JP3758800B2 - ノック式筆記具 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、低粘度のインキが充填され、且つ、筆記先端部がシール不要なボールペンのリフィールを軸筒に搭載して、軸筒後端に突出したノック部のノック操作で筆記先端部を軸筒先端口から出没可能とするノック式筆記具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来知られている油性ボールペンは、それに使用するインキが粘度が数千mPa・S以上の高粘度のために、ペン先からインキが流出する際にボールが回転する時の抵抗が大きいため書き味が悪い欠点がある。又、筆記の際に先端から流出するインキ量は少なく、ボテ現象があり、筆記描線のムラがあり筆跡濃度が薄いこと、高い筆記圧が必要なことなどの問題がある。
この油性ボールペンの改良として、 最近、上記の水性と油性との中間粘度領域(数mPa・S〜数千mPa・S)のインキを用いる中粘度と呼ばれる水性インキ用ボールペンが開発されている。このものは、先端ボールの回転によって粘度が低下してインキがスムーズに流出する特性、所謂剪断減粘性を有する相対的に低粘性の水性のインキを用いたボールペンである。しかしながら、このものはインキが乾燥しやすい欠点があるために通常は筆記先端部をシールするキャップが必要である。又、インキの流出量が多くなり、筆記寿命を延ばすためにインキ収容管の径を太くしてインキの充填量を多くする必要がある。
【0003】
又、上記油性ボールペンの改良として、耐乾燥性に優れた低粘度の油性インキを用いたボールペンが考えられるが、やはりインキの流出量が多くなり、筆記寿命を延ばすためにインキ収容管の径を太くしてインキの充填量を多くする必要がある。又、インキの粘度が低いために、チップ側を下向きにした場合に先端ボールとチップ抱持部の隙間が生じるとインキが滲みでる(直流)が生じたり、筆記時にインキの流出量が多くなる欠点がある。
【0004】
上記、中粘度の水性インキ、低粘度の油性インキ等の低粘度インキは何れも低粘性であることからインキが逆流や直流しやすい現象がある。インキが逆流や直流を起こすと衣類などを汚す危険がある。又、落下やノック衝撃で筆記掠れが生じやすい欠点がある。又、中粘度の水性ボールペンは、通常インキ収容管後端に、フォロアと称されるグリース状の半透明不乾性物質が充填されるので、インキ蒸発防止の問題はペン先、即ちボールとホルダーの間隙からの蒸発低減化を考えればよい。例えば、油性ボールペンのように蒸気圧がかなり低い溶剤を主として用いれば、インキの蒸発は考慮しないですむ。
【0005】
従来のノック式ボールペンでは、筆記体を軸先端より突出させて筆記を行う構造であるため、ポケットに収納するときに、筆記体を収納し忘れてしまうと筆記部が軸外へ突出したままとなり、衣服をインキで汚すことがあった。この問題を解決するためにクリップの係止部と軸もしくは軸内部に設けられた係止部で係止させることでポケットに筆記具を差すときには必ず筆記体が収納される考案が提案されてきた。これらの機構としては軸後端のノック棒を押圧して筆記体の筆記部を軸先端から突出させた後筆記体を収納する場合にはクリップの後端側を押すことで係止を解除して筆記体を収納するものが一般的に採用されているが、この場合には筆記体を突出させる場合と収納させる場合とでは操作部が異なるので操作性が良くないこと、また直液式の筆記体を搭載した場合には、解除時の筆記体にかかる衝撃によって、筆記体内部のインキがずれたり、漏れ出したり、筆記体先端より空気を巻き込んで筆記カスレを生じさせたりする可能性を含んでいるため、筆記体にかかる衝撃を緩衝する機構が必要であるなどの欠点があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、低粘度インキが充填されてインキの逆流、直流現象が生じず、筆記先端部の耐乾燥性が維持されてキャップを外して放置することができ、又、落下衝撃、上向き筆記によるインキの逆流やインキの直流を防止する機構を備えて、ノック式筆記具に搭載可能とするボールペンのリフィールを提供可能とする。又、筆記先端部の突出動作、収納動作が確実で操作性の良い機構を実現し、ポケットへの収納時に衣服を汚す事故を未然に防ぐと共に、部品点数を少なくしてコストの問題と組立性の問題を解決し、さらには、筆記体にかかるノック衝撃を少なくしたいという要望に応えるものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を達成する為に以下の構成を有する。
