JP3758084B2 - 酸素分離用セラミックスおよび酸素分離装置 - Google Patents

酸素分離用セラミックスおよび酸素分離装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸素含有混合ガスから高温において酸素を分離する際に用いる電子、酸素イオン混合伝導性複合酸化物からなる酸素分離用混合伝導性セラミックスと、このセラミックスを隔壁とする酸素分離装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
製鉄、冶金、化学、石炭、パルプなどの多くの工業において酸素が大量に利用されている。また現在、熱エネルギー利用において一般的に空気による燃焼が行われているが、燃焼に不必要な多量の窒素を含むため熱効率が悪い。また、窒素酸化物の発生や窒素により希釈されて発生する窒素酸化物および炭酸ガス等の有害ガスの回収に、さらに膨大なエネルギーを必要とするといった多くの問題を含んでいる。これに対して、純粋な酸素を用いる酸素燃焼は、空気燃焼の2倍以上の効率が期待され、排ガス量が少ないことから、炭酸ガスおよびその他の有害ガスの回収を小型装置で容易にしかも低コストで実施することが出来る。また、窒素酸化物の発生を抑制することも可能である。
【0003】
上記の需要を満たすためには、大量で安価な酸素を製造することが必要となる。空気などの混合ガスから酸素を分離する技術は種々の方法が知られている。例えば液化分離法、圧力スイング吸着方式(PSA)などである。これらの方法には一長一短がある。例えば、液化分離法は空気の各成分の沸点の違いを利用して蒸留分離する方法で、高純度の酸素が得られる反面、超低温が必要であるため、大量のエネルギーを必要とする。他方圧力スイング吸着方式(PSA)は、加圧原料ガスをゼオライトのような吸着物質に通して不純物を吸着分離し、所要純度の目的ガスを得るもので、吸着した不純物ガスは、大気圧又は真空圧にして開放除去する方法である。この方法では、液化分離法に比べ省エネルギーは図れるが、高純度の酸素が得られにくい。また、酸素の吸着・脱着を繰返すので装置が複雑になるなどの問題点がある。
【0004】
上記に示した酸素分離技術に対して、より高効率で簡便に酸素を分離する方法として、イオン伝導性物質を利用した酸素分離法が提案されている。これは酸素イオンを選択的に移動することが出来るイオン伝導性物質を利用して、混合ガスから酸素のみを取出す方法である。この方法の利点は、理論的には1段の処理手段で100%純粋な酸素が得られることである。また、混合ガスから酸素を分離するのに要するエネルギーは、理想的には混合の自由エンタルピー変化に相当するエネルギーのみでよい。そのため、他の方法に比べて高効率でまた省エネルギーである。
【0005】
このイオン伝導物質を利用した酸素分離法には原理が異なるいくつかの方法がある。大きく分けて、3種類の方法で、直流通電法、濃淡電池短絡法および混合伝導体隔壁法である。
【0006】
直流通電法は、安定化ジルコニアなど酸素イオン伝導体を隔壁として、その両面に電子伝導体を取付け通電する方法である。一方を空気にさらし、この空気を負極として通電することによって空気中の酸素分子が還元される。酸素分子は酸素イオンとなり、これが電解質中を移動して正極で酸化され、再び酸素となる。
【0007】
濃淡電池短絡法は、直流通電法と同じ装置ではあるが、外部からの通電はせず短絡のみさせるものである。隔壁の一方を空気にさらし、他方を減圧すると、酸素分圧の違いによって起電力が生じ、空気を正極とする酸素ガス濃淡電池が形成される。外部回路には発生した起電力に応じた電流が流れ、電解質内では空気極から減圧極に向って酸素イオンが移動して減圧極表面で酸素分子となる。
【0008】
さらに、この濃淡電池短絡法の外部回路による短絡の代りに、電解質自身に電子伝導性をもたせて短絡させる方法が混合伝導体隔壁法である。この方法では、酸素イオンと電子の双方が動きうる混合伝導性酸化物が必要となる。混合伝導性酸化物を隔壁として二室を区切り、一方に空気などの酸素を含む混合ガスを流し他方を吸引すれば、短絡された酸素濃淡電池となり酸素イオンが移動する。このように、混合導電体隔壁法は、表面電極も外部回路の導線も不要であり、隔壁の両側に圧力差をつけるだけで酸素のみが移動するので酸素分離装置が簡略化できる、という利点がある。
