JP3762260B2 - 色処理方法および装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、デバイスの色再現特性のばらつきに基づき色変換情報を更新するか否かを判定する色処理に関する。
【0002】
【従来の技術】
同一のカラー画像を複数の画像入出力装置において良好に再現するための画像処理技術として、カラーマネージメントシステム(CMS:Color Management System)が知られている。
【0003】
図27に示すように、カラープリンタ、カラーモニタ、カラー複写機等の複数の装置を互いに接続する場合を例として、CMSについて説明する。
【0004】
CMSによれば、入力系の色信号が出力系の色信号へ変換される。具体的には、まず入力系装置に関する所定の変換式もしくは変換テーブルによって、入力色信号を装置に依存しないデバイス独立色空間(以下、デバイス独立色空間と称する)上の信号に変換する。装置に依存する色空間上の信号とデバイス独立色空間上の信号間の変換に用いる所定の変換式もしくは変換テーブルを、該装置のプロファイルと称する。
【0005】
そして、デバイス独立色空間上に変換された信号に対して、例えば所定の色処理を施すことによって出力すべき信号値を得た後、該信号値を出力系である各装置のプロファイルを参照して、該出力系装置に依存する色空間上の信号に変換する。
【0006】
このようにCMSによれば、各装置のプロファイルに基づき、各装置に依存する色空間とデバイス独立色空間との間において色信号を変換することにより、複数装置間における色合わせが実現される。
【0007】
一般にデバイス独立色空間としては、出力系装置によって出力された画像の測色に用いられる色空間である、CIE/XYZやCIE/L*a*b*等が用いられる。
【0008】
各装置のプロファイルは、所定の色信号からなる画像について、該装置に入力される又は該装置から出力された可視像を実際に測色した値と色信号値との対応関係に基づいて作成される。例えば、入力系装置についてのプロファイルは、所定の色信号に基づくサンプル画像を原稿として、該装置を介して得られた入力画像信号に基づいて作成される。また、出力系装置についてのプロファイルは、該装置において所定の色信号に基づくサンプル画像を出力し、該出力されたサンプル画像を測色することによって作成される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、プロファイル作成時と、該プロファイルを使用するCMS実行時とにおいて、画像入出力装置における色再現性は必ずしも同一でない。これは、例えば、画像出力装置における色材ロット等の部品固体差や、温湿度等の環境差、または画像形成部品等の経時変化等によって、色再現特性が多少なりとも変動してしまうことに起因している。プロファイル作成時と色再現特性が異なってしまった場合、該プロファイルに反映されている、色信号と出力画像の測色値との対応関係が変化してしまうため、そのままCMSを実行しても、当然ながら良好な色再現結果は得られない。
【0010】
従って、画像入出力装置における色再現特性が大きく変化した場合には、プロファイルを作成し直す必要がある。しかし従来のCMSにおいては、ユーザやプロファイルの保守を実施する者(以下、プロファイル管理者)が、画像入出力装置における色再現特性の変化を確認し、プロファイルの有効性を判断する手段が提供されていなかったため、プロファイル更新が適切なタイミングで行われるとは限らなかった。
【0011】
本発明は、デバイスの色再現特性のばらつきを考慮して色変換情報の更新を制御することにより、色変換情報の更新の必要性を適切に判断することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための一手段として、本発明は以下の構成を備える。
【0013】
本発明にかかる色処理方法は、デバイスによって出力された複数の画像の測色値を取得し、前記測色値のばらつきを示す評価指数を算出し、前記デバイスの色変換情報を用いて前記複数の画像の測色値の推定値を計算し、前記取得した測色値と前記推定値の差および前記評価指数を用いて前記色変換情報が記デバイスの現在の色再現特性を反映しているか否かを評価して、前記色変換情報を更新するか否かを判定することを特徴とする。また、デバイスの色変換情報、および、前記色変換情報を作成した際に算出された、複数の画像の測色値のばらつきを示す評価指数を取得し、前記デバイスによって出力された複数の画像の測色値を取得し、前記色変換情報を用いて前記複数の画像の測色値の推定値を計算し、前記取得した測色値と前記推定値の差および前記評価指数を用いて前記色変換情報が前記デバイスの現在の色再現特性を反映しているか否かを評価して、前記色変換情報を更新するか否かを判定することを特徴とする。また、デバイスによって出力された複数の画像の測色値を取得し、前記測色値のばらつきを示す評価指数を算出し、前記デバイスの色変換情報を作成した際に算出された、複数の画像の測色値のばらつきを示す評価指数を取得し、前記算出した評価指数および前記取得した評価指数を用いて前記色変換情報が前記デバイスの現在の色再現特性を反映しているか否かを評価して、前記色変換情報を更新するか否かを判定することを特徴とする。
【0014】
本発明にかかる色処理装置は、デバイスによって出力された複数の画像の測色値を取得する取得手段と、前記測色値のばらつきを示す評価指数を算出する算出手段と、前記デバイスの色変換情報を用いて前記複数の画像の測色値の推定値を計算する計算手段と、前記取得した測色値と前記推定値の差および前記評価指数を用いて前記色変換情報が前記デバイスの現在の色再現特性を反映しているか否かを評価して、前記色変換情報を更新するか否かを判定する判定手段とを有することを特徴とする。また、デバイスの色変換情報、および、前記色変換情報を作成した際に算出された、複数の画像の測色値のばらつきを示す評価指数を取得する第一の取得手段と、前記デバイスによって出力された複数の画像の測色値を取得する第二の取得手段と、前記色変換情報を用いて前記複数の画像の測色値の推定値を計算する計算手段と、前記取得した測色値と前記推定値の差および前記評価指数を用いて前記色変換情報が前記デバイスの現在の色再現特性を反映しているか否かを評価して、前記色変換情報を更新するか否かを判定する判定手段とを有することを特徴とする。また、デバイスによって出力された複数の画像の測色値を取得する第一の取得手段と、前記測色値のばらつきを示す評価指数を算出する算出手段と、前記デバイスの色変換情報を作成した際に算出された、複数の画像の測色値のばらつきを示す評価指数を取得する第二の取得手段と、前記算出した評価指数および前記取得した評価指数を用いて前記色変換情報が前記デバイスの現在の色再現特性を反映しているか否かを評価して、前記色変換情報を更新するか否かを判定する判定手段とを有することを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
