JP3763657B2 - マイクロカプセル分散液及び感圧複写紙 - Google Patents

マイクロカプセル分散液及び感圧複写紙 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリウレタンウレア壁マイクロカプセルを主成分とするマイクロカプセル分散液及び該分散液が塗布された感圧複写紙に関するものであり、更に詳しくはより少ない流量でも安定した自由落下垂直カーテン状流体が得られ、高速塗工条件下でも破壊することのない安定塗工を可能としたカーテン塗工用マイクロカプセル分散液及びマイクロカプセル塗工面の印刷適性に優れる感圧複写紙に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子供与性染料やジアゾニウム塩等の化学的に発色する発色剤を内包するマイクロカプセルを利用した記録材料は古くから知られており広く利用されている。このような記録材料は、感圧記録材料と感熱記録材料に大別される。とりわけ、感圧記録材料は圧力により発色剤を内包するマイクロカプセルを破壊して発色剤と顕色剤とを反応させることにより発色像を形成させることを利用したもので、発色剤を内包するマイクロカプセルからなる発色剤層と顕色剤を含む顕色剤層とを別々の支持体の表面に形成し、発色剤層と顕色剤層とを圧接触させて使用するタイプや、支持体の同一面上に発色剤を内包するマイクロカプセルと顕色剤とを同一層または別々の層に積層した自己発色タイプ等が挙げられる。
【0003】
マイクロカプセルを含む感熱記録材料としては、例えば特開昭63−265682号公報及び特開平1−105782号公報等に記載されているような発色剤を内包するマイクロカプセルと顕色剤とを含む感熱層を支持体上に形成した感熱記録材料がある。
【0004】
このような記録材料を内包するマイクロカプセルの製法としては、ゼラチンの相分離を利用したコアセルベーション法、インサイチュー法、界面重合法等が知られているが、とりわけ界面重合法によるポリウレタンウレア皮膜を有するマイクロカプセルを感圧複写紙用マイクロカプセルとして用いた場合には、皮膜の柔軟性に優れるため発色と汚れのバランスに優れる特性が得られる。
【0005】
このような記録材料は、発色剤を内包するマイクロカプセルを含む塗工液を支持体に塗工し乾燥することによって得られる。このようなマイクロカプセルの塗工には、塗布後の液計量においてマイクロカプセルの破壊が抑止される非接触計量方式のエアーナイフコーターが一般的に用いられるが、マイクロカプセルを含む塗工液のその他のコーターとして、特公昭61−45516号公報、特公昭63−239号公報、及び特開昭57−39985号公報に記載されているようなカーテン塗工方法も知られている。
【0006】
カーテン塗工方法は、塗工液の自由落下垂直カーテンを形成し、これを略水平方向に連続走行している支持体上に塗工し、単層の塗膜を形成する方法で、高速塗工に適しており、また前計量方式であって塗工液が予め一定量供給された後は掻き落とし工程がないため、マイクロカプセルを破壊することがなく、塗工液成分の変化がないなどの利点を有する塗工方法である。
【0007】
カーテン塗工用塗工液にとって最も注意すべき点としては、油溶性液体等の塗工液のカーテン形成を阻害するような物質を塗工系に混入させないことである。即ち、不完全なマイクロカプセル又はマイクロカプセルの破壊により油溶性内包物が塗工液中に混入すると、支持体と塗工液が接触するカーテンの最下部分から逆Vの字状にカーテンが破壊する現象(以降V字カット現象と称する。)が生じる。一般にV字カット現象の要因となる遊離の油溶性液体は、インサイチュー法によるカプセル化法で発生しやすく、界面重合法によるポリウレタンウレアカプセルについては発生しにくい傾向にあるものの、界面重合法によるマイクロカプセルでも、塗工中のマイクロカプセルの意図せぬ破壊や、マイクロカプセル粒子の凝集が生じたり分散液の粘度が低い場合などには、V字カット現象が発生し易い場合があった。
【0008】
カーテンコーター用マイクロカプセル分散液のV字カット対策としては、特開平7−137439号公報においてポリウレタンウレア壁を有するマイクロカプセルのカーテン安定性の低下の原因として壁膜を構成する材料である多価アミンの存在を挙げており、その解決策としてアクリル酸系ポリマーのアルカリ金属塩を添加する方法を挙げている。しかし、本発明者らの実験では、多価アミンを使用しないポリウレタンウレアマイクロカプセルにおいてもV字カットが発生することがあるため、その原因を調べた結果、マイクロカプセル表面の電気的特性が最も大きく影響していることが判明した。V字カット現象の誘発により、意図しない未塗工部分が発生するばかりでなく、未塗工部分の周囲は大過剰の塗工量となり、乾燥不良やシワの原因となる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、界面重合法による発色剤を内包するポリウレタンウレア壁マイクロカプセルを主成分として用いた、カーテン塗工用塗工液においてV字カット現象の誘発しない安定した塗工液のカーテンを形成するカーテン塗工用のマイクロカプセル分散液及及びその分散液が塗布された感圧複写紙を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、少なくとも発色剤を内包するポリウレタンウレア壁マイクロカプセルのζ電位を特定範囲に設定することにより、高速塗工条件下でもV字カット現象が発生せず、安定なカーテンを形成しうる塗工液が得られることが分かった。
