JP3760036B2 - 電磁弁及び電磁弁駆動装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の冷房装置における冷媒回路等に介設される電磁弁と、この電磁弁を駆動させるための装置とに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、車両の冷房装置においては一般に、冷媒回路の凝縮器及びレシーバから蒸発器への冷媒の供給量を調整する温度膨張弁等の絞り弁と、この絞り弁よりも凝縮器及びレシーバ側において冷媒回路を開閉する電磁弁とが冷媒回路中に介設されており、冷房温度の設定に応じて、或は、被冷房空間において実際に測定した温度に応じて、絞り弁を開閉させると共に、冷房装置のオンオフに応じて電磁弁を開閉させるようにしている。
【0003】
ところで、上述した電磁弁については、開閉動作に伴い騒音が発生すると使用者に不快感を与えることとなるので、静音性には十分配慮する必要がある。
そこで、電磁弁の分野においては、静音性を確保するために次のような技術が従来から提案されている。
【0004】
まず、図28に断面図で示すパイロット弁方式の電磁弁120においては、吸引子109とプランジャ106との間にゴム等の材質よりなる緩衝材料112を取り付けて、ソレノイド107の通電に伴い移動するプランジャ106が吸引子109と衝突する際の衝撃を緩和している。
【0005】
また、図29に示す実公昭56−4936号公報に開示された電磁弁201においては、弁座257を開閉する主弁250が連結されたプランジャ251と吸引子203との間に緩衝用のバネ206を介設して、ソレノイド202の通電に伴い移動するプランジャ251がバネ206の弾発力により吸引子203と衝突しないようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、冷媒回路の分野では、上述したプランジャと吸引子との衝突により発生する騒音の他に、電磁弁を開くことで発生する凝縮器及びレシーバ側から蒸発器側に向かう液冷媒の流れが、絞り弁において遮断され又は絞られて、一般にウォーターハンマ現象による騒音が発生し、また、電磁弁を閉じることによっても、凝縮器及びレシーバ側から蒸発器側に向かう液冷媒の流れが急激に遮断されて、ウォーターハンマ現象による騒音が発生することが知られている。
【0007】
ここで、弁開時のウォーターハンマ現象について、上述した図28の電磁弁120を例に取って説明する。
ソレノイド107に通電すると、プランジャ106に形成されたニードル弁104が主弁102に形成されたパイロット通路105を開き、これに伴って、チャンバ108と主弁102との間に形成される隙間を介して一次側に連通しているチャンバ108の圧力と、二次側との圧力差が減少して、チャンバ108内の主弁102がプランジャ106側に移動し弁座103を開く。
【0008】
この一連の動作においては、図30の特性図に示すように、ニードル弁104がパイロット通路105を開くことで、圧力の低い二次側に吸引されるように圧力の高い一次側から液冷媒が急速に流入して、一次側の圧力P11が圧力の低い二次側の圧力P12に近づくように一時的に下がり、その後、プランジャ106の移動に追従して主弁102が弁座103を開くと、一次側から二次側に流入した液冷媒の流れが、二次側に接続された絞り弁(図示せず)において遮断され又は絞られて、一次側と二次側との圧力P11,P12が一時的に、元の一次側の圧力P11を上回る圧力まで一気に上昇し、ウォーターハンマ現象が起こって騒音が発生してしまう。
【0009】
このように、上述した2つの従来技術はいずれも、ソレノイドのプランジャと吸引子との衝突という構造的な要因による騒音の発生に対処することを目的とした電磁弁であるため、そのような構造的要因による騒音の発生は防止できても、上述した弁開時や弁閉時の冷媒回路中での圧力変動に伴うウォーターハンマ現象の発生には何ら対処することができないという不具合があった。
【0010】
そして、ウォーターハンマ現象の解消には、弁の開閉時の当初において、液冷媒の流量を抑制し、これにより、弁が最終的に全開や全閉となる時点での、一次側と二次側との圧力差を少なくしておくことが必要であるが、そのような多段階の流量制御を従来の電磁弁で行うには、ソレノイドの通電量を段階的に変化させることが必要になり、そうすると、通電量が定格よりも低い中途段階で弁の開度を安定させて保持するために、その分だけ容量の大きいソレノイドを用いなければならなくなり、コスト及びスペースの面で不利な面が発生してしまう。
【0011】
本発明は前記事情に鑑みなされたもので、本発明の第1の目的は、冷媒回路における相互間に大きな圧力差がある箇所に介設して動作させても、急激な圧力変動により騒音の元となるウォーターハンマ現象が起こるのを抑制又は防止することができる電磁弁を提供することにあり、また、本発明の第2の目的は、この電磁弁を開閉動作させる際に用いて好適な電磁弁駆動装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記第1の目的を達成するため請求項1に記載した本発明の電磁弁は、一次側と二次側とを連通する弁座を開閉する主弁に形成された、この主弁が収容されるチャンバと前記二次側とを連通するパイロット通路を、ソレノイドのプランジャに形成されたニードル弁により開閉し、前記チャンバと前記一次側及び前記二次側との圧力差により前記主弁による前記弁座の開閉を行う電磁弁において、前記プランジャに嵌装され前記ニードル弁による前記パイロット通路の開閉方向において前記プランジャに対して相対移動可能なホルダと、前記ホルダに形成され前記開閉方向において前記主弁から離間する向きへの前記ホルダの移動を規制するホルダ移動規制部材と、前記ホルダ及び前記プランジャのうち少なくとも一方に設けられ、前記ホルダ移動規制部材により前記主弁から離間する向きへの移動が規制された前記ホルダに対する前記プランジャの、前記主弁に接近する向きへの移動を、前記弁座を閉じた前記主弁の前記パイロット通路から前記ニードル弁が離間する箇所までに規制するプランジャ移動規制部材と、前記ホルダに対して前記プランジャを前記主弁に接近する方向に付勢するプランジャ付勢手段とを備え、前記プランジャ付勢手段が、前記ソレノイドが通電により前記主弁から離間する向きで前記プランジャに与える最大吸引力を下回る付勢力を、前記プランジャ及び前記ホルダのうち一方から他方に付与することを特徴とする。
【0013】
また、請求項2に記載した本発明の電磁弁は、前記プランジャが、前記ニードル弁が形成された弁部と、該弁部を挟んで前記主弁側とは反対側に配置される基部とを有していて、前記ホルダを挿通して前記弁部と前記基部とが連結されており、前記プランジャ付勢手段が、前記ホルダを前記基部側から前記弁部側に向けて付勢するものとした。
【0014】
さらに、請求項3に記載した本発明の電磁弁は、前記ソレノイドが、該ソレノイドの通電時に前記プランジャを吸引する吸引子を有しており、該吸引子が、前記ソレノイドの通電により前記最大吸引力で吸引される前記プランジャとの衝突の衝撃を緩衝する緩衝部材を有しているものとした。
【0015】
また、前記第2の目的を達成するため、請求項4に記載した本発明の電磁弁駆動装置は、請求項1、2又は3記載の電磁弁を駆動させるための装置であって、供給源からの作動用電力を第1電力量で前記ソレノイドに供給させる第1電力供給経路と、前記第1電力供給経路と並列に設けられ、前記供給源からの前記作動用電力を第2電力量で前記ソレノイドに供給させる第2電力供給経路と、前記第1電力供給経路を開放状態と閉成状態との間で変移させる第1スイッチ手段と、前記第2電力供給経路を開放状態と閉成状態との間で変移させる第2スイッチ手段とを備え、前記第1電力量の前記作動用電力の供給による前記ソレノイドの通電により、該ソレノイドから前記プランジャに、前記付勢力を下回る吸引力が前記主弁から離間する向きで与えられ、前記第1電力量及び前記第2電力量を合成した電力量の前記作動用電力の供給による前記ソレノイドの通電により、該ソレノイドから前記プランジャに、前記最大吸引力が前記主弁から離間する向きで与えられることを特徴とする。
【0016】
さらに、請求項5に記載した本発明の電磁弁駆動装置は、図1に基本構成図で示すように、前記ソレノイド5に対する前記作動用電力の供給指令と該作動用電力の供給停止指令とを出力する電力供給指令手段13αと、前記供給指令の出力時に第1導通信号を出力すると共に、前記供給停止指令の出力時から所定時間t2 経過後に前記第1導通信号の出力を停止する第1開閉指令手段13βと、前記供給指令の出力時から所定時間t1 経過後に第2導通信号を出力すると共に、前記供給停止指令の出力時に前記第2導通信号の出力を停止する第2開閉指令手段13γとをさらに備え、前記第1スイッチ手段TRaが、前記第1導通信号の入力により前記第1電力供給経路αを開放状態から閉成状態に変移させると共に、前記第1導通信号の入力停止により前記第1電力供給経路αを閉成状態から開放状態に変移させるように構成されており、前記第2スイッチ手段TRbが、前記第2導通信号の入力により前記第2電力供給経路βを開放状態から閉成状態に変移すると共に、前記第2導通信号の入力停止により前記第2電力供給経路βを閉成状態から開放状態に変移するように構成されているものとした。
【0017】
また、請求項6に記載した本発明の電磁弁駆動装置は、前記第1及び第2の各スイッチ手段が、外部からの前記ソレノイドに対する前記作動用電力の供給指令の入力により前記第1及び第2の各電力供給経路を開放状態から閉成状態に各々変移させると共に、前記作動用電力の供給停止指令の入力により前記第1及び第2の各電力供給経路を閉成状態から開放状態に各々変移させるように構成されており、前記第1スイッチ手段に対する前記供給停止指令の出力を遅延させる停止指令遅延手段と、前記第2スイッチ手段に対する前記供給指令の出力を遅延させる供給指令遅延手段とをさらに備えるものとした。
【0018】
さらに、請求項7に記載した本発明の電磁弁駆動装置は、図2に基本構成図で示すように、前記供給指令と前記供給停止指令とを出力する電力供給指令手段13αをさらに備えるものとした。
【0019】
また、請求項8に記載した本発明の電磁弁駆動装置は、請求項1、2又は3記載の電磁弁を駆動させるための装置であって、供給源からの作動用電力を第1電力量で前記ソレノイドに供給させる第3電力供給経路と、前記第3電力供給経路と並列に設けられ、前記供給源からの前記作動用電力を第2電力量で前記ソレノイドに供給させる第4電力供給経路と、前記供給源からの前記作動用電力を基に生成される通電信号の入力により前記第4電力供給経路を開放状態から閉成状態に変移させると共に、前記通電信号の入力の停止により前記第4電力供給経路を閉成状態から開放状態に変移させる第3スイッチ手段と、前記第3スイッチ手段に入力される前記通電信号を所定時間遅延させる通電信号遅延手段と、前記ソレノイドに並列接続されたRC回路とを備え、前記第1電力量の前記作動用電力の供給による前記ソレノイドの通電により、該ソレノイドから前記プランジャに、前記付勢力を下回る吸引力が前記主弁から離間する向きで与えられ、前記第1電力量及び前記第2電力量を合成した電力量の前記作動用電力の供給による前記ソレノイドの通電により、該ソレノイドから前記プランジャに、前記最大吸引力が前記主弁から離間する向きで与えられると共に、前記供給源からの前記作動用電力の供給の停止により前記RC回路において過渡現象が発生し、前記RC回路の前記過渡現象により、前記供給源からの前記作動用電力の供給の停止後から、前記RC回路の時定数に応じた所定時間に亘り継続して、前記第2電力量未満で、且つ、前記第1電力量以上の前記作動用電力が、前記RC回路から前記ソレノイドに供給されることを特徴とする。
【0020】
さらに、請求項9に記載した本発明の電磁弁駆動装置は、図3に基本構成図で示すように、前記ソレノイド5に対する前記作動用電力の供給指令と該作動用電力の供給停止指令とを出力する電力供給指令手段13αと、前記第3及び第4電力供給経路γ,δと前記供給源11とを接続する第5電力供給経路εと、該第5電力供給経路εを開放状態と閉成状態との間で変移させる第4スイッチ手段TRdとをさらに備え、該第4スイッチ手段TRdが、前記作動用電力の供給指令の入力により前記第5電力供給経路εを開放状態から閉成状態に変移させると共に、前記作動用電力の供給停止指令の入力により前記第5電力供給経路εを閉成状態から開放状態に変移させるように構成されているものとした。
【0021】
請求項1に記載した本発明の電磁弁によれば、ソレノイドの通電によりプランジャが吸引される際、その吸引力がプランジャ付勢手段の付勢力を下回る程度の通電量であれば、ホルダがホルダ移動規制部材により主弁から離間する向きへの移動を規制された状態で、プランジャ付勢手段によりホルダに対して主弁に接近する方向に付勢されたプランジャが、弁座を閉じた場合の主弁のパイロット通路をニードル弁が半開する箇所において、プランジャ移動規制部材により、それ以上主弁に接近する向きへの移動を規制される。
【0022】
よって、電磁弁の開閉時に、ソレノイドの通電量を当初は定格電流より小さい量に制御すると、ホルダ移動規制部材によるホルダの主弁から離間する向きへの移動の規制により、チャンバと一次側及び二次側との圧力差によって定まる主弁の開方向への付勢力次第で、主弁が弁座を閉じ且つニードル弁がパイロット通路を半開する状態か、或は、主弁がプランジャに追従してニードル弁にパイロット通路が塞がれるまで移動して、パイロット通路が全閉で主弁が弁座を半開した状態かのどちらかに、安定して保持される。
【0023】
従って、いずれにしても、弁座の開閉の際に、弁座又はパイロット通路が半開されて、一次側と二次側との圧力差が一気に変動するのではなく、徐々に変動することとなり、これにより、弁座の開閉に伴う弁座の通過流体の急激な流量変化の発生を抑制し、ひいては、これに伴うウォータハンマ現象の発生を確実に抑制又は防止することが可能となる。
【0024】
また、請求項2に記載した本発明の電磁弁によれば、ソレノイドの通電停止時にプランジャを弁座側に戻すのに復帰用付勢手段を用いる場合、ソレノイドの通電量を抑制して弁座とパイロット通路とのうちどちらかを半開状態にするのに、ホルダ移動規制部材やプランジャ移動規制部材による移動の規制、及び、プランジャ付勢手段のバネ力は用いるものの、復帰用付勢手段のバネ力は一切用いない。
【0025】
従って、復帰用付勢手段のバネ力とソレノイドの通電によるプランジャの吸引力とのバランスで弁座とパイロット通路とのうちどちらかを半開状態にするという、ソレノイドの容量を大きくしなければ安定した状態に保持できない構造になるのを防止することが可能となる。
【0026】
さらに、請求項3に記載した本発明の電磁弁によれば、ソレノイドの通電によりプランジャがプランジャ付勢手段の付勢力を上回る吸引力で吸引されて吸引子に衝突する際に、緩衝部材によりその衝突の衝撃が緩和されるので、ウォータハンマによる騒音と共にプランジャの移動に伴う衝撃が原因の騒音の発生を合わせて抑制し、電磁弁の起こす騒音を全体的に解消することが可能となる。
【0027】
また、請求項4に記載した本発明の電磁弁駆動装置によれば、第1スイッチ手段により第1電力供給経路が開放状態から閉成状態に変移されると、この第1電力供給経路により供給源からの作動用電力が第1電力量でソレノイドに供給され、プランジャ及びホルダのうち一方から他方にプランジャ付勢手段が付与する付勢力を下回る吸引力が、主弁から離間する向きでソレノイドからプランジャに与えられる。
【0028】
すると、主弁が弁座を閉じ且つニードル弁がパイロット通路を半開する状態か、或は、主弁がプランジャに追従してニードル弁にパイロット通路が塞がれるまで移動して、パイロット通路が全閉で主弁が弁座を半開した状態かのどちらかに、電磁弁が安定して保持される。
【0029】
そして、第1スイッチ手段により第1電力供給経路が開放状態から閉成状態に変移されたままの状態で、第2スイッチ手段により第2電力供給経路が開放状態から閉成状態に変移されると、この第2電力供給経路による第2電力量の作動用電力と、既に閉成状態にある第1電力供給経路による第1電力量の作動用電力とを合成した電力量で、供給源からの作動用電力がソレノイドに供給され、ソレノイドからプランジャに、主弁から離間する向きの最大吸引力が与えられる。
【0030】
すると、プランジャが主弁から離間する方向に移動し、このプランジャに追従して主弁がニードル弁にパイロット通路が塞がれるまで移動して、パイロット通路が全閉で主弁が弁座を全開した状態に、電磁弁が安定して保持される。
【0031】
従って、請求項1、2又は3記載の電磁弁を弁閉状態から弁開状態に駆動させる際には、第1スイッチ手段により第1電力供給経路を開放状態から閉成状態に変移させ、それから時間をおいて、第2スイッチ手段により第2電力供給経路を開放状態から閉成状態に変移させることで、ソレノイドへの通電量を、ゼロから第1電力量へ、次いで、第1電力量から第1電力量と第2電力量とを合成した電力量へと、段階的に増加させて、弁座を開く際に、弁座又はパイロット通路が半開された状態を途中で確実に発生させることが可能となる。
【0032】
同様に、請求項1、2又は3記載の電磁弁を弁開状態から弁閉状態に駆動させる際には、第2スイッチ手段により第2電力供給経路を閉成状態から開放状態に変移させ、それから時間をおいて、第1スイッチ手段により第1電力供給経路を閉成状態から開放状態に変移させることで、ソレノイドへの通電量を、第1電力量と第2電力量とを合成した電力量から第1電力量へ、次いで、第1電力量からゼロへと、段階的に減少させて、弁座を閉じる際に、弁座又はパイロット通路が半開された状態を途中で確実に発生させることが可能となる。
【0033】
さらに、請求項5に記載した本発明の電磁弁駆動装置によれば、ソレノイド5に対する作動用電力の供給指令が電力供給指令手段13αから出力されると、その時点で第1スイッチ手段TRaにより第1電力供給経路αが開放状態から閉成状態に変移されて、この第1電力供給経路αにより供給源11からの作動用電力が第1電力量でソレノイド5に供給され、プランジャ55及びホルダのうち一方から他方にプランジャ付勢手段が付与する付勢力を下回る吸引力が、主弁から離間する向きでソレノイド5からプランジャ55に与えられる。
【0034】
そして、ソレノイド5に対する作動用電力の供給指令が電力供給指令手段13αから出力された時点から所定時間t1 が経過すると、第2スイッチ手段TRbにより第2電力供給経路βが開放状態から閉成状態に変移されて、この第2電力供給経路βによる第2電力量の作動用電力と、先に閉成状態に変移された第1電力供給経路αによる第1電力量の作動用電力とを合成した電力量で、供給源11からの作動用電力がソレノイド5に供給され、ソレノイド5からプランジャ55に、主弁から離間する向きの最大吸引力が与えられる。
【0035】
また、ソレノイド5に対する作動用電力の供給停止指令が電力供給指令手段13αから出力されると、その時点で第2スイッチ手段TRbにより第2電力供給経路βが閉成状態から開放状態に変移されて、供給源11からソレノイド5に供給される作動用電力が、第1電力量及び第2電力量を合成した電力量から第1電力量に変移する。
【0036】
そして、ソレノイド5に対する作動用電力の供給停止指令が電力供給指令手段13αから出力された時点から所定時間t2 が経過すると、第1スイッチ手段TRaにより第1電力供給経路αが閉成状態から開放状態に変移されて、供給源11からソレノイド5への作動用電力の供給が停止され、ソレノイド5からの吸引力がプランジャ55に付与されなくなる。
【0037】
従って、請求項1、2又は3記載の電磁弁の弁座を開く際や閉じる際に、弁座又はパイロット通路が半開された状態が途中で発生するように、弁閉状態から弁開状態に駆動させる際には、ソレノイド5への通電量を、ゼロから第1電力量へ、次いで、第1電力量から第1電力量と第2電力量とを合成した電力量へと、段階的に確実に増加させ、同様に、電磁弁を弁開状態から弁閉状態に駆動させる際には、ソレノイド5への通電量を、第1電力量と第2電力量とを合成した電力量から第1電力量へ、次いで、第1電力量からゼロへと、段階的に確実に減少させることが可能となる。
【0038】
また、請求項6に記載した本発明の電磁弁駆動装置によれば、外部からの作動用電力の供給指令の第2スイッチ手段に対する出力を供給指令遅延手段により遅延させることで、第2スイッチ手段により第2電力供給経路が開放状態から閉成状態に変移する時点を、第1スイッチ手段により第1電力供給経路が開放状態から閉成状態に変移する時点よりも遅延させ、これにより、電磁弁を弁閉状態から弁開状態に駆動させる際に、ソレノイドへの通電量を、ゼロから第1電力量へ、次いで、第1電力量から第1電力量と第2電力量とを合成した電力量へと、段階的に確実に増加させることが可能となる。
【0039】
同様に、外部からの作動用電力の供給停止指令の第1スイッチ手段に対する出力を停止指令遅延手段により遅延させることで、第1スイッチ手段により第1電力供給経路が閉成状態から開放状態に変移する時点を、第2スイッチ手段により第2電力供給経路が閉成状態から開放状態に変移する時点よりも遅延させ、これにより、これにより、電磁弁を弁開状態から弁閉状態に駆動させる際に、ソレノイドへの通電量を、第1電力量と第2電力量とを合成した電力量から第1電力量へ、次いで、第1電力量からゼロへと、段階的に確実に減少させることが可能となる。
【0040】
さらに、請求項7に記載した本発明の電磁弁駆動装置によれば、ソレノイド5に対する作動用電力の供給指令が電力供給指令手段13αから出力されると、その時点で供給指令が入力される第1スイッチ手段TRaにより、第1電力供給経路αが開放状態から閉成状態に変移されて、この第1電力供給経路αにより供給源11からの作動用電力が第1電力量でソレノイド5に供給され、プランジャ55及びホルダのうち一方から他方にプランジャ付勢手段が付与する付勢力を下回る吸引力が、主弁から離間する向きでソレノイド5からプランジャ55に与えられる。
【0041】
そして、ソレノイド5に対する作動用電力の供給指令が電力供給指令手段13αから出力された時点から所定時間t1 が経過すると、その時点で供給指令遅延手段DL2により遅延された供給指令が入力される第2スイッチ手段TRbにより、第2電力供給経路βが開放状態から閉成状態に変移されて、この第2電力供給経路βによる第2電力量の作動用電力と、先に閉成状態に変移された第1電力供給経路αによる第1電力量の作動用電力とを合成した電力量で、供給源11からの作動用電力がソレノイド5に供給され、ソレノイド5からプランジャ55に、主弁から離間する向きの最大吸引力が与えられる。
【0042】
また、ソレノイド5に対する作動用電力の供給停止指令が電力供給指令手段13αから出力されると、その時点で供給停止指令が入力される第2スイッチ手段TRbにより、第2電力供給経路βが閉成状態から開放状態に変移されて、供給源11からソレノイド5に供給される作動用電力が、第1電力量及び第2電力量を合成した電力量から第1電力量に変移する。
【0043】
そして、ソレノイド5に対する作動用電力の供給停止指令が電力供給指令手段13αから出力された時点から所定時間t2 が経過すると、その時点で停止指令遅延手段DL1により遅延された供給停止指令が入力される第1スイッチ手段TRaにより、第1電力供給経路αが閉成状態から開放状態に変移されて、供給源11からソレノイド5への作動用電力の供給が停止され、ソレノイド5からの吸引力がプランジャ55に付与されなくなる。
【0044】
従って、供給指令の第2スイッチ手段TRbへの出力を供給指令遅延手段DL2により遅延させることで、第1スイッチ手段TRaによる第1電力供給経路αの開放状態から閉成状態への変移よりも、第2スイッチ手段TRbによる第2電力供給経路βの開放状態から閉成状態への変移を遅延させて、電磁弁11を弁閉状態から弁開状態に駆動させる際に、電磁弁11の駆動のために供給指令や供給停止指令から時間差のある2つの信号を生成する必要をなくし、その分だけ信号生成系及び信号出力系の動作を簡略化することが可能となる。
【0045】
同様に、供給停止指令の第1スイッチ手段TRaへの出力を停止指令遅延手段DL1により遅延させることで、第2スイッチ手段TRbによる第2電力供給経路βの閉成状態から開放状態への変移よりも、第1スイッチ手段TRaによる第1電力供給経路αの閉成状態から開放状態への変移を遅延させて、電磁弁11を弁開状態から弁閉状態に駆動させる際に、電磁弁11の駆動のために供給指令や供給停止指令から時間差のある2つの信号を生成する必要をなくし、その分だけ信号生成系及び信号出力系の動作を簡略化することが可能となる。
【0046】
また、請求項8に記載した本発明の電磁弁駆動装置によれば、供給源からの作動用電力の供給が開始されると、この時点で作動用電力が第3電力供給経路により第1電力量でソレノイドに供給され、プランジャ及びホルダのうち一方から他方にプランジャ付勢手段が付与する付勢力を下回る吸引力が、主弁から離間する向きでソレノイドからプランジャに与えられる。
【0047】
すると、主弁が弁座を閉じ且つニードル弁がパイロット通路を半開する状態か、或は、主弁がプランジャに追従してニードル弁にパイロット通路が塞がれるまで移動して、パイロット通路が全閉で主弁が弁座を半開した状態かのどちらかに、電磁弁が安定して保持される。
【0048】
そして、供給源からの作動用電力の供給が開始された時点から所定時間経過し、供給源からの作動用電力を基に生成されて通電信号遅延手段により遅延された通電信号が第3スイッチ手段に入力されて、第4電力供給経路が開放状態から閉成状態に変移されると、この第4電力供給経路による第2電力量の作動用電力と、既に第3電力供給経路により供給されている第1電力量の作動用電力とを合成した電力量で、供給源からの作動用電力がソレノイドに供給され、ソレノイドからプランジャに、主弁から離間する向きの最大吸引力が与えられる。
【0049】
すると、プランジャが主弁から離間する方向に移動し、このプランジャに追従して主弁がニードル弁にパイロット通路が塞がれるまで移動して、パイロット通路が全閉で主弁が弁座を全開した状態に、電磁弁が安定して保持される。
【0050】
また、供給源からの作動用電力の供給が停止されると、その時点で第3スイッチ手段により第4電力供給経路が閉成状態から開放状態に変移されて、第4電力供給経路による第2電力量での供給源からの作動用電力の供給が停止すると共に、第3電力供給経路による第1電力量での供給源からの作動用電力の供給が停止する。
【0051】
その一方で、供給源からの電力の供給が停止されると、ソレノイドに並列接続されたRC回路において発生する過渡現象によって、RC回路の時定数に応じた所定時間に亘ってこのRC回路を電流が流れ、この電流の流れによって、RC回路が並列接続されたソレノイドに、第2電力量未満で、且つ、第1電力量以上の作動用電力が供給される。
【0052】
これにより、供給源からの電力の供給が停止された後、RC回路の時定数に応じた所定時間に亘って、主弁が弁座を閉じ且つニードル弁がパイロット通路を半開する状態か、或は、主弁がプランジャに追従してニードル弁にパイロット通路が塞がれるまで移動して、パイロット通路が全閉で主弁が弁座を半開した状態かのどちらかに、電磁弁が安定して保持される。
【0053】
そして、RC回路の時定数に応じた所定時間が経過すると、過渡現象によりRC回路を流れる電流の低下で、RC回路からソレノイドに供給される作動用電力の電力量が第1電力量未満となり、やがては、RC回路の過渡現象の終了で、RC回路からソレノイドに作動用電力が供給されなくなって、ソレノイドからの吸引力が付与されなくなったプランジャが、主弁のパイロット通路を全閉したまま主弁を押しながら元の位置に復帰して、チャンバと一次側及び二次側との圧力差により主弁が弁座を全閉する状態に電磁弁が復帰する。
【0054】
従って、請求項1、2又は3記載の電磁弁を弁閉状態から弁開状態に駆動させる際に、ソレノイドへの通電量を、ゼロから第1電力量へ、次いで、第1電力量から第1電力量と第2電力量とを合成した電力量へと、段階的に増加させ、同様に、電磁弁を弁開状態から弁閉状態に駆動させる際においても、ソレノイド5の通電量を、第1電力量と第2電力量とを合成した電力量から、第2電力量未満で、且つ、第1電力量以上の電力量へ、次いで、第2電力量未満で、且つ、第1電力量以上の電力量からゼロへと、段階的に減少させて、弁座を開く際や閉じる際に、弁座又はパイロット通路が半開された状態を途中で確実に発生させることが可能となる。
【0055】
さらに、請求項9に記載した本発明の電磁弁駆動装置によれば、ソレノイド5に対する作動用電力の供給指令が電力供給指令手段13αから出力されると、その時点で第4スイッチ手段TRdにより第5電力供給経路εが開放状態から閉成状態に変移されて、この第5電力供給経路εと第3電力供給経路γにより供給源11からの作動用電力が第1電力量でソレノイド5に供給され、プランジャ55及びホルダのうち一方から他方にプランジャ付勢手段が付与する付勢力を下回る吸引力が、主弁から離間する向きでソレノイド5からプランジャ55に与えられる。
【0056】
そして、ソレノイド5に対する作動用電力の供給指令が電力供給指令手段13αから出力された時点から所定時間t1 が経過すると、その時点で通電信号遅延手段DL3により遅延された通電信号が入力される第3スイッチ手段TRcにより、第4電力供給経路δが開放状態から閉成状態に変移されて、この第4電力供給経路δによる第2電力量の作動用電力と、既に供給源11に接続されている第3電力供給経路γによる第1電力量の作動用電力とを合成した電力量で、供給源11からの作動用電力がソレノイド5に供給され、ソレノイド5からプランジャ55に、主弁から離間する向きの最大吸引力が与えられる。
【0057】
また、ソレノイド5に対する作動用電力の供給停止指令が電力供給指令手段13αから出力されると、その時点で通電信号の入力が停止される第3スイッチ手段TRcにより、第4電力供給経路δが閉成状態から開放状態に変移されて、第4電力供給経路δによる第2電力量での供給源11からの作動用電力の供給が停止すると共に、第3電力供給経路γによる第1電力量での供給源11からの作動用電力の供給が停止する。
【0058】
その一方で、供給源11からの電力の供給が停止されると、ソレノイド5に並列接続されたRC回路Xにおいて発生する過渡現象によって、RC回路Xの時定数に応じた所定時間t2 に亘ってこのRC回路Xを電流が流れ、この電流の流れによって、RC回路Xが並列接続されたソレノイド5に、第2電力量未満で、且つ、第1電力量以上の作動用電力が供給される。
【0059】
そして、RC回路Xの時定数に応じた所定時間t2 が経過すると、過渡現象によりRC回路Xを流れる電流の低下で、RC回路Xからソレノイド5に供給される作動用電力の電力量が第1電力量未満となり、やがては、RC回路Xの過渡現象の終了で、RC回路Xからソレノイド5に作動用電力が供給されなくなって、ソレノイド5からの吸引力がプランジャ55に付与されなくなる。
【0060】
従って、第4スイッチ手段TRdによる第5電力供給経路εの開放状態から閉成状態への変移に伴って生成される通電信号の、第3スイッチ手段TRcへの出力を、通電信号遅延手段DL3により遅延させることで、第3電力供給経路γによる第1電力量での供給源11からの作動用電力の供給の開始よりも、第3スイッチ手段TRcによる第4電力供給経路δの開放状態から閉成状態への変移を遅延させて、電磁弁11を弁閉状態から弁開状態に駆動させる際に、電磁弁11の駆動のために供給指令や供給停止指令から時間差のある2つの信号を生成する必要をなくし、その分だけ信号生成系及び信号出力系の動作を簡略化することが可能となる。
【0061】
同様に、第4スイッチ手段TRdによる第5電力供給経路εの閉成状態から開放状態への変移に伴って発生する過渡現象により、RC回路Xを流れる電流によって、RC回路Xが並列接続されたソレノイド5に、第2電力量未満で、且つ、第1電力量以上の作動用電力を、RC回路Xの時定数に応じた所定時間t2 に亘って供給させることで、第3スイッチ手段TRcによる第4電力供給経路δの閉成状態から開放状態への変移よりも、RC回路Xの過渡現象に起因してソレノイド5に供給される作動用電力が第1電力量を下回る時点を遅延させて、電磁弁11を弁開状態から弁閉状態に駆動させる際に、電磁弁11の駆動のために供給指令や供給停止指令から時間差のある2つの信号を生成する必要をなくし、その分だけ信号生成系及び信号出力系の動作を簡略化することが可能となる。
【0062】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0063】
尚、ここでは、車両の冷房装置において冷媒回路を開閉する電磁弁と、この電磁弁を駆動させるための装置とを有する、本発明の電磁弁と電磁弁駆動装置とが適用される電磁弁システムを例に取り、第1乃至第3の3つの実施形態について説明することにする。
【0064】
まず、本発明の第1乃至第3の各実施形態に係る電磁弁システムに共通して用いられる電磁弁を、図4乃至図13を参照して説明する。
【0065】
図4は第1乃至第3の各実施形態に係る電磁弁の断面図で、図4中引用符号1で示す本実施形態の電磁弁は、本体部3、ソレノイド5、これら本体部3とソレノイド5とを連結する連結部7、並びに、主弁9を備えている。
【0066】
前記本体部3は、凝縮器及びレシーバ(いずれも図示せず)側、つまり、一次側に接続されて液冷媒(図示せず)が流入する流入口31と、蒸発器側、つまり、二次側に接続されて前記液冷媒が流出する流出口33と、この流出口33に連通して形成された弁座35と、前記流入口31に連通して形成されその内部に前記弁座35が開口された弁室37とを有している。
【0067】
前記流入口31及び流出口33は略一直線上に配置されていて、流出口33の流入口31寄り部分が略L字状に折曲されており、この折曲された流出口33部分の終端に前記弁座35が形成され、この弁座35を囲み弁座35と同心円上に位置するように、前記弁室37が略円筒状に形成されていて、弁室37の内周には、前記連結部7の取付用の雌ねじ部37aが形成されている。
【0068】
前記ソレノイド5は、固定鉄心を構成する吸引子51と、この吸引子51の回りに巻回されたコイル53と、前記吸引子51と同軸上に位置するようにコイル53内に挿通されたプランジャ55と、このプランジャ55に嵌挿されたホルダ57とを有しており、前記吸引子51のプランジャ55側の端面には、深くなるにつれて径が若干小さくなる略円錐台状の凹部51aが形成されていて、この凹部51a内に、中心に突起51bを有する円板状の弾性体からなる緩衝部材51cが収容されている。
【0069】
前記ホルダ57は、図5に弁部分の要部拡大断面図で示すように、前記吸引子51と略等しい外径の円柱状を呈しており、このホルダ57の一端外周には環状のフランジ57aが形成されている。
また、フランジ57a側のホルダ57の端部には円柱状の凹部57bが形成されており、フランジ57a側とは反対側のホルダ57の端部には、凹部57bよりも小さい内径で通孔57cが形成されている。
【0070】
前記プランジャ55は、基部55a、弁部55e、並びに、ニードル弁バネ55jを有している。
【0071】
