JP3761668B2 - 柱脚構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、鉄骨または鉄骨鉄筋コンクリート造建築物の柱脚部に用いる柱脚構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、鉄骨柱を基礎コンクリートに固定する方法としては、柱下端部に柱脚金物を固設し、この柱脚金物を予め基礎コンクリートに下端部を埋め込んだアンカーボルトに挿通し、ナットで固定する方法が採られることが多い。この方法の場合、ナットで固定する前に一旦、基礎コンクリートと柱脚金物との間さらにはアンカーボルトと柱脚金物との間に間隙をもって設置するため、ナット締め付け後、確実に前記間隙にモルタルまたはグラウト等を詰め込まないと、柱脚に曲げモーメントや剪断力が作用した場合に想定以上の回転変形や水平移動が生じ建物の安定性が損なわれる。これを防ぐために、例えば、特公平5−63585号公報のように、特殊な座金を用いて、柱脚部に発生する前記間隙にグラウト材を同時充填して確実に柱脚部を一体的に固定する方法が考案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
図15、図16、図17に従来の技術の一例を示す。上記特公平5−63585号公報に示された柱脚の特殊座金10においては、裏面側にグラウト流通用の凹部11を設け、且つグラウト注入用あるいは空気抜き用の透孔12を設けている。地震等により柱Aが上に引っ張られたり曲げられたりすると柱脚金物1と特殊座金10との間に圧縮力が働き、強力な力が働いた場合グラウト材7が圧縮破壊を起こしてしまい、凹部11を空隙とする門型の金物形状での抵抗のみとなる。この際、凹部11がボルト孔1aを広範囲に包含する形状となっているので特殊座金10上面の板部には大きな曲げモーメントが加わるので特殊座金10上面の板部を厚くしておかねばならない。
【0004】
さらには、上述の座金上部の板部の厚さに加え凹部11を設けるための厚さが必要になり、柱脚金物1上面からアンカーボルト2上端までの高さが高くなるので床のコンクリート量が多くなり作業性が悪化する。また、特開平07−102639号公報にはボルト孔に連結し、上面に開口するモルタルの注入穴、及びモルタルの充填検知穴を設けた柱脚金物が開示されているが、具体的に開示された注入穴は充填検知穴と同様の細い穴であり、この充填穴から時間とともに急速に流動性が低下してゆくという性質を持つモルタルを確実に内部に充填するのは困難である。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記問題点を解決するために鋭意検討した結果本発明をなすに至った。すなわち本発明は、柱材下部に固設された柱脚金物が基礎コンクリート中に下部を埋設された複数のアンカーボルトにより固定されている柱脚構造において、柱脚金物のボルト孔、及びグラウト流通用孔が設けられている座金のボルト孔に前記アンカーボルト上部が挿通され、ナットが螺合されており、且つ前記柱脚金物に複数のボルト孔の上部周縁の少なくとも半周以上に連結し、柱脚金物の外方向又は円周方向へ拡大された形状のグラウト流通用段差部が設けられるとともに前記座金のグラウト流通用孔が前記グラウト流通用段差部に開口されており、且つ基礎コンクリート上面と柱脚金物下面との間隙、柱脚金物のボルト孔とアンカーボルトとの間隙、および柱脚金物の段差部にグラウト材が充填されて一体的に固定されていることを特徴とする柱脚構造である。
【0006】
本発明の特に好ましい形態としてグラウト流通用段差部の形状が卵形であることがあげられる。又、別の好ましい形態としてボルト孔の下部周辺に下方へ突出する部分が設けられていることがあげられる。更に、別の好ましい形態として、グラウト流通用段差部が、上面から下方へ径が減少するように傾斜した段差となっているものがあげられる。
【0007】
更に、別の好ましい形態として、上記柱脚構造の座金として、ボルト孔、及びグラウト流通用孔を設けるとともに、グラウト流通用孔の周辺下面に突起を設けたことを特徴とする座金を用いるものである。
【0008】
