JP3762078B2 - 乾式トナーおよびその製法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電子写真、静電記録、静電印刷などに用いられる乾式トナーおよびその製法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真、静電記録、静電印刷などに用いられる乾式トナーとしては、スチレン系樹脂、ポリエステルなどのトナーバインダーを着色剤などと共に溶融混練し、微粉砕したものが用いられている。
これらの乾式トナーは紙などに現像転写された後、熱ロールを用いて加熱溶融することで定着することが行われている。その際、熱ロール温度が高すぎるとトナーが過剰に溶融し熱ロールに融着する問題(ホットオフセット)が発生する。また、熱ロール温度が低すぎるとトナーが充分に溶融せず定着が不十分になる問題が発生する。省エネルギー化、複写機等の装置の小型化の観点から、よりホットオフセット発生温度が高く(耐ホットオフセット性)、かつ定着温度が低い(低温定着性)トナーが求められている。
また、トナーが保管中および装置内の雰囲気温度下でブロッキングしない耐熱保存性が必要である。
とりわけフルカラー複写機、フルカラープリンターにおいては、その画像の光沢性および混色性が必要なことから、トナーはより低溶融粘度であることが必要であり、シャープメルト性のポリエステル系のトナーバインダーが用いられている。このようなトナーではホットオフセットの発生がおこりやすいことから、従来からフルカラー用の機器では、熱ロールにシリコーンオイルなどを塗布することが行われている。
しかしながら、熱ロールにシリコーンオイルを塗布する方法は、オイルタンク、オイル塗布装置が必要であり装置が複雑、大型となる。また、熱ロールの劣化をも引き起こし、一定期間毎のメンテナンスを必要とする。さらに、コピー用紙、OHP(オーバーヘッドプロジェクター)用フィルム等にオイルが付着することが不可避であり、とりわけOHPにおいては付着オイルによる色調の悪化の問題がある。
一方、近年、高画質化、解像度の向上のためにトナーの小粒径化のニーズが強まっている。しかし、従来の混練粉砕トナーはその形状が不定型であるために、小粒径とした場合に粉体流動性が不十分となり、トナーの現像装置への供給が困難になるとともに、転写性が悪化する問題が生じる。
【0003】
上記問題点のうち、耐熱保存性、低温定着性、耐ホットオフセット性を両立させるものとして、▲1▼多官能のモノマーを用いて部分架橋せしめたポリエステルをトナーバインダーとして用いたもの(特開昭57−109825号公報)、▲2▼ウレタン変性したポリエステルをトナーバインダーとして用いたもの(特公平7−101318号公報)などが提案されている。
また、フルカラー用に熱ロールへのオイル塗布量を低減するものとして、▲3▼ポリエステル微粒子とワックス微粒子を造粒したもの(特開平7−56390号公報)が提案されている。
【0004】
さらに、小粒径化した場合の粉体流動性、転写性を改善するものとしては、▲4▼着色剤、極性樹脂および離型剤を含むビニル単量体組成物を水中に分散させた後、懸濁重合した重合トナー(特開平9−43909号公報)、▲5▼ポリエステル系樹脂からなるトナーを水中にて溶剤を用いて球形化したトナー(特開平9−34167号公報)が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、▲1▼〜▲3▼に開示されているトナーは、いずれも粉体流動性、転写性が不十分であり、小粒径化して高画質化できるものではない。
さらに、▲1▼および▲2▼に開示されているトナーは、耐熱保存性と低温定着性の両立がまだ不十分であるとともに、フルカラー用には光沢性が発現しないため使用できるものではない。また、▲3▼に開示されているトナーは低温定着性が不十分であるとともに、オイルレス定着におけるホットオフセット性が満足できるものではない。
▲4▼および▲5▼に開示されているトナーは粉体流動性、転写性の改善効果は見られるものの、▲4▼に開示されているトナーは、低温定着性が不十分であり、定着に必要なエネルギーが多くなる問題点がある。特にフルカラー用のトナーではこの問題が顕著である。▲5▼に開示されているトナーは、低温定着性では▲4▼より優れるものの、耐ホットオフセット性が不十分であり、フルカラー用において熱ロールへのオイル塗布を不用にできるものではない。さらに、製造時に多量の溶剤を必要とし経済的でない。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、小粒径トナーとした場合の粉体流動性、転写性に優れるとともに、耐熱保存性、低温定着性、耐ホットオフセット性のいずれにも優れた乾式トナー、とりわけフルカラー複写機などに用いた場合に画像の光沢性に優れ、かつ熱ロールへのオイル塗布を必要としない乾式トナーおよびそのような乾式トナーを経済的に得る方法を開発すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、水酸基含有ポリエステルプレポリマーを水系媒体中でジイソシアネートにより伸長反応および/または架橋反応させてなる樹脂(i)と該プレポリマーおよびジイソシアネートと反応しないポリマー(ii)とからなるトナーバインダー、および着色剤からなる乾式トナーであり、該プレポリマーの重量平均分子量が1000〜40000であり、該乾式トナーが、ポリマー(ii)および必要により着色剤の存在下で、該プレポリマーとジイソシアネートとの水系媒体中での伸長反応および/または架橋反応により形成された粒子からなることを特徴とする乾式トナーおよびその製法である。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳述する。
