JP3761591B2 - Lhrhホルモンおよびその類似体を徐々に放出する微小球体の製造方法と、その微小球体と、それを含む製剤 - Google Patents

Lhrhホルモンおよびその類似体を徐々に放出する微小球体の製造方法と、その微小球体と、それを含む製剤 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、LHRHホルモンおよびその類似体を徐々に放出させるための注射可能な微小球体(microspheres)、すなわち、ポリペプチドが分散された生物分解性および生物適合性のあるポリマーまたはコポリマーで作られた微小球体の製造方法に関するものである。
本発明は、さらに、上記方法で得られる徐放性微小球体と、それを含む製剤とに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
微小球体(microspheres)とはポリマーマトリクス中にポリペプチドが分散している粒子を意味する。この微小球体は適当な液体に懸濁して動物や人間に注射することができる。
生物分解性と生物適合性のあるポリマーとして通常用いられているものは、開環重合によって得られるポリ(DL−ラクチド−グリコライド)、酪酸とグリコール酸の重縮合によって得られるポリ(酪酸−グリコール酸)、ポリカプロラクトンとそのコポリマー、ポリアセタール、ポリオルトエステル、ポリヒドロキシブチレートとそのコポリマーである。
【0003】
水溶性のポリペプチドを生物分解性ポリマーを用いてマイクロカプセル化する方法は種々報告されている。これらの方法は大きく3種類に分類される:
(1) コアセルベーションまたはエマルジョン/相分離法、
(2) スプレードライングによるカプセル化法、
(3) 有機相または水相での溶媒蒸発法。
【0004】
コアセルベーションまたはエマルジョン/相分離法(アメリカ合衆国特許第4,675,189 号、第4,835,139 号;ヨーロッパ特許出願第0,302,582 号)は有機相中で行われる。水溶液または粉末状のペプチドをポリマーの有機溶液中に分散させる。相分離誘起剤、通常はシリコンオイルを有機相に添加し、ポリマーにポリペプチドを包み込んだ小滴状のコアセルベートを形成させる。この小滴は互いに融合して初期の微小球体を形成する。続いて、この微小球体をポリマーを溶解しない溶媒に移して硬化させる。使用するポリペプチドは一般に使用する有機溶媒およびオイルに不溶であるので、その多くがポリマーカプセル中に取り込まれる。
【0005】
しかし、この方法は溶媒(ジクロロメタン、ヘプタンまたはトリクロロ−トリフルオロ−エタン)およびオイルを大量に消費するという欠点がある。そのため生産コストが高くなり、溶媒の毒性に対する防御が必要となり、ヘプタンに関しては発火の危険がある。さらに、コアセルベーション反応は制御が難しく、個々独立した微小球体を生成させるには混合物中のポリマー、溶媒および相分離誘起剤の量を調節しなければならない。相分離誘起剤がわずかに過剰であるだけで微小球体が部分的にまたは全体的に凝集を起こし、製品が使用不可能になる。さらに、この方法で作られた微小球体では、生理媒体中へのカプセル化されたポリペプチドの放出速度が始めの数時間に大量に放出されるという特徴がある。この特性は、製品を病気治療に用いた場合にin vivo で好ましくない副作用を引き起こすか、または活性成分を無駄にすることにもなる。
【0006】
スプレードライングによるカプセル化法、例えばヨーロッパ特許出願第0,315,875 号に記載のカプセル化法では、ペプチドの水溶液とポリマーの有機性溶液とを混合してエマルジョンを形成した後、高温の空気流中にエマルジョンを噴射する。噴射時の溶媒の蒸発に伴って微小球体が生成する。
【0007】
溶媒蒸発法の基本的な方法は、活性成分を含むポリマー溶液をポリマーを溶解している溶媒と混ざり合わない第2の溶媒中に分散させ、ポリマーを溶解している溶媒を蒸発させる。前記のポリマーに適用される方法は水相における溶媒蒸発法で、活性成分を含むポリマー溶液を攪拌しながら水溶液中に分散させる。ポリマーを溶解している溶媒は次第に水相中へ分散して混合物の表面から蒸発し、除去される。こうして固体化した微小球体は濾過で回収することができる。この方法はカプセル化しようとする活性成分が水相に不溶である場合に特に用いられ、この方法は例えばステロイドをカプセル化して徐放性にする場合などに用いられる(T. Tice, L.R. Beck達、“Dr. Mishell Jr. Editor, Long Acting Steroid Contraception, Raven Press, New York, 1983 175-199”)。
【0008】
アメリカ合衆国特許出願第4,389,330 号には、カプセル化すべき物質をあまり水と混合しない溶媒中に溶解または分散させ、これに壁形成材料を溶解し、得られた有機相を連続相処理用の媒体(水または例えばキシレン、トルエンのような有機性液体)に分散させ、溶媒の一部を蒸発させた後にマイクロカプセルを回収し、微小球体に含まれた残りの溶媒を抽出するというマイクロカプセル製造方法が記載されている。この特許では、この方法を水に不溶な物質、プロゲステロンおよびノルゲスチメートを溶媒である塩化メチレンに溶解し、5%のPVA(ポリビニルアルコール)を含む水相中に分散させる。しかし、その他の非常に多様なタイプの連続相処理媒体および各種溶媒を区別していない。例えば、THFと塩化メチレンは非常に異なった挙動を示すが、この2つを区別していない。
【0009】