前記基部55aは、前記ホルダ57と略等しい外径の円筒状に形成されており、基部55aの内部で軸方向略中間付近の部分には、内径が大径から小径に変わる段差部55bが形成されていて、この段差部55bよりも大径側の基部55a箇所には、基部55aの軸心を通り径方向に貫通する通孔55cが形成されており、段差部55bよりも小径部側の基部55aの端部には、先細りの略円錐台状を呈し吸引子51の凹部51aに対応する凸部55dが突設されている。
尚、基部55aのうち段差部55bよりも大径側は、ホルダ57の通孔57cと略等しい内径で形成されている。
【0072】
前記弁部55eは、基部55aの大径部分の内径に対応する外径の円柱状を呈しており、弁部55eの一端寄り部分には、弁部55eの軸心を通り径方向に貫通する通孔55fが、基部55aの通孔55cよりも小さい内径で形成されており、この通孔55fとは反対側の弁部55eの端部には、ホルダ57の凹部57bに挿入可能な大径で環状のフランジ55gが形成されていて、このフランジ55gの略中心に円錐状のニードル弁55hが突設されている。
【0073】
前記ニードル弁バネ55j(プランジャ付勢手段に相当)は、ホルダ57の凹部57bに収容可能で且つフランジ55gを除く弁部55e部分に嵌装可能な寸法で形成されている。
【0074】
これら基部55a、弁部55e、並びに、ニードル弁バネ55jを有するプランジャ55及びホルダ57の組み付けは、次のようにして行う。
【0075】
まず、ホルダ57の通孔55f側の端部を、基部55aの段差部55bよりも大径側の端部に当て付けると共に、ホルダ57の凹部57b内にニードル弁バネ55jを収容しておく。
次に、この状態で通孔55f寄りの端部側から弁部55eをホルダ57の凹部57bに挿入してニードル弁バネ55jの内部を挿通させ、さらに、ホルダ57の通孔57cを挿通して基部55aの内部に挿入し、弁部55eの通孔55f寄りの端部を基部55aの段差部55bに当て付ける。
【0076】
これにより、基部55aの軸方向における基部55aの通孔55cと弁部55eの通孔55fとの位置が一致するので、周方向においても互いの位置を合わせた上で、これら通孔55c,55fに亘ってストッパピン55kを嵌挿する。
【0077】
以上の作業でプランジャ55及びホルダ57の組み付けが完了し、これによりプランジャ55及びホルダ57は、図6に図5とは周方向に90゜向きを変えた拡大断面図に示すように、弁部55eの通孔55fに嵌挿したストッパピン55kが基部55aの通孔55cのホルダ57寄りに偏心して位置すると共に、ニードル弁バネ55jがホルダ57の凹部57bの底面と弁部55eのフランジ55gとの間に収縮状態に配置された状態となる。
【0078】
従って、ニードル弁バネ55jの弾発力によりホルダ57は基部55aに当て付けられ、また、弁部55eはホルダ57の凹部57bから突出する方向に付勢され、この付勢により弁部55eのフランジ55gは、ホルダ57のフランジ57aからホルダ57の外方に突出した箇所に位置する。
即ち、本実施形態では、請求項中のプランジャ移動規制部材が基部55aで構成されている。
【0079】
尚、図5中引用符号59はプランジャチューブを示し、このプランジャチューブ59は、プランジャ55及びホルダ57のフランジ57aを除く部分が挿通可能な内径の円筒状の薄板により形成されている。
【0080】
前記連結部7は、略円筒状を呈しており、連結部7の内部には、内径が大径から小径に変わる段差部71が形成されていて、この段差部71よりも小径側の部分は、プランジャチューブ59の外径に対応する内径で形成されており、段差部71に対応する連結部7の外周部分には環状のフランジ73が形成されている。
【0081】
そして、前記段差部71よりも大径側の連結部7部分の外周には、本体部3の弁室37に形成された雌ねじ部37aに螺着可能な雄ねじ部75が形成されており、この雄ねじ部75を本体部3の雌ねじ部37aに螺着した状態で弁室37に連通するチャンバ77が、連結部7の内部で段差部71よりも大径側の部分によって構成されている。
【0082】
前記主弁9は、前記連結部7のチャンバ77の内径よりも僅かに小さい外径の円筒状に形成されていて、主弁9の中心軸上には、プランジャ55の弁部55eのニードル弁55hにより開閉されるパイロット通路91が貫設されており、本体部3の雌ねじ部37aに連結部7の雄ねじ部75を螺着した状態で、主弁9がチャンバ77の内部を段差部71に対して接近離間する方向に、ニードル弁55hの突出高さAよりも大きいストロークで移動できるように構成されている。
【0083】
また、前記主弁9は、外径が次第に変わる略円錐台状を呈する主弁バネ93と共に本体部3の弁室37に収容され、本体部3の雌ねじ部37aに連結部7の雄ねじ部75を螺着した状態で、主弁バネ93の小径側が主弁9の一端に当接すると共に大径側が弁室37の底面に当接し、この主弁バネ93により主弁9は、弁座35から離間してこれを開く方向に、極めて僅かな力で付勢されている。
【0084】
そして、以上に説明した構成の本体部3、ソレノイド5、連結部7、並びに、主弁9を備える本実施形態の電磁弁1の組み付けは、次のようにして行う。
【0085】
まず、吸引子51の凹部51a側にプランジャチューブ59の一端側を溶接等により取着し、さらに、プランジャチューブ59の他端側を、連結部7の段差部71よりも小径側の部分の内周壁部分にろう付け等により取着する。
【0086】
次に、プランジャ55の基部55aの凸部55d側から、基部55aの内部の段差部55bよりも小径部側の部分に、プランジャバネ55mを収容して、このプランジャバネ55mの部分を凸部55dから基部55aの外方に突出させた状態で、連結部7側からプランジャチューブ59の内部に、プランジャ55を基部55aの凸部55d側から挿入し、この凸部55dから基部55aの外方に突出するプランジャバネ55mの部分を、吸引子51の緩衝部材51cの突起51bに嵌着する。
【0087】
続いて、主弁9を連結部7のチャンバ77に収容すると共に、主弁9の端部外周に主弁バネ93の一端を係合し、この状態で、連結部7の雄ねじ部75を本体部3の雌ねじ部37aに螺着して、本体部3の弁座35に主弁9の端面を当て付けると共に、弁座35の外側に主弁バネ93を収縮状態で配置する。
【0088】
最後に、上述したようにして連結部7及び本体部3がプランジャチューブ59を介して取着された吸引子51をコイル53内に挿通し、ボルト51dにより吸引子51を固定する。
これにより、電磁弁1の組み付けが終了する。
【0089】
上述した構成の電磁弁1は、ソレノイド5のコイル53に全く通電していない状態では、図5に示すように、プランジャバネ55mの弾発力によりプランジャ55の基部55aが吸引子51から離間して弁座35側に押し出され、且つ、ニードル弁バネ55jの弾発力によりホルダ57が基部55aに当て付けられていて、ホルダ57のフランジ57aが連結部7の段差部71よりも、ニードル弁55hの突出高さAよりも小さい間隔Bだけ離間して弁座35寄りに位置する。
【0090】
また、ソレノイド5のコイル53に全く通電していない状態では、ニードル弁バネ55jの弾発力によりホルダ57の凹部57bから突出する方向に付勢された弁部55eのフランジ55gが、連結部7の段差部71よりも弁座35寄りに位置したフランジ57aからホルダ57の外方に突出した箇所に位置し、このフランジ55gのニードル弁55hが主弁9に押し付けられて、パイロット通路91がニードル弁55hにより全閉されると共に、プランジャ55の弁部55eから主弁9を介して押された主弁バネ93が収縮して、主弁9が弁座35に押し当てられてこの弁座35が全閉される。
【0091】
尚、本実施形態における前記ニードル弁バネ55j、プランジャバネ55m、及び、主弁バネ93のバネ力については、以下の電磁弁1の動作説明の際に解説することとする。
【0092】
次に、上述した構成による本実施形態の電磁弁1の動作(作用)について説明する。
【0093】
まず、上述したソレノイド5のコイル53に全く通電していない電磁弁1の弁閉状態では、流入口31側の液冷媒が主弁9の外周との僅かな隙間を通ってチャンバ77に流入し、これにより、チャンバ77内の液冷媒の圧力は、流入口31側、つまり、凝縮器及びレシーバ側と同じ圧力となり、弁座35に連通する流出口33、つまり、蒸発器側より高くなる。
【0094】
ここで、電磁弁1を弁開状態とするために、まずは、定格電流よりも低い電流、例えば、本実施形態の場合には、定格電流の50%の電流をコイル53に通電してプランジャ55に吸引子51側への吸引力を働かせると、プランジャバネ55mはその弾発力よりもプランジャ55の吸引力の方が勝るため収縮するものの、ニードル弁バネ55jはその弾発力の方がプランジャ55の吸引力よりも勝るため全く収縮しない。
【0095】
従って、プランジャ55の基部55aにホルダ57が当て付けられて、弁部55eのフランジ55gがホルダ57の凹部57bから突出したままの状態で、ホルダ57のフランジ57aが連結部7の段差部71に当接するまでプランジャ55が吸引子51側に移動する。
【0096】
そして、プランジャバネ55mの弾発力よりもプランジャ55の吸引力の方が勝り、且つ、このプランジャ55の吸引力よりもニードル弁バネ55jの弾発力の方が勝ることから、プランジャ55は、上述した、基部55aにホルダ57が当て付けられて弁部55eのフランジ55gがホルダ57の凹部57bから突出し、且つ、ホルダ57のフランジ57aが連結部7の段差部71に当接した状態に安定して保持される。
【0097】
このときの主弁9の動作は、チャンバ77内の液冷媒の圧力と流入口31側の液冷媒の圧力との差圧、及び、チャンバ77内の液冷媒の圧力と流出口33側の液冷媒の圧力との差圧のバランスにより、2通りに分かれ、この差圧のバランスは、ニードル弁55hがパイロット通路91を全閉している状態では、流入口31側の液冷媒が主弁9の外周との僅かな隙間を通ってチャンバ77に流入する流量によって定まる。
【0098】
また、ニードル弁55hがパイロット通路91を僅かでも開いている状態では、流入口31からチャンバ77への液冷媒の流入量に加えて、パイロット通路91を介してチャンバ77から流出口33へ流出する液冷媒の量によって定まる。
【0099】
そして、チャンバ77内の液冷媒の圧力を流入口31側の液冷媒の圧力が上回って主弁9を弁座35から離間させる向きに働く力よりも、チャンバ77内の液冷媒の圧力を流出口33側の液冷媒の圧力が下回って主弁9を弁座35側に吸引するように働く力が勝っていれば、図7に要部拡大断面図で示すように、主弁バネ93が収縮して主弁9が弁座35を全閉したままとなり、従って、プランジャ55の吸引子51側への移動に伴って、ニードル弁55hがその突出高さAよりも小さい間隔Bだけ主弁9のパイロット通路91から離間して、パイロット通路91が半開状態となる。
【0100】
一方、チャンバ77内の液冷媒の圧力を流入口31側の液冷媒の圧力が上回って主弁9を弁座35から離間させる向きに働く力が、チャンバ77内の液冷媒の圧力を流出口33側の液冷媒の圧力が下回って主弁9を弁座35側に吸引するように働く力よりも勝っていれば、図8に拡大断面図で示すように、主弁バネ93の弾発力により主弁9が、プランジャ55の吸引子51側への移動に追従して、前記間隔Bだけ主弁9が弁座35から離間し、これにより、ニードル弁55hはパイロット通路91を全閉したまま、弁座35が半開状態となる。
【0101】
そして、図7に示すように、主弁9が弁座35を全閉したままニードル弁55hがパイロット通路91を半開すると、チャンバ77内の液冷媒が僅かずつパイロット通路91を通って流出口33側に流入し、また、図8に示すように、ニードル弁55hがパイロット通路91を全閉したまま主弁9が弁座35を半開すると、弁室37内の液冷媒が僅かずつ弁座35を通って流出口33側に流入する。
【0102】
この場合、流入口31側と流出口33側との各圧力の変動特性は、パイロット通路91が半開した際と弁座35が半開した際とでは厳密には一致しないものの、おおよそ、図9の特性図に示すようになる。
【0103】
即ち、定格電流の50%の電流をコイル53に通電して、プランジャ55に吸引子51側への吸引力を働かせた時点T1以降の流入口31側の液冷媒の圧力P1は、流出口33側への液冷媒の流入が僅かずつであることから、一瞬僅かに下がるものの直ぐに元の圧力に戻って、それ以降は略変動しない。
【0104】
一方、流出口33側の液冷媒の圧力P2は、半開のパイロット通路91か弁座35を通って流入口31乃至チャンバ77側から流入する液冷媒により徐々に上がって、流入口31側の液冷媒の圧力P1に近づいていく。
【0105】
その後、流出口33側の液冷媒の圧力P2と流入口31側の液冷媒の圧力P1との差圧がある程度の大きさ以内に収まりそうなタイミングを見計らって、コイル53に定格電流の100%の電流を通電してプランジャ55に吸引子51側への吸引力を最大に働かせると、ニードル弁バネ55jが、その弾発力よりもプランジャ55の吸引力の方が勝るため収縮する。
【0106】
従って、弁部55eと基部55aが吸引子51に吸引されて、ニードル弁55hの突出高さAよりも大きい最大間隔C(図10及び図11参照)だけ、弁座35から離間するようにホルダ57に対して相対移動し、弁部55eのフランジ55gがホルダ57の凹部57bに収容される。
【0107】
すると、この時点では、流出口33側の液冷媒の圧力P2が流入口31側の液冷媒の圧力P1にある程度近づいており、その分だけ、チャンバ77内の液冷媒の圧力を流出口33側の液冷媒の圧力が下回って主弁9を弁座35側に吸引するように働く力が弱まっていることから、チャンバ77内の液冷媒の圧力を流入口31側の液冷媒の圧力が上回って主弁9を弁座35から離間させる向きに働く力の方が勝ることとなる。
【0108】
このため、図7に示す、主弁9が弁座35を全閉しニードル弁55hがパイロット通路91を半開した状態から、コイル53に定格電流の100%の電流を通電したのであれば、図10に拡大断面図で示すように、主弁9が弁座35を全閉したまま、弁部55eのニードル弁55hがその突出高さAよりも大きい最大間隔Cだけ主弁9のパイロット通路91から離間して、パイロット通路91が全開状態となる。
【0109】
そして、この状態をほんの一瞬だけ経て、さらに図11に拡大断面図で示すように、流入口31側の液冷媒の圧力により主弁9に働く力によって、主弁9が弁部55eに追従して弁座35から離間し、パイロット通路91がニードル弁55hに当たって全閉状態になると共に、主弁9が前記最大間隔Cだけ弁座35から離間して全開状態となり、これにより、電磁弁1が弁開状態となる。
【0110】
一方、図8に示す、ニードル弁55hがパイロット通路91を全閉し主弁9が弁座35を半開した状態から、コイル53に定格電流の100%の電流を通電したのであれば、図12に拡大断面図で示すように、主弁9が弁座35を半開した状態のまま、弁部55eのニードル弁55hがその突出高さAだけ主弁9のパイロット通路91から離間して、パイロット通路91が全開状態となる。
【0111】
そして、この状態をほんの一瞬だけ経て、さらに図11に示すように、流入口31側の液冷媒の圧力により主弁9に働く力によって、主弁9が弁部55eに追従して弁座35から離間し、パイロット通路91がニードル弁55hに当たって全閉状態になると共に、主弁9が前記最大間隔Cだけ弁座35から離間して全開状態となり、これにより、電磁弁1が弁開状態となる。
【0112】
この場合の流入口31側と流出口33側との各圧力の変動特性は、パイロット通路91の半開から弁座35が全開した際と、弁座35が半開から全開に変わった際とでは厳密には一致しないものの、パイロット通路91や弁座35の半開の際と同じく、おおよそ、図9に示す通りになる。
【0113】
即ち、定格電流の100%の電流をコイル53に通電してプランジャ55に吸引子51側への吸引力を働かせた時点T2以降の流入口31側の液冷媒の圧力P1は、流出口33側の液冷媒の圧力P2との差圧がある程度の大きさ以内に収まっていることから、パイロット通路91や弁座35の半開状態に比べて流入口31側から流出口33側への液冷媒の流入量が増えているものの、その影響で下がることはない。
【0114】
一方、流出口33側の液冷媒の圧力P2は、全開の弁座35を通って流入口31乃至チャンバ77側から流入する液冷媒により、パイロット通路91や弁座35の半開状態の際よりも加速して上がり、流入口31側の液冷媒の圧力P1に略一致する。
【0115】
そして、定格電流の100%の電流のコイル53への通電により弁座35が全開する時点では、パイロット通路91や弁座35の半開状態における、流入口31側から流出口33側への液冷媒の僅かずつの流入によって、流入口31側の液冷媒の圧力P1と流出口33側の液冷媒の圧力P2との差圧がある程度の大きさ以内に収まっていることから、その差圧が弁座35の全開によって一気になくなったとしても、ウォータハンマ現象は殆ど起こらず、従って、これによる大きな騒音が発生することはない。
【0116】
これに対し、電磁弁1の弁閉状態とするために、まずは、コイル53への通電量を定格電流の100%から50%に下げて、プランジャ55に働く吸引子51側への吸引力を下げると、プランジャバネ55mはその弾発力よりもプランジャ55の吸引力の方が勝るため収縮したままであるが、ニードル弁バネ55jはその弾発力の方がプランジャ55の吸引力よりも勝るため伸張する。
【0117】
従って、ニードル弁バネ55jの伸張により、ホルダ57のフランジ57aが連結部7の段差部71に当接したまま、弁部55eのフランジ55gがホルダ57の凹部57bから突出すると共に、これに連動してプランジャ55の基部55aが吸引子51から離間し、また、弁部55eに押されて、ニードル弁55hによりパイロット通路91が全閉された主弁9が主弁バネ93の弾発力に抗して弁座35側に移動して、図8に示す、ニードル弁55hがパイロット通路91を全閉し主弁9が弁座35を半開した状態に移行する。
【0118】
すると、流入口31側から流出口33側への液冷媒の流入量が減少し、蒸発器側での液冷媒の蒸発に伴って、流出口33側の液冷媒の圧力P2が次第に流入口31側の液冷媒の圧力P1よりも低くなっていく。
【0119】
その後、流出口33側の液冷媒の圧力P2と流入口31側の液冷媒の圧力P1との差圧がある程度の大きさ以上に開きそうなタイミングを見計らって、コイル53への通電を停止すると、プランジャ55に吸引子51側への吸引力が全く働かなくなり、従って、ニードル弁バネ55jに加えてプランジャバネ55mが、その弾発力によって伸張する。
【0120】
従って、プランジャバネ55mの伸張により、弁部55eのフランジ55gがホルダ57の凹部57bから突出したまま、ホルダ57のフランジ57aが連結部7の段差部71から離間し、これにより、プランジャ55の全体が弁座35側に移動すると共に、このプランジャ55全体で移動する弁部55nに押されて、ニードル弁55hによりパイロット通路91が全閉された主弁9が主弁バネ93の弾発力に抗して弁座35側に移動して、図5に示す、ニードル弁55h及び主弁9がパイロット通路91及び弁座35を各々全閉した状態に移行し、これにより、電磁弁1が弁開状態となる。
【0121】
すると、ニードル弁55h及び主弁9がパイロット通路91及び弁座35を各々全閉することで、流入口31側から流出口33側への液冷媒の流入が一切遮断され、これにより、蒸発器側での液冷媒の蒸発に伴い流出口33側の液冷媒の圧力P2が流入口31側の液冷媒の圧力P1よりも低くなる度合いが、弁座35を主弁9が半開していた状態から加速される。
【0122】
しかし、ニードル弁55h及び主弁9がパイロット通路91及び弁座35を各々全閉する時点では、弁座35を主弁9が半開していた間に、蒸発器側での液冷媒の蒸発に伴い流出口33側の液冷媒の圧力P2が流入口31側の液冷媒の圧力P1よりもある程度以上低くなっていることから、ニードル弁55h及び主弁9がパイロット通路91及び弁座35を各々全閉することによって、流出口33側の液冷媒の圧力P2の下がる度合いが加速されても、ウォータハンマ現象は殆ど起こらず、従って、これによる大きな騒音が発生することはない。
【0123】
尚、図13はプランジャ55のニードル弁55hの位置、つまり、プランジャリフトLを横軸に取り、ソレノイド5のコイル53に対する通電量に応じたプランジャ55に与える吸引力Fや、プランジャバネ55m及びニードル弁バネ55jがプランジャ55に作用するバネ力Wを縦軸に取った、これらの相関を示すグラフである。
【0124】
この図13のグラフを見ても明らかなように、図5に示す主弁9及びニードル弁55hが弁座35及びパイロット通路91を各々全閉するリフトL1の位置から、図7に示す主弁9が弁座35を全閉したままニードル弁55hがパイロット通路91を半開するか、或は、図8に示すニードル弁55hがパイロット通路91を全閉したまま主弁9が弁座35を半開する、リフトL2の位置まで、プランジャ55を移動させるのに必要な力は、プランジャバネ55mの弾発力に相当するバネ力W1〜W2と、次に説明する液冷媒からプランジャ55が受ける圧力との合力である。
【0125】
上述した液冷媒からプランジャ55が受ける圧力とは、プランジャ55をリフトL1の位置からリフトL2の位置まで移動させるのに伴いニードル弁55hがパイロット通路91から離間し始める、電磁弁1の弁開時におけるごく当初の段階にだけ発生するもので、チャンバ77内の液媒体の圧力と、これよりも低い二次側の液冷媒の圧力との差圧に、パイロット通路91の開口径を乗じた値となるが、上述の通りこの圧力はごく限られた時点でしか発生しないので、以後の動作説明においてはこの圧力を考慮しないこととする。
【0126】
また、前記リフトL2の位置から、図11に示すニードル弁55hがパイロット通路91を全閉したまま主弁9が弁座35を全開するリフトL3の位置まで、プランジャ55を移動させるのに必要な力は、プランジャバネ55mの弾発力にニードル弁バネ55jの弾発力を加えた合成バネ力W3〜W4である。
【0127】
これに対し、定格電流の50%の電流をコイル53に通電することでプランジャ55に働くソレノイド5の吸引力F50は、バネ力W1〜W2を上回り、且つ、合成バネ力W3〜W4を下回る。
【0128】
また、定格電流の100%の電流をコイル53に通電することでプランジャ55に働くソレノイド5の吸引力F100 は、バネ力W1〜W2と合成バネ力W3〜W4とをいずれも上回る。
【0129】
従って、定格電流の50%の電流をコイル53に通電してソレノイド5を作動させると、ニードル弁55h及び主弁9のうちどちらか一方が、パイロット通路91及び弁座35の対応するどちらか一方を半開した、図7や図8に示す状態に必ずなるが、その通電量では、ニードル弁55hがパイロット通路91を全閉したまま主弁9が弁座35を全開する、図11に示すに示す状態には絶対にならない。
【0130】
また、定格電流の100%の電流をコイル53に通電してソレノイド5を作動させると、ニードル弁55hがパイロット通路91を全閉したまま主弁9が弁座35を全開する、図11に示すに示す状態に必ずなる。
【0131】
そして、プランジャ55をリフトL1とリフトL2との間で移動させるために必要なバネ力W1〜W2と、プランジャ55をリフトL2とリフトL3との間で移動させるために必要な合成バネ力W3〜W4との間には、W3−W2のギャップがあるため、例えば、定格電流の50%の電流をコイル53に通電してソレノイド5を作動させた場合のプランジャ55に働くソレノイド5の吸引力F50に、図13中に破線で示すばらつき上限吸引力F50MAX と、図13中に一点鎖線で示すばらつき下限吸引力F50MIN との間のばらつきがあっても、プランジャ55の移動に影響はない。
【0132】
従って、電磁弁1の弁開時と弁閉時とで、つまり、ソレノイド5のコイル53に通電する電流の増加時と減少時とで、ヒステリシス特性による通電電圧のばらつきがあったとしても、或は、周辺温度の変化により通電電圧のばらつきがあったとしても、それらのばらつきが、上述したリフトL1とリフトL2との間、及び、リフトL2とリフトL3との間の各々の移動に必要な、バネ力W1〜W2と合成バネ力W3〜W4とのギャップW3−W2により吸収されて、プランジャ55がリフトL1とリフトL2の間、及び、リフトL2とリフトL3との間を各々正確に移動する。
【0133】
尚、参考までに、ニードル弁バネ55jを設けない従来のパイロット弁方式のプランジャとした場合の、リフトL2とリフトL3との間のバネ力を、図13中に二点鎖線で示す。
【0134】
続いて、上述した電磁弁1と共に、本発明の第1実施形態に係る電磁弁システムを構成する電磁弁駆動装置について、図14乃至図19を参照して説明する。
【0135】
図14は本発明の第1実施形態に係る電磁弁システムにおける電磁弁駆動装置の概略構成を示すブロック図で、図14中引用符号10で示す第1実施形態の電磁弁駆動装置は、電源11と、マイクロコンピュータ(以下、マイコンと略記する)13と、ドライブ回路15とを備えている。
【0136】
前記ドライブ回路15は、図15に回路図で示すように、第1及び第2の2つのスイッチングトランジスタTR1,TR2と、第1及び第2の2つの信号入力端子In1,In2等を備えている。
【0137】
そして、第1及び第2の各スイッチングトランジスタTR1,TR2は、互いのエミッタどうしが抵抗R1により接続され、各々のコレクタがいずれも接地されていると共に、第1スイッチングトランジスタTR1(第1スイッチ手段に相当)のベースは抵抗R2を介して第1信号入力端子In1に接続され、第2スイッチングトランジスタTR2(第2スイッチ手段に相当)のベースは抵抗R3を介して第2信号入力端子In2に接続され、第1スイッチングトランジスタTR1のエミッタと抵抗R1との間に、ソレノイド5のコイル53の接地側端子が接続されている。
【0138】
また、電源11(供給源に相当)は、ソレノイド5のコイル53の電源側端子に接続されている。
【0139】
そして、ドライブ回路15は、マイコン13から出力されて第1信号入力端子In1に入力される後述の第1駆動信号がローレベルの際には、第1スイッチングトランジスタTR1のエミッタ−コレクタ間が非導通状態となり、第1駆動信号がハイレベルの際には、第1スイッチングトランジスタTR1のエミッタ−コレクタ間が導通状態となると共に、マイコン13から出力されて第2信号入力端子In2に入力される後述の第2駆動信号がローレベルの際には、第2スイッチングトランジスタTR2のエミッタ−コレクタ間が非導通状態となり、第2駆動信号がハイレベルの際には、第2スイッチングトランジスタTR2のエミッタ−コレクタ間が導通状態となるように構成されている。
【0140】
そして、ドライブ回路15は、第1スイッチングトランジスタTR1のエミッタ−コレクタ間が導通することにより、このエミッタ−コレクタ間と抵抗R1とをを介して接地側端子が接地されるソレノイド5のコイル53に、電源11からの電力が定格電流の50%の電流分(第1電力量に相当)だけ供給されるように構成されている。
【0141】
また、ドライブ回路15は、第2スイッチングトランジスタTR2のエミッタ−コレクタ間が導通することにより、このエミッタ−コレクタ間を介して接地側端子が接地されるソレノイド5のコイル53に、電源11からの電力が電源11の電圧に応じた電流分(第2電力量に相当)だけ供給されるように構成されている。
【0142】
そして、ドライブ回路15は、第1及び第2の両スイッチングトランジスタTR1,TR2のエミッタ−コレクタ間が共に導通することにより、ソレノイド5のコイル53に、電源11からの電力が、定格電流の100%の電流分(第1電力量と第2電力量とを合成した電力量に相当)だけ供給されるように構成されている。
【0143】
尚、第1実施形態においては、請求項中の第1電力供給経路αが、抵抗R1と第1スイッチングトランジスタTR1のエミッタ−コレクタ間とで構成されており、第2電力供給経路βが第2スイッチングトランジスタTR2のエミッタ−コレクタ間により構成されている。
【0144】
前記マイコン13は、図14に示すように、CPU(Central Processing Unit 、中央処理装置)13aと、RAM(Ramdom Access Memory)13bと、ROM(Read-Only Memory)13cとで構成されている。
【0145】
前記CPU13aには、RAM13b及びROM13cの他、車両(図示せず)の室内温度を検知してオンオフするサーモスタット17と、この車両のインパネに設けられた冷房装置のオンオフスイッチ19と、前記第1及び第2の2つの信号入力端子In1,In2等が接続されている。
【0146】
前記RAM13bは、各種データ記憶用のデータエリア及び各種処理作業に用いるワークエリアを有しており、このうち、ワークエリアには、サーモスタット作動中フラグエリア等が設けられている。
【0147】
前記ROM13cには、CPU13aに各種処理動作を行わせるための制御プログラムが格納されている。
【0148】
次に、前記マイコン13のROM13cに格納された制御プログラムに従いCPU13aが行う処理を、図16乃至図18のフローチャートを参照して説明する。
【0149】
不図示の電源の投入によりマイコン13が起動してプログラムがスタートすると、CPU13aは、図16にメインルーチンのフローチャートで示すように、RAM13bのワークエリアに設けられたサーモスタット作動中フラグエリアのフラグF1を「0」に設定する初期設定を行い(ステップS1)、次に、オンオフスイッチ19がオフからオンに切り換わったか否かを確認する(ステップS3)。
【0150】
オンオフスイッチ19がオフからオンに切り換わっていない場合は(ステップS3でN)、切り換わるまでステップS3をリピートし、切り換わった場合は(ステップS3でY)、弁開処理を行う(ステップS5)。
【0151】
ステップS5の弁開処理においては、図17にサブルーチンのフローチャートで示すように、ドライブ回路15の第1信号入力端子In1に出力する第1駆動信号をローレベルからハイレベルに変移させ(ステップS5a)、次に、第1駆動信号のレベルを変移させてからの経過時間tが所定時間t1 を上回ったか否かを確認する(ステップS5b)。
【0152】
経過時間tが所定時間t1 を上回っていない場合は(ステップS5bでN)、経過時間tが所定時間t1 を上回るまでステップS5bをリピートし、上回った場合は(ステップS5bでY)、ドライブ回路15の第2信号入力端子In2に出力する第2駆動信号をローレベルからハイレベルに変移させ(ステップS5c)、その後、メインルーチンに戻ってステップS7に進む。
【0153】
ステップS5の弁開処理が済んだ後に進むステップS7では、図16に示すように、サーモスタット17がオンからオフに切り換わったか否かを確認し、サーモスタット17がオンからオフに切り換わった場合は(ステップS7でY)、サーモスタット作動中フラグF1を「1」に設定した後(ステップS9)、後述するステップS13に進む。
【0154】
一方、ステップS7において、サーモスタット17がオンからオフに切り換わっていない場合(N)は、オンオフスイッチ19がオンからオフに切り換わったか否かを確認する(ステップS11)。
【0155】
オンオフスイッチ19がオンからオフに切り換わった場合は(ステップS11でY)、ステップS13に進み、切り換わっていない場合は(ステップS11でN)、ステップS7にリターンする。
【0156】
ステップS9においてサーモスタット作動中フラグF1を「1」に設定した後と、ステップS11においてオンオフスイッチ19がオンからオフに切り換わった場合(Y)とに進むステップS13では、弁閉処理を行う。
【0157】
ステップS13の弁閉処理では、図18にサブルーチンのフローチャートで示すように、ドライブ回路15の第2信号入力端子In2に出力する第2駆動信号をハイレベルからローレベルに変移させ(ステップS13a)、次に、第2駆動信号のレベルを変移させてからの経過時間tが所定時間t2 を上回ったか否かを確認する(ステップS13b)。
【0158】
経過時間tが所定時間t2 を上回っていない場合は(ステップS13bでN)、経過時間tが所定時間t2 を上回るまでステップS5bをリピートし、上回った場合は(ステップS13bでN)、ドライブ回路15の第1信号入力端子In1に出力する第1駆動信号をハイレベルからローレベルに変移させ(ステップS13c)、その後、メインルーチンに戻ってステップS15に進む。
【0159】
ステップS13の弁閉処理が済んだ後に進むステップS15では、図16に示すように、サーモスタット作動中フラグF1が「0」であるか否かを確認し、フラグF1が「0」である場合(Y)は、一連の処理を終了し、「0」でない場合(N)は、サーモスタット17がオフからオンに切り換わったか否かを確認する(ステップS17)。
【0160】
サーモスタット17がオフからオンに切り換わった場合は(ステップS17でY)、サーモスタット作動中フラグF1を「1」に設定した後(ステップS19)、後述するステップS13に進む。
【0161】
一方、ステップS17において、サーモスタット17がオンからオフに切り換わっていない場合(N)は、オンオフスイッチ19がオンからオフに切り換わったか否かを確認し(ステップS21)、オンオフスイッチ19がオンからオフに切り換わっていない場合は(ステップS21でY)、ステップS17にリターンし、切り換わった場合は(ステップS21でN)、サーモスタット作動中フラグF1を「0」に設定した後(ステップS23)、ステップS13にリターンする。
【0162】
以上の説明からも明らかなように、第1実施形態では、請求項中の作動用電力の供給指令が、図16のフローチャートにおけるステップS5に相当しており、作動用電力の供給停止指令が、図16中のステップS13で相当していて、これらステップS5及びステップS13により、請求項中の電力供給指令手段13αが構成されている。
【0163】
また、第1実施形態では、請求項中の第1導通信号がハイレベルの第1駆動信号に相当しており、この第1駆動信号のハイレベルからローレベルへの変移が第1導通信号の出力停止に相当していると共に、請求項中の第2導通信号がハイレベルの第2駆動信号に相当しており、この第2駆動信号のハイレベルからローレベルへの変移が第2導通信号の出力停止に相当している。
【0164】
そして、第1実施形態では、請求項中の第1開閉指令手段13βが、図17のフローチャートにおけるステップS5aと、図18のフローチャートにおけるステップS13cとにより構成されており、請求項中の第2開閉指令手段13γが、図17中のステップS5cと、図18中のステップS13aとにより構成されている。
【0165】
次に、上述のように構成された第1実施形態の電磁弁システムの動作(作用)について、電磁弁駆動装置10の動作(作用)を中心に説明する。
【0166】
まず、オンオフスイッチ19がオフの状態では、第1及び第2の両駆動信号ともローレベルとなっていて、第1及び第2の両スイッチングトランジスタTR1,TR2のエミッタ−コレクタ間が、いずれも非導通状態となっているため、ソレノイド5のコイル53には電源11からの電力が供給されず、従って、電磁弁1は、図5に示すように、弁閉状態となっている。
【0167】
ここで、オンオフスイッチ19の状態がオフからオンに変わると、その時点で第1駆動信号がローレベルからハイレベルに変移し、第1スイッチングトランジスタTR1のエミッタ−コレクタ間が非導通状態から導通状態に変移して、ソレノイド5のコイル53に電源11からの電力が定格電流の50%の電流分だけ供給される。
【0168】
