JP3763245B2 - ヘテロポリ酸系触媒の再生方法およびメタクリル酸の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はヘテロポリ酸系触媒の再生方法、およびメタクリル酸の製造方法に関する。詳しくは、接触気相酸化反応に長期間使用するなどして活性劣化したヘテロポリ酸系触媒を再生する方法、およびこの再生されたヘテロポリ酸系触媒の存在下にメタクロレイン、イソブチルアルデヒドおよび/またはイソ酪酸を気相酸化または気相酸化脱水素してメタクリル酸を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
メタクロレイン、イソブチルアルデヒドまたはイソ酪酸などを気相酸化してメタクリル酸を製造する際には、リン−モリブデンあるいはリン−モリブデン−バナジウムの元素からなるヘテロポリ酸あるいはそれらの塩を主成分とするヘテロポリ酸系触媒が用いられている。
【0003】
一般に工業的気相酸化反応は長期間連続して行うことが前提となっており、その間、触媒には多大な熱的負荷がかかるため物理的、化学的に好ましくない変化が起こり、その結果、触媒の劣化が進み、次第に反応の継続が困難となる。そのため、一定期間を過ぎると劣化触媒を反応管から抜き出して、新たに調製した触媒を充填する必要があり、その際の触媒コストは経済的に大きな負担となる。このような状況は、上記のヘテロポリ酸系触媒を用いたメタクロレイン、イソブチルアルデヒドまたはイソ酪酸などの気相酸化によるメタクリル酸の製造の場合も同様である。
【0004】
そこで、活性の低下した触媒の再生が経済的観点から重要であり、劣化したヘテロポリ酸系触媒の再生についても種々の提案がなされている。例えば、特公平4−50062号公報には、劣化触媒をピリジンなどの含窒素ヘテロ環化合物で処理して再生する方法が記載されている。また、特公平7−20552号公報には、リン、モリブデンおよびアルカリ金属を含む失活触媒をアンモニア水とアミンなどとを含む水溶液で処理した後、乾燥、焼成して再生する方法が記載されている。
【0005】
しかし、ヘテロポリ酸系触媒の劣化の原因については未だ究明されていないのが実状である。上記公報にも劣化の原因についての具体的記載はなく、特公平4−50062号公報では、(1)X線回折の測定結果で、劣化触媒では、劣化前の触媒(フレッシュ触媒)では認められない回折線(三酸化モリブデンに帰属される)が認められるが、再生触媒にはこの回折線が消え、フレッシュ触媒と同じX線回折図が得られる、(2)BET比表面積の測定結果で、劣化触媒では、フレッシュ触媒の6割程度にまで低下するが、再生触媒では、フレッシュ触媒とほぼ同程度まで回復する、(3)反応成績がフレッシュ触媒と同等である、ことをもって再生が行われたとしている。また、特公平7−20552号公報でも、上記と同様な結果を示して再生が行われたことを確認しているにすぎない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前記のとおり、触媒コストの削減が生産コストの低減に寄与するところは大きいことから、従来の再生方法に対し、更に一段と改善された再生方法の開発が望まれている。かくして、本発明は活性劣化したヘテロポリ酸系触媒を、フレッシュ触媒とほぼ同等の活性を示し、しかもその活性を長期間維持できるようなヘテロポリ酸系触媒に効率よく再生する方法を提供しようとするものである。
【0007】
詳しくは、本発明の目的の一つは、劣化したヘテロポリ酸系触媒を、フレッシュ触媒と同一組成を有するヘテロポリ酸系触媒に再生する方法を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、劣化したヘテロポリ酸系触媒を、フレッシュ触媒と組成が異なるヘテロポリ酸系触媒に再生する方法を提供することにある。この方法によれば、劣化したヘテロポリ酸系触媒を出発原料として、新たなヘテロポリ酸系触媒に調製し直すことができる。
【0009】