【0009】
しかし、残念なことに、現状の混合伝導性物質では充分満足な性能が得られていないため、混合導電体隔壁法による酸素分離は未だ実験室の域を出ていない。この最大の問題点は、混合伝導体の導電率が不十分なために大電流を流せないことである。
【0010】
現在、酸素分離膜に関する混合伝導体物質は、大きく分けて3つの系統に分類される。先ず第1には、安定化ジルコニア等の酸素イオン伝導体に対して、Pd等の貴金属を複合化、すなわち粉末状体で混合させて緻密に焼結し、擬似的に混合伝導体物質的な特性を持たせた複合体を挙げることが出来る(Solid State Ionics,86−88,569−572(1996),Solid State Ionics,76,23−28(1995))。しかし、この複合体は酸素イオン伝導体である安定化ジルコニアが、もともとイオン伝導性が高くないことから、800℃以下の低温では大電流を流すことができないため、大量の酸素を分離することは難しい。
【0011】
次に、ペロブスカイト構造のLaxSr1-xCoO3-y、SrCo1-xFeO3-y に代表されるLa−Sr−Co−O系の酸化物(特開2001−106532,Solid State Ionics,106,189−195(1998))があり、3番目としては、蛍石型関連構造のCe−Zr−M−O系(M=Y,Ca,Mg等)の酸化物がある(J.Electrochem.Soc.,131,2407−2413(1984)、Solid State Ionics, 86−88,739−744(1996))。
【0012】
このLa−Sr−Co−O系およびCe−Zr−M−O系の酸化物は、酸素イオン空孔を介して酸素イオン伝導性を示す混合伝導体である。両者とも安定化ジルコニアより高い酸素イオン伝導性を示す。しかし、これらの物質であってもまだ酸素ガス分離の抵抗が大きいために、混合ガスから大規模に酸素を抽出する装置の実用化には至っていない。この原因として、混合伝導体内での酸素イオンの伝導性が考えられるが、さらにその表面での酸素分子の吸着乖離と酸素イオンへのイオン化、およびその逆の酸素イオンの放電と酸素分子の生成脱離過程が律速となっている可能性が指摘されている(J.Appl.Electrochem.,24,1222(1994),Solid State Ionics, 53,46(1992))。
【0013】
以上のように、高効率で簡便な装置による酸素分離が可能である混合伝導体隔壁法を実用化するにあたって、現状では、その混合伝導体の酸素分離に対する抵抗が大きいため、800℃以下の低温では大電流を流すことが出来ないことが問題となっている。この問題は混合伝導体内での酸素イオンの伝導性が不十分であるのみならず、混合伝導体隔壁表面での酸素分子のイオン化、および酸素イオンの分子化といった反応速度が律速となっていると考えられている。
【0014】
また、この電子、酸素イオン混合伝導性複合酸化物は、酸素分離膜のみならず、固体酸素燃料電池(SOFC)や酸素センサーなどへの応用も期待されており、その点でも未だ十分な性能が得られる電子、酸素イオン混合伝導性複合酸化物は見出されてはいない。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の目的は、酸素分離に対する抵抗が小さく、また従来よりも早く酸素分離が可能な電子、酸素イオン混合伝導性セラミックスと、このセラミックスを用いた酸素分離装置を提供しようとするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、混合伝導性セラミックスにCe2-xZrx4-δ(x=0.125〜1.9、δ=0〜0.5)で表される組成をもつCeO2−ZrO2固溶体複合酸化物を用いることを特徴とする。この混合伝導性セラミックスは、主要な結晶系が立方晶でありCeとZrとが規則的に配列しているという特色を有する。
【0017】
また、本発明の酸素分離装置は、混合伝導体隔壁法による酸素分離装置であって、高濃度酸素室と、低濃度酸素室とを有しこの両室間は、前記混合伝導性セラミックスからなる隔壁で隔離されていることを特徴とする。これにより従来よりも低温で高効率な酸素分離を行うことができ、実用に耐えうる酸素分離装置とすることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