<第1実施形態>
図1は、本実施形態のCMSが実行される画像処理システムの概要構成を示す図である。同図に示すように本実施形態の画像処理システムは、入力系装置1、画像処理装置30、及び出力系装置5からなり、画像処理装置30は、画像入力部2、画像処理部3及び画像出力部4を有する。
【0017】
入力系装置1から画像入力部2を介して画像処理装置30に入力されたカラー画像データは、画像処理部3において装置に依存しないデバイス独立色空間上のデータに変換され、さらに所定の色域圧縮処理が施された後、画像出力部4を介して出力系装置5に出力される。尚、出力系装置5とは画像を可視化する装置であり、画像を表示するディスプレイや記録用紙上に画像を形成するプリンタ等が、代表的な例として挙げられる。また、入力系装置1とは画像データを発生する装置であり、撮像装置やコンピュータの他、記録用紙上の画像を読み取るスキャナ等が挙げられる。また、デバイス独立色空間は、例えば測色に用いられるCIE/L*,a*,b*である。
【0018】
画像処理部3は更に、入力側色空間変換部31、色域圧縮処理部32、出力側色空間変換部33、及びプロファイル34,35、プロファイルコントローラ36からなる。
【0019】
入力側色空間変換部31においては、入力系装置1から画像入力部2を介して入力されたカラー画像データ、即ち入力系装置1の色再現範囲に依存した色空間におけるカラー画像データを、プロファイル34に基づき、デバイス独立色空間上のデータに変換する。
【0020】
色域圧縮処理部32においては、入力側色空間変換部31を介して供給されるデバイス独立色空間上のカラー画像データに対して色域圧縮処理を施し、出力系装置5で再現可能な色域内のデータに変換する。
【0021】
出力側色空間変換33においては、色域圧縮処理部32によって色域圧縮処理が施されたデバイス独立色空間上のカラー画像データを、プロファイル35に基づき、出力系装置5の色再現範囲に依存した色空間におけるカラー画像データに変換した後、画像出力部4を介して出力系装置5に出力する。
【0022】
入力側色空間変換部31及び出力側色空間変換部33は、それぞれ入力系装置1及び出力系装置5の色再現範囲に依存した色空間とデバイス独立色空間との間における変換(CMS)を行うため、装置毎に所定の変換式または変換テーブルが、プロファイル34,35として予め保持されている。
【0023】
本実施形態ではプロファイルコントローラ36によって、プロファイル34、35が常に最適な状態を保つように制御される。
【0024】
一般に、装置における色再現特性のばらつきが大きく、プロファイルの作成時と該プロファイルの使用時とにおいて、出力画像の測色値の差分が統計的に有意(significant)でない場合、該差分は前記ばらつきに起因すると考えられるが、ばらつきが小さく、上記差分が有意である、即ち該差分が偶然に生じる確率が低いのであれば、プロファイルを作り直すことによってより良好な色再現が期待できる。
【0025】
例えば、既存のプロファイルにおいて、装置のRGB色信号(100,100,100)に対応するデバイス独立色空間(L*,a*,b*)の座標が(50,0,0)であるにもかかわらず、画像出力装置によって出力された該RGB色信号に基づく画像の測色値が、(42,0,0)、(42.1,0,0)、(41.9,0,0)等、ほとんどばらつきが無く、平均(42,0,0)で再現されるならば、色信号(100,100,100)に対応する測色値を(42,0,0)とする新たなプロファイルを作成することによってプロファイルの精度を上げることができる。
【0026】
そこで本実施形態においては、プロファイルによって推定される測色値と、画像出力装置における現在の出力画像における測色値の平均及びばらつきに基づいて、該プロファイルが該装置における現在の色再現特性を反映するように、プロファイルを適切に更新する。
【0027】
本実施形態において既存のプロファイルを更新するにあたり、該プロファイルが当該装置における現在の色再現特性を反映しているか否かを評価する必要がある。ここで、既存のプロファイルと現在の色再現特性が等しいということは、画像出力装置の出力画像における測色値の分布に関し、プロファイル作成時と現在とで同じ平均値を有することにほかならない。そこで本実施形態においては、これら2つの分布が同じ平均値を有するか否かを、t-統計量(t-statistic)を利用して検定する。ただし多くの場合、プロファイル作成時の測色値は装置内に保存されていないため、標本分散及びサンプリング数は、現在の測色値に基づく値で代用する。
【0028】
以下、本実施形態におけるプロファイルの更新方法について、詳細に説明する。図2は、本実施形態におけるCMS用プロファイルの更新処理を示すフローチャートである。
【0029】
まず、出力系装置5における現在の色再現特性を確認するために、適当なサンプリング数nを予め決定しておき、色再現特性確認のための色信号をn個出力する(S101)。該出力画像を測色し(S102)、各測色値mi:((L* i,a* i,b* i),(i=1,2,…n))に基づいて、色のばらつき評価指数Uを後述する手順により算出する(S103)。
【0030】
更に、各測色値miの平均値m:(L* ave,a* ave,b* ave)を、式(1)に示すように、デバイス独立色空間における各軸の平均として算出する(S104)。この平均値mは、出力系装置5における現在の色再現特性の標本平均を示すものである。
【0031】
【数1】
【0032】
次に、「既存のプロファイルによって推定される測色値と、上記現在の標本平均mとの差分が、同一の平均値を有する母集団から抽出された標本において偶然に生じた差分である」という帰無仮説(null hypothesis)を検定する。
【0033】
既存のプロファイルを用いて、上記色信号に対応する測色値(推定値)Mを求める(S105)。そして、該推定値Mと現在の標本平均値mとの差分Sを、式(2)に示すCIE1994色差式を用いて、式(3)によって算出する(S106)。
【0034】
【数2】
【0035】
S=ΔE1994(m,M) …(3)
さらに、この差分Sを用いた式(4)に従って、t-統計量Tを算出する(S107)。
【0036】
T=S√{n/2U2} …(4)
