JP3762559B2 - 坩堝、結晶成長装置、および、結晶成長方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、昇華法により炭化ケイ素単結晶などを成長させるために用いられる坩堝、これを用いた結晶成長装置、および、結晶成長方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、炭化ケイ素(SiC)等の単結晶を成長させる方法として、昇華法が知られている。この昇華法は、不活性ガス雰囲気の減圧状態で、たとえば黒鉛(グラファイト)の坩堝内にSiC単結晶からなる種結晶基板と粉末状の多結晶のSiCからなる原材料とを対向配置させ、多結晶のSiC原材料を昇華させて種結晶基板上に再結晶させるものである。
【0003】
図7に、このような昇華法に用いられる坩堝の一例を示す。この坩堝50はカーボン製であり、カップ形状の底部材52と、同じくカップ形状をなし底部材52に対向して固定された蓋部材54とを備えている。蓋部材54の中央下面には、円柱状の種結晶保持台56が設けられており、この種結晶保持台56には、種結晶基板58が取り付けられている。一方、底部材52には、種結晶基板58と対向して多結晶からなる粉末状のSiC原材料60が収容されている。そして、このような構成の坩堝50を図示しない結晶成長装置に組み込んで高周波加熱等を行うと、SiC原材料60が昇華し、種結晶基板58の表面にSiC単結晶62のインゴットが成長することになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述のような坩堝を用いて結晶成長を行うにあたっては、次のような問題があった。すなわち、SiC原材料60を加熱すると、当該SiC原材料60と坩堝50の接触部分すなわち図7の破線で示した領域Xにおいて、SiCの炭化が起こる。そして、SiCが炭化すると、当該炭化したSiCの粉末が坩堝50内に舞い上がり、その粉末の一部がSiC単結晶62内に含まれて、SiC単結晶62の品質低下を招いてしまう。また、坩堝50内を炭化したSiCの粉末が舞うと、坩堝50内の蒸気圧が不安定になり、このこともSiC単結晶62の品質低下を招く原因になる。
【0005】
また、このような原材料と坩堝の材料とが反応することによる結晶の品質低下は、原材料としてSiCを用いた場合やカーボン製の坩堝を用いた場合に限られず、種々の場合が想定される。
【0006】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、原材料と坩堝の材料が反応することによる結晶の品質低下を防止できる坩堝、これを用いた結晶成長装置、および結晶成長方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明らは、原料と坩堝材料との反応による副生成物の発生は避け難いため、当該副生成物の単結晶への影響を減少することに着目し、鋭意研究の結果、以下のような発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明は、結晶を成長させる装置に適用され、種結晶が配置される種結晶配置部と、炭化ケイ素多結晶からなる原料を収容可能な炭素からなる原料収容部と、を有し、昇華された原料のガスが原料収容部の開口部を通過して種結晶に到達可能な坩堝であって、原料収容部の開口部の面積Aと原料収容部の内面積Bとが、B/A≦3の関係にあり、種結晶配置部を複数有することを特徴とする。
【0009】
本発明では、炭素からなる原料収容部に収容された炭化ケイ素多結晶からなる原料を昇華させることによって、種結晶上に炭化ケイ素単結晶が成長する。ここで、加熱によって原料を昇華させるのに伴い、当該原料と原料収容部の内面との接触部分において、原料と原料収容部の材料とが反応する。そして、この反応によって、原料と原料収容部の材料とからなる結晶粉末などの副生成物が坩堝内を舞うことになる。しかし、本発明では、原料収容部の内面積Bすなわち原料と原料収容部との接触面積が、原料収容部の開口部の面積Aすなわち原料の昇華に寄与する面積に対して低く設定されている。つまり、原料の昇華量に対して生成した副生成物の量が少なくなり、当該副生成物の単結晶成長への影響を殆ど無視することができる。具体的には、B/A≦3の関係にあれば、種結晶上に成長した単結晶は副生成物による影響を殆ど受けることなく、品質低下が防止される。
【0010】