一方、有機相を水相中に分散させて行う溶媒蒸発法では、活性成分が水溶性であると、カプセル化収率が低くなる。この場合には、有機性溶液に溶解または分散された活性成分が急速に水相に分散して溶解する(Bodmeier R., Mc GinityJ.W.達、“Pharm. Res., 1987, 4, 465 ”)。このようにして得られた微小球体は初期の活性成分のほんの一部しか含有せず、ほとんどの活性成分は水相に溶解して失われてしまう。
【0010】
従来の溶媒蒸発法には欠点があるために、水溶性物質をカプセル化する目的でさらに複雑でコストのかかる方法が開発され(コアセルベーション:ヨーロッパ特許出願第0,302,582 号;アメリカ合衆国特許出願第4,675,189 号;同第4,835,139 号;スプレードライング;ダブルエマルジョン:ヨーロッパ特許出願第0,145,240 号;同第0,442,671 号)、また、水溶性物質の特殊な場合には溶媒蒸発法が適応させてきた。
活性成分の溶解性が pH によって変化する場合には、水相のpHを活性成分の溶解性が低くなるような値に調節することによって活性成分が水相に分配されるのを制限することが可能になる。しかし、水相のpHを極端な値にしなければならない場合にはこのpH調節は好ましくない。極端なpH条件下では活性成分およびポリマーが不安定になり易い。
【0011】
活性成分の水相への分配を制限する別の方法は、予め水相を活性成分で飽和させておいて、分配現象を抑制または逆行させる方法である(R. Bodmeier J.W., Mc Ginity 達、“J. Microencapsulation, 1987, Vol. 4, no.4, 289-297") 。しかし、この解決方法は水相を飽和させるために必要な活性成分の量が多量であるため、高価な水溶性ペプチドまたはポリペプチドの場合には使用できない。
【0012】
溶媒蒸発法によるカプセル化の種々の変形例も開発されており、例えばLHRHの類似体の水溶性ペプチドを重縮合で合成されたポリ(酪酸−グリコール酸)中にカプセル化する方法(ヨーロッパ特許出願第0,145,240 号、 Chem. Pharm. Bull. 36(3), 1095-1103, 1988)、TRHのカプセル化方法 (Int. J. Pharm., 1991, 69, 69-75)、スマトスタチンをD−グルコース上で分岐したポリ(DL−ラクチド−グリコリライド)のカプセル化方法(Proceed. Intern. Symp. Cont-rol. Rel. Bioact. Mater. 18, 1991, 597-598) 、牛血清アルブミンとホースラディッシュパーオキシダーゼのカプセル化方法(Pharm. Research, vol. 8, no.6, 713-720, 1991) がある。この変形例では、最初に水に溶解した活性成分を有機溶媒(一般にはジクロロメタン)のポリマー溶液中でエマルジョンとした水/オイルタイプの第1のエマルジョンを形成する。この第1のエマルジョンの水相には粘性を高める効果のある水溶性添加剤を添加することができる。この粘度の上昇は、ゼラチンのような水溶性高分子化合物(ヨーロッパ特許出願第0,145,240 号)またはペプチドとポリマーとの間に存在するイオンの相互作用(Int. J. Pharm., 1991, 69, 69-75)のいずれかによる。続いて、この第1のエマルジョンを分散安定剤を含む水相に分散して水/オイル/水型のエマルジョンを形成し、有機相の溶媒を減圧下に留去し、微小球体を硬化させる。最後に、微小球体を遠心または濾過によって回収する。
【0013】
一般に、ペプチドまたはポリペプチドの一部はこの方法で効果的にカプセル化される。しかし、活性成分の放出速度はカプセル化条件、主に有機相中のポリマーおよび溶媒の量に対する第1の溶液の水相に含まれる水、活性成分および添加剤の量に大きく依存する。LHRH類似体の場合(ヨーロッパ特許第0,145,240 号)には、第1のエマルジョン製造の段階で高温で水相を有機相にエマルジョン化する操作があり、この時に溶媒の蒸発を防ぐために大気圧以上の圧力下で操作しなければならないため、第1のエマルジョンの製造は難しい。さらに、第1のエマルジョンを形成する際の温度(69〜70℃)は高温で、不安定な活性成分には使用できない。
【0014】
溶媒蒸発法のもう1つの変形例では、有機相をこれと混合しないもう1つの有機相に分散させる。この変形例は、理論上、分散相中の水溶性活性成分が連続相に分配されるのを制限することを可能にする。このオイル/オイル溶媒の分散/蒸発方法では、活性成分を含むポリマーの有機溶液を、攪拌しながら、無機オイルまたはポリマーの溶媒と混和しない第2の有機溶媒中に分散させる。例えばポリマーをアセトンまたはアセトニトリルに溶解した後、得られた溶液をパラフィンオイル中に分散させる。これ以外の溶媒の組合せ、例えばヘキサフルオロアセトン/カーボンテトラクロライドなども報告されているが、毒性のある溶媒や大量のパラフィンオイルを使用するので、この方法の使用範囲は制限される。
【0015】
さらに、ポリマーマトリクス中に分散された状態で酵素のような水溶性物質を含有する微小球体を製造する方法として、アメリカ合衆国特許出願第3,691,090 号には、水と混和する有機溶媒またはほぼ混和する有機溶媒にポリマーを溶解したものの中に水溶性物質を分散させ、続いて、この有機相を、溶媒の可溶化を防いで相分離を可能にする無機塩を含有した水相に分散させるという方法が提案されている。
【0016】
アメリカ合衆国特許出願第3,737,337 号には水溶性または水に不溶な物質を、20℃で水に15重量%まで溶解する有機溶媒の溶液中に分散させ、続いて、この有機相を、最初の瞬間に溶媒が可溶化するのを防ぐために有機溶媒または塩で飽和させた水相中に分散させ、続いて、徐々に水を添加して次第に有機相から水相への溶媒の分配を誘起させる方法が提案されている。
