JP3760456B2 - 高周波焼入方法およびその装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、例えば内燃機関用のシリンダブロックのボア内面を高周波液中焼入れするような高周波焼入方法およびその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ワークの円筒内面を焼入れヘッドにより高周波液中焼入れする方法およびその装置としては、例えば、特開昭58−37117号公報に記載の構成がある。
すなわち冷却液としての冷却水を貯留した水槽を設け、この水槽を仕切板により冷却水の移動が可能なように左右に区画し、一方の区画部には高周波電源に導体を介して取付けた焼入れヘッドを配置し、この焼入れヘッドに対して受台に支持させたワークの円筒内面を位置させる一方、他方の区画部には槽外の昇降装置により駆動されるプランジャを配設して、このプランジャの下降により水槽の水位を上昇させて上述のワークを冷却水中に没して、冷却水中にて高周波焼入れを行なうものである。
この従来構成によれば、上述の焼入れヘッドに高周波電流を通電すると、被焼入物体としてのワークの円筒内面における表面部位に誘導高周波電流が流れて所定の焼入温度に急加熱され、焼入れヘッドへの高周波電流をしゃ断すると、ワークの加熱部が冷却水中にて急冷却されるので、熱ロスを僅少にしつつ焼入れを行なうことができる。
【0003】
ところで、ワークにおける焼入れすべき総面積が大きい場合には、この面積が大きい被焼入部位を一度に焼入れすると、加熱抵抗の増加により加熱速度がおそくなって、加熱に時間がかかるのみならず、誘導加熱コイルを有する焼入れヘッドの製作費がコスト高となるので、このように焼入れすべき総面積が大きい場合には所定量のみ順次焼入れ処理する方法がとられている。
そこで、冷却液中において焼入れヘッドを所定間隔置きに移動させてワークに順次高周波焼入れを行なう場合、単なる冷却液中での焼入れ処理では今回焼入れした箇所の熱が液中およびワーク内を介して次回の焼入れ箇所に伝達され、この熱影響により焼入れ毎の各焼入れパターンの均一化を図ることが困難で、焼入れ箇所によって焼入れ品質、ワークの表面硬度にばらつきが生ずる問題点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この発明はワークおよび液中の熱を冷却液送給方向にそって焼入れ順序方向と逆方向へ逃がすことができ、今回の焼入箇所で発生する熱が次回の焼入箇所に伝わりにくくなり、焼入毎の各焼入れパターンの均一化が達成できて、焼入れ品質の安定化を図ることができ、また均一な焼入れパターンの形成によりワークの偏摩耗等を防止することができる高周波焼入の提供を目的とする。
また、ワークの円筒内面に均一な焼入れパターンを形成することができる高周波焼入の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明の1つの特徴によれば、冷却液中において焼入れヘッドを所定間隔置きに移動させてワークに順次高周波焼入れする高周波焼入方法であって、
上記焼入れヘッドを断面円形状の孔を有するワークの前記孔の内面の一端部から他端部に向かって移動させて順次焼入れするとともに、
上記ワークの加熱部位を冷却する冷却液を上記ワークの前記孔の内面に沿うように上記他端部から一端部に向かって送給することを特徴とする高周波焼入方法である。
この場合、上記冷却液がワークの前記孔の内面に沿うように環状傾斜面に形成された複数の冷却液噴出口から冷却液を噴出させるのが好ましい。
この発明の別の特徴によれば、冷却液中において焼入れヘッドを所定間隔置きに移動させてワークに順次高周波焼入れする高周波焼入装置であって、
上記焼入れヘッドを断面円形状の孔を有するワークの内面の一端部から他端部に向かって移動させて順次焼入れするヘッド移動手段と、
上記ワークの加熱部位を冷却する冷却液を上記ワークの前記孔の内面に沿うように上記他端部から一端部に向かって送給する冷却液送給手段とを備えた高周波焼入装置が提供される。
この場合、上記冷却液送給手段は頂面外周部に環状傾斜面を有する円筒状に形成されると共に、該環状傾斜面には噴出される冷却液を上記ワークの前記孔の内面に沿わせる複数の冷却液噴出口が形成されることが好ましい。
【0009】
【発明の作用及び効果】
この発明によれば、ワークおよび液中の熱を冷却液送給方向にそって焼入順序方向と逆方向へ逃がすことができ、この結果、今回の焼入箇所で発生する熱が次回の焼入箇所に伝わりにくくなり、焼入毎の各焼入れパターンの均一化が達成出来て、焼入れ品質の安定化および焼入れによる表面硬度のばらつきの防止を図ることができ、また均一な焼入れパターンの形成によりワークの偏摩耗等を防止することができる効果がある。
また、ワークの円筒内面に均一な焼入れパターンを形成することができる効果がある。
【0011】