【0008】
本発明の乾式トナーは、水系媒体中で、活性水素基含有プレポリマー(A)からなる分散体を形成させ、(A)と分子内に活性水素基と反応可能な官能基を2個以上有する化合物(B)との反応により、(A)を伸長および/または架橋させて形成させた粒子からなる。
本発明において、活性水素基含有プレポリマー(A)としては、活性水素基を有する、ポリエステルプレポリマー(A1)、エポキシ樹脂プレポリマー(A2)、ポリウレタンプレポリマー(A3)、ポリアミドプレポリマーなどが挙げられる。
これらのうち好ましいものは、(A1)、(A2)および(A3)であり、さらに好ましいものは(A1)および(A2)であり、特に好ましいものは(A1)である。
上記プレポリマーの有する活性水素基としては、アミノ基、水酸基(アルコール性水酸基およびフェノール性水酸基)、メルカプト基、カルボキシル基およびそれらが脱離可能な化合物でブロック化された有機基などが挙げられ、これらのうち好ましいものはアミノ基、アルコール性水酸基、およびアミノ基が脱離可能な化合物でブロック化された有機基であり、特に好ましいものは水酸基である。
【0009】
活性水素基を有するポリエステルプレポリマー(A1)としては、ポリオール(a)とポリカルボン酸(b)との重縮合物でかつ水酸基を有するポリエステル(A1−1)、ポリオール(a)とポリカルボン酸(b)との重縮合物でかつカルボキシル基を有するポリエステル(A1−2)、ポリオール(a)とポリカルボン酸(b)との重縮合物でかつケチミンブロックされたアミノ基を有するポリエステル(A1−3)、ポリオール(a)とポリカルボン酸(b)との重縮合物でかつメルカプト基を有するポリエステル(A1−4)などが挙げられる。
(A1−1)としては、(a)と(b)とを重縮合する際に(a)を過剰に用いたものなどが挙げられる。
(A1−2)としては、(a)と(b)とを重縮合する際に(b)を過剰に用いたものなどが挙げられる。
(A1−3)としては、(a)と(b)との重縮合物をさらにアミノアルコールのケチミン化物(c)で変性したもの(A1−3c)、(a)と(b)との重縮合物をさらにアミノ酸のケチミン化物(d)で変性したもの(A1−3d)などが挙げられる。
(A1−4)としては、(a)と(b)との重縮合物をさらにチイラン付加したものなどが挙げられる。
【0010】
ポリオール(a)としては、ジオール(a−1)および3価以上のポリオール(a−2)が挙げられ、(a−1)単独、または(a−1)と少量の(a−2)の混合物が好ましい。
ジオール(a−1)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなど);脂環式ジオール(1,4-シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物(通常1〜10モル付加);上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物(通常2〜10モル付加)などが挙げられる。
これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコールおよびビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、およびこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。
3価以上のポリオール(a−2)としては、3〜6価およびそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
【0011】
ポリカルボン酸(b)としては、ジカルボン酸(b−1)および3価以上のポリカルボン酸(b−2)が挙げられ、(b−1)単独、および(b−1)と少量の(b−2)の混合物が好ましい。
ジカルボン酸(b−1)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデセニルコハク酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸および炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。
3価以上のポリカルボン酸(b−2)としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。
なお、ポリカルボン酸(b)としては、上述のものの酸無水物または低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いてもよい。
【0012】
