JP3763988B2 - 開閉装置の更新方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は電力系統の発変電分野及び送電分野で使用される開閉装置の更新方法に関するものであり、気中絶縁開閉装置からガス絶縁開閉装置へ更新する開閉装置の更新方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図16及び図17は、例えば岡本栄智他、三菱電機技報Vol.54・No.6・1980・14−18頁「中国電力(株)東山口変電所の新設工事」に記載された従来の気中絶縁の変電所の気中絶縁開閉装置の単線図と側面図である。
図16及び図17において、41は変電所、発電所、開閉所等の電気所、41aは高電圧側の気中絶縁開閉装置、42は気中開閉装置41aの3相分2組の線路回線、43は気中開閉装置41の3相分2組の変圧器回線、44は気中開閉装置41aの母線接続回線、45は変圧器、45a及び45bは変圧器45のブッシング、46、47はそれぞれ3相分1組の気中絶縁主母線、48は架空線、49は気中接続線、50は断路器、51は変流器、52は遮断器、53は断路器、54は接地開閉器、55は避雷器、56及び57は気中接続線、58は低電圧側の気中絶縁開閉装置、59は気中接続線、18は架空地線、19、20、21、22、23は鉄塔、19a、21a、22a、23aは碍子24、25は鉄塔の横枠である。
【0003】
次にこの気中絶縁開閉装置の更新について説明する。図16及び図17の電気所41において、気中絶縁の変圧器、主母線、気中接続線、断路器、変流器、遮断器、接地開閉器、避雷器、電圧変成器等が配置されているが、定格変更あるいは機器寿命により更新が必要になったときには、従来は同じ気中絶縁機器に交換されていた。そのため、余分の空間が確保できず、計画外の変圧器あるいは架空線の増設が困難であり、変圧器あるいは架空線回路の停止期間を長く必要とするガス絶縁開閉装置への更新も困難であった。更に、電気所の美観向上、緑化等の環境対策もスペース確保上制限があり困難であった。
【0004】
図18は従来の開閉装置の更新方法を説明するための電気所の平面図であり、気中絶縁開閉機器をガス絶縁開閉装置に更新する事例を示す。60は引留鉄塔、61は架空鉄塔、62は更新後のガス絶縁開閉装置用の敷地、63は更新後のガス絶縁開閉装置、64は新設の引留鉄塔、65は新設の架空鉄塔、65aは新設の架空線、66はブッシング、67はガス絶縁母線、68は電力ケーブル、69はケーブルヘッドである。
【0005】
図18において、高電圧側の気中絶縁開閉機器41aをガス絶縁開閉装置63に更新するに当たり、変電所、発電所、開閉所等の電気所41に隣接した敷地62を確保し、敷地62にガス絶縁開閉装置63、ブッシング66、ガス絶縁母線67、引留鉄塔64、電力ケーブル68を新たに設けて、既設の電気所41にケーブルヘッド69を設けて、その後停電時に架空線65aの接続とケーブルヘッド69と接続線49間の接続を行い、既設の高電圧側の気中絶縁開閉機器41aを切り離す。図18の場合、電気所41に隣接した敷地62及び架空鉄塔65の敷地が必要であり、ガス絶縁開閉装置への更新のための余分のスペースが必要となって小形化したガス絶縁開閉装置の長所を生かせず、コスト面でも高くなるという問題点を有していた。
なお、引留鉄塔60近傍にブッシング66を設ければ、新たな架空鉄塔65は不要になるが、新たな敷地62は同様に必要である。
【0006】
図19は例えば特開平7−87637号公報に記載された従来の複合形ガス絶縁開閉装置の側面図であり、70は複合形ガス絶縁開閉装置の線路ユニット、52は遮断器、52aは容器、52bは導体部、52cは接続部、71はブッシング、72および73は導体部である。