【0011】
即ち、第1の発明は、発色剤を内包するポリウレタンウレア壁マイクロカプセルのζ電位が−10mV以下、−60mV以上であることを特徴とするマイクロカプセル分散液である。
【0012】
また、第2の発明は、少なくとも発色剤を内包するポリウレタンウレア壁マイクロカプセル、マイクロカプセル保護材粒子、及びバインダーからなる塗工液中のマイクロカプセルのζ電位が−10mV以下、−60mV以上であることを特徴とするマイクロカプセル分散液である。少なくともこれらの成分からなる塗工層を有するシートは、少なくとも顕色剤を含有する層を有するシートと両層を対向して用いる感圧複写材料に好適に使用される。
【0013】
また、第3の発明は、少なくとも発色剤を内包するポリウレタンウレア壁マイクロカプセル、顕色剤、マイクロカプセル保護材粒子、及びバインダーからなる塗工液中のマイクロカプセルのζ電位が−10mV以下、−60mV以上であることを特徴とするマイクロカプセル分散液である。少なくともこれらの成分からなる塗工層を有するシートは、単一シートで画像形成が可能な自己発色型感圧複写材料に好適に使用される。
【0014】
また、第4の発明は、これら第1から第3の発明に係わるマイクロカプセル分散液が支持体に塗布された感圧複写紙である。
【0015】
ζ電位とは粒子表面の荷電状態を示す尺度であり、通常水性の紙塗工用顔料や水不溶性バインダー分散粒子(水不溶性バインダー分散物をラテックスと記載する)は負に帯電している場合が多く、一般にζ電位の絶対値が大きいほど粒子同士の反発力が大きく凝集しにくいため安定した塗工が可能となるとされている。カーテン塗工におけるカーテンの安定性については、塗工液の静的及び動的粘度、チキソトロピー性、表面張力等多数の因子が影響していることが見出されているが、実際にはこれらの因子を実験的に細かく変化させながら安定したカーテンの得られる最適条件を設定しているのが現状である。
【0016】
本発明者らは、ポリウレタンウレア壁マイクロカプセル(以降、特に断わらない限り、単にマイクロカプセルと記載した場合は、本発明に係わるポリウレタンウレア壁マイクロカプセルを意味する)を用いた塗工液において、V字カット現象の生じない安定したカーテンの形成方法についてこれまで考慮されることのなかったζ電位に着目し、その値とカーテン安定性との関係について検討を行った結果、塗工液中のマイクロカプセルのζ電位を−10mV以下、−60mV以上に設定することにより極めて安定なカーテンが得られることを見出した。
【0017】
本発明において、塗工液中のマイクロカプセルのζ電位が−10mVを越えるとV字カット現象が多発し、またこれを抑止しようとしてカーテン塗工装置の塗工ヘッドへの供給液量を少なくすると、更にカーテンが不安定となり好ましくない。一方、マイクロカプセルのζ電位を−60mV未満にしても、これ以上V字カット現象が改善されないし、既存の素材を用いる範囲では実質的に困難である。本発明において、更に好ましいマイクロカプセルのζ電位は、−20mV以下で−60mV以上である。
【0018】
そして、従来のマイクロカプセル分散液またはマイクロカプセルを含有する塗工液では、上述した様にマイクロカプセルのζ電位は考慮されていないし、例えば特開平4−265786号公報及び特開平4−290538号公報における実施例に記載の塗工液を実際に調製し、この塗工液中のマイクロカプセルのζ電位を測定すると、何れも+5〜−10mV付近のζ電位が得られ、カーテンを形成するためにカーテン塗工装置の塗工ヘッドを用いて実際にカーテンを形成してみると、安定なカーテンが得られず頻繁にV字カット現象が誘発し、安定塗工には適さないものであった。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のポリウレタンウレア壁マイクロカプセル分散液に係わる成分及びその製造方法を詳細に説明するが、まず本発明に係わるζ電位の測定条件、マイクロカプセル分散液のζ電位を本発明の範囲に調製する方法、及びζ電位の調製に用いる材料について説明する。
【0020】
通常、マイクロカプセルを含む塗工液は、マイクロカプセル分散液に水溶性バインダー、ラテックス、及びマイクロカプセル保護材粒子等の添加剤を添加混合して得られる。ζ電位の値は、マイクロカプセルにこれらの添加剤を添加混合して塗工液にした場合と、マイクロカプセル単独で測定した場合とでは値が異なるが、本発明でいうζ電位は、添加剤を添加混合して塗工液にした場合のマイクロカプセルのζ電位を表す。また、マイクロカプセルのζ電位は、イオン交換水100mlに試料となる塗工液を0.2ml添加し、良く分散した試料を測定した値をもって本発明に係わるマイクロカプセルのζ電位とする。本発明に係わるζ電位は、米国PEN KEM社製「LASER ZEE MODEL 501」等を用いて測定することができる。
【0021】