また、本発明の坩堝は、種結晶配置部を複数有している。これにより、坩堝内に種結晶が複数配置されることになり、一度に複数の単結晶を成長させることができる。このため、原料収容部に収容される原料の使用効率が高められる。
【0011】
本発明の結晶成長装置は、上述の坩堝と、原料収容部を加熱可能な加熱手段とを少なくとも備えることを特徴とする。このような結晶成長装置によれば、加熱手段によって坩堝内の原料が昇華され、これにより種結晶上に単結晶が成長する。
【0012】
さらに、本発明の結晶成長装置は、種結晶配置部を原料収容部が位置する側と反対の方向へ移動させる配置部移動手段を更に備えることが望ましい。種結晶と原料を対向配置して結晶成長が進行すると、結晶の成長面は次第に原料の表面に近接していく。しかし、このような配置部移動手段を備えれば、種結晶を原料から遠ざけることができ、両者の接触を防止することができる。
【0013】
また、本発明の結晶成長方法は、坩堝内に収容された原料を昇華させて種結晶上に結晶を成長させる結晶成長方法において、上述の種結晶配置部を複数有する結晶成長装置を準備する工程と、各種結晶配置部の間の距離Cおよび種結晶と原料との間の距離Dが、D/C≦0.21の関係になるように、種結晶を種結晶配置部に配置すると共に原料を原料収容部に収容する工程と、を含むことを特徴とする。
【0014】
本発明の結晶成長方法では、原料収容部の内面積Bに対する原料収容部の開口部の面積Aの割合が所定の値より大きく、さらに種結晶配置部を複数有する坩堝が使用される。種結晶配置部同士の距離が短いと、隣接する単結晶の影響により各種結晶上で成長する単結晶に熱ひずみが加えられ、品質が低下してしまう。しかし、本発明では、種結晶と原料との間の距離Dが各種結晶配置部の間の距離Cに対して低く、具体的には、D/C≦0.21の関係になるように設定されている。このため、各種結晶上で成長する単結晶は、隣接する単結晶の影響よりも昇華した原料の影響を受けるため、単結晶の品質は殆ど低下しない。
【0015】
また、本発明の結晶成長方法において、種結晶上での結晶の成長に伴って、種結晶配置部を原料収容部が位置する側と反対の方向へ移動させることが望ましい。種結晶と原料を対向配置して結晶成長が進行すると、結晶の成長面は次第に原料の表面に近接していく。しかし、このように種結晶配置部を原料収容部が位置する側と反対の方向へ移動させれば、種結晶を原料から遠ざけることができ、両者の接触を防止することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る坩堝、結晶成長装置、および、結晶成長方法の好適な実施形態について詳細に説明する。尚、同一要素には同一符号を用いるものとし、重複する記載は省略する。
【0017】
図1は、本実施形態に係る結晶成長装置を示す図である。本実施形態の結晶成長装置2は、内部で結晶成長が行われる坩堝4と、当該坩堝4を収容可能な反応室13を有する装置本体6と、坩堝4の外周部および下方に配置されたヒータ(加熱手段)8と、坩堝4の外周を囲うとともに温度上昇した坩堝4の熱が外部へ伝達するのを防止する断熱部材10と、坩堝4の上方に位置するとともに坩堝4内の種結晶支持台14を上下動させる昇降機構12と、から主に構成されている。
【0018】
また、装置本体6の上部、側部、および下部には、それぞれ装置内の温度を測定可能な放射温度計16が設けられている。さらに、坩堝4の下方には、装置本体6内にアルゴンガスを導入するためのガス導入管18および当該ガスを外部へ排出するためのガス排気管20が挿入固定されている。
【0019】
図2(a)は、坩堝4の拡大図であり、図2(b)は、図2(a)に示す種結晶支持台14のb−b方向の平面図である。図2(a)に示されているように、坩堝4は、原料24であるSiC多結晶が収容される有底円筒状の原料収容部30と、この原料収容部30の上部に位置する円筒状の周側部32と、周側部32の内部空間に位置する上記種結晶支持台14と、周側部32の上面に取り付けられて種結晶支持台14の上方への移動を規制する支持板規制部材28と、から主に構成されている。原料収容部30、周側部32、および種結晶支持台14は、黒鉛から形成されている。このため、坩堝4をヒータ8で加熱する際に、原料収容部30と原料24が反応して、この反応による副生成物が坩堝4内に舞い上がる。なお、原料収容部30と周側部32は、一体形成してもよいし、別体のものを接続するようにしてもよい。
【0020】