アミノアルコールのケチミン化物(c)としては、アミノアルコール(アミノエタノール、1−アミノ−2−プロパノールなど)を、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)でケチミン化したものなどが挙げられる。これらのうち好ましいものは、アミノエタノールのケチミン化物である。
アミノ酸のケチミン化物(d)としては、アミノ酸(アミノ酢酸、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸、アミノ安息香酸など)を、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)でケチミン化したものなどが挙げられる。
【0013】
ポリオール(a)とポリカルボン酸(b)の比率は、(A1−1)および(A1−3d)の場合は、水酸基[OHa]とカルボキシル基[COOHb]の当量比[OHa]/[COOHb]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。(A1−2)および(A1−3c)の場合は、水酸基[OHa]とカルボキシル基[COOHb]の当量比[OHa]/[COOHb]として、通常1/2〜1/1、好ましくは1/1.5〜1/1、さらに好ましくは1/1.3〜1/1.02である。
(A1−3c)におけるアミノアルコールのケチミン化物(c)の比率は、(c)の水酸基[OHc]と、(b)のカルボキシル基[COOHb]と(a)の水酸基[OHa]との当量の差との比[OHc]/([COOHb]−[OHa])として、通常1/3〜3/1、好ましくは1/2〜2/1、さらに好ましくは1/1.3〜1
.3/1である。
(A1−3d)におけるアミノ酸のケチミン化物(d)の比率は、(d)のカルボキシル基[COOHd]と、(a)の水酸基[OHa]と(b)のカルボキシル基[COOHb]との当量の差との比[OHc]/([OHa]−[COOHb])として、通常1/3〜3/1、好ましくは1/2〜2/1、さらに好ましくは1/1.3〜1.3/1である。
【0014】
活性水素基を有するエポキシ樹脂プレポリマー(A2)としては、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど)とエピクロルヒドリンとの付加縮合物(側鎖に水酸基を含有);およびエポキシ環を有する前記付加縮合物を、さらにアミノアルコールのケチミン化物(c)またはアミノ酸のケチミン化物(d)で変性したものなどが挙げられる。(c)および(d)としては前記と同様なものが挙げられ、好ましいものも同様である。
これらのうち好ましいものは、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンの付加縮合物およびそれを(d)で変性したものである。
【0015】
活性水素基を有するポリウレタンプレポリマー(A3)としては、水酸基含有ポリウレタンプレポリマー(A3−1)および脱離可能な化合物でブロック化されたアミノ基含有ポリウレタンプレポリマー(A3−2)などが挙げられる。
(A3−1)としては、ポリオール(a)とポリイソシアネート(e)の重付加物で、(e)よりも(a)を過剰に用いたものなどが挙げられる。
(A3−2)としては、ポリオール(a)とポリイソシアネート(e)の重付加物で、(a)よりも(e)を過剰に用いたものをさらにアミノアルコールのケチミン化物(c)で変性したもの、および(a)と(c)と(e)との重付加物などが挙げられる。
(a)および(c)としては前記と同様なものが挙げられ、好ましいものも同様である。
【0016】
ポリイソシアネート(e)としては、脂肪族ポリイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α',α'−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアヌレート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;およびこれら2種以上の併用が挙げられる。
これらのうち好ましいものは、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、および前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたものである。
さらにこれらの(e)と、ポリオール(a)、ジアミン(ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミンなど)、水などの活性水素化合物とを、(e)を過剰に反応させて得られるイソシアネート基含有プレポリマー(e’)も使用できる。
【0017】
活性水素基を有するプレポリマー(A)中の1分子当たりに含有する活性水素基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5〜3個、さらに好ましくは、平均1.8〜2.5個である。
1分子当たり1個未満では、(A)の伸長および/または架橋反応物の分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0018】
