数特性を最大限に改善することができるのは次の理由によるものである。
平滑回路3の目的は、放電灯電流の周波数である例えばインバータの動作の10KHzと100KHzという高周波電圧は通過させず、例えば100Hz程度の高周波電圧の変化を通過させることにある。そして、ただ単に、高周波を通過させないだけならば、平滑コンデンサの容量をずっと大きくすればよいが、その副作用として通過させたい高周波電圧の変化である100Hz付近が減衰し、又位相が遅らせることになる。このため、必要な高周波電圧の減衰度を−47dBとし、高周波電圧が10KHzと100KHzの時に同じ減衰度を得られる平滑コンデンサの値を実現できるように回路を構成しているからである。
従って、周波数特性を最大限に改善するという意味は、高周波電圧を−47dB減衰させた上で、その時に得られる100Hzの波形の最大値(ゲイン)を得、かつ位相が遅されるのを最も少なくするということにある。
【0028】
実施の形態3.
図5は本発明の実施の形態3の放電灯調光点灯装置の構成図、図6はこの発明の実施の形態3における可変抵抗素子の抵抗が変化したときの平滑回路の周波数特性を示すグラフである。
図において、本発明の実施の形態1と同一の構成は同一符号を付して重複した構成の説明を省略する。19は位相補償コンデンサ、24は帰還制御回路5の交流電流の周波数が高いときは抵抗成分を大きく、低いときは小さくする可変抵抗素子である。このコンデンサ19と可変抵抗素子素子24からなる直列回路25が平滑コンデンサ11と並列に接続されている。
【0029】
次に、本発明の実施の形態3の放電灯調光点灯装置の動作を図5及び図6を参照しながら説明する。
この実施の形態3の基本的な動作は実施の形態2と同じとなる。平滑回路3における可変抵抗素子23が無限大の値を取った場合は平滑動作に平滑コンデンサ11のみが用いられ、平滑回路3の周波数特性は図3となる。可変抵抗素子24が抵抗値ゼロの時は平滑コンデンサ11は19との並列となるため容量が増加し、平滑回路3の周波数特性は図4となる。この可変抵抗素子24の抵抗値の可変動作を、放電灯4に流れる交流電流の周波数によって行う。例えば放電灯4に流れる交流電流の周波数が100KHzの時は帰還制御回路5の出力の周波数信号は0Vとし、この時の可変抵抗素子24の抵抗値は無限大となる。また周波数が10KHzの時は周波数信号を10Vとし、抵抗値はゼロとなる。この時の平滑回路3の平滑効果は実施例2と同様になる。
【0030】
図6のグラフは平滑回路3において、平滑コンデンサ11の容量を1nF、直列回路25のコンデンサ19の容量を100nF、それ以外の抵抗等の要素のインピーダンスを1KΩの定数とした場合に、可変抵抗素子24の抵抗値を10Ω、1KΩ、100KΩ、10MΩとしたときの放電灯4に流れる交流電流の周波数が連続的に変化した場合における平滑回路の周波数特性を示すものである。この図6を見ると、可変抵抗素子24の抵抗値が100KΩと10MΩとでは平滑回路3のゲインに殆ど差がなく、可変抵抗素子24の抵抗値が10Ωのときは抵抗値がない状態に近く、また、可変抵抗素子24の抵抗値が10MΩのときは抵抗値が無限大近くになる。
さらに、可変抵抗素子24の抵抗値を変化させ、例えば10Ωから1KΩに変化させた場合には、100KHzではゲインを30dB程度変化させることができる。
このように、可変抵抗素子24の抵抗値をその時点での周波数に合わせることで、放電灯4に流れる交流電流の周波数が連続的に変化した場合でも、可変抵抗素子24の抵抗値を連続的に変化させ、不必要に平滑効果を大きくすることなく、周波数特性を最大限に改善することができる。
【0031】
【発明の効果】
以上のようにこの発明の請求項1によれば、放電灯に高周波電力を供給する高周波電源と、放電灯に流れる交流電流を検出して交流電圧を生成し、かつ、該交流電圧を所定の電圧に加算して直流電圧に変換する交流電流検出回路と、該交流電流検出回路からの直流電圧と外部から入力された調光信号とに基づいて高周波電源を制御する帰還制御回路とを備え、前記交流電流検出回路の抵抗回路と平滑コンデンサとからなる平滑回路に抵抗とコンデンサが並列接続されてなる位相補償回路を内蔵するようにしたので、平滑回路の回路構成を利用しつつ所定のゲインを維持しながら位相を改善する位相補償を行うことができ、別に位相補償回路を設けるよりも回路構成が簡単で安価に交流電流検出回路の周波数特性を改善でき、帰還制御系の安定動作を実現できるという効果がある。
【0032】
この発明の請求項2によれば、前記平滑回路の抵抗回路は前記倍電圧整流回路の出力端に直列に接続された第1分圧抵抗と、第2分圧抵抗と、該第2分圧抵抗とアースとの間に挿入された複数の第3ダイオードとからなり、第1分圧抵抗と第2分圧抵抗の接続点が前記平滑コンデンサに接続され、前記倍電圧整流回路の前記第1ダイオード及び第2ダイオードの個数をa、第3ダイオードの個数をb、第1分圧抵抗の値をR1及び第2分圧抵抗の値をR2としたとき、b・R1=a・R2の関係になるよう設定されているので、交流電流検出回路から出力される直流電圧そのものに温度補償を施すことができ、直流電圧の温度による変動を抑え、帰還制御回路との距離が長くてもその誤差の増加がなく、また直流電圧の変動がないために、検出する交流電流の範囲の変動を抑えることができるという効果がある。
【0033】
