JP3764873B2 - 湿潤米の乾燥方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、湿潤米の乾燥方法に係り、さらに詳しくはγ−アミノ酪酸が富化された湿潤米の乾燥方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に植物の種子は、水を吸収すると発芽という生理現象が起こる。この植物の発芽に際しては、生理現象に関係する酵素が誘導され、その誘導された酵素により特定の物質が通常より多く生産される。このように発芽に際して生産される物質の中にγ−アミノ酪酸がある。
γ−アミノ酪酸は、興奮抑制系の神経伝達物質であり、精神安定化作用や血圧降下作用を有していることが知られている。これらの作用は、癒しを求める現代人や生活習慣病を気にする人達にとって、有効である。そして、
γ−アミノ酪酸を富化した食品素材として、米胚芽、胚芽を含む米糠、胚芽米、小麦胚芽および小麦胚芽を含む麸の中の少なくとも1種をpH2.5〜7.5かつ50℃以下の条件で水に浸漬して得たγ−アミノ酪酸を富化した食品素材が知られている(特許第2590423号参照)。
【0003】
しかしながら、食品素材として胚芽米を用いた場合水に浸漬した後直ちに炊飯する場合には問題ないが、γ−アミノ酪酸を富化した胚芽米として流通させるためには一旦乾燥する必要がある。そしてこの乾燥を従来のようにして乾燥すると米粒がひび割れする欠点があった。ひび割れした米粒は外見が悪いばかりでなく、炊飯における調理特性が悪くなり、べたついた食感になり、ふっくらとして粘りのある食感が得られない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者等は、湿潤米を乾燥する際に、米粒にひび割れが生じない乾燥方法について種々研究を重ねた結果本発明を完成するに至った。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、湿潤米を、
(1)温度40〜55℃および湿度60〜70RH%の条件下で0.5〜1.0時間
(2)温度55〜65℃および湿度70〜80RH%の条件下で2.5〜3.5時間および
(3)温度65〜80℃および湿度70〜80RH%の条件下で5.5〜7.5時間
の各工程を順次経て処理することを特徴とする、湿潤米の乾燥方法である。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の湿潤米に使用する米類としては、籾殻を除去する前の籾米、籾米から籾を除去した玄米、玄米を精米した胚芽米が挙げられる。
またこれらの米類を用いて湿潤米を調製する方法としては、米類を水に浸漬する方法、米類に水を散布する方法等が挙げられる。
この湿潤米とする目的は、米の発芽に関連する誘導酵素によってγ−アミノ酪酸を富化させることにあり、かかる目的のためには、例えば水浸漬の場合15分〜1時間浸漬すれば充分である。
【0007】
本発明における乾燥方法は、湿潤米を乾燥第1工程として温度40〜55℃および湿度60〜70RH%の条件下で0.5〜1.0時間保持する。この際、温度が40℃より低いと湿潤米の乾燥がほとんど進まず、また、温度が55℃より高いと乾燥が急に進みすぎて米粒がひび割れる。一方湿度も60RH%より低いと乾燥が急に進みすぎて米粒がひび割れ、また、70RH%より高いと米の乾燥がほとんど進まない。保持時間も0.5時間より短いと乾燥がほとんど進まず、また、これより保持時間が長くてもひび割れに対する効果が伸びず、生産効率が低下する。
【0008】
第1工程の乾燥を経た湿潤米は、第2工程として温度を55〜65℃および湿度70〜80RH%の条件下で2.5〜3.5時間保持する。この際、温度が55℃より低いと湿潤米の乾燥がほとんど進まず、また、温度が65℃より高いと乾燥が急に進みすぎて米粒がひび割れる。また湿度が70RH%より低いと乾燥が急に進みすぎて米粒がひび割れ、一方、80RH%より高いと湿潤米の乾燥がほとんど進まない。保持時間も2.5時間より短いと乾燥がほとんど進まず、また、3.5時間より保持時間が長くてもひび割れに対する効果が伸びず、生産効率が低下する。なお、乾燥の第1工程から第2工程への意向に要する時間は生産効率面から5分以内であることが好ましい。
【0009】
第2工程の乾燥を経た湿潤米は、第3工程として湿度70〜80RH%に維持しながら、温度を65〜80℃に上昇させて5.5〜7.5時間保持する。この際、温度が65℃より低いと湿潤米の乾燥がほとんど進まず、また、温度が85℃より高いと乾燥が急に進みすぎて米粒がひび割れる。また湿度が70RH%より低いと乾燥が急に進みすぎて米粒がひび割れ、一方、80RH%より高いと湿潤米の乾燥がほとんど進まない。保持時間も5.5時間より短いと米粒の乾燥がほとんど進まず、一方、7.5時間より長くなっても、生産効率が低下するだけになってしまう。なお、乾燥の第2工程から第3工程への意向に要する時間は生産効率面から5分以内であることが好ましい。