(A)の重量平均分子量は、低温定着性とホットオフセット発生温度の差の観点から、通常1000〜50000、好ましくは2000〜40000、さらに好ましくは4000〜20000である。
(A)の溶融粘度は、100℃において、通常2000ポイズ以下、好ましくは1000ポイズ以下である。2000ポイズを超えると粒子を形成させるのが困難となるか、または多量の溶剤が必要となり経済的でない。
【0019】
活性水素基と反応可能な官能基を2個以上有する化合物(B)としては、ポリイソシアネート類(B1)、ポリエポキサイド類(B2)、ポリカルボン酸類(B3)、ポリ酸無水物類(B4)、ポリ酸ハライド類(B5)およびそれら1種以上の混合物が挙げられる。これらのうち好ましいものは、(B1)、(B2)および(B5)であり、さらに好ましいものは(B1)および(B2)であり、特に好ましいものは(B1)である。
ポリイソシアネート類(B1)としては、前記のポリイソシアネート(e)、イソシアネート基含有プレポリマー(e’)と同様なものが挙げられ、好ましいものも同様である。
ポリエポキサイド類(B2)としては、ポリグリシジルエーテル(エチレングリコールジグリシジルエーテル、テトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、フェノールノボラックグリシジルテーテル化物など);ジエンオキサイド(ペンタジエンジオキサイド、ヘキサジエンジオキサイドなど)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、ポリグリシジルエーテルである。ポリカルボン酸類(B3)としては、前記(b−1)、(b−2)と同様なものが挙げられ、好ましいものも同様である。
ポリカルボン酸無水物(B4)としては、ピロメリット酸無水物などが挙げられる。
ポリ酸ハライド類(B5)としては、前記(B3)の酸ハライド(酸クロライド、酸ブロマイド、酸アイオダイド)などが挙げられる。
【0020】
活性水素基と反応可能な官能基を2個以上有する化合物(B)の比率は、(B)の有する反応性官能基[BY]と、活性水素基を有するプレポリマー(A)の有する活性水素基[AH]の当量比[BY]/[AH]として、通常2/1〜1/2、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。
【0021】
さらに、必要により(B)と共に伸長停止剤を併用することができる。伸長停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど);モノアミンをブロックしたもの(ケチミン化合物など);モノオール(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、フェノール;モノメルカプタン(ブチルメルカプタン、ラウリルメルカプタンなど);モノイソシアネート(フェニルイソシアネート、ブチルイソシアネートなど)モノエポキサイド(フェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテルなど)などが挙げられる。
【0022】
本発明の乾式トナーにおいては、プレポリマー(A)を活性水素基と反応可能な官能基を2個以上有する化合物(B)によって水系媒体中で伸長反応および/または架橋反応させた樹脂(i)がトナーバインダー成分となる。該(i)の重量平均分子量は、通常1万以上、好ましくは2万〜1000万、さらに好ましくは3万〜100万である。1万未満では耐ホットオフセット性が悪化する。
【0023】
また、活性水素基を有するプレポリマー(A)と共に、(A)と(B)との水系媒体中での反応時に、(A)および(B)と反応しないポリマー[いわゆるデッドポリマー](C)を系内に含有させることもできる。すなわち、乾式トナーとした時のトナーバインダー成分として、プレポリマー(A)を水系媒体中で伸長反応および/または架橋反応させた樹脂(i)と共に、伸長反応または架橋反応させていない樹脂(ii)を含有させることもできる。
(C)すなわち(ii)を併用することで、低温定着性およびフルカラー装置に用いた場合の光沢性が向上し、(i)単独使用より好ましい。
(i)と(ii)は少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。従って、(i)を形成する(A)と、(ii)である(C)は類似の組成が好ましい。すなわち、(A)がポリエステルプレポリマー(A1)の場合には、(C)としては、ポリオール(a)とポリカルボン酸(b)との重縮合物が好ましい。
(A)の有する活性水素基がアミノ基、アミノ基がブロック化された有機基、カルボキシル基の場合は、(a)、(b)として好ましいものも(A1)の場合と同様である。
(A)の有する活性水素基が水酸基またはメルカプト基の場合は、(C)は水酸基を実質上含有していないことが好ましく、水酸基価が5以下が好ましい。従って、(a)、(b)として好ましいものとしては、(a)は(A1)の場合と同様であるが、(b)は炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸および炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸の低級アルキルエステルが好ましい。