(混合伝導性セラミックス)
前述したように、従来よりCe−Zr−M−O系(M=Y,Ca,Mg等)の蛍石型関連構造酸化物は混合導電体として検討されてきた。しかし、SolidState Ionics,98,63−72(1997)のようにCeO2,ZrO2が固溶しておらず、単に複合材化しているだけの材料もある。また、従来技術では、必ずCe,Zr以外の第3金属元素(上記組成式でMと示した)が添加されている。第3金属元素は、複合酸化物の結晶構造が正方晶に歪むことなく立方晶を安定化させることや、複合酸化物からなるセラミックスの焼結密度を向上させることなどを目的として添加されている。複合酸化物は、正方晶に歪むことにより酸素イオン伝導性が低下するため、立方晶を安定化させることは重要である。
【0019】
本発明は、上記の従来技術とは異なり、第3金属元素を添加することなく立方晶を安定化させ、かつ特定の熱処理を加えることで表面を酸素が吸収放出しやすいように改質できたものである。
【0020】
本発明者らは1000℃以上の高温で、かつ酸素分圧が10-8atm以下の還元雰囲気下で熱処理をすることによって、Ce:Zr=2−x:x(x=0.125〜1.9)の範囲ではCeとZrの配置が特有の規則配列を組み、立方晶を保ったままで、酸素分離に対する抵抗の小さいCeO2−ZrO2固溶体からなる混合伝導体が製造できることを見出した。
【0021】
この特有の規則配列は、粉末X線回折測定によって容易に確認することが出来る。具体的には、Cuを管球とする粉末X線回折測定で、2θ=13.8〜14.6、36.0〜37.4、43.2〜44.9にそれぞれ1本ずつのピークがあることを特徴とする。
【0022】
また、この特有の規則配列は酸化雰囲気中で900℃以上の熱処理を行うと消失してしまうが、900℃以下もしくは還元雰囲気ではその特有の規則配列性を維持できる。すなわち、1000℃以上の高温で、かつ酸素分圧10-10atm以下の還元雰囲気中で熱処理した後でも、酸化雰囲気中で900℃以上の熱処理を行わなければどのような熱処理を施しても問題はない。例えば、複合酸化物固溶体粉末からセラミックスを得る場合に、1000℃以上の高温で、かつ酸素分圧10-10atm以下の還元雰囲気中で焼成したとしても、その後の熱処理を900℃以下で実施すれば、雰囲気の如何に関わらずこの特有の規則配列は維持されるということである。
【0023】
また、Ce:Zr=2−x:x(x=1.0〜1.9)の範囲においては、熱処理条件、特に冷却条件によっては一部正方晶相が析出する場合もある。冷却速度が速い場合には正方晶相の析出は起り難いが、冷却速度が遅くまた酸素分圧が比較的高い場合には、xが1.1程度では10%未満の、またxが1.9程度では50%未満の正方晶相が析出することがある。しかし、この場合でも主要な結晶相は立方晶であり得られる特性も従来より優れている。
【0024】
このCe、Zrの配列と酸素分離に対する抵抗低下の相関メカニズムについては明らかではないが、Zrイオンがある配列を組んだ場合、その周りに酸素イオンが吸収・脱離しやすいサイトが形成されるものと推測される。すなわち、Zrイオンのある配列が複合酸化物表面での酸素分子の吸着乖離と酸素イオンのイオン化、およびその逆の酸素イオンの放電と分子の生成脱着過程のどれかを促進していると考えられる。
【0025】
また、Ce2-xZrx4-δにおいて、δの値は複合酸化物の電荷が電気的に中性となるように決められるが、このδの値は、複合酸化物が酸素分離に供される前の組成に基づいて決められる値であって、実際に、この複合酸化物を酸素分離に使用するときには、この値より若干異なる場合があるが、δの値は0〜0.5が適当と考えられる。
【0026】
なお、本発明の組成にはCe、Zr以外の金属元素は含めていないが、TiやCaなどの金属元素でCeもしくはZrを20重量%以下の微量範囲で置換しても本発明の利点は損われることなく機能する。
【0027】
次に、本発明の電子、酸素イオン伝導複合酸化物からなるセラミックスの製造方法について説明する。
【0028】