さらに、ワークの内壁面に沿う冷却液の複数の噴出流が形成されるので、ワークの加熱部位に対する冷却効果の向上と、今回の焼入箇所で発生した熱が次回の焼入箇所に伝わるのを防止する伝熱防止効果の向上との両立を図ることができる効果がある。
【0012】
【本発明の実施の形態】
上記のように、本発明の基本的な特徴は焼入を行うべき焼入面を有するワークおよび焼入を行うための誘導コイルを有する焼入ヘッドともに液中に配置し、液中において高周波誘導加熱によって上記ワークの焼入面に部分焼入を行い焼入部が明瞭な境界をもって非焼入部と区別できる独立分散状態の焼入パターンをワーク上に形成することにある。
本発明は、シリンダブロックのシリンダボア内面に所望の焼入パターンを形成する場合などに好適に応用することができる。
本発明の実施において使用される焼入ヘッドは、誘導加熱コイルを備えており所定の周波数、電圧、電流による電力の供給を受けてワークの焼入面を誘導加熱によって焼入温度以上に加熱する。本発明において、たとえば、特開平7−272845号公報に開示されるようなリング状の1ターンコイルが誘導加熱コイルとして好適に使用することができる。この1ターンコイルの発生する磁界はその周方向において一様ではなく、所定の角度間隔で規則的に強い磁界が発生する。このために、ワークの焼入面においては周方向において所定間隔をもって焼入温度以上に加熱されることになる。すなわち、周方向に独立分離した焼入部が発生することとなる。
【0013】
本発明にかかる環状焼入ヘッドの一回の焼入工程において形成される焼入部は焼入面上において円周方向に独立した焼入部が全周にわたって一列に整列した焼入パターンとして形成される。この場合、環状焼入ヘッドの中心軸方向の幅は、ワークの焼入面の同方向の長さより小さくなっているのが普通であり、したがって、ワーク焼入面の全体にわたって焼入部を形成するためには、焼入ヘッドを中心軸方向に移動させて、複数回の焼入操作を行う必要がある。
軸方向に焼入ヘッドを移動させる場合に、焼入ヘッドを上記円周方向に隔置した焼入部の間隔の半分の角度だけ回転させると、焼入部の位置がその軸方向に関してその両側の焼入部の中間の角度位置になるような環状の焼入パターンが形成される。この結果焼入面全体として形成される焼入パターンは、円周方向かつ軸方向に独立した焼入部が分散形成されたパターンとなる。
本発明においては、焼入ヘッドおよびワークの両方が液中の没した状態で焼入工程を行うようになっている。
このように液中高周波誘導加熱を行うことによって、焼入をすべき領域は確実に焼入温度以上にすることができるとともに、それ以外の領域は液と接触状態にあることから焼入部の熱が焼入面の周囲の領域に対する熱影響を効果的に防止することができる。すなわち、焼入部と非焼入部との境界領域を少なくして両者を明瞭に区分することができるので、面積、形状、レイアウト等に関して所望のの焼入パターンを形成することができる。この結果、焼入パターンを有する全体表面の耐磨耗性および潤滑性の両方を有効に改善することができるものである。さらに、このように焼入部以外の領域への熱的影響を極力少なくすることができるので、本発明の液中部分焼入を行うことによって焼入部の焼入深さを、全体にわたって一様でかつ比較的薄く形成することができるという利点がある。さらに液の存在は、焼入工程の実行に伴う焼入ヘッドの加熱損傷を防止できるという効果もある。
【0014】
なお、この焼入工程が行われる液は、代表的には外気温に近い温度に調整された水を使用することができるが、この水の性質は適宜調整することが望ましい。たとえば、焼入ヘッドへの付着物の防止のための添加物、例えば界面活性剤、PH調整剤等を入れることができる。
本発明の液中焼入を行うにあたっては、液を収容する液槽が用意される。この液槽は、ワークおよび焼入ヘッドを収容することができる大きさを有しており、好ましくは、焼入ヘッドに対して位置調整できるように平面上でその動きを制御することができるように移動制御機構を備えており、焼入ヘッドに対してNC制御されるようになっている。
そして、ワークが焼入ヘッドに対して、所定の誤差範囲内にNC制御された場合には、焼入ヘッドがワークの焼入面に対して軸方向に移動して、焼入ヘッドとワークとの間隔が精密に調整されて両者対峙する位置関係となった状態で焼入ヘッドに電力供給がされ、誘導加熱が行われる。焼入による一回の焼入動作は数秒程度であり、この一回の焼入工程によって、環状に所定間隔で並んだ一列の焼入部パターンを形成する。この一回の焼入工程が終わると、電力供給は一旦停止され、焼入ヘッドは異なる軸方向(通常は上下方向)の領域を焼入できるように軸方向に移動させられる。そしてこの位置において再び電力供給を受けて、焼入工程をおこなう。
【0015】
この場合、通常は隣接する軸方向の位置に移動するが、熱影響を考慮して、隣接する位置よりも遠くの所定間隔だけ離れた軸方向に位置に設定するようにしてもよい。
なお、焼入工程中において焼入面と焼入ヘッドとの間に向けて液を噴射する液噴射手段を設けて焼入工程中において常に液流に曝して置くことが望ましく、これによって冷却効果を高めることができ、焼入ヘッド、ワークの焼入面の焼入部以外の熱影響をさらに効果的に抑制することができる。
