JP3760651B2 - シート搬送装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は多数枚のシートから一枚ずつ分離して搬送する分離搬送装置に関し、特に、複写装置やスキャナやファクシミリにおいて使用される自動原稿搬送装置のシート搬送装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
多数枚載置されたシートの堆積から一枚ずつ分離して搬送する分離搬送方式としては種々のものがあるが、複写装置、プリンタ等の分野では、回転する搬送ローラに対して、静止するか又は該搬送ローラの搬送方向と反対の方向に移動する捌き手段による捌き作用でシートを一枚ずつ分離し、搬送する方式が一般的である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
複写装置やプリンタにおいて、多く使用されている前記のような分離搬送方式は広く使用されており、該分離搬送方式を使用した高性能のシート搬送装置が実現されている。
【0004】
しかしながら、様々な紙質のシートが取り扱われる自動原稿搬送装置においては、次のような問題があることが判明した。
【0005】
捌き手段は回転する搬送ローラに対して、静止あるいは逆方向に回転して、搬送ローラと、搬送されるシートと、捌き手段との間に生ずる摩擦作用によって、シートを一枚に分離する分離作用を生ずるものであるが、この摩擦作用によって振動が発生し、騒音が発生することがあるという実験結果が得られた。
【0006】
このような騒音は、捌き手段として、搬送ローラと反対方向に回転するトルクリミッター付ローラを用い、A3サイズのような比較的長い原稿を搬送する場合に、特に発生しやすかった。
【0007】
従って、本発明の目的は、多数枚のシートから一枚を分離して搬送するシート搬送装置における前記のような問題を解決することにあり、前記のシート搬送装置における騒音の発生を防止することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記の本発明の目的は、
多数枚のシートが載置されるシート供給台から送り出されたシートを一枚ずつに分離して搬送するシート搬送装置において、
回動によりシートを搬送する搬送手段、
該搬送手段に対向して設けられ、捌きローラ及び該捌きローラを支持する可動枠体を有する捌き手段、
該捌き手段を前記搬送手段に押圧する付勢手段及び
前記可動枠体に接触する制動部材を有し、前記搬送手段の回転と、前記付勢手段の付勢力により生ずる前記捌き手段の振動を制動する制動手段
を備えたことを特徴とするシート搬送装置、
によって達成される。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態にかかるシート搬送装置が組み込まれた自動原稿搬送装置を説明する。
【0010】
図1は、複写装置本体1に自動原稿搬送装置2を装着した複写装置の部分断面図である。
【0011】
自動原稿搬送装置2は複写装置本体1の上に設けられており、自動原稿搬送装置2の側方には、例えば原稿等の複数枚のシート原稿Pを載置する原稿供給台21を設け、原稿供給台21に載置したシート原稿Pの給紙方向前方位置に弾性部材S1で押し上げられるシート押上部材22を配置する。
【0012】
このシート押上部材22と対峙した位置に給紙ローラ24が設けられている。なお、前記シート押上部材22は、シート原稿Pの非載置時には図示しない押下機構で弾性部材S1に抗して押し下げられており、原稿供給台21にシート原稿Pの載置を可能にしている。
【0013】
原稿供給台21の複数枚のシート原稿Pのうち、給紙ローラ24に接しているシート原稿Pが給紙されるが、給紙ローラ24の下流側には確実に1枚のみのシート原稿Pを給送するためのシート捌き部2Aが設けられている。このシート捌き部2Aの構成では、自動原稿搬送装置2の一部に支持板28を固定し、その支持板28の一部に芯軸29を設け、芯軸29に可動枠体27を可動自在に設けるとともに、この可動枠体27に設けた軸264を介して捌きローラ26が回動可能に設けられている。この捌きローラ26と対向して搬送ローラ25を自動原稿搬送装置2に設け、前記捌きローラ26と、搬送ローラ25とが一定の接触圧で接触するように可動枠体27と支持板28に設けた補助支持板281間に弾性部材S2が設けられている。