この発明の請求項3によれば、平滑回路は平滑コンデンサと並列に接続され、コンデンサ及び検出する交流電流の周波数が高いときオフし、周波数が低いときはオンするスイッチング素子からなる直列回路を有するので、調光信号により交流電流の周波数が変化した場合においても,検出する交流電流の周波数が高いときはスイッチング素子をオフ、周波数が低いときはオンすることにより、平滑コンデンサの容量を交流電流の周波数が低いときは大きく、高いときは小さくすることで、交流電流の変化する周波数に対し、所定のゲインを維持しながら位相を改善するように平滑回路の周波数特性を変化させることが可能となり、安価に交流電流検出回路の周波数特性を最大限に改善でき、帰還制御系の安定動作を実現できる効果がある。
【0034】
この発明の請求項4によれば、平滑回路は平滑コンデンサと並列に接続され、コンデンサ及び検出する交流電流の周波数が高いときは抵抗成分を大きくし、周波数が低いときは抵抗成分を小さくする可変抵抗素子からなる直列回路を有するので、調光信号により交流電流の周波数が変化した場合においても,検出する交流電流の周波数が高いときは可変抵抗素子の抵抗値を大きくし、周波数が低いときは抵抗値を小さくすることにより、平滑コンデンサの容量を交流電流の周波数が低いときは大きく、高いときは小さくすることができ、交流電流の変化する周波数に合わせて滑らかに所定のゲインを維持しながら位相を改善するように平滑回路の周波数特性を変化させることが可能となり、滑らかに交流電流検出回路の周波数特性を改善でき、帰還制御系の安定動作を実現できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1の放電灯調光点灯装置の構成図である。
【図2】 本発明の実施の形態1における平滑回路の周波数特性を示すグラフである。
【図3】 本発明の実施の形態2の放電灯調光点灯装置の構成図である。
【図4】 本発明の実施の形態2におけるスイッチング素子がオンしたときの平滑回路の周波数特性を示すグラフである。
【図5】 この発明の実施の形態3の放電灯調光点灯装置の構成図である。
【図6】 この発明の実施の形態3における可変抵抗素子の抵抗が変化したときの平滑回路の周波数特性を示すグラフである。
【図7】 従来の放電灯調光点灯装置の構成図である。
【図8】 同放電灯調光点灯装置の交流電流検出回路の各部に発生する電圧の波形図である。
【図9】 同放電灯調光点灯装置の交流電流検出回路の負荷抵抗に発生する交流電圧に対する直流電圧の波形図である。
【図10】 従来の放電灯点灯装置の平滑回路の周波数特性を示すグラフである。
【符号の説明】
1 高周波電源、2 カレントトランス、3 平滑回路、4 放電灯、5 帰還制御回路、6 倍電圧整流回路、7 交流電流検出回路、8 位相補償回路、9 負荷抵抗、10 位相補償抵抗、11 平滑コンデンサ、12 位相補償コンデンサ、13 第3ダイオード(抵抗回路)、15 直流電源、16 第2ダイオード、17 第1ダイオード、21 第1分圧抵抗(抵抗回路)22 第2分圧抵抗(抵抗回路)。

Claims (4)

  1. 放電灯に高周波電力を供給する高周波電源と、放電灯に流れる交流電流を検出して交流電圧を生成し、かつ、該交流電圧を所定の電圧に加算して直流電圧に変換する交流電流検出回路と、該交流電流検出回路からの直流電圧と外部から入力された調光信号とに基づいて高周波電源を制御する帰還制御回路とを備え、
    前記交流電流検出回路は、放電灯に流れる電流を変成するカレントトランスと、変成された交流電流を交流電圧に変換する負荷抵抗と、直流電源と、直流成分をカットするコンデンサ、該コンデンサに直列に接続された第1ダイオード及びその接続点と前記直流電源との間に挿入された第2ダイオードとを有し、前記直流電源の電圧に前記交流電圧を加算して整流する倍電圧整流回路と、該倍電圧整流回路の出力端とアースとの間に挿入された抵抗回路及び該抵抗回路に並列に接続された平滑コンデンサからなる平滑回路とで構成され、
    前記平滑回路に前記抵抗回路と前記平滑コンデンサとの間に抵抗回路とコンデンサが並列接続されてなる位相補償回路を設けたことを特徴とする放電灯調光点灯装置。
  2. 前記平滑回路の抵抗回路は前記倍電圧整流回路の出力端に直列に接続された第1分圧抵抗と、第2分圧抵抗と、該第2分圧抵抗とアースとの間に挿入された複数の第3ダイオードとからなり、第1分圧抵抗と第2分圧抵抗の接続点が前記平滑コンデンサに接続され、前記倍電圧整流回路の前記第1ダイオード及び第2ダイオードの個数をa、第3ダイオードの個数をb、第1分圧抵抗の値をR1及び第2分圧抵抗の値をR2としたとき、b・R1=a・R2の関係になるよう設定されていることを特徴とする請求項1記載の放電灯調光点灯装置。
  3. 前記平滑回路は前記平滑コンデンサと並列に接続され、コンデンサ及び検出する交流電流の周波数が高いときオフし、周波数が低いときはオンするスイッチング素子からなる直列回路を有することを特徴とする請求項1又は2記載の放電灯調光点灯装置。
  4. 前記平滑回路は前記平滑コンデンサと並列に接続され、コンデンサ及び検出する交流電流の周波数が高いときは抵抗成分を大きく、周波数が低いときは抵抗成分を小さくする可変抵抗素子からなる直列回路を有することを特徴とする請求項1又は2記載の放電灯調光点灯装置。
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