【0017】
また、PCT特許第WO91/12882 号には、水溶性ペプチドのカプセル化に関する従来法が適切にまとめられており、溶媒蒸発法はこれまでは水溶性ペプチドに対しては不適当なものと見なされており、コアセルベーション法が最も適していると認識されている。
このPCT特許出願では、必要に応じて水を添加してジクロロメタンのような通常の溶媒と共に使用する第3の溶媒に水溶性ペプチドを可溶化するという新規な経路を選択することによって、溶媒蒸発法またはエマルジョン/蒸発法を適用する方法が提案されている。第3の溶媒は水と混和性がある。有機相を水相に分散させると、ジクロロメタンが蒸発し、同時に第3の溶媒が水相へと移行する。こょ方法は、サルモンカルシトニン、TPA(Tissue Plasminogen Activator) およびインスリン等のいくつかのペプチド物質の場合にはカプセル化収率を90%以上にすることができるが、LHRHホルモンのカプセル化収率は75%程度である。この結果は、第3の溶媒中に無視できない量のLHRHホルモンが分配してしまうことを示している。
この方法のもう1つの大きな欠点は抽出し難い溶媒を大量に使用するため、残留溶媒の量が微小球体の重量の1.5 %にも達することがあるという点にある。さらに、特にジクロロメタンを使用した場合には、第3の溶媒、例えばエタノールを水相に対して20体積%程度添加しなければならない。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、少量の溶媒を用いた溶媒残留の少ない、LHRHホルモンおよびその類似体を十分な収率、特に80%以上、好ましくは90%以上の収率でカプセル化することが可能な微小球体の簡単な製造方法を提供することにある。
本発明の別の目的は、対象物に注射した場合やin vitroで生理緩衝液中に置いた場合に、LHRHおよびその類似体を数日から約1年の期間に渡って徐々に放出する微小球体を製造する方法を提案することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明は、に不溶ポリマーまたはコポリマーのマトリクス中にLHRHホルモンまたはその類似体が分散されたLHRHホルモンまたはその類似体が除々に放出される徐放性微小球体の製造方法において、
水に対してわずかに混和性がある有機溶媒を用いて有機相を作り、この有機相中に上記ポリマーまたはコポリマーを溶解させ且つ上記ホルモンまたはその類縁体を固体粉末状態で懸濁させ、得られた有機相を水性連続相に懸濁させ、次いで、有機溶媒を蒸発させ、生成した微小球体を回収することを特徴とする方法を提供する。
有機相は、LHRHホルモンまたはその類縁体を簡単な攪拌操作で固体粉末状態で均一に懸濁させることができる、分散溶媒として用いられる、別の有機溶媒をさらに含むことができる。
【0020】
【作用】
水とわずかに混和性のある溶媒がホルモンの分配を減少させる点は特に重要である。この効果はこの溶媒が漏出によってマトリクスの表面硬化が開始されるためと思われる
LHRHホルモン(黄体形成ホルモン放出ホルモン、ゴナドトロプシン放出ホルモンGnRHとも称される)は、ヒトまたは動物由来の天然または合成ホルモンを意味する。LHRH類似体とは、LHRHの断片、LHRHの作動物質および拮抗物質およびそれらの塩を意味するものと理解される。請求項およびそれに対応する本明細書の記載の各部において一般的にホルモン(またはLHRHホルモン)といった場合には、当然上記に定義のようにホルモンそのものを意味するのみならず、その類似体をも意味するものと理解されたい。
【0021】
本発明の極めて有利な点は、水溶性のペプチドをカプセル化するための従来方法に比べて、本発明方法では溶媒の使用量が少ない点にある。そのため、一般に使用される強力な攪拌技術を用いずにホルモンおよびその類似体を良好な状態で分散させることができ、さらに、例えばゼラチン、シリコンオイル、有機塩または無機塩等の微小球体中にある程度存在する可能性のある添加物質の量が少なくなると同時に、誤って微小球体に含まれる成分または操作から生じる残留物としての好ましくない有毒有機溶媒、例えばヘプタン等の量が減る。
有機相の粘性も重要な指標であり、0.01Pa.s〜10Pa.sの間、好ましくは0.01〜1Pa.s、さらには約0.04Pa.s以上にするのが好ましい。
【0022】
本発明の第1実施例では、マトリクスを形成させようとする材料を分散溶媒に溶解し、続いて、この分散溶媒に攪拌しながらホルモンを分散させ、分散溶媒を部分的または完全に、好ましくは完全に蒸発させ、残留物を第2の溶媒に取り、得られた有機相を水相に懸濁する。
【0023】
本発明の第2実施例では、先ず最初にホルモンを分散溶媒に分散し、一方、マトリクスを形成させようとする材料を第2の溶媒に溶解し、続いて、得られた2つの相を混合して有機相を作り、この有機相を水相中に懸濁させる。
分散溶媒は、テトラヒドロフラン(THF)、アセトン、ジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、メチルエチルケトン、ピリジン、ベンジルアルコール、アセニトリル、酢酸エチル、ジオキサン、これらの混合物等の溶媒またはクロロフルオロカーボン溶媒中から選択するのが好ましい。第2の溶媒はジクロロメタンまたはクロロホルムにするのが好ましい。
好ましいのは、単一の溶媒を用いて本発明方法を実施することである。この場合には、予めポリマーを溶解した溶媒にホルモンを分散させるのが簡単である。第2実施例をジクロロメタンのような単一の溶媒で行うこともできる。