【0014】
更に、支持板28の一部にスポンジ等の発泡弾性体、又は、ゴム等の制動部材30が可動枠体27の端部が対峙する位置に設けられている。又、補助支持板281の一部には、シート押上部材22の給紙前方位置に配置され、積層したシート原稿Pの下方部分の移動を阻止するためのシート阻止部材282が一体に設けられている。
【0015】
以上のように説明したシート捌き部2Aの下流側にレジストローラ31、32が一対で設けられている。
【0016】
以上のように構成された自動原稿搬送装置2より複写装置本体1の上部に固定部材10A、10Bで固定されて設けられた透明板よりなる露光部10にシート原稿Pを供給する。この露光部10の上部位置の自動原稿搬送装置2には、ベルト懸架部材33、34が回転可能に設けられ、このベルト懸架部材33、34に搬送ベルト35が懸架されている。更に、露光部10の面に対して搬送ベルト35が均一な押圧力で接触するように押圧板37が設けられている。又、搬送ベルト35の張力を一定にするように、張ローラ36が設けられている。
【0017】
一方、露光部10の下部には、シート原稿Pを露光するため、露光ランプ11と反射ミラー12が一体に設けられ、この露光ランプ11と反射ミラー12と、V型に形成した反射ミラー13、及び、レンズ14と反射ミラー15で露光し、図示しないが、電荷を付与された感光体ドラムを露光する。
【0018】
自動原稿搬送装置2の上部には露光を完了したシート原稿Pを排紙する排紙部40が形成されており、前記露光部10での露光を完了したシート原稿Pを排紙部40に確実に案内するため、先端を露光部10に接触させ他端を自動原稿搬送装置2に固定したシート案内部材38と、シート反転案内部材39により排紙部40にシート原稿Pを排紙するように構成する。
【0019】
次に、自動原稿搬送装置2に設けられたシート捌き部2Aの構成を詳細に説明する。
【0020】
図2はシート捌き部2Aの平面図であり、図3はシート捌き部2Aの斜視図である。
【0021】
図2、及び図3に示すように自動原稿搬送装置2に設けた支持板28に、軸受部材291、292を固定して設け、この軸受部材291、292に芯軸29の両端を支持して設けると共に、この芯軸29に可動枠体27の両端に形成した支持部271、272を回動自在に支持する。更に、可動枠体27の支持部271、272の他端には軸264の両端が固定して設けられている。この軸264には、図2、図3に示すように歯車G1と一体に設けられ、摩擦部材を内蔵したトルクリミッター263と、このトルクリミッター263を介して回転する補助案内ローラ261、262、及び、捌きローラ26が一体で回転するように設けられている。そして、支持部271の内側で前記芯軸29に歯車G3を固定し、中間歯車G2を介して前記歯車G1と結合する。
【0022】
一方、可動枠体27の略中心位置と、補助支持板281との一部に弾性部材S2が設けられており、捌きローラ26と搬送ローラ25とが適切な接触力で接触するように構成する。
【0023】
このように捌きローラ26を有する可動枠体27の支持部271の外側には、支持板28に固定した取付部材30Aを設け、取付部材30Aに支持部271の外面と接触するように、スポンジ等の発泡弾性体、又は、ゴム等の制動部材30を固定して設ける。
【0024】
対向する面が反対方向に移動するように駆動される搬送ローラ25と、捌きローラ26の捌き作用によって、シート原稿Pは一枚に分離され、搬送されるが、搬送ローラ25と捌きローラ26とシート原稿Pの間の摩擦によって、シート捌き部2Aに振動が発生して、騒音を発することがある。制動部材30で可動枠体27の運動を制動することによって、このような騒音の発生は有効に防止される。なお、制動部材30を支持部272側にも設けて制動効果を更に増すことも可能である。
