JP3760300B2 - ダイオキシン類汚染物の処理方法および処理装置 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ダイオキシン類によって汚染された土壌や焼却灰等の汚染物の処理方法および処理装置に関するものである。また、これと同時に、煙突内壁に付着しているダイオキシン類汚染物を浄化することで、煙突の解体を安全に行うための技術に関するものでもある。
【０００２】
【従来の技術】
周知のように、ダイオキシン類汚染物の燃焼分解処理としては、汚染物の形態に応じて、ロータリキルンを使用する方法、流動床炉、ストーカ炉など各種の高温処理装置を用いる方法がある。燃焼・分解処理では、炉に投入した汚染物を８００℃以上の温度で２秒以上保持し、さらに急冷する必要がある。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
このような加熱条件を実現するには、大規模な設備が必要であり、さらに、電気代などの運転コストが嵩むものとなる。
また、乾燥した固形汚染物を処理する場合には、固形物の大きさや表面形状にもよるが、一般には、ダイオキシン類が表面に強く吸着しているために、表記温度まで昇温し、十分な酸化性雰囲気下で汚染物すべてを燃焼処理することは困難である。また、作業上、粉塵が飛散する可能性があり、取り扱う領域の閉め切りや、作業員の安全確保など、困難を極めている。
【０００４】
このような事情に鑑み、本発明においては、ダイオキシン類に必要な熱条件を簡易かつ確実に作り出すことができ、なおかつ、作業性の良好なダイオキシン類汚染物の処理方法および処理装置を提供することを課題とする。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明においては、煙突が耐熱性に優れ、なおかつ、気密性も高い点に着目し、煙突を利用してダイオキシン類を熱分解するための以下のような手段を採用した。
すなわち、請求項１記載のダイオキシン類汚染物の処理方法は、煙突の下部を閉塞し、前記煙突内に燃料とダイオキシン類汚染物とを装填し、さらに前記煙突の上部を閉塞するとともに、前記煙突の下部および上部に対して、前記煙突の内外の気体の流通を許容する流通口を設けておき、
前記燃料に対して着火を行うとともに、前記煙突の下部および上部のいずれか一方に設けられた流通口から空気を供給し、さらに、同他方に設けられた流通口から前記燃料が燃焼することにより発せられた排気ガスを吸引して処理することを特徴としている。
【０００６】
このような構成とされるために、ダイオキシン類汚染物を処理するにあたって、汚染物の飛散等を伴うことなく、煙突内部において、必要な熱条件を安全に作り出すことができる。
【０００７】
請求項２記載のダイオキシン類汚染物の処理方法は、請求項１記載のダイオキシン類汚染物の処理方法であって、
前記燃料および前記ダイオキシン類汚染物を、粒状に形成しておくことを特徴としている。
【０００８】
このような構成とされるために、煙突内の通気性を良好なものとすることができる。
【０００９】
請求項３記載のダイオキシン類汚染物の処理装置は、ダイオキシン類汚染物を処理するための装置であって、
煙突の上部および下部が、上部密閉用治具および下部密閉用治具により、それぞれ密閉され、
前記煙突の内方の下部には、前記煙突内に装填された固形燃料とダイオキシン類汚染物とを保持するとともに、空気の流通を許容する保持治具が配置され、
前記上部密閉用治具および下部密閉用治具のいずれか一方には、バーナーが設けられ、同他方には、前記煙突内の気体を吸引可能な吸引管が接続され、
前記バーナーには、前記煙突内に空気および燃焼用ガスを供給可能な供給管が接続され、
前記吸引管は、前記煙突から吸引した気体を処理するための排気ガス処理装置に対して接続されていることを特徴としている。
【００１０】
このような構成により、煙突内にダイオキシン類汚染物と固形燃料とを装填して着火し、ダイオキシン類を熱分解することができる。
【００１１】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
図１は、本発明の一実施の形態を模式的に示す図であり、図中、符号１はダイオキシン類汚染物の処理装置を示す。
この処理装置１は、煙突２を利用してダイオキシン類汚染物を分解するためのものであり、煙突２の上部２ａおよび下部２ｂを閉塞するための上部密閉用治具４および下部密閉用治具５と、上部密閉用治具４に取り付けられたバーナー６と、バーナー６に燃焼ガスおよび空気を供給するための供給管７と、下部密閉用治具５に対して接続された吸引管８とを備えた構成とされている。
【００１２】
上部密閉用治具４および下部密閉用治具５には、それぞれ流通口９が設けられている。バーナー６は、上部密閉用治具４の流通口９に対して取り付けられるとともに、火炎を放射するための図示しない先端部が、煙突２の内方に向けて配置された構成となっている。また吸引管８は、その一端が、下部密閉用治具５の流通口９に対して取り付けられて、煙突２の内部に向けて開口する構成となっており、また、図示しない他端が、図示しない排気ガス処理装置に対して接続された構成となっている。この排気ガス処理装置は、吸引管８から送られた気体を、例えば、アミン化合物を担持した活性炭などを使用して処理する構成とされている。
【００１３】
また、煙突２の内部には、保持治具１１が取り付けられている。この保持治具１１は、煙突２の内部にダイオキシン類汚染物および固形燃料が装填された際に、これらダイオキシン類汚染物および固形燃料を保持しつつ、通気性を保つ構成となっており、具体的には、金網等により構成されている。
【００１４】
次に、処理装置１を利用してダイオキシン類によって汚染された汚染土壌（ダイオキシン類汚染物）を処理する方法について、図２を参照して説明する。
まず、煙突２の下部２ｂの送煙口１２を下部密閉用治具５により閉塞する。この際、下部密閉用治具５の流通口９には、吸引管８の一端を煙突２内に開口した状態で接続しておく。また、吸引管８の他端は、排気ガス処理装置に接続しておく。さらに、煙突２の下部２ｂの内部には、保持治具１１を取り付けておく。
【００１５】
次に、煙突２の内方に、その上部２ａの排煙口１３から、汚染土壌Ｓおよび粒状燃料Ｆを装填する。この際、汚染土壌Ｓは粒状化させた状態としておく。また、粒状燃料Ｆとしては、コークスやＲＤＦ（Refuse Drived Fuel）を使用する。
【００１６】
さらに、煙突２の上部２ａを上部密閉用治具４により閉塞する。上部密閉用治具４には、その流通口９に対してバーナー６を取り付けておき、また、バーナー６には供給管７を取り付けておく。
【００１７】
次に、バーナー６より火炎を放射することにより、煙突２内に装填された粒状燃料Ｆに対して着火する。さらに、燃焼部分Ｃの温度が、ダイオキシン類の分解に必要な９００℃以上の温度となっていることを、煙突２内部に予め配置しておいた熱電対、温度センサーなどの手段により確認しつつ、供給管７を通じて粒状燃料Ｆの燃焼に必要な空気を煙突２内に送り込むとともに、吸引管８から燃焼に伴い発生した排気ガスを吸引する。この場合、空気の供給量および排気ガスの吸引量を、燃焼が良好に行われるように調整する。また、吸引した排気ガスは、排気ガス処理装置により処理したのち、大気中に放出する。
【００１８】
また、煙突２の底部まで、粒状燃料Ｆの燃焼が進んだら、空気供給および排気ガスの吸引等の操作を終了する。そして、煙突２が冷却した後に、煙突２内に残留している処理物を排除する。
【００１９】
以上述べた汚染土壌Ｓの処理方法においては、耐熱性に優れた煙突２内において汚染土壌Ｓを粒状燃料Ｆとともに燃焼させることで、汚染土壌Ｓに含まれるダイオキシン類の分解に必要な高温条件を容易に形成することができ、処理のコストダウンを図ることができる。また、この際、煙突２が気密性を有することから、ダイオキシン類が飛散する危険性がなく、安全性が高い。
【００２０】
さらに、上述の汚染土壌Ｓの処理方法においては、汚染土壌Ｓおよび粒状燃料Ｆを粒状に形成したため、煙突２内における通気性を確保することができ、煙突２内における粒状燃料Ｆの燃焼に必要な空気の流通を容易とし、供給管７からの空気の供給および吸引管８からの排気ガスの吸引等の処理を確実に行うことが可能となる。
【００２１】
また、上述の処理装置１においては、煙突２の上部２ａおよび下部２ｂが、上部密閉用治具４および下部密閉用治具５により、それぞれ密閉されるとともに、煙突２の内方の下部に保持治具１１が配置され、さらに、上部密閉用治具４に対してバーナー６が取り付けられ、下部密閉用治具５に対して煙突２内の気体を吸引可能な吸引管８が接続された構成となっており、さらに、バーナー６には、煙突２内に空気および燃焼用ガスを供給可能な供給管７が接続され、吸引管８には排気ガス処理装置が接続された構成となっていることから、上述のように、煙突２を縦型炉として利用したダイオキシン類汚染物の分解を行うことができ、煙突２の耐熱性や気密性を利用して安全なダイオキシン類汚染物の処理を行うことが可能となる。