本発明においてボルト孔の周辺下面に下方へ突出する部分の設けられた柱脚金物が用いられた柱脚構造は特に好ましい。本発明において、グラウト流通用段差部とはグラウトを流通させるために柱脚金物のボルト孔の周縁に設けられた凹部のことで、例えば、図3及び図4の3のような形状をしており、座金4のグラウト流通用孔4bと柱脚金物1のボルト孔1aがこのグラウト流通用段差部3を経由して連絡される。
【0009】
本発明においてグラウト流通用段差部はボルト孔の上部周縁の少なくとも半周以上に連結していることが必要である。これは、たとえば図8のようにグラウト流通用孔3がボルト孔1aと連結している部分が少なくともボルト孔の半周以上であることが必要であるという意味である。本発明のグラウト流通用段差部は柱脚金物の外方向または円周方向へ拡大された形状であることが必要である。これは、例えば図8(a)のようにグラウト流通用段差部3が柱脚金物の外方向へ拡大された形状または図8(b)のように柱脚金物の円周方向へ拡大された形状であることが必要であるということである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明において、ボルト孔周縁上部のグラウト流通用段差部の形状において、ボルト孔を含めて段差部の平面形状の中心即ち図心がボルト孔の平面形状の中心と同一とし、ボルト孔周縁全周をグラウト流通用段差部としてもよいが、柱が角形鋼管や円形鋼管など閉鎖形断面の柱の場合はグラウトの流通を柱より外側の柱脚金物外方向で行う方が施工効率がよいので、ボルト孔部を含む段差部の平面上の図心をボルト孔の図心よりも柱脚金物の外方向、又は円周方向へ偏心させる、即ち、柱脚金物の外方向、又は円周方向へ拡大する方がボルト孔周縁全周をグラウト流通用段差部とするよりも座金裏面と柱脚金物上面との接触面積が広くとれるなどの利点もあり好ましい。
【0011】
尚、グラウト流通用段差部を柱脚金物外方向、又は円周方向へ拡大するに当たり、グラウト流通用段差部をボルト孔の上部周縁の少なくとも半周以上に連結するか、または外形を卵形としたグラウト流通用段差部で前記ボルト孔の上部周縁を包含させれば、段差部と座金のグラウト流通孔との平面的な重なり部分を広く確保することができ、座金の位置決めが容易となる。
【0012】
また、グラウト流通用段差部とボルト孔との連結をボルト孔の半周以上にすることにより、段差部とボルト孔との間のグラウト材の流通がスムースとなり、時間の経過とともに急速に流動性が低下してゆくグラウト材の充填に対して好都合である。また、アンカーボルト位置が偏芯してアンカーボルトと柱脚金物のボルト孔との隙間の狭い部分が生じても、段差部がボルトの半周以上に連結しているのでグラウトは隙間の広い部分からも柱脚金物下面側へ流入し、スムースなグラウト充填加工が可能となる。
【0013】
更に、外形を卵形としたグラウト流通用段差部で前記ボルト孔の周縁上部を包含した場合は、ボルト孔全周と段差部が連結されることになり、よりグラウト材の流通をスムースにすることができる。前記柱脚金物において更に、ボルト孔の下部周辺に下方へ突出する部分を設けた柱脚金物を用いると、突出部を柱脚金物下面側のグラウトあるいはコンクリートに位置させることができるので、柱が水平移動しようとする力に対し、柱脚金物の下面が平面状態の場合に比較し突出部の引っかかりによる抵抗力を強めることができる。
【0014】
又、前記突出部の形状を柱脚金物裏面においてリブ形状とすれば、柱脚金物自体の面外曲げ耐力及び剛性を向上させることもできる。本発明の柱脚金物の段差部及び突出部は鋳造による一体的製造の他、切削、溶着などでも形成できるが、プレス加工を用いればボルト孔周縁の段差部と突出部を同時に形成することができる。更に、段差部にグラウト材を流通させるにあたり、流通用段差部を、例えば図12,図13等に示すように上面から下方へ径が減少するように傾斜した段差部とするとグラウト材の流通がよりスムースとなり好ましい。
【0015】