これにより、電磁弁1は、図5に示す弁閉状態から、図7に示す、主弁9が弁座35を全閉してニードル弁55hがパイロット通路91を半開した状態となるか、或は、図8に示す、ニードル弁55hがパイロット通路91を全閉して主弁9が弁座35を半開した状態となる。
【0169】
そして、オンオフスイッチ19の状態がオフからオンに変わった時点から所定時間t1 が経過すると、第1駆動信号をハイレベルとしたまま、第2駆動信号がローレベルからハイレベルに変移し、第2スイッチングトランジスタTR2のエミッタ−コレクタ間が非導通状態から導通状態に変移して、ソレノイド5のコイル53に電源11からの電力が定格電流の100%の電流分だけ供給される。
【0170】
これにより、電磁弁1は、図7に示す、主弁9が弁座35を全閉してニードル弁55hがパイロット通路91を半開した状態から、図10に示す、主弁9が弁座35を全閉してニードル弁55hがパイロット通路91を全開した状態を経た後に、図11に示す弁開状態となる。
【0171】
或は、電磁弁1は、図8に示す、ニードル弁55hがパイロット通路91を全閉して主弁9が弁座35を半開した状態から、図12に示す、主弁9が弁座35を半開してニードル弁55hがパイロット通路91を全開した状態を経た後に、図11に示す弁開状態となる。
【0172】
その後、オンオフスイッチ19の状態がオンからオフに変わると、その時点で第2駆動信号がハイレベルからローレベルに変移し、第2スイッチングトランジスタTR2のエミッタ−コレクタ間が導通状態から非導通状態に変移して、ソレノイド5のコイル53に電源11から供給される電力が、定格電流の100%の電流分から50%の電流分に低下する。
【0173】
これにより、電磁弁1は、図11に示す弁開状態から、図8に示す、ニードル弁55hがパイロット通路91を全閉し主弁9が弁座35を半開した状態となる。
【0174】
そして、オンオフスイッチ19の状態がオンからオフに変わった時点から所定時間t2 が経過すると、第2駆動信号をローレベルとしたまま、第1駆動信号がハイレベルからローレベルに変移し、第1スイッチングトランジスタTR1のエミッタ−コレクタ間が導通状態から非導通状態に変移して、ソレノイド5のコイル53に電源11からの電力が供給されなくなる。
【0175】
これにより、電磁弁1は、図8に示す、ニードル弁55hがパイロット通路91を全閉し主弁9が弁座35を半開した状態から、図5に示す弁閉状態となる。
【0176】
尚、電磁弁1の弁開時と弁閉時との第1及び第2の両駆動信号の信号レベルの変移を、図19のタイミングチャートに示す。
【0177】
そして、オンオフスイッチ19がオンの状態において、サーモスタット17の状態がオンからオフに変わった場合には、オンオフスイッチ19の状態がオンからオフに変わった場合と同様の動作が行われ、また、サーモスタット17の状態がオフからオンに変わった場合には、オンオフスイッチ19の状態がオフからオンに変わった場合と同様の動作が行われる。
【0178】
このように第1実施形態の電磁弁システムによれば、プランジャ55に、ソレノイド5のコイル53への通電時に吸引子51によって直接吸引される基部55aと、この基部55aとは別体に形成されるホルダ57と、このホルダ57を挿通して基部55aに連結され、主弁9のパイロット通路91を開閉するニードル弁55hが形成された弁部55eと、この弁部55eに対してホルダ57を基部55a側に付勢するニードル弁バネ55jとを設け、ソレノイド5のコイル53への通電電流を定格電流の50%とすると、コイル53への通電によりプランジャ55に働く吸引力よりもニードル弁バネ55jの弾発力の方が上回り、これによって、ニードル弁55hと主弁9のうちどちらか一方だけが、対応するパイロット通路91と弁座35のうちどちらか一方だけを半開し、残る他方は全閉となるように、電磁弁1を構成した。
【0179】
そして、第1実施形態の電磁弁システムによれば、電源側端子が電源11に接続されたソレノイド5のコイル53の接地側端子を、抵抗R1と第1スイッチングトランジスタTR1のエミッタ−コレクタ間とを介して接地させると共に、これらと並列に接続された、第2スイッチングトランジスタTR2のエミッタ−コレクタ間を介してさらに接地させるドライブ回路15を設け、電磁弁1の弁開動作時には、マイコン13によって、第1駆動信号よりも第2駆動信号を所定時間t1 遅らせてローレベルからハイレベルに変移させることで、ソレノイド5のコイル53への通電電流をゼロから定格電流の50%へ、50%から100%へと2段階に増加させると共に、電磁弁1の弁閉動作時には、第2駆動信号よりも第1駆動信号を所定時間t2 遅らせてハイレベルからローレベルに変移させることで、ソレノイド5のコイル53への通電電流を定格電流のから100%50%へ、50%からゼロへと2段階に減少させる構成とした。
【0180】
このため、電磁弁1の弁開時及び弁閉時のいずれにおいても、ニードル弁55hと主弁9のうちどちらか一方だけが、対応するパイロット通路91と弁座35のうちどちらか一方だけを半開し、残る他方は全閉となる状態を確実に発生させて、これにより、流入口31側や流出口33側の双方に大きな圧力変動が発生しないようにして、騒音の元となるウォータハンマ現象が起こるのを抑制又は防止することができる。
【0181】
しかも、上述した構成により、プランジャ55がリフトL1とリフトL2の間を移動する際と、リフトL2とリフトL3との間をプランジャ55が移動する際とに各々必要な、バネ力W1〜W2と合成バネ力W3〜W4との間にギャップW3−W2があるため、ソレノイド5のコイル53への通電電流の増減時のヒステリシスや、周辺温度の変動によって、同じ通電電流であってもプランジャ55に働く吸引力がばらつく場合であっても、プランジャ55を正確に移動させ、ニードル弁55hによるパイロット通路91の半開状態や、主弁9による弁座35の半開状態を、安定して保持することができる。
【0182】
また、第1実施形態の電磁弁システムによれば、ニードル弁55hによるパイロット通路91の半開状態や、主弁9による弁座35の半開状態の実現を、吸引子51からプランジャ55の基部55aを離間する方向に付勢するプランジャバネ55mに何ら頼らずに行うように電磁弁1を構成したので、プランジャバネ55mが中途半端に収縮した状態でプランジャ55をソレノイド5からの吸引力だけによって保持する必要がなく、従って、この点においても、ニードル弁55hによるパイロット通路91の半開状態や、主弁9による弁座35の半開状態を、安定して保持することができる。
【0183】
さらに、第1実施形態の電磁弁システムによれば、ソレノイド5のコイル53への通電電流を定格電流の100%とした際に、プランジャ55の基部55aが衝突する吸引子51に、緩衝部材51cを設けるように電磁弁1を構成したので、ウォーターハンマ現象による騒音の抑制又は防止と合わせて、構造的要因による騒音の発生を防止し、電磁弁1の動作に伴い発生する可能性がある騒音を総合的に抑制又は防止することができる。
【0184】
次に、本発明の第2実施形態に係る電磁弁システムを、図20乃至図23を参照して説明する。
【0185】
図20は本発明の第2実施形態に係る電磁弁システムにおける電磁弁駆動装置の概略構成を示すブロック図で、図20中引用符号10Aで示す第2実施形態の電磁弁駆動装置は、電源11と、マイコン13Aと、ドライブ回路15Aとを備えている。
【0186】
前記ドライブ回路15Aは、図21に回路図で示すように、第3及び第4の2つのスイッチングトランジスタTR3,TR4と、第3信号入力端子In3と、第1及び第2の2つの遅延回路DL1,DL2等を備えている。
【0187】
そして、第3及び第4の各スイッチングトランジスタTR3,TR4は、互いのエミッタどうしが抵抗R4により接続され、各々のコレクタがいずれも接地されている。
【0188】
また、第3スイッチングトランジスタTR3(第1スイッチ手段に相当)のベースは、抵抗R5及びコンデンサC1による前記第1遅延回路DL1(停止指令遅延手段に相当)とダイオードD1とを介して、第3信号入力端子In3に接続されており、第4スイッチングトランジスタTR4(第2スイッチ手段に相当)のベースは、抵抗R6及びコンデンサC2による前記第2遅延回路DL2(供給指令遅延手段に相当)を介して、第3信号入力端子In3に接続され、第3スイッチングトランジスタTR3のエミッタと抵抗R4との間に、ソレノイド5のコイル53の接地側端子が接続されている。
【0189】
さらに、電源11は、ソレノイド5のコイル53の電源側端子に接続されている。
【0190】
そして、ドライブ回路15Aは、マイコン13Aから出力されて第3信号入力端子In3に入力される後述の第3駆動信号がローレベルの際には、第3及び第4の両スイッチングトランジスタTR3,TR4のエミッタ−コレクタ間が各々非導通状態となると共に、第3駆動信号がハイレベルの際には、第3及び第4の両スイッチングトランジスタTR3,TR4のエミッタ−コレクタ間が各々導通状態となるように構成されている。
【0191】
また、ドライブ回路15Aは、第3スイッチングトランジスタTR3のエミッタ−コレクタ間が非導通状態と導通状態との間で切り換わる時点と、第4スイッチングトランジスタTR4のエミッタ−コレクタ間が非導通状態と導通状態との間で切り換わる時点とが、第1及び第2遅延回路DL1,DL2により各々ずらされるように構成されている。
【0192】
そして、ドライブ回路15Aは、第3スイッチングトランジスタTR3のエミッタ−コレクタ間が導通することにより、このエミッタ−コレクタ間と抵抗R4とを介して接地側端子が接地されるソレノイド5のコイル53に、電源11からの電力が定格電流の50%の電流分(第1電力量に相当)だけ供給されるように構成されている。
【0193】
また、ドライブ回路15Aは、第4スイッチングトランジスタTR4のエミッタ−コレクタ間が導通することにより、このエミッタ−コレクタ間を介して接地側端子が接地されるソレノイド5のコイル53に、電源11からの電力が電源11の電圧に応じた電流分(第2電力量に相当)だけ供給されるように構成されている。
【0194】
そして、ドライブ回路15Aは、第3及び第4の両スイッチングトランジスタTR3,TR4のエミッタ−コレクタ間が共に導通することにより、ソレノイド5のコイル53に、電源11からの電力が、定格電流の100%の電流分(第1電力量と第2電力量とを合成した電力量に相当)だけ供給されるように構成されている。
【0195】
尚、第2実施形態においては、請求項中の第1電力供給経路αが、抵抗R4と第3スイッチングトランジスタTR3のエミッタ−コレクタ間とで構成されており、第2電力供給経路βが第2スイッチングトランジスタTR4のエミッタ−コレクタ間により構成されている。
【0196】
前記マイコン13Aは、図20に示すように、CPU13dと、RAM13eと、ROM13fとで構成されている。
【0197】
前記CPU13dには、RAM13e及びROM13fの他、前記サーモスタット17やオンオフスイッチ19と、前記第3信号入力端子In3等が接続されている。
【0198】
前記RAM13eは、各種データ記憶用のデータエリア及び各種処理作業に用いるワークエリアを有しており、このうち、ワークエリアには、サーモスタット作動中フラグエリア等が設けられている。
【0199】
前記ROM13fには、CPU13dに各種処理動作を行わせるための制御プログラムが格納されている。
【0200】
次に、前記マイコン13AのROM13fに格納された制御プログラムに従いCPU13dが行う処理を、図22のフローチャートを参照して説明する。
【0201】
不図示の電源の投入によりマイコン13Aが起動してプログラムがスタートすると、CPU13dは、RAM13eのワークエリアに設けられたサーモスタット作動中フラグエリアのフラグF1を「0」に設定する初期設定を行い(ステップSA1)、次に、オンオフスイッチ19がオフからオンに切り換わったか否かを確認する(ステップSA3)。
【0202】
オンオフスイッチ19がオフからオンに切り換わっていない場合は(ステップSA3でN)、切り換わるまでステップSA3をリピートし、切り換わった場合は(ステップSA3でY)、ドライブ回路15Aの第3信号入力端子In3に出力する第3駆動信号をローレベルからハイレベルに変移させた後(ステップSA5)、サーモスタット17がオンからオフに切り換わったか否かを確認する(ステップSA7)。
【0203】
サーモスタット17がオンからオフに切り換わった場合は(ステップSA7でY)、サーモスタット作動中フラグF1を「1」に設定した後(ステップSA9)、後述するステップSA13に進み、切り換わっていない場合は(ステップSA7でN)、オンオフスイッチ19がオンからオフに切り換わったか否かを確認する(ステップSA11)。
【0204】
オンオフスイッチ19がオンからオフに切り換わった場合は(ステップSA11でY)、ステップSA13に進み、切り換わっていない場合は(ステップSA11でN)、ステップSA7にリターンする。
【0205】
ステップSA9においてサーモスタット作動中フラグF1を「1」に設定した後と、ステップSA11においてオンオフスイッチ19がオンからオフに切り換わった場合(Y)とに進むステップSA13では、ドライブ回路15Aの第3信号入力端子In3に出力する第3駆動信号をハイレベルからローレベルに変移させ、その後、サーモスタット作動中フラグF1が「0」であるか否かを確認する(ステップSA15)。
【0206】
サーモスタット作動中フラグF1が「0」である場合(Y)は、一連の処理を終了し、「0」でない場合は(ステップSA15でN)、サーモスタット17がオフからオンに切り換わったか否かを確認し(ステップSA17)、切り換わった場合は(ステップSA17でY)、サーモスタット作動中フラグF1を「1」に設定した後(ステップSA19)、後述するステップSA13に進む。
【0207】
一方、ステップSA17において、サーモスタット17がオンからオフに切り換わっていない場合(N)は、オンオフスイッチ19がオンからオフに切り換わったか否かを確認し(ステップSA21)、オンオフスイッチ19がオンからオフに切り換わっていない場合は(ステップSA21でY)、ステップSA17にリターンし、切り換わった場合は(ステップSA21でN)、サーモスタット作動中フラグF1を「0」に設定した後(ステップSA23)、ステップSA13にリターンする。
【0208】
以上の説明からも明らかなように、第2実施形態では、請求項中の作動用電力の供給指令が、図22のフローチャートにおけるステップSA5に相当しており、作動用電力の供給停止指令が、図22中のステップSA13に相当していて、これらステップSA5及びステップSA13により、請求項中の電力供給指令手段13αが構成されている。
【0209】
次に、上述のように構成された第2実施形態の電磁弁システムの動作(作用)について、電磁弁駆動装置10Aの動作(作用)を中心に説明する。
【0210】
まず、オンオフスイッチ19がオフの状態では、第3駆動信号がローレベルとなっていて、第3及び第4の両スイッチングトランジスタTR3,TR4のエミッタ−コレクタ間が、いずれも非導通状態となっているため、ソレノイド5のコイル53には電源11からの電力が供給されず、従って、電磁弁1は、図5に示すように、弁閉状態となっている。
【0211】
ここで、オンオフスイッチ19の状態がオフからオンに変わると、その時点で第3駆動信号がローレベルからハイレベルに変移し、第3スイッチングトランジスタTR3側では、第3駆動信号のローレベルからハイレベルへの変移と略同時にベース電位が上昇し、従ってエミッタ−コレクタ間が非導通状態から導通状態に変移する。
【0212】
これに対して、第4スイッチングトランジスタTR4側では、第3駆動信号のローレベルからハイレベルへの変移が第2遅延回路DL2により所定時間t1 遅延され、所定時間t1 後にベース電位が上昇することから、第3駆動信号がローレベルからハイレベルに変移した時点では、エミッタ−コレクタ間は非導通状態のままとなる。
【0213】
従って、ソレノイド5のコイル53には電源11からの電力が定格電流の50%の電流分だけ供給され、これにより、電磁弁1は、図5に示す弁閉状態から、図7に示す、主弁9が弁座35を全閉してニードル弁55hがパイロット通路91を半開した状態となるか、或は、図8に示す、ニードル弁55hがパイロット通路91を全閉して主弁9が弁座35を半開した状態となる。
【0214】
そして、オンオフスイッチ19の状態がオフからオンに変わった時点から所定時間t1 が経過して、第4スイッチングトランジスタTR4のベース電位が上昇すると、第3スイッチングトランジスタTR3のエミッタ−コレクタ間が導通状態となったまま、第4スイッチングトランジスタTR4のエミッタ−コレクタ間が非導通状態から導通状態に変移して、ソレノイド5のコイル53に電源11からの電力が定格電流の100%の電流分だけ供給される。
【0215】
これにより、電磁弁1は、図7に示す、主弁9が弁座35を全閉してニードル弁55hがパイロット通路91を半開した状態から、図10に示す、主弁9が弁座35を全閉してニードル弁55hがパイロット通路91を全開した状態を経た後に、図11に示す弁開状態となる。
【0216】
或は、電磁弁1は、図8に示す、ニードル弁55hがパイロット通路91を全閉して主弁9が弁座35を半開した状態から、図12に示す、主弁9が弁座35を半開してニードル弁55hがパイロット通路91を全開した状態を経た後に、図11に示す弁開状態となる。
【0217】
その後、オンオフスイッチ19の状態がオンからオフに変わると、その時点で第3駆動信号がハイレベルからローレベルに変移し、第4スイッチングトランジスタTR4側では、第3駆動信号のハイレベルからローレベルへの変移と略同時にベース電位が降下し、従ってエミッタ−コレクタ間が導通状態から非導通状態に変移する。
【0218】
これに対して、第3スイッチングトランジスタTR3側では、第3駆動信号のハイレベルからローレベルへの変移が第1遅延回路DL1により所定時間t2 遅延され、この所定時間t2 後にベース電位が降下することから、第3駆動信号がハイレベルからローレベルに変移した時点では、エミッタ−コレクタ間は非導通状態のままとなる。
【0219】
従って、ソレノイド5のコイル53に電源11から供給される電力が、定格電流の100%の電流分から50%の電流分に低下する。
【0220】
これにより、電磁弁1は、図11に示す弁開状態から、図8に示す、ニードル弁55hがパイロット通路91を全閉し主弁9が弁座35を半開した状態となる。
【0221】
そして、オンオフスイッチ19の状態がオンからオフに変わった時点から所定時間t2 が経過すると、第4スイッチングトランジスタTR4のエミッタ−コレクタ間が非導通状態となったまま、第3スイッチングトランジスタTR3のエミッタ−コレクタ間が導通状態から非導通状態に変移して、ソレノイド5のコイル53に電源11からの電力が供給されなくなる。
【0222】
これにより、電磁弁1は、図8に示す、ニードル弁55hがパイロット通路91を全閉し主弁9が弁座35を半開した状態から、図5に示す弁閉状態となる。
【0223】
尚、電磁弁1の弁開時と弁閉時との第3駆動信号の信号レベルと、第3及び第4の両スイッチングトランジスタTR3,TR4のベース電位と、第3及び第4の両スイッチングトランジスタTR3,TR4の導通、非導通の状態との変移を、図23のタイミングチャートに示す。
【0224】
そして、オンオフスイッチ19がオンの状態において、サーモスタット17の状態がオンからオフに変わった場合には、オンオフスイッチ19の状態がオンからオフに変わった場合と同様の動作が行われ、また、サーモスタット17の状態がオフからオンに変わった場合には、オンオフスイッチ19の状態がオフからオンに変わった場合と同様の動作が行われる。
【0225】
上述のように構成された第2実施形態の電磁弁システムによっても、第1実施形態の電磁弁システムと同様の効果を得ることができる。
【0226】
しかも、第2実施形態の電磁弁システムによれば、マイコン13Aが単一の第3駆動信号をローレベルとハイレベルとの間で変移させれば、後は、第3駆動信号のローレベルからハイレベルへの変移が第2遅延回路DL2により所定時間t1 遅延されて第4スイッチングトランジスタTR4のベースに伝達されると共に、第3駆動信号のハイレベルからローレベルへの変移が第1遅延回路DL1により所定時間t2 遅延されて第3スイッチングトランジスタTR3のベースに伝達されるので、サーモスタット17やオンオフスイッチ19のオンオフ状態が変わる際に、マイコン13Aがその都度、第1実施形態の場合のように、時間差のある2つの信号を生成して出力する必要がない分、信号生成系及び信号出力系の動作を簡略化することができる。
【0227】
次に、本発明の第3実施形態に係る電磁弁システムを、図24乃至図27を参照して説明する。
【0228】
図24は本発明の第3実施形態に係る電磁弁システムにおける電磁弁駆動装置の概略構成を示すブロック図で、図24中引用符号10Bで示す第3実施形態の電磁弁駆動装置は、電源11と、マイコン13Bと、ドライブ回路15Bとを備えている。
【0229】
前記ドライブ回路15Bは、図25に回路図で示すように、第5及び第6の2つのスイッチングトランジスタTR5,TR6と、電源端子Vinと、第4信号入力端子In4と、第3遅延回路DL3(通電信号遅延手段に相当)と、過渡回路RC(RC回路に相当)等を備えている。
【0230】
そして、第5スイッチングトランジスタTR5(第3スイッチ手段に相当)のエミッタ−コレクタ間には、抵抗R7が接続され、第5スイッチングトランジスタTR5のコレクタは接地されていると共に、第5スイッチングトランジスタTR5のベースは、抵抗R8及びコンデンサC3による前記第3遅延回路DL3と、第6スイッチングトランジスタTR6のエミッタ−コレクタ間とを介して、電源端子Vinに接続されている。
【0231】
また、第5スイッチングトランジスタTR5のエミッタには、ソレノイド5のコイル53の接地側端子が接続されており、このコイル53の電源側端子は、第6スイッチングトランジスタTR6(第4スイッチ手段に相当)のコレクタに接続されていて、このコイル53と並列に、コンデンサC4及び抵抗R9による前記過渡回路RCが、第5スイッチングトランジスタTR5のエミッタと第6スイッチングトランジスタTR6のコレクタとの間に接続されている。
【0232】
さらに、前記電源11は、電源端子Vinに接続されており、第6スイッチングトランジスタTR6のベースには、抵抗R10を介して前記信号入力端子In4が接続されている。
【0233】
そして、ドライブ回路15Bは、マイコン13Bから出力されて第4信号入力端子In4に入力される後述の第4駆動信号がローレベルの際には、第6スイッチングトランジスタTR6のエミッタ−コレクタ間が非導通状態となると共に、第4駆動信号がハイレベルの際には、第6スイッチングトランジスタTR6のエミッタ−コレクタ間が導通状態となるように構成されている。
【0234】
また、ドライブ回路15Bは、第6スイッチングトランジスタTR6のエミッタ−コレクタ間の導通に連動して、第5スイッチングトランジスタTR5のエミッタ−コレクタ間が導通すると共に、第6スイッチングトランジスタTR6のエミッタ−コレクタ間の非導通に連動して、第5スイッチングトランジスタTR5のエミッタ−コレクタ間が非導通となり、第5スイッチングトランジスタTR5のエミッタ−コレクタ間が導通する時点と、第6スイッチングトランジスタTR6のエミッタ−コレクタ間が導通する時点とが、第3遅延回路DL3によりずらされるように構成されている。
【0235】
そして、ドライブ回路15Bは、第6スイッチングトランジスタTR6のエミッタ−コレクタ間が導通することにより、このエミッタ−コレクタ間と抵抗R7とを介して接地側端子が接地されるソレノイド5のコイル53に、電源11からの電力が定格電流の50%の電流分(第1電力量に相当)だけ供給されるように構成されている。
【0236】
さらに、ドライブ回路15Bは、第5スイッチングトランジスタTR5のエミッタ−コレクタ間が導通することにより、このエミッタ−コレクタ間を介して接地側端子が接地されるソレノイド5のコイル53に、電源11からの電力が電源11の電圧に応じた電流分(第2電力量に相当)だけ供給されるように構成されている。
【0237】
そして、ドライブ回路15Bは、第5及び第6の両スイッチングトランジスタTR5,TR6のエミッタ−コレクタ間が共に導通することにより、ソレノイド5のコイル53に、電源11からの電力が、定格電流の100%の電流分(第1電力量と第2電力量とを合成した電力量に相当)だけ供給されるように構成されている。
【0238】
また、ドライブ回路15Bは、第6スイッチングトランジスタTR6のエミッタ−コレクタ間が導通状態から非導通状態に移行して、電源11とコイル53の電源側端子との接続が遮断された際に、過渡回路RCにおいて発生する過渡現象によりこの過渡回路RCを過渡的に流れる電流によって、抵抗R7を介して接地側端子が接地されるソレノイド5のコイル53に、電源11からの電力に代わって過渡回路RCを流れる電流による電力が、所定時間t2 の間、定格電流の50%の電流分を上回り定格電流の100%の電流分を下回る電力量で、供給されるように構成されている。
【0239】
以上の説明からも明らかなように、第3実施形態では、請求項中の第3電力供給経路γが抵抗R7により構成されており、請求項中の第4電力供給経路δが第5スイッチングトランジスタTR5のエミッタ−コレクタ間により構成されており、請求項中の第5電力供給経路εが第6スイッチングトランジスタTR6のエミッタ−コレクタ間により構成されている。
【0240】
また、第3実施形態では、第6スイッチングトランジスタTR6のエミッタ−コレクタ間が導通している際に、電源11から電源端子Vin及び第3遅延回路DL3を介して第5スイッチングトランジスタTR5のベースに印加される電圧が、請求項中の通電信号に相当しており、第6スイッチングトランジスタTR6のエミッタ−コレクタ間が導通状態から非導通状態に移行して、第5スイッチングトランジスタTR5のベースに対する電源11からの電圧印加が遮断されることが、請求項中の通電信号の入力の停止に相当している。
【0241】
前記マイコン13Bは、図24に示すように、CPU13gと、RAM13hと、ROM13jとで構成されている。
【0242】
前記CPU13gには、RAM13h及びROM13jの他、前記サーモスタット17やオンオフスイッチ19と、前記第4信号入力端子In4等が接続されている。
【0243】
前記RAM13hは、各種データ記憶用のデータエリア及び各種処理作業に用いるワークエリアを有しており、このうち、ワークエリアには、サーモスタット作動中フラグエリア等が設けられている。
【0244】
前記ROM13jには、CPU13gに各種処理動作を行わせるための制御プログラムが格納されている。
【0245】
次に、前記マイコン13BのROM13jに格納された制御プログラムに従いCPU13gが行う処理を、図26のフローチャートを参照して説明する。
【0246】
不図示の電源の投入によりマイコン13Bが起動してプログラムがスタートすると、CPU13gは、RAM13hのワークエリアに設けられたサーモスタット作動中フラグエリアのフラグF1を「0」に設定する初期設定を行い(ステップSB1)、次に、オンオフスイッチ19がオフからオンに切り換わったか否かを確認する(ステップSB3)。
【0247】
オンオフスイッチ19がオフからオンに切り換わっていない場合は(ステップSB3でN)、切り換わるまでステップSB3をリピートし、切り換わった場合は(ステップSB3でY)、ドライブ回路15Bの第4信号入力端子In4に出力する第4駆動信号をローレベルからハイレベルに変移させた後(ステップSB5)、サーモスタット17がオンからオフに切り換わったか否かを確認する(ステップSB7)。
【0248】
サーモスタット17がオンからオフに切り換わった場合は(ステップSB7でY)、サーモスタット作動中フラグF1を「1」に設定した後(ステップSB9)、後述するステップSB13に進み、切り換わっていない場合は(ステップSB7でN)、オンオフスイッチ19がオンからオフに切り換わったか否かを確認する(ステップSB11)。
【0249】
オンオフスイッチ19がオンからオフに切り換わった場合は(ステップSB11でY)、ステップSB13に進み、切り換わっていない場合は(ステップSB11でN)、ステップSB7にリターンする。
【0250】
ステップSB9においてサーモスタット作動中フラグF1を「1」に設定した後と、ステップSB11においてオンオフスイッチ19がオンからオフに切り換わった場合(Y)とに進むステップSB13では、ドライブ回路15Bの第4信号入力端子In4に出力する第4駆動信号をハイレベルからローレベルに変移させ、その後、サーモスタット作動中フラグF1が「0」であるか否かを確認する(ステップSB15)。
【0251】
サーモスタット作動中フラグF1が「0」である場合(Y)は、一連の処理を終了し、「0」でない場合は(ステップSB15でN)、サーモスタット17がオフからオンに切り換わったか否かを確認し(ステップSB17)、切り換わった場合は(ステップSB17でY)、サーモスタット作動中フラグF1を「1」に設定した後(ステップSB19)、後述するステップSB13に進む。
【0252】
一方、ステップSB17において、サーモスタット17がオンからオフに切り換わっていない場合(N)は、オンオフスイッチ19がオンからオフに切り換わったか否かを確認し(ステップSB21)、オンオフスイッチ19がオンからオフに切り換わっていない場合は(ステップSB21でY)、ステップSB17にリターンし、切り換わった場合は(ステップSB21でN)、サーモスタット作動中フラグF1を「0」に設定した後(ステップSB23)、ステップSB13にリターンする。
【0253】
以上の説明からも明らかなように、第3実施形態では、請求項中の作動用電力の供給指令が、図26のフローチャートにおけるステップSB5に相当しており、作動用電力の供給停止指令が、図26中のステップSB13で相当していて、これらステップSB5及びステップSB13により、請求項中の電力供給指令手段13αが構成されている。
【0254】
次に、上述のように構成された第3実施形態の電磁弁システムの動作(作用)について、電磁弁駆動装置10Bの動作(作用)を中心に説明する。
【0255】
まず、オンオフスイッチ19がオフの状態では、第4駆動信号がローレベルとなっていて、第5及び第6の両スイッチングトランジスタTR5,TR6のエミッタ−コレクタ間が、いずれも非導通状態となっているため、ソレノイド5のコイル53には電源11からの電力が供給されず、従って、電磁弁1は、図5に示すように、弁閉状態となっている。
【0256】
ここで、オンオフスイッチ19の状態がオフからオンに変わると、その時点で第4駆動信号がローレベルからハイレベルに変移し、第6スイッチングトランジスタTR6側では、第4駆動信号のローレベルからハイレベルへの変移と略同時にベース電位が上昇し、従ってエミッタ−コレクタ間が非導通状態から導通状態に変移する。
【0257】
これに対して、第5スイッチングトランジスタTR5側では、第4駆動信号のローレベルからハイレベルへの変移により、ベースが電源端子Vin及び第3遅延回路DL3を介して電源11に接続されるが、その接続の時点が、第4駆動信号のローレベルからハイレベルへの変移の時点から第3遅延回路DL3により所定時間t1 遅延され、所定時間t1 後にベース電位が上昇することから、第4駆動信号がローレベルからハイレベルに変移した時点では、エミッタ−コレクタ間は非導通状態のままとなる。
【0258】
従って、ソレノイド5のコイル53には電源11からの電力が定格電流の50%の電流分だけ供給され、これにより、電磁弁1は、図5に示す弁閉状態から、図7に示す、主弁9が弁座35を全閉してニードル弁55hがパイロット通路91を半開した状態となるか、或は、図8に示す、ニードル弁55hがパイロット通路91を全閉して主弁9が弁座35を半開した状態となる。
【0259】
そして、オンオフスイッチ19の状態がオフからオンに変わった時点から所定時間が経過して、第5スイッチングトランジスタTR5のベース電位が上昇すると、第6スイッチングトランジスタTR6のエミッタ−コレクタ間が導通状態となったまま、第5スイッチングトランジスタTR5のエミッタ−コレクタ間が非導通状態から導通状態に変移して、ソレノイド5のコイル53に電源11からの電力が定格電流の100%の電流分だけ供給される。
【0260】
これにより、電磁弁1は、図7に示す、主弁9が弁座35を全閉してニードル弁55hがパイロット通路91を半開した状態から、図10に示す、主弁9が弁座35を全閉してニードル弁55hがパイロット通路91を全開した状態を経た後に、図11に示す弁開状態となる。
【0261】
或は、電磁弁1は、図8に示す、ニードル弁55hがパイロット通路91を全閉して主弁9が弁座35を半開した状態から、図12に示す、主弁9が弁座35を半開してニードル弁55hがパイロット通路91を全開した状態を経た後に、図11に示す弁開状態となる。
【0262】
その後、オンオフスイッチ19の状態がオンからオフに変わると、その時点で第4駆動信号がハイレベルからローレベルに変移し、第5及び第6の両スイッチングトランジスタTR5,TR6において、第4駆動信号のハイレベルからローレベルへの変移と略同時にベース電位が各々降下し、従ってエミッタ−コレクタ間が導通状態から非導通状態に各々変移する。
【0263】
これにより、ソレノイド5のコイル53は、電源11から遮断されて電力が供給されない状態となるが、第6スイッチングトランジスタTR6のエミッタ−コレクタ間が導通状態から非導通状態に変移する時点で、過渡回路RCに過渡現象が発生して、この過渡回路RCを過渡的に電流が流れてこの電流による電力がソレノイド5のコイル53に供給される。
【0264】
そして、この過渡回路RCを流れる電流によるコイル53への供給電力が、オンオフスイッチ19の状態がオンからオフに変わった時点から所定時間t2 の間、定格電流の100%の電流分を下回り定格電流の50%の電流分を上回る電力量であることから、電磁弁1は、第4駆動信号のローレベルへの変移の時点から所定時間t2 の間、図11に示す弁開状態から、図8に示す、ニードル弁55hがパイロット通路91を全閉し主弁9が弁座35を半開した状態となる。
【0265】
そして、オンオフスイッチ19の状態がオンからオフに変わった時点から所定時間t2 が経過すると、過渡回路RCを流れる電流によるコイル53への供給電力が、定格電流の50%の電流分を下回る電力量となり、やがては、過渡回路RCの過渡現象の終了で、過渡回路RCに電流が流れなくなるので、電磁弁1は、図8に示す、ニードル弁55hがパイロット通路91を全閉し主弁9が弁座35を半開した状態から、図5に示す弁閉状態となる。
【0266】
尚、電磁弁1の弁開時と弁閉時との第4駆動信号の信号レベルと、第5スイッチングトランジスタTR5のベース電位と、第5スイッチングトランジスタTR5の導通、非導通の状態と、コイル53の電源側端子の電位との変移を、図27のタイミングチャートに示す。
【0267】
そして、オンオフスイッチ19がオンの状態において、サーモスタット17の状態がオンからオフに変わった場合には、オンオフスイッチ19の状態がオンからオフに変わった場合と同様の動作が行われ、また、サーモスタット17の状態がオフからオンに変わった場合には、オンオフスイッチ19の状態がオフからオンに変わった場合と同様の動作が行われる。