【0007】
図19において、複合形ガス絶縁開閉装置の線路ユニット70は相分離形であり、変電所において気中絶縁開閉装置より1回線毎に図19に示す複合形ガス絶縁開閉装置へ交換あるいは更新することもできるが、上記変電所の最終形態でガス絶縁主母線への更新を考慮していないため、これ以上の更新は困難であった。即ち、図19の複合形ガス絶縁開閉装置では気中絶縁開閉装置からガス絶縁開閉装置への更新はできないという問題点を有していた。
【0008】
図20は例えば特公平6−95802号公報に記載された従来の複合形ガス絶縁開閉装置であり、74は複合形ガス絶縁開閉装置の線路ユニット、75及び76は気中絶縁主母線、77は主母線側断路器、78は遮断器、78aは操作装置箱、79は線路側断路器、80は分岐母線、81及び82はブッシングである。
【0009】
次に更新について説明する。図20において、複合形ガス絶縁開閉装置の線路ユニット74が気中絶縁主母線75及び76の下部に配置されているが、気中絶縁主母線75及び76はガス絶縁化されないため、図20の複合形ガス絶縁開閉装置では、気中絶縁の開閉機器が完全なガス絶縁開閉装置にはならず、気中絶縁開閉機器より図20の複合形ガス絶縁開閉装置へ更新しても、さらにガス絶縁開閉装置へ更新するのが不可能であるという問題点を有していた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように従来の開閉装置の更新方法では気中絶縁開閉装置から、ガス絶縁開閉装置への更新が困難であり、ガス絶縁開閉装置への更新を行う場合そのコストが高く、更新時の停止期間が長い等の問題点があった。
【0011】
この発明は上記のような問題点を解決するためになされたもので、簡便、経済的で停止期間の短い、気中絶縁開閉装置よりガス絶縁開閉装置へ更新する開閉装置の更新方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る開閉装置の更新方法は、2組の気中絶縁主母線および気中絶縁開閉機器から構成され、複数組の線路回線を有する気中絶縁開閉装置を、ガス絶縁開閉装置に更新する開閉装置の更新方法において、気中絶縁開閉機器を、ガス絶縁形の断路器、遮断器、変流器および接地開閉器と、線路に接続した1組の第1のブッシングと、気中絶縁主母線に接続した2組の第2のブッシングとを有する線路ユニットを複数備えた複合形ガス絶縁開閉装置に更新する第1のステップ、気中絶縁主母線の下方に2組の主母線を有するガス絶縁主母線部を設置し、2組の第3のブッシングを介して気中絶縁主母線とガス絶縁主母線部とを接続する第2のステップ、および、第2のブッシングを撤去して線路ユニットとガス絶縁主母線部とをガス絶縁母線で接続し、第3のブッシングと気中絶縁主母線とを撤去する第3のステップからなるものである。
請求項2に係る開閉装置の更新方法は、請求項1記載のものにおいて、第2のステップで、ガス絶縁主母線部の主母線と大地電位部との間に主母線用断路器と主母線用接地開閉器とを直列に設置し、第3のステップで、主母線用断路器と主母線用接地開閉器との接続部分、線路ユニットとガス絶縁主母線部とを接続するガス絶縁母線の間を接続するものである。
【0013】