次に本発明の座金について説明する。本発明では複数のボルト孔位置において柱脚金物を上面から押さえる座金のグラウト流通用孔と柱脚金物下面との間でグラウト材を確実に流通させるため、即ち、確実な注入及び空気抜きと漏れだしを実現するには、座金のグラウト流通用孔がボルト孔あるいはその周辺の段差部等のボルト孔に連続するグラウト流通路側に開口しなければならない。座金の上面のアンカーボルトに螺合されるナットが、座金の上面に接した状態で回転されると座金も回転し、座金のグラウト流通用孔がずれる可能性がある。そこで、位置ずれの許容範囲を逸脱して座金が回転する恐れのある場合は、座金の下面の、好ましくはグラウト流通用孔の下部周辺に突起を設け、この突起をグラウト流通路となるボルト孔あるいは段差部等へ位置させ、グラウト流通路からの位置ずれを防止する拘束機構を持たせることが好ましい。
【0016】
前記の突起の形成方法としては、例えば、グラウト流通用孔をプレス加工して生じた下面への突起を利用してもよく、溶接、接着、プレスなどで突起を別途設けてもよく、鋳造、鍛造などで座金製造時に一体的に設けてもよい。本発明の柱脚構造に於いて、ボルト孔の周縁上部に設けられるグラウト流通用段差部は、座金のグラウト流通用孔が前記グラウト流通用段差部に開口され、基礎コンクリート上面と柱脚金物下面との間隙、柱脚金物のボルト孔とアンカーボルトとの間隙、および柱脚金物の段差部にグラウト材を充填して一体的に固定される機能があればよいが、ボルト孔の上部周縁の少なくとも半周以上に連結し、柱脚金物の外方向又は円周方向へ拡大させたグラウト流通用段差部、もしくは外形を卵形としてボルト孔の上部周縁を包含するグラウト流通用段差部、更には、上面から下方へ径が減少するように傾斜した段差とすることが、グラウト材の充填施工上好ましい。
【0017】
【実施例】
次に本発明の実施例を添付の図面に基づいて説明する。図1乃至図7に第1実施例を示す。図1および図2は、本発明の柱脚構造の第1実施例の全体概略側面図および概略平面図である。図3は要部断面、図4および図5は本発明の柱脚金物の平面および断面を示す。また、図6、7は柱脚金物の斜視図である。この実施例に示す柱脚金物1、即ち、柱A下端部に固設される柱脚金物1はアンカーボルト2の上部を挿通するボルト孔1aを有し、このボルト孔1aの周縁上部にはボルト孔1aを囲むように外形を卵形としたグラウト流通用段差部3が形成されている。この段差部3は、図2に示すように、柱脚金物1外方向へ平面的に拡大しておりボルト孔部を含む段差部の平面上の図心がボルト孔1aの図心よりも柱脚金物1外方向へ偏心させている。
【0018】
この柱脚金物1の平面図と断面図を図4と図5に示した。なお、柱脚金物1は図6に示すような平板鋼板から製作可能な構造とするほか、図7に示すように鋳造あるいは鍛造で製作することができる姿にしても良い。このように段差部3を形成するには、切削加工、プレス加工によるほか、鋳造、鍛造の場合は予め型を用意して製造することもできる。ボルト孔1aの製作にあたっては、段差部3製作の前後において切削にて形成できるほか、鋳造、鍛造の場合はいぬくこともできる。
【0019】
柱Aの下端部に固設した上記柱脚金物1を基礎コンクリートBに設置するにあたっては、基礎コンクリートB上面の所要の位置にスぺーサーとしてレベル調整材8を載せ、その上に柱脚金物1を設置するとともに、柱脚金物1の過大孔としたボルト孔1aおよび座金4のボルト孔4aに基礎コンクリートBのコンクリート中に下部を埋設したアンカーボルト2の上部を挿通し、ナット5を螺合して緊結する。
【0020】
座金4は、図2や図3等に示すように、柱脚金物1のグラウト流通用段差部3へ開口するグラウト流通用あるいは空気抜き用の孔4bが形成されており、段差部3を平面的に包含するように設置される。グラウト材7の充填にあたっては、柱脚金物1の周囲に基礎コンクリートB上面に設置する堰板9を設け、1箇所の座金4のグラウト流通用孔4bからグラウト材7を圧入し、グラウト流通用段差部3を流通路として利用し基礎コンクリートB上面と柱脚金物1下面との間隙、柱脚金物1のボルト孔1aとアンカーボルト2との間隙、さらには柱脚金物1の段差部3にグラウト材7を充填して一体的に固定するのである。
【0021】