【0268】
上述のように構成された第3実施形態の電磁弁システムによっても、第2実施形態の電磁弁システムと同様の効果を得ることができる。
【0269】
尚、上述した第1乃至第3実施形態において、電磁弁1の緩衝部材51cは省略してもよく、また、ホルダ57に対して弁部55eを付勢するニードル弁バネ55jは、例えば、基部55aとホルダ57との間に設けられてこれらを互いに接近する方向に付勢するような、他の付勢手段に代えてもよいのは勿論のことである。
【0270】
また、ニードル弁55hによるパイロット通路91の半開状態や、主弁9による弁座35の半開状態とするための、ソレノイド5のコイル53に対する通電量は、上述した第1乃至第3実施形態では定格電流の50%としたが、定格電流の100%よりも低い値であれば、ニードル弁バネ55jやプランジャバネ55mの弾発力、或は、ソレノイド5の吸引力等の条件に応じて任意に変更、設定してもよいことは言うまでもない。
【0271】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1に記載した本発明の電磁弁によれば、一次側と二次側とを連通する弁座を開閉する主弁に形成された、この主弁が収容されるチャンバと前記二次側とを連通するパイロット通路を、ソレノイドのプランジャに形成されたニードル弁により開閉し、前記チャンバと前記一次側及び前記二次側との圧力差により前記主弁による前記弁座の開閉を行う電磁弁において、前記プランジャに嵌装され前記ニードル弁による前記パイロット通路の開閉方向において前記プランジャに対して相対移動可能なホルダと、前記ホルダに形成され前記開閉方向において前記主弁から離間する向きへの前記ホルダの移動を規制するホルダ移動規制部材と、前記ホルダ及び前記プランジャのうち少なくとも一方に設けられ、前記ホルダ移動規制部材により前記主弁から離間する向きへの移動が規制された前記ホルダに対する前記プランジャの、前記主弁に接近する向きへの移動を、前記弁座を閉じた前記主弁の前記パイロット通路から前記ニードル弁が離間する箇所までに規制するプランジャ移動規制部材と、前記ホルダに対して前記プランジャを前記主弁に接近する方向に付勢するプランジャ付勢手段とを備え、前記プランジャ付勢手段が、前記ソレノイドが通電により前記主弁から離間する向きで前記プランジャに与える最大吸引力を下回る付勢力を、前記プランジャ及び前記ホルダのうち一方から他方に付与する構成とした。
【0272】
このため、ソレノイドの通電によりプランジャが吸引される際、その吸引力がプランジャ付勢手段の付勢力を下回る程度の通電量であれば、ホルダがホルダ移動規制部材により主弁から離間する向きへの移動を規制された状態で、プランジャ付勢手段によりホルダに対して主弁に接近する方向に付勢されたプランジャが、弁座を閉じた場合の主弁のパイロット通路をニードル弁が半開する箇所において、プランジャ移動規制部材により、それ以上主弁に接近する向きへの移動を規制される。
【0273】
よって、電磁弁の開閉時に、ソレノイドの通電量を当初は定格電流より小さい量に制御すると、ホルダ移動規制部材によるホルダの主弁から離間する向きへの移動の規制により、チャンバと一次側及び二次側との圧力差によって定まる主弁の開方向への付勢力次第で、主弁が弁座を閉じ且つニードル弁がパイロット通路を半開する状態か、或は、主弁がプランジャに追従してニードル弁にパイロット通路が塞がれるまで移動して、パイロット通路が全閉で主弁が弁座を半開した状態かのどちらかに、安定して保持される。
【0274】
従って、いずれにしても、弁座の開閉の際に、弁座又はパイロット通路が半開されて、一次側と二次側との圧力差が一気に変動するのではなく、徐々に変動することとなり、これにより、弁座の開閉に伴う弁座の通過流体の急激な流量変化の発生を抑制し、ひいては、これに伴うウォータハンマ現象の発生を確実に抑制又は防止することができる。
【0275】
また、請求項2に記載した本発明の電磁弁によれば、前記プランジャが、前記ニードル弁が形成された弁部と、該弁部を挟んで前記主弁側とは反対側に配置される基部とを有していて、前記ホルダを挿通して前記弁部と前記基部とが連結されており、前記プランジャ付勢手段が、前記ホルダを前記基部側から前記弁部側に向けて付勢する構成とした。
【0276】
このため、ソレノイドの通電停止時にプランジャを弁座側に戻すのに復帰用付勢手段を用いる場合、ソレノイドの通電量を抑制して弁座とパイロット通路とのうちどちらかを半開状態にするのに、ホルダ移動規制部材やプランジャ移動規制部材による移動の規制、及び、プランジャ付勢手段のバネ力は用いるものの、復帰用付勢手段のバネ力は一切用いない。
【0277】
従って、復帰用付勢手段のバネ力とソレノイドの通電によるプランジャの吸引力とのバランスで弁座とパイロット通路とのうちどちらかを半開状態にするという、ソレノイドの容量を大きくしなければ安定した状態に保持できない構造になるのを防止することができる。
【0278】
さらに、請求項3に記載した本発明の電磁弁によれば、前記ソレノイドが、該ソレノイドの通電時に前記プランジャを吸引する吸引子を有しており、該吸引子が、前記ソレノイドの通電により前記最大吸引力で吸引される前記プランジャとの衝突の衝撃を緩衝する緩衝部材を有している構成とした。
【0279】
このため、ソレノイドの通電によりプランジャがプランジャ付勢手段の付勢力を上回る吸引力で吸引されて吸引子に衝突する際に、緩衝部材によりその衝突の衝撃が緩和されるので、ウォータハンマによる騒音と共にプランジャの移動に伴う衝撃が原因の騒音の発生を合わせて抑制し、電磁弁の起こす騒音を全体的に解消することができる。
【0280】
また、請求項4に記載した本発明の電磁弁駆動装置によれば、請求項1、2又は3記載の電磁弁を駆動させるための装置であって、供給源からの作動用電力を第1電力量で前記ソレノイドに供給させる第1電力供給経路と、前記第1電力供給経路と並列に設けられ、前記供給源からの前記作動用電力を第2電力量で前記ソレノイドに供給させる第2電力供給経路と、前記第1電力供給経路を開放状態と閉成状態との間で変移させる第1スイッチ手段と、前記第2電力供給経路を開放状態と閉成状態との間で変移させる第2スイッチ手段とを備え、前記第1電力量の前記作動用電力の供給による前記ソレノイドの通電により、該ソレノイドから前記プランジャに、前記付勢力を下回る吸引力が前記主弁から離間する向きで与えられ、前記第1電力量及び前記第2電力量を合成した電力量の前記作動用電力の供給による前記ソレノイドの通電により、該ソレノイドから前記プランジャに、前記最大吸引力が前記主弁から離間する向きで与えられる構成とした。
【0281】
このため、第1スイッチ手段により第1電力供給経路が開放状態から閉成状態に変移されると、この第1電力供給経路により供給源からの作動用電力が第1電力量でソレノイドに供給され、プランジャ及びホルダのうち一方から他方にプランジャ付勢手段が付与する付勢力を下回る吸引力が、主弁から離間する向きでソレノイドからプランジャに与えられる。
【0282】
すると、主弁が弁座を閉じ且つニードル弁がパイロット通路を半開する状態か、或は、主弁がプランジャに追従してニードル弁にパイロット通路が塞がれるまで移動して、パイロット通路が全閉で主弁が弁座を半開した状態かのどちらかに、電磁弁が安定して保持される。
【0283】
そして、第1スイッチ手段により第1電力供給経路が開放状態から閉成状態に変移されたままの状態で、第2スイッチ手段により第2電力供給経路が開放状態から閉成状態に変移されると、この第2電力供給経路による第2電力量の作動用電力と、既に閉成状態にある第1電力供給経路による第1電力量の作動用電力とを合成した電力量で、供給源からの作動用電力がソレノイドに供給され、ソレノイドからプランジャに、主弁から離間する向きの最大吸引力が与えられる。
【0284】
すると、プランジャが主弁から離間する方向に移動し、このプランジャに追従して主弁がニードル弁にパイロット通路が塞がれるまで移動して、パイロット通路が全閉で主弁が弁座を全開した状態に、電磁弁が安定して保持される。
【0285】
従って、請求項1、2又は3記載の電磁弁を弁閉状態から弁開状態に駆動させる際には、第1スイッチ手段により第1電力供給経路を開放状態から閉成状態に変移させ、それから時間をおいて、第2スイッチ手段により第2電力供給経路を開放状態から閉成状態に変移させることで、ソレノイドへの通電量を、ゼロから第1電力量へ、次いで、第1電力量から第1電力量と第2電力量とを合成した電力量へと、段階的に増加させて、弁座を開く際に、弁座又はパイロット通路が半開された状態を途中で確実に発生させることができる。
【0286】
同様に、請求項1、2又は3記載の電磁弁を弁開状態から弁閉状態に駆動させる際には、第2スイッチ手段により第2電力供給経路を閉成状態から開放状態に変移させ、それから時間をおいて、第1スイッチ手段により第1電力供給経路を閉成状態から開放状態に変移させることで、ソレノイドへの通電量を、第1電力量と第2電力量とを合成した電力量から第1電力量へ、次いで、第1電力量からゼロへと、段階的に減少させて、弁座を閉じる際に、弁座又はパイロット通路が半開された状態を途中で確実に発生させることができる。
【0287】
さらに、請求項5に記載した本発明の電磁弁駆動装置によれば、前記ソレノイドに対する前記作動用電力の供給指令と該作動用電力の供給停止指令とを出力する電力供給指令手段と、前記供給指令の出力時に第1導通信号を出力すると共に、前記供給停止指令の出力時から所定時間経過後に前記第1導通信号の出力を停止する第1開閉指令手段と、前記供給指令の出力時から所定時間経過後に第2導通信号を出力すると共に、前記供給停止指令の出力時に前記第2導通信号の出力を停止する第2開閉指令手段とをさらに備え、前記第1スイッチ手段が、前記第1導通信号の入力により前記第1電力供給経路を開放状態から閉成状態に変移させると共に、前記第1導通信号の入力停止により前記第1電力供給経路を閉成状態から開放状態に変移させるように構成されており、前記第2スイッチ手段が、前記第2導通信号の入力により前記第2電力供給経路を開放状態から閉成状態に変移すると共に、前記第2導通信号の入力停止により前記第2電力供給経路を閉成状態から開放状態に変移する構成とした。
【0288】
このため、ソレノイドに対する作動用電力の供給指令が電力供給指令手段から出力されると、その時点で第1スイッチ手段により第1電力供給経路が開放状態から閉成状態に変移されて、この第1電力供給経路により供給源からの作動用電力が第1電力量でソレノイドに供給され、プランジャ及びホルダのうち一方から他方にプランジャ付勢手段が付与する付勢力を下回る吸引力が、主弁から離間する向きでソレノイドからプランジャに与えられる。
【0289】
そして、ソレノイドに対する作動用電力の供給指令が電力供給指令手段から出力された時点から所定時間が経過すると、第2スイッチ手段により第2電力供給経路が開放状態から閉成状態に変移されて、この第2電力供給経路による第2電力量の作動用電力と、先に閉成状態に変移された第1電力供給経路による第1電力量の作動用電力とを合成した電力量で、供給源からの作動用電力がソレノイドに供給され、ソレノイドからプランジャに、主弁から離間する向きの最大吸引力が与えられる。
【0290】
また、ソレノイドに対する作動用電力の供給停止指令が電力供給指令手段から出力されると、その時点で第2スイッチ手段により第2電力供給経路が閉成状態から開放状態に変移されて、供給源からソレノイドに供給される作動用電力が、第1電力量及び第2電力量を合成した電力量から第1電力量に変移する。
【0291】
そして、ソレノイドに対する作動用電力の供給停止指令が電力供給指令手段から出力された時点から所定時間が経過すると、第1スイッチ手段により第1電力供給経路が閉成状態から開放状態に変移されて、供給源からソレノイドへの作動用電力の供給が停止され、ソレノイドからの吸引力がプランジャに付与されなくなる。
【0292】
従って、請求項1、2又は3記載の電磁弁の弁座を開く際や閉じる際に、弁座又はパイロット通路が半開された状態が途中で発生するように、弁閉状態から弁開状態に駆動させる際には、ソレノイドへの通電量を、ゼロから第1電力量へ、次いで、第1電力量から第1電力量と第2電力量とを合成した電力量へと、段階的に確実に増加させ、同様に、電磁弁を弁開状態から弁閉状態に駆動させる際には、ソレノイドへの通電量を、第1電力量と第2電力量とを合成した電力量から第1電力量へ、次いで、第1電力量からゼロへと、段階的に確実に減少させることができる。
【0293】
また、請求項6に記載した本発明の電磁弁駆動装置によれば、前記第1及び第2の各スイッチ手段が、外部からの前記ソレノイドに対する前記作動用電力の供給指令の入力により前記第1及び第2の各電力供給経路を開放状態から閉成状態に各々変移させると共に、前記作動用電力の供給停止指令の入力により前記第1及び第2の各電力供給経路を閉成状態から開放状態に各々変移させるように構成されており、前記第1スイッチ手段に対する前記供給停止指令の出力を遅延させる停止指令遅延手段と、前記第2スイッチ手段に対する前記供給指令の出力を遅延させる供給指令遅延手段とをさらに備える構成とした。
【0294】
このため、外部からの作動用電力の供給指令の第2スイッチ手段に対する出力を供給指令遅延手段により遅延させることで、第2スイッチ手段により第2電力供給経路が開放状態から閉成状態に変移する時点を、第1スイッチ手段により第1電力供給経路が開放状態から閉成状態に変移する時点よりも遅延させ、これにより、電磁弁を弁閉状態から弁開状態に駆動させる際に、ソレノイドへの通電量を、ゼロから第1電力量へ、次いで、第1電力量から第1電力量と第2電力量とを合成した電力量へと、段階的に確実に増加させることができる。
【0295】
同様に、外部からの作動用電力の供給停止指令の第1スイッチ手段に対する出力を停止指令遅延手段により遅延させることで、第1スイッチ手段により第1電力供給経路が閉成状態から開放状態に変移する時点を、第2スイッチ手段により第2電力供給経路が閉成状態から開放状態に変移する時点よりも遅延させ、これにより、これにより、電磁弁を弁開状態から弁閉状態に駆動させる際に、ソレノイドへの通電量を、第1電力量と第2電力量とを合成した電力量から第1電力量へ、次いで、第1電力量からゼロへと、段階的に確実に減少させることができる。
【0296】
さらに、請求項7に記載した本発明の電磁弁駆動装置によれば、前記供給指令と前記供給停止指令とを出力する電力供給指令手段をさらに備える構成とした。
【0297】
このため、ソレノイドに対する作動用電力の供給指令が電力供給指令手段から出力されると、その時点で供給指令が入力される第1スイッチ手段により、第1電力供給経路が開放状態から閉成状態に変移されて、この第1電力供給経路により供給源からの作動用電力が第1電力量でソレノイドに供給され、プランジャ及びホルダのうち一方から他方にプランジャ付勢手段が付与する付勢力を下回る吸引力が、主弁から離間する向きでソレノイドからプランジャに与えられる。
【0298】
そして、ソレノイドに対する作動用電力の供給指令が電力供給指令手段から出力された時点から所定時間が経過すると、その時点で供給指令遅延手段により遅延された供給指令が入力される第2スイッチ手段により、第2電力供給経路が開放状態から閉成状態に変移されて、この第2電力供給経路による第2電力量の作動用電力と、先に閉成状態に変移された第1電力供給経路による第1電力量の作動用電力とを合成した電力量で、供給源からの作動用電力がソレノイドに供給され、ソレノイドからプランジャに、主弁から離間する向きの最大吸引力が与えられる。
【0299】
また、ソレノイドに対する作動用電力の供給停止指令が電力供給指令手段から出力されると、その時点で供給停止指令が入力される第2スイッチ手段により、第2電力供給経路が閉成状態から開放状態に変移されて、供給源からソレノイドに供給される作動用電力が、第1電力量及び第2電力量を合成した電力量から第1電力量に変移する。
【0300】
そして、ソレノイドに対する作動用電力の供給停止指令が電力供給指令手段から出力された時点から所定時間が経過すると、その時点で停止指令遅延手段により遅延された供給停止指令が入力される第1スイッチ手段により、第1電力供給経路が閉成状態から開放状態に変移されて、供給源からソレノイドへの作動用電力の供給が停止され、ソレノイドからの吸引力がプランジャに付与されなくなる。
【0301】
従って、供給指令の第2スイッチ手段への出力を供給指令遅延手段により遅延させることで、第1スイッチ手段による第1電力供給経路の開放状態から閉成状態への変移よりも、第2スイッチ手段による第2電力供給経路の開放状態から閉成状態への変移を遅延させて、電磁弁を弁閉状態から弁開状態に駆動させる際に、電磁弁の駆動のために供給指令や供給停止指令から時間差のある2つの信号を生成する必要をなくし、その分だけ信号生成系及び信号出力系の動作を簡略化することができる。
【0302】
同様に、供給停止指令の第1スイッチ手段への出力を停止指令遅延手段により遅延させることで、第2スイッチ手段による第2電力供給経路の閉成状態から開放状態への変移よりも、第1スイッチ手段による第1電力供給経路の閉成状態から開放状態への変移を遅延させて、電磁弁を弁開状態から弁閉状態に駆動させる際に、電磁弁の駆動のために供給指令や供給停止指令から時間差のある2つの信号を生成する必要をなくし、その分だけ信号生成系及び信号出力系の動作を簡略化することができる。
【0303】
また、請求項8に記載した本発明の電磁弁駆動装置によれば、請求項1、2又は3記載の電磁弁を駆動させるための装置であって、供給源からの作動用電力を第1電力量で前記ソレノイドに供給させる第3電力供給経路と、前記第3電力供給経路と並列に設けられ、前記供給源からの前記作動用電力を第2電力量で前記ソレノイドに供給させる第4電力供給経路と、前記供給源からの前記作動用電力を基に生成される通電信号の入力により前記第4電力供給経路を開放状態から閉成状態に変移させると共に、前記通電信号の入力の停止により前記第4電力供給経路を閉成状態から開放状態に変移させる第3スイッチ手段と、前記第3スイッチ手段に入力される前記通電信号を所定時間遅延させる通電信号遅延手段と、前記ソレノイドに並列接続されたRC回路とを備え、前記第1電力量の前記作動用電力の供給による前記ソレノイドの通電により、該ソレノイドから前記プランジャに、前記付勢力を下回る吸引力が前記主弁から離間する向きで与えられ、前記第1電力量及び前記第2電力量を合成した電力量の前記作動用電力の供給による前記ソレノイドの通電により、該ソレノイドから前記プランジャに、前記最大吸引力が前記主弁から離間する向きで与えられると共に、前記供給源からの前記作動用電力の供給の停止により前記RC回路において過渡現象が発生し、前記RC回路の前記過渡現象により、前記供給源からの前記作動用電力の供給の停止後から、前記RC回路の時定数に応じた所定時間に亘り継続して、前記第2電力量未満で、且つ、前記第1電力量以上の前記作動用電力が、前記RC回路から前記ソレノイドに供給される構成とした。
【0304】
このため、供給源からの作動用電力の供給が開始されると、この時点で作動用電力が第3電力供給経路により第1電力量でソレノイドに供給され、プランジャ及びホルダのうち一方から他方にプランジャ付勢手段が付与する付勢力を下回る吸引力が、主弁から離間する向きでソレノイドからプランジャに与えられる。
【0305】
すると、主弁が弁座を閉じ且つニードル弁がパイロット通路を半開する状態か、或は、主弁がプランジャに追従してニードル弁にパイロット通路が塞がれるまで移動して、パイロット通路が全閉で主弁が弁座を半開した状態かのどちらかに、電磁弁が安定して保持される。
【0306】
そして、供給源からの作動用電力の供給が開始された時点から所定時間経過し、供給源からの作動用電力を基に生成されて通電信号遅延手段により遅延された通電信号が第3スイッチ手段に入力されて、第4電力供給経路が開放状態から閉成状態に変移されると、この第4電力供給経路による第2電力量の作動用電力と、既に第3電力供給経路により供給されている第1電力量の作動用電力とを合成した電力量で、供給源からの作動用電力がソレノイドに供給され、ソレノイドからプランジャに、主弁から離間する向きの最大吸引力が与えられる。
【0307】
すると、プランジャが主弁から離間する方向に移動し、このプランジャに追従して主弁がニードル弁にパイロット通路が塞がれるまで移動して、パイロット通路が全閉で主弁が弁座を全開した状態に、電磁弁が安定して保持される。
【0308】
また、供給源からの作動用電力の供給が停止されると、その時点で第3スイッチ手段により第4電力供給経路が閉成状態から開放状態に変移されて、第4電力供給経路による第2電力量での供給源からの作動用電力の供給が停止すると共に、第3電力供給経路による第1電力量での供給源からの作動用電力の供給が停止する。
【0309】
その一方で、供給源からの電力の供給が停止されると、ソレノイドに並列接続されたRC回路において発生する過渡現象によって、RC回路の時定数に応じた所定時間に亘ってこのRC回路を電流が流れ、この電流の流れによって、RC回路が並列接続されたソレノイドに、第2電力量未満で、且つ、第1電力量以上の作動用電力が供給される。
【0310】
これにより、供給源からの電力の供給が停止された後、RC回路の時定数に応じた所定時間に亘って、主弁が弁座を閉じ且つニードル弁がパイロット通路を半開する状態か、或は、主弁がプランジャに追従してニードル弁にパイロット通路が塞がれるまで移動して、パイロット通路が全閉で主弁が弁座を半開した状態かのどちらかに、電磁弁が安定して保持される。
【0311】
そして、RC回路の時定数に応じた所定時間が経過すると、過渡現象によりRC回路を流れる電流の低下で、RC回路からソレノイドに供給される作動用電力の電力量が第1電力量未満となり、やがては、RC回路の過渡現象の終了で、RC回路からソレノイドに作動用電力が供給されなくなって、ソレノイドからの吸引力が付与されなくなったプランジャが、主弁のパイロット通路を全閉したまま主弁を押しながら元の位置に復帰して、チャンバと一次側及び二次側との圧力差により主弁が弁座を全閉する状態に電磁弁が復帰する。
【0312】
従って、請求項1、2又は3記載の電磁弁を弁閉状態から弁開状態に駆動させる際に、ソレノイドへの通電量を、ゼロから第1電力量へ、次いで、第1電力量から第1電力量と第2電力量とを合成した電力量へと、段階的に増加させ、同様に、電磁弁を弁開状態から弁閉状態に駆動させる際においても、ソレノイド5の通電量を、第1電力量と第2電力量とを合成した電力量から、第2電力量未満で、且つ、第1電力量以上の電力量へ、次いで、第2電力量未満で、且つ、第1電力量以上の電力量からゼロへと、段階的に減少させて、弁座を開く際や閉じる際に、弁座又はパイロット通路が半開された状態を途中で確実に発生させることができる。
【0313】
さらに、請求項9に記載した本発明の電磁弁駆動装置によれば、前記ソレノイドに対する前記作動用電力の供給指令と該作動用電力の供給停止指令とを出力する電力供給指令手段と、前記第3及び第4電力供給経路と前記供給源11とを接続する第5電力供給経路と、該第5電力供給経路を開放状態と閉成状態との間で変移させる第4スイッチ手段とをさらに備え、該第4スイッチ手段が、前記作動用電力の供給指令の入力により前記第5電力供給経路を開放状態から閉成状態に変移させると共に、前記作動用電力の供給停止指令の入力により前記第5電力供給経路を閉成状態から開放状態に変移させる構成とした。
【0314】
このため、ソレノイドに対する作動用電力の供給指令が電力供給指令手段から出力されると、その時点で第4スイッチ手段により第5電力供給経路が開放状態から閉成状態に変移されて、この第5電力供給経路と第3電力供給経路により供給源からの作動用電力が第1電力量でソレノイドに供給され、プランジャ及びホルダのうち一方から他方にプランジャ付勢手段が付与する付勢力を下回る吸引力が、主弁から離間する向きでソレノイドからプランジャに与えられる。
【0315】
そして、ソレノイドに対する作動用電力の供給指令が電力供給指令手段から出力された時点から所定時間が経過すると、その時点で通電信号遅延手段により遅延された通電信号が入力される第3スイッチ手段により、第4電力供給経路が開放状態から閉成状態に変移されて、この第4電力供給経路による第2電力量の作動用電力と、既に供給源に接続されている第3電力供給経路による第1電力量の作動用電力とを合成した電力量で、供給源からの作動用電力がソレノイドに供給され、ソレノイドからプランジャに、主弁から離間する向きの最大吸引力が与えられる。
【0316】
また、ソレノイドに対する作動用電力の供給停止指令が電力供給指令手段から出力されると、その時点で通電信号の入力が停止される第3スイッチ手段により、第4電力供給経路が閉成状態から開放状態に変移されて、第4電力供給経路による第2電力量での供給源からの作動用電力の供給が停止すると共に、第3電力供給経路による第1電力量での供給源からの作動用電力の供給が停止する。
【0317】
その一方で、供給源からの電力の供給が停止されると、ソレノイドに並列接続されたRC回路において発生する過渡現象によって、RC回路の時定数に応じた所定時間に亘ってこのRC回路を電流が流れ、この電流の流れによって、RC回路が並列接続されたソレノイドに、第2電力量未満で、且つ、第1電力量以上の作動用電力が供給される。
【0318】
そして、RC回路の時定数に応じた所定時間が経過すると、過渡現象によりRC回路を流れる電流の低下で、RC回路からソレノイドに供給される作動用電力の電力量が第1電力量未満となり、やがては、RC回路の過渡現象の終了で、RC回路からソレノイドに作動用電力が供給されなくなって、ソレノイドからの吸引力がプランジャに付与されなくなる。
【0319】
従って、第4スイッチ手段による第5電力供給経路の開放状態から閉成状態への変移に伴って生成される通電信号の、第3スイッチ手段への出力を、通電信号遅延手段により遅延させることで、第3電力供給経路による第1電力量での供給源からの作動用電力の供給の開始よりも、第3スイッチ手段による第4電力供給経路の開放状態から閉成状態への変移を遅延させて、電磁弁を弁閉状態から弁開状態に駆動させる際に、電磁弁の駆動のために供給指令や供給停止指令から時間差のある2つの信号を生成する必要をなくし、その分だけ信号生成系及び信号出力系の動作を簡略化することができる。
【0320】
同様に、第4スイッチ手段による第5電力供給経路の閉成状態から開放状態への変移に伴って発生する過渡現象により、RC回路を流れる電流によって、RC回路が並列接続されたソレノイドに、第2電力量未満で、且つ、第1電力量以上の作動用電力を、RC回路の時定数に応じた所定時間に亘って供給させることで、第3スイッチ手段による第4電力供給経路の閉成状態から開放状態への変移よりも、RC回路の過渡現象に起因してソレノイドに供給される作動用電力が第1電力量を下回る時点を遅延させて、電磁弁を弁開状態から弁閉状態に駆動させる際に、電磁弁の駆動のために供給指令や供給停止指令から時間差のある2つの信号を生成する必要をなくし、その分だけ信号生成系及び信号出力系の動作を簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電磁弁駆動装置の基本構成図である。
【図2】本発明の電磁弁駆動装置の基本構成図である。
【図3】本発明の電磁弁駆動装置の基本構成図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る電磁弁の断面図である。
【図5】図4の弁座及びパイロット通路が共に全閉状態の場合の弁部分を示す要部拡大断面図である。
【図6】図5のプランジャを周方向に90゜向きを変えて見た要部断面図である。
【図7】図4の弁座が全閉状態でパイロット通路が半開状態の場合の弁部分を示す要部拡大断面図である。
【図8】図4の弁座が半開状態でパイロット通路が全閉状態の場合の弁部分を示す要部拡大断面図である。
【図9】図4の電磁弁の弁開閉に伴う流入口側及び流出口側の液媒体の圧力変化を示す特性図である。
【図10】図4の弁座が全閉状態でパイロット通路が全開状態の場合の弁部分を示す要部拡大断面図である。
【図11】図4の弁座が全開状態でパイロット通路が全閉状態の場合の弁部分を示す要部拡大断面図である。
【図12】図4の弁座が半開状態でパイロット通路が全開状態の場合の弁部分を示す要部拡大断面図である。
【図13】図4のプランジャのニードル弁の位置(プランジャリフト)を横軸に取り、ソレノイドのコイルに対する通電量に応じたプランジャに与える吸引力や、プランジャバネ及びニードル弁バネがプランジャに作用するバネ力を縦軸に取った、これらの相関を示すグラフである。
【図14】本発明の第1実施形態に係る電磁弁システムにおける電磁弁駆動装置の概略構成を示すブロック図である。
【図15】図14に示すドライブ回路の回路図である。
【図16】図14のマイコンCPUがROMに格納されたプログラムに従って行う処理を示すメインルーチンのフローチャートである。
【図17】図16の弁開処理のサブルーチンのフローチャートである。
【図18】図16の弁閉処理のサブルーチンのフローチャートである。
【図19】電磁弁の弁開時と弁閉時とにおける第1及び第2の両駆動信号の信号レベルの変移を示すタイミングチャートである。
【図20】本発明の第2実施形態に係る電磁弁システムにおける電磁弁駆動装置の概略構成を示すブロック図である。
【図21】図20に示すドライブ回路の回路図である。
【図22】図20のマイコンCPUがROMに格納されたプログラムに従って行う処理を示すフローチャートである。
【図23】電磁弁の弁開時と弁閉時とにおける第3駆動信号の信号レベルと第3及び第4の両スイッチングトランジスタのベース電位と、第3及び第4の両スイッチングトランジスタの導通、非導通の状態との変移を示すタイミングチャートである。
【図24】本発明の第3実施形態に係る電磁弁システムにおける電磁弁駆動装置の概略構成を示すブロック図である。
【図25】図24に示すドライブ回路の回路図である。
【図26】図24のマイコンCPUがROMに格納されたプログラムに従って行う処理を示すフローチャートである。
【図27】電磁弁の弁開時と弁閉時とにおける第4駆動信号の信号レベルと、第5スイッチングトランジスタのベース電位と、第5スイッチングトランジスタの導通、非導通の状態と、コイルの電源側端子の電位との変移を示すタイミングチャートである。
【図28】従来例に係るパイロット弁方式の電磁弁の断面図である。
【図29】従来例に係る電磁弁の断面図である。
【図30】図28の電磁弁の弁開閉に伴う流入口側及び流出口側の液媒体の圧力変化を示す特性図である。
【符号の説明】
1 電磁弁
31 流入口(一次側)
33 流出口(二次側)
35 弁座
5 ソレノイド
51 吸引子
51c 緩衝部材
55 プランジャ
55a プランジャ基部(プランジャ移動規制部材)
55e プランジャ弁部
55h ニードル弁
55j ニードル弁バネ(プランジャ付勢手段)
57 ホルダ
57a フランジ(ホルダ移動規制部材)
77 チャンバ
9 主弁
91 パイロット通路
10,10A,10B 電磁弁駆動装置
11 供給源
13,13A,13B マイクロコンピュータ
13a,13d,13g CPU
13b,13e,13h RAM
13c,13f,13j ROM
13α 電力供給指令手段
13β 第1開閉指令手段
13γ 第2開閉指令手段
α 第1電力供給経路
β 第2電力供給経路
γ 第3電力供給経路
δ 第4電力供給経路
ε 第5電力供給経路
DL1 停止指令遅延手段
DL2 供給指令遅延手段
DL3 通電信号遅延手段
P1 流入口液冷媒圧力(一次側圧力)
P2 流出口液冷媒圧力(二次側圧力)
T1 ,T2 所定時間
TRa 第1スイッチ手段
TRb 第2スイッチ手段
TRc 第3スイッチ手段
TRd 第4スイッチ手段
X RC回路
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の冷房装置における冷媒回路等に介設される電磁弁と、この電磁弁を駆動させるための装置とに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、車両の冷房装置においては一般に、冷媒回路の凝縮器及びレシーバから蒸発器への冷媒の供給量を調整する温度膨張弁等の絞り弁と、この絞り弁よりも凝縮器及びレシーバ側において冷媒回路を開閉する電磁弁とが冷媒回路中に介設されており、冷房温度の設定に応じて、或は、被冷房空間において実際に測定した温度に応じて、絞り弁を開閉させると共に、冷房装置のオンオフに応じて電磁弁を開閉させるようにしている。
【0003】
ところで、上述した電磁弁については、開閉動作に伴い騒音が発生すると使用者に不快感を与えることとなるので、静音性には十分配慮する必要がある。
そこで、電磁弁の分野においては、静音性を確保するために次のような技術が従来から提案されている。
【0004】
まず、図28に断面図で示すパイロット弁方式の電磁弁120においては、吸引子109とプランジャ106との間にゴム等の材質よりなる緩衝材料112を取り付けて、ソレノイド107の通電に伴い移動するプランジャ106が吸引子109と衝突する際の衝撃を緩和している。
【0005】
また、図29に示す実公昭56−4936号公報に開示された電磁弁201においては、弁座257を開閉する主弁250が連結されたプランジャ251と吸引子203との間に緩衝用のバネ206を介設して、ソレノイド202の通電に伴い移動するプランジャ251がバネ206の弾発力により吸引子203と衝突しないようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、冷媒回路の分野では、上述したプランジャと吸引子との衝突により発生する騒音の他に、電磁弁を開くことで発生する凝縮器及びレシーバ側から蒸発器側に向かう液冷媒の流れが、絞り弁において遮断され又は絞られて、一般にウォーターハンマ現象による騒音が発生し、また、電磁弁を閉じることによっても、凝縮器及びレシーバ側から蒸発器側に向かう液冷媒の流れが急激に遮断されて、ウォーターハンマ現象による騒音が発生することが知られている。
【0007】
ここで、弁開時のウォーターハンマ現象について、上述した図28の電磁弁120を例に取って説明する。
ソレノイド107に通電すると、プランジャ106に形成されたニードル弁104が主弁102に形成されたパイロット通路105を開き、これに伴って、チャンバ108と主弁102との間に形成される隙間を介して一次側に連通しているチャンバ108の圧力と、二次側との圧力差が減少して、チャンバ108内の主弁102がプランジャ106側に移動し弁座103を開く。
【0008】
この一連の動作においては、図30の特性図に示すように、ニードル弁104がパイロット通路105を開くことで、圧力の低い二次側に吸引されるように圧力の高い一次側から液冷媒が急速に流入して、一次側の圧力P11が圧力の低い二次側の圧力P12に近づくように一時的に下がり、その後、プランジャ106の移動に追従して主弁102が弁座103を開くと、一次側から二次側に流入した液冷媒の流れが、二次側に接続された絞り弁(図示せず)において遮断され又は絞られて、一次側と二次側との圧力P11,P12が一時的に、元の一次側の圧力P11を上回る圧力まで一気に上昇し、ウォーターハンマ現象が起こって騒音が発生してしまう。