t-統計量Tは、自由度2(n-1)のt分布に従い、例えばn=10とすると、有意水準0.01(1%)で|T|<2.87である。従って、例えばn=10であれば、Tが2.87より大きい場合には(S108)、有意水準1%で該仮説を棄却する。即ち、差分Sは有意であるため、既存のプロファイルと現在の色再現特性は異なる、言い替えれば既存のプロファイルは現在の色再現特性を反映していないと評価される。従って、現在の測色値に基づいてプロファイルを更新する(S109)。一方、Tが2.87以下であれば該仮説を採択する。即ち、測色値の差分Sは有意でなく、偶然に生じたものであり、既存のプロファイルは現在の色再現特性を十分に反映していると評価される。従って、既存のプロファイルを更新せず、そのまま利用する(S110)。
【0037】
図3は、図2に示したステップS103におけるばらつき評価指数Uの算出手順を示すフローチャートである。
【0038】
ばらつき評価指数Uは、明度、クロマ(彩度)、色相の各方向の分散にCIE1994色差式を適応したものであり、3次元のばらつきを簡便に扱うことができる。まず、CIE/L*a*b*空間上での平均座標m(L* ave,a* ave,b* ave)を、上記式(1)により求める(S201)。 次に、C* ave=√{(a* ave)2+(b* ave)2}とするとき、この平均座標mを原点とし、単位ベクトル(1,0,0)、(0,a* ave/C* ave,b* ave/C* ave)、(0,-b* ave/C* ave,a* ave/C* ave)を3軸とする直行座標ΔL、ΔC、ΔHへ、式(5)を用いて測色値を変換する(S202)。尚、ΔL、ΔC、ΔHは、それぞれ平均値に対する明度差、彩度差、色相差に相当する。
【0039】
【数3】
【0040】
ここで図4に、(a*,b*)座標系と(ΔC,ΔH)座標系の関係を示す。
【0041】
さらに、各軸における測定値の標本標準偏差を、式(6)によって求める(S203)。
【0042】
【数4】
【0043】
これをCIE1994色差式に適応させることにより、式(7)で与えられる値Uを、ばらつき評価指数とする(S204)。
【0044】
以上説明したように本実施形態によれば、既存のプロファイルによって推定される測色値と、画像出力装置の現在の出力画像における測色値の平均及びばらつきに基づいて、該プロファイルが該装置における現在の色再現特性を反映しているか否かを評価することができる。そして、該評価結果に応じて該プロファイルの更新を行うか否かを決定することによって、プロファイルにおいて常に最適な色再現特性を維持することができる。
【0045】
このように、複数の画像出力装置におけるプロファイルを適切に維持することによって、同一のカラー画像を複数装置で扱う際にも、いずれの装置においても良好な画像を安定して再現することができる。
【0046】
尚、本実施形態においては出力系装置5に関するプロファイル更新処理について説明したが、本発明は入力系装置1についても同様に適用される。即ち、本実施形態においては出力系装置5で出力されたサンプル画像の測色値の平均に基づく処理について説明したが、これに代えて入力系装置1で入力されたサンプル画像の信号値の平均を用いることによって、入力系装置1についても同様に適切なプロファイル更新が可能となる。
【0047】
<第2実施形態>
以下、本発明に係る第2実施形態について説明する。第2実施形態における画像処理装置の構成は、上述した第1実施形態に示す図1と同様であるため、説明を省略する。
【0048】
第2実施形態においては、画像出力装置のプロファイル作成時における測色値等を、付加情報として該プロファイルと共に保存しておく。そして、該保存された測色値と、該装置における現在の出力画像の測色値の平均値及びばらつきとに基づいて、該プロファイルが現在の色再現特性を反映しているか否かを評価することを特徴とする。
【0049】
まず、第2実施形態におけるプロファイル作成時の付加情報取得処理を、図5のフローチャートを参照して説明する。
【0050】
出力系装置5における現在の色再現特性を確認するために、色再現特性確認のための色信号を、所定のサンプリング数としてn個出力し(S301)、該出力画像を測色する(S302)。
【0051】
そして、各測色値mi:(L*i, a*i, b*i)に基づいて、上記式(1)によりその平均値mを算出する(S303)。そして更に、以下に示す式(8)に基づいて、各測色値miにおける色差の二乗和δを算出する(S304)。
【0052】
【数5】
【0053】
この平均値m及び色差の二乗和δ、及びサンプリング数nを付加情報として、該測色値miに基づいて作成されたプロファイル内、もしくは画像処理部3内の不図示のメモリ等に該プロファイルと対応づけて、保存する(S305)。
【0054】
次に、第2実施形態におけるプロファイル更新処理を、図6のフローチャートを参照して説明する。
【0055】
まず、プロファイル作成時に保存されている付加情報を読み取る(S401)。そして、適当なサンプリング数n'を決定して、色再現特性確認のための色信号をn'個出力し(S402)、該出力画像を測色する(S403)。
【0056】
そして、各測色値m'iに基づいて、上記式(1)によりその平均値m'を算出し(S404)、上記式(8)によりその色差の二乗和δ'を算出する(S405)。
【0057】
そして更に、プロファイル作成時における平均値mと、現在の平均値m'との差分Sを、式(9)により算出する(S406)。
【0058】
S=ΔE1994(m,m') …(9)
この時、t-統計量Tは、以下に示す式(10)によって算出される(S407)。
【0059】
T = S√{nn'(n + n' - 2)/(δ + δ')(n + n')} …(10)
t-統計量Tは、自由度(n+n'-2)のt分布に従い、例えばn=n'=10とすると、有意水準0.01で|T|<2.87である。従って、例えばn=n'=10であれば、Tが2.87より大きい場合には(S408)、「プロファイル作成時における平均値mと現在の標本平均m'との差分Sが同一の平均値を有する母集団から抽出された標本において偶然に生じた差分である」、という仮説を有意水準1%で棄却する。つまり、差分Sは有意であるため、既存のプロファイルと現在の色再現特性は異なるとみなし、現在の測色値に基づいてプロファイルを更新する(S409)。一方、Tが2.87以下であれば上記仮説を採択し、既存のプロファイルをそのまま利用する(S410)。
【0060】