市販のジクロロメタンは通常エタノールで安定化されている(例えばSDS合成用の純粋ジクロロメタンには0.3 %のエタノール)。本発明では安定化されたジクロロメタンまたは安定化されていないジクロロメタンのいずれをも使用できる。
【0024】
マトリクスを形成させようとする材料としては、ポリ(ラクチド−グリコライド)、ポリラクチド、ポリ乳酸、ポリ(乳酸−グリコール酸)、ポリカプロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリヒドロキシブチレート、ポリ(ヒドロキシブチレート−バレレート)およびこれらポリマーの混合物を使用するのが好ましい。特に乳酸とグリコール酸から合成されるポリマーまたはラクチドおよびグリコライド環状ダイマーから合成させるポリマーの分解生成物は無毒であり、体内で代謝される。これらポリマーの分解速度が活性物質の放出速度の調節を可能にする因子であり、放出速度は数日から約1年までの範囲で変化する。
【0025】
分散溶媒は減圧下で蒸発させるのが好ましく、完全に蒸発させるのが有利である。第2の溶媒を加えた後、有機相を攪拌されている水相へ一定の速度で注入する。この水相は分散安定剤、例えばポリビニルアルコール(PVA)(特に5%未満、特に0.5 〜2%の割合)、ゼラチンまたは表面活性剤“Tween 80”を含有するのが好ましい。水相に懸濁した微小球体に含有される有機溶媒は、攪拌されている水相中に圧縮空気を循環させる(エアーバブリング)ことによって次第に蒸発させるのが好ましい。水相に数滴の消泡剤、例えばシリコンエマルジョンなどを添加して圧縮空気のバブリングによる発泡を抑制するのが有効である。
【0026】
溶媒蒸発後に、生成した微小球体を濾過で回収し、脱塩水で洗浄し、必要な場合には非溶媒、例えばトリクロロ−トリフルオロ−エタン、ヘプタンまたは石油エーテルで洗浄すると、非常に流動し易い粉末、特に粒径が250 μm未満の粉末が得られる。
【0027】
本発明方法では少量の有機溶媒を使用してLHRHホルモンまたはその類似体を高収率でカプセル化することができる。
本発明方法では、粉末が凝集せずに均一に分散した微小球体が形成するまで、物質の初期の粉末状態が維持され、それとともに、最初は第2の溶媒を別にしておくことによって、物質が水相に可溶化して起こるであろう損失を大幅に抑えることができる。
水相の温度を約0℃〜30℃、特に10℃〜25℃に調節することによってカプセル化の収率をさらに大きく向上させることもできる。
本発明方法は、LHRHホルモンおよびその類似体を高収率でカプセル化することを可能にする初めての溶媒蒸発法である。
本発明方法で得られる微小球体は特にホルモンが初期の微粉末状態を保って非常に均一に分散している点で特筆に値する。また、本発明方法では粒子の凝集を防ぐことができる。さらに、既に述べたように、本発明方法で生成する微小球体には好ましくない残留物質が少ない。最後に、本発明方法では、放出の継続時間および粒径の両方を広範囲に変えたLHRHホルモンまたはその類似体を内包した微小球体が得られる。放出の継続時間は数日から約1年にすることができ、粒径は50〜60ミクロンとすることができる。この粒径は水溶性のペプチドを固体の状態にカプセル化する従来法、例えばコアセルベーションなどでは製造できないものである。
【0028】
従って、本発明方法で得られる微小球体も本発明の対象である。この微小球体の粒径は1〜250 ミクロン、特に50〜60にすることができる。
本発明の他の対象は、微小球体を構成するマトリクスが少なくとも2種類のポリマーまたはコポリマーを含み、好ましくは2または3種類のポリマーまたはコポリマーを含み、各ポリマーまたはコポリマーは互いに異なった種類にするか、好ましくは同じ種類で異なった特性(例えばモノマーユニットの構成比またはモノマーユニットの分子量などが異なる)を1つ以上有する点を特徴とする本発明方法で得られる微小球体にある。本発明のこの微小球体は6か月を越えるような長期にわたって連続的に放出するように放出速度を変えることができる。この微小球体のその他の利点は、例えば最終混合物の多分散度指数が小さくなることと、活性成分の初期の放出を大幅に減少(特に5〜10%未満、さらにはゼロまで)させて、活性成分を連続的に放出できる点にある。
【0029】
マトリクスは2種類のポリ(DL−ラクチド−グリコライド)ポリマーの混合物で構成されているのが好ましく、それらの比は40−60から100 −0までの範囲で変えることができる。例えばポリ(DL−ラクチド−クリコライド)75−25とポリ(DL−ラクチド−クリコライド)50−50とのそれぞれ 360 mg および40mgで構成されるマトリクスでは20日から約 180日間に連続に放出する。各ポリマーまたはコポリマーのそれぞれの量ももちろん変更可能な因子である。
本発明の他の対象は、本発明方法で得られるマトリクスの組成の異なるの2種類以上の微小球体を含む製剤にある。この製剤は8か月またはそれ以上の長期および/または潜伏期(temps de latence)の短いまたはゼロの連続放出可能な製剤である。マトリクスは異なった種類であるか、同じ種類で構成モノマーユニットの比率および/または分子量が異なるようなものにすることができる。わずか2種類の微小球体を用いてin vitroおよびin vivo で8か月以上におよぶLHRHの放出が達成されることは特筆に値する。特に2種類の微小球体によって、投与日から8か月を越える金貨の間、ほぼ連続的にゼロオーダーに近い放出曲線を示す長期の放出を行うことができる。
【0030】