【0009】
このように、上述した2つの従来技術はいずれも、ソレノイドのプランジャと吸引子との衝突という構造的な要因による騒音の発生に対処することを目的とした電磁弁であるため、そのような構造的要因による騒音の発生は防止できても、上述した弁開時や弁閉時の冷媒回路中での圧力変動に伴うウォーターハンマ現象の発生には何ら対処することができないという不具合があった。
【0010】
そして、ウォーターハンマ現象の解消には、弁の開閉時の当初において、液冷媒の流量を抑制し、これにより、弁が最終的に全開や全閉となる時点での、一次側と二次側との圧力差を少なくしておくことが必要であるが、そのような多段階の流量制御を従来の電磁弁で行うには、ソレノイドの通電量を段階的に変化させることが必要になり、そうすると、通電量が定格よりも低い中途段階で弁の開度を安定させて保持するために、その分だけ容量の大きいソレノイドを用いなければならなくなり、コスト及びスペースの面で不利な面が発生してしまう。
【0011】
本発明は前記事情に鑑みなされたもので、本発明の第1の目的は、冷媒回路における相互間に大きな圧力差がある箇所に介設して動作させても、急激な圧力変動により騒音の元となるウォーターハンマ現象が起こるのを抑制又は防止することができる電磁弁を提供することにあり、また、本発明の第2の目的は、この電磁弁を開閉動作させる際に用いて好適な電磁弁駆動装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記第1の目的を達成するため請求項1に記載した本発明の電磁弁は、一次側と二次側とを連通する弁座を開閉する主弁に形成された、この主弁が収容されるチャンバと前記二次側とを連通するパイロット通路を、ソレノイドのプランジャに形成されたニードル弁により開閉し、前記チャンバと前記一次側及び前記二次側との圧力差により前記主弁による前記弁座の開閉を行う電磁弁において、前記プランジャに嵌装され前記ニードル弁による前記パイロット通路の開閉方向において前記プランジャに対して相対移動可能なホルダと、前記ホルダに形成され前記開閉方向において前記主弁から離間する向きへの前記ホルダの移動を規制するホルダ移動規制部材と、前記ホルダ及び前記プランジャのうち少なくとも一方に設けられ、前記ホルダ移動規制部材により前記主弁から離間する向きへの移動が規制された前記ホルダに対する前記プランジャの、前記主弁に接近する向きへの移動を、前記弁座を閉じた前記主弁の前記パイロット通路から前記ニードル弁が離間する箇所までに規制するプランジャ移動規制部材と、前記ホルダに対して前記プランジャを前記主弁に接近する方向に付勢するプランジャ付勢手段とを備え、前記プランジャ付勢手段が、前記ソレノイドが通電により前記主弁から離間する向きで前記プランジャに与える最大吸引力を下回る付勢力を、前記プランジャ及び前記ホルダのうち一方から他方に付与することを特徴とする。
【0013】
また、請求項2に記載した本発明の電磁弁は、前記プランジャが、前記ニードル弁が形成された弁部と、該弁部を挟んで前記主弁側とは反対側に配置される基部とを有していて、前記ホルダを挿通して前記弁部と前記基部とが連結されており、前記プランジャ付勢手段が、前記ホルダを前記基部側から前記弁部側に向けて付勢するものとした。
【0014】
さらに、請求項3に記載した本発明の電磁弁は、前記ソレノイドが、該ソレノイドの通電時に前記プランジャを吸引する吸引子を有しており、該吸引子が、前記ソレノイドの通電により前記最大吸引力で吸引される前記プランジャとの衝突の衝撃を緩衝する緩衝部材を有しているものとした。
【0015】
また、前記第2の目的を達成するため、請求項4に記載した本発明の電磁弁駆動装置は、請求項1、2又は3記載の電磁弁を駆動させるための装置であって、供給源からの作動用電力を第1電力量で前記ソレノイドに供給させる第1電力供給経路と、前記第1電力供給経路と並列に設けられ、前記供給源からの前記作動用電力を第2電力量で前記ソレノイドに供給させる第2電力供給経路と、前記第1電力供給経路を開放状態と閉成状態との間で変移させる第1スイッチ手段と、前記第2電力供給経路を開放状態と閉成状態との間で変移させる第2スイッチ手段とを備え、前記第1電力量の前記作動用電力の供給による前記ソレノイドの通電により、該ソレノイドから前記プランジャに、前記付勢力を下回る吸引力が前記主弁から離間する向きで与えられ、前記第1電力量及び前記第2電力量を合成した電力量の前記作動用電力の供給による前記ソレノイドの通電により、該ソレノイドから前記プランジャに、前記最大吸引力が前記主弁から離間する向きで与えられることを特徴とする。
【0016】
さらに、請求項5に記載した本発明の電磁弁駆動装置は、図1に基本構成図で示すように、前記ソレノイド5に対する前記作動用電力の供給指令と該作動用電力の供給停止指令とを出力する電力供給指令手段13αと、前記供給指令の出力時に第1導通信号を出力すると共に、前記供給停止指令の出力時から所定時間t2 経過後に前記第1導通信号の出力を停止する第1開閉指令手段13βと、前記供給指令の出力時から所定時間t1 経過後に第2導通信号を出力すると共に、前記供給停止指令の出力時に前記第2導通信号の出力を停止する第2開閉指令手段13γとをさらに備え、前記第1スイッチ手段TRaが、前記第1導通信号の入力により前記第1電力供給経路αを開放状態から閉成状態に変移させると共に、前記第1導通信号の入力停止により前記第1電力供給経路αを閉成状態から開放状態に変移させるように構成されており、前記第2スイッチ手段TRbが、前記第2導通信号の入力により前記第2電力供給経路βを開放状態から閉成状態に変移すると共に、前記第2導通信号の入力停止により前記第2電力供給経路βを閉成状態から開放状態に変移するように構成されているものとした。
【0017】
また、請求項6に記載した本発明の電磁弁駆動装置は、前記第1及び第2の各スイッチ手段が、外部からの前記ソレノイドに対する前記作動用電力の供給指令の入力により前記第1及び第2の各電力供給経路を開放状態から閉成状態に各々変移させると共に、前記作動用電力の供給停止指令の入力により前記第1及び第2の各電力供給経路を閉成状態から開放状態に各々変移させるように構成されており、前記第1スイッチ手段に対する前記供給停止指令の出力を遅延させる停止指令遅延手段と、前記第2スイッチ手段に対する前記供給指令の出力を遅延させる供給指令遅延手段とをさらに備えるものとした。
【0018】
さらに、請求項7に記載した本発明の電磁弁駆動装置は、図2に基本構成図で示すように、前記供給指令と前記供給停止指令とを出力する電力供給指令手段13αをさらに備えるものとした。
【0019】
また、請求項8に記載した本発明の電磁弁駆動装置は、請求項1、2又は3記載の電磁弁を駆動させるための装置であって、供給源からの作動用電力を第1電力量で前記ソレノイドに供給させる第3電力供給経路と、前記第3電力供給経路と並列に設けられ、前記供給源からの前記作動用電力を第2電力量で前記ソレノイドに供給させる第4電力供給経路と、前記供給源からの前記作動用電力を基に生成される通電信号の入力により前記第4電力供給経路を開放状態から閉成状態に変移させると共に、前記通電信号の入力の停止により前記第4電力供給経路を閉成状態から開放状態に変移させる第3スイッチ手段と、前記第3スイッチ手段に入力される前記通電信号を所定時間遅延させる通電信号遅延手段と、前記ソレノイドに並列接続されたRC回路とを備え、前記第1電力量の前記作動用電力の供給による前記ソレノイドの通電により、該ソレノイドから前記プランジャに、前記付勢力を下回る吸引力が前記主弁から離間する向きで与えられ、前記第1電力量及び前記第2電力量を合成した電力量の前記作動用電力の供給による前記ソレノイドの通電により、該ソレノイドから前記プランジャに、前記最大吸引力が前記主弁から離間する向きで与えられると共に、前記供給源からの前記作動用電力の供給の停止により前記RC回路において過渡現象が発生し、前記RC回路の前記過渡現象により、前記供給源からの前記作動用電力の供給の停止後から、前記RC回路の時定数に応じた所定時間に亘り継続して、前記第2電力量未満で、且つ、前記第1電力量以上の前記作動用電力が、前記RC回路から前記ソレノイドに供給されることを特徴とする。
【0020】
さらに、請求項9に記載した本発明の電磁弁駆動装置は、図3に基本構成図で示すように、前記ソレノイド5に対する前記作動用電力の供給指令と該作動用電力の供給停止指令とを出力する電力供給指令手段13αと、前記第3及び第4電力供給経路γ,δと前記供給源11とを接続する第5電力供給経路εと、該第5電力供給経路εを開放状態と閉成状態との間で変移させる第4スイッチ手段TRdとをさらに備え、該第4スイッチ手段TRdが、前記作動用電力の供給指令の入力により前記第5電力供給経路εを開放状態から閉成状態に変移させると共に、前記作動用電力の供給停止指令の入力により前記第5電力供給経路εを閉成状態から開放状態に変移させるように構成されているものとした。
【0021】
請求項1に記載した本発明の電磁弁によれば、ソレノイドの通電によりプランジャが吸引される際、その吸引力がプランジャ付勢手段の付勢力を下回る程度の通電量であれば、ホルダがホルダ移動規制部材により主弁から離間する向きへの移動を規制された状態で、プランジャ付勢手段によりホルダに対して主弁に接近する方向に付勢されたプランジャが、弁座を閉じた場合の主弁のパイロット通路をニードル弁が半開する箇所において、プランジャ移動規制部材により、それ以上主弁に接近する向きへの移動を規制される。
【0022】
よって、電磁弁の開閉時に、ソレノイドの通電量を当初は定格電流より小さい量に制御すると、ホルダ移動規制部材によるホルダの主弁から離間する向きへの移動の規制により、チャンバと一次側及び二次側との圧力差によって定まる主弁の開方向への付勢力次第で、主弁が弁座を閉じ且つニードル弁がパイロット通路を半開する状態か、或は、主弁がプランジャに追従してニードル弁にパイロット通路が塞がれるまで移動して、パイロット通路が全閉で主弁が弁座を半開した状態かのどちらかに、安定して保持される。
【0023】
従って、いずれにしても、弁座の開閉の際に、弁座又はパイロット通路が半開されて、一次側と二次側との圧力差が一気に変動するのではなく、徐々に変動することとなり、これにより、弁座の開閉に伴う弁座の通過流体の急激な流量変化の発生を抑制し、ひいては、これに伴うウォータハンマ現象の発生を確実に抑制又は防止することが可能となる。
【0024】
また、請求項2に記載した本発明の電磁弁によれば、ソレノイドの通電停止時にプランジャを弁座側に戻すのに復帰用付勢手段を用いる場合、ソレノイドの通電量を抑制して弁座とパイロット通路とのうちどちらかを半開状態にするのに、ホルダ移動規制部材やプランジャ移動規制部材による移動の規制、及び、プランジャ付勢手段のバネ力は用いるものの、復帰用付勢手段のバネ力は一切用いない。
【0025】
従って、復帰用付勢手段のバネ力とソレノイドの通電によるプランジャの吸引力とのバランスで弁座とパイロット通路とのうちどちらかを半開状態にするという、ソレノイドの容量を大きくしなければ安定した状態に保持できない構造になるのを防止することが可能となる。
【0026】
さらに、請求項3に記載した本発明の電磁弁によれば、ソレノイドの通電によりプランジャがプランジャ付勢手段の付勢力を上回る吸引力で吸引されて吸引子に衝突する際に、緩衝部材によりその衝突の衝撃が緩和されるので、ウォータハンマによる騒音と共にプランジャの移動に伴う衝撃が原因の騒音の発生を合わせて抑制し、電磁弁の起こす騒音を全体的に解消することが可能となる。
【0027】
また、請求項4に記載した本発明の電磁弁駆動装置によれば、第1スイッチ手段により第1電力供給経路が開放状態から閉成状態に変移されると、この第1電力供給経路により供給源からの作動用電力が第1電力量でソレノイドに供給され、プランジャ及びホルダのうち一方から他方にプランジャ付勢手段が付与する付勢力を下回る吸引力が、主弁から離間する向きでソレノイドからプランジャに与えられる。
【0028】
すると、主弁が弁座を閉じ且つニードル弁がパイロット通路を半開する状態か、或は、主弁がプランジャに追従してニードル弁にパイロット通路が塞がれるまで移動して、パイロット通路が全閉で主弁が弁座を半開した状態かのどちらかに、電磁弁が安定して保持される。
【0029】
そして、第1スイッチ手段により第1電力供給経路が開放状態から閉成状態に変移されたままの状態で、第2スイッチ手段により第2電力供給経路が開放状態から閉成状態に変移されると、この第2電力供給経路による第2電力量の作動用電力と、既に閉成状態にある第1電力供給経路による第1電力量の作動用電力とを合成した電力量で、供給源からの作動用電力がソレノイドに供給され、ソレノイドからプランジャに、主弁から離間する向きの最大吸引力が与えられる。
【0030】
すると、プランジャが主弁から離間する方向に移動し、このプランジャに追従して主弁がニードル弁にパイロット通路が塞がれるまで移動して、パイロット通路が全閉で主弁が弁座を全開した状態に、電磁弁が安定して保持される。
【0031】
従って、請求項1、2又は3記載の電磁弁を弁閉状態から弁開状態に駆動させる際には、第1スイッチ手段により第1電力供給経路を開放状態から閉成状態に変移させ、それから時間をおいて、第2スイッチ手段により第2電力供給経路を開放状態から閉成状態に変移させることで、ソレノイドへの通電量を、ゼロから第1電力量へ、次いで、第1電力量から第1電力量と第2電力量とを合成した電力量へと、段階的に増加させて、弁座を開く際に、弁座又はパイロット通路が半開された状態を途中で確実に発生させることが可能となる。
【0032】
同様に、請求項1、2又は3記載の電磁弁を弁開状態から弁閉状態に駆動させる際には、第2スイッチ手段により第2電力供給経路を閉成状態から開放状態に変移させ、それから時間をおいて、第1スイッチ手段により第1電力供給経路を閉成状態から開放状態に変移させることで、ソレノイドへの通電量を、第1電力量と第2電力量とを合成した電力量から第1電力量へ、次いで、第1電力量からゼロへと、段階的に減少させて、弁座を閉じる際に、弁座又はパイロット通路が半開された状態を途中で確実に発生させることが可能となる。
【0033】
さらに、請求項5に記載した本発明の電磁弁駆動装置によれば、ソレノイド5に対する作動用電力の供給指令が電力供給指令手段13αから出力されると、その時点で第1スイッチ手段TRaにより第1電力供給経路αが開放状態から閉成状態に変移されて、この第1電力供給経路αにより供給源11からの作動用電力が第1電力量でソレノイド5に供給され、プランジャ55及びホルダのうち一方から他方にプランジャ付勢手段が付与する付勢力を下回る吸引力が、主弁から離間する向きでソレノイド5からプランジャ55に与えられる。
【0034】
そして、ソレノイド5に対する作動用電力の供給指令が電力供給指令手段13αから出力された時点から所定時間t1 が経過すると、第2スイッチ手段TRbにより第2電力供給経路βが開放状態から閉成状態に変移されて、この第2電力供給経路βによる第2電力量の作動用電力と、先に閉成状態に変移された第1電力供給経路αによる第1電力量の作動用電力とを合成した電力量で、供給源11からの作動用電力がソレノイド5に供給され、ソレノイド5からプランジャ55に、主弁から離間する向きの最大吸引力が与えられる。
【0035】
また、ソレノイド5に対する作動用電力の供給停止指令が電力供給指令手段13αから出力されると、その時点で第2スイッチ手段TRbにより第2電力供給経路βが閉成状態から開放状態に変移されて、供給源11からソレノイド5に供給される作動用電力が、第1電力量及び第2電力量を合成した電力量から第1電力量に変移する。
【0036】
そして、ソレノイド5に対する作動用電力の供給停止指令が電力供給指令手段13αから出力された時点から所定時間t2 が経過すると、第1スイッチ手段TRaにより第1電力供給経路αが閉成状態から開放状態に変移されて、供給源11からソレノイド5への作動用電力の供給が停止され、ソレノイド5からの吸引力がプランジャ55に付与されなくなる。
【0037】
従って、請求項1、2又は3記載の電磁弁の弁座を開く際や閉じる際に、弁座又はパイロット通路が半開された状態が途中で発生するように、弁閉状態から弁開状態に駆動させる際には、ソレノイド5への通電量を、ゼロから第1電力量へ、次いで、第1電力量から第1電力量と第2電力量とを合成した電力量へと、段階的に確実に増加させ、同様に、電磁弁を弁開状態から弁閉状態に駆動させる際には、ソレノイド5への通電量を、第1電力量と第2電力量とを合成した電力量から第1電力量へ、次いで、第1電力量からゼロへと、段階的に確実に減少させることが可能となる。
【0038】
また、請求項6に記載した本発明の電磁弁駆動装置によれば、外部からの作動用電力の供給指令の第2スイッチ手段に対する出力を供給指令遅延手段により遅延させることで、第2スイッチ手段により第2電力供給経路が開放状態から閉成状態に変移する時点を、第1スイッチ手段により第1電力供給経路が開放状態から閉成状態に変移する時点よりも遅延させ、これにより、電磁弁を弁閉状態から弁開状態に駆動させる際に、ソレノイドへの通電量を、ゼロから第1電力量へ、次いで、第1電力量から第1電力量と第2電力量とを合成した電力量へと、段階的に確実に増加させることが可能となる。
【0039】
同様に、外部からの作動用電力の供給停止指令の第1スイッチ手段に対する出力を停止指令遅延手段により遅延させることで、第1スイッチ手段により第1電力供給経路が閉成状態から開放状態に変移する時点を、第2スイッチ手段により第2電力供給経路が閉成状態から開放状態に変移する時点よりも遅延させ、これにより、これにより、電磁弁を弁開状態から弁閉状態に駆動させる際に、ソレノイドへの通電量を、第1電力量と第2電力量とを合成した電力量から第1電力量へ、次いで、第1電力量からゼロへと、段階的に確実に減少させることが可能となる。
【0040】
さらに、請求項7に記載した本発明の電磁弁駆動装置によれば、ソレノイド5に対する作動用電力の供給指令が電力供給指令手段13αから出力されると、その時点で供給指令が入力される第1スイッチ手段TRaにより、第1電力供給経路αが開放状態から閉成状態に変移されて、この第1電力供給経路αにより供給源11からの作動用電力が第1電力量でソレノイド5に供給され、プランジャ55及びホルダのうち一方から他方にプランジャ付勢手段が付与する付勢力を下回る吸引力が、主弁から離間する向きでソレノイド5からプランジャ55に与えられる。
【0041】
そして、ソレノイド5に対する作動用電力の供給指令が電力供給指令手段13αから出力された時点から所定時間t1 が経過すると、その時点で供給指令遅延手段DL2により遅延された供給指令が入力される第2スイッチ手段TRbにより、第2電力供給経路βが開放状態から閉成状態に変移されて、この第2電力供給経路βによる第2電力量の作動用電力と、先に閉成状態に変移された第1電力供給経路αによる第1電力量の作動用電力とを合成した電力量で、供給源11からの作動用電力がソレノイド5に供給され、ソレノイド5からプランジャ55に、主弁から離間する向きの最大吸引力が与えられる。
【0042】
また、ソレノイド5に対する作動用電力の供給停止指令が電力供給指令手段13αから出力されると、その時点で供給停止指令が入力される第2スイッチ手段TRbにより、第2電力供給経路βが閉成状態から開放状態に変移されて、供給源11からソレノイド5に供給される作動用電力が、第1電力量及び第2電力量を合成した電力量から第1電力量に変移する。
【0043】
そして、ソレノイド5に対する作動用電力の供給停止指令が電力供給指令手段13αから出力された時点から所定時間t2 が経過すると、その時点で停止指令遅延手段DL1により遅延された供給停止指令が入力される第1スイッチ手段TRaにより、第1電力供給経路αが閉成状態から開放状態に変移されて、供給源11からソレノイド5への作動用電力の供給が停止され、ソレノイド5からの吸引力がプランジャ55に付与されなくなる。
【0044】
従って、供給指令の第2スイッチ手段TRbへの出力を供給指令遅延手段DL2により遅延させることで、第1スイッチ手段TRaによる第1電力供給経路αの開放状態から閉成状態への変移よりも、第2スイッチ手段TRbによる第2電力供給経路βの開放状態から閉成状態への変移を遅延させて、電磁弁11を弁閉状態から弁開状態に駆動させる際に、電磁弁11の駆動のために供給指令や供給停止指令から時間差のある2つの信号を生成する必要をなくし、その分だけ信号生成系及び信号出力系の動作を簡略化することが可能となる。
【0045】
同様に、供給停止指令の第1スイッチ手段TRaへの出力を停止指令遅延手段DL1により遅延させることで、第2スイッチ手段TRbによる第2電力供給経路βの閉成状態から開放状態への変移よりも、第1スイッチ手段TRaによる第1電力供給経路αの閉成状態から開放状態への変移を遅延させて、電磁弁11を弁開状態から弁閉状態に駆動させる際に、電磁弁11の駆動のために供給指令や供給停止指令から時間差のある2つの信号を生成する必要をなくし、その分だけ信号生成系及び信号出力系の動作を簡略化することが可能となる。
【0046】
また、請求項8に記載した本発明の電磁弁駆動装置によれば、供給源からの作動用電力の供給が開始されると、この時点で作動用電力が第3電力供給経路により第1電力量でソレノイドに供給され、プランジャ及びホルダのうち一方から他方にプランジャ付勢手段が付与する付勢力を下回る吸引力が、主弁から離間する向きでソレノイドからプランジャに与えられる。
【0047】
すると、主弁が弁座を閉じ且つニードル弁がパイロット通路を半開する状態か、或は、主弁がプランジャに追従してニードル弁にパイロット通路が塞がれるまで移動して、パイロット通路が全閉で主弁が弁座を半開した状態かのどちらかに、電磁弁が安定して保持される。
【0048】
そして、供給源からの作動用電力の供給が開始された時点から所定時間経過し、供給源からの作動用電力を基に生成されて通電信号遅延手段により遅延された通電信号が第3スイッチ手段に入力されて、第4電力供給経路が開放状態から閉成状態に変移されると、この第4電力供給経路による第2電力量の作動用電力と、既に第3電力供給経路により供給されている第1電力量の作動用電力とを合成した電力量で、供給源からの作動用電力がソレノイドに供給され、ソレノイドからプランジャに、主弁から離間する向きの最大吸引力が与えられる。
【0049】
すると、プランジャが主弁から離間する方向に移動し、このプランジャに追従して主弁がニードル弁にパイロット通路が塞がれるまで移動して、パイロット通路が全閉で主弁が弁座を全開した状態に、電磁弁が安定して保持される。
【0050】
また、供給源からの作動用電力の供給が停止されると、その時点で第3スイッチ手段により第4電力供給経路が閉成状態から開放状態に変移されて、第4電力供給経路による第2電力量での供給源からの作動用電力の供給が停止すると共に、第3電力供給経路による第1電力量での供給源からの作動用電力の供給が停止する。
【0051】
その一方で、供給源からの電力の供給が停止されると、ソレノイドに並列接続されたRC回路において発生する過渡現象によって、RC回路の時定数に応じた所定時間に亘ってこのRC回路を電流が流れ、この電流の流れによって、RC回路が並列接続されたソレノイドに、第2電力量未満で、且つ、第1電力量以上の作動用電力が供給される。
【0052】
これにより、供給源からの電力の供給が停止された後、RC回路の時定数に応じた所定時間に亘って、主弁が弁座を閉じ且つニードル弁がパイロット通路を半開する状態か、或は、主弁がプランジャに追従してニードル弁にパイロット通路が塞がれるまで移動して、パイロット通路が全閉で主弁が弁座を半開した状態かのどちらかに、電磁弁が安定して保持される。
【0053】
そして、RC回路の時定数に応じた所定時間が経過すると、過渡現象によりRC回路を流れる電流の低下で、RC回路からソレノイドに供給される作動用電力の電力量が第1電力量未満となり、やがては、RC回路の過渡現象の終了で、RC回路からソレノイドに作動用電力が供給されなくなって、ソレノイドからの吸引力が付与されなくなったプランジャが、主弁のパイロット通路を全閉したまま主弁を押しながら元の位置に復帰して、チャンバと一次側及び二次側との圧力差により主弁が弁座を全閉する状態に電磁弁が復帰する。
【0054】
従って、請求項1、2又は3記載の電磁弁を弁閉状態から弁開状態に駆動させる際に、ソレノイドへの通電量を、ゼロから第1電力量へ、次いで、第1電力量から第1電力量と第2電力量とを合成した電力量へと、段階的に増加させ、同様に、電磁弁を弁開状態から弁閉状態に駆動させる際においても、ソレノイド5の通電量を、第1電力量と第2電力量とを合成した電力量から、第2電力量未満で、且つ、第1電力量以上の電力量へ、次いで、第2電力量未満で、且つ、第1電力量以上の電力量からゼロへと、段階的に減少させて、弁座を開く際や閉じる際に、弁座又はパイロット通路が半開された状態を途中で確実に発生させることが可能となる。
【0055】
さらに、請求項9に記載した本発明の電磁弁駆動装置によれば、ソレノイド5に対する作動用電力の供給指令が電力供給指令手段13αから出力されると、その時点で第4スイッチ手段TRdにより第5電力供給経路εが開放状態から閉成状態に変移されて、この第5電力供給経路εと第3電力供給経路γにより供給源11からの作動用電力が第1電力量でソレノイド5に供給され、プランジャ55及びホルダのうち一方から他方にプランジャ付勢手段が付与する付勢力を下回る吸引力が、主弁から離間する向きでソレノイド5からプランジャ55に与えられる。
【0056】
そして、ソレノイド5に対する作動用電力の供給指令が電力供給指令手段13αから出力された時点から所定時間t1 が経過すると、その時点で通電信号遅延手段DL3により遅延された通電信号が入力される第3スイッチ手段TRcにより、第4電力供給経路δが開放状態から閉成状態に変移されて、この第4電力供給経路δによる第2電力量の作動用電力と、既に供給源11に接続されている第3電力供給経路γによる第1電力量の作動用電力とを合成した電力量で、供給源11からの作動用電力がソレノイド5に供給され、ソレノイド5からプランジャ55に、主弁から離間する向きの最大吸引力が与えられる。
【0057】
また、ソレノイド5に対する作動用電力の供給停止指令が電力供給指令手段13αから出力されると、その時点で通電信号の入力が停止される第3スイッチ手段TRcにより、第4電力供給経路δが閉成状態から開放状態に変移されて、第4電力供給経路δによる第2電力量での供給源11からの作動用電力の供給が停止すると共に、第3電力供給経路γによる第1電力量での供給源11からの作動用電力の供給が停止する。
【0058】
その一方で、供給源11からの電力の供給が停止されると、ソレノイド5に並列接続されたRC回路Xにおいて発生する過渡現象によって、RC回路Xの時定数に応じた所定時間t2 に亘ってこのRC回路Xを電流が流れ、この電流の流れによって、RC回路Xが並列接続されたソレノイド5に、第2電力量未満で、且つ、第1電力量以上の作動用電力が供給される。
【0059】
そして、RC回路Xの時定数に応じた所定時間t2 が経過すると、過渡現象によりRC回路Xを流れる電流の低下で、RC回路Xからソレノイド5に供給される作動用電力の電力量が第1電力量未満となり、やがては、RC回路Xの過渡現象の終了で、RC回路Xからソレノイド5に作動用電力が供給されなくなって、ソレノイド5からの吸引力がプランジャ55に付与されなくなる。
【0060】
従って、第4スイッチ手段TRdによる第5電力供給経路εの開放状態から閉成状態への変移に伴って生成される通電信号の、第3スイッチ手段TRcへの出力を、通電信号遅延手段DL3により遅延させることで、第3電力供給経路γによる第1電力量での供給源11からの作動用電力の供給の開始よりも、第3スイッチ手段TRcによる第4電力供給経路δの開放状態から閉成状態への変移を遅延させて、電磁弁11を弁閉状態から弁開状態に駆動させる際に、電磁弁11の駆動のために供給指令や供給停止指令から時間差のある2つの信号を生成する必要をなくし、その分だけ信号生成系及び信号出力系の動作を簡略化することが可能となる。
【0061】
同様に、第4スイッチ手段TRdによる第5電力供給経路εの閉成状態から開放状態への変移に伴って発生する過渡現象により、RC回路Xを流れる電流によって、RC回路Xが並列接続されたソレノイド5に、第2電力量未満で、且つ、第1電力量以上の作動用電力を、RC回路Xの時定数に応じた所定時間t2 に亘って供給させることで、第3スイッチ手段TRcによる第4電力供給経路δの閉成状態から開放状態への変移よりも、RC回路Xの過渡現象に起因してソレノイド5に供給される作動用電力が第1電力量を下回る時点を遅延させて、電磁弁11を弁開状態から弁閉状態に駆動させる際に、電磁弁11の駆動のために供給指令や供給停止指令から時間差のある2つの信号を生成する必要をなくし、その分だけ信号生成系及び信号出力系の動作を簡略化することが可能となる。
【0062】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0063】
尚、ここでは、車両の冷房装置において冷媒回路を開閉する電磁弁と、この電磁弁を駆動させるための装置とを有する、本発明の電磁弁と電磁弁駆動装置とが適用される電磁弁システムを例に取り、第1乃至第3の3つの実施形態について説明することにする。
【0064】
まず、本発明の第1乃至第3の各実施形態に係る電磁弁システムに共通して用いられる電磁弁を、図4乃至図13を参照して説明する。
【0065】
図4は第1乃至第3の各実施形態に係る電磁弁の断面図で、図4中引用符号1で示す本実施形態の電磁弁は、本体部3、ソレノイド5、これら本体部3とソレノイド5とを連結する連結部7、並びに、主弁9を備えている。
【0066】
前記本体部3は、凝縮器及びレシーバ(いずれも図示せず)側、つまり、一次側に接続されて液冷媒(図示せず)が流入する流入口31と、蒸発器側、つまり、二次側に接続されて前記液冷媒が流出する流出口33と、この流出口33に連通して形成された弁座35と、前記流入口31に連通して形成されその内部に前記弁座35が開口された弁室37とを有している。
【0067】
前記流入口31及び流出口33は略一直線上に配置されていて、流出口33の流入口31寄り部分が略L字状に折曲されており、この折曲された流出口33部分の終端に前記弁座35が形成され、この弁座35を囲み弁座35と同心円上に位置するように、前記弁室37が略円筒状に形成されていて、弁室37の内周には、前記連結部7の取付用の雌ねじ部37aが形成されている。
【0068】
前記ソレノイド5は、固定鉄心を構成する吸引子51と、この吸引子51の回りに巻回されたコイル53と、前記吸引子51と同軸上に位置するようにコイル53内に挿通されたプランジャ55と、このプランジャ55に嵌挿されたホルダ57とを有しており、前記吸引子51のプランジャ55側の端面には、深くなるにつれて径が若干小さくなる略円錐台状の凹部51aが形成されていて、この凹部51a内に、中心に突起51bを有する円板状の弾性体からなる緩衝部材51cが収容されている。
【0069】
前記ホルダ57は、図5に弁部分の要部拡大断面図で示すように、前記吸引子51と略等しい外径の円柱状を呈しており、このホルダ57の一端外周には環状のフランジ57aが形成されている。
また、フランジ57a側のホルダ57の端部には円柱状の凹部57bが形成されており、フランジ57a側とは反対側のホルダ57の端部には、凹部57bよりも小さい内径で通孔57cが形成されている。
【0070】
前記プランジャ55は、基部55a、弁部55e、並びに、ニードル弁バネ55jを有している。
【0071】
前記基部55aは、前記ホルダ57と略等しい外径の円筒状に形成されており、基部55aの内部で軸方向略中間付近の部分には、内径が大径から小径に変わる段差部55bが形成されていて、この段差部55bよりも大径側の基部55a箇所には、基部55aの軸心を通り径方向に貫通する通孔55cが形成されており、段差部55bよりも小径部側の基部55aの端部には、先細りの略円錐台状を呈し吸引子51の凹部51aに対応する凸部55dが突設されている。
尚、基部55aのうち段差部55bよりも大径側は、ホルダ57の通孔57cと略等しい内径で形成されている。
【0072】
前記弁部55eは、基部55aの大径部分の内径に対応する外径の円柱状を呈しており、弁部55eの一端寄り部分には、弁部55eの軸心を通り径方向に貫通する通孔55fが、基部55aの通孔55cよりも小さい内径で形成されており、この通孔55fとは反対側の弁部55eの端部には、ホルダ57の凹部57bに挿入可能な大径で環状のフランジ55gが形成されていて、このフランジ55gの略中心に円錐状のニードル弁55hが突設されている。
【0073】
前記ニードル弁バネ55j(プランジャ付勢手段に相当)は、ホルダ57の凹部57bに収容可能で且つフランジ55gを除く弁部55e部分に嵌装可能な寸法で形成されている。
【0074】
これら基部55a、弁部55e、並びに、ニードル弁バネ55jを有するプランジャ55及びホルダ57の組み付けは、次のようにして行う。
【0075】
まず、ホルダ57の通孔55f側の端部を、基部55aの段差部55bよりも大径側の端部に当て付けると共に、ホルダ57の凹部57b内にニードル弁バネ55jを収容しておく。
次に、この状態で通孔55f寄りの端部側から弁部55eをホルダ57の凹部57bに挿入してニードル弁バネ55jの内部を挿通させ、さらに、ホルダ57の通孔57cを挿通して基部55aの内部に挿入し、弁部55eの通孔55f寄りの端部を基部55aの段差部55bに当て付ける。
【0076】
これにより、基部55aの軸方向における基部55aの通孔55cと弁部55eの通孔55fとの位置が一致するので、周方向においても互いの位置を合わせた上で、これら通孔55c,55fに亘ってストッパピン55kを嵌挿する。
【0077】
以上の作業でプランジャ55及びホルダ57の組み付けが完了し、これによりプランジャ55及びホルダ57は、図6に図5とは周方向に90゜向きを変えた拡大断面図に示すように、弁部55eの通孔55fに嵌挿したストッパピン55kが基部55aの通孔55cのホルダ57寄りに偏心して位置すると共に、ニードル弁バネ55jがホルダ57の凹部57bの底面と弁部55eのフランジ55gとの間に収縮状態に配置された状態となる。
【0078】
従って、ニードル弁バネ55jの弾発力によりホルダ57は基部55aに当て付けられ、また、弁部55eはホルダ57の凹部57bから突出する方向に付勢され、この付勢により弁部55eのフランジ55gは、ホルダ57のフランジ57aからホルダ57の外方に突出した箇所に位置する。
即ち、本実施形態では、請求項中のプランジャ移動規制部材が基部55aで構成されている。
【0079】
尚、図5中引用符号59はプランジャチューブを示し、このプランジャチューブ59は、プランジャ55及びホルダ57のフランジ57aを除く部分が挿通可能な内径の円筒状の薄板により形成されている。
【0080】
前記連結部7は、略円筒状を呈しており、連結部7の内部には、内径が大径から小径に変わる段差部71が形成されていて、この段差部71よりも小径側の部分は、プランジャチューブ59の外径に対応する内径で形成されており、段差部71に対応する連結部7の外周部分には環状のフランジ73が形成されている。