請求項3に係る開閉装置の更新方法は、1組の気中絶縁主母線および気中絶縁開閉機器から構成され、複数組の線路回線を有する気中絶縁開閉装置を、ガス絶縁開閉装置に更新する開閉装置の更新方法において、気中絶縁開閉機器を、ガス絶縁形の断路器、遮断器、変流器および接地開閉器と、線路に接続した1組の第1のブッシングと、気中絶縁主母線に接続した1組の第2のブッシングとを有する線路ユニットを複数備えた複合形ガス絶縁開閉装置に更新する第1のステップ、気中絶縁主母線の下方に1組の主母線を有するガス絶縁主母線部を設置し、1組の第3のブッシングを介して気中絶縁主母線とガス絶縁主母線部とを接続する第2のステップ、および、第2のブッシングを撤去して線路ユニットとガス絶縁主母線部とをガス絶縁母線で接続し、第3のブッシングと気中絶縁主母線とを撤去する第3のステップからなるものである。
【0014】
請求項4に係る開閉装置の更新方法は、請求項1から請求項3のいずれかに記載のものにおいて、気中絶縁開閉装置が変圧器回線を有し、第1のステップで、変圧器回線を、ガス絶縁形の断路器、遮断器、変流器および接地開閉器と、気中絶縁主母線に接続した第4のブッシングと、変圧器に接続した第5のブッシングとを有する変圧器ユニットに更新し、第3のステップで、第4のブッシングを撤去して変圧器ユニットとガス絶縁主母線部とをガス絶縁母線で接続するとともに、変圧器を更新し、第5のブッシングを撤去して変圧器ユニットと変圧器とをガス絶縁母線で接続するものである。
請求項5に係る開閉装置の更新方法は、請求項1から請求項4のいずれかに記載のものにおいて、第2または第3のステップで、ガス絶縁形の断路器および遮断器を有し、ガス絶縁主母線部に接続した母線区分ユニットを設置するものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下、この発明の一実施の形態について説明する。図1〜図5は、図16、図17に示す気中絶縁開閉装置からガス絶縁開閉装置への更新方法における第1のステップを説明するための図であり、図1は更新途中の複合形ガス絶縁開閉装置の単線図、図2は複合形ガス絶縁開閉装置の線路ユニットの断面図、図3は複合形ガス絶縁開閉装置の変圧器ユニットの断面図、図4は複合形ガス絶縁開閉装置の線路ユニットの側面図、図5は複合形ガス絶縁開閉装置の変圧器ユニットの側面図である。
【0016】
図1ないし図5において、41は変電所、発電所、開閉所等の電気所、2は複合形ガス絶縁開閉装置の2つの線路ユニット、2aは容器、2bは絶縁スペーサ、2cは制御箱、3は複合形ガス絶縁開閉装置の変圧器ユニット、3aは容器、3bは絶縁スペーサ、3cは制御箱、4は複合形ガス絶縁開閉装置の母線接続ユニット、45は変圧器、45a及び45bは変圧器45のブッシング、59は気中接続線、46、47はそれぞれ1組の気中絶縁主母線である。ただし、「1組」とは3相分の1組という(以後も同じ)。48は線路としての架空線、9は気中の接続線である。10は主母線側の断路器、10aは導体、11は変流器、12は遮断器、12aは接続部、12bは導体、12cは支持絶縁筒、13は断路器、14は接地開閉器であり、これらはガス絶縁形になっている。
【0017】
16、15は第1、第2のブッシングであり、1つの線路ユニット2に第1のブッシング16が1組と第2のブッシング15が2組設けられ、それぞれ架空線48と気中絶縁主母線46、47に接続されている。151、161は第4、第5のブッシングであり、1つの変圧器ユニット3に第4のブッシング151が2組と第5のブッシング161が1組設けられ、それぞれ気中絶縁主母線46、47と変圧器45に接続されている。152は母線接続ユニット4に2組設けられた第6のブッシングであり、1組ずつ気中絶縁主母線46と47に接続されている。
15aおよび16aは導体、15bおよび16bは碍子、17は避雷器、17aは導体、12dは操作装置箱、18は架空地線、19、20、21、22、23は鉄塔、19a、20a、21a、22a、23aは碍子、24、25は鉄塔の横枠である。
【0018】