以下、ペプチド[D−Trp6]−LHRHを内包した微小球体を製造するための本発明方法の実施例を説明し、添付の図を用いてこのペプチドの放出速度を具体的に説明する。図の内容は図面の簡単な説明の項に記載されている。
【0031】
【実施例】
実施例1
製造方法およびカプセル化収率
カプセル化収率とは、操作開始時に使用した活性成分全体に対する実際にカプセル化された活性成分の量の比率を意味する。
1.微小球体の製造
ポリマーと活性成分とを含む有機相を以下のようにして予め調製する:
固有粘度が0.59dl/gであるポリ(DL−ラクチド−グリコライド)75−25の400 mgを 3.5gのテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。この有機溶液に凍結乾燥させた[D−Trp6]−LHRHホルモン(トリフルオロアセテート)39.6gを攪拌しながら徐々に添加する。減圧下に溶媒を完全に蒸発させ、得られた固形分を2.4 gのジクロロメタンに攪拌しながら溶解させ、得られた[D−Trp6]−LHRHホルモン懸濁液を1%のポリビニルアルコール(PVA 8/88 )を含む温度19℃の脱塩水 500 ml に攪拌しながら注入する。注入完了直後に、消泡剤(シリコンエマルジョン)を3滴加える。続いて、攪拌を続けながら混合物中に圧縮空気をバブリングしてジクロロメタンを蒸発させる。溶媒蒸発後、減圧濾過して微小球体を回収し、脱塩水で洗浄して残留するPVAとシリコン消泡剤とを除去する。回収された微小球体中の水分を濾紙上で乾燥させ、1,1,2-トリクロロ−1,1,2-トリフルオロエタンで洗浄して残留する消泡剤を除去する。続いて、微小球体を回収し、+4℃で保存する。こうして得られる微小球体は8.1 %の[D−Trp6]−LHRHを含有する(理論値9%)。
【0032】
2.カプセル化収率
上記実施例は、連続相への溶解度が45mg/mlである10個のアミノ酸のペプチドホルモン塩に関するもので、このペプチドは水に対する溶解性が高いにも係わらず、高いカプセル化収率が得られる。
重要なパラメータはポリマー、ペプチド分散相および溶媒で構成される有機相の粘度である。このポリマー/ジクロロメタン溶液の粘度をオストワルドタイプの粘度計を用いて温度19℃で測定し、続いて、ジクロロメタンの量を変えて、従って有機相の粘度を変えて、実施例1に従ってカプセル化試験を行った。この場合、粘度とカプセル化収率との間には直線関係が見出された。
【0033】
【表1】
Figure 0003761591
【0034】
カプセル化収率は製造された微小球体からホルモンを抽出し、HPLC分析して決定した。
高ペプタイド負荷物(15%)でも90%の収率が得られ、負荷はポリマー+ペプチドの合計量に対するペプチドの重量で定義される。
収率が最大となる条件で(粘度>0.04 Pa.s )製造された微小球体は粒径が<250 μmで、適当な水性ベヒクルに懸濁して注射することができる。
水性連続相の温度を低くすることによって、さらにカプセル化の収率を向上させることができる。すなわち、実施例1で用いた粘度0.04 Pa.s の混合物を温度13℃の水相に注入すると、収率は90%から94%へと上昇する。
【0035】
小さい粒径のペプチド分散を形成するためには、ホルモンが可溶化せずに分散状態を維持するようなその他の溶媒または混合溶媒を使用することもできる。例えばクロロホルム、アセトン、酢酸エチルなどである。単体または混合物として使用されるこれらの溶媒の特性は、ペプチドが緩やかな攪拌によってその中に分散し、粒径数ミクロンの粒子が得られるいう事実であり、使用するポリマーがその中に可溶であるということにある。
【0036】
実施例2
予め溶媒を蒸発させる操作をせずに有機相/水相分散を行えるならば、以下のようにして操作を単純化することができる。
実施例1で用いたポリ(DL−ラクチド−グリコライド)75−25の1gを 5.2gのジクロロメタン(0.3 %のエタノールを含む市販品SDS)に溶解する。凍結乾燥させた[D−Trp6]−LHRH 98.9mg を0.53gのジクロロメタン(0.3 %エタノール)に分散させる。続いて、ペプチド分散液を攪拌しながらポリマー溶液と混合し、この混合物を1%のPVA 8/88 を含む脱塩水(19℃)500 mlに攪拌しながら注入する。残りの操作は実施例1と同じにする。
カプセル化収率は86%。
【0037】
同様の方法で、緩やかに攪拌しながらポリマー−ジクロロメタン溶液にペプチドを直接分散させ、その後は実施例2に従って操作する。
上記と類似の方法で、凍結乾燥させた[D−Trp6, desGly 10, NH2]−LHRHエチルアミドを緩やかに攪拌しながらポリマー溶液とジクロロメタン中に分散させる。同様にペプチドの水相への分配は低く抑えられ、ほぼ類似の結果が得られる。
ペプチド分散用の溶媒の組合せによっては、そのまま有機相を水相に分散させる次の段階で使用可能なものもある(ジクロロメタン/クロロホルム混合物)。分散用の溶媒が水と混和しないか混和性に乏しいものである場合には(クロロホルムなど)、実施例1の分散用の溶媒を蒸発させる操作を行わずに済む。
分散溶媒へのペプチドとポリマーの混合の順序は交換可能で、交換しても本発明の範囲を逸脱するものではない。
【0038】
実施例3
ポリ(DL−ラクチド−グリコライド) 65 35 を用いた微小球体の製造
固有粘度0.69dl/gを示す2gのポリ(DL−ラクチド−グリコライド)65−35を 8.9gのTHFに溶解する。この溶液に凍結乾燥させた[D−Trp6]−LHRH 198 mg を攪拌しながら添加する。攪拌しながら減圧下に溶媒を蒸発させ、乾燥した残留物を11.8gのジクロロメタンに攪拌しながら溶解させる。得られた懸濁液を1%のポリビニルアルコール(PVA 8/88 )を含む温度20℃の脱塩水500 mlに、機械的に攪拌しながら(700rpm) 注入する。残りの操作は実施例1と同様に行う。粒径が<250 μmの微小球体が易流動性の粉末状態で得られる。カプセル化の収率は86%である。
