JP3759695B2 - 符号分割多重接続信号を処理するための複素擬似雑音シーケンスを生成する方法およびシステム - Google Patents

符号分割多重接続信号を処理するための複素擬似雑音シーケンスを生成する方法およびシステム Download PDF

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Description

(発明の属する技術分野)
本発明は、一般に、無線通信システムに関し、さらに詳しくは、複素シーケンスを有する符号分割多重信号を処理するための方法およびシステムに関する。
【0001】
(従来の技術)
変調無線信号を送信するために用いられる電力増幅器においては、低ピーク対平均比を有する入力信号で動作させることが望ましい。高ピーク対平均比の信号は次の理由で好ましくない、すなわち、そのピーク信号がその動作範囲の非リニア領域で動作した場合、電力増幅器が異常なサイド・バンドを生み出すからである。これらの異常なサイド・バンドは、大きな振幅変動を有する信号が通過する場合にAM−PM変換およびAM−AM変換と呼ばれるメカニズムによって生み出される。さらに、これらのサイド・バンドは、応答機のいくつかの部分にある情報信号の電力を奪い、また近接チャネルに妨害(隣接チャネル妨害)を引き起こす。
【0002】
直角位相変移(QPSK:quartenary phase shift keying)を用いる通信システムでは、信号位相は各位相シフト間隔における4つの位相のいずれかである。これは、図1の信号空間図に示されており、位相30は配座位置32−38の1つである配座位置32の位相である。遷移40−46は、位相シフト間隔間における許容される位相変化を示す。ゼロ度遷移は参照番号40で示す。π/2ラジアンまたは90度の遷移の例は、参照番号42,44で示し、180度またはπラジアン遷移は参照番号46で示す。
【0003】
米国標準機関(ANSI)J−STD−008に従うCDMAシステムで実施されているような、符号分割多重接続(CDMA)では、利用者データは、周期的で雑音のような性質を有する疑似ランダム雑音(PN)シーケンスによって広帯域化されかつ変調される。たとえば、図2を参照して、直接シーケンスQPSK送信機60では、実数の利用者データ62は2つのPNシーケンスで分割されかつ多重化される、すなわち掛算器68,70を用いるPNIシーケンス64およびPNQシーケンス66である。PNシーケンスは、PNIおよびPNQシーケンス発生器によって、それぞれ、生成される。これらのPNシーケンス発生器の出力間隔は、チップ時間またはチップ間隔と呼ばれ、直接変調シーケンスにおける単一パルス間隔である。
【0004】
利用者データ62の同相(I)および90度(Q)成分がPNIシーケンス64およびPNQシーケンス66によって乗算された後、乗算器68,70の出力信号はパルス整形フィルタ76によって各々別々にフィルタ処理される。パルス整形フィルタ76は信号のより高い周波数成分を濾波する有限インパルス応答フィルタで実行される。
【0005】
次に、濾波されたIおよびQ信号成分は、乗算器82を用いて直角位相搬送成分78,80によって乗算され、IおよびQ無線周波数(RF)信号84,86を生成する。その後、信号84,86は、加算器88でともに加えられる。加算器88の出力は、RF変調信号で、その後電力増幅器92によって増幅される。電力増幅器92の出力は、それから受信ユニットへ信号を送信するためにアンテナ92へ結合される。
【0006】
図2に示されるように、PNシーケンス発生器72,74は、典型的には、最大長リニア・フィードバックNビット・シフト・レジスタで処理され、そこで選択ステージに端子が設けられこのシフト・レジスタの出力と排他的論理和結合がなされてシフト・レジスタの入力にフィードバックされる信号を生成する。PNシーケンスを実行する他の方法を用いてもよい。例えば、非リニア・フィードバック・シフト・レジスタがPNシーケンスを実行するために使用されてもよい。
【0007】
PNIおよびPNQ発生器72,74の出力の結合により、位相に対応する複素値を有することになる。例えば、図1を再び参照して、もしPNIが1に等しく、かつPNQが1に等しい場合、(1,1)の複素PN値は位相30に対応し、それはπ/4ラジアンである。複素PN発生器によって出力される他の値は配座位置32−38に対応する。ある配座位置から別の配座位置への遷移40−46は、前回の複素PNチップと次のチップ時間に複素PNシーケンス発生器で与えられる次回の複素PNチップとの間における差によって決定される。