次に更新について説明する。図1ないし図5において、複合形ガス絶縁開閉装置の線路ユニット2、変圧器ユニット3、母線接続ユニット4が気中絶縁主母線46及び47に気中接続線9を介して接続されている。図16及び図17の気中絶縁開閉装置からは気中絶縁主母線46、47を除いてガス絶縁形の複合形ガス絶縁開閉装置に更新されているが、1ユニットずつ更新する回路の停止と片方ずつの気中絶縁主母線46、47の停止のみで、電気所41全体を停止させることなしに、更新が行われる。図4あるいは図5に示した複合形ガス絶縁開閉装置の線路ユニット2あるいは変圧器ユニット3は、当該の架空線48あるいは変圧器45を停止し、気中絶縁主母線46及び47側の断路器10を開いて、当該の接続線、遮断器、変流器、断路器、避雷器等を取り外して、気中絶縁主母線46、47側の断路器10を1組ずつ、気中絶縁主母線46、47の片方の停止で順次取り外し、空いた空間に図4あるいは図5の複合形ガス絶縁開閉装置の線路ユニット2あるいは変圧器ユニット3を配置して、接続線9を気中絶縁主母線46、47の片方の停止で順次接続し、架空線48および変圧器45へ接続することにより、複合形ガス絶縁開閉装置への更新が行われる。
【0019】
図4および図5において、気中絶縁主母線46、47の下方には後述のガス絶縁主母線部を配置するための空間を開けて、複合形ガス絶縁開閉装置の各ユニット2、3が配置されている。配置が図示されていない母線接続ユニット4についても同様である。
図4および図5の配置の電気所では、気中絶縁開閉装置から複合形ガス絶縁開閉装置に更新することにより、最終のガス絶縁開閉装置への更新の途中段階であるが、多くの気中絶縁の開閉機器が撤去されているため、スペースに余裕が生じ、美観も向上している。
【0020】
図2の複合形ガス絶縁開閉装置の線路ユニット2は3個(3相分)の容器2aの内部に遮断器12、遮断器12の両側に2組の変流器11、遮断器12の線路側に断路器13、2組の接地開閉器14および避雷器17を配置するとともに、遮断器12の主母線側に2組の断路器10および接地開閉器14を配設し、気中の架空線48および気中絶縁主母線への接続線9に接続される1組の第1のブッシング16および2組の第2のブッシング15、制御箱2c等を配設している。遮断器12と断路器10間および遮断器12と断路器13間には絶縁スペーサ2bが配置されてガス区分され、断路器10、13を開いて接地開閉器14を閉じれば、遮断器12の内部点検ができるようになっている。なお、変流器11は保護方式によっては遮断器12の片側のみにしてもよいし、変流器11は第1あるいは第2のブッシング16、15の下端部分に設けてもよい。
【0021】
図3の複合形ガス絶縁開閉装置の変圧器ユニット3は3個(3相分)の容器3aの内部にガス絶縁形の遮断器12、遮断器12の片側に1組の変流器11、遮断器12の変圧器側に1組の接地開閉器14および避雷器17を配設し、遮断器12の主母線側に2組の断路器10および接地開閉器14を配設し、また、主母線への気中の接続線9および変圧器への気中の接続線9に接続される2組の第4のブッシング151および1組の第5のブッシング161、制御箱3c等を配設している。遮断器12と断路器10間には絶縁スペーサ3bが配置されてガス区分され、断路器12を開いて接地開閉器14を閉じれば、遮断器12の内部点検ができるようになっている。なお、変流器11は保護方式によっては遮断器12の両側に設けてもよく、また遮断器12の変圧器側に断路器を設けてもよい。
【0022】