本発明の電子、酸素イオン伝導複合酸化物およびセラミックスは、基本的には熱処理を含む方法により調製することが出来る。たとえば、焼結などの熱処理過程で酸化物に転換しうる、CeやZrといった金属原子を含む化合物、たとえば、CeO2、ZrO2のような酸化物、あるいは硝酸塩、炭酸塩、その他にCeCl3、ZrCl4などの無機酸塩、アルコキシドなどの有機酸塩、CeF3等のハロゲン化物、あるいはCe(OH)4、Zr(OH)4等の水酸化物を、所望の割合で混合し、熱処理を行う方法がある。
【0029】
また、上記記載のそれぞれの金属塩の混合水溶液を、アンモニア水などのアルカリ水溶液で加水分解する、いわゆる共沈法により得た沈殿物に熱処理を加えて所望の複合酸化物を得てもよい。さらに、それぞれの金属の混合物、又は、合金を熱処理して酸化しても良い。
【0030】
上記によって得られたCeO2−ZrO2複合酸化物からセラミックスを得るには次の方法による。すなわち、Ar等の不活性ガス雰囲気中で、加圧圧力50〜300kgf/cm2、好ましくは100〜250kgf/cm2、加熱温度1100〜1500℃、好ましくは1200〜1400℃で、加熱時間0.1〜15時間、好ましくは2〜5時間の加圧焼結を行う。なお、この時の昇温速度は1〜20℃/minが望ましい。加圧圧力が50kgf/cm2以下ではセラミックスの焼結密度が不足するためガスがリークする危険性があり、また、300kgf/cm2以上では装置上の制約が大きくなり望ましくない。加熱温度が1100℃以下では緻密なセラミックスが得られず、1500℃以上では結晶系が変化してしまう危険性がある。加熱時間は0.1時間以下では緻密なセラミックスが得られず、15時間以上では結晶粒が粗大化してセラミックスの強度が低下する。
【0031】
次に酸素分圧を10-8atm以下、好ましくは10-8〜10-16atmに制御して、1000℃以上、好ましくは1100〜1200℃で、0.1〜24時間焼成する。酸素分圧は、例えばCO2−H2混合ガスを炉内に導入することにより制御することが出来る。 酸素分圧が10-8atm以上では酸素吸収に伴う体積変化でクラックが発生し、また、焼成温度が1000℃以下では本発明に特有な結晶配列が不十分となる場合があり、所望のセラミックスを得ることが出来ない。 さらに、セラミックスのクラック発生を防止するため、室温までの冷却は次の方法によることが望ましい。CO2−H2混合ガスの混合比を変えることなく0.1〜3℃/minの降温速度で400〜900℃までに降温し、この温度に保持したまま酸素分圧を10-6atm以下の還元雰囲気から、10-1atm以上の酸化雰囲気へ4時間以上、好ましくは6〜72時間かけて徐々に酸素分圧を上げ、最終的には酸素気流中での焼成とする。その後、さらに0.1〜3℃/minの速度で徐冷する。保持温度が900℃以上では不純物相が析出し、また400℃以下では酸素吸収が不十分となる。保持時間は、保持温度および酸素分圧の上昇速度により左右されるが、6時間以上が好ましい。保持時間が6時間以下では、クラックが発生する危険性がある。また、保持後の降温速度が3℃/min以上でもクラックが発生することがある。一方、降温速度が0.1℃/min以下では著しく生産性を阻害するので現実的ではない。
【0032】
本発明では所望の立方晶を得るために、上記のように好ましい焼結条件および焼成条件を規定した。これは、上記規定の諸条件以外の条件では、立方晶系とならなかったり、他の結晶系が混在したりして、酸素イオン伝導性が低下するとともに、クラックや割れが発生して所望のセラミックスが得られないためである。
【0033】
本発明の混合伝導性セラミックスを酸素分離膜として用いる場合には、前記記載の調製方法によって得られた複合酸化物を成膜してもよく、あるいは、複合酸化物と成膜とを兼ねた方法を採ることもできる。これらの成膜方法としては、例えば、ペレット、シート状などの固形物を、切断・研磨などの機械的加工により膜状に加工してもよく、粉末状のものを加圧成形あるいはペースト状にして、多孔性支持体上に塗布し、焼結させてもよい。なお、成形の場合に、必要に応じて充填材、補強材、粘結剤などを用いてもよい。また、多孔性支持体としては、例えば、本発明の混合伝導性セラミックス膜と同一組成の多孔性支持体を用いることが出来る。
【0034】
上記記載の成型方法によって得られるセラミックス膜の膜厚は、通常10mm以下、好ましくは0.5〜2mmである。セラミックス膜の形態としては、平膜、管状膜など用途に応じて、種々の形態をとり得る。
(酸素分離装置)