【0025】
制動部材30として、前記のスポンジ等の発泡弾性体又はゴムに代えて、可動枠体27を、例えば、軸受け部材291、292のような固定部材に押しつける板バネ又はコイルバネ等を用いることもできる。更に、可動枠体27に取り付けられた捌きローラ26は回転しない静止した部材で構成することもできる。芯軸29は結合子293、294により駆動源(図示せず)で駆動される。
【0026】
次に、自動原稿搬送装置2よりシート原稿Pを給紙する動作を説明する。
【0027】
図1において、原稿供給台21に複数枚のシート原稿Pを供給する。その際、シート押上部材22は弾性部材S1に抗して押下機構で押し下げられており、円滑にシート原稿Pを供給することが可能となっている。原稿供給台21にシート原稿Pの供給が完了すると、検知機構(図示せず)により検知され、シート押上部材22が解除されて弾性部材S1により押し上げられ、最上部のシート原稿Pが給紙ローラ24に接触して給紙が可能となる。
【0028】
次に、複写装置本体1の始動ボタン(図示せず)を押すことにより、給紙ローラ24が矢印方向に回転し、給紙ローラ24と接触したシート原稿Pが給紙される。ここで下部にあるシート原稿Pも接触して同時に給紙されるが、シート阻止部材282で阻止され、上部数枚のシート原稿Pのみが給紙される。
【0029】
次に、給紙された数枚のシート原稿Pは、シート捌き部2Aに送られ、シート捌き部2Aに設けた搬送ローラ25と、捌きローラ26との接触部に給紙される。搬送ローラ25は給紙方向に回転してシート原稿Pを搬送するが、一方、捌きローラ26は、図3に示すように矢印方向に回転される芯軸29より伝達される歯車G3と中間歯車G2、更に、歯車G1とに回転伝達され、歯車G1と共に回転するトルクリミッター263で矢印方向に回転されている。即ち、捌きローラ26と、搬送ローラ25との相対向する面は反対方向に移動するように駆動され、捌きローラ26に対して搬送ローラ25から一定値以上の回転力が作用すると、捌きローラ26の捌き面は搬送ローラ25の対向する面と同方向に移動する。
【0030】
従って、最上部のシート原稿Pが搬送ローラ25で給紙されるが、下部のシート原稿Pは捌きローラ26で阻止されて給紙されない。このようにしてダブル給紙が防止され、一枚のみのシート原稿Pが搬送ローラ25でレジストローラ31、32に搬送される。尚、確実にシート原稿Pを分離して一枚のシート原稿Pを搬送するようにするため、捌きローラ26の表面は摩擦抵抗のあるゴム等で形成されている。
【0031】
以上のようにシート原稿Pが搬送され、レジストローラ31、32にシート原稿Pの先端が突き当たり、露光部10にシート原稿Pが存在しないことが確認されると、レジストローラ31、32が回転して露光部10にシート原稿Pが搬送され、同時に搬送ベルト35も搬送方向に移動を開始してシート原稿Pを露光部10に送る。
【0032】
このようにして搬送ローラ25、レジストローラ31、32、及び搬送ベルト35でシート原稿Pが露光部10に搬送されるが、少なくともシート原稿Pの後端が搬送ローラ25を通過するまではシート原稿Pの重送を防止するため捌きローラ26は逆転動作を続行している。
【0033】
また、搬送ローラ25と、捌きローラ26との接触圧は、弾性部材S2の弾性力で決定されるが、接触圧を強くするとシート原稿Pが搬送ローラ25により円滑に搬送できなくなるため荷重を450g前後で行っている。このような荷重でシート原稿Pの搬送を行っている際、例えばB4サイズ以上の大きなサイズのシート原稿Pを長辺方向に搬送すると、搬送作用が働く距離が長くなり、特にシート原稿Pの後方部分が捌きローラ26を通過するときに、シート原稿Pと接触する捌きローラ26に対する抵抗が大きくなって、捌きローラ26が僅かに振動する。この振動音は、機器に対して共振現象を起こして拡大し、大きな騒音(びびり音)を発生することがあるが、図2、図3に示すように、捌きローラ26を設けた可動枠体27の支持部271の外側面と接触するように設けた制動部材30で振動が阻止されているので、騒音の発生が効果的に防止される。