図1の複合形ガス絶縁開閉装置の母線接続ユニット4の断面図は図示されていないが、3個の容器にガス絶縁形の遮断器12、遮断器12の両側に変流器11、遮断器12の両側に断路器10および接地開閉器14を収容するとともに、2組の第6のブッシング152を配設したものであり、図2あるいは図3の複合形ガス絶縁開閉装置のユニットと同様である。
【0023】
図2および図3の複合形ガス絶縁開閉装置の線路ユニット2および変圧器ユニット3は相分離形として説明したが、三相一括形を適用しても同様の効果が得られる。また、図2および図3には、避雷器17が設けられているが、電圧変成器等の他の機器を設けた場合も同様の効果が得られる。図2および図3において、容器2aおよび3aは単相の一個の容器で構成されているが、複数個に分割した容器を用いた場合も同様の効果が得られる。
このように種々の変化が可能であるが、線路ユニット2の構成機器としては、図1に示す二重母線方式の場合は、1組の遮断器12、遮断器12のいずれか片側の1組の変流器11、線路側の1組の断路器13、主母線側の2組の断路器10、および遮断器12の両側の2組の接地開閉器14が少なくとも必要である。なお単母線方式の場合は、断路器10は1組でもよい。
【0024】
図1ないし図5の事例は二重母線方式の複合形ガス絶縁開閉装置であるが、単母線方式、1.5CB方式等に適用しても同様の効果が得られ、この場合の複合形ガス絶縁開閉装置の線路ユニット2は3個の容器2aの内部に遮断器12、遮断器12の両側に2組の変流器11、遮断器12の線路側に断路器13、2組の接地開閉器14および避雷器17を配設し、遮断器12の主母線側に1組の断路器10および接地開閉器14を配設し、気中の架空線48および気中絶縁主母線への接続線9に接続される1組の第1のブッシング16および1組の第2のブッシング15、制御箱2c等を配設している構成である。また、単母線方式、1.5CB方式等の複合形ガス絶縁開閉装置の変圧器ユニット2は3個の容器2aの内部に遮断器12、遮断器12の片側に1組の変流器11、遮断器12の変圧器側に1組の接地開閉器14および避雷器17を配設し、遮断器12の主母線側に1組の断路器10および接地開閉器14を配設し、主母線への気中の接続線9および変圧器への気中の接続線9に接続される1組ずつの第4、第5のブッシング151、161、制御箱3c等を配設している構成である。
【0025】
次に上記の第1のステップ以後に行う第2のステップについて図6、図7により説明する。図6はガス絶縁開閉装置への更新途中の複合形ガス絶縁開閉装置の単線図、図7は複合形ガス絶縁開閉装置の側面図であり、26はガス絶縁主母線部、27および28はガス絶縁主母線部26の主母線(以下、ガス絶縁の主母線と称する)で1組ずつ設けられている。29は主母線用断路器、30は主母線用接地開閉器で、主母線27、28と大地電位部との間に、主母線用断路器29と主母線用接地用開閉器30とが直列になって設置されている。31は主母線27、28に接続された2組の第3のブッシング、33は第3のブッシング31と気中絶縁主母線46および47との接続線である。
【0026】
次に更新について説明する。図6および図7において、ガス絶縁開閉装置のガス絶縁の主母線27および28は、気中絶縁主母線46および47の下方に配置され、複合形ガス絶縁開閉装置の線路ユニット2あるいは変圧器ユニット3に次の段階で接続しやすい位置に配設され、気中絶縁主母線46および47に接続するための第3のブッシング31(ただし、図7では見易くするために第3のブッシング31の図示を省略した。第3のブッシング31の位置については図9参照。)が設けられている。それぞれのガス絶縁の主母線27および28には次の段階で複合形ガス絶縁開閉装置の線路ユニット2あるいは変圧器ユニット3に接続するときに用いるための主母線用断路器29および主母線用接地開閉器30が設けられている。図6の段階では主母線用断路器29が開いており、気中絶縁主母線46および47と、ガス絶縁の主母線27および28の両方に電圧が印加されている。ガス絶縁の主母線27および28が気中絶縁主母線46および47の下方に配設されているため、片方ずつの母線停止で、ガス絶縁の主母線27および28等を配設する工事を行うことができ、また設置のための新たなスペースも要らない。