また、図2(b)で明らかにされているように、種結晶支持台14には、種結晶26であるSiC単結晶が固定される円形の種結晶配置部34が全部で7つ形成されている。種結晶配置部34の一つは種結晶支持台14の中心に位置し、残りの六つはその外周に等角度ピッチ(60゜)で設けられている。なお、種結晶配置部34の直径Wは、6cmとしてある。なお、本実施形態では、隣接する種結晶配置部34間の距離をすべて等しくしてある。
【0021】
ここで再び図1を用いて、結晶成長装置2の構成を説明する。上述の昇降機構12は、坩堝4の上方に位置する直方体形状の支持部材36と、支持部材36の下面に形成された貫通穴42を貫通して坩堝4の種結晶支持台14と支持部材36を繋ぐ連結部材38と、パイプ44を介して支持部材36を昇降させる駆動モータ40と、から成る。このような構成のもとで駆動モータ40を作動させると、始動当初は、種結晶支持台14が坩堝4に対して相対的に上方へ移動する。そして、種結晶支持台14の外縁部14oが支持板規制部材28の下面に当接した後は、種結晶支持台14の上昇に伴って坩堝4も上昇する。
【0022】
また、上述の各ヒータ8は、電流導入用の水冷ケーブル22を介して電力を供給されることにより、原料収容部30の温度すなわち原料24の温度を約2300〜約2500℃まで上昇し、種結晶配置部34の温度すなわち種結晶26の温度を約2000〜約2400℃まで上昇する。なお、このように原料24を加熱することで原料24が昇華し、当該昇華による原料24のガスが原料収容部30の円形の開口部30o(図2の破線で示した領域Y)を通過して種結晶26に到達する。これにより、種結晶26上にSiC単結晶を成長させることができる。なお、本実施形態では、原料24を昇華させるに際して、配置部移動手段である昇降機構12を作動させる。すなわち、配置部移動手段である駆動モータ40を作動させることで種結晶配置部34を上昇させる。これにより、種結晶26上で成長するSiC単結晶が原料24に接触するという事態を防止することができる。
【0023】
なお、SiC単結晶の成長と同時に、図2の破線で示した領域Xにおいて、原料24であるSiC多結晶と原料収容部30の内壁面の材料である炭素とが反応することになる。そして、この反応による副生成物は坩堝4内を舞い、種結晶26上に成長するSiC単結晶の品質を低下させる要因になり得る。本実施形態の結晶成長装置2は、原料24と原料収容部30の内壁との反応による副生成物のSiC単結晶成長への影響を低減する点に特徴がある。
【0024】
続いて、本実施形態の坩堝4の寸法形状について説明する。原料収容部30の内部の直径を2Rとし、原料収容部30の内部の高さをhとすると、原料収容部30の開口部30oの面積A(以下、「開口面積A」という。)と原料収容部30の内面積Bは、次の式(1)および式(2)で示される。
式(1):開口面積A=πR2
式(2):内面積B=2πRh+πR2
ここで、本実施形態では、原料収容部30の内部の直径2Rは、26cmで、原料収容部30の内部の高さhは、7cmである。これらの値を式(1)および式(2)に代入してB/Aを求めると、その値は2.08となる。このように、開口面積Aに対する内面積Bの値を小さくすることで、原料24の昇華量に対する原料24と原料収容部30の内壁の材料との反応による副生成物の量が少なくなり、当該副生成物の単結晶成長への影響を少なくすることができる。なお、実験により、B/A≦3となるときに、種結晶26上に成長するSiC単結晶の品質が低下しないことが見出された。
【0025】
また、本実施形態では、各種結晶配置部34間の距離Cを8cmとしてある。さらに、種結晶26と原料24の間の距離Dが1.5cmとなるように、種結晶26および原料24を配置してある。そして、両者の関係D/Cを求めると、その値は1.88となる。仮に、各種結晶配置部34間の距離Cが短いと、隣接するSiC単結晶の影響により各種結晶26上で成長するSiC単結晶に熱ひずみが加えられ、品質が低下してしまう。しかし。本実施形態のように、種結晶26間の距離Cに対する種結晶26と原料24の距離Dを小さくすることで、種結晶26上にSiCの単結晶が成長する際に、隣接するSiC単結晶の影響を受けにくくすることができる。なお、実験により、D/C≦0.21となるときに、種結晶26上に成長するSiC単結晶の品質が低下しないことが見出された。
【0026】
次に、このような構成の結晶成長装置2による結晶成長方法を説明する。
【0027】