本発明に係わるマイクロカプセルのζ電位を上記の範囲に調整する方法としては、マイクロカプセル作製工程において油溶性液体を微小滴状に乳化分散する時点で乳化剤としてアニオン性化合物を添加して調整する方法、マイクロカプセル調製後所望により種々の添加剤を添加混合する時点で添加剤と相前後してアニオン性化合物を添加して調整する方法、塗工液の構成素材を全て添加混合して得られた塗工液中にアニオン性化合物を添加して調整する方法、及びこれらを組み合わせた方法等が挙げられる。本発明においては、マイクロカプセル作製時に油溶性液体を微小滴状に乳化分散する時点でアニオン性化合物を添加して調整する方法が、カーテン形成性が最も良好であるために好適である。
【0022】
また、本発明に係わるアニオン性化合物としは、脂肪酸石鹸、金属石鹸、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、ジアルキルスルフォこはく酸塩、あるいはノニオン性のポリマーをこれらのアニオン性化合物で分散安定化したアニオン性のラテックス系バインダーや、分子中にアニオン性官能基を複数(多数)有する多官能基性のアニオン性化合物等が挙げられる。
【0023】
これらの内、本発明においてアニオン性化合物として一塩基酸や多塩基酸であってもアニオン性を示す官能基が分子中に1つしかない化合物を用いると、マイクロカプセルのζ電位は低下するものの、V字カット現象の抑止効果としては不十分であり、V字カット現象の防止の点で分子中にカルボキシル基、スルフォン酸基、リン酸、及びホスホン酸基等のアニオン性官能基を多数有する多官能基性のアニオン性化合物の使用が好適である。
【0024】
従って、本発明の効果を十分に達成するためには、分子中にカルボキシル基、スルフォン酸基、リン酸、及びホスホン酸基等のアニオン性官能基を多数有する多官能基性のアニオン性化合物(以降、アニオン性ポリマーと称す。)を油溶性液体を微小滴状に乳化分散するための乳化剤として、マイクロカプセル作製時に用いることが最も好ましい。
【0025】
本発明に係わるアニオン性ポリマーの具体例としては、ポリ(メタ)アクリル酸、スチレン無水マレイン酸共重合体加水分解物、α−アルキルスチレン無水マレイン酸共重合体加水分解物、メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体加水分解物、ビニルトルエン無水マレイン酸共重合体加水分解物、スチレンベンジルメタクリレート無水マレイン酸共重合体加水分解物、エチレン無水マレイン酸共重合体加水分解物、イソブチレン無水マレイン酸共重合体加水分解物、酢酸ビニル無水マレイン酸共重合体加水分解物、酢酸ビニルクロトン酸共重合体、(メタ)アクリル酸(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン(メタ)アクリル酸(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリスチレンスルフォン酸、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、スルフォン化変性ポリビニルアルコール、及びポリビニルリン酸等、及びそのアルカリ金属またはアンモニウム塩が挙げられる。これらの分子量が5000以上のものが好ましい。
【0026】
これらアニオン性ポリマーは、マイクロカプセル作製時の乳化剤として使用することが好ましく、単にマイクロカプセル化終了後の塗工液中にアニオン性ポリマーを混合するだけでは効果は不十分となる。また、通常ノニオン性分散剤と称されているポリビニルアルコールやポリオキシエチレンアルキルエーテルの如きイオン性解離基を有さない分散剤と本発明に係わるアニオン性ポリマーとの併用においては効果は得られるが、ノニオン性分散剤を単独で使用する場合は十分な効果を発揮しない。
【0027】
次に、本発明に係わるマイクロカプセルを構成する成分及びカプセル化方法を説明する。本発明に係わるマイクロカプセルは、ポリウレタンウレア壁を有するマイクロカプセルである。ポリウレタンウレア壁マイクロカプセルは、多価イソシアネート及び発色剤等を溶解した油溶性液体を添加し微小滴状に乳化分散した後、所望により多価アミンもしくは多価アルコールを作用させることにより得られる。具体的には、乳化剤を含有する水溶液中に、多価イソシアネート及び発色剤等を溶解した油溶性液体を添加し、公知の分散機等により微小滴状に乳化分散した後、更に必要であれば多価アミンもしくは多価アルコールを添加し、加熱しながら撹拌することによりポリウレタンウレア壁マイクロカプセルが得られる。
【0028】
本発明に係わるマイクロカプセルの作製に用いる乳化剤としては、上述したようにアニオン性ポリマーが最適であるが、アニオン性ポリマーは必ずしも単独で使用する必要はなく、全乳化剤有効成分中少なくとも10重量%以上、好ましくは30重量%以上あれば、本発明の効果は十分達成される。アニオン性ポリマーを包含する乳化剤水溶液中の乳化剤成分の濃度は0.5〜30重量%、好ましくは2〜20%の範囲が好ましい。
【0029】
本発明に係わるマイクロカプセルに用いる多価イソシアネートの具体例としては、m−フェニレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエン−2,4,6−トリイソシアネート等のイソシアネート単量体、ヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンの付加物、トリレンジイソシアネートとヘキサントリオールの付加物、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、及びヘキサメチレンジイソシアネートのビュレット付加物等が挙げられ、これらは単独または組合わせて用いられる。