即ち、請求項1に記載の発明に係るノック式筆記具は、先端ボールがチップ先端のボール抱持部の内縁に常時は押圧されて密接し、筆記時に密接状態が解除されるように設けられたチップと、そのチップを先端に止着した継ぎ手部後方のインキ収容部に低粘度のインキが充填され、そのインキの後端に筆記に伴うインキの消耗に追随して移動するフォロアが設けられて成るボールペンのリフィールと、軸筒の後方にノック操作により軸筒に対し前後退位置に係止される回転カム機構部が配設され、その回転カム機構部の前方にリターンスプリングにより後方に附勢された前記ボールペンのリフィールが設けられて成るノック式筆記具に於いて、軸筒後方の一側面にクリップが設けられ、その先端の玉部に係止面が形成されて、又、玉部が適宜嵌入する窓部が軸筒側面に穿設されてなり、一方、回転カム機構部はノック操作により前後動するノック棒と、ノック棒に設けたカム斜面と軸筒の内面に設けたカム斜面のそれぞれに迎合する軸方向2箇所の突状部にカム斜面を形成し、更にその前方に突状の係止部を備えた回転子とで構成されて、ノック操作に伴うノック棒の前進で、前記カム斜面間の押圧作用で回転子が回動して、前記クリップの玉部に形成された係止面に前記回転子に設けた係止部が係合或いは離脱してボールペンのリフィルの筆記先端部が軸筒の先端口から出没可能に係止されると共に、前記係合状態でクリップの玉部が軸筒側面から離反する方向に変位された時に係合が外れて筆記先端部が先端口から没入可能となるように構成されてなる。
【0008】
請求項2に記載の発明に係るノック式筆記具は、請求項1に記載のノック式筆記具に於いて、そのボールペンのリフィールのチップで先端ボールの背面に、筆圧が係った時に当接するボール受け座と先端ボールがボール抱持部の内縁に密接するように先端ボールの背面を押圧するバネ座が所要箇所に配設され、その配設されたボール受け座とバネ座との間にチップ後端から先端ボールにインキを供給可能とするインキ流入溝が形成されてなる。
【0009】
請求項3に記載の発明に係るノック式筆記具は、請求項2に記載のノック式筆記具に於いて、そのボールペンのリフィールのチップとインキ収容部を接続する継ぎ手部位の軸心に、チップの後端に連通して後方に弁室が設けられ、弁室の後部にテーパー状又は球面状のボール弁受け座が設けられて弁室内にボール弁が遊嵌され、チップ側が上向きの時にボール弁がボール弁受け座に密接して導孔が密閉されインクの逆流が阻止されると共に、チップ側が下向きの時に密閉状態が解除されてチップ内にインキが流入するように構成されてなる。
【0010】
【実施例】
先ず、図12乃至図14は本発明のノック式筆記具に搭載されるボールペンのリフィールの実施形態を示している。又、ボールペンのリフィール1に適用されるインキは所謂剪断減粘性を有した中粘度の水性、低粘度の油性インキ等の低粘度インキである。
【0011】
図に示すようにチップ12は、インキ流入可能なチャンネル部14を有した座に先端ボール13が略当接した状態で、先端ボール13が回転自在に抱持されるようカシメられている。(ボール抱持部12a)
チャンネル部14に付いて詳説すると、
チップ12で先端ボール13の背面に、筆圧が係った時に当接するボール受け座14aと先端ボール13がボール抱持部12aの内縁に密接するように先端ボール13の背面を押圧するバネ座14bが放射状で交互に配設され、その配設されたボール受け座14aとバネ座14bとの間にチップ12後端から先端ボール13にインキを供給可能とするインキ流入溝14cが形成されている。
又、先端ボールの背面を押圧する方法として、チップの内孔にスプリングを内装してその先端で先端ボールを押圧するものが先例として有るが、インキの顔料の粒径が粗大なもの、金銀色等の金属フィラーを介在するインキではスプリングによりインキ誘導を阻害する場合がある。本願の実施形態によればそのような阻害部がないので先端ボールの背面に問題なくインキが誘導可能となり、高品質化が期待できるものである。