焼入ヘッドとワークとの位置制御は必ずしもワークを焼入ヘッドに対して移動させる必要はなく、焼入ヘッドをNC制御してワークに対して位置制御するように構成することも勿論可能である。
ワークを水槽に収容した状態で焼入ヘッドに対して位置を調整する場合には、まず液槽の支持部材に設けられたマスタリングを検出し、このマスタリングに基づいて焼入ヘッドとワークの位置関係を調整するのが好ましい。この場合水槽の支持部材に設けられたマスタリングが焼入ヘッドと既知の所定の位置関係にあるセンサによって検出されることによってマスタリングと焼入ヘッドとの位置関係が一義的に定まる。
【0016】
つぎに、ワークの焼入面の位置をセンサによって検出することにより、焼入面と焼入ヘッドとの位置関係を求めることができる。このようにして求められたワークの焼入面の位置を液槽の位置制御機構に入力して、焼入ヘッドに対する所定の焼入面の位置を位置決めするようになっている。
ワークに対して焼入ヘッドを位置決めする場合には、焼入ヘッドについて同様の位置制御機構を設ければよい。
ワークは焼入工程においては液面下に位置するが、上記の位置検出の際には、その焼入面がセンサによって正確に検出できるように、液面上に露出した状態に維持されており、位置検出が行われた後にワークの焼入面が浸漬する程度に液が導入される。
また、焼入の全工程が終了した場合には、液槽内の液は速やかに排出されるとともに、液槽はワークとともに、焼入ヘッドと同軸上になった位置から所定の離間した位置まで移動させられ、その位置において焼き戻しされて、搬送ラインに戻される。
【0017】
【実施例】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面はシリンダブロックのボア内面を高周波液中焼入れする高周波焼入方法およびその装置を示し、まず高周波焼入装置の構成について述べると、図1、図2、図3において、ベース部材としてのベッド1の一例(図1、図2の右側)にコラム2を立設すると共に、ベッド1の中間部分には門型の架構3を立設固定している。
上述のベッド1の上面には2本の水平かつ並行なY軸レール4、4を取付け、このY軸レール4、4に沿って前後方向(Y軸方向)に移動可能なロアテーブル5を設けている。すなわち、該ロアテーブル5の下面に設けた複数のスライダ6を上述のY軸レール4に摺動可能に装着する一方、ベッド1の一側端部に取付けたY軸モータM1にボールねじを連結し、このボールねじにボールを介して配設されるボールガイドナットを上述のロアテーブル5に連結することで、Y軸モータM1の正逆回転によりロアテーブル5を前後方向(図1、図2の左右方向)に移動すべく構成している。
【0018】
上述のロアテーブル5の上面には2本の水平かつ並行なX軸レール7、7を取付け、このX軸レール7、7に沿って左右方向(X軸方向)に移動可能なアッパテーブル8を設けている。すなわち該アッパテーブル8の下面に設けた複数のスライダ9を上述のX軸レール7に摺動可能に装着する一方、ロアテーブル5上に取付けたX軸モータM2にボールねじ10を連結し、このボールねじ10にボールを介して配設されるボールガイドナットを上述のアッパテーブル8に連結することで、X軸モータM2の正逆回転によりアッパテーブル8を左右方向に移動すべく構成している。
而して、上述のロアテーブル5とアッパテーブル8との両者5、8によりワークテーブル11(いわゆるX−Yテーブルもしくはクロステーブル)を構成し、このワークテーブル11の上面には、上方が開放された箱状の水中焼入れ用の水槽(以下単にタンクと略記する)12を取付けている。
このタンク12はその内部に冷却液体としての冷却水Wが貯留および排出されるもので、このタンク12の内部には支持部材13を介して被焼入れ部材としてのシリンダブロック14(いわゆるワーク)が着脱可能に位置決め固定されている。
【0019】
上述のシリンダブロック14は高周波焼入れが可能な鋳鉄等の金属材料で構成され、気筒相当数(図面では直列4気筒を例示)のシリンダボア14aを有する。
一方、上述のコラム2の立設面には上下方向に延びる2本の並行なZ軸レール15、15を取付け、このZ軸レール15、15に沿って上下方向(Z軸方向)に移動可能な昇降ユニット16を設けている。すなわち該昇降ユニット16の背面(図1、図2で右側面)に設けた平板部材17に対して複数のスライダ18を取付け、該スライダ18を上述のZ軸レール15に摺動可能に装着する一方、コラム2の上部に取付けたZ軸モータM3にボールねじ19を連結し、このボールねじ19にボールを介して配設されるボールガイドナット20を上述の平板部材17に連結することで、Z軸モータM3の正逆回転により昇降ユニット16を上下方向に移動すべく構成している。