【0010】
第3工程の乾燥を経た乾燥玄米は、毎分0.3〜0.7℃の速度で雰囲気温度を20〜35℃まで低下させることが好ましい。雰囲気温度の低下が毎分0.3℃より低い速度で下降させると生産効率が減少する。一方、雰囲気温度を0.7℃より速い速度で下降させると、米粒の表面に近い部分と中心部分とで水分の分布に差が生じ、ひび割れの原因となったり、加工適正が低下したりする。
【0011】
さらに本発明方法にあっては、乾燥の第4工程にて到達した雰囲気温度中で20〜45分間保持することによって米粒内部の水分の分布がほぼ均一になり、炊飯等の加工適正が向上する。
本発明方法は、各工程を一つの乾燥器で行う方法あるいは、各工程をそれぞれ異なる乾燥器を用いて行う方法等の種々の方法を採用することができる。
【0012】
【実施例】
次に本発明をさらに具体的に説明するために実施例を掲げるが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
【0013】
実施例1
新潟産こしひかり玄米1kgを20℃の水道水2Lに5分間浸漬した後、ざるで水を切り、20℃の室温で2時間静置して湿潤米を得た。
得られた湿潤米を乾燥器に入れて、第1工程として温度55℃および湿度60RH%の条件下で30分間保持した。次に第2工程として温度65℃および湿度70RH%の条件下で2時間30分間保持した。さらに第3工程として温度80℃および湿度70RH%の条件下で5時間30分間保持した。
乾燥を終えた玄米は湿度70RH%の条件下で1時間かけて80℃から35℃に雰囲気温度を下げて冷却した。冷却した玄米はさらに温度35℃および湿度70RH%の条件下に25分間保持し完全に冷却した。
【0014】
実施例2
実施例1と同様にして調製した湿潤米を乾燥器に入れて、第1工程として温度40℃および湿度70RH%の条件下で1時間保持した。次に第2工程として温度55℃および湿度80RH%の条件下で3時間30分間保持した。さらに第3工程として温度65℃および湿度80RH%の条件下で7時間30分間保持した。
乾燥を終えた玄米は湿度80RH%の条件下で2時間かけて65℃から25℃に雰囲気温度を下げて冷却した。冷却した玄米はさらに温度25℃および湿度80RH%の条件下に45分間保持し完全に冷却した。
【0015】
比較例1
実施例1と同様にして調製した湿潤米を乾燥器に入れて、第1工程として温度60℃および湿度60RH%の条件下で30分間保持した。次に第2工程として温度75℃および湿度70RH%の条件下で2時間30分間保持した。さらに第3工程として温度85℃および湿度70RH%の条件下で5時間30分間保持した。
乾燥を終えた玄米は湿度70RH%の条件下で30分間かけて80℃から35℃に雰囲気温度を下げて冷却した。冷却した玄米はさらに温度35℃および湿度70RH%の条件下に45分間保持し完全に冷却した。
【0016】
比較例2
実施例1と同様にして調製した湿潤米を乾燥器に入れて、第1工程として温度55℃および湿度50RH%の条件下で30分間保持した。次に第2工程として温度65℃および湿度60RH%の条件下で2時間30分間保持した。さらに第3工程として温度80℃および湿度60RH%の条件下で5時間30分間保持した。
乾燥を終えた玄米は湿度60RH%の条件下で30分間かけて80℃から25℃に雰囲気温度を下げて冷却した。冷却した玄米はさらに温度25℃および湿度70RH%の条件下に45分間保持し完全に冷却した。
【0017】
試験例
実施例および比較例で調製された乾燥玄米について表1に示す評価基準によって米粒表面の状態を10名のパネラーで評価した。その評価結果を示せば表2のとおりである。
【0018】
【表1】
【0019】
【表2】
【0020】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、湿潤米からひび割れのない乾燥米を得ることができる。
Claims (1)
- 湿潤米を、
(1)温度40〜55℃および湿度60〜70RH%の条件下で0.5〜1.0時間
(2)温度55〜65℃および湿度70〜80RH%の条件下で2.5〜3.5時間および
(3)温度65〜80℃および湿度70〜80RH%の条件下で5.5〜7.5時間
の各工程を順次経て処理することを特徴とする、湿潤米の乾燥方法。
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JP2002094953A JP3764873B2 (ja) | 2002-03-29 | 2002-03-29 | 湿潤米の乾燥方法 |
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