【0012】
又、先端ボール13がボール抱持部12aの内面に密接することは筆記先端の乾燥、インキの直流防止に対し極めて重要である。当該実施例の形態は、チップ12がバネ性、耐磨耗性やインキのシール性能に優れた樹脂成型品を想定して示しているが、チップ12を金属製とした場合には特に先端ボール13を抱持するチップ内面の表面粗さ、カシメによる密接精度を改善する為に内面の研削仕上げ、カシメ精度を上げる為の二次的な塑性加工が配慮される。又、先端ボールとの密接面に表面処理などが配慮される。
【0013】
又、継ぎ手2は先端にチップ12の軸部12bを圧着する前軸部3とインキ収容管16の前端に圧着される後軸部4が形成されている。又、前軸部3の内孔部10の後方にはボール弁15が遊嵌している弁室7があり、弁室7の後方にはテーパー状又は球面状のボール弁受け座8と軸心に対し適宜偏心して設けられた導孔9とが設けられ、後軸部4の内孔がインキ収容管16の内孔に連通している。
又、弁室7の内壁の一側には軸方向にインキ17が流れるように溝部11を設けている。この弁室7内に遊嵌しているボール弁15は、チップ12を下向きにした状態では、チップの軸部12bの後端に偏った状態に接してインキ流路を形成し、インキ収容管16のインキは導孔9を通り前記溝部、前記インキ流路をなどを通じてチップ内孔部に流入する。逆に上向きの状態ではボール弁15がボール弁受け座8に密接してインキの逆流を防止する機能が得られる。
【0014】
又、インキ収容管16内には上記ボールペンのインキ17が充填され、更に、このインキ17の後端にインキの消耗と共にインキ面に接触して追随して移動可能なグリース状の半透明不乾性物から成るフォロア18が充填される。又、落下やノック衝撃等による変形を防止するために必要に応じてフォロア18内にフォロアと略同等の比重を有する樹脂製のフォロア棒19が浸漬される。尚、上記インキ収容管16はクリアドレン性に優れた材質で選定する。一例として透明PP樹脂成形品等が使用され、インキの残量を確認することができる。又、インキ収容管は継ぎ手2と一体に形成することも可能である。
【0015】
図1から図11は本発明のノック式筆記具の実施形態を示している。
先ず、上記ボールペンのリフィール1の筆記部先端には80℃から150℃で溶融するホットメルトタイプの先端シール材27を付着させて、インキの揮発を抑えると共に、筆記部先端を保護する。それによって、製造されてから筆記を開始するまでのトラブルを回避することができる。
【0016】
先ず、軸筒は先軸23、後軸20で構成されている。
このノック式筆記具では、ボールペンのリフィール1がリターンスプリング26により後方へ附勢されており、この力は回転子22、ノック棒25に伝えられ、最後はクリップ筒21の筒部21c内に設けられた突起21jで受けている。又、クリップ筒21は、筒部21cの側面に設けた係止片21eの後端に形成された係止突起21fが後軸20に設けられた係止窓20bに係止して後軸20に対し固定される。
【0017】
図11は後軸20、クリップ筒21、回転子22、ノック棒25の展開図の一部とその時の回転子22の位置を示した正面図で、回転カム機構部の流れを示しており、A,B,C,Dの順序で最後は再びAの状態にもどり、この間に筆記部の出没動作が1回行われる。これに基づいて回転カム機構部を説明する。ノック棒25とボールペンのリフィール1の間には回転子22が設けられており、ノック棒25を押圧することにより、ノック棒25のカム斜面25aとこれに対応する回転子22のカム斜面22cにより軸線方向に加えられた力が周方向の回転力に変換される。このとき、ノック棒25には回転止め25bが設けられており、クリップ筒21にはこの回転止め25bに対応する溝21dが配設されているため、ノック棒25は周方向に回転せず、回転子22のみが周方向に所定角回転するように構成されている。
【0018】