以上説明したように第2実施形態によれば、既存のプロファイルの作成時における測色値と、画像出力装置の現在の出力画像における測色値の平均及びばらつきに基づいて、該プロファイルが該装置における現在の色再現特性を反映しているか否かを評価することができる。そして、該評価結果に応じて該プロファイルの更新を行うか否かを決定することによって、上述した第1実施形態と同様に、プロファイルにおいて常に最適な色再現特性を維持することができる。
【0061】
<第3実施形態>
以下、本発明に係る第3実施形態について説明する。第3実施形態における画像処理装置の構成は、上述した第1実施形態に示す図1と同様であるため、説明を省略する。
【0062】
第3実施形態においては、画像出力装置のプロファイル作成時におけるばらつき評価指数Uを、付加情報として該プロファイルと共に保存しておく。そして、該保存されたばらつき評価指数Uと、該装置における現在の出力画像の測色値の平均値に基づいて、該プロファイルが現在の色再現特性を反映しているか否かを確認することを特徴とする。
【0063】
まず、第3実施形態におけるプロファイル作成時のばらつき評価指数Uの取得処理を、図7のフローチャートを参照して説明する。
【0064】
出力系装置5における現在の色再現特性を確認するために、色再現特性確認のための色信号を、所定のサンプリング数としてn個出力し(S501)、該出力画像を測色する(S502)。
【0065】
そして、各測色値mi:(L* i,a* i,b* i)に基づき、上述した図3に示すフローチャートに従って色のばらつき評価指数Uを算出する(S503)。
【0066】
このばらつき評価指数Uを付加情報として、該測色値miに基づいて作成されたプロファイル内、もしくは画像処理部3内の不図示のメモリ等に該プロファイルと対応づけて、保存する(S504)。
【0067】
次に、第3実施形態におけるプロファイル更新処理を、図8のフローチャートを参照して説明する。
【0068】
まず、保存されているばらつき評価指数Uの値を読み取る(S601)。そして、適当なサンプリング数nを決定し、色再現特性確認のための色信号を、所定のサンプリング数としてn個出力し(S602)、該出力画像を測色して測色値mを得る(S603)。
【0069】
次に、既存のプロファイルを用いて、上記色信号に対応する測色値Mを求め(S604)、このMとmとの差分Sを上記式(3)により算出する(S605)。
【0070】
ここで、Mを上記色信号に対して装置が出力する色の母平均の推定値、U2を母分散の推定値とすると、装置の特性が変わっていなければ、有意水準0.01でS<2.58Uとなる。よって、Sが2.58Uを越える場合には(S606)、既存のプロファイルと現在の色再現特性は異なるとみなし、プロファイルを更新する(S607)。一方、Sが2.58U以下であれば、色再現特性は変わっていないとみなし、既存のプロファイルをそのまま利用する(S608)。
【0071】
以上説明したように第3実施形態によれば、プロファイル作成時のばらつき評価指数Uを保存しておき、該Uを利用して、該プロファイルが現在の色再現特性を反映しているか否かを評価する。従ってプロファイルを評価する際に、上述した第1及び第2実施形態のように色再現特性のばらつきUを算出する必要がないため、より高速に評価結果が得られる。
【0072】
尚、上述した第1乃至第3実施形態においては、サンプリング数n又はn'を10、検定の有意水準を0.01とする例について説明したが、本発明においてはこれ以外の値も適用可能であることは言うまでもない。
【0073】
また、デバイス独立色空間としてCIE/L*a*b*、色差式としてCIE1994色差式を使用したが、これに代えて、CIE/XYZ、CIE/L*u*v*等の他の色空間及び、CIE1976色差式、CMC色差式、BFD色差式、MLAB色差式等の他の色差式を使用しても良い。
【0074】
また、プロファイルが現在の色再現特性に対応していないとの評価結果が得られた場合には、無条件にプロファイルを更新するのではなく、一旦、その旨をユーザに報知するようにしても構わない。そして、ユーザの指示に応じて、プロファイルを更新するか否かを判断すれば良い。
【0075】
<第4実施形態>
以下、本発明に係る第4実施形態について説明する。第4実施形態における画像処理装置の構成は、上述した第1実施形態に示す図1と同様であるため、説明を省略する。
【0076】
上述したように、画像入出力装置の色再現特性が変化すると、そのプロファイルによって推定される測色値(デバイス独立色空間の座標)の精度が低下してしまう。第4実施形態においては、例えば出力側色空間変換部33において、既存のプロファイル35によって推定される測色値と出力系装置5の現在の出力画像における測色値との差を、測色値推定誤差として求める。そして、得られた推定誤差をプロファイル管理者に提示することにより、管理者は現在のプロファイルの有効性を判定することができる。
【0077】
図9は、第4実施形態におけるプロファイル評価処理を、主にプロファイルコントローラ36内において実現するための詳細な構成を示す図である。同図に示すようにプロファイルコントローラ36は、プロファイル保持部201、確認画像保持部202、画像出力部203、測色値入力部204、測色値推定部205、推定誤差演算部206、測定結果保持部207、推定結果保持部208、推定誤差保持部209、結果出力部210からなり、更に、色測定装置211、画像出力装置212、及び推定誤差出力装置213が接続される。
【0078】
同図において、画像出力装置212が図1に示す出力系装置5に相当し、プロファイル保持部201にはすなわち、プロファイル35がロードされている。
【0079】
確認画像保持部202は、測色値推定誤差の確認に使用される、所定のカラー画像データを格納し、該カラー画像データは、画像出力部203を介して画像出力装置212で記録用紙上に可視化出力される。該出力された画像は、色測定装置211で測色され、該測色結果は測色値入力部204を介して測定結果保持部207に格納される。
【0080】
プロファイル保持部201には、画像出力装置212のプロファイルが格納されており、測色値推定部205は該プロファイルを用いて、確認画像保持部202に格納されたカラー画像データの測色値を推定し、該推定結果を推定結果保持部208に格納する。
【0081】
推定誤差演算部206は、測定結果保持部207に格納された、現在の色再現特性を反映した実際の測色値と、推定結果保持部208に格納された、現在のプロファイルに基づく推定測色値とに基づき、両者の色差である推定誤差を求め、その結果を推定誤差保持部209に格納する。
【0082】
結果出力部210は、推定誤差保持部209に格納された推定誤差を、推定誤差出力装置213に出力する。
【0083】