本発明の他の目的は、上記方法により再生した触媒を用いて、メタクロレイン、イソブチルアルデヒドおよび/またはイソ酪酸を接触気相酸化してメタクリル酸を製造する方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ヘテロポリ酸系触媒の長期間の使用による劣化の原因は、(1)触媒組成のうち、特にヘテロポリ酸構成元素であるリン、モリブデン、バナジウムなどが飛散し、フレッシュ触媒と組成が著しく変わること、(2)触媒物性面については、比表面積の低下およびヘテロポリ酸構造の一部崩壊であることを確認した。そして、本発明者らは、飛散、消失したヘテロポリ酸構成元素を劣化触媒に補充することについて研究を重ねたところ、劣化触媒を、含窒素ヘテロ環化合物の存在下に、消失したヘテロポリ酸構成元素を含む化合物で処理すると、消失したヘテロポリ酸構成元素を効果的に補充できること、またこのようして得られる再生ヘテロポリ酸系触媒はフレッシュ触媒とほぼ同一の比表面積を有し、またそのX線回折図はフレッシュ触媒のX線回折図とほぼ同一であって、崩壊したヘテロポリ酸構造が回復していることを見出し、これらの知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、モリブドリン酸および/またはモリブドバナドリン酸からなるヘテロポリ酸またはその塩を含むヘテロポリ酸系触媒であって、その活性の低下した劣化触媒を再生するにあたり、該劣化触媒を下記化合物で処理することを特徴とするヘテロポリ酸系触媒の再生方法である。
(1)含窒素ヘテロ環化合物
(2)ヘテロポリ酸系触媒の構成元素を含む化合物および/またはヘテロポリ酸系触媒の構成元素以外の元素を含む化合物
また、本発明は、メタクロレイン、イソブチルアルデヒドおよび/またはイソ酪酸を接触気相酸化してメタクリル酸を製造する際に、上記の方法により再生した触媒を用いることを特徴とするメタクリル酸の製造方法である。
【0012】
本発明の再生方法は、種々の理由によって活性劣化したヘテロポリ酸系触媒の再生に用いられるが、長期間の使用によって活性劣化したヘテロポリ酸系触媒の再生に好適に用いられる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の再生方法は、有機化合物の気相酸化反応に用いられるヘテロポリ酸系触媒であればいずれも適用できるが、不飽和アルデヒド等を気相酸化して対応する不飽和カルボン酸を製造する際に用いられるヘテロポリ酸系触媒、特にメタクロレイン、イソブチルアルデヒドおよび/またはイソ酪酸を気相酸化してメタクリル酸を製造するのに用いられるヘテロポリ酸系触媒の再生に好適に用いられる。
【0014】
本発明のヘテロポリ酸系触媒とは、リン−モリブデン、あるいはリン−モリブデン−バナジウムを必須構成元素とするヘテロポリ酸、またはその塩を含むものである。なかでも、下記一般式(I)
PaMobVcXdYeOf (I)
(式中、Mo、V、PおよびOはそれぞれモリブデン、バナジウム、リンおよび酸素を示し、Xはカリウム、ルビジウム、セシウムおよびタリウムよりなる群から選ばれた少なくとも1種の元素を示し、Yはアルカリ土類金属、銅、銀、ヒ素、アンチモン、ビスマス、鉄、コバルト、ニッケル、クロム、マンガン、タングステン、ジルコニウム、ニオブ、チタン、亜鉛、スズ、セレン、テルル、ゲルマニウム、パラジウム、ロジウム、希土類元素およびケイ素からなる群から選ばれた少なくとも1種の元素を示す。また、添字a、b、c、d、eおよびfは各元素の原子比を表し、b=12としたとき、a、c、d、eはそれぞれ0(ゼロ)を含まない3以下の値をとり、かつfは他の元素の原子価および原子比の値によって定まる値をとる。)で表されるヘテロポリ酸系触媒の再生に好適に用いられる。このヘテロポリ酸系触媒は、当該技術分野でよく知られた方法によって調製することができる。
【0015】
本発明の再生方法の一つ(以下、「再生方法A」という)は、前記成分(2)として、元のヘテロポリ酸系触媒の構成元素を含む化合物を用いるものであり、この方法によれば、劣化したヘテロポリ酸系触媒を元のヘテロポリ酸系触媒と同一組成を有するヘテロポリ酸系触媒に再生することができる。また、本発明の他の再生方法(以下、「再生方法B」という)は、前記成分(2)として元のヘテロポリ酸系触媒の構成元素を含む化合物と元のヘテロポリ酸系触媒の構成元素と異なる元素を含む化合物、または元のヘテロポリ酸系触媒の構成元素と異なる元素を含む化合物を用いるものであり、この方法によれば、劣化したヘテロポリ酸系触媒を元のヘテロポリ酸系触媒と異なる組成のヘテロポリ酸系触媒に再生することができる。つまり、この再生方法Bによれば、劣化したヘテロポリ酸系触媒を出発原料として用いて、新たなヘテロポリ酸系触媒に調製し直すことができる。以下、再生方法Aおよび再生方法Bについて説明する。