ノック動作の初期段階では回転子22のカム側面22eと後軸20のカム側面20cで回転規制が働き、回転子22は回転しないが、一定距離ノック動作が行われるとこの回転規制がはずれて回転子22は所定角度だけ回転する。この時、回転子22はボールペンのリフィール1を通してリターンスプリング26により常に後方へ附勢されておりノック棒25への押圧を止めたときには、回転子22のカム斜面22aとこれに対応する後軸20のカム斜面20aにより回転子22がさらに所定角度だけ回転し、一定角度回転したところで回転子22の突状の係止部22bがクリップ21aの玉部に形成した係止面21bに係合されて、筆記先端部が先軸23より突出した状態となる。
【0019】
ここで図11のBからCの状態になる時を詳説すると、回転子22のカム斜面22aが後軸20のカム斜面20aに沿って移動しながら後退すると同時に、回転子22の係止部22bも同じ軌跡を描きながら移動することになるが、この時、回転子22の係止部22bがクリップ玉部の係止面21bに係合するには、クリップ玉部の側壁面21gの下端面に干渉することなく通過できなければならない。このためには回転子22のカム斜面22aが移動する距離Rを大きく設定するか、後軸20のカム斜面20aの傾斜角θをより鈍角にすればよいが、前者の方法ではノックストロークが大きくなるので操作性が悪くなり、後者の方法では回転子22のカム斜面22aが後軸20のカム斜面20a上で停止してしまう恐れがあるので動作の確実性に欠ける。この問題を解決するためにはクリップ玉部の側壁面21gの下端面を回転子22の係止部22bが干渉しないで通過できる高さに設定すればよい。但し、もう一方の側壁面21hの下端面を側壁面21gの下端面と同じ高さにしてしまうと係合の確実性がなくなってしまうので、側壁面21hの下端面は回転子22の筒外径に干渉しない範囲で大きくすることが望ましい。又、クリップ玉部の係止面21bの端面は側壁面21gの下端面と側壁面21hの下端面を滑らかにつなぐ斜面または曲面とすることで、クリップを衣服に抜き差しする際、ひっかからずにスムースに行うことができる。
【0020】
筆記部が先軸23より突出された状態からノック棒25を押圧すると、ノック棒25前端のカム斜面25aと回転子22のカム斜面22cの迎合作用によりクリップ玉部の係止面21bと回転子22の係止部22bとの係合が解除される。
ここでノック棒25への押圧をやめると回転子22のカム斜面22aが後軸20のカム斜面20aに沿って回転しながら後退され、筆記先端部が先軸23の先端口内に収納される。この時、回転子22は初期状態と同様の位置にセットされている。つまり、再度ノック棒25を押圧すれば、突出動作が可能な状態になっている。さらに、突出状態の解除は、ノック棒25を押圧しなくても、クリップ21aの玉部が上方に持ち上げられることにより回転子22の係止部22bとクリップ玉部の係止面21bとの係合がはずれ、ノック棒25を押圧したときと同様に筆記先端部が先軸23の先端口内に収納される。このため、筆記先端部を突出させたままポケットへ差そうとすると、筆記先端部が自動的に収納されて衣服を汚すなどの事故を未然に防ぐことが可能となる。これらの動作に必要なノック棒、回転子、後軸内面に形成したカム斜面は適宜形状や角度やカムの数を選択できる。
【0021】
又、図15及び図16はチップの他の実施形態を示している。
図に示すようにチップ30は、インキ流入可能なチャンネル部材32を固定して、その座に先端ボール31が略当接した状態で先端ボール31が回転自在に抱持されるようカシメられている。(ボール抱持部30a)
チャンネル部材32に付いて詳説すると、
チップ30で先端ボール31の背面に位置して固定されたチャンネル部材32には、筆圧が係った時に当接するボール受け座32aと先端ボール31がボール抱持部30aの内縁に密接するように先端ボール31の背面を押圧するバネ座32bが放射状で交互に配設され、その配設されたボール受け座32aとバネ座32bとの間にチップ30後端から先端ボール31にインキを供給可能とするインキ流入溝32cが形成されている。
又、当該ボールペンのリフィールに使用されるチップ30は、金属製を想定しており、そのチャンネル部材32は樹脂製又は金属製で想定している。
【0022】
【作用】
先ず、ボールペンのリフィールの実施形態に付いて説明する。
ボールペンのリフィール1は、バネ座14bの押圧で先端ボール13がチップのボール抱持部12aの内縁に密接されるのでインキの直流が防止される。又、筆圧により先端ボール13が微小に後退するので隙間を生じてインキが流出可能となり、筆記により先端ボール13の回転でインキがスムーズに流出され、ボテが無く、筆跡濃度の高い筆記が可能となる。