【0081】
そして、前記段差部71よりも大径側の連結部7部分の外周には、本体部3の弁室37に形成された雌ねじ部37aに螺着可能な雄ねじ部75が形成されており、この雄ねじ部75を本体部3の雌ねじ部37aに螺着した状態で弁室37に連通するチャンバ77が、連結部7の内部で段差部71よりも大径側の部分によって構成されている。
【0082】
前記主弁9は、前記連結部7のチャンバ77の内径よりも僅かに小さい外径の円筒状に形成されていて、主弁9の中心軸上には、プランジャ55の弁部55eのニードル弁55hにより開閉されるパイロット通路91が貫設されており、本体部3の雌ねじ部37aに連結部7の雄ねじ部75を螺着した状態で、主弁9がチャンバ77の内部を段差部71に対して接近離間する方向に、ニードル弁55hの突出高さAよりも大きいストロークで移動できるように構成されている。
【0083】
また、前記主弁9は、外径が次第に変わる略円錐台状を呈する主弁バネ93と共に本体部3の弁室37に収容され、本体部3の雌ねじ部37aに連結部7の雄ねじ部75を螺着した状態で、主弁バネ93の小径側が主弁9の一端に当接すると共に大径側が弁室37の底面に当接し、この主弁バネ93により主弁9は、弁座35から離間してこれを開く方向に、極めて僅かな力で付勢されている。
【0084】
そして、以上に説明した構成の本体部3、ソレノイド5、連結部7、並びに、主弁9を備える本実施形態の電磁弁1の組み付けは、次のようにして行う。
【0085】
まず、吸引子51の凹部51a側にプランジャチューブ59の一端側を溶接等により取着し、さらに、プランジャチューブ59の他端側を、連結部7の段差部71よりも小径側の部分の内周壁部分にろう付け等により取着する。
【0086】
次に、プランジャ55の基部55aの凸部55d側から、基部55aの内部の段差部55bよりも小径部側の部分に、プランジャバネ55mを収容して、このプランジャバネ55mの部分を凸部55dから基部55aの外方に突出させた状態で、連結部7側からプランジャチューブ59の内部に、プランジャ55を基部55aの凸部55d側から挿入し、この凸部55dから基部55aの外方に突出するプランジャバネ55mの部分を、吸引子51の緩衝部材51cの突起51bに嵌着する。
【0087】
続いて、主弁9を連結部7のチャンバ77に収容すると共に、主弁9の端部外周に主弁バネ93の一端を係合し、この状態で、連結部7の雄ねじ部75を本体部3の雌ねじ部37aに螺着して、本体部3の弁座35に主弁9の端面を当て付けると共に、弁座35の外側に主弁バネ93を収縮状態で配置する。
【0088】
最後に、上述したようにして連結部7及び本体部3がプランジャチューブ59を介して取着された吸引子51をコイル53内に挿通し、ボルト51dにより吸引子51を固定する。
これにより、電磁弁1の組み付けが終了する。
【0089】
上述した構成の電磁弁1は、ソレノイド5のコイル53に全く通電していない状態では、図5に示すように、プランジャバネ55mの弾発力によりプランジャ55の基部55aが吸引子51から離間して弁座35側に押し出され、且つ、ニードル弁バネ55jの弾発力によりホルダ57が基部55aに当て付けられていて、ホルダ57のフランジ57aが連結部7の段差部71よりも、ニードル弁55hの突出高さAよりも小さい間隔Bだけ離間して弁座35寄りに位置する。
【0090】
また、ソレノイド5のコイル53に全く通電していない状態では、ニードル弁バネ55jの弾発力によりホルダ57の凹部57bから突出する方向に付勢された弁部55eのフランジ55gが、連結部7の段差部71よりも弁座35寄りに位置したフランジ57aからホルダ57の外方に突出した箇所に位置し、このフランジ55gのニードル弁55hが主弁9に押し付けられて、パイロット通路91がニードル弁55hにより全閉されると共に、プランジャ55の弁部55eから主弁9を介して押された主弁バネ93が収縮して、主弁9が弁座35に押し当てられてこの弁座35が全閉される。
【0091】
尚、本実施形態における前記ニードル弁バネ55j、プランジャバネ55m、及び、主弁バネ93のバネ力については、以下の電磁弁1の動作説明の際に解説することとする。
【0092】
次に、上述した構成による本実施形態の電磁弁1の動作(作用)について説明する。
【0093】
まず、上述したソレノイド5のコイル53に全く通電していない電磁弁1の弁閉状態では、流入口31側の液冷媒が主弁9の外周との僅かな隙間を通ってチャンバ77に流入し、これにより、チャンバ77内の液冷媒の圧力は、流入口31側、つまり、凝縮器及びレシーバ側と同じ圧力となり、弁座35に連通する流出口33、つまり、蒸発器側より高くなる。
【0094】
ここで、電磁弁1を弁開状態とするために、まずは、定格電流よりも低い電流、例えば、本実施形態の場合には、定格電流の50%の電流をコイル53に通電してプランジャ55に吸引子51側への吸引力を働かせると、プランジャバネ55mはその弾発力よりもプランジャ55の吸引力の方が勝るため収縮するものの、ニードル弁バネ55jはその弾発力の方がプランジャ55の吸引力よりも勝るため全く収縮しない。
【0095】
従って、プランジャ55の基部55aにホルダ57が当て付けられて、弁部55eのフランジ55gがホルダ57の凹部57bから突出したままの状態で、ホルダ57のフランジ57aが連結部7の段差部71に当接するまでプランジャ55が吸引子51側に移動する。
【0096】
そして、プランジャバネ55mの弾発力よりもプランジャ55の吸引力の方が勝り、且つ、このプランジャ55の吸引力よりもニードル弁バネ55jの弾発力の方が勝ることから、プランジャ55は、上述した、基部55aにホルダ57が当て付けられて弁部55eのフランジ55gがホルダ57の凹部57bから突出し、且つ、ホルダ57のフランジ57aが連結部7の段差部71に当接した状態に安定して保持される。
【0097】
このときの主弁9の動作は、チャンバ77内の液冷媒の圧力と流入口31側の液冷媒の圧力との差圧、及び、チャンバ77内の液冷媒の圧力と流出口33側の液冷媒の圧力との差圧のバランスにより、2通りに分かれ、この差圧のバランスは、ニードル弁55hがパイロット通路91を全閉している状態では、流入口31側の液冷媒が主弁9の外周との僅かな隙間を通ってチャンバ77に流入する流量によって定まる。
【0098】
また、ニードル弁55hがパイロット通路91を僅かでも開いている状態では、流入口31からチャンバ77への液冷媒の流入量に加えて、パイロット通路91を介してチャンバ77から流出口33へ流出する液冷媒の量によって定まる。
【0099】
そして、チャンバ77内の液冷媒の圧力を流入口31側の液冷媒の圧力が上回って主弁9を弁座35から離間させる向きに働く力よりも、チャンバ77内の液冷媒の圧力を流出口33側の液冷媒の圧力が下回って主弁9を弁座35側に吸引するように働く力が勝っていれば、図7に要部拡大断面図で示すように、主弁バネ93が収縮して主弁9が弁座35を全閉したままとなり、従って、プランジャ55の吸引子51側への移動に伴って、ニードル弁55hがその突出高さAよりも小さい間隔Bだけ主弁9のパイロット通路91から離間して、パイロット通路91が半開状態となる。
【0100】
一方、チャンバ77内の液冷媒の圧力を流入口31側の液冷媒の圧力が上回って主弁9を弁座35から離間させる向きに働く力が、チャンバ77内の液冷媒の圧力を流出口33側の液冷媒の圧力が下回って主弁9を弁座35側に吸引するように働く力よりも勝っていれば、図8に拡大断面図で示すように、主弁バネ93の弾発力により主弁9が、プランジャ55の吸引子51側への移動に追従して、前記間隔Bだけ主弁9が弁座35から離間し、これにより、ニードル弁55hはパイロット通路91を全閉したまま、弁座35が半開状態となる。
【0101】
そして、図7に示すように、主弁9が弁座35を全閉したままニードル弁55hがパイロット通路91を半開すると、チャンバ77内の液冷媒が僅かずつパイロット通路91を通って流出口33側に流入し、また、図8に示すように、ニードル弁55hがパイロット通路91を全閉したまま主弁9が弁座35を半開すると、弁室37内の液冷媒が僅かずつ弁座35を通って流出口33側に流入する。
【0102】
この場合、流入口31側と流出口33側との各圧力の変動特性は、パイロット通路91が半開した際と弁座35が半開した際とでは厳密には一致しないものの、おおよそ、図9の特性図に示すようになる。
【0103】
即ち、定格電流の50%の電流をコイル53に通電して、プランジャ55に吸引子51側への吸引力を働かせた時点T1以降の流入口31側の液冷媒の圧力P1は、流出口33側への液冷媒の流入が僅かずつであることから、一瞬僅かに下がるものの直ぐに元の圧力に戻って、それ以降は略変動しない。
【0104】
一方、流出口33側の液冷媒の圧力P2は、半開のパイロット通路91か弁座35を通って流入口31乃至チャンバ77側から流入する液冷媒により徐々に上がって、流入口31側の液冷媒の圧力P1に近づいていく。
【0105】
その後、流出口33側の液冷媒の圧力P2と流入口31側の液冷媒の圧力P1との差圧がある程度の大きさ以内に収まりそうなタイミングを見計らって、コイル53に定格電流の100%の電流を通電してプランジャ55に吸引子51側への吸引力を最大に働かせると、ニードル弁バネ55jが、その弾発力よりもプランジャ55の吸引力の方が勝るため収縮する。
【0106】
従って、弁部55eと基部55aが吸引子51に吸引されて、ニードル弁55hの突出高さAよりも大きい最大間隔C(図10及び図11参照)だけ、弁座35から離間するようにホルダ57に対して相対移動し、弁部55eのフランジ55gがホルダ57の凹部57bに収容される。
【0107】
すると、この時点では、流出口33側の液冷媒の圧力P2が流入口31側の液冷媒の圧力P1にある程度近づいており、その分だけ、チャンバ77内の液冷媒の圧力を流出口33側の液冷媒の圧力が下回って主弁9を弁座35側に吸引するように働く力が弱まっていることから、チャンバ77内の液冷媒の圧力を流入口31側の液冷媒の圧力が上回って主弁9を弁座35から離間させる向きに働く力の方が勝ることとなる。
【0108】
このため、図7に示す、主弁9が弁座35を全閉しニードル弁55hがパイロット通路91を半開した状態から、コイル53に定格電流の100%の電流を通電したのであれば、図10に拡大断面図で示すように、主弁9が弁座35を全閉したまま、弁部55eのニードル弁55hがその突出高さAよりも大きい最大間隔Cだけ主弁9のパイロット通路91から離間して、パイロット通路91が全開状態となる。
【0109】
そして、この状態をほんの一瞬だけ経て、さらに図11に拡大断面図で示すように、流入口31側の液冷媒の圧力により主弁9に働く力によって、主弁9が弁部55eに追従して弁座35から離間し、パイロット通路91がニードル弁55hに当たって全閉状態になると共に、主弁9が前記最大間隔Cだけ弁座35から離間して全開状態となり、これにより、電磁弁1が弁開状態となる。
【0110】
一方、図8に示す、ニードル弁55hがパイロット通路91を全閉し主弁9が弁座35を半開した状態から、コイル53に定格電流の100%の電流を通電したのであれば、図12に拡大断面図で示すように、主弁9が弁座35を半開した状態のまま、弁部55eのニードル弁55hがその突出高さAだけ主弁9のパイロット通路91から離間して、パイロット通路91が全開状態となる。
【0111】
そして、この状態をほんの一瞬だけ経て、さらに図11に示すように、流入口31側の液冷媒の圧力により主弁9に働く力によって、主弁9が弁部55eに追従して弁座35から離間し、パイロット通路91がニードル弁55hに当たって全閉状態になると共に、主弁9が前記最大間隔Cだけ弁座35から離間して全開状態となり、これにより、電磁弁1が弁開状態となる。
【0112】
この場合の流入口31側と流出口33側との各圧力の変動特性は、パイロット通路91の半開から弁座35が全開した際と、弁座35が半開から全開に変わった際とでは厳密には一致しないものの、パイロット通路91や弁座35の半開の際と同じく、おおよそ、図9に示す通りになる。
【0113】
即ち、定格電流の100%の電流をコイル53に通電してプランジャ55に吸引子51側への吸引力を働かせた時点T2以降の流入口31側の液冷媒の圧力P1は、流出口33側の液冷媒の圧力P2との差圧がある程度の大きさ以内に収まっていることから、パイロット通路91や弁座35の半開状態に比べて流入口31側から流出口33側への液冷媒の流入量が増えているものの、その影響で下がることはない。
【0114】
一方、流出口33側の液冷媒の圧力P2は、全開の弁座35を通って流入口31乃至チャンバ77側から流入する液冷媒により、パイロット通路91や弁座35の半開状態の際よりも加速して上がり、流入口31側の液冷媒の圧力P1に略一致する。
【0115】
そして、定格電流の100%の電流のコイル53への通電により弁座35が全開する時点では、パイロット通路91や弁座35の半開状態における、流入口31側から流出口33側への液冷媒の僅かずつの流入によって、流入口31側の液冷媒の圧力P1と流出口33側の液冷媒の圧力P2との差圧がある程度の大きさ以内に収まっていることから、その差圧が弁座35の全開によって一気になくなったとしても、ウォータハンマ現象は殆ど起こらず、従って、これによる大きな騒音が発生することはない。
【0116】
これに対し、電磁弁1の弁閉状態とするために、まずは、コイル53への通電量を定格電流の100%から50%に下げて、プランジャ55に働く吸引子51側への吸引力を下げると、プランジャバネ55mはその弾発力よりもプランジャ55の吸引力の方が勝るため収縮したままであるが、ニードル弁バネ55jはその弾発力の方がプランジャ55の吸引力よりも勝るため伸張する。
【0117】
従って、ニードル弁バネ55jの伸張により、ホルダ57のフランジ57aが連結部7の段差部71に当接したまま、弁部55eのフランジ55gがホルダ57の凹部57bから突出すると共に、これに連動してプランジャ55の基部55aが吸引子51から離間し、また、弁部55eに押されて、ニードル弁55hによりパイロット通路91が全閉された主弁9が主弁バネ93の弾発力に抗して弁座35側に移動して、図8に示す、ニードル弁55hがパイロット通路91を全閉し主弁9が弁座35を半開した状態に移行する。
【0118】
すると、流入口31側から流出口33側への液冷媒の流入量が減少し、蒸発器側での液冷媒の蒸発に伴って、流出口33側の液冷媒の圧力P2が次第に流入口31側の液冷媒の圧力P1よりも低くなっていく。
【0119】
その後、流出口33側の液冷媒の圧力P2と流入口31側の液冷媒の圧力P1との差圧がある程度の大きさ以上に開きそうなタイミングを見計らって、コイル53への通電を停止すると、プランジャ55に吸引子51側への吸引力が全く働かなくなり、従って、ニードル弁バネ55jに加えてプランジャバネ55mが、その弾発力によって伸張する。
【0120】
従って、プランジャバネ55mの伸張により、弁部55eのフランジ55gがホルダ57の凹部57bから突出したまま、ホルダ57のフランジ57aが連結部7の段差部71から離間し、これにより、プランジャ55の全体が弁座35側に移動すると共に、このプランジャ55全体で移動する弁部55nに押されて、ニードル弁55hによりパイロット通路91が全閉された主弁9が主弁バネ93の弾発力に抗して弁座35側に移動して、図5に示す、ニードル弁55h及び主弁9がパイロット通路91及び弁座35を各々全閉した状態に移行し、これにより、電磁弁1が弁開状態となる。
【0121】
すると、ニードル弁55h及び主弁9がパイロット通路91及び弁座35を各々全閉することで、流入口31側から流出口33側への液冷媒の流入が一切遮断され、これにより、蒸発器側での液冷媒の蒸発に伴い流出口33側の液冷媒の圧力P2が流入口31側の液冷媒の圧力P1よりも低くなる度合いが、弁座35を主弁9が半開していた状態から加速される。
【0122】
しかし、ニードル弁55h及び主弁9がパイロット通路91及び弁座35を各々全閉する時点では、弁座35を主弁9が半開していた間に、蒸発器側での液冷媒の蒸発に伴い流出口33側の液冷媒の圧力P2が流入口31側の液冷媒の圧力P1よりもある程度以上低くなっていることから、ニードル弁55h及び主弁9がパイロット通路91及び弁座35を各々全閉することによって、流出口33側の液冷媒の圧力P2の下がる度合いが加速されても、ウォータハンマ現象は殆ど起こらず、従って、これによる大きな騒音が発生することはない。
【0123】
尚、図13はプランジャ55のニードル弁55hの位置、つまり、プランジャリフトLを横軸に取り、ソレノイド5のコイル53に対する通電量に応じたプランジャ55に与える吸引力Fや、プランジャバネ55m及びニードル弁バネ55jがプランジャ55に作用するバネ力Wを縦軸に取った、これらの相関を示すグラフである。
【0124】
この図13のグラフを見ても明らかなように、図5に示す主弁9及びニードル弁55hが弁座35及びパイロット通路91を各々全閉するリフトL1の位置から、図7に示す主弁9が弁座35を全閉したままニードル弁55hがパイロット通路91を半開するか、或は、図8に示すニードル弁55hがパイロット通路91を全閉したまま主弁9が弁座35を半開する、リフトL2の位置まで、プランジャ55を移動させるのに必要な力は、プランジャバネ55mの弾発力に相当するバネ力W1〜W2と、次に説明する液冷媒からプランジャ55が受ける圧力との合力である。
【0125】
上述した液冷媒からプランジャ55が受ける圧力とは、プランジャ55をリフトL1の位置からリフトL2の位置まで移動させるのに伴いニードル弁55hがパイロット通路91から離間し始める、電磁弁1の弁開時におけるごく当初の段階にだけ発生するもので、チャンバ77内の液媒体の圧力と、これよりも低い二次側の液冷媒の圧力との差圧に、パイロット通路91の開口径を乗じた値となるが、上述の通りこの圧力はごく限られた時点でしか発生しないので、以後の動作説明においてはこの圧力を考慮しないこととする。
【0126】
また、前記リフトL2の位置から、図11に示すニードル弁55hがパイロット通路91を全閉したまま主弁9が弁座35を全開するリフトL3の位置まで、プランジャ55を移動させるのに必要な力は、プランジャバネ55mの弾発力にニードル弁バネ55jの弾発力を加えた合成バネ力W3〜W4である。
【0127】
これに対し、定格電流の50%の電流をコイル53に通電することでプランジャ55に働くソレノイド5の吸引力F50は、バネ力W1〜W2を上回り、且つ、合成バネ力W3〜W4を下回る。
【0128】
また、定格電流の100%の電流をコイル53に通電することでプランジャ55に働くソレノイド5の吸引力F100 は、バネ力W1〜W2と合成バネ力W3〜W4とをいずれも上回る。
【0129】
従って、定格電流の50%の電流をコイル53に通電してソレノイド5を作動させると、ニードル弁55h及び主弁9のうちどちらか一方が、パイロット通路91及び弁座35の対応するどちらか一方を半開した、図7や図8に示す状態に必ずなるが、その通電量では、ニードル弁55hがパイロット通路91を全閉したまま主弁9が弁座35を全開する、図11に示すに示す状態には絶対にならない。
【0130】
また、定格電流の100%の電流をコイル53に通電してソレノイド5を作動させると、ニードル弁55hがパイロット通路91を全閉したまま主弁9が弁座35を全開する、図11に示すに示す状態に必ずなる。
【0131】
そして、プランジャ55をリフトL1とリフトL2との間で移動させるために必要なバネ力W1〜W2と、プランジャ55をリフトL2とリフトL3との間で移動させるために必要な合成バネ力W3〜W4との間には、W3−W2のギャップがあるため、例えば、定格電流の50%の電流をコイル53に通電してソレノイド5を作動させた場合のプランジャ55に働くソレノイド5の吸引力F50に、図13中に破線で示すばらつき上限吸引力F50MAX と、図13中に一点鎖線で示すばらつき下限吸引力F50MIN との間のばらつきがあっても、プランジャ55の移動に影響はない。
【0132】
従って、電磁弁1の弁開時と弁閉時とで、つまり、ソレノイド5のコイル53に通電する電流の増加時と減少時とで、ヒステリシス特性による通電電圧のばらつきがあったとしても、或は、周辺温度の変化により通電電圧のばらつきがあったとしても、それらのばらつきが、上述したリフトL1とリフトL2との間、及び、リフトL2とリフトL3との間の各々の移動に必要な、バネ力W1〜W2と合成バネ力W3〜W4とのギャップW3−W2により吸収されて、プランジャ55がリフトL1とリフトL2の間、及び、リフトL2とリフトL3との間を各々正確に移動する。
【0133】
尚、参考までに、ニードル弁バネ55jを設けない従来のパイロット弁方式のプランジャとした場合の、リフトL2とリフトL3との間のバネ力を、図13中に二点鎖線で示す。
【0134】
続いて、上述した電磁弁1と共に、本発明の第1実施形態に係る電磁弁システムを構成する電磁弁駆動装置について、図14乃至図19を参照して説明する。
【0135】
図14は本発明の第1実施形態に係る電磁弁システムにおける電磁弁駆動装置の概略構成を示すブロック図で、図14中引用符号10で示す第1実施形態の電磁弁駆動装置は、電源11と、マイクロコンピュータ(以下、マイコンと略記する)13と、ドライブ回路15とを備えている。
【0136】
前記ドライブ回路15は、図15に回路図で示すように、第1及び第2の2つのスイッチングトランジスタTR1,TR2と、第1及び第2の2つの信号入力端子In1,In2等を備えている。
【0137】
そして、第1及び第2の各スイッチングトランジスタTR1,TR2は、互いのエミッタどうしが抵抗R1により接続され、各々のコレクタがいずれも接地されていると共に、第1スイッチングトランジスタTR1(第1スイッチ手段に相当)のベースは抵抗R2を介して第1信号入力端子In1に接続され、第2スイッチングトランジスタTR2(第2スイッチ手段に相当)のベースは抵抗R3を介して第2信号入力端子In2に接続され、第1スイッチングトランジスタTR1のエミッタと抵抗R1との間に、ソレノイド5のコイル53の接地側端子が接続されている。
【0138】
また、電源11(供給源に相当)は、ソレノイド5のコイル53の電源側端子に接続されている。
【0139】
そして、ドライブ回路15は、マイコン13から出力されて第1信号入力端子In1に入力される後述の第1駆動信号がローレベルの際には、第1スイッチングトランジスタTR1のエミッタ−コレクタ間が非導通状態となり、第1駆動信号がハイレベルの際には、第1スイッチングトランジスタTR1のエミッタ−コレクタ間が導通状態となると共に、マイコン13から出力されて第2信号入力端子In2に入力される後述の第2駆動信号がローレベルの際には、第2スイッチングトランジスタTR2のエミッタ−コレクタ間が非導通状態となり、第2駆動信号がハイレベルの際には、第2スイッチングトランジスタTR2のエミッタ−コレクタ間が導通状態となるように構成されている。
【0140】
そして、ドライブ回路15は、第1スイッチングトランジスタTR1のエミッタ−コレクタ間が導通することにより、このエミッタ−コレクタ間と抵抗R1とをを介して接地側端子が接地されるソレノイド5のコイル53に、電源11からの電力が定格電流の50%の電流分(第1電力量に相当)だけ供給されるように構成されている。
【0141】
また、ドライブ回路15は、第2スイッチングトランジスタTR2のエミッタ−コレクタ間が導通することにより、このエミッタ−コレクタ間を介して接地側端子が接地されるソレノイド5のコイル53に、電源11からの電力が電源11の電圧に応じた電流分(第2電力量に相当)だけ供給されるように構成されている。
【0142】
そして、ドライブ回路15は、第1及び第2の両スイッチングトランジスタTR1,TR2のエミッタ−コレクタ間が共に導通することにより、ソレノイド5のコイル53に、電源11からの電力が、定格電流の100%の電流分(第1電力量と第2電力量とを合成した電力量に相当)だけ供給されるように構成されている。
【0143】
尚、第1実施形態においては、請求項中の第1電力供給経路αが、抵抗R1と第1スイッチングトランジスタTR1のエミッタ−コレクタ間とで構成されており、第2電力供給経路βが第2スイッチングトランジスタTR2のエミッタ−コレクタ間により構成されている。
【0144】
前記マイコン13は、図14に示すように、CPU(Central Processing Unit 、中央処理装置)13aと、RAM(Ramdom Access Memory)13bと、ROM(Read-Only Memory)13cとで構成されている。
【0145】
前記CPU13aには、RAM13b及びROM13cの他、車両(図示せず)の室内温度を検知してオンオフするサーモスタット17と、この車両のインパネに設けられた冷房装置のオンオフスイッチ19と、前記第1及び第2の2つの信号入力端子In1,In2等が接続されている。
【0146】
前記RAM13bは、各種データ記憶用のデータエリア及び各種処理作業に用いるワークエリアを有しており、このうち、ワークエリアには、サーモスタット作動中フラグエリア等が設けられている。
【0147】
前記ROM13cには、CPU13aに各種処理動作を行わせるための制御プログラムが格納されている。
【0148】
次に、前記マイコン13のROM13cに格納された制御プログラムに従いCPU13aが行う処理を、図16乃至図18のフローチャートを参照して説明する。
【0149】
不図示の電源の投入によりマイコン13が起動してプログラムがスタートすると、CPU13aは、図16にメインルーチンのフローチャートで示すように、RAM13bのワークエリアに設けられたサーモスタット作動中フラグエリアのフラグF1を「0」に設定する初期設定を行い(ステップS1)、次に、オンオフスイッチ19がオフからオンに切り換わったか否かを確認する(ステップS3)。
【0150】
オンオフスイッチ19がオフからオンに切り換わっていない場合は(ステップS3でN)、切り換わるまでステップS3をリピートし、切り換わった場合は(ステップS3でY)、弁開処理を行う(ステップS5)。
【0151】
ステップS5の弁開処理においては、図17にサブルーチンのフローチャートで示すように、ドライブ回路15の第1信号入力端子In1に出力する第1駆動信号をローレベルからハイレベルに変移させ(ステップS5a)、次に、第1駆動信号のレベルを変移させてからの経過時間tが所定時間t1 を上回ったか否かを確認する(ステップS5b)。
【0152】
経過時間tが所定時間t1 を上回っていない場合は(ステップS5bでN)、経過時間tが所定時間t1 を上回るまでステップS5bをリピートし、上回った場合は(ステップS5bでY)、ドライブ回路15の第2信号入力端子In2に出力する第2駆動信号をローレベルからハイレベルに変移させ(ステップS5c)、その後、メインルーチンに戻ってステップS7に進む。
【0153】
ステップS5の弁開処理が済んだ後に進むステップS7では、図16に示すように、サーモスタット17がオンからオフに切り換わったか否かを確認し、サーモスタット17がオンからオフに切り換わった場合は(ステップS7でY)、サーモスタット作動中フラグF1を「1」に設定した後(ステップS9)、後述するステップS13に進む。
【0154】
一方、ステップS7において、サーモスタット17がオンからオフに切り換わっていない場合(N)は、オンオフスイッチ19がオンからオフに切り換わったか否かを確認する(ステップS11)。
【0155】
オンオフスイッチ19がオンからオフに切り換わった場合は(ステップS11でY)、ステップS13に進み、切り換わっていない場合は(ステップS11でN)、ステップS7にリターンする。
【0156】
ステップS9においてサーモスタット作動中フラグF1を「1」に設定した後と、ステップS11においてオンオフスイッチ19がオンからオフに切り換わった場合(Y)とに進むステップS13では、弁閉処理を行う。
【0157】
ステップS13の弁閉処理では、図18にサブルーチンのフローチャートで示すように、ドライブ回路15の第2信号入力端子In2に出力する第2駆動信号をハイレベルからローレベルに変移させ(ステップS13a)、次に、第2駆動信号のレベルを変移させてからの経過時間tが所定時間t2 を上回ったか否かを確認する(ステップS13b)。
【0158】
経過時間tが所定時間t2 を上回っていない場合は(ステップS13bでN)、経過時間tが所定時間t2 を上回るまでステップS5bをリピートし、上回った場合は(ステップS13bでN)、ドライブ回路15の第1信号入力端子In1に出力する第1駆動信号をハイレベルからローレベルに変移させ(ステップS13c)、その後、メインルーチンに戻ってステップS15に進む。
【0159】
ステップS13の弁閉処理が済んだ後に進むステップS15では、図16に示すように、サーモスタット作動中フラグF1が「0」であるか否かを確認し、フラグF1が「0」である場合(Y)は、一連の処理を終了し、「0」でない場合(N)は、サーモスタット17がオフからオンに切り換わったか否かを確認する(ステップS17)。
【0160】
サーモスタット17がオフからオンに切り換わった場合は(ステップS17でY)、サーモスタット作動中フラグF1を「1」に設定した後(ステップS19)、後述するステップS13に進む。
【0161】
一方、ステップS17において、サーモスタット17がオンからオフに切り換わっていない場合(N)は、オンオフスイッチ19がオンからオフに切り換わったか否かを確認し(ステップS21)、オンオフスイッチ19がオンからオフに切り換わっていない場合は(ステップS21でY)、ステップS17にリターンし、切り換わった場合は(ステップS21でN)、サーモスタット作動中フラグF1を「0」に設定した後(ステップS23)、ステップS13にリターンする。
【0162】
以上の説明からも明らかなように、第1実施形態では、請求項中の作動用電力の供給指令が、図16のフローチャートにおけるステップS5に相当しており、作動用電力の供給停止指令が、図16中のステップS13で相当していて、これらステップS5及びステップS13により、請求項中の電力供給指令手段13αが構成されている。
【0163】
また、第1実施形態では、請求項中の第1導通信号がハイレベルの第1駆動信号に相当しており、この第1駆動信号のハイレベルからローレベルへの変移が第1導通信号の出力停止に相当していると共に、請求項中の第2導通信号がハイレベルの第2駆動信号に相当しており、この第2駆動信号のハイレベルからローレベルへの変移が第2導通信号の出力停止に相当している。
【0164】
そして、第1実施形態では、請求項中の第1開閉指令手段13βが、図17のフローチャートにおけるステップS5aと、図18のフローチャートにおけるステップS13cとにより構成されており、請求項中の第2開閉指令手段13γが、図17中のステップS5cと、図18中のステップS13aとにより構成されている。
【0165】
次に、上述のように構成された第1実施形態の電磁弁システムの動作(作用)について、電磁弁駆動装置10の動作(作用)を中心に説明する。
【0166】
まず、オンオフスイッチ19がオフの状態では、第1及び第2の両駆動信号ともローレベルとなっていて、第1及び第2の両スイッチングトランジスタTR1,TR2のエミッタ−コレクタ間が、いずれも非導通状態となっているため、ソレノイド5のコイル53には電源11からの電力が供給されず、従って、電磁弁1は、図5に示すように、弁閉状態となっている。
【0167】
ここで、オンオフスイッチ19の状態がオフからオンに変わると、その時点で第1駆動信号がローレベルからハイレベルに変移し、第1スイッチングトランジスタTR1のエミッタ−コレクタ間が非導通状態から導通状態に変移して、ソレノイド5のコイル53に電源11からの電力が定格電流の50%の電流分だけ供給される。
【0168】
これにより、電磁弁1は、図5に示す弁閉状態から、図7に示す、主弁9が弁座35を全閉してニードル弁55hがパイロット通路91を半開した状態となるか、或は、図8に示す、ニードル弁55hがパイロット通路91を全閉して主弁9が弁座35を半開した状態となる。
【0169】
そして、オンオフスイッチ19の状態がオフからオンに変わった時点から所定時間t1 が経過すると、第1駆動信号をハイレベルとしたまま、第2駆動信号がローレベルからハイレベルに変移し、第2スイッチングトランジスタTR2のエミッタ−コレクタ間が非導通状態から導通状態に変移して、ソレノイド5のコイル53に電源11からの電力が定格電流の100%の電流分だけ供給される。
【0170】
これにより、電磁弁1は、図7に示す、主弁9が弁座35を全閉してニードル弁55hがパイロット通路91を半開した状態から、図10に示す、主弁9が弁座35を全閉してニードル弁55hがパイロット通路91を全開した状態を経た後に、図11に示す弁開状態となる。
【0171】
或は、電磁弁1は、図8に示す、ニードル弁55hがパイロット通路91を全閉して主弁9が弁座35を半開した状態から、図12に示す、主弁9が弁座35を半開してニードル弁55hがパイロット通路91を全開した状態を経た後に、図11に示す弁開状態となる。
【0172】
その後、オンオフスイッチ19の状態がオンからオフに変わると、その時点で第2駆動信号がハイレベルからローレベルに変移し、第2スイッチングトランジスタTR2のエミッタ−コレクタ間が導通状態から非導通状態に変移して、ソレノイド5のコイル53に電源11から供給される電力が、定格電流の100%の電流分から50%の電流分に低下する。
【0173】
これにより、電磁弁1は、図11に示す弁開状態から、図8に示す、ニードル弁55hがパイロット通路91を全閉し主弁9が弁座35を半開した状態となる。
【0174】
そして、オンオフスイッチ19の状態がオンからオフに変わった時点から所定時間t2 が経過すると、第2駆動信号をローレベルとしたまま、第1駆動信号がハイレベルからローレベルに変移し、第1スイッチングトランジスタTR1のエミッタ−コレクタ間が導通状態から非導通状態に変移して、ソレノイド5のコイル53に電源11からの電力が供給されなくなる。
【0175】
これにより、電磁弁1は、図8に示す、ニードル弁55hがパイロット通路91を全閉し主弁9が弁座35を半開した状態から、図5に示す弁閉状態となる。
【0176】
尚、電磁弁1の弁開時と弁閉時との第1及び第2の両駆動信号の信号レベルの変移を、図19のタイミングチャートに示す。
【0177】
そして、オンオフスイッチ19がオンの状態において、サーモスタット17の状態がオンからオフに変わった場合には、オンオフスイッチ19の状態がオンからオフに変わった場合と同様の動作が行われ、また、サーモスタット17の状態がオフからオンに変わった場合には、オンオフスイッチ19の状態がオフからオンに変わった場合と同様の動作が行われる。
【0178】
このように第1実施形態の電磁弁システムによれば、プランジャ55に、ソレノイド5のコイル53への通電時に吸引子51によって直接吸引される基部55aと、この基部55aとは別体に形成されるホルダ57と、このホルダ57を挿通して基部55aに連結され、主弁9のパイロット通路91を開閉するニードル弁55hが形成された弁部55eと、この弁部55eに対してホルダ57を基部55a側に付勢するニードル弁バネ55jとを設け、ソレノイド5のコイル53への通電電流を定格電流の50%とすると、コイル53への通電によりプランジャ55に働く吸引力よりもニードル弁バネ55jの弾発力の方が上回り、これによって、ニードル弁55hと主弁9のうちどちらか一方だけが、対応するパイロット通路91と弁座35のうちどちらか一方だけを半開し、残る他方は全閉となるように、電磁弁1を構成した。