【0008】
RF変調信号90がピークに達しかつ増幅器92が非リニア領域で動作させられる場合、異常なサイド・バンドが送信信号中に生成される。これらのサイド・バンド信号はRF変調信号90中のピークの発生を減らすことにより除去され、これによりピーク対平均比を低減することが望ましい。
【0009】
RF変調信号90中のピークは、パルス整形フィルタ76中のチップ値のシーケンスを受信する結果として発生し、パルス整形フィルタ76のインパルス応答とかなりの相関性を有する。さらに、信号90のピークの形成は、ピークがIおよびQチャネル双方のパルス整形フィルタ76で同時に生成される場合より大きい。
【0010】
従来技術では、π/2BPSK変調は、増幅器に送られる信号中のピーク対平均を減らすために用いられる。しかしながら、π/2BPSK変調は、BPSK拡散を生み出し、他の利用者からの信号を容易に排除しないので、その変調は劣化する。
【0011】
他方、QPSK拡散は利用者信号間で優れた排除性を与えるが、好ましくないピーク対平均比を有する信号を生み出す。拡散方法に関するさらに詳細な議論のために、1995年にAddison Wesleyから出版されたAndrew J. Viterbi著の”CDMA, Principles of Spread Spectrum Communications"と題する書物の26頁ないし32頁を参照すること。
【0012】
このように、符号分割多重接続を処理するための複素擬似雑音シーケンスを発生する改良された方法及びシステムを必要とし、その複素擬似雑音シーケンスは変調通信信号のピーク対平均比の低減を助ける。
【0013】
(好適な実施例の詳細な説明)
図面を参照し、特に図3を参照すると、本発明に係る方法およびシステムに関して、複素擬似雑音シーケンスを生成する方法およびシステムを含む直接シーケンス拡散スペクトラム送信機が図示される。図示されるように、直接シーケンスQPSK送信機110は、実数利用者データ62を受信し、それは本発明によって生成された2つのPNシーケンスによって分離され乗算される。PNIおよびPNQシーケンス112,114は本発明に従って新規である一方、送信機の残りの多くの部分は上述したように動作する。例えば、マルチプレクサ68,70は図2を参照して述べたのと同じ方法で動作する。同様に、パルス整形フィルタ76はマルチプレクサ68,70から出力される信号中の高周波成分を濾波するために使用される。その後、IおよびQ RF信号はマルチプレクサ82で直角搬送波成分78,80によって変調される。IおよびQ RF信号116,118は加算器88で足し合わされてRF変調信号120を生成し、その後電力増幅器92で増幅されて受信器へ信号を送信するためにアンテナ94へ結合される。信号116,118,120は、新しい複素PNシーケンスを用いる本発明に従って変調されるので、新規である。
【0014】
好適な実施例では、改良された複素擬似雑音シーケンスの生成はC1およびC2シーケンス生成器130,132で始まり、図2に示されるPNIおよびPNQシーケンス生成器72,74とほぼ同じ方法で実行される。シーケンス生成器130,132の出力はどのチップ時間の間においても値C1およびC2を有する。信号値C1およびC2双方は、最新位相レジスタ134およびマルチプレクサ136の一方の入力側に結合される。最新位相レジスタ134はC1およびC2の値を位相角に変換し、このような位相角をあるチップ時間のために格納する。
【0015】
最新位相レジスタ134からの最新位相情報出力は位相調整138に結合され、それはまたPN1シーケンス生成器130からのC1の現在チップ値を受け取る。図4に示されるように、位相調整138は+/−90度位相調整器で、ここで90度を加えるか引くかの決定をC1の現在値に基づいて行う。位相調整器138の1つの実行として、C1またはC2いずれかの符号は、最新位相レジスタ134からの位相入力から推測されるが、C1の現在値が+1か−1かに応じて変更される。位相調整器138での位相加算または位相減算は、受信機で決められるかプリセットされるあらゆるシーケンスに応じて制御される。
【0016】
位相調整器138の出力、PNIおよびPNQは、図示されるようにマルチプレクサ136に結合される。
【0017】