まず、種結晶支持台14の各種結晶配置部34にSiC単結晶からなる種結晶26を固定する。そして、この種結晶支持台14を原料24が収容された坩堝4の周側部32にはめ込んだ後、当該坩堝4を結晶成長装置2の反応室13にセットして、図1に示す状態とする。次いで、結晶成長装置2の真空排気を約1時間行った後、ガス導入管18からアルゴンガスを導入して結晶成長装置2内を常圧(約760Torr)にする。さらに、真空排気を約10分間行った後、アルゴンガスを導入して再び結晶成長装置2内を常圧にする。
【0028】
次に、水冷ケーブル22を介して約1000Aの電流をヒータ8に流して、原料収容部30の温度を約2450℃にする。また、このとき、各種結晶26の温度が原料収容部30の温度よりも約50℃ほど低くなるように調整されている。これにより、SiC多結晶である原料24を昇華させ、原料収容部30の開口部30oを介して、種結晶26上にSiC単結晶を効率良く再結晶させることができる。なお、このように常圧で温度設定を行うことにより、結晶性の悪いSiC単結晶が生成することを防止できる。そして、結晶成長装置2内の圧力をアルゴン雰囲気中で約40Torrまで下げて、この状態を維持しながら種結晶26上にSiC単結晶を0.3mm/hの速度で成長させ、最終的に、直径約2インチのSiC単結晶のバルクを7つ形成した。
【0029】
このようにして得られた単結晶のフォトルミネッセンス特性を調べたところ、そのピーク波長は約490nmであり、6HタイプのSiC単結晶であることが判明した。また、ホール測定を行ったところ、電気特性は、比抵抗が1Ωcmで、キャリア密度が約1×1016cm-3で、導電型n型の高抵抗、低キャリア密度の単結晶であることが分かった。さらに、生成されたSiC単結晶のバルクを厚さ330μmのウエハ状にスライスして、このウエハ状のSiC単結晶をダイヤモンド砥石で研磨し、さらに両面鏡面仕上げを行った。
【0030】
かかる工程を経て完成したSiC単結晶は均質であり、端からの多結晶化および結晶の多形化が起こっていないことが目視にて判明した。さらに、エッチング法で評価したところ、マイクロパイプの密度は10個/cm2であった。なお、エッチング液には溶融水酸化カリウムを使用し、500℃で約20分間エッチング処理を施した。図3は、エッチングを施したSiC単結晶の表面の顕微鏡写真(50倍)である。この写真から、本実施形態のSiC単結晶は、欠陥の少ない高品質のものであることが分かる。なお、このSiC単結晶の光透過性を調べたところ、約2〜5μmの波長に対しては良好であり、この結晶は不純物の取り込みの少ない高質な結晶であることが判明した。
【0031】
このように、完成した本実施形態のSiC単結晶が高品質であるのは、上述のように、B(原料収容部30の内面積)/A(原料収容部30の開口部30oの面積)≦3とすることで、原料24の昇華量に対する原料24と原料収容部30の内壁材料との反応による副生成物の量を少なくし、当該副生成物の単結晶成長への影響を減少させたためである。また、D(種結晶26と原料24の距離)/C(隣接する種結晶26間の距離)≦0.21とすることで、SiC単結晶が成長する際に隣接する種結晶26上で成長するSiC単結晶の影響を受けにくくなったことも、高品質化に影響を及ぼしている。なお、種結晶配置部34を複数個設けているため、一度に複数のSiC単結晶を成長させることができる。
【0032】
[実施例1]
次に、図4を用いて、B(原料収容部30の内面積)/A(開口部30oの面積)の値が異なる坩堝を用いて結晶成長を行った実験について説明する。全部で10個の坩堝を用いて実験を行い、B/Aの値が1.5〜4.1の範囲のものを使用した。図4のグラフは、その実験結果を示しており、横軸はB/Aの値で、縦軸は欠陥密度を示している。このグラフより、B/Aの値が3以下のときに、欠陥密度が著しく減少することが分かる。なお、B/Aの値が2.1であるものが、上述の実施形態の坩堝である。
【0033】
図5は、B/Aの値が3.8である坩堝によって生成したSiC単結晶の顕微鏡写真(50倍)である。このSiC単結晶にも品質を評価するためエッチング処理を施してあるが、この写真から分かるように、当該SiC単結晶には多くの欠陥があった。
【0034】
[実施例2]
次に、図6を用いて、D(種結晶26と原料24の距離)/C(隣接する種結晶26間の距離)の値を変えて結晶成長を行った実験について説明する。坩堝は、B/Aの値が2.1のものを使用した。種結晶26間の距離Cが一定(8cm)のもとで種結晶26と原料24の距離Dを変えて、全部で8通りの実験を行った。なお、距離Dは、0.72〜3.0(cm)の範囲で設定した。図6のグラフは、その実験結果を示しており、横軸はD/Cの値で、縦軸は欠陥密度を示している。このグラフより、D/Cの値が0.21以下のときに、欠陥密度が著しく減少することが分かる。