ここで、上述の昇降ユニット16は平板部材17と、この平板部材17の前面に一体的に取付けた昇降台1とを含み、この昇降台21には高周波誘導加熱用のトランス22を搭載すると共に、昇降台21の下面には上記トランス22の2次側に電気接続された焼入れヘッド23を垂設している。つまり、この焼入れヘッド23は上述のZ軸モータM3により上下動するように構成されている。
【0020】
また上述の昇降台21の台面上部には円盤受け部材24を介して円盤25を取付け、図2に示すように、この円盤25の一部にギヤ26を部分的に一体形成する一方、焼入れ位置変更用モータM4の回転軸27にはピニオン28を取付け、このピニオン28を上述のギヤ26と噛合わせている。
而して、上述のモータM4の正逆回転によりピニオン28、ギヤ26および円盤25を介して上述のトランス22と焼入れヘッド23とを一体的に仮想水平面内において該焼入れヘッド23のセンタ部(センタリングポイント)を中心として所定角度捻回すべく構成している。
さらに上述の昇降ユニット16の下面と対向するように前記のベッド1の左右両側にはバランス用エアシリンダ29を立設固定し、このエアシリンダ29のピストンロッド30でアタッチメント31を介して昇降ユニット16のブラケット32に対して昇降ユニット16およびトランス22等を含む昇降部の重量に対向する圧力を付加することで、上述のZ軸モータM3の移転負荷を軽減すべく構成している。
なお、上述のバランス用エアシリンダ29のピストンロッド30は昇降ユニット16の昇降と対応して突没制御されることは勿論である。
【0021】
ところで、上述の架構3にはワーク円筒位置としてのシリンダブロック14のボア14a位置を計測するボア位置測定子33を取付けている。このボア位置測定子33としては本来、ワークの内径を測定するのに用いられる差動トランス型内径測定子いわゆるマーポスゲージ(商品名)を用い、この差動トランス型内径測定子でボア14aの中心位置を求めるように構成している。
また前述のワークテーブル11、詳しくはアッパテーブル8には焼入れヘッド23の取付位置を測定する測定手段としての電気抵抗式のタッチ信号プローブ(以下単にタッチプローブと略記する)34と、テーブル基準部材としてその上部に凹状に窪んだ円筒部を有するマスタリング35とを離間させて立設固定している。
上述のボア位置測定子33は上下方向(Z軸方向)に移動できるように構成されている。
すなわち、図4に示す如く測定子昇降台36に上述のボア位置測定子33を取付ける一方、架構3側の固定部材37には上下方向に延びる2本(但し、図4では一方のみを示す)のレール38を取付け、測定子昇降台36の背面に取付けた複数のスライダ39を該レール38に装着して昇降用モータM5の正逆回転によりボア位置測定子33を上下方向に移動すべく構成している。
【0022】
ここで、上述の昇降用モータM5にはカップリング40を介してボールねじ41を連結し、このボールねじ41にボールを介して配設されるボールガイドナット42を上述の測定子昇降台36に連結している。
一方、上述の焼入れヘッド23は図5乃至図8に示すように構成されている。すなわち、この焼入れヘッド23はトランス22の2次側に接続される接続フランジ部43と、シリンダブロック14のボア14aに対して焼入れを行なうCu製の誘導加熱コイル44と、これら両者43、44を接続するCu製のリード部45とを備え、必要箇所を四フッ化エチレン樹脂または雲母(マイカ)製の絶縁板46で絶縁している。
また、この実施例ではシリンダブロック14のボア14aを円周上11等分にて同時に焼入れする目的で、上述の誘導加熱コイル44には11箇所の凸部47(図7参照)と11箇所の凹部48(図7参照)とを形成し、これらの各凸部47には磁束密度を集中および向上させる目的で磁気コア49を配設している。
さらに上述の誘導加熱コイル44の下方部には、予め焼入れヘッド23に対して芯出しされた状態で合成樹脂、例えばNCナイロン製のヘッドセンタリング計測用の計測部50を組み付けている。
【0023】
加えて、焼入れヘッド23のシリンダボア14aへの挿入先端部としての最下端部位にはシリンダボア14aの内面に対する干渉を検知するために、ステンレス製棒状体を十文字に組合わせた非磁性通電部材51が取付けられている。
この非磁性通電部材51は図5に示すように誘導加熱コイル44の外径部に対して若干量Lだけ径方向外方へ突出するようにその長さが設定された弾性部材である。
この非磁性通電部材51を用いた干渉検知回路は図8に示す如く構成される。すなわち、アース52と焼入れヘッド23の接続フランジ部43との間を結ぶライン53に、干渉検知電源54および干渉検知リレー55を介設する一方、上述の誘導加熱コイル44と非磁性通電部材51とをSUS製のリード線56で接続し、上述の干渉検知電源54により非磁性通電部材51に例えば10数ボルトの電圧を印加し、この非磁性通電部材51をシリンダブロック14のボア14a内に挿して、該非磁性通電部材51がボア14aに干渉した時、通電回路が形成されて、干渉検知リレー55がONになるように構成されている。