マルチプレクサ136からの値の出力は、チップ選択器140からの信号に基づいて、入力対から選択される。チップ選択器140は、PNIシーケンス生成器130およびPNQシーケンス生成器132の双方に共通のクロック信号によってクロックされ、クロック間隔はチップ時間である。好適な実施例では、チップ選択器140は、1つおきのチップ時間の間マルチプレクサ136に位相調整器138の出力を選択させる。位相調整器138の出力が選択されない場合、変調されていないC1およびC2の現在値がマルチプレクサ136から出力される。このように、好適な実施例では、1つおきのチップ時間で、次の複素PNチップの位相が前の複素PNチップの位相と90度だけ異なる。
【0018】
PNIおよびPNQシーケンス112,114は、マルチプレクサ136の出力であるが、マルチプレクダ68,70にそれぞれ結合され、それにより利用者データ62を搬送する符号分割多重接続信号を処理しまたは拡散するために用いられる。
【0019】
さて図4を参照して、本発明に従う複素擬似雑音シーケンスを生成する方法を示す高レベル論理(high-level logic)のフローチャートが示される。図示されるように、ブロック200でプロセスが開始し、その後ブロック202へ進み、そこで現在のPNチップ位相を格納する。これは、C1およびC2の現在値を位相へ変更することにより実行され、ここでC1およびC2は+/-1の値を有する。
【0020】
次に、ブロック204に示すように、次のチップに対する位相変化が予め定める角度に限定されるべきかどうかを判断する。ブロック206に示すように、次のチップが位相変更が限定されるチップとして選択されない場合、複素PNシーケンス生成器の出力からC1およびC2を読み取る。その後、ブロック208に示すように、プロセスはPNIをC1に、PNQをC2に等しくする。最後に、ブロック210に示すように、PNIおよびPNQ値を出力する。次のPNチップの位相変化を限定するチップ時間を選択しなかったので、PNIおよびPNQ値は変更なしに次のPNチップとして出力される。
【0021】
再びブロック204を参照して、次のチップが位相変化を限定するために選択される場合、ブロック212に示されているように、最後のPNチップ位相を呼び出す。次に、コードC1を調べ、ブロック214に描かれているように、それが1に等しいかどうかを決定する。もしC1が1に等しい場合、ブロック216に示すように、最後のPNチップ位相に90度を加え、次のPNチップ位相を計算する。しかしながら、もしコードC1が1に等しくない場合、最後のPNチップ位相から90度を引き、次のPNチップ位相を計算する。
【0022】
次のPNチップ位相を計算するために最後のPNチップ位相から90度を加えあるいは引いた後、ブロック220に示すように、次のPNチップ位相をPNIおよびPNQ値に変換する。その後、PNIおよびPNQ値は、ブロック210に示すように、出力される。そしてプロセスは反復のためブロック202へ戻り、現在PNチップ位相が格納される。
【0023】
本発明は送信機内でCDMA信号を処理または拡散するために用いられる複素PNシーケンスを生成するが、他方複素PNシーケンスを生成するためのこの方法およびシステムは受信CDMA信号を処理または逆拡散するために受信装置内でも用いられる。従って、当業者であれば、CDMA受信機が本発明の方法およびシステムを実施するのを理解するであろう。
【0024】
本発明は利用者の実データ62を送信するシステムに準拠して説明された。当業者であれば、利用者データが複素データであり、マルチプレクサ68,70が複素形式で実行されることを理解するであろう。
【0025】
当業者であれば、本発明の複素PN生成器を使用する拡散法がQPSK拡散法でもπ/2BPSK拡散法でもないことを理解するであろうが、本発明を用いることにより示される拡散法は混合しており、選択されたチップ時間はπ/2BPSK拡散法のように振る舞い、残りのチップ時間はQPSK拡散法のように振る舞う。この混合拡散法はπ/2BPSK拡散の低干渉排除(low interference rejection)を避け、QPSK拡散の高ピーク対平均比(high peak-to-average ratio)を回避する。
【0026】
本発明の好適な実施例の説明が図面および明細書のために示された。本発明が開示された形式に厳密に限定または制限されることを意図するものではない。上記教示により修正または変更が可能である。本発明およびその実際への応用の原理を最もよく提供するために実施例が選択され示され、当業者が特定の使用目的に適合するように本発明をさまざまな実施例および修正に利用することが可能である。このような全ての修正および変更は添付請求項によって決定される発明の範囲内にあり、この範囲に従って解釈される場合、それらは、公正、合法的および衡平法上の権利を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来技術におけるQPSK信号空間図を示す。