本発明になる酸素分離装置は、通常の混合伝導体隔壁法による装置を使用できる。すなわち、高酸素濃度室と低酸素濃度室とを有し、両室を本発明になる混合伝導性セラミックスを隔壁として区切る構造である。両室の気密性を保つために混合伝導性セラミックス膜は、ガラスシールなどで接着しガスリークの発生を防止するとよい。
【0035】
本発明になる実施例を示す図2の概略図に沿って説明する。
【0036】
1は本発明になる酸素分離装置である。この酸素分離装置は、高酸素濃度室2と低酸素濃度室3とからなり、高酸素濃度室2と低酸素濃度室3とは本発明になる混合伝導性セラミックスを隔壁4として区切られている。高酸素濃度室2と低酸素濃度室3とはアルミナまたはそれに類する耐熱性気密材料からなることができる。混合伝導性セラミックスの隔壁4はシール材5で気密性を保つように低酸素濃度室3に接着されている。シール材5は高温での気密性が保てれば特に限定はないが、ガラスシールが望ましい。なお、高酸素濃度室2と低酸素濃度室3とからなる酸素分離室10は、ヒータ11によって加熱することができる。なお、12は温度検出用の熱電対である。
【0037】
高酸素濃度ガスは、高酸素濃度ガス入口6から高酸素濃度室2へ供給され、高酸素濃度ガス出口7から放出される。他方低酸素濃度ガスは、低酸素濃度ガス入口8から低酸素濃度室3へ供給され、低酸素濃度ガス出口9から放出される。
【0038】
高酸素濃度ガスとしては乾燥空気を、また低濃度酸素ガスとしては高純度ヘリウムガス等を使用することが出来る。酸素は混合伝導性セラミックスの隔壁4の高酸素濃度室2側の表面でイオン化し、隔壁4内を移動して低酸素濃度室3側の表面で酸素分子となり、低酸素濃度室3に純度の高い酸素を取出すことが出来る。
【0039】
本発明の酸素分離装置は、通常100〜900℃、好ましくは400〜800℃で使用する。400℃以下では酸素分離の効率が悪く、800℃以上ではセラミックス膜の安定性に問題がある。
【0040】
本発明の混合伝導性セラミックスを酸素分離装置に使用する場合には、その表面に酸素分離を促進する触媒を付与しても良い。触媒としては、Pt,Pd,Au,Ag、Bi、V,Mo、Mnなどの金属または金属酸化物を例示することが出来る。
【0041】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
[実施例1]
(酸素分離用混合伝導性セラミックス)
まず、実施例としてCeZrO4-δからなる混合伝導性セラミックスを作成した。
【0042】
硝酸セリウム(Ce(NO33)と硝酸ジルコニウム(Zr(NO33)とを、モル比でCe/Zr=5/5となるように混合した水溶液を調製し、攪拌しながらアンモニア水を滴下して中和し沈殿物を生成させた。続いてこの混合水溶液に含まれるセリウムイオンの1/2のモル数の過酸化水素を含む過酸化水素水と、得られる複合酸化物の10重量%のアルキルベンゼンスルホン酸を含む水溶液を添加し、混合攪拌した。得られたスラリーを入ガス400℃、出ガス250℃の雰囲気中に噴霧し、スプレードライ法で乾燥させるとともに共存する硝酸アンモニウムを蒸発・分解して、複合酸化物固溶体粉末を調製した。さらにこの粉末を黒鉛ヒータ加熱式の雰囲気加圧焼結炉を用いて、静止Arガス置換した後、黒鉛のプレス型を用いて、500kgf/cm2の押圧で1400℃、12時間の加圧焼結を行い、φ150mm、高さ約5mmの焼結体を得た。
【0043】
この焼結体をさらに雰囲気焼結炉内に配置し、CO2−H2混合ガス(CO2/H2=9.5)を流すことで、炉内の酸素分圧P02を10-9atmに制御しながら、1200℃で12時間の焼成を行った。さらに、このCO2−H2混合比を変えることなく、800℃まで温度を下げ、800℃に保ったまま48時間かけて徐々に酸素分圧を上げ、最終的には酸素気流中での焼成とした。その後、1℃/minの降温速度で徐冷し、目的のセラミックス試料を得た。この多段の熱処理は、クラックなしに、本発明で特定した組成および構造の試料を得るために必要な熱処理である。得られたセラミックス試料をφ20mm、厚さ1mmの円盤状の薄片に切出し、酸素分離用の試料とした。
【0044】
また、このセラミックス試料を粉砕して粉末X線回折測定を行った。結果を図1に示す。得られた回折パターンのピークは、全て立方晶に帰属され、14.5゜、37.1゜、44.7゜付近(図中▼)にCeとZrが規則配列していることを示すピークが認められた。