ここで、詳述の非磁性通電部材51およびリード線56は、非磁性条件、通電条件および加熱されにくい条件を全て満たすステンレスにより構成される。
【0024】
ところで、上述のタンク12に対して冷却水Wを供給、排出および循環させる冷却水系路は図9に示すように構成している。
すなわち、高周波焼入装置のベッド1(図1参照)底部に形成された底面スライド構造の冷却水リターン通路60と、この冷却水リターン通路60の傾斜下端部に連通形成された冷却水ドレンタンク61と、上述の冷却水リターン通路60の傾斜上端側に対して離間形成された冷却水供給タンク62とを備え、この冷却水供給タンク62内に配設したストレーナ63にサクションライン64を介して送液用の第1ポンプ65を接続し、この第1ポンプ65の吐出ライン66には流量調整弁67を介設している。
また上述の吐出ライン66の先端を3つの分岐ライン68、69、70に分岐し、第1分岐ライン68には第1バルブ71を介設すると共に、この第1分岐ライン68の先端をタンク12の左右両側(但し、図面では一側のみを示す)に形成したインレットポート72に連続接続している。同様に上述の第2分岐ライン69には第2バルブ73を介設すると共に、この第2分岐ライン69の先端をタンク12の底部複数箇所に形成したインレットポート74に連続接続している。ここで、上述の各ライン66、68、69、70は各タンク12がワークテーブル11に追従移動するのでその必要箇所をフレキシブル構成をなすことは勿論である。
【0025】
上述の第3分岐ライン70には第3バルブ75を介設すると共に、この第3分岐ライン70の先端は上述のタンク12の内底部に配設された連通パイプ76に連通接続し、この連通パイプ76にはシリンダブロック14の気筒相当数の各ボア14a下方部にそれぞれ位置する冷却液送給手段としての冷却水噴射ノズル77を連通接続している。
ここで、上述の第1、第2、第3の各バルブ71、73、75および後述する第4バルブ85は電磁開閉弁単独または電磁開閉弁と流量制御弁との組合せにより構成される。また上述のタンク12内の冷却水Wは同タンク12の底部に取付けられたピンチバルブ78の開時に冷却水リターン通路60に一度に排出処理される一方、このタンク12からオーバフローした冷却水Wも上述の冷却水リターン通路60に流出される。
さらに、冷却水ドレンタンク61内に配設したストレーナ79にサクションライン80を介して冷却水還流用の第2ポンプ81を接続し、この第2ポンプ81の吐出ライン82先端を冷却水供給タンク62に臨設すると共に、この吐出ライン82にはフィルタ83、冷却水を所定温度に降温冷却するための冷却器84および第4バルブ85を介設している。
【0026】
また上述の冷却水Wには予め所定量の防錆材が添加される一方、図9に示すような冷却水系路の構成により、冷却水供給タンク62から水槽としてのタンク12に供給され、ワークの冷却に供された冷却水Wは冷却水リターン通路60を介して冷却水ドレンタンク61に貯留された後に、第2ポンプ81の駆動によりその吐出ライン82を介して再び冷却水供給タンク62に至って循環使用される。上述の冷却液送給手段としての冷却水噴射ノズル77は図10、図11に示すように頂面外周部に環状傾斜面77aを有する円筒状に形成され、この環状傾斜面77aには多数の冷却水噴出口77bが形成されて、これらの各冷却水噴出口77bから噴出される冷却水をシリンダボア14aの内壁面に沿わせて、多数の噴出流Aを形成するように構成している。
この実施例ではヘッド移動手段としてのZ軸モータM3で焼入れヘッド23をシリンダボア14aの上部(トップデッキ側)から下部(オイルパン側)に向けて移動する。つまり焼入順序方向を図10の矢印B方向に設定しているので、上述の冷却水噴射ノズル77は冷却水Wをシリンダボア14aの下方から上方に向けて噴射送給する。
【0027】
図12は高周波焼入装置の制御回路ブロック図を示し、CPU90はボア位置測定子33、タッチプローブ34、干渉検知リレー55からの必要な各種信号入力に基づいて、ROM86に格納されたプログラムに従って、Y軸モータM1、X軸モータM2、Z軸モータM3、焼入れ位置変更用モータM4、ボア位置測定子昇降用モータM5、バランス用エアシリンダ29および発振器87、ピンチバルブ78、各ポンプ65、81、各バルブ71、73、75、85および流量調整弁67を駆動制御し、またRAM88はボア位置測定子33で計測されたシリンダボア14aの計測位置データ、ボア位置測定子33で計測されたマスタリング35の計測位置データ、タッチプローブ34で測定された焼入れヘッド23の取付位置データ、タッチプローブ34で測定された焼入れヘッド23の取付位置データ、タッチプローブ34で測定されたボア位置測定子33の位置データなどの必要な各異種データやマップを記憶する。
上述のタッチプローブ34による焼入れヘッド23の取付位置測定に際しては、この焼入れヘッド23に予め芯出し固定されたNCナイロン製のヘッドセンタリング計測用の計測部50を利用して行なわれる。つまり図7において非磁性通電部材51が配設された箇所から各45度隔てた計測部50外周にタッチプローブ34の先端球状部を接触させ、合計4箇所の位置から焼入れヘッド23のセンタリングポジションを割出す。また上述の発振器87は高周波誘導加熱電源(図示せず)に接続されている。