<再生方法A>
フレッシュ触媒と劣化触媒とについて蛍光X線回折にて組成分析を行い、劣化により触媒から飛散、消失した構成元素、例えば、リンおよびモリブデン、あるいはリン、モリブデンおよびバナジウムの量を割り出す。次に、これら消失元素を補充してフレッシュ触媒と全く同一の組成(構成元素および元素構成比)となるような量の各消失構成元素を含む化合物と含窒素ヘテロ環化合物とをもって劣化触媒を処理する。
【0016】
上記含窒素ヘテロ環化合物の代表例としては、ピリジン、ピペリジン、ピペラジン、ピリミジン、イソキノリンおよびこれら化合物の誘導体(アルキル置換誘導体等)を挙げることができる。これら化合物は、その硝酸塩、硫酸塩、塩酸塩などの無機塩類の形態で使用するのが好ましい(特公平4−50062号公報参照)。この含窒素ヘテロ環化合物の使用量は劣化触媒の1〜50質量%の範囲内で適宜選ぶことができる。
【0017】
上記消失構成元素を含む化合物については、リンおよびモリブデン、あるいはリン、モリブデンおよびバナジウムを含むヘテロポリ酸の調製に一般に用いられている出発原料(例えば、塩または酸化物)を用いることができる。例えば、リン出発原料としては、リン酸、リン酸アンモニウムなど、モリブデン出発原料としては、モリブデン酸アンモニウム、三酸化モリブデン、モリブデン酸など、またバナジウム出発原料としては、メタバナジン酸アンモニウムなどを用いることができる。これら消失構成元素含有化合物の使用量は、消失構成元素を補充して、フレッシュ触媒と同一組成を有する再生触媒が得られるように、消失構成元素の量に応じて適宜決定される。
【0018】
劣化触媒を上記の含窒素ヘテロ環化合物および消失構成元素含有化合物で処理するには、劣化触媒、含窒素ヘテロ環化合物および消失構成元素含有化合物の混合物を調製し、これを乾燥した後、焼成すればよい。具体的には、例えば、劣化触媒を水に分散し、これに含窒素ヘテロ環化合物と消失構成元素含有化合物とを添加した後、攪拌下に濃縮し、100〜300℃の範囲で乾燥した後、200〜600℃の範囲で焼成する。通常、適宜成形した後焼成する。なお、この際に、特開平4−50062号公報記載の方法に準じて、上記乾燥の後に、窒素などの不活性ガス中で200〜600℃の範囲で焼成した後、さらに空気中で100〜400℃の範囲で焼成してもよい。
【0019】
再生方法Aによれば、劣化触媒をフレッシュ触媒と同一の組成の触媒に再生することができる。そして、後記実施例に示すように、再生触媒はフレッシュ触媒とほぼ同一の比表面積を有し、またX線回折において、三酸化モリブデンに帰属される回折線を示さないなど、フレッシュ触媒とほぼ同一の物性を有している。
【0020】
なお、劣化触媒をフレッシュ触媒と同一の組成の触媒に再生できるほかに、フレッシュ触媒と構成元素比(原子比)が異なる触媒に再生することも可能であり、再生方法Aはこのような態様も包含するものである。
<再生方法B>
劣化触媒を、含窒素ヘテロ環化合物と、元の触媒の構成元素を含む化合物および元の触媒の構成元素以外の元素を含む化合物、または元の触媒の構成元素以外の元素を含む化合物とで処理するものである。この方法によれば、劣化触媒を原料として、元の触媒と組成(構成元素)の異なる触媒に再生することができる。
【0021】
上記元の触媒の構成元素と異なる元素を含む化合物としては、元の触媒に含まれていない元素であって、アルカリ金属、アルカリ土類金属、銅、銀、ヒ素、アンチモン、ビスマス、鉄、コバルト、ニッケル、クロム、マンガン、タングステン、ジルコニウム、ニオブ、チタン、亜鉛、スズ、セレン、テルル、ゲルマニウム、パラジウム、ロジウム、希土類元素、ケイ素など一般のヘテロポリ酸塩を構成する金属元素を含む化合物、例えばこれらの金属元素の硝酸塩、炭酸塩、硫酸塩、塩化物、水酸化物、酸化物などを用いることができる。
【0022】
再生方法Bは、前記成分(2)として、上記化合物を用いる点を除けば再生方法Aと同様に行うことができる。すなわち、劣化触媒と、含窒素ヘテロ環化合物と、元の触媒の構成元素を含む化合物および元の触媒の構成元素以外の元素を含む化合物、または元の触媒の構成元素以外の元素を含む化合物とを含有する混合物を調製し、これを乾燥した後、焼成すればよい。元の触媒の構成元素を含む化合物および/または元の触媒の構成元素以外の元素を含む化合物の使用量については、目的とする再生触媒の組成に応じて、適宜決定すればよい。