尚、本実施例では柱Aを角形鋼管としたが、円形鋼管やH形鋼あるいは鋼材を組み合わせた十字形柱などでも同様の柱脚構造とすることができる。また、本実施例では、アンカーボルト本数が4本の場合を示したが、アンカーボルト本数が4本を超える場合でも同様の柱脚構造とすることができる。アンカーボルト8本の場合の柱脚金物の平面形状の例を図8(a)及び(b)に示す。図8の(a)(b)ともにグラウト流通用段差部3はボルト孔1a周縁上部の略半周に連結した例であり、また、グラウト流通用段差部3の平面的な拡大方向は(a)は柱脚金物1の外方向、(b)は柱脚金物1の円周方向となっている。次に、図9および図10に本発明の第2実施例の柱脚構造を示す。図9および図10は第1実施例の図3および図5と同位置における断面図である。第1実施例の説明図の図2、図4、図6および図7は第2実施例の場合も同様の図となる。
【0022】
本実施例に於いて、第1実施例と異なる点は、図9や図10に見られるように、柱脚金物1のボルト孔の下部周辺に下方へ突出する部分6が設けられている点である。この突出部6を柱脚金物1に形成する方法は鋳造による一体的製造の他、他の部材を溶着、固設することでも形成できるが、鍛造または冷間プレス加工を用いてボルト孔1a周縁上部及び下部の段差部3及び突出部6を同時に形成してもよい。鋳造又は他部材の固設によれば突出部3の高さを任意に設定できるという利点があり、鍛造または冷間プレスの場合は段差高さと突出高さがほぼ同一の設計となるが単一部材からの製作が可能となる。
【0023】
柱脚金物1を基礎コンクリートBに緊設する手順は第1実施例と同じにできる。この場合、図9に示すように前記突出部が柱脚金物1下面と基礎コンクリートB上面との間隙内に位置し、グラウト材7で固定される。突出部6は、柱Aが水平移動しようとする際に、グラウト材7に引っかかる効果によってせん断耐力向上を図ることが出来る。尚、本実施例ではグラウト7内に突出部6を位置させる方法を図示したが、あらかじめ基礎コンクリートB上面の前記突出部6に対応する位置に穴を形成させ、この穴に突出部6の先端部分を位置せしめ隙間を前記グラウト充填方法で一体化させることもできる。
【0024】
さらに、前記突出部6の形状を柱脚金物1裏面においてリブ形状とも出来るが、この場合、柱脚金物の面外曲げ耐力及び剛性を向上させる効果も有することになる。すなわち、前記突出部は、柱脚に作用するせん断力への抵抗としてだけではなく、柱脚金物1自体の補強効果も有するのである。次に、図11にグラウト流通用段差部3の平面形状の実施例を示す。図11はグラウト流通用段差部3とボルト孔1aとの関係を示す要部平面図である。(a)は段差部3の外形を卵形とし、段差部3の外形がボルト孔1aを包含しながらもその中心即ち図心をボルト孔1a中心即ち図心から柱脚金物1外方向へ偏心させている。(b)及び(c)は段差部3の外形がボルト孔1aを包含せず、ボルト孔1aの上部周縁半周に連結させたものである。(d)は、ボルト孔1aの周縁上部との連結範囲を更に拡げた例である。また、図11の各例は、外形を曲線で構成しているが、これを直線の組み合わせに変えても支障はない。
【0025】
以上、図11におけるいずれの実施例もグラウト流通用段差部3をグラウト7の主たる流通方向を限定して、ボルト孔1a上部周縁の広範囲に段差部を形成することを避けており、座金4裏面と柱脚金物1上面との接触面積を広くとることができ、座金4を小形状とすることが出来る。次に、グラウト流通用段差部3の断面形状の例を図12に示す。(a)はボルト孔1a周縁の段差部3に水平面を設け、柱脚金物1上面から段差部水平面へは垂直面で連結している。(b)は、柱脚金物1上面から段差部水平面へ傾斜面で連結し、(c)は、柱脚金物1上面から段差部水平面への傾斜面をアール状にしたものである。(d)は、段差面には水平面を設けずに柱脚金物1上面からボルト孔1a周縁に向けて段差部3をアール状に傾斜させたものである。(d)はアール状の段差としているが、直線的に傾斜させてもよい。更には、(e)のように、一旦柱脚金物1上面から垂直面で座金裏面との間隙を設け、さらにボルト孔1a周縁に向けて段差を傾斜させてもよい。一旦、垂直面を設けたのは、例えばボルト孔1a周縁までの段差部3の傾斜角度が低い場合でも、座金のグラウト流通孔4bが開口する付近でグラウト流通が阻害されないようにしたものである。尚、(a)及び(b)では、ボルト孔1a周縁全体に段差部3を設けた図にしているが、(c)、(d)及び(e)のように周縁の一部のみに上記形状の段差部3をもうけてもよい。同様に、(c)、(d)及び(e)は(a)及び(b)のようにボルト孔1a周縁全体に段差部3を設けてもよい。