(酸素分離装置)
上記のように切出したセラミックス試料を隔壁とした酸素分離装置を作成した。その概要を図2に示す。この酸素分離装置を用いて酸素透過速度を評価した。高酸素濃度ガス入口6より、乾燥空気を20cc/minの速度で導入し、高酸素濃度側とした。また、低酸素濃度ガス入口8より、高純度ヘリウムガス(酸素分圧10-3atm以下)を20cc/minの速度で導入し、低酸素濃度側とした。作成したセラミックス試料は、ガラスシールによってアルミナチューブからなる低酸素濃度室3に接着し、高酸素濃度側と低酸素濃度側とを完全に隔離した。高濃度酸素ガス出口7および低濃度酸素ガス出口9から放出されるガスを、それぞれ四重極型質量分析装置と酸素センサーを用いて分析した。セラミックス試料の隔壁4を通過した酸素量は、低濃度酸素ガス出口9から放出されるガスの酸素濃度とヘリウムガスの流量とから求めた。高酸素濃度室2と低酸素濃度室3との隔壁4の気密性は、低濃度酸素ガス出口9から放出されるガスに乾燥空気に含まれる窒素ガスが検出されないことによって確認した。
【0045】
酸素透過の実験は、この酸素分離室10を電気炉11により加熱して、750℃、入側酸素分圧0.2atm、出側酸素分圧10-6atmの条件下で実施した。その結果、酸素透過性能は、2.3cc・min-1cm-2であった。
[比較例1]
比較例として、従来から知られている電子、酸素イオン伝導体であるLa0.6Sr0.4Co03-δを合成した。酸化ランタン、炭酸ストロンチウム、四三酸化コバルトを上記組成のモル比になるように秤量し、これらの混合物を自動乳鉢でよく混合した。この混合物を空気中、850℃で12時間仮焼した。この仮焼体を静水圧プレスにより厚さ約2mmの円盤状に加圧成形し、成形体を1300℃で6時間、空気中で焼成して焼結させた。この焼結体を実施例1と同様にφ20mm、厚さ1mmの円盤状の薄片に切出し、酸素分離用の試料とした。
【0046】
実施例1と同様の条件で酸素透過の試験を実施した。その結果、酸素透過性能は、1.2cc・min-1cm-2であった。
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、従来から知られているセラミックスより優れた性能を持つ混合伝導性セラミックスを得ることが出来た。また、この混合伝導性セラミックスを隔壁とした実用に耐えうる混合伝導体隔壁法による酸素分離装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明になるCeZrO4-δの粉末X線回折パターンであり、CeとZrの規則配列を示す。
【図2】本発明になる混合伝導性セラミックスを用いた酸素分離装置の実施例である。
【符号の説明】
1:酸素分離装置 2:高酸素濃度室 3:低酸素濃度室 4:隔壁 5:シール材 6:高酸素濃度ガス入口 7:高濃度酸素ガス出口 8:低濃度酸素ガス入口 9:低濃度酸素ガス出口 10:酸素分離室 11:ヒータ 12:熱電対

Claims (4)

  1. Ce2-xZrx4-δ(x=0.125〜1.9、δ=0〜0.5)で表され、かつ、主要な結晶系が立方晶でありCeとZrとが規則的に配列している電子・酸素イオン混合伝導性複合酸化物からなることを特徴とする酸素分離膜用混合伝導性セラミックス。
  2. 前記立方晶は、Cuを管球とする粉末X線回折測定において、2θ=13.8〜14.6、36.0〜37.4、43.2〜44.9にそれぞれ1本ずつのピークを呈する請求項1記載の酸素分離膜用混合伝導性セラミックス。
  3. 高濃度酸素室と低濃度酸素室とを有し、該両室間に隔壁を有する酸素分離装置であって、該隔壁は、Ce2-xZrx4-δ(x=0.125〜1.9、δ=0〜0.5)で表され、かつ、主要な結晶系が立方晶でありCeとZrとが規則的に配列している電子・酸素イオン混合伝導性複合酸化物からなる酸素分離膜用混合伝導性セラミックスであることを特徴とする酸素分離装置。
  4. 前記立方晶は、Cuを管球とする粉末X線回折測定において、2θ=13.8〜14.6、36.0〜37.4、43.2〜44.9にそれぞれ1本ずつのピークを呈する請求項3記載の酸素分離装置。
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