【0039】
実施例4
ポリ(DL−ラクチド−グリコライド) 75 25 を用いた微小球体の製造
作動物質[D− Trp 6 ]−LHRHの 80 から 240 日までの放出
実施例1で製造した[D−Trp6]−LHRHを 8.1%含有する微小球体を使用する。
50 mg の微小球体を pH7.2の等張性リン酸緩衝液5mlに温度37℃で浸漬する。経時的に上澄みを採取し、代わりに37℃の緩衝液5mlを加える。各試料をHPLCで分析し、[D−Trp6]−LHRHホルモンの放出量を時間の関数として決定する。
In vitroでの放出速度はin vivo でのそれと比較して類似性を示すことができる。放出の継続時間および放出曲線はin vitroとin vivo で一致する。
【0040】
ポリ(DL−ラクチド−グリコライド)75−25から製造された8.1 %の[D−Trp6]−LHRHを負荷した50mgの微小球体を用いて、以下のような放出速度が得られる(図1と2の比較)。
図1:ホルモンの放出は最初に全体のホルモン量の2%を占める小さなピークを示した後、in vitroでの放出は潜伏期に相当する80日付近まで小さく、その後は次第に放出量が増え、約20μg/日で 220日までほぼ一定となる。その後、放出が減少し、260 日後にはゼロとなる。
図2:in vitroで放出されたホルモンの累積量は、80日から240 日で放出がゼロオーダーに近くなる。
【0041】
実施例5
数種類の製剤の混合物からの[D− Trp 6 ]−LHRHホルモンの
8か月以上に渡る連続的放出
実施例1で製造した製剤と実施例3で製造した製剤とを混合すると、8ケ月以上に渡る[D−Trp6]−LHRHホルモンの連続的放出システムが得られる。
30%(各製剤中に内包されたペプチドの量をベースとして)のポリ(DL−ラクチド−グリコライド)65−35製剤と、70%のポリ(DL−ラクチド−グリコライド)75−25製剤との混合物に対して、実施例4と同一条件でin vitro 放出試験を行った結果、2つの製剤は相加性、結果的に補完性を示すことが分かった。すなわち、PLGA65−35製剤は0から85日の間にホルモンを放出し、続いて、PLGA75−25が80から240 日の間にホルモンを放出する(図3)。ホルモンの放出は 240日までゼロオーダーに近い速度で続く(図4)。
【0042】
実施例6
単一の製剤中の2種類のポリマーからの6か月以上に渡る
[D− Trp 6 ]−LHRHホルモンの連続放出
下記の異なった特性を有する2種類、さらには3種類のポリマーを同一の製剤中で混合して、長期に渡って(6か月あるいはそれ以上)ホルモンを連続的に放出させる。
(1) 2種類のポリマーは同じDL−ラクチド−グリコライド比を有するが、分子量が異なり、従って、最終的な混合物の多分散度指数が高い(例えば3.5 〜 30)
(2) 2種類のポリマーは異なったDL−ラクチド−グリコライド比を有し、それぞれのポリマーの分解速度が異なり、初期の潜伏期なしに、活性成分が連続的に放出できる。
【0043】
これらの種の混合物は以下の実施例で製造した。
ポリ(DL−ラクチド−グリコライド)75−25(固有粘度0.59dl/g) 360 mgとポリ(DL−ラクチド−グリコライド)50−50(固有粘度0.44dl/g)40mgとを、3.5 gのTHFに溶解する。凍結乾燥させた[D−Trp6]−LHRH(トリフルオロアセテート)16.7 mg を攪拌しながら添加する。続いて、攪拌下にこの溶媒を蒸発させ、乾燥残留物を 2.4gのジクロロメタンに溶解する。機械的に攪拌しながら(700rpm)得られた懸濁液を1%のポリビニルアルコールPVA 8/88 を含む温度20℃の脱塩水 500 ml に注入する。残りの操作は実施例1と同じにすると、粒径が≦250 μmの微小球体が易流動性の粉末状態で得られる。カプセル化の収率は 93 %である。
【0044】
In vitro での放出の速度
実施例6で製造した微小球体の50mgを、pH7.2 のリン酸緩衝液5mlに温度37℃で浸漬する。実施例4と同様の方法で経時的に上澄みを採取する。
潜伏期が明らかに短縮され(図5)、80日(実施例4との比較)から20日に変化している。この潜伏期の後は、20日から180 日までの期間、ホルモンが連続的に放出される。
従って、異なった特性を有するポリマを混合することにより、潜伏期を短くすることが可能となり、本実施例では、160 日以上に渡って活性成分を連続放出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ポリ(DL−ラクチド−グリコライド)(=PLGA)75−25の微小球体に内包される[D−Trp6]−LHRHのin vitroでの放出速度をμg/日で示したグラフ。
【図2】 ポリ(DL−ラクチド−グリコライド)(=PLGA)75−25の微小球体に内包される[D−Trp6]−LHRHのin vitroでの放出速度を累積パーセンテージで示したグラフ。
【図3】 PLGA65−35を含む微小球体30%と、PLGA75−25を含む微小球体70%との混合物を用いた場合の[D−Trp6]−LHRHのin vitroでの放出速度論をμg/日で示したグラフ。
【図4】 PLGA65−35を含む微小球体を30%と、PLGA75−25を含む微小球体70%との混合物を用いた場合の[D−Trp6]−LHRHのin vitroでの放出速度論を累積パーセンテージで示したグラフ。