【0027】
なお、図6および図7において、主母線用断路器29および主母線用接地開閉器30がガス絶縁の主母線27および28に設けられているが、主母線用断路器29を省略し、接地開閉器を複合形ガス絶縁開閉装置の線路ユニット2あるいは変圧器ユニット3の第2、第4のブッシング15、151の下部に設けるようにすると、主母線用接地開閉器30も省略でき、更新工事面では手間が増加するものの経済性の向上を図ることができる。
【0028】
次に、上記第2のステップ以後に行う第3のステップについて説明する。この第3のステップでは、まず図8〜図10に示す複合形ガス絶縁開閉装置に更新し、その後図11〜図13に示すガス絶縁開閉装置に更新する。図8は更新の途中段階の複合形ガス絶縁開閉装置の単線図、図9は複合形ガス絶縁開閉装置の側面図、図10はガス絶縁の主母線27と気中絶縁主母線46の接続部の側面図であり、34はガス絶縁母線、36は鉄塔、36aは碍子である。
図8ないし図10においては、図6にあった第2、第4のブッシング15、151が撤去されて複合形ガス絶縁開閉装置の線路ユニット2および変圧器ユニット3がガス絶縁母線34により、ガス絶縁の主母線27および28に主母線用断路器29を介して接続され、その接続部分に主母線用接地開閉器30が接続されている。複合形ガス絶縁開閉装置の線路ユニット2あるいは変圧器ユニット3等はほぼ最終段階のガス絶縁開閉装置と同様になっている。図10のように、ガス絶縁の主母線27および28が気中絶縁主母線46および47に接続されているため、片方ずつの母線停止と当該回線のみの停止で、ガス絶縁母線34によりガス絶縁の主母線27および28と複合形ガス絶縁開閉装置の線路ユニット2あるいは変圧器ユニット3との接続を行うことができる。
【0029】
次に、図11〜図13に示す最終段階への更新について説明する。図11は更新された最終段階のガス絶縁開閉装置の単線図、図12はガス絶縁開閉装置の線路ユニットの側面図、図13はガス絶縁開閉装置の変圧器ユニットの側面図であり、5は更新した変圧器、35は変圧器5の高電圧側のガス絶縁母線、35aは変圧器5の低電圧側のガス絶縁母線である。
図11ないし図13において、図8にあった気中絶縁主母線46、47、ガス絶縁の主母線27、28に設けられていた第3のブッシング31および変圧器ユニット2の第5の気中ブッシング161が撤去され、また変圧器5が更新されて変圧器ユニット3との間にもガス絶縁母線35が適用され、電気所内の開閉機器は全てガス絶縁化され、最終のガス絶縁開閉装置となっている。なお、変圧器5は全体を更新せずに、ガス絶縁母線35および35aとの接続部分のみ更新するようにしてもよい。
図12および図13において、更に鉄塔21、22、23および横枠24、25等を撤去すれば、高さの高い構造物が無くなり美観も向上する。
図13において、変圧器5は開閉装置のガス絶縁化に合わせて同一停止時に更新でき、更に、更新時に低騒音変圧器に交換することにより、同時に電気所の環境改善を行うこともできる。
また、上記では線路回線、変圧器回線がともに2回線の場合を示したが、3回線以上の場合でも線路ユニットあるいは変圧器ユニットを3つ以上にして本発明を適用でき、同様の効果が得られる。
【0030】
実施の形態2.