【0023】
チップ12を上向きにした状態に於いて、そのボール弁15が弁室7のボール弁受け座8に位置して導孔8を密閉するので、上向き筆記されてチップの先端ボール13背面のインキがなくなっても、インキにヘッドが掛かり逆流することがない。従って、チップ12を下向きにした時にはインキがすぐに流出可能となり、筆記で掠れが防止される。(因みにボール弁を有しない構造では、上向き筆記でインキが逆流方向に作用するのでチップ内に空気を巻き込み、下向き筆記で即インキが追随せず掠れが生じる)
【0024】
チップ12を下向きにした筆記状態に於いては、ボール弁15がチップ12後端の一方に偏った状態に当接し、他方にはチップ12内にインキが流入可能な流路が構成され、インキ収容管16から導孔9を経て弁室7に入ったインキ17は先端ボール13の背面まで誘導される。
ところで、バネ座14bの作用で通常はインキの直流と逆流は防止可能となるが、衝撃や上向き筆記で空気が巻き込まれたり、先端ボールとボール抱持部の密接不完全(加工ばらつきやゴミの巻き込み等が原因)な場合に筆記掠れやインキの逆流を生じる問題がある。そこで導孔9を密閉するボール弁15を併用することで確実にその問題が解決可能となる。
又、バネ座14bの代わりに、既に知られたチップ内にスプリングを内装してその先端で先端ボールの背面を押圧する手段を当該ノック式筆記具のボールペンのリフィールに採用することもできる。
【0025】
一方、後軸後方に突出するノック棒25を押圧することによって、ボールペンのリフィールの筆記先端部を先軸の先端口より突出させて筆記可能とするノック式ボールペンに於いては、クリップ筒21に設けたクリップ玉部の係止面21bと回転子22の係止部22bとが係合することで筆記先端部の突出状態を保持できるため、クリップ21aの玉部を持ち上げるとこの係合が解除されて筆記先端部が先軸23の先端口内に収納される。この為、筆記先端部が先軸の先端口より突出したままポケットに差してしまっても自動的に筆記先端部が先軸の先端口内に収納されインキで服を汚してしまう事故を未然に防ぐことができる。ノック棒を押圧をすることのみの操作で筆記部の突出と収納が可能な上、筆記部を収納する際の衝撃はノック棒に接触している指によりかなり緩められるため従来は不可能であった低粘度インキを充填したボールペンのリフィールの搭載が可能となった。又、回転子の係止部が後軸の外側に突出しておらず、クリップ玉部にも突出した角部分がないためポケットなどへの抜き差しをスムーズに行うことができ、又、ノックストロークを短くできる上に動作の確実性を向上し、更にその操作性を向上することが可能となる。
【0026】
【発明の効果】
本発明のノック式筆記具の構成及び作用は以上の如くであり、低粘度インキが充填されてインキの逆流、直流現象が生じず、ペン先の耐乾燥性が維持されてシールキャップ不要のボールペンのリフィールが提供可能となり、そのボールペンのリフィールを搭載して、服を汚すなどの事故を未然に防ぐ効果のある安全性の高いノック式筆記具の機能が得られる。又、ノック操作のみで筆記先端部の出没が行えるので、使い勝手がよく、構造が簡単なので組立が容易で安価に提供可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のノック式筆記具の実施形態である全体の構造を示す縦断面図である。
【図2】ノック式筆記具の正面図である。(軸筒が透明で内部が可視可能)
【図3】実施形態であるノック式筆記具の後方部を拡大して示した縦断面図である。
【図4】実施形態であるノック式筆記具の先方部を拡大して示した縦断面図である。
【図5】後軸の正面図である。(透明)
【図6】ノック棒の外観を示す正面図である。
【図7】図6の側面図である。
【図8】回転子の外観を示す正面図である。
【図9】クリップ筒の外観を示す正面図である。
【図10】図9の側面図である。
【図11】実施形態であるノック式筆記具の回転カム機構部の動作及びクリップ玉部の係止面と回転子の係止部との係合関係を説明した図である。
【図12】本発明のノック式筆記具に搭載されるボールペンリフィールの全体を示す縦断面図である。