【0035】
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、種結晶配置部の個数は7個に限られず、SiC多結晶からなる原料の使用効率を考慮しない場合は1個でもよい。また、本発明の坩堝および結晶成長装置の用途は、SiC単結晶の成長に限定されるわけではなく、この他、ZnSe等のII-VI族化合物半導体やGaN等のIII-V族化合物半導体など、広く気相法による結晶成長にも使用することができる。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の坩堝およびこれを備えた結晶成長装置によれば、B(原料収容部の内面積)/A(原料収容部の開口部の面積)≦3としているため、原料の昇華量に対する、原料と原料収容部の内壁材料との反応による副生成物の量が少なくなる。このため、当該副生成物の単結晶成長への影響が減少し、種結晶上に成長する単結晶の品質低下を防止することができる。
【0037】
また、本発明の結晶成長方法によれば、D(種結晶と原料の距離)/C(隣接する種結晶間の距離)≦0.21としているため、SiC単結晶が成長する際に隣接する種結晶の影響を殆ど受けず、単結晶の品質低下を一層防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の結晶成長装置を示す全体図である。
【図2】図2(a)は、図1の結晶成長装置に装備された坩堝を示す拡大図である。図2(b)は、図2(a)に示す種結晶支持台のb−b方向の平面図である。
【図3】図1に示す結晶成長装置により製造されたSiC単結晶にエッチング処理を施したものの顕微鏡写真である。
【図4】B(原料収容部の内面積)/A(原料収容部の開口部の面積)の値と欠陥密度との関係を示すグラフである。
【図5】B(原料収容部の内面積)/A(原料収容部の開口部の面積)の値が3.8である坩堝を使用して成長させたSiC単結晶の顕微鏡写真である。
【図6】D(種結晶と原料の距離)/C(隣接する種結晶間の距離)の値と欠陥密度との関係を示すグラフである。
【図7】従来の坩堝を示す図である。
【符号の説明】
2…結晶成長装置、4…坩堝、6…装置本体、8…ヒータ、10…断熱部材、12…昇降機構(配置部移動手段)、13…反応室…14o…外縁部、14…種結晶支持台、16…放射温度計、18…ガス導入管、20…ガス排気管、22…水冷ケーブル、24…原料、26…種結晶、28…支持板規制部材、30…原料収容部、30o…開口部、32…周側部、34…種結晶配置部、36…支持部材、38…連結部材、40…駆動モータ、50…坩堝、52…底部材、54…蓋部材、56…種結晶保持台、58…種結晶基板、60…原材料、62…単結晶。
Claims (5)
- 結晶を成長させる装置に適用され、種結晶が配置される種結晶配置部と、炭化ケイ素多結晶からなる原料を収容可能な炭素からなる原料収容部と、を有し、昇華された前記原料のガスが前記原料収容部の開口部を通過して前記種結晶に到達可能な坩堝であって、
前記原料収容部の前記開口部の面積Aと前記原料収容部の内面積Bとが、B/A≦3の関係にあり、
前記種結晶配置部を複数有することを特徴とする坩堝。 - 請求項1記載の坩堝と、前記原料収容部を加熱可能な加熱手段とを少なくとも備えることを特徴とする結晶成長装置。
- 前記種結晶配置部を前記原料収容部が位置する側と反対の方向へ移動させる配置部移動手段を更に備えることを特徴とする請求項2記載の結晶成長装置。
- 坩堝内に収容された原料を昇華させて種結晶上に結晶を成長させる結晶成長方法において、
請求項2記載の結晶成長装置を準備する工程と、
前記各種結晶配置部の間の距離Cおよび前記種結晶と前記原料との間の距離Dが、D/C≦0.21の関係になるように、前記種結晶を前記種結晶配置部に配置すると共に前記原料を前記原料収容部に収容する工程と、
を含むことを特徴とする結晶成長方法。 - 前記種結晶上での前記結晶の成長に伴って、前記種結晶配置部を前記原料収容部が位置する側と反対の方向へ移動させることを特徴とする請求項4記載の結晶成長方法。
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