【0030】
これら多価イソシアネートと反応して皮膜を形成する多価アミンとしては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、及びヘキサメチレンジアミン等の脂肪族アミンや、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、ジアミノナフタレン、及びキシレンジアミン等の芳香族アミンが挙げられる。また、多価アルコールとしては、エチレングリコール、グリセリン、及びペンタエリスリトール等が挙げられる。これらの多価アミンもしくは多価アルコールを多価イソシアネートと併する場合は、多価イソシアネートに対し0.5〜100重量%、好ましくは2〜50%の範囲で用いられる。これらは単独または組合わせて用いられる。
【0031】
本発明に係わるマイクロカプセルに内包される発色剤は、従来より一般に感圧記録紙や感熱記録紙等に用いられている発色剤(染料前駆体とも呼称される)を利用することができ、その代表例としては、トリアリールメタン系化合物、インドリルフタリド系化合物、ジフェニルメタン系化合物、及びアニリノフルオラン系化合物等が挙げられるが、特にこれらに制限されるものではない。具体的な例としては、下記に挙げるものなどがある。
【0032】
トリアリールメタン系化合物及びインドリルフタリド系化合物としては、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(通称クリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニルフタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,2−ジメチルイドンドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−フェニルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(9−エチルカルバゾール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(2−フェニルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、及び3−p−ジメチルアミノフェニル−3−(1−メチルピロール−2−イル)−6−ジメチルアミノフタリド等が挙げられる。
【0033】
ジフェニルメタン系化合物としては、4,4′−ビス(ジメチルアミノフェニル)ベンズヒドリルベンジルエーテル、N−クロロフェニルロイコオーラミン、及びN−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン等が挙げられる。
【0034】
アニリノフルオラン系化合物としては、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−−6−メチル−7−(4−メチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(4−n−ブチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(4−エトキシアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−(4−メチルアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−(4−n−ブチルアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−(4−エトキシアニリノ)フルオラン、3−ジ−n−プロピルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ−n−ペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−n−プロピル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−n−プロピル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−シクロヘキシル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−テトラヒドロフラン−2−イルメチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−テトラヒドロフリルメチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−テトラヒドロフラン−2−イル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−テトラヒドロフリル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジメチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−エチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−イソペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−(2−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メトキシ−7−アニリノフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−(2,6−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−(N−エチル−N−3−エトキシプロピル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−3−エトキシプロピル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(3−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(3−トリフルオロメチルアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(3−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−7−(3−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−メトキシアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−7−(3−クロロアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−7−(2−メトキシアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−イソペンチルオキシカルボニルアニリノ)フルオラン、及び3−(N−エチル−N−p−トリル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン等が挙げられる。
【0035】
その他、キサンテン系化合物、スピロピラン系化合物、及び各種ジアゾニウム塩化合物等も本発明に係わる発色剤として用いることができる。これらは単独もしくは2種以上混合して使用することができる。
【0036】
上記発色剤を溶解するための油溶性液体としては、パラフィン油、綿実油、大豆油、コーン油、オリーブ油、ヒマシ油、魚油、豚脂油、塩素化パラフィン、塩素化ジフェニル、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、トリブチルフォスフェート、トリクレジルフォスフェート、ジブチルマレエート、o−ジクロロベンゼン、ジイソプロピルナフタレン等のアルキル化ナフタレン、1−フェニルトリキシリルエタン等のベンジルアルコール誘導体、1−(3,4−ジメチルフェニル)−1−フェニルエタン、及びポリ(1〜4)イソプロピルナフタレン等が挙げられる。
【0037】
本発明のマイクロカプセル分散液に併用するマイクロカプセル保護材粒子は、マイクロカプセルを含有する塗工層における発色を意図しない時のマイクロカプセルの破壊を防止するための、即ちマイクロカプセルを保護する粒子である。従って、マイクロカプセル保護材粒子としては、少なくとも本発明に係わるマイクロカプセルの粒径より大きく、かつマイクロカプセル粒子より硬い(押圧等に対して変形し難い)ことが肝要である。本発明に係わるマイクロカプセル保護材粒子の具体的な例としては、セルロース粉末、でんぷん粒子、メラミン粒子、ポリエチレン粒子、ポリスチレン粒子、及びタルク等が挙げられ、その最大長が5μm以上、好ましくは10μm以上の粒子が好ましい。
【0038】
本発明に係わるバインダーとしては、結着能及び皮膜形成能を有する従来より公知の天然高分子物質、天然高分子変性品(半合成品)、及び合成品を用いることができる。バインダーに用いる天然高分子物質としては、甘藷でんぷん、馬鈴薯でんぷん、小麦でんぷん、タピオカでんぷん、及びコーンスターチ等のでんぷん類、デキストラン、グルカン、キサンタンガム、及びレバン等のホモ多糖類、並びにサクシノグルカン、プルラン、カードラン、及びザンタンガム等のヘテロ糖類等の微生物粘質物、ゼラチン、カゼイン、にかわ、及びコラーゲン等のタンパク質等が挙げられる。
【0039】
また、半合成品としては、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ビスコース、メチルセルロース、エチルセルロース、メチルエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等の繊維素誘導体、変性ガム、並びに加工でんぷん等が挙げられる。変性ガムにはカルボキシメチルグアーガム、ヒドロキシプロピルグアーガム、及びヒドロキシエチルグアーガム等が挙げられる。