【図13】チップ先端部を拡大した断面図である。
【図14】チップのチャンネル部のやや前方で断面した図である。
【図15】他の実施形態であるチップ先端部を拡大した断面図である。
【図16】他の実施形態であるチップのチャンネル部のやや前方で断面した図である。
【符号の説明】
1 ボールペンのリフィール
2 継ぎ手
3 前軸部
4 後軸部
5 鍔部
6 通気溝
7 弁室
8 ボール弁受け座
9 導孔
10 内孔部
11 溝部
12 チップ
12a ボール抱持部
12b 軸部
13 先端ボール
14 チャンネル部
14a ボール受け座
14b バネ座
14c インキ流入溝
15 ボール弁
16 インキ収容管
17 インキ
18 フォロア
19 フォロア棒
20 後軸
20a カム斜面
20b 係止窓
20c カム側面
20d 窓部
21 クリップ筒
21a クリップ
21b 係止面
21c 筒部
21d 溝
21e 係止片
21f 係止突起
21g 側壁面
21h 側壁面
21i リブ
21j 突起
22 回転子
22a カム斜面
22b 係止部
22c カム斜面
22d 突起
22e カム側面
23 先軸
24 ラバーグリップ
25 ノック棒
25a カム斜面
25b 回転止め
25c 突起
26 リターンスプリング
27 先端シール材
30 チップ
30a ボール抱持部
31 先端ボール
32 チャンネル部材
32a ボール受け座
32b バネ座
32c インキ流入溝

Claims (3)

  1. 先端ボールがチップ先端のボール抱持部の内縁に常時は押圧されて密接し、筆記時に密接状態が解除されるように設けられたチップと、そのチップを先端に止着した継ぎ手部後方のインキ収容部に低粘度のインキが充填され、そのインキの後端に筆記に伴うインキの消耗に追随して移動するフォロアが設けられて成るボールペンのリフィールと、軸筒の後方にノック操作により軸筒に対し前後退位置に係止される回転カム機構部が配設され、その回転カム機構部の前方にリターンスプリングにより後方に附勢された前記ボールペンのリフィールが設けられて成るノック式筆記具に於いて、
    軸筒後方の一側面にクリップが設けられ、その先端の玉部に係止面が形成されて、又、玉部が適宜嵌入する窓部が軸筒側面に穿設されてなり、一方、回転カム機構部はノック操作により前後動するノック棒と、ノック棒に設けたカム斜面と軸筒の内面に設けたカム斜面のそれぞれに迎合する軸方向2箇所の突状部にカム斜面を形成し、更にその前方に突状の係止部を備えた回転子とで構成されて、ノック操作に伴うノック棒の前進で、前記カム斜面間の押圧作用で回転子が回動して、前記クリップの玉部に形成された係止面に前記回転子に設けた係止部が係合或いは離脱してボールペンのリフィルの筆記先端部が軸筒の先端口から出没可能に係止されると共に、前記係合状態でクリップの玉部が軸筒側面から離反する方向に変位された時に係合が外れて筆記先端部が先端口から没入可能となるように構成されたことを特徴とするノック式筆記具。
  2. ボールペンのリフィールに於いて、チップで先端ボールの背面に、筆圧が係った時に当接するボール受け座と先端ボールがボール抱持部の内縁に密接するように先端ボールの背面を押圧するバネ座が所要箇所に配設され、その配設されたボール受け座とバネ座との間にチップ後端から先端ボールにインキを供給可能とするインキ流入溝が形成されたことを特徴とする請求項1に記載のノック式筆記具。
  3. ボールペンのリフィールに於いて、チップとインキ収容部を接続する継ぎ手部位の軸心に、チップの後端に連通して後方に弁室が設けられ、弁室の後部にテーパー状又は球面状のボール弁受け座が設けられて弁室内にボール弁が遊嵌され、チップ側が上向きの時にボール弁がボール弁受け座に密接して導孔が密閉されインクの逆流が阻止されると共に、チップ側が下向きの時に密閉状態が解除されてチップ内にインキが流入するように構成されたことを特徴とする請求項2に記載のノック式筆記具。
JP08868197A 1997-03-25 1997-03-25 ノック式筆記具 Expired - Fee Related JP3758800B2 (ja)

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