【００２２】
また、煙突２の内部で上述のような処理を行うことで、煙突２の内壁に付着したダイオキシン類汚染物を分解・除去することができるので、煙突２を解体するにあたって、ダイオキシン類を含んだ粉塵が飛散して周囲を汚染する懸念が無く、汚染土壌Ｓを処理した後に煙突２の解体作業を安全に行うことが可能となる。
【００２３】
なお、上記実施の形態において、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で他の構成を採用するようにしてもよい。
例えば、上記実施の形態においては、煙突２内に、粒状燃料Ｆとともに、汚染土壌Ｓが装填された構成とされていたが、これに代えて、ゴミ処理プラントの焼却灰等を煙突２内に粒状燃料Ｆとともに充填するようにしてもよい。
【００２４】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項１に係るダイオキシン類汚染物の処理方法においては、耐熱性に優れた煙突内においてダイオキシン類汚染物を燃料とともに燃焼させることで、ダイオキシン類の分解に必要な高温条件を容易に形成することができ、処理のコストダウンを図ることができる。また、この際、煙突が気密性を有することから、ダイオキシン類が飛散する危険性がなく、安全性が高い。
【００２５】
請求項２に係るダイオキシン類汚染物の処理方法においては、ダイオキシン類汚染物および燃料を粒状に形成したため、煙突内における通気性を確保することができ、煙突内における燃料の燃焼に必要な空気の流通を確実に行うことが可能となる。
【００２６】
請求項３に係るダイオキシン類汚染物の処理方法においては、煙突の上部および下部が、上部密閉用治具および下部密閉用治具により、それぞれ密閉されるとともに、煙突の内方の下部に固形燃料およびダイオキシン類汚染物を保持するための保持治具が配置され、上部密閉用治具に対してバーナーが取り付けられ、下部密閉用治具に対して煙突内の気体を吸引可能な吸引管が接続された構成となっており、さらに、バーナーに、空気および燃焼用ガスを供給可能な供給管が接続され、吸引管が、排気ガス処理装置に対して接続された構成となっていることから、煙突を縦型炉として利用したダイオキシン類汚染物の分解を行うことができ、煙突の耐熱性や気密性を利用して安全なダイオキシン類汚染物の処理を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図１ 】 本発明の一実施の形態を模式的に示すダイオキシン類汚染物の処理装置の立面図である。
【図２ 】 図１に示した処理装置が適用された煙突の内部において汚染土壌の処理を行う際の状況を示す立断面図である。
【符号の説明】
１ 処理装置
２ 煙突
２ａ 上部
２ｂ 下部
４ 上部密閉用治具
５ 下部密閉用治具
６ バーナー
７ 供給管
８ 吸引管
９ 流通口
１１ 保持治具

Claims (3)

1. 煙突の下部を閉塞し、前記煙突内に燃料とダイオキシン類汚染物とを装填し、さらに前記煙突の上部を閉塞するとともに、前記煙突の下部および上部に対して、前記煙突の内外の気体の流通を許容する流通口を設けておき、
   前記燃料に対して着火を行うとともに、前記煙突の下部および上部のいずれか一方に設けられた流通口から空気を供給し、さらに、同他方に設けられた流通口から前記燃料が燃焼することにより発せられた排気ガスを吸引して処理することを特徴とするダイオキシン類汚染物の処理方法。
2. 請求項１記載のダイオキシン類汚染物の処理方法であって、
   前記燃料および前記ダイオキシン類汚染物を、粒状に形成しておくことを特徴とするダイオキシン類汚染物の処理方法。
3. ダイオキシン類汚染物を処理するための装置であって、
   煙突の上部および下部が、上部密閉用治具および下部密閉用治具により、それぞれ密閉され、
   前記煙突の内方の下部には、前記煙突内に装填された固形燃料とダイオキシン類汚染物とを保持するとともに、空気の流通を許容する保持治具が配置され、
   前記上部密閉用治具および下部密閉用治具のいずれか一方には、バーナーが設けられ、同他方には、前記煙突内の気体を吸引可能な吸引管が接続され、
   前記バーナーには、前記煙突内に空気および燃焼用ガスを供給可能な供給管が接続され、
   前記吸引管は、前記煙突から吸引した気体を処理するための排気ガス処理装置に対して接続されていることを特徴とするダイオキシン類汚染物の処理装置。

Images