以下、この発明の他の実施の形態について説明する。この実施の形態は、線路回線が2組、変圧器が2台であったものをそれぞれ3組以上あるいは3台以上に増設する場合について示す。図14は実施の形態1で説明したのと同様にして気中絶縁開閉装置より更新された最終段階のガス絶縁開閉装置の単線図、図15はガス絶縁開閉装置の母線区分ユニットの側面図であり、37はガス絶縁開閉装置、38は母線区分ユニット、36bは横枠であり、その他の部分は実施の形態1の場合と同様であるので説明を省略する。
図14および図15において、気中絶縁開閉装置からガス絶縁開閉装置への更新時、ガス絶縁開閉装置適用による空いたスペースを活用して、線路ユニット2、変圧器ユニット3および母線接続ユニット4の増設とともに、ガス絶縁の主母線27間および28間に母線区分ユニット38を設けるようにしたものである。計画外の変電所の容量増加が必要になり、都市部等で必要な敷地を確保し難いとき、既設の気中絶縁開閉装置をガス絶縁開閉装置に更新することにより、必要とする電気所の容量増加と母線区分による信頼性向上を図ることができる。
なお、増設は既設分のガス絶縁化時に図14に示す装置まで同時に行ってもよいし、あるいは、ガス絶縁化時には線路回線や変圧器の増設を行わずに母線区分ユニット38を新設しておき、後の時期に線路ユニット2や変圧器ユニット3、変圧器5などを増設するようにしてもよい。
図15において、母線区分ユニット38は三相一括形であるが、相分離形を適用しても同様の効果が得られる。
【0031】
【発明の効果】
以上のように、この発明の請求項1に係る開閉装置の更新方法によれば、2重母線方式の開閉装置に対して、気中絶縁主母線とその下方に設置したガス絶縁の主母線とを更新途中で併用することにより、新たな敷地や鉄塔の必要がなく、簡便で、経済的に行うことができ、また、1線路回線毎、主母線の片方ずつの停止で更新工事を行うことができて電気所の停止期間を部分的で短くできる効果がある。
請求項2に係る開閉装置の更新方法によれば、主母線用断路器と主母線用接地開閉器を用いてガス絶縁の主母線の切り離し、接地を容易に行うことができ、上記効果に加えて更新工事を能率よく進めることができる効果がある。
【0032】
請求項3に係る開閉装置の更新方法によれば、単母線方式の開閉装置に対して、請求項1の更新方法と同様の効果がある。
請求項4に係る開閉装置の更新方法によれば、変圧器回線を有する開閉装置に対して、請求項1の更新方法と同様の効果がある。
請求項5に係る開閉装置の更新方法によれば、母線区分ユニットを設置することにより容量増加と信頼性向上を図ることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の開閉装置の更新方法における実施の形態1の第1のステップを説明するための複合形ガス絶縁開閉装置の単線図である。
【図2】 図1の複合形ガス絶縁開閉装置の線路ユニットの断面図である。
【図3】 図1の複合形ガス絶縁開閉装置の変圧器ユニットの断面図である。
【図4】 図1の複合形ガス絶縁開閉装置の線路ユニットの側面図である。
【図5】 図1の複合形ガス絶縁開閉装置の変圧器ユニットの側面図である。
【図6】 この発明の開閉装置の更新方法における実施の形態1の第2のステップを説明するための複合形ガス絶縁開閉装置の単線図である。
【図7】 図6の複合形ガス絶縁開閉装置の側面図である。
【図8】 この発明の開閉装置の更新方法における実施の形態1の第3のステップを説明するための複合形ガス絶縁開閉装置の単線図である。
【図9】 図8の複合形ガス絶縁開閉装置の側面図である。
【図10】 ガス絶縁の主母線と気中絶縁主母線の接続部の側面図である。
【図11】 この発明の開閉装置の更新方法における実施の形態1の最終段階を説明するためのガス絶縁開閉装置の単線図である。
【図12】 図11のガス絶縁開閉装置の線路ユニットの側面図である。
【図13】 図11のガス絶縁開閉装置の変圧器ユニットの側面図である。
【図14】 この発明の開閉装置の更新方法における実施の形態2の最終段階を説明するためのガス絶縁開閉装置の単線図である。