【0179】
そして、第1実施形態の電磁弁システムによれば、電源側端子が電源11に接続されたソレノイド5のコイル53の接地側端子を、抵抗R1と第1スイッチングトランジスタTR1のエミッタ−コレクタ間とを介して接地させると共に、これらと並列に接続された、第2スイッチングトランジスタTR2のエミッタ−コレクタ間を介してさらに接地させるドライブ回路15を設け、電磁弁1の弁開動作時には、マイコン13によって、第1駆動信号よりも第2駆動信号を所定時間t1 遅らせてローレベルからハイレベルに変移させることで、ソレノイド5のコイル53への通電電流をゼロから定格電流の50%へ、50%から100%へと2段階に増加させると共に、電磁弁1の弁閉動作時には、第2駆動信号よりも第1駆動信号を所定時間t2 遅らせてハイレベルからローレベルに変移させることで、ソレノイド5のコイル53への通電電流を定格電流のから100%50%へ、50%からゼロへと2段階に減少させる構成とした。
【0180】
このため、電磁弁1の弁開時及び弁閉時のいずれにおいても、ニードル弁55hと主弁9のうちどちらか一方だけが、対応するパイロット通路91と弁座35のうちどちらか一方だけを半開し、残る他方は全閉となる状態を確実に発生させて、これにより、流入口31側や流出口33側の双方に大きな圧力変動が発生しないようにして、騒音の元となるウォータハンマ現象が起こるのを抑制又は防止することができる。
【0181】
しかも、上述した構成により、プランジャ55がリフトL1とリフトL2の間を移動する際と、リフトL2とリフトL3との間をプランジャ55が移動する際とに各々必要な、バネ力W1〜W2と合成バネ力W3〜W4との間にギャップW3−W2があるため、ソレノイド5のコイル53への通電電流の増減時のヒステリシスや、周辺温度の変動によって、同じ通電電流であってもプランジャ55に働く吸引力がばらつく場合であっても、プランジャ55を正確に移動させ、ニードル弁55hによるパイロット通路91の半開状態や、主弁9による弁座35の半開状態を、安定して保持することができる。
【0182】
また、第1実施形態の電磁弁システムによれば、ニードル弁55hによるパイロット通路91の半開状態や、主弁9による弁座35の半開状態の実現を、吸引子51からプランジャ55の基部55aを離間する方向に付勢するプランジャバネ55mに何ら頼らずに行うように電磁弁1を構成したので、プランジャバネ55mが中途半端に収縮した状態でプランジャ55をソレノイド5からの吸引力だけによって保持する必要がなく、従って、この点においても、ニードル弁55hによるパイロット通路91の半開状態や、主弁9による弁座35の半開状態を、安定して保持することができる。
【0183】
さらに、第1実施形態の電磁弁システムによれば、ソレノイド5のコイル53への通電電流を定格電流の100%とした際に、プランジャ55の基部55aが衝突する吸引子51に、緩衝部材51cを設けるように電磁弁1を構成したので、ウォーターハンマ現象による騒音の抑制又は防止と合わせて、構造的要因による騒音の発生を防止し、電磁弁1の動作に伴い発生する可能性がある騒音を総合的に抑制又は防止することができる。
【0184】
次に、本発明の第2実施形態に係る電磁弁システムを、図20乃至図23を参照して説明する。
【0185】
図20は本発明の第2実施形態に係る電磁弁システムにおける電磁弁駆動装置の概略構成を示すブロック図で、図20中引用符号10Aで示す第2実施形態の電磁弁駆動装置は、電源11と、マイコン13Aと、ドライブ回路15Aとを備えている。
【0186】
前記ドライブ回路15Aは、図21に回路図で示すように、第3及び第4の2つのスイッチングトランジスタTR3,TR4と、第3信号入力端子In3と、第1及び第2の2つの遅延回路DL1,DL2等を備えている。
【0187】
そして、第3及び第4の各スイッチングトランジスタTR3,TR4は、互いのエミッタどうしが抵抗R4により接続され、各々のコレクタがいずれも接地されている。
【0188】
また、第3スイッチングトランジスタTR3(第1スイッチ手段に相当)のベースは、抵抗R5及びコンデンサC1による前記第1遅延回路DL1(停止指令遅延手段に相当)とダイオードD1とを介して、第3信号入力端子In3に接続されており、第4スイッチングトランジスタTR4(第2スイッチ手段に相当)のベースは、抵抗R6及びコンデンサC2による前記第2遅延回路DL2(供給指令遅延手段に相当)を介して、第3信号入力端子In3に接続され、第3スイッチングトランジスタTR3のエミッタと抵抗R4との間に、ソレノイド5のコイル53の接地側端子が接続されている。
【0189】
さらに、電源11は、ソレノイド5のコイル53の電源側端子に接続されている。
【0190】
そして、ドライブ回路15Aは、マイコン13Aから出力されて第3信号入力端子In3に入力される後述の第3駆動信号がローレベルの際には、第3及び第4の両スイッチングトランジスタTR3,TR4のエミッタ−コレクタ間が各々非導通状態となると共に、第3駆動信号がハイレベルの際には、第3及び第4の両スイッチングトランジスタTR3,TR4のエミッタ−コレクタ間が各々導通状態となるように構成されている。
【0191】
また、ドライブ回路15Aは、第3スイッチングトランジスタTR3のエミッタ−コレクタ間が非導通状態と導通状態との間で切り換わる時点と、第4スイッチングトランジスタTR4のエミッタ−コレクタ間が非導通状態と導通状態との間で切り換わる時点とが、第1及び第2遅延回路DL1,DL2により各々ずらされるように構成されている。
【0192】
そして、ドライブ回路15Aは、第3スイッチングトランジスタTR3のエミッタ−コレクタ間が導通することにより、このエミッタ−コレクタ間と抵抗R4とを介して接地側端子が接地されるソレノイド5のコイル53に、電源11からの電力が定格電流の50%の電流分(第1電力量に相当)だけ供給されるように構成されている。
【0193】
また、ドライブ回路15Aは、第4スイッチングトランジスタTR4のエミッタ−コレクタ間が導通することにより、このエミッタ−コレクタ間を介して接地側端子が接地されるソレノイド5のコイル53に、電源11からの電力が電源11の電圧に応じた電流分(第2電力量に相当)だけ供給されるように構成されている。
【0194】
そして、ドライブ回路15Aは、第3及び第4の両スイッチングトランジスタTR3,TR4のエミッタ−コレクタ間が共に導通することにより、ソレノイド5のコイル53に、電源11からの電力が、定格電流の100%の電流分(第1電力量と第2電力量とを合成した電力量に相当)だけ供給されるように構成されている。
【0195】
尚、第2実施形態においては、請求項中の第1電力供給経路αが、抵抗R4と第3スイッチングトランジスタTR3のエミッタ−コレクタ間とで構成されており、第2電力供給経路βが第2スイッチングトランジスタTR4のエミッタ−コレクタ間により構成されている。
【0196】
前記マイコン13Aは、図20に示すように、CPU13dと、RAM13eと、ROM13fとで構成されている。
【0197】
前記CPU13dには、RAM13e及びROM13fの他、前記サーモスタット17やオンオフスイッチ19と、前記第3信号入力端子In3等が接続されている。
【0198】
前記RAM13eは、各種データ記憶用のデータエリア及び各種処理作業に用いるワークエリアを有しており、このうち、ワークエリアには、サーモスタット作動中フラグエリア等が設けられている。
【0199】
前記ROM13fには、CPU13dに各種処理動作を行わせるための制御プログラムが格納されている。
【0200】
次に、前記マイコン13AのROM13fに格納された制御プログラムに従いCPU13dが行う処理を、図22のフローチャートを参照して説明する。
【0201】
不図示の電源の投入によりマイコン13Aが起動してプログラムがスタートすると、CPU13dは、RAM13eのワークエリアに設けられたサーモスタット作動中フラグエリアのフラグF1を「0」に設定する初期設定を行い(ステップSA1)、次に、オンオフスイッチ19がオフからオンに切り換わったか否かを確認する(ステップSA3)。
【0202】
オンオフスイッチ19がオフからオンに切り換わっていない場合は(ステップSA3でN)、切り換わるまでステップSA3をリピートし、切り換わった場合は(ステップSA3でY)、ドライブ回路15Aの第3信号入力端子In3に出力する第3駆動信号をローレベルからハイレベルに変移させた後(ステップSA5)、サーモスタット17がオンからオフに切り換わったか否かを確認する(ステップSA7)。
【0203】
サーモスタット17がオンからオフに切り換わった場合は(ステップSA7でY)、サーモスタット作動中フラグF1を「1」に設定した後(ステップSA9)、後述するステップSA13に進み、切り換わっていない場合は(ステップSA7でN)、オンオフスイッチ19がオンからオフに切り換わったか否かを確認する(ステップSA11)。
【0204】
オンオフスイッチ19がオンからオフに切り換わった場合は(ステップSA11でY)、ステップSA13に進み、切り換わっていない場合は(ステップSA11でN)、ステップSA7にリターンする。
【0205】
ステップSA9においてサーモスタット作動中フラグF1を「1」に設定した後と、ステップSA11においてオンオフスイッチ19がオンからオフに切り換わった場合(Y)とに進むステップSA13では、ドライブ回路15Aの第3信号入力端子In3に出力する第3駆動信号をハイレベルからローレベルに変移させ、その後、サーモスタット作動中フラグF1が「0」であるか否かを確認する(ステップSA15)。
【0206】
サーモスタット作動中フラグF1が「0」である場合(Y)は、一連の処理を終了し、「0」でない場合は(ステップSA15でN)、サーモスタット17がオフからオンに切り換わったか否かを確認し(ステップSA17)、切り換わった場合は(ステップSA17でY)、サーモスタット作動中フラグF1を「1」に設定した後(ステップSA19)、後述するステップSA13に進む。
【0207】
一方、ステップSA17において、サーモスタット17がオンからオフに切り換わっていない場合(N)は、オンオフスイッチ19がオンからオフに切り換わったか否かを確認し(ステップSA21)、オンオフスイッチ19がオンからオフに切り換わっていない場合は(ステップSA21でY)、ステップSA17にリターンし、切り換わった場合は(ステップSA21でN)、サーモスタット作動中フラグF1を「0」に設定した後(ステップSA23)、ステップSA13にリターンする。
【0208】
以上の説明からも明らかなように、第2実施形態では、請求項中の作動用電力の供給指令が、図22のフローチャートにおけるステップSA5に相当しており、作動用電力の供給停止指令が、図22中のステップSA13に相当していて、これらステップSA5及びステップSA13により、請求項中の電力供給指令手段13αが構成されている。
【0209】
次に、上述のように構成された第2実施形態の電磁弁システムの動作(作用)について、電磁弁駆動装置10Aの動作(作用)を中心に説明する。
【0210】
まず、オンオフスイッチ19がオフの状態では、第3駆動信号がローレベルとなっていて、第3及び第4の両スイッチングトランジスタTR3,TR4のエミッタ−コレクタ間が、いずれも非導通状態となっているため、ソレノイド5のコイル53には電源11からの電力が供給されず、従って、電磁弁1は、図5に示すように、弁閉状態となっている。
【0211】
ここで、オンオフスイッチ19の状態がオフからオンに変わると、その時点で第3駆動信号がローレベルからハイレベルに変移し、第3スイッチングトランジスタTR3側では、第3駆動信号のローレベルからハイレベルへの変移と略同時にベース電位が上昇し、従ってエミッタ−コレクタ間が非導通状態から導通状態に変移する。
【0212】
これに対して、第4スイッチングトランジスタTR4側では、第3駆動信号のローレベルからハイレベルへの変移が第2遅延回路DL2により所定時間t1 遅延され、所定時間t1 後にベース電位が上昇することから、第3駆動信号がローレベルからハイレベルに変移した時点では、エミッタ−コレクタ間は非導通状態のままとなる。
【0213】
従って、ソレノイド5のコイル53には電源11からの電力が定格電流の50%の電流分だけ供給され、これにより、電磁弁1は、図5に示す弁閉状態から、図7に示す、主弁9が弁座35を全閉してニードル弁55hがパイロット通路91を半開した状態となるか、或は、図8に示す、ニードル弁55hがパイロット通路91を全閉して主弁9が弁座35を半開した状態となる。
【0214】
そして、オンオフスイッチ19の状態がオフからオンに変わった時点から所定時間t1 が経過して、第4スイッチングトランジスタTR4のベース電位が上昇すると、第3スイッチングトランジスタTR3のエミッタ−コレクタ間が導通状態となったまま、第4スイッチングトランジスタTR4のエミッタ−コレクタ間が非導通状態から導通状態に変移して、ソレノイド5のコイル53に電源11からの電力が定格電流の100%の電流分だけ供給される。
【0215】
これにより、電磁弁1は、図7に示す、主弁9が弁座35を全閉してニードル弁55hがパイロット通路91を半開した状態から、図10に示す、主弁9が弁座35を全閉してニードル弁55hがパイロット通路91を全開した状態を経た後に、図11に示す弁開状態となる。
【0216】
或は、電磁弁1は、図8に示す、ニードル弁55hがパイロット通路91を全閉して主弁9が弁座35を半開した状態から、図12に示す、主弁9が弁座35を半開してニードル弁55hがパイロット通路91を全開した状態を経た後に、図11に示す弁開状態となる。
【0217】
その後、オンオフスイッチ19の状態がオンからオフに変わると、その時点で第3駆動信号がハイレベルからローレベルに変移し、第4スイッチングトランジスタTR4側では、第3駆動信号のハイレベルからローレベルへの変移と略同時にベース電位が降下し、従ってエミッタ−コレクタ間が導通状態から非導通状態に変移する。
【0218】
これに対して、第3スイッチングトランジスタTR3側では、第3駆動信号のハイレベルからローレベルへの変移が第1遅延回路DL1により所定時間t2 遅延され、この所定時間t2 後にベース電位が降下することから、第3駆動信号がハイレベルからローレベルに変移した時点では、エミッタ−コレクタ間は非導通状態のままとなる。
【0219】
従って、ソレノイド5のコイル53に電源11から供給される電力が、定格電流の100%の電流分から50%の電流分に低下する。
【0220】
これにより、電磁弁1は、図11に示す弁開状態から、図8に示す、ニードル弁55hがパイロット通路91を全閉し主弁9が弁座35を半開した状態となる。
【0221】
そして、オンオフスイッチ19の状態がオンからオフに変わった時点から所定時間t2 が経過すると、第4スイッチングトランジスタTR4のエミッタ−コレクタ間が非導通状態となったまま、第3スイッチングトランジスタTR3のエミッタ−コレクタ間が導通状態から非導通状態に変移して、ソレノイド5のコイル53に電源11からの電力が供給されなくなる。
【0222】
これにより、電磁弁1は、図8に示す、ニードル弁55hがパイロット通路91を全閉し主弁9が弁座35を半開した状態から、図5に示す弁閉状態となる。
【0223】
尚、電磁弁1の弁開時と弁閉時との第3駆動信号の信号レベルと、第3及び第4の両スイッチングトランジスタTR3,TR4のベース電位と、第3及び第4の両スイッチングトランジスタTR3,TR4の導通、非導通の状態との変移を、図23のタイミングチャートに示す。
【0224】
そして、オンオフスイッチ19がオンの状態において、サーモスタット17の状態がオンからオフに変わった場合には、オンオフスイッチ19の状態がオンからオフに変わった場合と同様の動作が行われ、また、サーモスタット17の状態がオフからオンに変わった場合には、オンオフスイッチ19の状態がオフからオンに変わった場合と同様の動作が行われる。
【0225】
上述のように構成された第2実施形態の電磁弁システムによっても、第1実施形態の電磁弁システムと同様の効果を得ることができる。
【0226】
しかも、第2実施形態の電磁弁システムによれば、マイコン13Aが単一の第3駆動信号をローレベルとハイレベルとの間で変移させれば、後は、第3駆動信号のローレベルからハイレベルへの変移が第2遅延回路DL2により所定時間t1 遅延されて第4スイッチングトランジスタTR4のベースに伝達されると共に、第3駆動信号のハイレベルからローレベルへの変移が第1遅延回路DL1により所定時間t2 遅延されて第3スイッチングトランジスタTR3のベースに伝達されるので、サーモスタット17やオンオフスイッチ19のオンオフ状態が変わる際に、マイコン13Aがその都度、第1実施形態の場合のように、時間差のある2つの信号を生成して出力する必要がない分、信号生成系及び信号出力系の動作を簡略化することができる。
【0227】
次に、本発明の第3実施形態に係る電磁弁システムを、図24乃至図27を参照して説明する。
【0228】
図24は本発明の第3実施形態に係る電磁弁システムにおける電磁弁駆動装置の概略構成を示すブロック図で、図24中引用符号10Bで示す第3実施形態の電磁弁駆動装置は、電源11と、マイコン13Bと、ドライブ回路15Bとを備えている。
【0229】
前記ドライブ回路15Bは、図25に回路図で示すように、第5及び第6の2つのスイッチングトランジスタTR5,TR6と、電源端子Vinと、第4信号入力端子In4と、第3遅延回路DL3(通電信号遅延手段に相当)と、過渡回路RC(RC回路に相当)等を備えている。
【0230】
そして、第5スイッチングトランジスタTR5(第3スイッチ手段に相当)のエミッタ−コレクタ間には、抵抗R7が接続され、第5スイッチングトランジスタTR5のコレクタは接地されていると共に、第5スイッチングトランジスタTR5のベースは、抵抗R8及びコンデンサC3による前記第3遅延回路DL3と、第6スイッチングトランジスタTR6のエミッタ−コレクタ間とを介して、電源端子Vinに接続されている。
【0231】
また、第5スイッチングトランジスタTR5のエミッタには、ソレノイド5のコイル53の接地側端子が接続されており、このコイル53の電源側端子は、第6スイッチングトランジスタTR6(第4スイッチ手段に相当)のコレクタに接続されていて、このコイル53と並列に、コンデンサC4及び抵抗R9による前記過渡回路RCが、第5スイッチングトランジスタTR5のエミッタと第6スイッチングトランジスタTR6のコレクタとの間に接続されている。
【0232】
さらに、前記電源11は、電源端子Vinに接続されており、第6スイッチングトランジスタTR6のベースには、抵抗R10を介して前記信号入力端子In4が接続されている。
【0233】
そして、ドライブ回路15Bは、マイコン13Bから出力されて第4信号入力端子In4に入力される後述の第4駆動信号がローレベルの際には、第6スイッチングトランジスタTR6のエミッタ−コレクタ間が非導通状態となると共に、第4駆動信号がハイレベルの際には、第6スイッチングトランジスタTR6のエミッタ−コレクタ間が導通状態となるように構成されている。
【0234】
また、ドライブ回路15Bは、第6スイッチングトランジスタTR6のエミッタ−コレクタ間の導通に連動して、第5スイッチングトランジスタTR5のエミッタ−コレクタ間が導通すると共に、第6スイッチングトランジスタTR6のエミッタ−コレクタ間の非導通に連動して、第5スイッチングトランジスタTR5のエミッタ−コレクタ間が非導通となり、第5スイッチングトランジスタTR5のエミッタ−コレクタ間が導通する時点と、第6スイッチングトランジスタTR6のエミッタ−コレクタ間が導通する時点とが、第3遅延回路DL3によりずらされるように構成されている。
【0235】
そして、ドライブ回路15Bは、第6スイッチングトランジスタTR6のエミッタ−コレクタ間が導通することにより、このエミッタ−コレクタ間と抵抗R7とを介して接地側端子が接地されるソレノイド5のコイル53に、電源11からの電力が定格電流の50%の電流分(第1電力量に相当)だけ供給されるように構成されている。
【0236】
さらに、ドライブ回路15Bは、第5スイッチングトランジスタTR5のエミッタ−コレクタ間が導通することにより、このエミッタ−コレクタ間を介して接地側端子が接地されるソレノイド5のコイル53に、電源11からの電力が電源11の電圧に応じた電流分(第2電力量に相当)だけ供給されるように構成されている。
【0237】
そして、ドライブ回路15Bは、第5及び第6の両スイッチングトランジスタTR5,TR6のエミッタ−コレクタ間が共に導通することにより、ソレノイド5のコイル53に、電源11からの電力が、定格電流の100%の電流分(第1電力量と第2電力量とを合成した電力量に相当)だけ供給されるように構成されている。
【0238】
また、ドライブ回路15Bは、第6スイッチングトランジスタTR6のエミッタ−コレクタ間が導通状態から非導通状態に移行して、電源11とコイル53の電源側端子との接続が遮断された際に、過渡回路RCにおいて発生する過渡現象によりこの過渡回路RCを過渡的に流れる電流によって、抵抗R7を介して接地側端子が接地されるソレノイド5のコイル53に、電源11からの電力に代わって過渡回路RCを流れる電流による電力が、所定時間t2 の間、定格電流の50%の電流分を上回り定格電流の100%の電流分を下回る電力量で、供給されるように構成されている。
【0239】
以上の説明からも明らかなように、第3実施形態では、請求項中の第3電力供給経路γが抵抗R7により構成されており、請求項中の第4電力供給経路δが第5スイッチングトランジスタTR5のエミッタ−コレクタ間により構成されており、請求項中の第5電力供給経路εが第6スイッチングトランジスタTR6のエミッタ−コレクタ間により構成されている。
【0240】
また、第3実施形態では、第6スイッチングトランジスタTR6のエミッタ−コレクタ間が導通している際に、電源11から電源端子Vin及び第3遅延回路DL3を介して第5スイッチングトランジスタTR5のベースに印加される電圧が、請求項中の通電信号に相当しており、第6スイッチングトランジスタTR6のエミッタ−コレクタ間が導通状態から非導通状態に移行して、第5スイッチングトランジスタTR5のベースに対する電源11からの電圧印加が遮断されることが、請求項中の通電信号の入力の停止に相当している。
【0241】
前記マイコン13Bは、図24に示すように、CPU13gと、RAM13hと、ROM13jとで構成されている。
【0242】
前記CPU13gには、RAM13h及びROM13jの他、前記サーモスタット17やオンオフスイッチ19と、前記第4信号入力端子In4等が接続されている。
【0243】
前記RAM13hは、各種データ記憶用のデータエリア及び各種処理作業に用いるワークエリアを有しており、このうち、ワークエリアには、サーモスタット作動中フラグエリア等が設けられている。
【0244】
前記ROM13jには、CPU13gに各種処理動作を行わせるための制御プログラムが格納されている。
【0245】
次に、前記マイコン13BのROM13jに格納された制御プログラムに従いCPU13gが行う処理を、図26のフローチャートを参照して説明する。
【0246】
不図示の電源の投入によりマイコン13Bが起動してプログラムがスタートすると、CPU13gは、RAM13hのワークエリアに設けられたサーモスタット作動中フラグエリアのフラグF1を「0」に設定する初期設定を行い(ステップSB1)、次に、オンオフスイッチ19がオフからオンに切り換わったか否かを確認する(ステップSB3)。
【0247】
オンオフスイッチ19がオフからオンに切り換わっていない場合は(ステップSB3でN)、切り換わるまでステップSB3をリピートし、切り換わった場合は(ステップSB3でY)、ドライブ回路15Bの第4信号入力端子In4に出力する第4駆動信号をローレベルからハイレベルに変移させた後(ステップSB5)、サーモスタット17がオンからオフに切り換わったか否かを確認する(ステップSB7)。
【0248】
サーモスタット17がオンからオフに切り換わった場合は(ステップSB7でY)、サーモスタット作動中フラグF1を「1」に設定した後(ステップSB9)、後述するステップSB13に進み、切り換わっていない場合は(ステップSB7でN)、オンオフスイッチ19がオンからオフに切り換わったか否かを確認する(ステップSB11)。
【0249】
オンオフスイッチ19がオンからオフに切り換わった場合は(ステップSB11でY)、ステップSB13に進み、切り換わっていない場合は(ステップSB11でN)、ステップSB7にリターンする。
【0250】
ステップSB9においてサーモスタット作動中フラグF1を「1」に設定した後と、ステップSB11においてオンオフスイッチ19がオンからオフに切り換わった場合(Y)とに進むステップSB13では、ドライブ回路15Bの第4信号入力端子In4に出力する第4駆動信号をハイレベルからローレベルに変移させ、その後、サーモスタット作動中フラグF1が「0」であるか否かを確認する(ステップSB15)。
【0251】
サーモスタット作動中フラグF1が「0」である場合(Y)は、一連の処理を終了し、「0」でない場合は(ステップSB15でN)、サーモスタット17がオフからオンに切り換わったか否かを確認し(ステップSB17)、切り換わった場合は(ステップSB17でY)、サーモスタット作動中フラグF1を「1」に設定した後(ステップSB19)、後述するステップSB13に進む。
【0252】
一方、ステップSB17において、サーモスタット17がオンからオフに切り換わっていない場合(N)は、オンオフスイッチ19がオンからオフに切り換わったか否かを確認し(ステップSB21)、オンオフスイッチ19がオンからオフに切り換わっていない場合は(ステップSB21でY)、ステップSB17にリターンし、切り換わった場合は(ステップSB21でN)、サーモスタット作動中フラグF1を「0」に設定した後(ステップSB23)、ステップSB13にリターンする。
【0253】
以上の説明からも明らかなように、第3実施形態では、請求項中の作動用電力の供給指令が、図26のフローチャートにおけるステップSB5に相当しており、作動用電力の供給停止指令が、図26中のステップSB13で相当していて、これらステップSB5及びステップSB13により、請求項中の電力供給指令手段13αが構成されている。
【0254】
次に、上述のように構成された第3実施形態の電磁弁システムの動作(作用)について、電磁弁駆動装置10Bの動作(作用)を中心に説明する。
【0255】
まず、オンオフスイッチ19がオフの状態では、第4駆動信号がローレベルとなっていて、第5及び第6の両スイッチングトランジスタTR5,TR6のエミッタ−コレクタ間が、いずれも非導通状態となっているため、ソレノイド5のコイル53には電源11からの電力が供給されず、従って、電磁弁1は、図5に示すように、弁閉状態となっている。
【0256】
ここで、オンオフスイッチ19の状態がオフからオンに変わると、その時点で第4駆動信号がローレベルからハイレベルに変移し、第6スイッチングトランジスタTR6側では、第4駆動信号のローレベルからハイレベルへの変移と略同時にベース電位が上昇し、従ってエミッタ−コレクタ間が非導通状態から導通状態に変移する。
【0257】
これに対して、第5スイッチングトランジスタTR5側では、第4駆動信号のローレベルからハイレベルへの変移により、ベースが電源端子Vin及び第3遅延回路DL3を介して電源11に接続されるが、その接続の時点が、第4駆動信号のローレベルからハイレベルへの変移の時点から第3遅延回路DL3により所定時間t1 遅延され、所定時間t1 後にベース電位が上昇することから、第4駆動信号がローレベルからハイレベルに変移した時点では、エミッタ−コレクタ間は非導通状態のままとなる。
【0258】
従って、ソレノイド5のコイル53には電源11からの電力が定格電流の50%の電流分だけ供給され、これにより、電磁弁1は、図5に示す弁閉状態から、図7に示す、主弁9が弁座35を全閉してニードル弁55hがパイロット通路91を半開した状態となるか、或は、図8に示す、ニードル弁55hがパイロット通路91を全閉して主弁9が弁座35を半開した状態となる。
【0259】
そして、オンオフスイッチ19の状態がオフからオンに変わった時点から所定時間が経過して、第5スイッチングトランジスタTR5のベース電位が上昇すると、第6スイッチングトランジスタTR6のエミッタ−コレクタ間が導通状態となったまま、第5スイッチングトランジスタTR5のエミッタ−コレクタ間が非導通状態から導通状態に変移して、ソレノイド5のコイル53に電源11からの電力が定格電流の100%の電流分だけ供給される。
【0260】
これにより、電磁弁1は、図7に示す、主弁9が弁座35を全閉してニードル弁55hがパイロット通路91を半開した状態から、図10に示す、主弁9が弁座35を全閉してニードル弁55hがパイロット通路91を全開した状態を経た後に、図11に示す弁開状態となる。
【0261】
或は、電磁弁1は、図8に示す、ニードル弁55hがパイロット通路91を全閉して主弁9が弁座35を半開した状態から、図12に示す、主弁9が弁座35を半開してニードル弁55hがパイロット通路91を全開した状態を経た後に、図11に示す弁開状態となる。
【0262】
その後、オンオフスイッチ19の状態がオンからオフに変わると、その時点で第4駆動信号がハイレベルからローレベルに変移し、第5及び第6の両スイッチングトランジスタTR5,TR6において、第4駆動信号のハイレベルからローレベルへの変移と略同時にベース電位が各々降下し、従ってエミッタ−コレクタ間が導通状態から非導通状態に各々変移する。
【0263】
これにより、ソレノイド5のコイル53は、電源11から遮断されて電力が供給されない状態となるが、第6スイッチングトランジスタTR6のエミッタ−コレクタ間が導通状態から非導通状態に変移する時点で、過渡回路RCに過渡現象が発生して、この過渡回路RCを過渡的に電流が流れてこの電流による電力がソレノイド5のコイル53に供給される。
【0264】
そして、この過渡回路RCを流れる電流によるコイル53への供給電力が、オンオフスイッチ19の状態がオンからオフに変わった時点から所定時間t2 の間、定格電流の100%の電流分を下回り定格電流の50%の電流分を上回る電力量であることから、電磁弁1は、第4駆動信号のローレベルへの変移の時点から所定時間t2 の間、図11に示す弁開状態から、図8に示す、ニードル弁55hがパイロット通路91を全閉し主弁9が弁座35を半開した状態となる。
【0265】
そして、オンオフスイッチ19の状態がオンからオフに変わった時点から所定時間t2 が経過すると、過渡回路RCを流れる電流によるコイル53への供給電力が、定格電流の50%の電流分を下回る電力量となり、やがては、過渡回路RCの過渡現象の終了で、過渡回路RCに電流が流れなくなるので、電磁弁1は、図8に示す、ニードル弁55hがパイロット通路91を全閉し主弁9が弁座35を半開した状態から、図5に示す弁閉状態となる。
【0266】
尚、電磁弁1の弁開時と弁閉時との第4駆動信号の信号レベルと、第5スイッチングトランジスタTR5のベース電位と、第5スイッチングトランジスタTR5の導通、非導通の状態と、コイル53の電源側端子の電位との変移を、図27のタイミングチャートに示す。
【0267】
そして、オンオフスイッチ19がオンの状態において、サーモスタット17の状態がオンからオフに変わった場合には、オンオフスイッチ19の状態がオンからオフに変わった場合と同様の動作が行われ、また、サーモスタット17の状態がオフからオンに変わった場合には、オンオフスイッチ19の状態がオフからオンに変わった場合と同様の動作が行われる。
【0268】
上述のように構成された第3実施形態の電磁弁システムによっても、第2実施形態の電磁弁システムと同様の効果を得ることができる。
【0269】
尚、上述した第1乃至第3実施形態において、電磁弁1の緩衝部材51cは省略してもよく、また、ホルダ57に対して弁部55eを付勢するニードル弁バネ55jは、例えば、基部55aとホルダ57との間に設けられてこれらを互いに接近する方向に付勢するような、他の付勢手段に代えてもよいのは勿論のことである。
【0270】
また、ニードル弁55hによるパイロット通路91の半開状態や、主弁9による弁座35の半開状態とするための、ソレノイド5のコイル53に対する通電量は、上述した第1乃至第3実施形態では定格電流の50%としたが、定格電流の100%よりも低い値であれば、ニードル弁バネ55jやプランジャバネ55mの弾発力、或は、ソレノイド5の吸引力等の条件に応じて任意に変更、設定してもよいことは言うまでもない。
【0271】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1に記載した本発明の電磁弁によれば、一次側と二次側とを連通する弁座を開閉する主弁に形成された、この主弁が収容されるチャンバと前記二次側とを連通するパイロット通路を、ソレノイドのプランジャに形成されたニードル弁により開閉し、前記チャンバと前記一次側及び前記二次側との圧力差により前記主弁による前記弁座の開閉を行う電磁弁において、前記プランジャに嵌装され前記ニードル弁による前記パイロット通路の開閉方向において前記プランジャに対して相対移動可能なホルダと、前記ホルダに形成され前記開閉方向において前記主弁から離間する向きへの前記ホルダの移動を規制するホルダ移動規制部材と、前記ホルダ及び前記プランジャのうち少なくとも一方に設けられ、前記ホルダ移動規制部材により前記主弁から離間する向きへの移動が規制された前記ホルダに対する前記プランジャの、前記主弁に接近する向きへの移動を、前記弁座を閉じた前記主弁の前記パイロット通路から前記ニードル弁が離間する箇所までに規制するプランジャ移動規制部材と、前記ホルダに対して前記プランジャを前記主弁に接近する方向に付勢するプランジャ付勢手段とを備え、前記プランジャ付勢手段が、前記ソレノイドが通電により前記主弁から離間する向きで前記プランジャに与える最大吸引力を下回る付勢力を、前記プランジャ及び前記ホルダのうち一方から他方に付与する構成とした。
【0272】
このため、ソレノイドの通電によりプランジャが吸引される際、その吸引力がプランジャ付勢手段の付勢力を下回る程度の通電量であれば、ホルダがホルダ移動規制部材により主弁から離間する向きへの移動を規制された状態で、プランジャ付勢手段によりホルダに対して主弁に接近する方向に付勢されたプランジャが、弁座を閉じた場合の主弁のパイロット通路をニードル弁が半開する箇所において、プランジャ移動規制部材により、それ以上主弁に接近する向きへの移動を規制される。
【0273】
よって、電磁弁の開閉時に、ソレノイドの通電量を当初は定格電流より小さい量に制御すると、ホルダ移動規制部材によるホルダの主弁から離間する向きへの移動の規制により、チャンバと一次側及び二次側との圧力差によって定まる主弁の開方向への付勢力次第で、主弁が弁座を閉じ且つニードル弁がパイロット通路を半開する状態か、或は、主弁がプランジャに追従してニードル弁にパイロット通路が塞がれるまで移動して、パイロット通路が全閉で主弁が弁座を半開した状態かのどちらかに、安定して保持される。