尚、色測定装置211とは、可視化された画像の色に関してCIE/L*a*b*等の測色値を得ることを可能とする装置であり、分光反射率測定器、色彩計、又は入力プロファイルを伴った高精度カラースキャナ等が、代表的な例として挙げられる。また、推定誤差出力装置210とは、既存プロファイルを用いた測色値推定誤差をプロファイル管理者に提示する装置であり、ディスプレイ、プリンタ等が、代表的な例として挙げられる。また、測色値入力部204は、上記色測定装置211からの出力を何らかの手段によってプロファイルコントローラ36に入力するための装置であり、例えば、キーボード、ディスク、ネットワーク等が挙げられる。
【0084】
図10は、第4実施形態における測色値推定誤差の出力手順を示すフローチャートである。
【0085】
確認画像保持部202に格納されているカラー画像データが、画像出力部203を介して画像出力装置212で出力され(S3301)、色測定装置211が、該出力画像の所定の部位を測定する(S3302)。そして測色値入力部204が、色測定装置211で得た測色値を入力し、測定結果保持部207に格納する(S3303)。
【0086】
一方、測色値推定部205は、プロファイル保持部201に格納されるプロファイルを用いて、確認画像保持部202に格納されているカラー画像データの所定の部位について、対応する測色値を推定し、該推定結果を推定結果保持部208に格納する(S3304)。
【0087】
推定誤差演算部206は、測定結果保持部207に格納されている測定結果と、推定結果保持部208に格納されている推定結果とに基づいて、推定誤差を算出し、その結果を推定誤差保持部209へ格納する(S3305)。そして結果出力部210は、推定誤差保持部209に格納された推定誤差を、推定誤差出力装置213に出力(例えば表示)する(S3306)。
【0088】
以下、確認画像保持部202に格納されている、推定誤差確認用の画像について説明する。
【0089】
図11に、確認画像保持部202に格納されるカラー画像データの一例を示す。該カラー画像データは、画像出力装置212に依存した色空間から均等に抽出した色票によって構成され、各色票は、色測定装置211で測定するに十分な程度のサイズを有する。各色票の色信号は、[R,G,B]の各値が、集合{0、32、64、...、224、255}の要素で構成される729色、即ち[0,0,0]、[0,0,32]、[0,0,64]..[0,0,224]、[0,0,255]、[0,32,0]、[0,32,32]..[255,255,255]である。
【0090】
なお、推定誤差確認用のカラー画像データとしては、図11に示す例に限定されないことは言うまでもない。
【0091】
上述したステップS3302においては、画像出力装置212の出力画像において、色票ごとの測色を行う。またステップS3304においては、プロファイルが保持する変換式又は変換テーブルを用いて、上記色票の色信号に対応する測色値を推定する。
【0092】
以下、推定誤差出力装置213における出力画像について説明する。
【0093】
図12に、該出力画像の表示例を示す。同図に示す出力画像は、推定誤差の平均値501、及び最大値502を表示する。ここで推定誤差とは、ステップS3303で入力した画像出力装置212の現在の出力画像における測定結果と、ステップS3304で求めた既存のプロファイルによって推定される測色値との色差である。第4実施形態においては、上記729色における推定誤差(上記色差)の平均、及び最大値を算出し、これを表示する。
【0094】
なお色差の算出には、上記式(2)に示すCIE1994色差式を用いれば良い。すなわち、式(2)に示すcol1, col2がそれぞれ、ステップS3303で入力した測定結果、ステップS3304で算出した測色値推定結果、に相当する。
【0095】
図12に示すような画像を表示することによって、プロファイル管理者は、推定誤差の平均値及び最大値を確認することができ、従ってプロファイルの有効性を判断する事が可能となる。プロファイル管理者は例えば、表示された推定誤差が大きければ、CMSで良好な色再現を得るために、プロファイルを作成し直す必要があると判断できる。
【0096】
以上説明したように第4実施形態によれば、既存のプロファイルに基づいて推定される測色値と、画像出力装置の現在の出力画像における測色値の差を確認することができる。その結果、プロファイル管理者は既存のプロファイルによる色再現精度、すなわち、該プロファイルが現在の装置の色再現特性を適切に反映しているか否か、を把握し、該プロファイルの更新を行うか否かを判断することが可能となる。その結果、プロファイル管理者は、プロファイルを常に最適な状態で維持することが可能となる。
【0097】
このように、プロファイル管理者が、複数の画像出力装置におけるプロファイルを適切に管理することによって、同一のカラー画像を複数装置で扱う際に、いずれの装置においてもプロファイル管理者が意図したような色再現が可能となる。
【0098】
尚、第4実施形態においては出力系装置5に関する測色値の推定誤差について説明したが、本発明は入力系装置1についても同様に適用される。即ち第4実施形態においては、カラー画像データから推定される測色値と、出力系装置5で出力された画像の測色値との差に基づいて推定誤差を求めたが、これに代えて、入力画像(原稿)の測色値と、入力系装置1で入力されたカラー画像データから推定される測色値との差を用いることによって、入力系装置1についても同様に、推定誤差を求めることが可能となる。
【0099】
<第5実施形態>
以下、本発明に係る第5実施形態について説明する。第5実施形態における画像処理装置の構成、及びプロファイル評価方法は、上述した図1、図9、及び図10と同様であるため、説明を省略する。
【0100】
第5実施形態においては、既存のプロファイルに基づく測色値の推定誤差を、複数色に関して出力することを特徴とする。
【0101】
第5実施形態においては、確認画像保持部202に格納される、推定誤差確認用のカラー画像データを例えば、肌色、空の青、野原の緑等、カメラで撮影された写真画像に多く存在すると考えられる色の色票によって構成する。または、上記カラー画像データを、ビジネス文書、表、グラフで多く使用されるであろう色や、コンピュータグラフィックス(CG)で使用されるであろう色の色票を用いても良い。すなわち、一般的なカラー画像において重視されるであろう色の色票によって、上記カラー画像データが構成される。
【0102】
なお、推定誤差確認用のカラー画像データを、上述したような写真画像用の色票と、ビジネス文書用色票、及びCG用色票を混在させて構成しても構わないことは言うまでもない。
【0103】