【0026】
流通させるグラウト材7は、流動性が高いため(a)のような断面形状でもよいが、(b)、(c)、(d)、(e)のように流通用段差部3の一部あるいは全体を、上面から下方へ径が減少するように傾斜した段差とするとグラウト材7の流通がよりスムースとなり好ましい。次に、図13に前記ボルト孔1aの下部周辺に下方へ突出する突出部6の断面形状の実施例を示す。(a)はボルト孔1a周縁上部の段差部3の形状と下部の突出部6の形状がほぼ同一の例を示す。この形状の場合は柱脚金物1への切削、溶着や、鋳造での制作の他、プレス成形での制作も可能となる。(b)、(c)、(d)はボルト孔1a周縁上部の段差部3の断面形状と下部の突出部6の断面形状が異なる実施例を示す。(b)、(c)は上面の段差部3がボルト孔1a周縁の一部に設けられ、下部の突出部6をボルト孔1a周縁に設けた例を示す。突出部6の断面形状は柱脚金物1下面からアール状にしたり、直線的に、さらには傾斜させて設けることができる。また、突出高さも突出部6の位置させる高さに合わせて自由に設定できる。(d)は、突出部6をボルト孔1a周縁の一部に設けた例である。突出部6は柱脚に作用するせん断力への抵抗として有効であるだけでなく、柱脚金物1が柱A固設位置近辺で面外に折れ曲がろうとする力への補強としても有効である。よって、周辺の一部に突出部6を設ける場合は、図のように柱A側へ設けることが望ましい。さらに、突出部6を柱A固設位置の下面にまで延長すると柱脚金物1の面外曲げへの補強効果をより高めることができる。
【0027】
次に、本発明に用いる好ましい座金を図14に示す。(a)は、座金4のグラウト流通用孔4bの下部周辺の全周に突起4cを設けたものである。(b)は、その断面図である。一方、(c)は、座金4のグラウト流通用孔4bの周辺に2カ所の突起4cを設けたもので、(d)は、その断面図である。これらの座金4を前記の構造に利用するにあたり、施工の際等に、座金4に回転力が加わってもグラウト流通用孔4bが段差部3からはずれてグラウト材7の流通を妨げることがないよう、座金4の突起4cを柱脚金物1の段差部3内に収まるようにすることが好ましい。尚、上記突起4cは、一体的製造の他、他の部材を溶着あるいは固設することでも形成できるが、プレス加工を用いればグラウト流通用孔4bと同時に形成することもできる。
【0028】
【発明の効果】
本発明の柱脚構造は、ボルト孔の周縁上部の少なくとも半周以上に連結し、柱脚金物外方向へ拡大させた、もしくは外形を卵形としたグラウト流通用段差部でボルト孔の上部周縁を包含させているようにした柱脚金物を用いているので、柱脚金物を基礎コンクリートに設置した際に発生する間隙に確実にグラウト材を充填し柱脚部を一体的に固定できるとともに、柱脚金物に設けたグラウト流通用段差部をボルト孔と座金のグラウト流通孔との間のグラウト流通路にすることができるので、座金を簡易な平板形状とすることができ、製造、運搬、在庫管理が容易であり、また、座金と柱脚金物との接触面積を従来より大きくとることができ座金への応力負担を軽減できるので座金を薄い板厚とすることができる。従って、柱脚金物上面からアンカーボルト上端までの高さを低減することができ、床の仕上げ面からのアンカーボルト突出を軽減できる。
【0029】
また、段差部を柱脚金物の外方向又は円周方向へ拡大した形状としたことにより、柱が角形鋼管や円形鋼管など閉鎖形断面の柱の場合はグラウトの流通を柱より外側の柱脚金物外周側で行うことができ、施工の効率が向上する。また、グラウト流通用段差部を柱脚金物の外方向又は円周方向へ拡大させるに当たり、グラウト流通用段差部をボルト孔の周縁上部の少なくとも半周以上に連結するか、または外形を卵形としたグラウト流通用段差部で前記ボルト孔の周縁上部を包含させれば、座金のグラウト流通孔をグラウト流通用段差部へ位置させるための座金の位置決めが容易となり、ズレの許容範囲も大きくとることができる。
【0030】