【0274】
従って、いずれにしても、弁座の開閉の際に、弁座又はパイロット通路が半開されて、一次側と二次側との圧力差が一気に変動するのではなく、徐々に変動することとなり、これにより、弁座の開閉に伴う弁座の通過流体の急激な流量変化の発生を抑制し、ひいては、これに伴うウォータハンマ現象の発生を確実に抑制又は防止することができる。
【0275】
また、請求項2に記載した本発明の電磁弁によれば、前記プランジャが、前記ニードル弁が形成された弁部と、該弁部を挟んで前記主弁側とは反対側に配置される基部とを有していて、前記ホルダを挿通して前記弁部と前記基部とが連結されており、前記プランジャ付勢手段が、前記ホルダを前記基部側から前記弁部側に向けて付勢する構成とした。
【0276】
このため、ソレノイドの通電停止時にプランジャを弁座側に戻すのに復帰用付勢手段を用いる場合、ソレノイドの通電量を抑制して弁座とパイロット通路とのうちどちらかを半開状態にするのに、ホルダ移動規制部材やプランジャ移動規制部材による移動の規制、及び、プランジャ付勢手段のバネ力は用いるものの、復帰用付勢手段のバネ力は一切用いない。
【0277】
従って、復帰用付勢手段のバネ力とソレノイドの通電によるプランジャの吸引力とのバランスで弁座とパイロット通路とのうちどちらかを半開状態にするという、ソレノイドの容量を大きくしなければ安定した状態に保持できない構造になるのを防止することができる。
【0278】
さらに、請求項3に記載した本発明の電磁弁によれば、前記ソレノイドが、該ソレノイドの通電時に前記プランジャを吸引する吸引子を有しており、該吸引子が、前記ソレノイドの通電により前記最大吸引力で吸引される前記プランジャとの衝突の衝撃を緩衝する緩衝部材を有している構成とした。
【0279】
このため、ソレノイドの通電によりプランジャがプランジャ付勢手段の付勢力を上回る吸引力で吸引されて吸引子に衝突する際に、緩衝部材によりその衝突の衝撃が緩和されるので、ウォータハンマによる騒音と共にプランジャの移動に伴う衝撃が原因の騒音の発生を合わせて抑制し、電磁弁の起こす騒音を全体的に解消することができる。
【0280】
また、請求項4に記載した本発明の電磁弁駆動装置によれば、請求項1、2又は3記載の電磁弁を駆動させるための装置であって、供給源からの作動用電力を第1電力量で前記ソレノイドに供給させる第1電力供給経路と、前記第1電力供給経路と並列に設けられ、前記供給源からの前記作動用電力を第2電力量で前記ソレノイドに供給させる第2電力供給経路と、前記第1電力供給経路を開放状態と閉成状態との間で変移させる第1スイッチ手段と、前記第2電力供給経路を開放状態と閉成状態との間で変移させる第2スイッチ手段とを備え、前記第1電力量の前記作動用電力の供給による前記ソレノイドの通電により、該ソレノイドから前記プランジャに、前記付勢力を下回る吸引力が前記主弁から離間する向きで与えられ、前記第1電力量及び前記第2電力量を合成した電力量の前記作動用電力の供給による前記ソレノイドの通電により、該ソレノイドから前記プランジャに、前記最大吸引力が前記主弁から離間する向きで与えられる構成とした。
【0281】
このため、第1スイッチ手段により第1電力供給経路が開放状態から閉成状態に変移されると、この第1電力供給経路により供給源からの作動用電力が第1電力量でソレノイドに供給され、プランジャ及びホルダのうち一方から他方にプランジャ付勢手段が付与する付勢力を下回る吸引力が、主弁から離間する向きでソレノイドからプランジャに与えられる。
【0282】
すると、主弁が弁座を閉じ且つニードル弁がパイロット通路を半開する状態か、或は、主弁がプランジャに追従してニードル弁にパイロット通路が塞がれるまで移動して、パイロット通路が全閉で主弁が弁座を半開した状態かのどちらかに、電磁弁が安定して保持される。
【0283】
そして、第1スイッチ手段により第1電力供給経路が開放状態から閉成状態に変移されたままの状態で、第2スイッチ手段により第2電力供給経路が開放状態から閉成状態に変移されると、この第2電力供給経路による第2電力量の作動用電力と、既に閉成状態にある第1電力供給経路による第1電力量の作動用電力とを合成した電力量で、供給源からの作動用電力がソレノイドに供給され、ソレノイドからプランジャに、主弁から離間する向きの最大吸引力が与えられる。
【0284】
すると、プランジャが主弁から離間する方向に移動し、このプランジャに追従して主弁がニードル弁にパイロット通路が塞がれるまで移動して、パイロット通路が全閉で主弁が弁座を全開した状態に、電磁弁が安定して保持される。
【0285】
従って、請求項1、2又は3記載の電磁弁を弁閉状態から弁開状態に駆動させる際には、第1スイッチ手段により第1電力供給経路を開放状態から閉成状態に変移させ、それから時間をおいて、第2スイッチ手段により第2電力供給経路を開放状態から閉成状態に変移させることで、ソレノイドへの通電量を、ゼロから第1電力量へ、次いで、第1電力量から第1電力量と第2電力量とを合成した電力量へと、段階的に増加させて、弁座を開く際に、弁座又はパイロット通路が半開された状態を途中で確実に発生させることができる。
【0286】
同様に、請求項1、2又は3記載の電磁弁を弁開状態から弁閉状態に駆動させる際には、第2スイッチ手段により第2電力供給経路を閉成状態から開放状態に変移させ、それから時間をおいて、第1スイッチ手段により第1電力供給経路を閉成状態から開放状態に変移させることで、ソレノイドへの通電量を、第1電力量と第2電力量とを合成した電力量から第1電力量へ、次いで、第1電力量からゼロへと、段階的に減少させて、弁座を閉じる際に、弁座又はパイロット通路が半開された状態を途中で確実に発生させることができる。
【0287】
さらに、請求項5に記載した本発明の電磁弁駆動装置によれば、前記ソレノイドに対する前記作動用電力の供給指令と該作動用電力の供給停止指令とを出力する電力供給指令手段と、前記供給指令の出力時に第1導通信号を出力すると共に、前記供給停止指令の出力時から所定時間経過後に前記第1導通信号の出力を停止する第1開閉指令手段と、前記供給指令の出力時から所定時間経過後に第2導通信号を出力すると共に、前記供給停止指令の出力時に前記第2導通信号の出力を停止する第2開閉指令手段とをさらに備え、前記第1スイッチ手段が、前記第1導通信号の入力により前記第1電力供給経路を開放状態から閉成状態に変移させると共に、前記第1導通信号の入力停止により前記第1電力供給経路を閉成状態から開放状態に変移させるように構成されており、前記第2スイッチ手段が、前記第2導通信号の入力により前記第2電力供給経路を開放状態から閉成状態に変移すると共に、前記第2導通信号の入力停止により前記第2電力供給経路を閉成状態から開放状態に変移する構成とした。
【0288】
このため、ソレノイドに対する作動用電力の供給指令が電力供給指令手段から出力されると、その時点で第1スイッチ手段により第1電力供給経路が開放状態から閉成状態に変移されて、この第1電力供給経路により供給源からの作動用電力が第1電力量でソレノイドに供給され、プランジャ及びホルダのうち一方から他方にプランジャ付勢手段が付与する付勢力を下回る吸引力が、主弁から離間する向きでソレノイドからプランジャに与えられる。
【0289】
そして、ソレノイドに対する作動用電力の供給指令が電力供給指令手段から出力された時点から所定時間が経過すると、第2スイッチ手段により第2電力供給経路が開放状態から閉成状態に変移されて、この第2電力供給経路による第2電力量の作動用電力と、先に閉成状態に変移された第1電力供給経路による第1電力量の作動用電力とを合成した電力量で、供給源からの作動用電力がソレノイドに供給され、ソレノイドからプランジャに、主弁から離間する向きの最大吸引力が与えられる。
【0290】
また、ソレノイドに対する作動用電力の供給停止指令が電力供給指令手段から出力されると、その時点で第2スイッチ手段により第2電力供給経路が閉成状態から開放状態に変移されて、供給源からソレノイドに供給される作動用電力が、第1電力量及び第2電力量を合成した電力量から第1電力量に変移する。
【0291】
そして、ソレノイドに対する作動用電力の供給停止指令が電力供給指令手段から出力された時点から所定時間が経過すると、第1スイッチ手段により第1電力供給経路が閉成状態から開放状態に変移されて、供給源からソレノイドへの作動用電力の供給が停止され、ソレノイドからの吸引力がプランジャに付与されなくなる。
【0292】
従って、請求項1、2又は3記載の電磁弁の弁座を開く際や閉じる際に、弁座又はパイロット通路が半開された状態が途中で発生するように、弁閉状態から弁開状態に駆動させる際には、ソレノイドへの通電量を、ゼロから第1電力量へ、次いで、第1電力量から第1電力量と第2電力量とを合成した電力量へと、段階的に確実に増加させ、同様に、電磁弁を弁開状態から弁閉状態に駆動させる際には、ソレノイドへの通電量を、第1電力量と第2電力量とを合成した電力量から第1電力量へ、次いで、第1電力量からゼロへと、段階的に確実に減少させることができる。
【0293】
また、請求項6に記載した本発明の電磁弁駆動装置によれば、前記第1及び第2の各スイッチ手段が、外部からの前記ソレノイドに対する前記作動用電力の供給指令の入力により前記第1及び第2の各電力供給経路を開放状態から閉成状態に各々変移させると共に、前記作動用電力の供給停止指令の入力により前記第1及び第2の各電力供給経路を閉成状態から開放状態に各々変移させるように構成されており、前記第1スイッチ手段に対する前記供給停止指令の出力を遅延させる停止指令遅延手段と、前記第2スイッチ手段に対する前記供給指令の出力を遅延させる供給指令遅延手段とをさらに備える構成とした。
【0294】
このため、外部からの作動用電力の供給指令の第2スイッチ手段に対する出力を供給指令遅延手段により遅延させることで、第2スイッチ手段により第2電力供給経路が開放状態から閉成状態に変移する時点を、第1スイッチ手段により第1電力供給経路が開放状態から閉成状態に変移する時点よりも遅延させ、これにより、電磁弁を弁閉状態から弁開状態に駆動させる際に、ソレノイドへの通電量を、ゼロから第1電力量へ、次いで、第1電力量から第1電力量と第2電力量とを合成した電力量へと、段階的に確実に増加させることができる。
【0295】
同様に、外部からの作動用電力の供給停止指令の第1スイッチ手段に対する出力を停止指令遅延手段により遅延させることで、第1スイッチ手段により第1電力供給経路が閉成状態から開放状態に変移する時点を、第2スイッチ手段により第2電力供給経路が閉成状態から開放状態に変移する時点よりも遅延させ、これにより、これにより、電磁弁を弁開状態から弁閉状態に駆動させる際に、ソレノイドへの通電量を、第1電力量と第2電力量とを合成した電力量から第1電力量へ、次いで、第1電力量からゼロへと、段階的に確実に減少させることができる。
【0296】
さらに、請求項7に記載した本発明の電磁弁駆動装置によれば、前記供給指令と前記供給停止指令とを出力する電力供給指令手段をさらに備える構成とした。
【0297】
このため、ソレノイドに対する作動用電力の供給指令が電力供給指令手段から出力されると、その時点で供給指令が入力される第1スイッチ手段により、第1電力供給経路が開放状態から閉成状態に変移されて、この第1電力供給経路により供給源からの作動用電力が第1電力量でソレノイドに供給され、プランジャ及びホルダのうち一方から他方にプランジャ付勢手段が付与する付勢力を下回る吸引力が、主弁から離間する向きでソレノイドからプランジャに与えられる。
【0298】
そして、ソレノイドに対する作動用電力の供給指令が電力供給指令手段から出力された時点から所定時間が経過すると、その時点で供給指令遅延手段により遅延された供給指令が入力される第2スイッチ手段により、第2電力供給経路が開放状態から閉成状態に変移されて、この第2電力供給経路による第2電力量の作動用電力と、先に閉成状態に変移された第1電力供給経路による第1電力量の作動用電力とを合成した電力量で、供給源からの作動用電力がソレノイドに供給され、ソレノイドからプランジャに、主弁から離間する向きの最大吸引力が与えられる。
【0299】
また、ソレノイドに対する作動用電力の供給停止指令が電力供給指令手段から出力されると、その時点で供給停止指令が入力される第2スイッチ手段により、第2電力供給経路が閉成状態から開放状態に変移されて、供給源からソレノイドに供給される作動用電力が、第1電力量及び第2電力量を合成した電力量から第1電力量に変移する。
【0300】
そして、ソレノイドに対する作動用電力の供給停止指令が電力供給指令手段から出力された時点から所定時間が経過すると、その時点で停止指令遅延手段により遅延された供給停止指令が入力される第1スイッチ手段により、第1電力供給経路が閉成状態から開放状態に変移されて、供給源からソレノイドへの作動用電力の供給が停止され、ソレノイドからの吸引力がプランジャに付与されなくなる。
【0301】
従って、供給指令の第2スイッチ手段への出力を供給指令遅延手段により遅延させることで、第1スイッチ手段による第1電力供給経路の開放状態から閉成状態への変移よりも、第2スイッチ手段による第2電力供給経路の開放状態から閉成状態への変移を遅延させて、電磁弁を弁閉状態から弁開状態に駆動させる際に、電磁弁の駆動のために供給指令や供給停止指令から時間差のある2つの信号を生成する必要をなくし、その分だけ信号生成系及び信号出力系の動作を簡略化することができる。
【0302】
同様に、供給停止指令の第1スイッチ手段への出力を停止指令遅延手段により遅延させることで、第2スイッチ手段による第2電力供給経路の閉成状態から開放状態への変移よりも、第1スイッチ手段による第1電力供給経路の閉成状態から開放状態への変移を遅延させて、電磁弁を弁開状態から弁閉状態に駆動させる際に、電磁弁の駆動のために供給指令や供給停止指令から時間差のある2つの信号を生成する必要をなくし、その分だけ信号生成系及び信号出力系の動作を簡略化することができる。
【0303】
また、請求項8に記載した本発明の電磁弁駆動装置によれば、請求項1、2又は3記載の電磁弁を駆動させるための装置であって、供給源からの作動用電力を第1電力量で前記ソレノイドに供給させる第3電力供給経路と、前記第3電力供給経路と並列に設けられ、前記供給源からの前記作動用電力を第2電力量で前記ソレノイドに供給させる第4電力供給経路と、前記供給源からの前記作動用電力を基に生成される通電信号の入力により前記第4電力供給経路を開放状態から閉成状態に変移させると共に、前記通電信号の入力の停止により前記第4電力供給経路を閉成状態から開放状態に変移させる第3スイッチ手段と、前記第3スイッチ手段に入力される前記通電信号を所定時間遅延させる通電信号遅延手段と、前記ソレノイドに並列接続されたRC回路とを備え、前記第1電力量の前記作動用電力の供給による前記ソレノイドの通電により、該ソレノイドから前記プランジャに、前記付勢力を下回る吸引力が前記主弁から離間する向きで与えられ、前記第1電力量及び前記第2電力量を合成した電力量の前記作動用電力の供給による前記ソレノイドの通電により、該ソレノイドから前記プランジャに、前記最大吸引力が前記主弁から離間する向きで与えられると共に、前記供給源からの前記作動用電力の供給の停止により前記RC回路において過渡現象が発生し、前記RC回路の前記過渡現象により、前記供給源からの前記作動用電力の供給の停止後から、前記RC回路の時定数に応じた所定時間に亘り継続して、前記第2電力量未満で、且つ、前記第1電力量以上の前記作動用電力が、前記RC回路から前記ソレノイドに供給される構成とした。
【0304】
このため、供給源からの作動用電力の供給が開始されると、この時点で作動用電力が第3電力供給経路により第1電力量でソレノイドに供給され、プランジャ及びホルダのうち一方から他方にプランジャ付勢手段が付与する付勢力を下回る吸引力が、主弁から離間する向きでソレノイドからプランジャに与えられる。
【0305】
すると、主弁が弁座を閉じ且つニードル弁がパイロット通路を半開する状態か、或は、主弁がプランジャに追従してニードル弁にパイロット通路が塞がれるまで移動して、パイロット通路が全閉で主弁が弁座を半開した状態かのどちらかに、電磁弁が安定して保持される。
【0306】
そして、供給源からの作動用電力の供給が開始された時点から所定時間経過し、供給源からの作動用電力を基に生成されて通電信号遅延手段により遅延された通電信号が第3スイッチ手段に入力されて、第4電力供給経路が開放状態から閉成状態に変移されると、この第4電力供給経路による第2電力量の作動用電力と、既に第3電力供給経路により供給されている第1電力量の作動用電力とを合成した電力量で、供給源からの作動用電力がソレノイドに供給され、ソレノイドからプランジャに、主弁から離間する向きの最大吸引力が与えられる。
【0307】
すると、プランジャが主弁から離間する方向に移動し、このプランジャに追従して主弁がニードル弁にパイロット通路が塞がれるまで移動して、パイロット通路が全閉で主弁が弁座を全開した状態に、電磁弁が安定して保持される。
【0308】
また、供給源からの作動用電力の供給が停止されると、その時点で第3スイッチ手段により第4電力供給経路が閉成状態から開放状態に変移されて、第4電力供給経路による第2電力量での供給源からの作動用電力の供給が停止すると共に、第3電力供給経路による第1電力量での供給源からの作動用電力の供給が停止する。
【0309】
その一方で、供給源からの電力の供給が停止されると、ソレノイドに並列接続されたRC回路において発生する過渡現象によって、RC回路の時定数に応じた所定時間に亘ってこのRC回路を電流が流れ、この電流の流れによって、RC回路が並列接続されたソレノイドに、第2電力量未満で、且つ、第1電力量以上の作動用電力が供給される。
【0310】
これにより、供給源からの電力の供給が停止された後、RC回路の時定数に応じた所定時間に亘って、主弁が弁座を閉じ且つニードル弁がパイロット通路を半開する状態か、或は、主弁がプランジャに追従してニードル弁にパイロット通路が塞がれるまで移動して、パイロット通路が全閉で主弁が弁座を半開した状態かのどちらかに、電磁弁が安定して保持される。
【0311】
そして、RC回路の時定数に応じた所定時間が経過すると、過渡現象によりRC回路を流れる電流の低下で、RC回路からソレノイドに供給される作動用電力の電力量が第1電力量未満となり、やがては、RC回路の過渡現象の終了で、RC回路からソレノイドに作動用電力が供給されなくなって、ソレノイドからの吸引力が付与されなくなったプランジャが、主弁のパイロット通路を全閉したまま主弁を押しながら元の位置に復帰して、チャンバと一次側及び二次側との圧力差により主弁が弁座を全閉する状態に電磁弁が復帰する。
【0312】
従って、請求項1、2又は3記載の電磁弁を弁閉状態から弁開状態に駆動させる際に、ソレノイドへの通電量を、ゼロから第1電力量へ、次いで、第1電力量から第1電力量と第2電力量とを合成した電力量へと、段階的に増加させ、同様に、電磁弁を弁開状態から弁閉状態に駆動させる際においても、ソレノイド5の通電量を、第1電力量と第2電力量とを合成した電力量から、第2電力量未満で、且つ、第1電力量以上の電力量へ、次いで、第2電力量未満で、且つ、第1電力量以上の電力量からゼロへと、段階的に減少させて、弁座を開く際や閉じる際に、弁座又はパイロット通路が半開された状態を途中で確実に発生させることができる。
【0313】
さらに、請求項9に記載した本発明の電磁弁駆動装置によれば、前記ソレノイドに対する前記作動用電力の供給指令と該作動用電力の供給停止指令とを出力する電力供給指令手段と、前記第3及び第4電力供給経路と前記供給源11とを接続する第5電力供給経路と、該第5電力供給経路を開放状態と閉成状態との間で変移させる第4スイッチ手段とをさらに備え、該第4スイッチ手段が、前記作動用電力の供給指令の入力により前記第5電力供給経路を開放状態から閉成状態に変移させると共に、前記作動用電力の供給停止指令の入力により前記第5電力供給経路を閉成状態から開放状態に変移させる構成とした。
【0314】
このため、ソレノイドに対する作動用電力の供給指令が電力供給指令手段から出力されると、その時点で第4スイッチ手段により第5電力供給経路が開放状態から閉成状態に変移されて、この第5電力供給経路と第3電力供給経路により供給源からの作動用電力が第1電力量でソレノイドに供給され、プランジャ及びホルダのうち一方から他方にプランジャ付勢手段が付与する付勢力を下回る吸引力が、主弁から離間する向きでソレノイドからプランジャに与えられる。
【0315】
そして、ソレノイドに対する作動用電力の供給指令が電力供給指令手段から出力された時点から所定時間が経過すると、その時点で通電信号遅延手段により遅延された通電信号が入力される第3スイッチ手段により、第4電力供給経路が開放状態から閉成状態に変移されて、この第4電力供給経路による第2電力量の作動用電力と、既に供給源に接続されている第3電力供給経路による第1電力量の作動用電力とを合成した電力量で、供給源からの作動用電力がソレノイドに供給され、ソレノイドからプランジャに、主弁から離間する向きの最大吸引力が与えられる。
【0316】
また、ソレノイドに対する作動用電力の供給停止指令が電力供給指令手段から出力されると、その時点で通電信号の入力が停止される第3スイッチ手段により、第4電力供給経路が閉成状態から開放状態に変移されて、第4電力供給経路による第2電力量での供給源からの作動用電力の供給が停止すると共に、第3電力供給経路による第1電力量での供給源からの作動用電力の供給が停止する。
【0317】
その一方で、供給源からの電力の供給が停止されると、ソレノイドに並列接続されたRC回路において発生する過渡現象によって、RC回路の時定数に応じた所定時間に亘ってこのRC回路を電流が流れ、この電流の流れによって、RC回路が並列接続されたソレノイドに、第2電力量未満で、且つ、第1電力量以上の作動用電力が供給される。
【0318】
そして、RC回路の時定数に応じた所定時間が経過すると、過渡現象によりRC回路を流れる電流の低下で、RC回路からソレノイドに供給される作動用電力の電力量が第1電力量未満となり、やがては、RC回路の過渡現象の終了で、RC回路からソレノイドに作動用電力が供給されなくなって、ソレノイドからの吸引力がプランジャに付与されなくなる。
【0319】
従って、第4スイッチ手段による第5電力供給経路の開放状態から閉成状態への変移に伴って生成される通電信号の、第3スイッチ手段への出力を、通電信号遅延手段により遅延させることで、第3電力供給経路による第1電力量での供給源からの作動用電力の供給の開始よりも、第3スイッチ手段による第4電力供給経路の開放状態から閉成状態への変移を遅延させて、電磁弁を弁閉状態から弁開状態に駆動させる際に、電磁弁の駆動のために供給指令や供給停止指令から時間差のある2つの信号を生成する必要をなくし、その分だけ信号生成系及び信号出力系の動作を簡略化することができる。
【0320】
同様に、第4スイッチ手段による第5電力供給経路の閉成状態から開放状態への変移に伴って発生する過渡現象により、RC回路を流れる電流によって、RC回路が並列接続されたソレノイドに、第2電力量未満で、且つ、第1電力量以上の作動用電力を、RC回路の時定数に応じた所定時間に亘って供給させることで、第3スイッチ手段による第4電力供給経路の閉成状態から開放状態への変移よりも、RC回路の過渡現象に起因してソレノイドに供給される作動用電力が第1電力量を下回る時点を遅延させて、電磁弁を弁開状態から弁閉状態に駆動させる際に、電磁弁の駆動のために供給指令や供給停止指令から時間差のある2つの信号を生成する必要をなくし、その分だけ信号生成系及び信号出力系の動作を簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電磁弁駆動装置の基本構成図である。
【図2】本発明の電磁弁駆動装置の基本構成図である。
【図3】本発明の電磁弁駆動装置の基本構成図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る電磁弁の断面図である。
【図5】図4の弁座及びパイロット通路が共に全閉状態の場合の弁部分を示す要部拡大断面図である。
【図6】図5のプランジャを周方向に90゜向きを変えて見た要部断面図である。
【図7】図4の弁座が全閉状態でパイロット通路が半開状態の場合の弁部分を示す要部拡大断面図である。
【図8】図4の弁座が半開状態でパイロット通路が全閉状態の場合の弁部分を示す要部拡大断面図である。
【図9】図4の電磁弁の弁開閉に伴う流入口側及び流出口側の液媒体の圧力変化を示す特性図である。
【図10】図4の弁座が全閉状態でパイロット通路が全開状態の場合の弁部分を示す要部拡大断面図である。
【図11】図4の弁座が全開状態でパイロット通路が全閉状態の場合の弁部分を示す要部拡大断面図である。
【図12】図4の弁座が半開状態でパイロット通路が全開状態の場合の弁部分を示す要部拡大断面図である。
【図13】図4のプランジャのニードル弁の位置(プランジャリフト)を横軸に取り、ソレノイドのコイルに対する通電量に応じたプランジャに与える吸引力や、プランジャバネ及びニードル弁バネがプランジャに作用するバネ力を縦軸に取った、これらの相関を示すグラフである。
【図14】本発明の第1実施形態に係る電磁弁システムにおける電磁弁駆動装置の概略構成を示すブロック図である。
【図15】図14に示すドライブ回路の回路図である。
【図16】図14のマイコンCPUがROMに格納されたプログラムに従って行う処理を示すメインルーチンのフローチャートである。
【図17】図16の弁開処理のサブルーチンのフローチャートである。
【図18】図16の弁閉処理のサブルーチンのフローチャートである。
【図19】電磁弁の弁開時と弁閉時とにおける第1及び第2の両駆動信号の信号レベルの変移を示すタイミングチャートである。
【図20】本発明の第2実施形態に係る電磁弁システムにおける電磁弁駆動装置の概略構成を示すブロック図である。
【図21】図20に示すドライブ回路の回路図である。
【図22】図20のマイコンCPUがROMに格納されたプログラムに従って行う処理を示すフローチャートである。
【図23】電磁弁の弁開時と弁閉時とにおける第3駆動信号の信号レベルと第3及び第4の両スイッチングトランジスタのベース電位と、第3及び第4の両スイッチングトランジスタの導通、非導通の状態との変移を示すタイミングチャートである。
【図24】本発明の第3実施形態に係る電磁弁システムにおける電磁弁駆動装置の概略構成を示すブロック図である。
【図25】図24に示すドライブ回路の回路図である。
【図26】図24のマイコンCPUがROMに格納されたプログラムに従って行う処理を示すフローチャートである。
【図27】電磁弁の弁開時と弁閉時とにおける第4駆動信号の信号レベルと、第5スイッチングトランジスタのベース電位と、第5スイッチングトランジスタの導通、非導通の状態と、コイルの電源側端子の電位との変移を示すタイミングチャートである。
【図28】従来例に係るパイロット弁方式の電磁弁の断面図である。
【図29】従来例に係る電磁弁の断面図である。
【図30】図28の電磁弁の弁開閉に伴う流入口側及び流出口側の液媒体の圧力変化を示す特性図である。
【符号の説明】
1 電磁弁
31 流入口(一次側)
33 流出口(二次側)
35 弁座
5 ソレノイド
51 吸引子
51c 緩衝部材
55 プランジャ
55a プランジャ基部(プランジャ移動規制部材)
55e プランジャ弁部
55h ニードル弁
55j ニードル弁バネ(プランジャ付勢手段)
57 ホルダ
57a フランジ(ホルダ移動規制部材)
77 チャンバ
9 主弁
91 パイロット通路
10,10A,10B 電磁弁駆動装置
11 供給源
13,13A,13B マイクロコンピュータ
13a,13d,13g CPU
13b,13e,13h RAM
13c,13f,13j ROM
13α 電力供給指令手段
13β 第1開閉指令手段
13γ 第2開閉指令手段
α 第1電力供給経路
β 第2電力供給経路
γ 第3電力供給経路
δ 第4電力供給経路
ε 第5電力供給経路
DL1 停止指令遅延手段
DL2 供給指令遅延手段
DL3 通電信号遅延手段
P1 流入口液冷媒圧力(一次側圧力)
P2 流出口液冷媒圧力(二次側圧力)
T1 ,T2 所定時間
TRa 第1スイッチ手段
TRb 第2スイッチ手段
TRc 第3スイッチ手段
TRd 第4スイッチ手段
X RC回路
Claims (9)
- 一次側と二次側とを連通する弁座を開閉する主弁に形成された、この主弁が収容されるチャンバと前記二次側とを連通するパイロット通路を、ソレノイドのプランジャに形成されたニードル弁により開閉し、前記チャンバと前記一次側及び前記二次側との圧力差により前記主弁による前記弁座の開閉を行う電磁弁において、
前記プランジャに嵌装され前記ニードル弁による前記パイロット通路の開閉方向において前記プランジャに対して相対移動可能なホルダと、
前記ホルダに形成され前記開閉方向において前記主弁から離間する向きへの前記ホルダの移動を規制するホルダ移動規制部材と、
前記ホルダ及び前記プランジャのうち少なくとも一方に設けられ、前記ホルダ移動規制部材により前記主弁から離間する向きへの移動が規制された前記ホルダに対する前記プランジャの、前記主弁に接近する向きへの移動を、前記弁座を閉じた前記主弁の前記パイロット通路を前記ニードル弁が半開する箇所までに規制するプランジャ移動規制部材と、
前記ホルダに対して前記プランジャを前記主弁に接近する方向に付勢するプランジャ付勢手段とを備え、
前記プランジャ付勢手段は、前記ソレノイドが通電により前記主弁から離間する向きで前記プランジャに与える最大吸引力を下回る付勢力を、前記プランジャ及び前記ホルダのうち一方から他方に付与する、
ことを特徴とする電磁弁。 - 前記プランジャは、前記ニードル弁が形成された弁部と、該弁部を挟んで前記主弁側とは反対側に配置される基部とを有していて、前記ホルダを挿通して前記弁部と前記基部とが連結されており、前記プランジャ付勢手段は、前記ホルダを前記基部側から前記弁部側に向けて付勢する請求項1記載の電磁弁。
- 前記ソレノイドは、該ソレノイドの通電時に前記プランジャを吸引する吸引子を有しており、該吸引子は、前記ソレノイドの通電により前記最大吸引力で吸引される前記プランジャとの衝突の衝撃を緩衝する緩衝部材を有している請求項1又は2記載の電磁弁。
- 請求項1、2又は3記載の電磁弁を駆動させるための装置であって、
供給源からの作動用電力を第1電力量で前記ソレノイドに供給させる第1電力供給経路と、
前記第1電力供給経路と並列に設けられ、前記供給源からの前記作動用電力を第2電力量で前記ソレノイドに供給させる第2電力供給経路と、
前記第1電力供給経路を開放状態と閉成状態との間で変移させる第1スイッチ手段と、
前記第2電力供給経路を開放状態と閉成状態との間で変移させる第2スイッチ手段とを備え、
前記第1電力量の前記作動用電力の供給による前記ソレノイドの通電により、該ソレノイドから前記プランジャに、前記付勢力を下回る吸引力が前記主弁から離間する向きで与えられ、
前記第1電力量及び前記第2電力量を合成した電力量の前記作動用電力の供給による前記ソレノイドの通電により、該ソレノイドから前記プランジャに、前記最大吸引力が前記主弁から離間する向きで与えられる、
ことを特徴とする電磁弁駆動装置。 - 前記ソレノイドに対する前記作動用電力の供給指令と該作動用電力の供給停止指令とを出力する電力供給指令手段と、前記供給指令の出力時に第1導通信号を出力すると共に、前記供給停止指令の出力時から所定時間経過後に前記第1導通信号の出力を停止する第1開閉指令手段と、前記供給指令の出力時から所定時間経過後に第2導通信号を出力すると共に、前記供給停止指令の出力時に前記第2導通信号の出力を停止する第2開閉指令手段とをさらに備え、前記第1スイッチ手段は、前記第1導通信号の入力により前記第1電力供給経路を開放状態から閉成状態に変移させると共に、前記第1導通信号の入力停止により前記第1電力供給経路を閉成状態から開放状態に変移させるように構成されており、前記第2スイッチ手段は、前記第2導通信号の入力により前記第2電力供給経路を開放状態から閉成状態に変移すると共に、前記第2導通信号の入力停止により前記第2電力供給経路を閉成状態から開放状態に変移するように構成されている請求項4記載の電磁弁駆動装置。
- 前記第1及び第2の各スイッチ手段は、外部からの前記ソレノイドに対する前記作動用電力の供給指令の入力により前記第1及び第2の各電力供給経路を開放状態から閉成状態に各々変移させると共に、前記作動用電力の供給停止指令の入力により前記第1及び第2の各電力供給経路を閉成状態から開放状態に各々変移させるように構成されており、前記第1スイッチ手段に対する前記供給停止指令の出力を遅延させる停止指令遅延手段と、前記第2スイッチ手段に対する前記供給指令の出力を遅延させる供給指令遅延手段とをさらに備える請求項4記載の電磁弁駆動装置。
- 前記供給指令と前記供給停止指令とを出力する電力供給指令手段をさらに備える請求項6記載の電磁弁駆動装置。
- 請求項1、2又は3記載の電磁弁を駆動させるための装置であって、
供給源からの作動用電力を第1電力量で前記ソレノイドに供給させる第3電力供給経路と、
前記第3電力供給経路と並列に設けられ、前記供給源からの前記作動用電力を第2電力量で前記ソレノイドに供給させる第4電力供給経路と、
前記供給源からの前記作動用電力を基に生成される通電信号の入力により前記第4電力供給経路を開放状態から閉成状態に変移させると共に、前記通電信号の入力の停止により前記第4電力供給経路を閉成状態から開放状態に変移させる第3スイッチ手段と、
前記第3スイッチ手段に入力される前記通電信号を所定時間遅延させる通電信号遅延手段と、前記ソレノイドに並列接続されたRC回路とを備え、
前記第1電力量の前記作動用電力の供給による前記ソレノイドの通電により、該ソレノイドから前記プランジャに、前記付勢力を下回る吸引力が前記主弁から離間する向きで与えられ、
前記第1電力量及び前記第2電力量を合成した電力量の前記作動用電力の供給による前記ソレノイドの通電により、該ソレノイドから前記プランジャに、前記最大吸引力が前記主弁から離間する向きで与えられると共に、
前記供給源からの前記作動用電力の供給の停止により前記RC回路において過渡現象が発生し、
前記RC回路の前記過渡現象により、前記供給源からの前記作動用電力の供給の停止後から、前記RC回路の時定数に応じた所定時間に亘り継続して、前記第2電力量未満で、且つ、前記第1電力量以上の前記作動用電力が、前記RC回路から前記ソレノイドに供給される、
ことを特徴とする電磁弁駆動装置。 - 前記ソレノイドに対する前記作動用電力の供給指令と該作動用電力の供給停止指令とを出力する電力供給指令手段と、前記第3及び第4電力供給経路と前記供給源とを接続する第5電力供給経路と、該第5電力供給経路を開放状態と閉成状態との間で変移させる第4スイッチ手段とをさらに備え、該第4スイッチ手段は、前記作動用電力の供給指令の入力により前記第5電力供給経路を開放状態から閉成状態に変移させると共に、前記作動用電力の供給停止指令の入力により前記第5電力供給経路を閉成状態から開放状態に変移させるように構成されている請求項8記載の電磁弁駆動装置。
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