第5実施形態では、該一般的な画像で重視される色に関して、既存プロファイルの推定誤差を算出し、出力する。
【0104】
図13に、第5実施形態における推定誤差の表示例を示す。同図に示す表示例によれば、色名601及び推定誤差602の組が色数分、出力される。
【0105】
以上説明したように第5実施形態によれば、プロファイル管理者は画像出力装置の使用目的や、出力対象画像において重要である色、等に応じて、各色の推定誤差を確認し、既存プロファイルの有効性を判断することが可能となる。
【0106】
<第6実施形態>
以下、本発明に係る第6実施形態について説明する。
【0107】
第6実施形態においては、既存のプロファイルに基づく測色値の推定誤差を、任意の色信号に関して出力することを特徴とする。
【0108】
第6実施形態におけるプロファイルコントローラ36の構成を、図14に示す。同図においては、第4実施形態で図9に示した構成に加えて、確認色信号入力UI(ユーザインターフェース)部714と、確認色信号保持部1215を有することを特徴とする。確認色信号入力UI部714は、色信号入力UIと、最終色信号確認UIを有し、ユーザ操作による確認色信号を入力する。確認色信号保持部715は、確認色信号入力UI部714を介して入力された、1組又は複数組の推定誤差確認色信号を格納する。なお、図14において図9と同様の構成には同一番号を付し、説明を省略する。
【0109】
図15は、第6実施形態における測色値推定誤差の出力手順を示すフローチャートである。
【0110】
まず、確認色信号入力UI部714において、色信号入力UIによって確認色信号を入力し、これを確認色信号保持部715に格納する(S3801)。そして確認色信号入力UI部714は、最終色信号確認UIによって、確認色信号の入力を続行するか否かを示すユーザ指示を入力し(S3802)、続行する場合はステップS3801へ戻るが、入力を終了する場合はステップS3803へ進む。
【0111】
確認色信号の入力が終了すると、確認色信号保持部715に格納された色信号に基づいて、該色信号の色票で構成される測色値推定誤差確認用のカラー画像データを作成し(S3803)、これを確認画像保持部202に格納する(S3804)。
【0112】
以降は、第4実施形態において図10に示した処理と同様の処理が開始される(S3301〜S3306)ため、説明を省略する。
【0113】
図16に、上記ステップS3801において使用される、色信号入力UIの一例を示す。該UIは、R信号入力部901、G信号入力部902、B信号入力部903、及びOKボタン904からなる。ユーザは、R、G、B信号入力部901、902、903に推定誤差を確認したい色信号値を入力する。そしてOKボタン904が選択されると、入力されたR,G,Bの色信号値が確認色信号保持部715に格納され、上記ステップS3802へ進む。
【0114】
図17に、上記ステップS3802において使用される、最終色信号確認UIの一例を示す。該UIは、YESボタン1001と、NOボタン1002からなる。YESボタン1001が選択されるとステップS3803へ進み、NOボタン1002が選択されるとステップS3801へ進み、次の色信号の入力待ちとなる。
【0115】
図18に、第6実施形態における推定誤差の表示例を示す。同図に示す表示例によれば、色信号値1101及び推定誤差1102の組が、色信号入力UIによって入力された色数分、出力される。すなわち、色信号値1101は、ステップS3801で入力した色信号値であり、推定誤差1102は、該色信号値に対応する測色値の推定誤差である。
【0116】
以上説明したように第6実施形態によれば、プロファイル管理者は特定の色信号における推定誤差を確認し、既存プロファイルの有効性を判断することが可能となる。
【0117】
<第7実施形態>
以下、本発明に係る第7実施形態について説明する。
【0118】
第7実施形態においては、既存のプロファイルに基づく測色値の推定誤差を、任意の測色値に関して出力することを特徴とする。
【0119】
第7実施形態におけるプロファイルコントローラ36の構成を、図19に示す。同図においては、第4実施形態で図9に示した構成に加えて、確認測色値入力UI部1214と、確認色信号保持部1215を有することを特徴とする。確認色信号入力UI部1214は、測色値入力UIと、最終測色値確認UIを有し、ユーザ操作による確認測色値を入力する。確認色信号保持部715は、確認測色値入力UI部1214を介して入力された、1組又は複数組の測色値に対応する、推定誤差確認色信号を格納する。なお、図14において図9と同様の構成には同一番号を付し、説明を省略する。
【0120】
図20は、第7実施形態における測色値推定誤差の出力手順を示すフローチャートである。
【0121】
まず、確認測色値入力UI部1214において、測色値入力UIによって確認測色値を入力し(S3131)、プロファイル保持部201に格納された既存のプロファイルを用いて、入力された測色値に対応する色信号を推定する(S3132)。そして、入力された測色値が画像出力装置212の色再現域内にあるか否かを判断し(S3133)、再現域外であればその旨を報知(表示)してステップS3131へ戻るが、色再現域内であればステップS3134へ進み、ステップS3132で推定した色信号を、確認色信号保持部1215に格納する。 そして確認測色値入力UI部1214は、最終測色値確認UIによって、確認測色値の入力を続行するか否かを示すユーザ指示を入力し(S3135)、続行する場合はステップS3131へ戻るが、入力を終了する場合はステップS3136へ進む。
【0122】
確認測色値の入力が終了すると、確認色信号保持部1215に格納された色信号に基づいて、該色信号の色票で構成される測色値推定誤差確認用のカラー画像データを作成し(S3136)、これを確認画像保持部202に格納する(S3137)。
【0123】
以降は、第4実施形態において図10に示した処理と同様の処理が開始される(S3301〜S3306)ため、説明を省略する。
【0124】
図21に、上記ステップS3131において使用される、測色値入力UIの一例を示す。該UIは、L*入力部1401、a*入力部1402、b*入力部1403、及びOKボタン1404からなる。ユーザは、L*、a*、b*入力部1401、1402、1403に推定誤差を確認したい測色値を入力する。そしてOKボタン1404が選択されると、上記ステップS3132へ進む。
【0125】
図22に、上記ステップS3135において使用される、最終測色値確認UIの一例を示す。該UIは、YESボタン1501と、NOボタン1502からなる。YESボタン1501が選択されるとステップS3136へ進み、NOボタン1502が選択されるとステップS3131へ進み、次の測色値の入力待ちとなる。