(ii)のピーク分子量は、耐熱保存性と低温定着性の観点から、通常1000〜10000、好ましくは1500〜10000、さらに好ましくは2000〜8000である。
【0024】
(ii)を含有させる場合の(i)と(ii)の重量比は、通常5/95〜80/20、好ましくは5/95〜30/70、さらに好ましくは5/95〜25/75、特に好ましくは7/93〜20/80である。
(i)の重量比が5%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。
【0025】
本発明に用いる水系媒体としては、水単独でもよいが、水と混和可能な溶剤を併用することもできる。
混和可能な溶剤としては、アルコール(メタノール、イソプロパノール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などが挙げられる。
【0026】
着色剤としては公知の染料、顔料および磁性粉を用いることができる。具体的には、カーボンブラック、スーダンブラックSM、ファーストイエロ−G、ベンジジンイエロー、ピグメントイエロー、インドファーストオレンジ、イルガシンレッド、バラニトアニリンレッド、トルイジンレッド、カーミンFB、ピグメントオレンジR、レーキレッド2G、ローダミンFB、ローダミンBレーキ、メチルバイオレットBレーキ、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、プリリアントグリーン、フタロシアニングリーン、オイルイエローGG、カヤセットYG、オラゾールブラウンB、オイルピンクOP、マグネタイト、鉄黒などが挙げられる。
着色剤の含有量は通常2〜15重量%、好ましくは3〜10重量%である。
【0027】
また、トナーバインダー、着色剤とともにワックスを含有させることもできる。
ワックスとしては公知のものが使用でき、例えばポリオレフィンワックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなど);長鎖炭化水素(パラフィンワッックス、サゾールワックスなど);カルボニル基含有ワックスなどが挙げられる。これらのうち好ましいものは、カルボニル基含有ワックスである。
カルボニル基含有ワックスとしては、ポリアルカン酸エステル(カルナバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18-オクタデカンジオール-ビス-ステアレートなど);ポリアルカノールエステル(トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなど);ポリアルカン酸アミド(エチレンジアミンジベヘニルアミドなど);ポリアルキルアミド(トリメリット酸トリステアリルアミドなど);およびジアルキルケトン(ジステアリルケトンなど)などが挙げられる。
これらカルボニル基含有ワックスのうち、好ましいものはポリアルカン酸エステルである。
トナー中のワックスの含有量は通常0〜40重量%であり、好ましくは2〜30重量%、特に好ましくは3〜25重量%である。
【0028】
本発明の乾式トナーにおいては、さらに、荷電制御剤および流動化剤を使用することもできる。
荷電制御剤としては、公知のもの、すなわち、ニグロシン染料、4級アンモニウム塩化合物、4級アンモニウム塩基含有ポリマー、含金属アゾ染料、サリチル酸金属塩、スルホン酸基含有ポリマー、含フッソ系ポリマー、ハロゲン置換芳香環含有ポリマーなどが挙げられる。
荷電制御剤の含有量は通常0〜5重量%である。
流動化剤としては、コロイダルシリカ、アルミナ粉末、酸化チタン粉末、炭酸カルシウム粉末など公知のものを用いることができる。
【0029】
本発明において、(A)の伸長反応および/または架橋反応により形成された粒子の粒径は、現像性と解像度の観点から、中位径(d50)が通常2〜20μm、好ましくは3〜15μm、さらに好ましくは4〜8μmである。
【0030】
本発明の乾式トナーの製法を説明する。
トナー粒子は、水系媒体中で活性水素基を有するプレポリマー(A)からなる分散体を、(B)と反応させて形成される。
水系媒体中で、プレポリマー(A)からなる分散体を安定して形成させる方法としては、水系媒体中にプレポリマー(A)からなるトナー原料組成物を加えて、せん断力により分散させる方法などが挙げられる。
プレポリマー(A)と他のトナー原料(着色剤、離型剤、荷電制御剤など)は、水系媒体中で分散体を形成させる際に混合してもよいが、あらかじめトナー原料を混合した後、水系媒体中にその混合物を加えて分散させたほうがより好ましい。
また、本発明においては、着色剤、離型剤、荷電制御剤などの他のトナー原料は、必ずしも、水系媒体中で粒子を形成させる時に混合しておく必要はなく、粒子を形成せしめた後、添加してもよい。たとえば、着色剤を含まない粒子を形成させた後、公知の染着の方法で着色剤を添加することもできる。
【0031】