加工でんぷんには白色デキストリン、黄色デキストリン、及びブリディシュガム等の培焼でんぷん、酵素デキストリン及びシャーディンガーデキストリン等の酵素変性デキストリン、可溶化でんぷんの様な酸分解でんぷん、ジアルデヒドスターチの様な酸化でんぷん、変性アルファー化でんぷん及び無変性アルファー化でんぷん等のアルファー化でんぷん、リン酸でんぷん、脂肪酸でんぷん、硫酸でんぷん、硝酸でんぷん、キサントゲン酸でんぷん、及びカルバミン酸でんぷん等のエステル化でんぷん、ヒドロキシアルキルでんぷん、カルボキシアルキルでんぷん、スルフォアルキルでんぷん、シアノエチルでんぷん、アリルでんぷん、ベンジルでんぷん、カルバミルエチルでんぷん、及びジアルキルアミノでんぷん等のエーテル化でんぷん、メチロール架橋でんぷん、ヒドロキシアルキル架橋でんぷん、リン酸架橋でんぷん、及びジカルボン酸架橋でんぷん等の架橋でんぷん、でんぷんポリアクリルアミド共重合体、でんぷんポリアクリロニトリル共重合体、カチオン性でんぷんポリアクリル酸エステル共重合体、カチオン性でんぷんビニルポリマ共重合体、でんぷんポリスチレンマレイン酸共重合体、及びでんぷんポリエチレンオキサイド共重合体等のでんぷんグラフト共重合体等が挙げられる。
【0040】
また、合成品としては、ポリビニルアルコール、部分アセタール化ポリビニルアルコール、アリル変性ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエチルエーテル、及びポリビニルイソブチルエーテル等の変性ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリ(メタ)アクリル酸エステル部分けん化物、及びポリ(メタ)アクリルアマイド等のポリ(メタ)アクリル酸誘導体、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、及びビニルピロリドン酢酸ビニル共重合体の親水性高分子や、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、スチレンブタジエン共重合体、カルボキシ変性スチレンブタジエン共重合体、アクリロニトリルブタジエン共重合体、アクリル酸メチルブタジエン共重合体、及びエチレン酢酸ビニル共重合体等のラテックス類等が挙げられる。
【0041】
また、前記アニオン性ポリマーも、支持体との接着力に優れるため、本発明に係わるバインダーとして併用して使用することも可能である。これらのバインダーは、単独もしくは2種以上混合して使用することができる。バインダーの使用量は、マイクロカプセル固形量に対し5〜40重量%の範囲が好ましい。
【0042】
本発明に用いられる顕色剤としては、上記発色剤と反応して発色する化合物であれば良く、サリチル酸誘導体の金属塩、フェノールノボラック樹脂、無機系固体酸等また、ジアゾ化合物に対してはヒドロキシ芳香族化合物等のカプラーとの組み合せ等が知られており、これらの組み合わせを単独、あるいは混合して用いることができる。
【0043】
本発明のマイクロカプセル分散液には、所望により無機や有機の顔料を添加併用しても良く、その具体例としては、ケイソウ土、タルク、カオリン、焼成カオリン、炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、炭酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、珪酸、二酸化珪素、水酸化アルミニウム、アルミナ、尿素ホルマリン樹脂、ナイロン樹脂、ポエリエチレン樹脂、及びポリスチレン樹脂等が挙げられる。更に、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩、パラフィン、酸化パラフィン、ポリエチレン、酸化ポリエチレン、ステアリン酸アミド、及びカスターワックス等のワックス類等の滑剤を併用しても良い。
【0044】
本発明のマイクロカプセル分散液、及びマイクロカプセルを含有する塗工液を構成する各種材料は、撹拌混合され均一な分散液とされた後、本発明で述べるカーテン塗工用塗工液として共される。塗工液の固形分濃度は、10〜50%、好ましくは20〜40%に調製されて塗工される。また、塗工液の粘度もカーテンの安定性に与える条件の一つであり、20℃のB型粘度で5〜500cps、好ましくは50〜300cpsの範囲が好ましい。
【0045】
本発明で得られたマイクロカプセルは、添加剤と共に上質紙、合成紙等に塗工されて感圧複写紙が得られる。また、発色剤を発色させる顕色剤又は顕色剤を内包するマイクロカプセルと共に塗工することにより、単一のシートで加圧や加熱で画像が記録できる自己発色型感圧記録紙や感熱記録紙等が得られる。
【0046】
【実施例】
次に、実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説明する。なお、本発明で示すζ電位は、米国PEN KEM社製「LASER ZEE MODEL 501」を用いて測定を行った。測定条件としては、イオン交換水100mlに試料となる塗工液を0.2ml添加し良く分散して測定用の試料とした。また、実施例中の感圧複写紙用上用紙とは、支持体の片面にマイクロカプセルを含有する層が設けられたシートのことを意味し、支持体の片面に顕色剤を含有する層が設けられたシートのことを下用紙と称する。
【0047】
実施例1