【図5】 PLGA75−25とPLGA50−50の混合物を用いた場合の放出速度論をμg/日で示したグラフ。

Claims (48)

  1. 下記の(a)〜(e)の段階からなること特徴とする、水に可溶な黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)またはその類似体を含むポリマーによって形成され、このポリマーがポリ(ラクチド−グリコライド)、ポリラクチド、ポリ乳酸、ポリ(乳酸−グリコール酸)、ポリカプロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリヒドロキシブチレート、ポリ(ヒドロキシブチレート−バレレート)またはこれらの混合物である、水に可溶なLHRHまたはその類似体の徐放性微小球体の製造方法:
    (a)粉末状態の水に可溶なLHRHまたはその類似体と上記ポリマーを用意し、
    (b)水に対してわずかに混和性がある有機溶媒中に上記の水に可溶なLHRHまたはその類似体懸濁させ且つ上記ポリマーを溶解させ、この際、上記有機溶媒は一種または複数の有機溶媒からなり、
    (c)得られた有機相を水性連続相中に懸濁させ、
    (d)有機溶媒を蒸発させて上記ポリマーと上記の水に可溶なLHRHまたはその類似体とから成る、LHRHまたはその類似体を除々に放出する微小球体を形成し、
    (e)生成した微小球体を回収する。
  2. 上記有機溶媒がジクロロメタン、クロロホルムまたはこれらの混合物である請求項1に記載の方法:
  3. 水に可溶なLHRHまたはその類似体を下記の(a)と(b)の一対の有機溶媒中に分散させる請求項1または2に記載の方法:
    (a)水に可溶なLHRHまたはその類似体を攪拌のみで均一に懸濁させることができる分散溶媒である第1の溶媒、
    (b)上記有機相を水相中に微小懸濁させることができる溶媒である水に対してわずかに混和性がある第2の溶媒。
  4. 上記分散溶媒をテトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、アセトン、アセトニトリル、酢酸エチル、ジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、ピリジン、ベンジルアルコール、メチルエチルケトン、これらの混合物およびクロロフルオロカーボン溶媒の中から選択する請求項3に記載の方法。
  5. 上記分散溶媒中に上記ポリマーを溶解させ、次いで、水に可溶なLHRHまたはその類似体を懸濁にさせ、次に、分散溶媒の一部または全部を蒸発させ、その後、残留物を上記の第2の溶媒に入れ、得られた有機相を水相中に懸濁させる請求項3または4に記載の方法。
  6. 先ず最初に上記分散溶媒中に水に可溶なLHRHまたはその類似体を分散させ、一方、上記ポリマーを第2の溶媒に溶解させ、次に、得られた2つの相を混合して上記有機相を作り、これを水相中に懸濁させる請求項3または4に記載の方法。
  7. 第2の溶媒がジクロロメタンまたはクロロホルムである請求項3〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. ジクロロメタンに水に可溶なLHRHまたはその類似体を懸濁させ、その前またはその後に上記ポリマーを同じジクロロメタン溶媒に溶解させ、得られた有機相を水相中に懸濁させる請求項3に記載の方法。
  9. 有機相の粘度を0.01〜10Pa.sにする請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  10. 有機相の粘度を0.01〜1Pa.sにする請求項に記載の方法。
  11. 有機相の粘度を0.04 Pa.s以上にする請求項10に記載の方法。
  12. 水相の温度を0〜30℃に調節する請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 水相の温度を10〜20℃に調節する請求項12に記載の方法。
  14. 攪拌しながら水相中に圧縮空気を循環させて有機溶媒を蒸発させる請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 水相が分散安定剤を含む請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 水相に消泡剤を数滴添加する請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 消泡剤がシリコンエマルジョンである請求項16に記載の方法。
  18. 有機溶媒を蒸発させた後に、生成した微小球体を濾過で回収し、脱塩水で洗浄し、必要な場合には非溶媒でさらに洗浄する請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 水に可溶なLHRHまたはその類似物が凍結乾燥剤である請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
  20. 請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法で得られることを特徴とする微小球体。
  21. 上記ポリマーが少なくとも2種類のポリマーまたはコポリマーから成る請求項20に記載の微小球体。
  22. 上記ポリマーが2種類または3種類のポリマーまたはコポリマーから成る請求項21に記載の微小球体。
  23. ポリマーまたはコポリマーが同一種類のもので、構成モノマー単位の比および/または分子量が互いに異なっている請求項21または22に記載の微小球体。