【0034】
なお、図示されてはいないが、制動部材30に代えて、スポンジ等の発泡性弾性体やゴム又は軟質樹脂管等を弾性部材S2と可動枠体27に接するように介在させてもよい。
【0035】
露光部10に対して搬送が完了したシート原稿Pは一旦搬送ベルト35で逆送され、固定部材10Aに突き当てて位置決めされる。次に、露光ランプ11と反射ミラー12を移動させながら露光し、露光ランプ11と反射ミラー12の2分の1の速度で移動する反射ミラー13とレンズ14、及び、反射ミラー15により感光体ドラム等に露光する。
【0036】
露光が完了したシート原稿Pは、再び搬送ベルト35で排紙方向に移動し、シート案内部材38で露光部10より分離した後、シート反転案内部材39で反転搬送し、排紙部40にシート原稿Pを排紙する。
【0037】
以上説明したシート分離搬送装置は、自動原稿供給装置は勿論、複写装置や、プリンタ等の記録紙を給紙搬送する手段としても利用できる。
【0038】
請求項に記載した本発明と前記の実施の形態の構成部間の対応関係は次の通りである。但し、本発明は前記の実施の形態に限定されるものではなく、請求項に記載した範囲内で変更、変形が可能である。
【0039】
シート供給台・・・原稿供給台21
搬送手段・・・搬送ローラ25
捌き手段・・・捌きローラ26、可動枠体27
付勢手段・・・弾性部材S2
制動手段・・・制動部材30
トルクリミッター付回転体・・・捌きローラ26
可動支持手段・・・可動枠体27
静止部・・・取付部材30A
【0040】
【発明の効果】
搬送ローラに対して、付勢手段により押圧されている捌き部材の振動を防止する制動手段により、シートを分離搬送する際に発生する騒音が効果的に防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】複写装置本体に自動原稿搬送装置を装着した複写装置の部分断面図である。
【図2】図1に示した自動原稿搬送装置のシート捌き部2Aの平面図である。
【図3】図1に示した自動原稿搬送装置のシート捌き部2Aの斜視図である。
【符号の説明】
1 複写装置本体
2 自動原稿搬送装置
2A シート捌き部
10 露光部
21 原稿供給台
22 シート押上部材
24 給紙ローラ
25 搬送ローラ
26 捌きローラ
27 可動枠体
271、272 支持部
30 制動部材
31、32 レジストローラ
P シート原稿
S1、S2 弾性部材

Claims (5)

  1. 多数枚のシートが載置されるシート供給台から送り出されたシートを一枚ずつに分離して搬送するシート搬送装置において、
    回動によりシートを搬送する搬送手段、
    該搬送手段に対向して設けられ、捌きローラ及び該捌きローラを支持する可動枠体を有する捌き手段、
    該捌き手段を前記搬送手段に押圧する付勢手段及び
    前記可動枠体に接触する制動部材を有し、前記搬送手段の回転と、前記付勢手段の付勢力により生ずる前記捌き手段の振動を制動する制動手段
    を備えたことを特徴とするシート搬送装置。
  2. 前記捌き手段が、前記搬送手段の搬送方向に対して反対方向に移動する捌き面を持つトルクリミッター付回転体を有することを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
  3. 前記捌き手段が、前記トルクリミッター付回転体を支持し、前記付勢手段により付勢された回転可能な可動支持手段を有することを特徴とする請求項2に記載のシート搬送装置。
  4. 前記制動手段が、前記可動支持手段と、該可動支持手段を支持する静止部の間に設けられたことを特徴とする請求項3に記載のシート搬送装置。
  5. 前記制動手段が発泡弾性体で構成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
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