【0023】
本発明の再生方法によって得られる再生触媒は、元の触媒と同様の触媒性能を有し、単独、あるいはフレッシュ触媒との混合により、有機化合物の気相酸化、特にメタクロレイン、イソブチルアルデヒドおよび/またはイソ酪酸を気相酸化してメタクリル酸を製造するのに好適に用いられる。
【0024】
【発明の効果】
本発明の再生方法によれば、含窒素ヘテロ環化合物単独で処理する再生方法、あるいは含窒素ヘテロ環化合物の不存在下に消失構成元素を補充する再生方法によって得られる再生触媒に比べて、触媒活性が著しく高く、またフレッシュ触媒と同等の物性を有する再生触媒を得ることができる。
【0025】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。なお、転化率、選択率および単流収率は次のとおり定義される。
転化率(モル%)=(反応したメタクロレインのモル数/供給したメタクロレインのモル数)×100
選択率(モル%)=(生成したメタクリル酸のモル数/反応したメタクロレインのモル数)×100
単流収率(モル%)=(生成したメタクリル酸のモル数/供給したメタクロレインのモル数)×100
【0026】
実施例1
【0027】
(触媒調製)
60℃に加熱した水2,800mlにパラモリブデン酸アンモニウム1,236gとメタバナジン酸アンモニウム68.2gとを溶解して攪拌した。この溶液にピリジン280gとリン酸(85%)87.4gとを加え、続いて硝酸(65%)770gと、硝酸セシウム136.4gおよび硝酸銅14.1gを水1,000mlに溶かした溶液とを加え攪拌下に加熱濃縮した。得られた粘度状物質を5mmφ×6mmLの円柱型に成形し、250℃で乾燥した後、窒素気流中430℃で4時間、続いて空気気流中400℃で2時間焼成した。このようにして得られた触媒の組成を蛍光X線を用いて分析したところ、酸素を除く金属元素の原子比で、P:Mo:V:Cu:Cs=1.3:12:1:0.1:1.2であった。また、X線回折(対陰極Cu−Kα)の測定結果から、この触媒はモリブドバナドリン酸およびその一部金属塩を主成分とする組成のものであった。この触媒のBET比表面積および三酸化モリブデン(MoO3)に帰属されるX線回折線の有無を表1に示す。
【0028】
(劣化)
上記触媒750mlについて下記劣化促進試験を5,000時間連続して行った。このようにして得られた劣化触媒の組成を蛍光X線を用いて分析したところ、酸素を除く金属元素の原子比で、P:Mo:V:Cu:Cs=1.10:9.8:0.98:0.1:1.2であり、フレッシュ触媒の組成と大きく変化していた。また、X線回折の測定結果では、フレッシュ触媒にはまったく見られなかった2θ=27.3、12.7、23.3および25.6゜付近などに三酸化モリブデンに帰属される強い回折線が現れ、ヘテロポリ酸構造が一部崩壊していることが認められた。この劣化触媒のBET比表面積および三酸化モリブデンに帰属されるX線回折線の有無を表1に示す。
【0029】
<劣化促進試験>
触媒を内径25mmφのステンレス製反応管に750ml充填し、380℃の溶融塩浴中に浸漬し、この管内に容量比でメタクロレイン:酸素:窒素:水=2:6:32:10の原料混合ガスを空間速度2,000h-1(STP)で5,000時間連続して通過させる。
【0030】
(再生処理)
劣化触媒100gを水200mlに分散させ70℃で攪拌した。これにピリジンを15g加え、70℃にて15分間保持した後、硝酸(65%)24.8gを加えた。次に、蛍光X線にて分析されたフレッシュ触媒と劣化触媒との成分差分としてパラモリブデン酸アンモニウム22.2g、リン酸(85%)1.3g、メタバナジン酸アンモニウム0.13gを加え、攪拌下に濃縮した。得られた粘土状物質を120℃で15時間乾燥した後、5mmφ×6mmLの円柱型に成形した。これを200℃で乾燥後、窒素気流中430℃で3時間、続いて空気気流中400℃で2時間焼成し、再生触媒とした。蛍光X線を用い、触媒組成を分析した結果、酸素を除く金属元素の原子比でP:Mo:V:Cu:Cs=1.3:12:1:0.1:1.2であった。この再生触媒においては、劣化触媒に見られた三酸化モリブデンに帰属される回折線は完全に消失しており、フレッシュ触媒と同じ回折線を示した。再生触媒のBET比表面積および三酸化モリブデンに帰属される回折線の有無を表1に示す。