分散の方法としては特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。分散体の粒径を2〜30μmにするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000rpm、好ましくは5000〜20000rpmである。分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1〜5分である。
分散時の温度としては、通常、0〜150℃(加圧下)、好ましくは40〜98℃である。高温なほうが、プレポリマー(A)からなる分散体の粘度が低く、分散が容易な点で好ましい。
【0032】
プレポリマー(A)100部に対する水系媒体の使用量は、通常50〜2000重量部、好ましくは100〜1000重量部である。50重量部未満では(A)の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。20000重量部を超えると経済的でない。
また、必要に応じて、分散剤を用いることもできる。分散剤を用いたほうが、粒度分布がシャープになるとともに分散が安定である点で好ましい。
分散剤としては、水溶性高分子(ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロールなど)、無機粉末(炭酸カルシウム粉末、リン酸カルシウム粉末、ハイドロキシアパタイド粉末、シリカ微粉末など)および界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウムなど)など公知のものが使用できる。
分散剤を使用した場合には、該分散剤がトナー粒子表面に残存したままとすることもできるが、伸長および/または架橋反応後、洗浄除去するほうがトナーの帯電面から好ましい。
【0033】
さらに、プレポリマー(A)からなる分散体の粘度を低くするために、(A)が可溶の溶剤を使用することもできる。溶剤を用いたほうが粒度分布がシャープになる点で好ましい。該溶剤は沸点が100℃未満であるか、水と共沸可能であることが除去が容易である点から好ましい。また、(A)の有する活性水素基が水酸基の場合は、溶剤の親水性が低いほうが好ましい。
該溶剤としては、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、トルエンなどが挙げられる。
プレポリマー(A)100部に対する溶剤の使用量は、通常0〜300部、好ましくは0〜100部、さらに好ましくは25〜70部である。
溶剤を使用した場合は、伸長および/または架橋反応後、常圧または減圧下にて加温し除去する。
【0034】
伸長および/または架橋反応時間は、プレポリマー(A)の有する活性水素基構造と活性水素基と反応可能な官能基を2個以上有する化合物(B)の組み合わせによる反応性により選択されるが、通常10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。
反応温度は、通常、0〜150℃、好ましくは50〜120℃である。
【0035】
この分散体を伸長および/または架橋反応させて形成されたトナー粒子を遠心分離器、スパクラフィルター、フィルタープレスなどにより固液分離し、得られた粉末を乾燥することによって本発明の乾式トナーが得られる。
得られた粉末を乾燥する方法としては、流動層式乾燥機、減圧乾燥機、循風乾燥機など公知の設備を用いて行うことができる。
また、必要に応じ、風力分級器などを用いて分級し、所定の粒度分布とすることもできる。
【0036】
本発明の乾式トナーは必要に応じて鉄粉、ガラスビーズ、ニッケル粉、フェライト、マグネタイト、および樹脂(アクリル樹脂、シリコーン樹脂など)により表面をコーティングしたフェライトなどのキャリアー粒子と混合されて電気的潜像の現像剤として用いられる。
また、キャリア粒子のかわりに帯電ブレードなどの部材と摩擦し、電気的潜像を形成することもできる。
本発明の乾式トナーは複写機、プリンターなどにより支持体(紙、ポリエステルフィルムなど)に定着して記録材料とされる。支持体に定着する方法としては、公知の熱ロール定着方法、フラッシュ定着方法などが適用できる。
【0037】
以下実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下、部は重量部を示す。
【0038】
【実施例】
実施例1
(プレポリマーの製造例)
冷却管、攪拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物360部、イソフタル酸166部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で脱水しながら5時間反応した後、160℃まで冷却して、重量平均分子量9000の水酸基含有プレポリマー(1)を得た。
(デッドポリマーの製造例)
上記と同様にビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物654部、テレフタル酸ジメチルエステル516部を常圧下、230℃で6時間重縮合し、次いで10〜15mmHgの減圧で5時間反応して、ピーク分子量2400、水酸基価2のデッドポリマー(1)を得た。
(トナーの製造例)