  24. 上記ポリマー、比率が40〜60対100〜02種類のポリ(DL−ラクチド−グリコライド)ポリマーである請求項23に記載の微小球体。
  25. 粒径が1〜250ミクロンである請求項2024のいずれか一項に記載の微小球体。
  26. 粒径が50〜60ミクロンである請求項25に記載の微小球体。
  27. 上記ポリマーの組成が異なる少なくとも2種類の請求項1721のいずれか一項に記載の微小球体を含むことを特徴とする、水に可溶なLHRHまたはその類似体を一日から一年の間の長期に渡って放出させる、水に可溶なLHRHまたはその類似体を除々に放出する製剤。
  28. ポリマーの種類が異なるか、同じ種類であるが構成モノマ単位の比および/または分子量が異なるものである請求項27に記載の製剤。
  29. 2種類の微小球体を含む、6か月以上にわたって徐放する請求項27または28に記載の製剤。
  30. 有機溶媒中に水に可溶なLHRHまたはその類似体を懸濁させ且つこの有機溶媒中にポリマーまたはコポリマーを溶解し、得られた有機相を水性連続相に懸濁させ、有機溶媒を蒸発させ、生成した微小球体を回収することによって得られる、水に不溶なポリマーまたはコポリマー中水に可溶なLHRHおよびその類似体が懸濁された、水に可溶なLHRHおよびその類似体が除々に放出される徐放性微小球体の製造方法において、
    水に不溶なポリマーまたはコポリマーをポリ(ラクチド−グリコライド)、ポリラクチド、ポリ乳酸、ポリ(乳酸−グリコール酸)、ポリカプロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリヒドロキシブチレート、ポリ(ヒドロキシブチレート−バレレート)およびこれらの混合物の中から選択し、
    上記の有機溶媒として、簡単な攪拌操作で粉末状態の上記LHRHまたはその類似体を懸濁させ且つ上記ポリマーまたはコポリマーを溶解させることができる水に対してわずかに混和性がある一種または複数の有機溶媒を用い、
    水に対してわずかに混和性がある有機溶媒を用いることによって上記の微小球体が形成でき且つ水相中に溶けて水に可溶なLHRHまたはその類似体の分配または損失が減り、水に可溶なLHRHまたはその類似体の粉末状態での高いカプセル化収率が得られることを特徴とする方法。
  31. 有機溶媒が一対の有機溶媒から成り、その第1の有機溶媒は水に対してわずかに混和性があり且つポリマーまたはコポリマーを溶解させ、その第2の有機溶媒は水に可溶なLHRHまたはその類似体を粉末状態で均一に懸濁させる請求項30に記載の方法。
  32. 上記有機溶媒がジクロロメタン、クロロホルムまたはこれらの混合物である請求項30に記載の方法。
  33. 第2の有機溶媒をテトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、アセトン、アセトニトリル、酢酸エチル、ジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、ピリジン、ベンジルアルコール、メチルエチルケトン、これらの混合物およびクロロフルオロカーボン溶媒の中から選択する請求項31に記載の方法。
  34. 第1の有機溶媒がジクロロメタンまたはクロロホルムである請求項31または33に記載の方法。
  35. 先ず最初に水に可溶なLHRHまたはその類似体を第2の有機溶媒中に分散させ、一方、水に不溶なポリマーまたはコポリマーを第1の有機溶媒中に溶解させ、次いで、これら2つの相を混合して水相中に懸濁した有機相を得る請求項31、33または34に記載の方法。
  36. 有機相の粘度を0.01〜10Pa.sにする請求項33に記載の方法。
  37. 水相の温度を0〜30℃に調節する請求項3036のいずれか一項に記載の方法。
  38. 攪拌しながら水相中に圧縮空気を循環させて有機溶媒を蒸発させる請求項3037のいずれか一項に記載の方法。
  39. 水相に消泡剤を数滴添加する請求項30〜38のいずれか一項に記載の方法。
  40. 有機溶媒を蒸発させた後に、生成した微小球体を濾過で回収し、脱塩水で洗浄し、必要な場合には非溶媒でさらに洗浄する請求項30〜39のいずれか一項に記載の方法。
  41. 請求項30〜40のいずれか一項に記載の方法で得られることを特徴とする水に可溶なLHRHまたはその類似体を除々に放出する微小球体。
  42. ポリマーまたはコポリマーが少なくとも2種類のポリマーまたはコポリマーから成る請求項41に記載の微小球体。
  43. ポリマーまたはコポリマーが同一種類のもので、構成モノマー単位の比および/または分子量が互いに異なっている請求項42に記載の微小球体。
  44. ポリマーまたはコポリマーが2種類のポリ(DL−ラクチド−グリコライド)ポリマーである請求項43に記載の微小球体。
  45. 粒径が1〜250ミクロンである請求項44に記載の微小球体。
  46. ポリマーまたはコポリマーの組成が異なる少なくとも2種類の請求項41〜45のいずれか一項に記載の微小球体を含むことを特徴とする、水に可溶なLHRHまたはその類似体を長期に渡って放出するか、および/または、短期に放出する、水に可溶なLHRHまたはその類似体を除々に放出する製剤。
  47. ポリマーまたはコポリマーの種類が異なるか、同じ種類であるが構成モノマ単位の比および/または分子量が異なるものである請求項46に記載の製剤。
  48. 6か月以上にわたって徐放する請求項47に記載の製剤。
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