更に、ボルト孔の下部周縁に下方へ突出する部分を設けた柱脚金物を用いた場合は、この突出部を柱脚金物下面側のグラウトあるいはコンクリートに位置させることができるので、柱が水平移動しようとする力に対し、柱脚金物の下面が平面状態の場合に比較し突出部の引っかかりによる抵抗力を強めることができる。さらには、前記突出部の形状を柱脚金物裏面においてリブ形状とすれば、柱脚金物自体の面外曲げ耐力及び剛性を向上させることもできる。また、段差部にグラウト材を流通させるにあたり、グラウト流通用段差部を、上面から下方へ径が減少するように傾斜した段差とするとグラウト材の流通をよりスムースにすることができる。また、本発明の座金を用いると下面の突起により座金上面に接地するナットの回転によって座金が回転し、座金のグラウト流通用孔がボルト孔あるいは段差部などのグラウト流通路から外れてグラウト材の流通が阻害されるという問題を防止することができる。
【0031】
本発明では座金に設けるグラウト流通用孔の形状は、グラウト注入に用いるロートやホース等の充填工具の先端形状に適合する形状とすることができるためグラウト注入時に座金の上面側にあふれ出ることを防止しやすい。更に、座金をボルト孔と段差部の両方を覆うように設置することにより座金下面に注入されるグラウトがこの座金の周囲から逆に漏れ出すことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の柱脚構造の例を示す概略側面図である。
【図2】第1実施例及び第2実施例の概略平面図である。
【図3】第1実施例の要部断面図である。
【図4】第1実施例及び第2実施例の柱脚金物平面図である。
【図5】第1実施例における図4のA―A’断面図である。
【図6】第1実施例及び第2実施例の柱脚金物斜視図である。
【図7】第1実施例及び第2実施例の柱脚金物斜視図である。
【図8】柱脚金物平面図である。
【図9】第2実施例の要部断面である。
【図10】第2実施例における図4のA―A’断面図である。
【図11】グラウト流通用段差部の平面図である。
【図12】グラウト流通用段差部の断面図である。
【図13】ボルト孔の周縁下部の突出部の断面図である。
【図14】本発明の座金の例を示す平面図及び断面図である。
【図15】従来の柱脚構造を示す要部断面図である。
【図16】従来の特殊座金の上面側の斜視図である。
【図17】従来の特殊座金の下面側の斜視図である。
【符号の説明】
A 柱
B 基礎コンクリート
1 柱脚金物
1a ボルト孔
2 アンカーボルト
3 グラウト流通用段差部
4 座金
4a ボルト孔
4b グラウト流通用孔
4c 突起
5 ナット
6 突出部
7 グラウト材
8 レベル調整材
9 堰板
10 特殊座金
11 凹部
12 透孔

Claims (5)

  1. 柱材下部に固設された柱脚金物が基礎コンクリート中に下部を埋設された複数のアンカーボルトにより固定されている柱脚構造において、柱脚金物のボルト孔、及びグラウト流通用孔が設けられている座金のボルト孔に前記アンカーボルト上部が挿通され、ナットが螺合されており、且つ前記柱脚金物に複数のボルト孔の上部周縁の少なくとも半周以上に連結し、柱脚金物の外方向又は円周方向へ拡大された形状のグラウト流通用段差部が設けられるとともに前記座金のグラウト流通用孔が前記グラウト流通用段差部に開口されており、且つ基礎コンクリート上面と柱脚金物下面との間隙、柱脚金物のボルト孔とアンカーボルトとの間隙、および柱脚金物の段差部にグラウト材が充填されて一体的に固定されていることを特徴とする柱脚構造。
  2. グラウト流通用段差部は、卵形の外形であることを特徴とする請求項1に記載の柱脚構造
  3. 柱脚金物のボルト孔の下部周辺に下方へ突出する部分が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の柱脚構造
  4. 柱脚金物のグラウト流通用段差部が、上面から下方へ径が減少するように傾斜した段差であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の柱脚構造。
  5. グラウト流通孔を有する座金が、ボルト孔、及びグラウト流通用孔を有するとともに、該グラウト流通用孔の周辺下面に突起を有する座金であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の柱脚構造。
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