スミジュールN−3200(住友バイエルウレタン製、ビュレット型脂肪族イソシアネートプレポリマー)6重量部と、発色剤であるクリスタルバイオレットラクトン5重量部を、ハイゾールSAS−296(日本石油化学製、芳香族系高沸点溶剤)89重量部に加熱溶解し、発色剤を溶解した油溶性液体100重量部を得た。この油溶性液体を、乳化剤であるスチレン無水マレイン酸共重合体加水分解物のナトリウム塩6重量部をpHを7に調整した乳化剤水溶液100重量部中に添加し、体積平均粒子径が8μmになるまで強撹拌を行った。ついで、この乳化液を撹拌しながら、水50重量部を添加し、60℃で1時間加熱撹拌を施してポリウレタンウレア壁マイクロカプセル分散液を得た。
【0048】
得られたマイクロカプセルの乾燥重量換算で100重量部に対し、マイクロカプセル保護材粒子である小麦でんぷん30重量部、バインダーであるスチレンブタジエン系ラテックス15重量部及びポリビニルアルコール(クラレ製、PVA−110;以降に示す「ポリビニルアルコール」には、全てPVA−110を用いた)15重量部、及び水を添加し、固形分濃度30%の感圧複写紙上用紙用マイクロカプセル分散塗工液を得た。
【0049】
このマイクロカプセル分散塗工液中のマイクロカプセルのζ電位を測定したところ、−55mVであった。この塗工液を、ヘッド間隙0.3mm、幅1mのカーテン塗工装置の塗工ヘッドを有する塗工機を用い、流量9リットル/分の条件で40g/m2上質紙の片面に連続塗工を行ったところ安定なカーテンが形成され、塗工スピード800m/分でV字カットが全く発生することなく塗工が可能であった。この塗工により得られた感圧複写紙上用紙のマイクロカプセル面にオフセット印刷機を用い地紋印刷を施したところ、着肉性、耐刷性ともに良好な印刷物が得られた。また、この塗工により得られた感圧複写紙上用紙と下用紙を交互に重ね合わせ端部にラテックス系の接着剤を塗布したところ、適度の強度に組み合わされた帳票伝票が得られた。
【0050】
実施例2
タケネート110N(武田薬品製、脂肪族イソシアネートプレポリマー)10重量部と、クリスタルバイオレットラクトン10重量部を、ハイゾールSAS−296(日本石油化学製、芳香族系高沸点溶剤)80重量部に加熱溶解し、発色剤を溶解した油溶性液体100重量部を得た。この油溶性液体を、乳化剤であるスミレーズレジンDS−40K(住友化学工業製スチレン無水マレイン酸系樹脂)1重量部とポリビニルアルコール4重量部を溶解し、pHを8に調整した乳化剤水溶液100重量部中に添加し、体積平均粒子径が3.5μmになるまで強撹拌を行った。ついで、この乳化液を撹拌しながら水50重量部を添加し、60℃で1時間加熱撹拌を施してポリウレタンウレア壁マイクロカプセル分散液を得た。
【0051】
得られたマイクロカプセルの乾燥重量換算で100重量部に対し、サリチル酸系顕色剤50重量部、小麦でんぷん50重量部、スチレンブタジエン系ラテックス25重量部、ポリビニルアルコール15重量部、及び水を添加し、固形分濃度30%の自己発色型感圧複写紙用マイクロカプセル分散塗工液を得た。
【0052】
このマイクロカプセル分散塗工液中のマイクロカプセルのζ電位を測定したところ、−35mVであった。この塗工液を、ヘッド間隙0.3mm、幅1mのカーテン塗工装置の塗工ヘッドを有する塗工機を用い、流量13リットル/分の条件で40g/m2上質紙の片面に連続塗工を行ったところ、安定なカーテンが形成され、塗工スピード800m/分でV字カットが全く発生することなく塗工が可能であった。
【0053】
実施例3
実施例1において、乳化剤として用いたスチレン無水マレイン酸共重合体加水分解物のナトリウム塩6重量部の替わりに、スチレン無水マレイン酸共重合体のナトリウム塩4重量部とポリビニルアルコール2重量部を溶解し、pHを7に調整した乳化剤水溶液100重量部を用いた以外は、実施例1と同様にしてカプセル化を行い、ポリウレタンウレア壁マイクロカプセル分散液を得た。また、このマイクロカプセル分散液を用い、実施例1と同様の配合で感圧複写紙上用紙用マイクロカプセル分散塗工液を得た。
【0054】
このマイクロカプセル分散塗工液中のマイクロカプセルのζ電位を測定したところ、−48mVであった。この塗工液を、ヘッド間隙0.3mm、幅1mのカーテン塗工装置の塗工ヘッドを有する塗工機を用い、流量9リットル/分の条件で40g/m2上質紙の片面に連続塗工を行ったところ、安定なカーテンが形成され、塗工スピード800m/分でV字カットが全く発生することなく塗工が可能であり印刷適性、糊付け適性の良好な感圧複写紙が得られた。
【0055】
実施例4
実施例1において、乳化剤として用いたスチレン無水マレイン酸共重合体加水分解物のナトリウム塩6重量部の替わりに、マレイン酸変性ポリビニルアルコール(日本合成化学工業製、ゴーセナールT350)6重量部を溶解し、pHを7に調整した乳化剤水溶液100重量部を用いた以外は、実施例1と同様にしてカプセル化を行い、ポリウレタンウレア壁マイクロカプセル分散液を得た。また、このマイクロカプセル分散液を用い、実施例1と同様の配合で感圧複写紙上用紙用マイクロカプセル分散塗工液を得た。
【0056】
このマイクロカプセル分散塗工液中のマイクロカプセルのζ電位を測定したところ、−15mVであった。この塗工液を、ヘッド間隙0.3mm、幅1mのカーテン塗工装置の塗工ヘッドを有する塗工機を用い、流量9リットル/分の条件で40g/m2上質紙の片面に連続塗工を行ったところ、安定なカーテンが形成され、塗工スピード800m/分でV字カットが全く発生することなく塗工が可能であり、印刷適性、糊付け適性の良好な感圧複写紙が得られた。