【図2】 従来技術における方法及びシステムに従う直接シーケンス拡散スペクトラム変調を示す。
【図3】 本発明の方法及びシステムに従う複素擬似雑音シーケンスを生成するための方法及びシステムを有する直接シーケンス拡散スペクトラム変調器を示す。
【図4】 本発明に従う複素擬似雑音シーケンスを生成する方法及びシステムを表す高レベル論理フローチャートを示す。

Claims (12)

  1. 無線通信システムの符号分割多重接続信号を処理するための複素擬似雑音(PN)シーケンスを生成する方法において、
    複素PNシーケンス発生器中のチップ時間を選択する段階と、
    前記選択されたチップ時間に関連して選択された複素PNチップと次の複素PNチップとの位相差を予め選択された位相角に限定する段階と、
    から構成されることを特徴とする複素擬似雑音シーケンスを生成する方法。
  2. 複素PNシーケンス発生器中のチップ時間を選択する前記段階は、複素PNシーケンス生成器中のN番目毎のチップ時間を周期的に選択する段階を、さらに含むことを特徴とする請求項1記載の複素擬似雑音シーケンスを生成する方法。
  3. 前記複素PNシーケンス発生器中の1つおきのチップ時間を選択するためにNは2に等しいことを特徴とする請求項2記載の複素擬似雑音シーケンスを生成する方法。
  4. 前記選択された複素PNチップと前記次の複素PNチップとの位相差を予め選択された位相角に限定する前記段階は、前記選択された複素PNチップと前記次の複素PNチップとの位相差を90度に限定する段階を、さらに含むことを特徴とする請求項1記載の複素擬似雑音シーケンスを生成する方法。
  5. 前記選択された複素PNチップと前記次の複素PNチップとの位相差を予め選択された位相角に限定する前記段階は、前記選択された複素PNチップの位相から90度加算または減算し、前記次の複素PNチップを生成する段階を、さらに含むことを特徴とする請求項1記載の複素擬似雑音シーケンスを生成する方法。
  6. 前記選択された複素PNチップの位相から90度加算または減算し、前記次の複素PNチップを生成する前記段階は、前記選択された複素チップ値に応答して前記選択された複素PNチップの位相から90度を加えまたは90度引き、前記次の複素PNチップを生成する段階を、さらに含むことを特徴とする請求項5記載の複素擬似雑音シーケンスを生成する方法。
  7. 符号分割多重接続信号を処理するための複素擬似雑音(PN)シーケンスを生成するシステムにおいて、
    複素PNシーケンス発生器中のチップ時間を選択する手段と、
    前記選択されたチップ時間に関連して選択された複素PNチップと次の複素PNチップとの位相差を予め選択された位相角に限定する手段と、
    から構成されることを特徴とする複素擬似雑音シーケンスを生成するシステム。
  8. 複素PNシーケンス発生器中のチップ時間を選択する前記手段は、複素PNシーケンス生成器中のN番目毎のチップ時間を周期的に選択する手段を、さらに含むことを特徴とする請求項記載の複素擬似雑音シーケンスを生成するシステム。
  9. 前記複素PNシーケンス発生器中の1つおきのチップ時間を選択するためにNは2に等しいことを特徴とする請求項記載の複素擬似雑音シーケンスを生成するシステム。
  10. 前記選択された複素PNチップと前記次の複素PNチップとの位相差を予め選択された位相角に限定する前記手段は、前記選択された複素PNチップと前記次の複素PNチップとの位相差を90度に限定する手段、さらに含むことを特徴とする請求項記載の複素擬似雑音シーケンスを生成するシステム。
  11. 前記選択された複素PNチップと前記次の複素PNチップとの位相差を予め選択された位相角に限定する前記手段は、前記選択された複素PNチップの位相から90度加算または減算し、前記次の複素PNチップを生成する手段を、さらに含むことを特徴とする請求項記載の複素擬似雑音シーケンスを生成するシステム。
  12. 前記選択された複素PNチップの位相から90度加算または減算し、前記次の複素PNチップを生成する前記手段は、前記選択された複素チップ値に応答して前記選択された複素PNチップの位相から90度を加えまたは90度引き、前記次の複素PNチップを生成する手段を、さらに含むことを特徴とする請求項11記載の複素擬似雑音シーケンスを生成するシステム。
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