【0028】
本願発明の高周波焼入方法の説明に先立って、図13、図14、図15に示すフローチャートを参照して、コイル位置決定処理、座標ゼロイング処理、ボア位置補正処理について略記する。
まず図13のフローチャートを参照して誘導加熱コイル44の位置(焼入れヘッド23の位置)決定処理について述べると、第1ステップS1で、トランス22の2次側にて作業にて焼入れヘッド23を取付け、次の第2ステップS2で、CPU90はコイル取付け誤差を測定する。
つまり、Y軸モータM1、X軸モータM2を介してワークテーブル11を移動して、タッチプローブ34でボア位置測定子33の位置を測定し、次に同様にワークテーブル11を移動して、タッチプローブ34で焼入れヘッド23の位置を測定する。この際、タッチプローブ34の先端球状部をNCナイロン製の計測部50に接触させて、センタリングポジションを割出す。
次に第3ステップS3で、CPU90は誘導加熱コイル44の位置が許容範囲か否かを判定、例えば0.1mm以下の時にはOKとし、それ以上の時にはNGとする。
【0029】
次に第4ステップS4で、CPU90はボア位置測定子33の測定位置データから焼入れヘッド23の位置を割出して、決定する。このようにして決定された焼入れヘッド23の取付位置データはRAM88の所定エリアに記憶される。この図13に示す一連の処理は始動時(始業時)および所定時間間隔にて実行される。
次に図14のフローチャートを参照して座標ゼロイング処理について述べると、第1ステップS11で、CPU90はマスタリング35の位置確認を実行する。
つまりワークテーブル11を介してマスタリング35をボア位置測定子35の直下に移動させ、次にボア位置測定子昇降用モータM5を介してボア位置測定子33を下降させて、このボア位置測定子33をマスタリング35内に挿入することで、マスタリング35の位置を確認する。
次に第2ステップS12で、CPU90は座標誤差が許容範囲内か否かを判定する。例えば座標の狂いが80μm 以下の時にはOKとし、それ以上の時にはNGとする。阻止してOKと判定された時には第3ステップS13に移行する一方、NGと判定された時に別の第4ステップS14に移行する。
【0030】
上述の第3ステップS13で、CPU90は座標のゼロイングを実行する一方、第4ステップS14ではCPU90はマシン停止を実行する。上述の座標ゼロイングデータはRAM88の所定エリアに記憶される。この図14に示す一連の処理は始動時(始業時)および所定時間間隔にて実行される。
次に図15のフローチャートを参照してボア位置補正処理について述べると、第1ステップS21で、CPU90はワークとしてのシリンダブロック14のボア位置の確認処理を実行する。
つまり、ワークテーブル11を介してシリンダブロック14のボア14aがボア位置測定子33の直下に位置するように移動させる。次にボア位置測定子昇降用モータM5を介してボア位置測定子33を下降させて、このボア位置測定子33をボア14a内に挿入することで、ボア位置の確認を実行する。
次に第2ステップS22で、CPU90はボア位置が許容範囲か否かを判定する。例えば前述の座標ゼロイング値に対して補正最大量が0.2mm以下の時にはOKとし、それ以上の時にはNGとする。そして、OKと判定された場合には次の第3ステップS23に移行する一方、NGと判定された場合には別の第5ステップS25に移行して、不良ワークを除外する。
【0031】
一方、上述の第3ステップS23で、CPU90はボア位置の確認データと座標ゼロイング値との対比によりボア位置の補正量を決定し、この補正量に対応して焼入れ時においてワークテーブル11を介してボア位置の補正を実行する。なお、このような処理は全気筒に対してそれぞれ実行させる。次に第4ステップS24で、CPU90は焼入れ開始を実行する。
なお、上述の第4ステップS24での焼入れ開始実行までの間にCPU90は第1ポンプ65等を駆動して、図9に仮想線αで示すタンク12の約半分までの位置に冷却水Wを予め貯留する。
また、上述の焼入れ開始に先立って、ワークテーブル11によりタンク12およびシリンダブロック14を図1に示す位置から同図の右方へ移動して、シリンダボア14aを焼入れヘッド23の直下に位置させた後に、ボア14a内に挿入される非磁性通電部材51がボア14a内面と干渉した場合には、干渉検知リレー55がONとなり、このON信号によりCPU90はZ軸モータM3を停止するが、干渉のない正常時には高周波液中焼入れが実行される。
さらに、この焼入れ開始時には、CPU90は第1ポンプ65等を駆動して複数のインレットポート72、74から短時間でタンク12の所定位置(図9の実線位置参照)まで冷却水Wを貯留する。
【0032】