【図15】 図14のガス絶縁開閉装置の側面図である。
【図16】 従来の気中絶縁開閉装置を示す単線図である。
【図17】 図16の気中絶縁開閉装置の側面図である。
【図18】 従来の開閉装置の更新方法を説明するための電気所の平面図である。
【図19】 従来の複合形ガス絶縁開閉装置の側面図である。
【図20】 従来の別の複合形ガス絶縁開閉装置の側面図である。
【符号の説明】
2 線路ユニット、3 変圧器ユニット、5 変圧器、10,13 断路器、
11 変流器、12 遮断器、14 接地開閉器、
16,15,31,151,161,152 第1〜第6のブッシング、
26 ガス絶縁主母線部、27,28 主母線、29 主母線用断路器、
30 主母線用接地開閉器、34,35 ガス絶縁母線、38 母線区分ユニット、
46,47 気中絶縁主母線、48 架空線。

Claims (5)

  1. 2組の気中絶縁主母線および気中絶縁開閉機器から構成され、複数組の線路回線を有する気中絶縁開閉装置を、ガス絶縁開閉装置に更新する開閉装置の更新方法において、上記気中絶縁開閉機器を、ガス絶縁形の断路器、遮断器、変流器および接地開閉器と、線路に接続した1組の第1のブッシングと、上記気中絶縁主母線に接続した2組の第2のブッシングとを有する線路ユニットを複数備えた複合形ガス絶縁開閉装置に更新する第1のステップ、上記気中絶縁主母線の下方に2組の主母線を有するガス絶縁主母線部を設置し、2組の第3のブッシングを介して上記気中絶縁主母線とガス絶縁主母線部とを接続する第2のステップ、および、上記第2のブッシングを撤去して上記線路ユニットとガス絶縁主母線部とをガス絶縁母線で接続し、上記第3のブッシングと気中絶縁主母線とを撤去する第3のステップからなることを特徴とする開閉装置の更新方法。
  2. 第2のステップで、ガス絶縁主母線部の主母線と大地電位部との間に主母線用断路器と主母線用接地開閉器とを直列に設置し、第3のステップで、上記主母線用断路器と主母線用接地開閉器との接続部分、線路ユニットとガス絶縁主母線部とを接続するガス絶縁母線の間を接続することを特徴とする請求項1記載の開閉装置の更新方法。
  3. 1組の気中絶縁主母線および気中絶縁開閉機器から構成され、複数組の線路回線を有する気中絶縁開閉装置を、ガス絶縁開閉装置に更新する開閉装置の更新方法において、上記気中絶縁開閉機器を、ガス絶縁形の断路器、遮断器、変流器および接地開閉器と、線路に接続した1組の第1のブッシングと、上記気中絶縁主母線に接続した1組の第2のブッシングとを有する線路ユニットを複数備えた複合形ガス絶縁開閉装置に更新する第1のステップ、上記気中絶縁主母線の下方に1組の主母線を有するガス絶縁主母線部を設置し、1組の第3のブッシングを介して上記気中絶縁主母線とガス絶縁主母線部とを接続する第2のステップ、および、上記第2のブッシングを撤去して上記線路ユニットとガス絶縁主母線部とをガス絶縁母線で接続し、上記第3のブッシングと気中絶縁主母線とを撤去する第3のステップからなることを特徴とする開閉装置の更新方法。
  4. 気中絶縁開閉装置が変圧器回線を有し、第1のステップで、上記変圧器回線を、ガス絶縁形の断路器、遮断器、変流器および接地開閉器と、気中絶縁主母線に接続した第4のブッシングと、変圧器に接続した第5のブッシングとを有する変圧器ユニットに更新し、第3のステップで、上記第4のブッシングを撤去して上記変圧器ユニットとガス絶縁主母線部とをガス絶縁母線で接続するとともに、上記変圧器を更新し、上記第5のブッシングを撤去して上記変圧器ユニットと変圧器とをガス絶縁母線で接続することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の開閉装置の更新方法。
  5. 第2または第3のステップで、ガス絶縁形の断路器および遮断器を有し、ガス絶縁主母線部に接続した母線区分ユニットを設置することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の開閉装置の更新方法。
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