【0126】
図23に、第7実施形態における推定誤差の表示例を示す。同図に示す表示例によれば、測色値1601及び推定誤差1602の組が、測色値入力UIによって入力された色数分、出力される。すなわち、測色値1601は、ステップS3131で入力した測色値であり、推定誤差1602は、該測色値に対応する色信号の推定値に基づいて出力した画像の測色値と、該入力した測色値との色差である。
【0127】
以上説明したように第7実施形態によれば、プロファイル管理者は特定の測色値における推定誤差を確認し、既存プロファイルの有効性を判断することが可能となる。
【0128】
<第8実施形態>
以下、本発明に係る第8実施形態について説明する。
【0129】
一般に、画像入出力装置における色再現のばらつきが大きい場合、これに起因してプロファイルの推定誤差が大きくなってしまうことが考えられる。このような場合、たとえプロファイルを更新しても、該プロファイルの精度を改善することはできない。
【0130】
第8実施形態においては、既存のプロファイルに基づく推定誤差に加えて、画像入出力装置における色再現のばらつき情報をも合わせて出力することを特徴とする。これにより、プロファイル管理者はばらつき情報をも参照可能となるため、プロファイルの有効性をより適切に判断することができる。
【0131】
第8実施形態におけるプロファイルコントローラ36の構成を、図24に示す。同図においては、第4実施形態で図9に示した構成に加えて、ばらつき情報算出部1714と、ばらつき情報保持部1715を有することを特徴とする。ばらつき算出部1714は、画像出力装置212による出力画像における色再現のばらつき情報を算出し、これをばらつき情報保持部1715に格納する。該ばらつき情報は、例えば画像出力装置212において同一値のカラー画像データを複数出力し、該複数の出力画像における測色値のばらつきを定量化することによって求められる。なお、図24において図9と同様の構成には同一番号を付し、説明を省略する。
【0132】
第8実施形態における測色値推定誤差の出力手順は、上述した第4実施形態と同様であり、図10のフローチャートに従うが、ステップS3306の推定誤差出力処理の際に、ばらつき情報保持部1715に格納されたばらつき情報も推定誤差出力装置213に出力されることを特徴とする。
【0133】
図25に、第8実施形態における推定誤差の表示例を示す。同図に示す表示例によれば、色名1801、推定誤差1802及びばらつき情報1803の組が色数分、出力される。すなわち、上述した第5実施形態における推定誤差の表示例(図13)において更に、色名に対する測色値のばらつきが出力される。
【0134】
図26に、第8実施形態におけるばらつき情報取得処理のフローチャートを示す。
【0135】
まず、確認画像保持部202に格納されているカラー画像データが、画像出力部203を介して画像出力装置212に出力され、ここで例えば10枚の記録用紙上に印刷出力される(S3191)。該10枚の出力画像は、色測定装置211で測色され(S3192)、その測色結果は、測色値入力部204を介して測定結果保持部207に格納される(S3193)。そして、ばらつき情報算出部1714において、測定結果保持部207に格納された10個の測定値に基づいてばらつき評価指数Uを算出し(S3194)、該ばらつき評価指数Uがばらつき情報保持部1715に格納される。
【0136】
なお、ステップS3194におけるばらつき評価指数Uの算出方法は例えば、上述した第1実施形態の図3に示した手順と同様の方法が適用される。
【0137】
また、ばらつき評価指数Uを算出するためのサンプリング数は、上記10個に限定されないことは言うまでもない。
【0138】
以上説明したように第8実施形態によれば、プロファイル管理者は既存プロファイルによる測色値の推定誤差に加え、画像出力装置における出力画像の色のばらつき度合いをも確認することが可能となる。従ってプロファイル管理者は、ばらつき情報を考慮することによって、プロファイルの有効性をより適切に判断することが可能となる。
【0139】
なお、上述した第4乃至第8実施形態においては、デバイス独立色空間としてCIE/L*a*b*を使用したが、これに代えて、CIE/XYZや、CIE/L*u*v*、及びこれらに基づいて得られる他の色空間を使用しても良い。
【0140】
また、プロファイルの評価値(推定誤差)を算出する際に、CIE1994色差式を使用したが、これに代えて、CIE1976色差式、CMC色差式、BFD色差式、BLAB色差式、及び色信号対の差異を定量化する他の評価値を使用しても良い。
【0141】
【他の実施の形態】
本発明は、複数の機器(例えばホストコンピュータ、インタフェイス機器、リーグ、プリンタなど)から構成されるシステムに適用しても、一つの機器からなる装置(例えば、複写機、ファクシミリ装置など)に適用しても良い。
【0142】
また、本発明の目的は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUまたはMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても達成されることは言うまでもない。
【0143】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0144】
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フロッピーディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどを用いることが出来る。また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0145】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0146】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、デバイスの色再現特性のばらつきを考慮して色変換情報の更新を制御することにより、色変換情報の更新の必要性を適切に判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る一実施形態におけるCMSが実行される画像処理システムの概要構成を示す図である。
【図2】本実施形態におけるプロファイル更新処理を示すフローチャートである。
【図3】本実施形態におけるばらつき評価指数の算出手順を示すフローチャートである。