ビーカー内に前記のプレポリマー(1)15.3部、デッドポリマー(1)63.6部、トルエン40部および酢酸エチル40部を入れ、攪拌し溶解した。次いで、ペンタエリスリトールテトラベヘネート20部、シアニンブルーKRO(山陽色素製)4部を入れ、60℃にてTK式ホモミキサーで12000rpmで攪拌し、均一に溶解、分散させた。最後に、伸長剤としてジフェニルメタンジイソシアネート1.1部を加え溶解させた。これをトナー材料溶液(1)とする。
ビーカー内にイオン交換水706部、ハイドロキシアパタイト10%懸濁液(日本化学工業(株)製スーパタイト10)294部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2部を入れ均一に溶解した。ついで60℃に昇温し、TK式ホモミキサーで12000rpmに攪拌しながら、上記トナー材料溶液(1)を投入し10分間攪拌した。ついでこの混合液を攪拌棒および温度計付のコルベンに移し、98℃まで昇温して、ウレタン化反応をさせながら溶剤を除去し、濾別、洗浄、乾燥した後、風力分級し、粒径d50が6μmのトナー粒子を得た。ついで、トナー粒子100部にコロイダルシリカ(アエロジルR972:日本アエロジル製)0.5部をサンプルミルにて混合して、本発明のトナー(1)を得た。
トナー(1)中のトナーバインダー成分の、重量平均分子量は16000、数平均分子量は2100、ガラス転移点(Tg)は52℃であった。評価結果を表1に示す。
【0039】
実施例2
(プレポリマーの製造例)
実施例1と同様にして、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物392部、イソフタル酸166部および無水トリメリット酸13部を重縮合させ、重量平均分子量15000のプレポリマー(2)を得た。
(トナーの製造例)
ビーカー内に前記のプレポリマー(2)15.4部、デッドポリマー(1)63.7部、トルエン40部および酢酸エチル40部を入れ、攪拌し溶解した。次いで、トリメチロールプロパントリベヘネート20部、シアニンブルーKRO(山陽色素製)4部を入れ、50℃にてTK式ホモミキサーで12000rpmで攪拌し、均一に溶解、分散させた。最後に、伸長剤としてジフェニルメタンジイソシアネートと1,4−ブタンジオールの2:1反応物を2.1部加え溶解させた。これをトナー材料溶液(2)とする。
トナー材料溶液(2)を用い、分散温度を50℃に変える以外は実施例1と同様にしてトナー化し、粒径d50が6μmの本発明のトナー(2)を得た。
トナー(2)中のトナーバインダー成分の、重量平均分子量は21000、数平均分子量は2200、ガラス転移点(Tg)は52℃であった。評価結果を表1に示す。
【0040】
比較例1
(トナーバインダーの合成)
ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物354部およびイソフタル酸166部をジブチルチンオキサイド2部を触媒として重縮合し、重量平均分子量8,000の比較トナーバインダー(1)を得た。
(トナーの製造例)
ビーカー内に前記の比較トナーバインダー(1)100部、酢酸エチル200部、シアニンブルーKRO(山陽色素製)4部を入れ、50℃にてTK式ホモミキサーで12000rpmで攪拌し、均一に溶解、分散させ、比較トナー材料溶液(1)を得た。次いで実施例1と同様にトナー化し、粒径d50が6μmの比較トナー(1)を得た。評価結果を表1に示す。
【0041】
【表1】
[評価方法]
▲1▼粉体流動性
ホソカワミクロン製パウダーテスターを用いて静かさ密度を測定した。
流動性の良好なトナーほど静かさ密度は大きい。
▲2▼耐熱保存性
トナーを50℃×8時間保管後、42メッシュのふるいにて2分間ふるい、金網上の残存率をもって耐熱保存性とした。
耐熱保存性の良好なトナーほど残存率は小さい。
▲3▼光沢発現温度(GLOSS)
市販カラー複写機(CLC−1;キヤノン製)の定着装置からオイル供給装置を取り除き、定着ロール上のオイルを除去した改造機を用いて定着評価した。定着画像の60゜光沢が10%以上となる定着ロール温度をもって光沢発現温度とした。
▲4▼ホットオフセット発生温度(HOT)
上記GLOSSと同様に定着評価し、定着画像へのホットオフセットの有無を目視評価した。ホットオフセットが発生した定着ロール温度をもってホットオフセット発生温度とした。
【0042】
実施例3
(トナーの製造例)
着色剤をカーボンブラック(三菱化成(株)製 MA100)8部に変える以外は実施例2と同様にしてトナー化し、粒径d50が6μmの本発明のトナー(3)を得た。評価結果を表2に示す。
【0043】
実施例4
(デッドポリマーの製造例)
ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物327部、イソフタル酸ジメチルエステル213部を実施例1と同様に重縮合し、ピーク分子量4200、水酸基価3のデッドポリマー(2)を得た。
(トナーの製造例)
ビーカー内に前記のプレポリマー(2)28.8部、デッドポリマー(2)69.5部、トルエン50部および酢酸エチル50部を入れ、攪拌し溶解した。次いで、モンタンワックスWE−40(ヘキストジャパン製)5部およびカーボンブラック(三菱化成(株)製 MA100)8部を入れ、60℃にてTK式ホモミキサーで12000rpmで攪拌し、均一に溶解、分散させた。最後に、伸長剤としてジフェニルメタンジイソシアネート1.7部を加え溶解させた。これをトナー材料溶液(3)とする。