この実施例においてはZ軸モータM3を駆動して焼入れヘッド23をシリンダボア14aの上部から下部に向けて所定間隔置きに移動させ、図16に示す焼入れ斑a,b,c,d,e,f,g,h,i,jがこの順に1条ずつ形成される焼入順序にて高周波焼入を実行する。1条の焼入工程は約0.5秒で完了し、焼入ヘッドは、次の位置には約0.5秒かけて移動する。5条の環状焼入部を形成する場合には1つのシリンダボア内面の焼入行うのに約5秒が必要である。
この時、上述の焼入順序方向(図10の矢印B方向)と対向する逆方向からシリンダボア14aの加熱部位を冷却する冷却水Wを送給する。つまり定位置に予め位置決め固定されたシリンダボア14a下方部の冷却水噴射ノズル77における冷却水噴射口77bからの噴出流Aがシリンダボア14aの内壁面に沿ってその下方から上方に向けて形成されるように冷却水を常時噴出する。
図16はシリンダブロック14におけるボア14aを展開し、かつ焼入れ斑が形成される部位を図示の便宜上ハッチングを施して示す説明図で、同図のピストンのストローク方向と対応する。而して焼入れヘッド23における誘導加熱コイル44による焼入れ順序は図16に示す焼入れ斑がa,b,c,d,e,f,g,h,i,jの順で形成されるように設定する。
【0033】
この時、焼入れ斑a〜eの次に焼入れ斑f〜jを形成するには、焼入れヘッド23を所定角度だは捻回する必要があるので、この場合、CPU90は焼入れ位置変更用モータM4を駆動して、ピニオン28、ギヤ26および円盤25を介してトランス22と共に焼入れヘッド23の角度を所定量変更する。なお、このような焼入れ順序に設定すると、前回の焼入れ熱による影響を受けない部位を順次高周波液中焼入れすることができるので、冷却水Wによる冷却時間をかせぎつつ、熱影響をなくすことができて、図16に示すような千鳥状もしくは市松模様の焼入れ斑a〜jを形成することができる。また名焼入れ斑相互間に所定の間隔があるため、この間隔部分(焼入れ斑が形成されていない部分)でエンジンのシリンダに必要なオイル保持を確保しつつ、焼入れ斑a〜jが形成された部位の表面硬度向上により耐摩耗製の向上を図ることができる。
以上要するに本発明の高周波焼入方法によれば、焼入れヘッド23による焼入順序方向(図10の矢印B方向参照)と対向する逆方向からワーク(シリンダブロック14参照)の加熱部位を冷却する冷却水Wを送給する方法であるから、ワークおよび冷却水中の熱を冷却液送給方向にそって焼入れ順序方向と逆方向へ逃がすことができ、この結果、今回の焼入箇所で発生する熱が次回の焼入箇所に伝わりにくくなり、焼入毎の各焼入れパターンの均一化が達成できて、焼入れ品質の安定化を図ることができ、また均一な焼入れパターンの形成によりワークの偏摩耗等を防止することができる効果がある。
【0034】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明の冷却液は、実施例の冷却水Wに対応し、
以下同様に、
ワークは、シリンダブロック14に対応し、
ワークの円周内面は、ボア(詳しくはシリンダボア)14aに対応し、
ヘッド移動手段は、Z軸モータM3に対応し、
冷却液送給手段は、冷却水噴射ノズル77に対応し、
冷却液噴出口は、冷却水噴出口77bに対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
例えば、上述の冷却液としては冷却水Wに代えて焼入れ用のオイルを用いてもよく、また上述の焼入れヘッド23の内部に自己冷却用の冷却水通路を形成してもよい。さらに焼入れにより形成される焼入れ斑の条数は実施例のものに限定されてるものではなく、さらにまた焼入れ斑の形成順序は実施例で示してa,b,c,d,e,f,g,h,i,jの順序に代えてa,f,b,g,c,h,d,i,e,jの順序になるように設定してもよい。
【0035】
なお、焼入装置は、上記したようにベッド1に設けられたコラム2と、ベッド1の中間部分に設けられた架構3を備えている。そして、ベッド1の上方には、Y軸方向およびX軸方向に移動可能なワークテーブル11が配置されており、このワークテーブル11上には、ワークを配置したタンク12が設けられている。
架構3の後方には、円盤25とその中心位置に配置された焼入ヘッド23が位置している。
図2に示すように、本実施例では、この焼入装置に隣接して焼戻し装置が配置される。焼戻し装置は上記焼入装置と同様に、Y軸方向に延びるレール100、100を備えている。
該レール100には、焼戻しを行うシリンダブロック14を載置するテーブル101がレール上を移動可能に設置されている。レール100の一端側には、シリンダブロック14の焼戻しを行う焼戻しヘッド102が設置されている。本例ではワークは4つのシリンダボアを有する4気筒用シリンダブロックであるので、それぞれのシリンダボア内面の高周波誘導加熱を一度に行うために4つの円筒上高周波誘導加熱コイル103、103、103、103を備えている。この高周波誘導加熱コイルは焼戻しヘッド102から垂下しており、ワークのシリンダボア内面に対して上記焼入装置の焼入ヘッド23の環状高周波誘導加熱コイル44と同様の手法で位置決めされるようになっている。