【0031】
<性能試験>
触媒50mlを内径25mmφのステンレス製U字管に充填し、280℃の溶融塩浴中に浸漬し、この管内に容量比でメタクロレイン:酸素:窒素:水=1:3:36:10の原料混合ガスを空間速度1,000h-1(STP)で通過させた。結果を表1に示す。
【0032】
表1の結果から、再生触媒はフレッシュ触媒とほぼ同じ物理的特性を有し、またその触媒性能もフレッシュ触媒とほぼ同等であることがわかる。
【0033】
実施例2
実施例1の再生処理の際にピリジンの代わりに同量のピペリジンを用いた以外は実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示した。
【0034】
実施例3
実施例1の再生処理の際にピリジンの代わりに同量のピペラジンを用いた以外は実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
【0035】
実施例4
実施例1の再生処理の際にパラモリブデン酸アンモニウム22.2gの代わりに三酸化モリブデン18.1gを用いた以外は実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
【0036】
比較例1
実施例1の再生処理の際にピリジンを添加しなかった以外は実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。X線回折の測定結果から三酸化モリブデンに帰属される回折線は消失せず、また表1に示したように比表面積も非常に小さく、性能の回復はないことがわかる。
【0037】
比較例2
実施例1の再生処理の際にパラモリブデン酸アンモニウム、リン酸(85%)およびメタバナジン酸アンモニウムを添加しなかった以外は実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。X線回折の測定結果から三酸化モリブデンに帰属される回折線は消失したが、表1に示したように比表面積は小さく、性能の回復は少ないことがわかる。
【0038】
【表1】
【0039】
実施例5
実施例1の再生処理において、P:Mo:V:Cu:Cs:Ag=1.3:12:1:0.1:1.2:0.1となるように硝酸銀をメタバナジン酸アンモニウムと同時に添加した以外は実施例1と同様の処理を行った。結果を表2に示す。
【0040】
実施例6
実施例1の再生処理において、P:Mo:V:Cu:Cs:Zr=1.3:12:1:0.1:1.2:0.1となるようにオキシ硝酸ジルコニルをメタバナジン酸アンモニウムと同時に添加した以外は実施例1と同様の処理を行った。結果を表2に示す。
【0041】
実施例7
実施例1の再生処理において、P:Mo:V:Cu:Cs:Zn=1.3:12:1:0.1:1.2:0.1となるように酸化亜鉛をメタバナジン酸アンモニウムと同時に添加した以外は実施例1と同様の処理を行った。結果を表2に示す。
【0042】
参考例1〜3
実施例1において、実施例5〜7で得られた触媒と同一組成となるように、硝酸セシウムと硝酸銅の水溶液を加えた後、硝酸銀、オキシ硝酸ジルコニルおよび酸化亜鉛を加えた以外は実施例1(触媒調製)と同様に触媒を調製した。結果を表2に示す。
【0043】
【表2】
Claims (3)
- モリブドリン酸および/またはモリブドバナドリン酸からなるヘテロポリ酸またはその塩を含むヘテロポリ酸系触媒であって、その活性の低下した劣化触媒を再生するにあたり、該劣化触媒を下記化合物で処理することを特徴とするヘテロポリ酸系触媒の再生方法。
(1)含窒素ヘテロ環化合物
(2)ヘテロポリ酸系触媒の構成元素を含む化合物および/またはヘテロポリ酸系触媒の構成元素以外の元素を含む化合物 - 含窒素ヘテロ環化合物がピリジン、ピペリジン、ピペラジン、ピリミジン、イソキノリンおよびこれらの誘導体から選ばれる少なくとも一種である請求項1に記載の再生方法。
- メタクロレイン、イソブチルアルデヒドおよび/またはイソ酪酸を接触気相酸化してメタクリル酸を製造する際に、請求項1または2のいずれかに記載の方法により再生した触媒を用いることを特徴とするメタクリル酸の製造方法。
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