【図4】本実施形態におけるばらつき評価指数を算出する座標系を示す図である。
【図5】第2実施形態における、プロファイル作成時の付加情報取得処理を示すフローチャートである。
【図6】第2実施形態におけるプロファイル更新処理を示すフローチャートである。
【図7】第3実施形態における、プロファイル作成時のばらつき評価指数Uの取得処理を示すフローチャートである。
【図8】第3実施形態におけるプロファイル更新処理を示すフローチャートである。
【図9】第4実施形態におけるプロファイルコントローラの詳細構成を示すブロック図である。
【図10】第4実施形態におけるプロファイル推定精度の出力処理を示すフローチャートである。
【図11】第4実施形態における推定精度確認用の画像例を示す図である。
【図12】第4実施形態におけるプロファイル推定精度の出力例を示す図である。
【図13】第5実施形態におけるプロファイル推定精度の出力例を示す図である。
【図14】第6実施形態におけるプロファイルコントローラの詳細構成を示すブロック図である。
【図15】第6実施形態におけるプロファイル推定精度の出力処理を示すフローチャートである。
【図16】第6実施形態における色信号入力UI例を示す図である。
【図17】第6実施形態における最終色信号確認UI例を示す図である。
【図18】第6実施形態におけるプロファイル推定精度の出力例を示す図である。
【図19】第7実施形態におけるプロファイルコントローラの詳細構成を示すブロック図である。
【図20】第7実施形態におけるプロファイル推定精度の出力処理を示すフローチャートである。
【図21】第7実施形態における測色値入力UI例を示す図である。
【図22】第7実施形態における最終色信号確認UI例を示す図である。
【図23】第7実施形態におけるプロファイル推定精度の出力例を示す図である。
【図24】第8実施形態におけるプロファイルコントローラの詳細構成を示すブロック図である。
【図25】第8実施形態におけるプロファイル推定精度の出力例を示す図である。
【図26】第8実施形態におけるばらつき情報の取得処理を示すフローチャートである。
【図27】一般的なカラーマネージメントシステムの概念を示す図である。
【符号の説明】
1 入力系装置
2 画像入力部
3 画像処理部
4 画像出力部
5 出力系装置
31 入力側色空間変換部
32 色域圧縮処理部
33 出力側色空間変換部
34,35 プロファイル
36 プロファイルコントローラ
Claims (12)
- デバイスによって出力された複数の画像の測色値を取得し、
前記測色値のばらつきを示す評価指数を算出し、
前記デバイスの色変換情報を用いて前記複数の画像の測色値の推定値を計算し、
前記取得した測色値と前記推定値の差および前記評価指数を用いて前記色変換情報が前記デバイスの現在の色再現特性を反映しているか否かを評価して、前記色変換情報を更新するか否かを判定することを特徴とする色処理方法。 - デバイスの色変換情報、および、前記色変換情報を作成した際に算出された、複数の画像の測色値のばらつきを示す評価指数を取得し、
前記デバイスによって出力された複数の画像の測色値を取得し、
前記色変換情報を用いて前記複数の画像の測色値の推定値を計算し、
前記取得した測色値と前記推定値の差および前記評価指数を用いて前記色変換情報が前記デバイスの現在の色再現特性を反映しているか否かを評価して、前記色変換情報を更新するか否かを判定することを特徴とする色処理方法。 - 前記評価指数は、前記複数の画像の測色値の平均値と、当該測色値それぞれとの差から算出することを特徴とする請求項1または請求項2に記載された色処理方法。
- 前記判定は、前記差および前記評価指数から求めたt-統計量を用いて行うことを特徴とする請求項1に記載された色処理方法。
- デバイスによって出力された複数の画像の測色値を取得し、
前記測色値のばらつきを示す評価指数を算出し、
前記デバイスの色変換情報を作成した際に算出された、複数の画像の測色値のばらつきを示す評価指数を取得し、
前記算出した評価指数および前記取得した評価指数を用いて前記色変換情報が前記デバイスの現在の色再現特性を反映しているか否かを評価して、前記色変換情報を更新するか否かを判定することを特徴とする色処理方法。 - 前記評価指数は、前記複数の画像の測色値の平均測色と、当該測色値それぞれの差の二乗和であることを特徴とする請求項5に記載された色処理方法。
- 前記判定は、前記算出した評価指数および前記取得した評価指数から求めたt-統計量を用いて行うことを特徴とする請求項5または請求項6に記載された色処理方法。
- 更に、前記色変換情報を更新すると判定した場合、前記取得した測色値を用いて前記色変換情報を更新することを特徴とする請求項1から請求項7の何れかに記載された色処理方法。
- 請求項1から請求項8の何れかに記載された色処理をコンピュータによって実現することを特徴とするプログラム。
- デバイスによって出力された複数の画像の測色値を取得する取得手段と、
前記測色値のばらつきを示す評価指数を算出する算出手段と、
前記デバイスの色変換情報を用いて前記複数の画像の測色値の推定値を計算する計算手段と、
前記取得した測色値と前記推定値の差および前記評価指数を用いて前記色変換情報が前記デバイスの現在の色再現特性を反映しているか否かを評価して、前記色変換情報を更新するか否かを判定する判定手段とを有することを特徴とする色処理装置。 - デバイスの色変換情報、および、前記色変換情報を作成した際に算出された、複数の画像の測色値のばらつきを示す評価指数を取得する第一の取得手段と、
前記デバイスによって出力された複数の画像の測色値を取得する第二の取得手段と、
前記色変換情報を用いて前記複数の画像の測色値の推定値を計算する計算手段と、
前記取得した測色値と前記推定値の差および前記評価指数を用いて前記色変換情報が前記デバイスの現在の色再現特性を反映しているか否かを評価して、前記色変換情報を更新するか否かを判定する判定手段とを有することを特徴とする色処理装置。 - デバイスによって出力された複数の画像の測色値を取得する第一の取得手段と、
前記測色値のばらつきを示す評価指数を算出する算出手段と、
前記デバイスの色変換情報を作成した際に算出された、複数の画像の測色値のばらつきを示す評価指数を取得する第二の取得手段と、
前記算出した評価指数および前記取得した評価指数を用いて前記色変換情報が前記デバイスの現在の色再現特性を反映しているか否かを評価して、前記色変換情報を更新するか否かを判定する判定手段とを有することを特徴とする色処理装置。
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