【0036】
この高周波誘導加熱コイル103をシリンダブロック14に対してセットし、後退させるために焼入装置と同様に昇降装置104が取り付けられている。
焼戻しヘッドから離間した第1位置にワークを載置するテーブル101が位置するとき、この側方には、焼戻し加熱されたシリンダブロックを水冷するための冷却水を貯溜した箱型の冷却水槽105が配置されている。
焼入処理が行われたのちワークは、焼入装置の焼入ヘッドのある第2位置から第1位置までレール4上をタンク12に入れられた状態で戻される。この第1位置においてワークはローダ(図示せず)によってタンク12から持ち上げられ、図2においてラインX1にそってX方向に移動させられて、焼戻し装置に搬入される。
この場合、シリンダブロック14は、上記のように第1位置にあるテーブル101上に配置される。次に、ワーク14を載せたテーブル101がY軸方向に移動させられて焼戻しヘッド102の直下に位置決めされる。この状態で昇降装置104が駆動して焼戻しヘッド102が下降し、各高周波誘導加熱コイル103がシリンダブロックのシリンダボア内面14aの内部に挿入されて所定の対峙した位置関係に配置される。そして、所定の条件の焼戻しヘッド102に電力が供給されて、シリンダブロック14は、常温から約1分かけて約300℃ないし350℃に高周波誘導加熱される。シリンダブロック14はこの温度で所定時間保持されたのち、テーブル101が駆動されて第2位置から焼戻しヘッド102から離間した第1位置まで移動させられる。この状態でローダが再び駆動されて、テーブル101上にあるワークを把持して冷却槽105内に浸漬させる。この冷却水槽は、ほぼ外気温に維持されているので、シリンダブロック14は、約2乃至3分で外気温のレベルまで冷却される。
【0037】
冷却後ワークは、ローダによって冷却槽105からピックアップされてさらX軸方向に移動させられて、冷却槽か105からさらに所定距離だけX軸方向に離間した位置でテーブル106上で待機させられる。そして、所定のタイミングでY軸方向に移動するベルトコンベア107に移載され、コンベヤ107からさらにその一端部側に配置されたAGV108に積み込まれ、その後通常の製造ラインに戻される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高周波焼入方法に用いる高周波焼入装置の側面視図。
【図2】図1の平面図。
【図3】図1の左側面視図。
【図4】ボア位置測定子の昇降構造を示す説明図。
【図5】焼入れヘッドの構成を示す正面図。
【図6】図5の右側面図。
【図7】図5の底面図。
【図8】干渉検知用の回路を示す説明図。
【図9】冷却水系路を示す系統図。
【図10】本発明の高周波焼入方法を示す説明図。
【図11】冷却水噴射ノズルの斜視図。
【図12】制御回路ブロック図。
【図13】コイル位置決定処理を示すフローチャート。
【図14】座標ゼロイング処理を示すフローチャート。
【図15】ボア位置補正処理を示すフローチャート。
【図16】本発明の高周波焼入方法により形成された焼入れ斑の一例を示す説明図。
【符号の説明】
14 シリンダブロック(ワーク)
14a ボア
23 焼入れヘッド
77 冷却水噴射ノズル
77a 環状傾斜面
77b 冷却水噴出口
M3 Z軸モータ(ヘッド移動手段)。

Claims (4)

  1. 冷却液中において焼入れヘッドを所定間隔置きに移動させてワークに順次高周波焼入れする高周波焼入方法であって、
    上記焼入れヘッドを断面円形状の孔を有するワークの前記孔の内面の一端部から他端部に向かって移動させて順次焼入れするとともに、
    上記ワークの加熱部位を冷却する冷却液を上記ワークの前記孔の内面に沿うように上記他端部から一端部に向かって送給することを特徴とする高周波焼入方法。
  2. 上記冷却液がワークの前記孔の内面に沿うように環状傾斜面に形成された複数の冷却液噴出口から冷却液を噴出することを特徴とする請求項1記載の高周波焼入方法。
  3. 冷却液中において焼入れヘッドを所定間隔置きに移動させてワークに順次高周波焼入れする高周波焼入装置であって、
    上記焼入れヘッドを断面円形状の孔を有するワークの前記孔の内面の一端部から他端部に向かって移動させて順次焼入れするヘッド移動手段と、
    上記ワークの加熱部位を冷却する冷却液を上記ワークの前記孔の内面に沿うように上記他端部から一端部に向かって送給する冷却液送給手段とを備えた高周波焼入装置。
  4. 上記冷却液送給手段は頂面外周部に環状傾斜面を有する円筒状に形成されると共に、
    該環状傾斜面には噴出される冷却液を上記ワークの前記孔の内面に沿わせる複数の冷却液噴出口が形成されたことを特徴とする請求項3記載の高周波焼入装置。
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