【0057】
実施例5
実施例1のマイクロカプセル化工程において用いた乳化剤のうち、スチレン無水マレイン酸共重合体加水分解物のナトリウム塩を同量のポリビニルアルコールに替え、乳化剤としてはポリビニルアルコール単独で6重量部使用して作製したポリウレタンウレア壁マイクロカプセル分散液に、エチレン無水マレイン酸共重合体(米国モンサント製、EMA−31)10重量部を溶解した水溶液50重量部を添加した以外は、実施例1と同様にしてカプセル化を行い、ポリウレタンウレア壁マイクロカプセル分散液を得た。また、このマイクロカプセル分散液を用いて、実施例1と同様にして感圧複写紙用マイクロカプセル分散塗工液を作製した。
【0058】
このマイクロカプセル分散塗工液中のマイクロカプセルのζ電位を測定したところ、−20mVであった。この塗工液を、ヘッド間隙0.3mm、幅1mのカーテン塗工装置の塗工ヘッドを有する塗工機を用い、流量9リットル/分の条件で40g/m2上質紙の片面に連続塗工を行ったところ、安定なカーテンが形成され、塗工スピード800m/分でV字カットが全く発生することなく塗工が可能であり、印刷適性、糊付け適性の良好な感圧複写紙が得られた。
【0059】
比較例1
実施例1のマイクロカプセル化工程において用いた乳化剤の内、スチレン無水マレイン酸共重合体加水分解物のナトリウム塩を同量のポリビニルアルコールに替え、乳化剤としてはポリビニルアルコール単独で6重量部使用した以外は、実施例1と同様にしてカプセル化を行って、ポリウレタンウレア壁マイクロカプセル分散液を得た。また、このマイクロカプセル分散液を用いて、実施例1と同様にして感圧複写紙用マイクロカプセル分散塗工液を作製した。
【0060】
このマイクロカプセル分散塗工液中のマイクロカプセルのζ電位を測定したところ、−2mVであった。この塗工液を、実施例1と同様の塗工機を用いて塗工を試みたが、安定したカーテンが形成されず、連続塗工は困難であった。
【0061】
比較例2
比較例1で得られたポリウレタンウレア壁マイクロカプセル分散液に、実施例2で用いたスミレーズレジンDS−40Kを5重量部添加した以外は、比較例1と同様にして感圧複写紙上用紙用マイクロカプセル分散塗工液を得た。
【0062】
このマイクロカプセル分散塗工液中のマイクロカプセルのζ電位を測定したところ、−8mVであった。また、この塗工液を、実施例1と同様の塗工機を用いて塗工を試みたが安定したカーテンが形成されず連続塗工は困難であったが、塗工液の流量を上げて何とか連続塗工を可能とし感圧複写紙を得た。この感圧複写紙のマイクロカプセル面に実施例1と同様の地紋印刷を施したところ、インクの着肉性が悪く細部の線の再現性に乏しかった。
【0063】
比較例3
実施例1のマイクロカプセル化工程において、乳化剤水溶液としてスチレン無水マレイン酸共重合体の替わりに、ポリビニルアルコール8重量部とカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩0.5重量部を加熱溶解した水溶液100重量部を用い、実施例1と同様にしてカプセル化を行って、ポリウレタンウレア壁マイクロカプセル分散液を得た。また、このマイクロカプセル分散液を用いて、実施例1と同様にして感圧複写紙上用紙用マイクロカプセル分散塗工液を作製した。
【0064】
このマイクロカプセル分散塗工液中のマイクロカプセルのζ電位を測定したところ、−5mVであった。また、この塗工液を、実施例1と同様の塗工機を用いて塗工を試みたが、安定したカーテンが形成されず連続塗工は困難であった。
【0065】
【発明の効果】
ポリウレタンウレア壁マイクロカプセルを含有する塗工液をカーテン塗工装置を用いて塗工する際、塗工液中のマイクロカプセルのζ電位を−10mV以下、−60mV以上とすることにより、安定でV字カット現象の誘発のない高速塗工に適したカーテン塗工用マイクロカプセル分散液を得ることが可能となった。更に上記マイクロカプセル分散液を用いてカーテン塗工法により発色性の良好な感圧複写上用紙、中用紙、及び自己発色型感圧複写紙が得られた。またマイクロカプセル塗布面に対する高速印刷適性に優れることや、帳票伝票作成時に端部を一括して接着させる糊付け適性も極めて良好となった。

Claims (4)

  1. 発色剤を内包するポリウレタンウレア壁マイクロカプセルのζ電位が−10mV以下、−60mV以上であることを特徴とするカーテン塗工用マイクロカプセル分散液。
  2. 少なくとも発色剤を内包するポリウレタンウレア壁マイクロカプセル、マイクロカプセル保護材粒子、及びバインダーからなる塗工液中のマイクロカプセルのζ電位が−10mV以下、−60mV以上であることを特徴とするカーテン塗工用マイクロカプセル分散液。
  3. 少なくとも発色剤を内包するポリウレタンウレア壁マイクロカプセル、顕色剤、マイクロカプセル保護材粒子、及びバインダーからなる塗工液中のマイクロカプセルのζ電位が−10mV以下、−60mV以上であることを特徴とするカーテン塗工用マイクロカプセル分散液。
  4. 請求項1から3の何れかに記載のカーテン塗工用マイクロカプセル分散液が支持体に塗布された感圧複写紙。
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