トナー材料溶液(3)を用いる以外は実施例1と同様にしてトナー化し、粒径d50が6μmの本発明のトナー(4)を得た。
トナー(4)中のトナーバインダー成分の、重量平均分子量は34000、数平均分子量は4400、ガラス転移点(Tg)は57℃であった。評価結果を表2に示す。
【0044】
比較例2
(トナーバインダーの合成)
冷却管、攪拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物343部、イソフタル酸166部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時間反応した後、80℃まで冷却し、トルエン中にてトルエンジイソシアネート14部を入れ110℃で5時間反応を行い、次いで脱溶剤し、重量平均分子量98000の変性ポリエステルを得た。
ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物363部、イソフタル酸166部を実施例1と同様に重縮合し、ピーク分子量3800、水酸基価25、酸価7のデッドポリマーを得た。
上記変性ポリエステル350部とデッドポリマー650部をトルエンに溶解、混合後、脱溶剤し、比較トナーバインダー(2)を得た。
(トナーの作成)
比較トナーバインダー(2)100部、モンタンワックスWE−40(ヘキストジャパン製)および5部カーボンブラック(三菱化成(株)製 MA100)8部を下記の方法でトナー化した。
まず、ヘンシェルミキサ(三井三池化工機(株)製 FM10B)を用いて予備混合した後、二軸混練機((株)池貝製 PCM−30)で混練した。ついで超音速ジェット粉砕機ラボジェット(日本ニューマチック工業(株)製)を用いて微粉砕した後、気流分級機(日本ニューマチック工業(株)製 MDS−I)で分級し、粒径d50が6μmのトナー粒子を得た。ついで、トナー粒子100部にコロイダルシリカ(アエロジルR972:日本アエロジル製)0.5部をサンプルミルにて混合して、比較トナー(2)を得た。評価結果を表2に示す。
【0045】
【表2】
[評価方法]
▲1▼粉体流動性
ホソカワミクロン製パウダーテスターを用いて静かさ密度を測定した。
流動性の良好なトナーほど静かさ密度は大きい。
▲2▼耐熱保存性
トナーを50℃×8時間保管後、42メッシュのふるいにて2分間ふるい、金網上の残存率をもって耐熱保存性とした。
耐熱保存性の良好なトナーほど残存率は小さい。
▲3▼最低定着温度(MFT)
市販白黒複写機(SF8400A;シャープ製)を用いて定着評価した。定着画像をパットで擦った後の画像濃度の残存率が70%以上となる定着ロール温度をもって最低定着温度とした。
▲4▼ホットオフセット発生温度(HOT)
上記MFTと同様に定着評価し、定着画像へのホットオフセットの有無を目視評価した。ホットオフセットが発生した定着ロール温度をもっ定着ロール温度をもってホットオフセット発生温度とした。
【0046】
【発明の効果】
本発明の乾式トナーおよびその製法は以下の効果を奏する。
1.粉体流動性に優れ、現像性、転写性に優れる。
2.容易に小粒径のトナーが得られ、鮮鋭性に優れる。
3.耐熱保存性に優れ、かつ、低温定着性と耐ホットオフセット性のいずれにも優れる。
4.カラートナーとした場合の光沢性に優れ、かつ耐ホットオフセット性が優れるため、定着ロールにオイル塗布をする必要がない。
5.カラートナーとした場合の透明性が高く、色調に優れる。
6.混練・粉砕が不要であり、また、多量の溶剤を必要としないことから経済的である。
Claims (5)
- 水酸基含有ポリエステルプレポリマーを水系媒体中でジイソシアネートにより伸長反応および/または架橋反応させてなる樹脂(i)と該プレポリマーおよびジイソシアネートと反応しないポリマー(ii)とからなるトナーバインダー、および着色剤からなる乾式トナーであり、該プレポリマーの重量平均分子量が1000〜40000であり、該乾式トナーが、ポリマー(ii)および必要により着色剤の存在下で、該プレポリマーとジイソシアネートとの水系媒体中での伸長反応および/または架橋反応により形成された粒子からなることを特徴とする乾式トナー。
- 水酸基含有ポリエステルプレポリマーが、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物からなるポリオール(a)とポリカルボン酸(b)との重縮合物である請求項1記載の乾式トナー。
- 樹脂(i)とポリマー(ii)の重量比が5/95〜80/20である請求項1または2記載の乾式トナー。
- 熱定着用乾式トナーとして用いられる請求項1〜3のいずれか記載の乾式トナー。
- 水系媒体中に分散させた重量平均分子量が1000〜40000である水酸基含有ポリエステルプレポリマーを、該プレポリマーおよびジイソシアネートと反応しないポリマー(ii)の存在下、ジイソシアネートにより伸長反応および/または架橋反応させてトナー粒子を形成することを特徴とする乾式トナーの製法。
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